JP6476926B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及びポリカーボネート樹脂成形体 - Google Patents
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Description
これに対し、特許文献2では、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン型のポリカーボネート樹脂と、特定の脂環式構造を有するビスフェノールからなるポリカーボネート樹脂とからなるポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。しかしながら、上述のポリカーボネート樹脂組成物では実際には、透明性が犠牲になるため、透明性が要求される部材への適用ができないという課題を有していた。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、高い硬度と、耐熱性と透明性とのバランスに優れるポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨は、下記[1]〜[5]に存する。
[1] 少なくとも下記式(1)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂(A)及びポリカーボネート樹脂(B)を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、
該ポリカーボネート樹脂(B)が、下記式(2)で表される構造単位(B−1)と下記式(3)で表される構造単位(B−2)を含むポリカーボネート共重合体であり、且つ該ポリカーボネート樹脂(B)の含有量が該ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、5〜200質量部であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
[3] 前記ポリカーボネート樹脂(B)中の式(2)で表される構造単位(B−1)の割合が5〜70モル%であり、且つ、式(3)で表される構造単位(B−2)30〜95モル%である[1]又は[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4] 構造単位(B−1)が、下記式(4)で表されることを特徴とする[1]乃至[3]の何れか1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[1.概要]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、少なくとも、特定の構造を有するポリカーボネート樹脂と、特定の構造を有するポリカーボネート樹脂共重合体とを含有する。また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じて、その他の成分を含有していてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(A)は、少なくとも下記式(1)で表される構造単位を有する重合体(ポリマー)である。
置換の二価の炭素環を形成する。二価の炭素環としては、例えば、シクロペンチリデン基、シキロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロドデシリデン基、アダマンチリデン基等のシクロアルキリデン基(好ましくは、炭素数5〜8)が挙げられる。置換されたものとしては、これらのメチル置換基、エチル置換基を有するもの等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシリデン基、シキロヘキシリデン基、シクロドデシリデン基のメチル置換体が好ましい。
’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールA又は“BPA”と略記することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,
α'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類; 4,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類; 4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド
、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(B)は、下記式(2)で表される構造単位(B−1)と、下記式(3)で表される構造単位(B−2)を含むポリカーボネート共重合体である。
上記式(2)中のR1、R2のアリール基としては、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ジ−t−ブチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記式(2)中のR1、R2のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子などが挙げられる。
上記式(2)において、R1、R2は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、水素原子またはメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
また、上記式(2)において、R7、R8は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、水素原子またはメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
の合成法)で製造し得ることができる。これらの方法で得られたジヒドロキシ化合物は必要に応じて精製等を行い、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂(B)に構造単位として含まれるジヒドロキシ化合物に適用される。
)以外の構造単位を1種または2種以上含んでいても良いが、これらの構造単位は、構造単位(B−1)と構造単位(B−2)を含む全構造単位中、通常30モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることがさらに好ましい。
なお、構造単位(B−1)及び構造単位(B−2)以外の構造単位としては、前記式(3)で表されるその他のジヒドロキシ化合物として例示されたモノマーから誘導された構造が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(A)及びポリカーボネート樹脂(B)の原料となるモノマーのうち、カーボネート形成性化合物の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート形成性化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、下記式(15)で表されるアリールカーボネート類、ジアルキルカーボネート類やジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
なかでもジヒドロキシ化合物との反応性の観点よりR13及びR14は、共にアリール基であることが好ましく、下記式(15)で表されるジアリールカーボネートでることがより好ましい。
このようなカーボネートエステルとしては、具体的にはジメチルカーボネート、ジエチ
ルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と称する場合がある。)、ビス(4−メチルフェニル)カーボネート、ビス(4−クロロフェニル)カーボネート、ビス(4−フルオロフェニル)カーボネート、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4−ジフルオロフェニル)カーボネート、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(メチルサリチルフェニル)カーボネート、ジトリルカーボネート等の(置換)ジアリールカーボネートが挙げられるが、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。なお、これらのカーボネートエステルは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A)及びポリカーボネート樹脂(B)の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて具体的に説明する。
なお、ポリカーボネート樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)を単に「ポリカーボネート樹脂」と称することがある。
まず、ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
反応の際に、反応基質、反応溶媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤はジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。
なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
次に、ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物、カーボネートエステルは、前述の通りであるが、用いるカーボネートエステルとしては、なかでもジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートがより好ましい。なお、カーボネートエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
ジヒドロキシ化合物とカーボネートエステルとの比率は所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、カーボネートエステルを等モル量以上用いることが好ましく、なかでも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、カーボネートエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応溶媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただしなかでも、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは50ppm以下である。
ポリカーボネート樹脂の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常8000以上、好ましくは10000以上、より好ましくは15000以上であり、また、通常40000以下、好ましくは30000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
本発明におけるポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(B)の含有量が、前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、前記ポリカーボネート樹脂(B)を、5〜200質量部であることを特徴とする。ポリカーボネート樹脂(B)の含有量が前記範囲の下限以下の場合は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性が不十分になる恐れがある。また、ポリカーボネート樹脂(B)の含有量が前記範囲の上限を超える場合は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の硬度の低下を招くだけでなく、透明性や成形性が損なわれる恐れがある。このような観点より、ポリカーボネート樹脂(B)は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、10〜180質量部含有することがより好ましく、20〜150質量部含有することがさらに好ましく、30〜120質量部含有することが特に好ましく、50〜110質量部含有することが最も好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上述したもの以外にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例を挙げると、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で
含有されていても良い。
その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT樹脂)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)等の熱可塑性ポリエステル樹脂;
ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)等のスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、環状シクロオレフィン樹脂(COP樹脂)、環状シクロオレフィン共重合体(COP)樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂(PA樹脂);ポリイミド樹脂(PI樹脂);ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂);ポリウレタン樹脂(PU樹脂);ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂);ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂);ポリスルホン樹脂(PSU樹脂);ポリメタクリレート樹脂(PMMA樹脂);等が挙げられる。
なお、その他の樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
樹脂添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、染顔料、難燃剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、厚さ3mmの成形体としたときの、ヘイズが、3以下であるものが好ましい。このような樹脂組成物は、特に透明性に優れることを示し、このような樹脂組成物は硬度と、耐熱性、透明性のバランスに特に優れるために、各種電気電子・OA機器筐体、ディスプレイ、パネル、カバー、照明部材、窓部材、看板、表示機器等に好適に使用することができる。このような樹脂組成物は、上述のようにポリカーボネート樹脂共重合体(B)を構成する構造単位(B−1)と、構造単位(B−2)の組成比、及びポリカーボネート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂共重合体(B)との配合比を制御することによって得ることができる。
上記ヘイズは、使用される部材や目的に応じて適宜選択して用いれば良いが、2.5以下であることがより好ましく、2.2以下であることがさらに好ましく、2以下であることが特に好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。
具体例を挙げると、本発明に係るポリカーボネート樹脂(A)及びポリカーボネート樹脂共重合体(B)並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
製造することもできる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、通常、任意の形状に成形してポリカーボネート樹脂成形体として用いる。この成形体の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
前記の電気電子機器としては、例えば、パソコン、ゲーム機、テレビなどのディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳やPDA、電子式卓上計算機、電子辞書、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、電池パック、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯ラジオ・オーディオプレーヤー等が挙げられる。
得られた本発明の成形体は、上述したようにポリカーボネート樹脂の優れた性質を損なうことなく、耐擦傷性の高い実用的な成形体として用いることが可能である。
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(以下、「BPC」と略記する場合がある。)(本州化学株式会社製)6.7kg(26.14mol)とジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と略記する場合がある。)5.77kg(26.92mol)に、炭酸セシウムの水溶液を、炭酸セシウムがジヒドロキシ化合物1mol当たり1.5μmolとなるように添加して混合物を調製した。次に、該混合物を、攪拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ、還流冷却器を具備した内容量200Lの第1反応器に投入した。
ジャケットに温度230℃の熱媒を通じて第1反応器の内温を徐々に昇温させ、混合物を溶解させた。その後、55rpmで撹拌機を回転させ、熱媒ジャケット内の温度をコントロールして、第1反応器の内温を220℃に保った。そして、第1反応器の内部で行われるBPCとDPCのオリゴマー化反応により副生するフェノールを留去しながら、40分間かけて第1反応器内の圧力を絶対圧で101.3kPa(760Torr)から13.3kPa(100Torr)まで減圧した。
その後、系内を窒素で絶対圧で101.3kPaに復圧の上、ゲージ圧で0.2MPaまで昇圧し、予め200℃以上に加熱した移送配管を経由して、第1反応器内のオリゴマーを、第2反応器に圧送した。尚、第2反応器は内容量200Lであり、攪拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ並びに還流冷却管を具備しており、内圧は大気圧、内温は240℃に制御していた。
得られたペレットと、炭酸セシウムに対して4倍モル量のp−トルエンスルホン酸ブチルとをブレンドし、二軸押出機に供給し、押出機のダイを通してストランド上に押出し、カッターで切断することで重合触媒を失活したポリカーボネート樹脂(A)のペレットを得た。
ジヒドロキシ化合物として、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン(以下、「SBI」と略記する場合がある)を3.85kg(約12.5mol)と、上記式(4)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「BPA」と略記する場合がある)2.85kg(約12.5mol)、及びジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と略記する場合がある)5.54kg(約25.85mol)に、炭酸セシウムの水溶液を、炭酸セシウムがジヒドロキシ化合物1mol当たり0.5μmolとなるように添加して混合物を調整した。次に該混合物を、攪拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ、還流冷却器を具備した内容量200Lの第1反応器に投入した。
その後、製造例1と同様に重合し(第2反応器での重合反応時間は260分であった)、触媒を失活することでポリカーボネート樹脂共重合体(B)のペレットを得た。
ジヒドロキシ化合物として、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン(以下、「SBI」と略記する場合がある)を3.66kg(約11.87mol)と、上記式(4)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(以下、「BPC」と略記する場合がある)3.04
kg(約11.87mol)、及びジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と略記する場合がある)5.21kg(約24.33mol)に、炭酸セシウムの水溶液を、炭酸セシウムがジヒドロキシ化合物1mol当たり1.5μmolとなるように添加して混合物を調整した。次に該混合物を、攪拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ、還流冷却器を具備した内容量200Lの第1反応器に投入した。
なお、上記製造例1〜3におけるポリカーボネート樹脂の製造原料であるSDIは、特開2014-114281号公報に記載の方法に従って製造し得られたものを用いた。また、BPA、
DPCは三菱化学株式会社製のものを使用した。
・ポリカーボネート樹脂(A)(上記製造例1で得られたBPCのホモポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量26,100、末端水酸基濃度は540ppm、「PC(A)」と略す)、
・ポリカーボネート樹脂(B)(上記製造例2で得られたSBI/BPA=56/44(質量比)の共重合ポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量16,400、末端水酸基濃度は400ppm、「PC(B)」と略す)、
・ポリカーボネート樹脂(C)(上記製造例3で得られたSBI/BPC=54/46(質量比)の共重合ポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量17,900、末端水酸基濃度は520ppm、「PC(C)」と略す)、
・ポリカーボネート樹脂(D)(溶融エステル法によって得られたビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量27、000 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製 NOVAREX(登録商標)7027BF)
なお、上記のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)と構造粘性指数(N値)は下記の方法で測定した。
ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解し(濃度6.0g/L)、溶液とした。該溶液を用い、ウベローデ粘度管により20℃における比粘度(ηsp)を測定し、下記の式により粘度平均分子量(Mv)を算出した。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10−4Mv0.83
末端水酸基濃度は、上記記載の方法(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法 )に従って、算出した。
上述に示した、成分を表2に記した割合(質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製(TEX30α)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(株式会社日本製鋼所製J55AD)により、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で射出成形し長さ60mm、幅60mm、厚さ3mmの平板状試験片を成形した。
[硬度評価]
平板上試験片をISO15184に準拠し、鉛筆硬度試験機(東洋精機株式会社製)を
用いて750g荷重にて測定したプレート鉛筆硬度を求めた。
示差操作熱量計(SII製DSC6220)を用いて、ポリカーボネート樹脂試料約10mgを20℃/minの昇温速度で加熱して熱量を測定し、JIS−K7121に準拠して、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度を求め、この該補外ガラス転移温度をガラス転移温度(Tg)とした。
JIS K−7105に準じ、上述の平板状試験片(3mm厚)を試験片とし、日本電色工業(株)製のNDH−2000型ヘイズメーターでヘイズ値(単位「%」)を測定した。ヘイズ(Haze)は、樹脂の濁度の尺度として用いられる値であり、数値が小さい程、透明性が高いことを示し、好ましい。
したがって、上記の実施例及び比較例から、硬度、耐熱性、難燃性を高められるという効果は、本発明の構成によりはじめて得られるものであることが確認された。
Claims (4)
- 少なくとも下記式(1)で表される構造単位を有するポリカーボネート樹脂(A)及び
ポリカーボネート樹脂(B)を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、
該ポリカーボネート樹脂(A)を形成するジヒドロキシ化合物として、2,2−ビス(
3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンが50〜100モル%、2,2−ビス(
4−ヒドロキシフェニル)プロパンが50〜0モル%であり、
該ポリカーボネート樹脂(B)が、下記式(2)で表される構造単位(B−1)と下記
式(3)で表される構造単位(B−2)を含むポリカーボネート共重合体であり、
該ポリカーボネート樹脂(B)の含有量が該ポリカーボネート樹脂(A)100質量部
に対して、5〜200質量部であり、
且つ、厚さ3mmの成形体としたときのヘイズが、3以下であることを特徴とするポリ
カーボネート樹脂組成物。
基、アリール基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、またはハロゲン原子を表し、nは、
0〜2の整数を表す。また、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ独立に炭素原子数1〜
6のアルキル基を表し、R7、R8はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアル
キル基を表す。)
- 前記ポリカーボネート樹脂(B)中の式(2)で表される構造単位(B−1)の割合が
5〜70モル%であり、且つ、式(3)で表される構造単位(B−2)30〜95モル%
である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。 - 請求項1乃至3の何れか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるポリ
カーボネート樹脂成形体。
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