JP6474600B2 - 非晶性白色消臭剤、消臭機能付き化学製品、及び非晶性白色消臭剤の製造方法 - Google Patents

非晶性白色消臭剤、消臭機能付き化学製品、及び非晶性白色消臭剤の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、非晶性白色消臭剤、及びその製造方法に関する。さらに、本発明は、当該非晶性白色消臭剤を使用した消臭機能付き化学製品に関する。
近年、臭いに対する消費者の関心が高まっており、例えば、汗臭のような悪臭に効果のある消臭剤の需要が増加する傾向にある。また、クールビズや節電等の影響により、機能性繊維を用いた衣類が注目されている。機能性繊維は、人体から放出される汗を素早く蒸発させて清涼感を高めたり、汗を吸収して発熱することで温感を与えるものである。ところが、汗に含まれる皮脂や雑菌等の影響により、機能性繊維には汗臭が残り易く、このような汗臭に対して効果的な消臭剤が望まれている。また、従来の合成繊維や天然繊維から作製される繊維製品においても汗臭は問題となっており、このような汗臭を低減するために有効であり、且つ取り扱いが容易な消臭剤が模索されている。さらに、近年では、汗臭と並ぶ日常の生活臭として、タバコ臭や加齢臭にも効果的な消臭剤が望まれている。
汗臭の原因物質は、主にアンモニアや酢酸等である。タバコ臭の原因物質は、主にアルデヒド類である。そして、アルデヒド類の一種であるノネナールは、加齢臭の原因物質として知られるようになっている。
従来、悪臭に対する消臭剤として、銅や亜鉛等の金属と二酸化ケイ素とからなる非晶質金属ケイ酸塩の消臭剤があった(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の消臭剤は、銅、亜鉛、マンガン、コバルト、ニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属とケイ素との元素組成(モル)比が、金属/ケイ素=0.60〜0.80の範囲であり、圧壊強度が1〜3Nの範囲である非晶質金属ケイ酸塩からなるものである。この消臭剤は、硫黄系ガスに対する消臭効果が大きいとされている。
また、ケイ酸塩、及び銀等の金属塩からなる悪臭ガス吸着剤があった(特許文献2を参照)。特許文献2の悪臭ガス吸着剤は、ケイ酸塩、及び銀、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、錫、銅、亜鉛、カドミウム、鉛の金属塩からなる群より選ばれた一種または二種以上の金属塩を含む水溶液を、pHを9〜11に調整し、45〜70℃に保持してケイ酸塩及び金属塩を含有するゾルを生成した後、酸で中和し、比表面積500m/g以上のケイ酸ゲル構造の内部に金属塩を包含させたものである。この吸着剤は、硫化水素、アンモニア、メルカプタン、アミン、及びアルデヒド等の悪臭ガスに対して優れた脱臭効果を有するとされている。
特開2011−104274号公報 特開平4−290546号公報
特許文献1の消臭剤は、メチルメルカプタンおよび硫化水素などの硫黄系ガスの消臭に特化したものであるが、汗臭、タバコ臭、及び加齢臭に対して総合的に効果を発揮するとは言えない。特許文献2の悪臭ガス吸着剤は、一般的な悪臭を対象とするものであって、ある程度の汎用性は考慮されているが、特に、汗臭、タバコ臭、及び加齢臭を想定したものではないため、昨今の生活臭に対する要求に応え得るものでない。このように、特許文献1の消臭剤や特許文献2の吸着剤では、いわゆる四大悪臭に対して効果を示すに留まり、特に、汗臭、タバコ臭、及び加齢臭に対してまで消臭効果を発揮させることは困難であった。
また、特許文献1の消臭剤や特許文献2の吸着剤には、主な原材料として亜鉛が使用されている。消臭剤や吸着剤の製造工程においては、亜鉛を含有する廃液が発生するが、その廃液をそのまま排水すると環境汚染に繋がるため、亜鉛の排出量には規制が設けられている。そのため、近年では、亜鉛の使用に関して規制が設けられようとしており、市場において亜鉛の代替物が望まれている。
このように、現状では、特に、汗臭、タバコ臭、及び加齢臭に対して優れた効果を発揮し、しかも、亜鉛を含有しない消臭剤は未だ開発されていない。本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、亜鉛代替物として有用な金属を原材料に使用し、日常生活において人が不快に感じる汗臭、タバコ臭、及び加齢臭に対して優れた効果を発揮し得る非晶性白色消臭剤、及びその製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、当該非晶性白色消臭剤を使用した消臭機能付き化学製品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る非晶性白色消臭剤の製造方法の特徴構成は、
二酸化ケイ素及びジルコニアを含有し、実質的に有機物を含有しないことにある。
特許文献1及び特許文献2に代表されるように、従来の消臭剤等においては、主な原材料の一つとして亜鉛が多用されていた。本発明者らは鋭意研究の末、消臭剤に使用する亜鉛の代替物としてジルコニウムの酸化物であるジルコニアが有用であることを突き止めた。ジルコニアは歯科材料等にも利用される人体に安全で且つ安定した物質である。ジルコニアと二酸化ケイ素とを含有する消臭剤は、悪臭の中でも特に、日常生活において人が不快に感じる汗臭、タバコ臭、及び加齢臭等の原因物質である、アンモニア、酢酸、及びアルデヒド類(ノネナールを含む)に対して優れた消臭効果を発揮することが判明した。従って、二酸化ケイ素及びジルコニアを含有する本発明の非晶性白色消臭剤は、特に、汗臭、タバコ臭、及び加齢臭に有効に作用するものとなる。また、本発明の非晶性白色消臭剤は、原材料に有機化合物を使用しないことから実質的に有機物を含有せず、生成した非晶性白色消臭剤は変色を起こし難いものとなる。従って、本発明の非晶性白色消臭剤は、使用対象製品の外観やデザインを損なうことなく、適用範囲が広い非晶性白色消臭剤として利用可能である。このように、本発明の非晶性白色消臭剤は、昨今の市場の要求に応えるものでありながら、重金属を使用しない環境に配慮した商品価値の高い非晶性白色消臭剤として有用である。
本発明に係る非晶性白色消臭剤において、
水分含有率が20重量%以下であることが好ましい。
本構成の非晶性白色消臭剤によれば、上記の最適な水分含有率に調整されているため、悪臭の吸着能力が高く、優れた消臭性能を発揮することができる。また、非晶性白色消臭剤そのものにベトツキがないので、使用感に優れ、繊維製品や樹脂への加工も容易である。
本発明に係る非晶性白色消臭剤において、
前記二酸化ケイ素(A)と前記ジルコニア(B)とのモル比(A/B)が、1:0.25〜1:2であることが好ましい。
本構成の非晶性白色消臭剤によれば、二酸化ケイ素とジルコニアとが上記の最適なモル比に調整されているため、二酸化ケイ素、及びジルコニアのバランスが最適なものとなり、優れた消臭性能を発揮することができる。また、ジルコニアは比較的高価な材料であるため、非晶性白色消臭剤の製造コストを抑制する点から必要最低限の量で使用することが好ましいが、上記のモル比であれば、ジルコニアの過剰な使用を抑制しつつ、実用上問題のない程度の消臭性能を発揮させることができる。
本発明に係る非晶性白色消臭剤において、
BET比表面積が150〜500m/gであることが好ましい。
本構成の非晶性白色消臭剤によれば、上記の最適なBET比表面積に調整されているため、悪臭の吸着能力が高く、優れた消臭性能を発揮することができる。また、粉体として扱い易くなるため、繊維製品や樹脂への適用も容易となる。
本発明に係る非晶性白色消臭剤において、
水に分散させて5重量%スラリーとしたときの水素イオン濃度(pH)が4.5〜7であることが好ましい。
本構成の非晶性白色消臭剤によれば、上記のように事前に水素イオン濃度(pH)が調整されているため、繊維製品や樹脂へ適用する前に改めてpH調整を行う必要がなく、利便性に優れた非晶性白色消臭剤として利用することができる。
上記課題を解決するための本発明に係る消臭機能付き化学製品の特徴構成は、
上記の何れか一つに記載の非晶性白色消臭剤を繊維、又は樹脂に添加、塗布、又は含浸してなることにある。
本構成の消臭機能付き化学製品によれば、本発明の非晶性白色消臭剤を繊維、又は樹脂に添加、塗布、又は含浸したものであるため、日常生活において人が不快に感じる汗臭、タバコ臭、及び加齢臭に対して優れた効果を発揮する化学製品を提供することができる。また、本発明の非晶性白色消臭剤を化学製品、例えば、繊維製品に適用した場合、当該繊維製品の外観に影響を与えることがないので、使い勝手に優れている。従って、本発明の消臭機能付き化学製品は、消臭機能を長期に亘って維持可能な付加価値の高い有用な商品である。
上記課題を解決するための本発明に係る非晶性白色消臭剤の製造方法の特徴構成は、
ケイ酸塩水溶液及びジルコニウム塩水溶液を、水素イオン濃度(pH)を4.5〜6の範囲に維持しながら混合する水素イオン濃度(pH)調整工程と、
前記ケイ酸塩水溶液及び前記ジルコニウム塩水溶液の反応生成物のスラリーの濃度を5〜20重量%に調整するスラリー濃度調整工程と、
を包含することにある。
本構成の非晶性白色消臭剤の製造方法によれば、上記の水素イオン濃度(pH)調整工程を実行することで、製造した非晶性白色消臭剤を化学製品に使用するにあたっては、スラリー液のpHを改めて調整する必要がなくなる。また、上記のスラリー濃度調整工程を実行することで、最終製品の非晶性白色消臭剤の水分含有率を適切な範囲にコントロールすることが可能となる。その結果、日常生活において人が不快に感じる汗臭、タバコ臭、及び加齢臭に対して優れた消臭効果を発揮する非晶性白色消臭剤を効率よく製造することができる。
本発明に係る非晶性白色消臭剤の製造方法において、
前記スラリーから固形分を濾別する濾別工程と、
濾別された固形分を300℃以下で乾燥させる乾燥工程と、
をさらに包含することが好ましい。
本構成の非晶性白色消臭剤の製造方法によれば、スラリーから固形分を濾別する濾別工程により得られた固形分を、300℃以下で乾燥させることにより、非晶性白色消臭剤を変質させることなく、高い消臭性能を備えた非晶性白色消臭剤を製造することができる。
本発明に係る非晶性白色消臭剤の製造方法において、
前記水素イオン濃度(pH)調整工程において、硫酸及び水酸化ナトリウムを添加することが好ましい。
本構成の非晶性白色消臭剤の製造方法によれば、水素イオン濃度(pH)調整工程において、適宜、硫酸及び水酸化ナトリウムを添加することで、水素イオン濃度(pH)の微調整を行うことができる。ここで、硫酸及び水酸化ナトリウムを添加すると、反応により硫酸ナトリウムが生成するが、硫酸ナトリウムは白色を呈しているため非晶性白色消臭剤の外観に影響することはない。
本発明に係る非晶性白色消臭剤の製造方法において、
前記硫酸及び前記水酸化ナトリウムの添加によって生成した硫酸ナトリウムを脱離する脱離工程を実行することが好ましい。
上述のように硫酸及び水酸化ナトリウムが反応すると、硫酸ナトリウムが生成する。このため、水素イオン濃度(pH)調整工程を行うと、非晶性白色消臭剤に硫酸ナトリウムが残存し、最終製品の純度が低下することになる。そこで、本構成の非晶性白色消臭剤の製造方法のように、硫酸ナトリウムを脱離する脱離工程を行うことで、最終製品の非晶性白色消臭剤の純度を向上させることができる。その結果、優れた消臭性能を有する非晶性白色消臭剤を量産することが可能となる。
図1は、本発明の非晶性白色消臭剤の製造方法を示したフローチャートである。 図2は、本発明の非晶性白色消臭剤のX線回折測定結果を表したグラフである。
以下、本発明の非晶性白色消臭剤、及びその製造方法、並びに消臭機能付き化学製品に関する実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
〔非晶性白色消臭剤の製造方法〕
本発明の非晶性白色消臭剤は、二酸化ケイ素及びジルコニアを主成分として含有し、実質的に有機物を含有しないように製造される。非晶性白色消臭剤の構成成分である二酸化ケイ素、及びジルコニアは、二酸化ケイ素とジルコニアとの混合物(以下、単に「混合物」と称する場合がある)の形態で非晶性白色消臭剤中に存在する。この混合物は、ケイ酸塩とジルコニウム塩とを水溶液の状態で混合して反応させた反応生成物を含む。ケイ酸塩とジルコニウム塩との反応生成物は、二酸化ケイ素とジルコニアとが緻密に混ざり合ったアモルファス状態となっている。なお、混合物には、二酸化ケイ素とジルコニアとの複合酸化物が含まれていても構わない。ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸アルミニウム等の無機ケイ酸塩が挙げられる。これらのうち、ケイ酸ナトリウムが好適に使用される。ケイ酸ナトリウムは、その水溶液である水ガラスの形態で使用される。ジルコニウム塩としては、例えば、硫酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等の無機ジルコニウム塩が挙げられる。これらのうち、硫酸ジルコニウムが好適に使用される。硫酸ジルコニウムは、硫酸ジルコニウム水溶液の形態で使用される。このように、本発明の非晶性白色消臭剤は、無機ケイ酸塩水溶液と無機ジルコニウム塩水溶液との反応を利用するものであるため、最終的に得られる非晶性白色消臭剤は、実質的に有機物を含有しない白色を呈したものになる。
本発明の非晶性白色消臭剤の製造方法では、二酸化ケイ素水溶液とジルコニア塩水溶液とを混合するに際し、水素イオン濃度(pH)調整工程、及びスラリー濃度調整工程を同時に実行し、その後、濾別工程、脱離工程、及び乾燥工程の各工程を実行する。これら一連の工程により、本発明の非晶性白色消臭剤を効率良く製造することが可能となる。以下、本発明の非晶性白色消臭剤の製造方法について、図1を参照しながら詳細に説明する。なお、各図中に示す記号「S」はステップを意味する。
図1は、本発明の非晶性白色消臭剤の製造方法を示したフローチャートである。初めに、非晶性白色消臭剤の主成分である二酸化ケイ素の原材料としてケイ酸塩水溶液と、同じく非晶性白色消臭剤の主成分であるジルコニアの原材料としてジルコニウム塩水溶液とを混合する(S1)。
ステップ1の混合工程において、ケイ酸塩水溶液とジルコニウム塩水溶液とは、同時に混合することが好ましいが、投入タイミングに多少の時間差をつけて混合しても構わない。また、反応槽としてのビーカー等の容器に水等の溶媒を予め入れておき、この中に同時に又は時間差をつけて添加する混合方法としても構わない。ケイ酸塩水溶液とジルコニウム塩水溶液との混合は撹拌しながら行うことが好ましい。
ステップ1におけるケイ酸塩水溶液とジルコニウム塩水溶液との混合によって、ケイ酸塩とジルコニウム塩とが反応し、二酸化ケイ素とジルコニアとの混合物(反応生成物)が生成する。従って、反応槽中には、二酸化ケイ素、及びジルコニアを含有する反応生成物スラリーが生成する(S2)。
ここで、ステップ1における原材料の混合、及びステップ2におけるスラリー生成の一連の工程において、反応生成物を最適な水素イオン濃度(pH)に調整する水素イオン濃度(pH)調整工程、及び反応生成物のスラリーの濃度を調整するスラリー濃度調整工程を同時に実行する。水素イオン濃度(pH)調整工程は、ケイ酸塩水溶液とジルコニウム塩水溶液との混合に際し、水素イオン濃度(pH)を4.5〜6に維持しながら撹拌する。後述するように、最終製品の非晶性白色消臭剤を化学製品(例えば、化学繊維、合成樹脂)に使用する際は、当該非晶性白色消臭剤を水に分散させてスラリー状態にすることがあるが、このとき、分散液(スラリー)の水素イオン濃度(pH)がpH4.5より低い場合や、pH6より高い場合は、このスラリーのpHを改めて調整しなければならず、利便性に劣り、作業効率が悪化する。そのため、水素イオン濃度(pH)調整工程にて、スラリーのpHを4.5〜6に維持することが重要である。上記の水素イオン濃度(pH)調整工程では、酸として、硫酸、塩酸、硝酸が好ましく使用され、アルカリとして、水酸化ナトリウム、アンモニア水溶液が好ましく使用される。これらのうち、例えば、硫酸及び水酸化ナトリウムを使用した場合、生成した塩(硫酸ナトリウム)は白色を呈しているため、最終製品の非晶性白色消臭剤の外観に影響することはない。
スラリー濃度調整工程では、ケイ酸塩水溶液及びジルコニウム塩水溶液の反応生成物のスラリー濃度を5〜20重量%に調整することが好ましい。反応生成物のスラリーの濃度が5重量%未満の場合、最終的に得られる非晶性白色消臭剤の水分含有率が高くなり、十分な消臭性能を発揮し難くなる。また、後で説明する脱離工程に時間を要し、生産効率が著しく低下する。反応生成物のスラリー濃度が20重量%を超えると、スラリーの撹拌性が悪化して均一な反応が生じ難くなり、最終製品として得られる非晶性白色消臭剤の品質に悪影響を及ぼす虞がある。
上記の水素イオン濃度(pH)調整工程、及びスラリー濃度調整工程を実行すると、濾過性が良好なスラリー(反応生成物)が生成される。ここで、連続的に非晶性白色消臭剤の製造を実施する場合、ステップ2で生成したスラリーの一部を取り出し、これをステップ1の混合工程で混合するケイ酸塩水溶液及びジルコニウム塩水溶液に添加することが有効となる。この場合、添加したスラリーがある種のトリガーとなり、また混合液の安定性にも寄与するため、混合液全体の反応が良好に進行して濾過性が良好なスラリーを効率よく生成することが可能となる。
次に、スラリーからケーキ(固形分)を濾別する濾別工程を実行する(S3)。濾別工程として、例えば、沈澱法による固液分離が挙げられるが、フィルタープレスや遠心分離機等の装置を使用してケーキと濾液とを分離しても構わない。
ところで、ステップ1の混合工程において、スラリーの水素イオン濃度(pH)を4.5〜6の範囲に維持するため、スラリーに硫酸及び水酸化ナトリウムを添加した場合、硫酸ナトリウムが生成する。この硫酸ナトリウムは、本発明の非晶性白色消臭剤においては本来不要な成分であるため、硫酸ナトリウムがスラリー中に残存したままであると、最終製品の非晶性白色消臭剤の純度が低下することになる。そのため、製品化する前に非晶性白色消臭剤から硫酸ナトリウムを除去しておくことが好ましい。本発明では、ステップ3にて濾別したケーキを水洗することにより、硫酸ナトリウムを脱離する脱離工程を実行する(S4)。このように、本発明では、最終製品が完成する前段階で硫酸ナトリウムを脱離するため、高純度の非晶性白色消臭剤を得ることが可能となる。
ステップ4の脱離工程の後、ケーキを乾燥させる乾燥工程を実行する(S5)。乾燥工程は、例えば、加熱乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等の方法により行うことができる。乾燥工程における乾燥温度は、300℃以下で実行することが好ましい。これにより、非晶性白色消臭剤が変質せず、消臭性能に優れた高品質な非晶性白色消臭剤を製造することができる。ケーキの乾燥が完了したら、これを粉砕し、所望の粒径に分級する(S6)。これにより、本発明の非晶性白色消臭剤が完成する(S7)。
本発明の非晶性白色消臭剤の構造を確認するため、X線回折測定を行った。X線回折測定は、株式会社島津製作所製のX線解析装置(XRD−6000)を使用した。測定条件は、X線源としてCuKα(1.54060Å)を使用し、管電圧40kV、管電流30mAにて実施した。図2は、本発明の非晶性白色消臭剤のX線回折測定結果を表したグラフである。このグラフにおいては特定の位置にピークが認められず、非晶性物質特有のブロードなパターンが確認された。
〔非晶性白色消臭剤〕
上記のステップ1〜7の工程によって製造された本発明の非晶性白色消臭剤は、日常生活において人が不快に感じる汗臭、タバコ臭、及び加齢臭に対して優れた効果を発揮するものであり、しかも実質的に有機物を含有しない。本発明の非晶性白色消臭剤について、以下に詳細に説明する。
本発明の非晶性白色消臭剤は、実質的に有機物を含有しないことから、変色せずに長期に亘って白色を呈することができる。このため、使用対象製品の外観やデザインを損なうことなく、適用範囲が広い非晶性白色消臭剤として使用することができる。一方、本発明の非晶性白色消臭剤は、二酸化ケイ素及びジルコニアを含有する。ここで、実用上問題のない程度の消臭性能を発揮しつつ、製造コストを抑制するためには、ジルコニアは必要最低限の量で使用することが好ましい。このような観点から、図1のステップ1〜7の工程によって製造される非晶性白色消臭剤は、二酸化ケイ素(A)とジルコニア(B)とのモル比(A/B)が、1:0.25〜1:2の範囲となるように調製される。モル比(A/B)が1:0.25から外れると(モル換算でジルコニア(B)の含有量が二酸化ケイ素(A)の含有量の0.25倍より小さくなると)、ジルコニア成分が不足するため消臭効果が劣ることとなり、亜鉛代替物としての役割を充分に果たすことができない。一方、モル比(A/B)が1:2から外れると(モル換算でジルコニア(B)の含有量が二酸化ケイ素(A)の含有量の2倍より大きくなると)、製造コストに見合った消臭効果の達成が困難となる。
本発明の非晶性白色消臭剤に求められるその他の特性としては、水分含有率を20重量%以下に調整することが好ましい。この場合、悪臭の吸着能力が高く、優れた消臭性能を発揮することができる。また、非晶性白色消臭剤の水分含有率が20重量%以下であると、非晶性白色消臭剤そのものにベトツキが発生しないので、使用感に優れ、化学製品への加工も容易となる。さらに、非晶性白色消臭剤のBET比表面積は、150〜500m/gに調整されることが好ましい。この場合、汗臭、タバコ臭、及び加齢臭の消臭性能に優れた消臭剤が得られ、しかも、粉体として取り扱い易く、化学製品への適用が容易となる。
〔消臭機能付き化学製品〕
本発明の非晶性白色消臭剤を化学製品(例えば、化学繊維、合成樹脂)に使用するにあたっては、さらに図1に示すステップ8及びステップ9の工程を実施する。まず、生成した非晶性白色消臭剤を水等の溶媒に分散させてスラリーとする(S8)。このとき、非晶性白色消臭剤は、既に水素イオン濃度(pH)調整工程、及びスラリー濃度調整工程を行っていることから、スラリー液は、例えば、非晶性白色消臭剤の含有量が5重量%においてpH4.5〜7の範囲に調整されたものとなっており、改めてpH調整を行う必要はない。非晶性白色消臭剤を化学製品に適用する場合、スラリー液を化学製品に吹き付けたり、スラリー液に化学製品を浸漬させる(S9)。これにより、汗臭、タバコ臭、及び加齢臭に対して優れた効果を奏する消臭機能付き化学製品が完成する。
上記製造方法に従って、各種の非晶性白色消臭剤を製造した。本発明の条件で製造した非晶性白色消臭剤を実施例とし、本発明とは異なる条件で製造した非晶性白色消臭剤を比較例として説明する。なお、下記の実施例及び比較例において、非晶性白色消臭剤の組成分析はICP−AES法(株式会社日立ハイテクサイエンス社製のICP発光分光分析装置SPS−3100シリーズを使用)により実施した。非晶性白色消臭剤の水分含有率はカールフィッシャー法(三菱化学株式会社製の微量水分測定装置CA−07型を使用)により実施した。組成及び水分含有率の単位はすべて重量%とする。非晶性白色消臭剤のBET比表面積は、窒素吸着法(株式会社マウンテック製の全自動比表面積測定装置Macsorb HM model−1201を使用)により測定した。スラリーの水素イオン濃度(pH)はpHメーター(株式会社堀場製作所社製の卓上型pH計F−22)で測定したものである。
〔実施例1〕
実施例1は、上記製造方法に準じて製造した非晶性白色消臭剤である。ケイ酸塩水溶液として、JIS規格K1408で規定されている水ガラス3号(NaO/SiO=1/3.2)660gを水2715gで希釈した水ガラス希釈液を使用した。ジルコニウム塩水溶液として、試薬として市販されている硫酸ジルコニウム五水和物200gを水2670gに溶解させた硫酸ジルコニウム水溶液を使用した。
水ガラス希釈液、及び硫酸ジルコニウム水溶液を、水を入れたビーカーに同時に添加し、これを撹拌して両者を反応させた。水素イオン濃度(pH)を最適な範囲に維持するため、硫酸及び水酸化ナトリウム水溶液を少量ずつ添加し、pHの値を調整した。水ガラス希釈液、及び硫酸ジルコニウム水溶液の添加中の水素イオン濃度(pH)は、pH5.2〜5.6であった。各水溶液の添加を1時間かけて行った。各水溶液の添加終了直後の水素イオン濃度(pH)は、pH5.1であった。各水溶液の添加終了後、生成したスラリー液を常温で2時間攪拌しながら熟成させた。熟成後のスラリー液の水素イオン濃度(pH)は、pH5.1であり、このときのケイ酸塩水溶液及びジルコニウム塩水溶液の反応生成物のスラリー濃度は、5重量%であった。スラリー液を静置して沈澱した固形分を濾過し、回収した。固形分を水洗し、120℃で12時間乾燥させた。乾燥した固形分を適宜粉砕・分級し、283.0gの非晶性白色消臭剤を得た。このような手順で得られた非晶性白色消臭剤の水分含有率は、6.18重量%、二酸化ケイ素(A)とジルコニア(B)とのモル比(A/B)は、1:0.64、BET比表面積は、464m/gであった。
また、上記にて得られた非晶性白色消臭剤を水に分散させて5重量%スラリーとしたとき、そのスラリーの水素イオン濃度(pH)は、pH5.99であった。
〔実施例2〕
実施例2は、上記製造方法に準じて製造した非晶性白色消臭剤である。ケイ酸塩水溶液として、JIS規格K1408で規定されている水ガラス3号(NaO/SiO=1/3.2)660gを水1150gで希釈した水ガラス希釈液を使用した。ジルコニウム塩水溶液として、試薬として市販されている硫酸ジルコニウム五水和物200gを水1120gに溶解させた硫酸ジルコニウム水溶液を使用した。
水ガラス希釈液、及び硫酸ジルコニウム水溶液を、水を入れたビーカーに同時に添加し、これを撹拌して両者を反応させた。水素イオン濃度(pH)を最適な範囲に維持するため、硫酸及び水酸化ナトリウム水溶液を少量ずつ添加し、pHの値を調整した。水ガラス希釈液、及び硫酸ジルコニウム水溶液の添加中の水素イオン濃度(pH)は、pH5.2〜5.6であった。各水溶液の添加を1時間かけて行った。各水溶液の添加終了直後の水素イオン濃度(pH)は、pH5.3であった。各水溶液の添加終了後、生成したスラリー液を常温で2時間攪拌しながら熟成させた。熟成後のスラリー液の水素イオン濃度(pH)は、pH5.3であり、このときのケイ酸塩水溶液及びジルコニウム塩水溶液の反応生成物のスラリー濃度は、10重量%であった。スラリー液を静置して沈澱した固形分を濾過し、回収した。固形分を水洗し、120℃で12時間乾燥させた。乾燥した固形分を適宜粉砕・分級し、297.6gの非晶性白色消臭剤を得た。このような手順で得られた非晶性白色消臭剤の水分含有率は、9.18重量%、二酸化ケイ素(A)とジルコニア(B)とのモル比(A/B)は、1:0.64、BET比表面積は、360m/gであった。
また、上記にて得られた非晶性白色消臭剤を水に分散させて5重量%スラリーとしたとき、そのスラリーの水素イオン濃度(pH)は、pH6.43であった。
〔実施例3〕
実施例3は、上記製造方法に準じて製造した非晶性白色消臭剤である。ケイ酸塩水溶液として、JIS規格K1408で規定されている水ガラス3号(NaO/SiO=1/3.2)770gを水350gで希釈した水ガラス希釈液を使用した。ジルコニウム塩水溶液として、試薬として市販されている硫酸ジルコニウム五水和物200gを水560gに溶解させた硫酸ジルコニウム水溶液を使用した。
水ガラス希釈液、及び硫酸ジルコニウム水溶液を、水を入れたビーカーに同時に添加し、これを撹拌して両者を反応させた。水素イオン濃度(pH)を最適な範囲に維持するため、硫酸及び水酸化ナトリウム水溶液を少量ずつ添加し、pHの値を調整した。水ガラス希釈液、及び硫酸ジルコニウム水溶液の添加中の水素イオン濃度(pH)は、pH5.2〜5.6であった。各水溶液の添加を1時間かけて行った。各水溶液の添加終了直後の水素イオン濃度(pH)は、pH4.6であった。各水溶液の添加終了後、生成したスラリー液を常温で2時間攪拌しながら熟成させた。熟成後のスラリー液の水素イオン濃度(pH)は、pH4.8であり、このときのケイ酸塩水溶液及びジルコニウム塩水溶液の反応生成物のスラリー濃度は、20重量%であった。スラリー液を静置して沈澱した固形分を濾過し、回収した。固形分を水洗し、120℃で12時間乾燥させた。乾燥した固形分を適宜粉砕・分級し、303.7gの非晶性白色消臭剤を得た。このような手順で得られた非晶性白色消臭剤の水分含有率は、6.84重量%、二酸化ケイ素(A)とジルコニア(B)とのモル比(A/B)は、1:0.64、BET比表面積は、398m/gであった。
また、上記にて得られた非晶性白色消臭剤を水に分散させて5重量%スラリーとしたとき、そのスラリーの水素イオン濃度(pH)は、pH6.49であった。
〔実施例4〕
実施例4は、上記製造方法に準じて製造した非晶性白色消臭剤である。ケイ酸塩水溶液として、JIS規格K1408で規定されている水ガラス3号(NaO/SiO=1/3.2)660gを水2715gで希釈した水ガラス希釈液を使用した。ジルコニウム塩水溶液として、試薬として市販されている硫酸ジルコニウム五水和物200gを水2670gに溶解させた硫酸ジルコニウム水溶液を使用した。
水ガラス希釈液、及び硫酸ジルコニウム水溶液を、水を入れたビーカーに同時に添加し、これを撹拌して両者を反応させた。水素イオン濃度(pH)を最適な範囲に維持するため、硫酸及び水酸化ナトリウム水溶液を少量ずつ添加し、pHの値を調整した。水ガラス希釈液、及び硫酸ジルコニウム水溶液の添加中の水素イオン濃度(pH)は、pH5.2〜5.6であった。各水溶液の添加を1時間かけて行った。各水溶液の添加終了直後の水素イオン濃度(pH)は、pH5.3であった。各水溶液の添加終了後、生成したスラリー液を常温で2時間攪拌しながら熟成させた。熟成後のスラリー液の水素イオン濃度(pH)は、pH5.1であり、このときのケイ酸塩水溶液及びジルコニウム塩水溶液の反応生成物のスラリー濃度は、5重量%であった。スラリー液を静置して沈澱した固形分を濾過し、回収した。固形分を水洗し、120℃で12時間乾燥させた。乾燥した固形分を適宜粉砕・分級し、283.0gの非晶性白色消臭剤を得た。このような手順で得られた非晶性白色消臭剤の水分含有率は、5.99重量%、二酸化ケイ素(A)とジルコニア(B)とのモル比(A/B)は、1:0.64、BET比表面積は、464m/gであった。
また、上記にて得られた非晶性白色消臭剤を水に分散させて5重量%スラリーとしたとき、そのスラリーの水素イオン濃度(pH)は、pH6.18であった。
〔比較例1〕
比較例1は、水素イオン濃度(pH)調整工程において、最適な範囲内(pH4.5〜6)ではない水素イオン濃度(pH)の範囲に調整して得られた非晶性白色消臭剤である。それ以外の条件については、上記製造方法に準じて製造した。ケイ酸塩水溶液として、JIS規格K1408で規定されている水ガラス3号(NaO/SiO=1/3.2)660gを水2715gで希釈し、水酸化ナトリウム64gで調整した水ガラス希釈液を使用した。ジルコニウム塩水溶液として、試薬として市販されている硫酸ジルコニウム五水和物200gを水2670gに溶解させた硫酸ジルコニウム水溶液を使用した。
水ガラス希釈液、及び硫酸ジルコニウム水溶液を、水を入れたビーカーに同時に添加し、これを撹拌して両者を反応させた。これに硫酸及び水酸化ナトリウム水溶液を少量ずつ添加し、pHの値を調整した。水ガラス希釈液、及び硫酸ジルコニウム水溶液の添加中の水素イオン濃度(pH)は、pH9.3〜9.6であった。各水溶液の添加を1時間かけて行った。各水溶液の添加終了直後の水素イオン濃度(pH)は、pH9.3であった。各水溶液の添加終了後、生成したスラリー液を常温で2時間攪拌しながら熟成させた。熟成後のスラリー液の水素イオン濃度(pH)は、pH8.9であり、このときのケイ酸塩水溶液及びジルコニウム塩水溶液の反応生成物のスラリー濃度は、5重量%であった。スラリー液を静置して沈澱した固形分を濾過し、回収した。固形分を水洗し、120℃で12時間乾燥させた。乾燥した固形分を適宜粉砕・分級し、247.5gの非晶性白色消臭剤を得た。このような手順で得られた非晶性白色消臭剤の水分含有率は、5.42重量%、二酸化ケイ素(A)とジルコニア(B)とのモル比(A/B)は、1:1.03、BET比表面積は、494m/gであった。
また、上記にて得られた非晶性白色消臭剤を水に分散させて5重量%スラリーとしたとき、そのスラリーの水素イオン濃度(pH)は、pH9.6であった。
〔比較例2〕
比較例2は、非晶性白色消臭剤を構成する二酸化ケイ素(A)とジルコニア(B)とのモル比(A/B)が、最適な範囲(1:0.25〜1:2)から外れているモル比(A/B)となるように調整した非晶性白色消臭剤である。それ以外の条件については、上記製造方法に準じて製造した。ケイ酸塩水溶液として、JIS規格K1408で規定されている水ガラス3号(NaO/SiO=1/3.2)220gを水2715gで希釈し水酸化ナトリウム192gで調整した水ガラス希釈液を使用した。ジルコニウム塩水溶液として、試薬として市販されている硫酸ジルコニウム五水和物600gを水2670gに溶解させた硫酸ジルコニウム水溶液を使用した。
水ガラス希釈液、及び硫酸ジルコニウム水溶液を、水を入れたビーカーに同時に添加し、これを撹拌して両者を反応させた。これに硫酸及び水酸化ナトリウム水溶液を少量ずつ添加し、pHの値を調整した。水ガラス希釈液、及び硫酸ジルコニウム水溶液の添加中の水素イオン濃度(pH)は、pH5.2〜5.6であった。各水溶液の添加を1時間かけて行った。各水溶液の添加終了直後の水素イオン濃度(pH)は、pH5.6であった。各水溶液の添加終了後、生成したスラリー液を常温で2時間攪拌しながら熟成させた。熟成後のスラリー液の水素イオン濃度(pH)は、pH6.3であり、このときのケイ酸塩水溶液及びジルコニウム塩水溶液の反応生成物のスラリー濃度は、5重量%であった。スラリー液を静置して沈澱した固形分を濾過し、回収した。固形分を水洗し、120℃で12時間乾燥させた。乾燥した固形分を適宜粉砕・分級し、321.6gの非晶性白色消臭剤を得た。このような手順で得られた非晶性白色消臭剤の水分含有率は、12.06重量%、二酸化ケイ素(A)とジルコニア(B)とのモル比(A/B)は、1:4.9、BET比表面積は、122m/gであった。
また、上記にて得られた非晶性白色消臭剤を水に分散させて5重量%スラリーとしたとき、そのスラリーの水素イオン濃度(pH)は、pH6.8であった。
〔消臭性能試験〕
次に、実施例1〜4、及び比較例1〜2の非晶性白色消臭剤の性能を確認するため、主に汗臭を想定した悪臭成分(アンモニア、酢酸、アルデヒド)に対する消臭性能試験を実施した。消臭性能試験は、ガス検知管法により実施した。各消臭性能試験の試験条件は以下のとおりである。
(1)アンモニア消臭試験
実施例1〜6、及び比較例1〜2の非晶性白色消臭剤0.5gを3Lの樹脂製の臭い袋に入れ、1000ppmのアンモニアガスを封入し、30分経過後、検知管を用いてアンモニア濃度を測定した。これを1回目のアンモニアガス濃度測定試験とした。次に、臭い袋からガスを一旦全て抜き出し、新しい1000ppmのアンモニアガスを封入し、30分経過後、検知管を用いてアンモニア濃度を測定した。これを2回目のアンモニアガス濃度測定試験とした。3回目以降は2回目と同様の手順を繰り返し、計5回のアンモニアガス濃度測定試験(アンモニア消臭試験)を行った。
(2)酢酸消臭試験
実施例1〜6、及び比較例1〜2の非晶性白色消臭剤0.1gを3Lの樹脂製の臭い袋に入れ、100ppmの酢酸ガスを封入し、10分経過後、検知管を用いて酢酸濃度を測定した。これを1回目の酢酸ガス濃度測定試験とした。次に、臭い袋からガスを一旦全て抜き出し、新しい100ppmの酢酸を封入し、10分経過後、検知管を用いて酢酸濃度を測定した。これを2回目の酢酸ガス濃度測定試験とした。3回目以降は2回目と同様の手順を繰り返し、計5回の酢酸ガス濃度測定試験(酢酸消臭試験)を行った。
(3)アルデヒド消臭試験
実施例1〜6、及び比較例1〜2の非晶性白色消臭剤0.5gを3Lの樹脂製の臭い袋に入れ、アルデヒドガスとして100ppmのアセトアルデヒドを封入し、30分経過後、検知管を用いてアルデヒド濃度を測定した。このアルデヒドガス濃度測定試験(アルデヒド消臭試験)は1回のみ行った。
夫々のガスに対する消臭性能試験の結果を表1〜表3に示す。表1は、(1)アンモニア消臭試験、表2は、(2)酢酸消臭試験、表3は、(3)アルデヒド消臭試験の結果を夫々示している。
Figure 0006474600
Figure 0006474600
Figure 0006474600
〔消臭性能試験結果〕
(1)アンモニアガス
表1では、実施例1〜4と比較例1〜2とを比較すると、試験回数が増えるに連れてアンモニアガスに対する消臭効果の差が大きくなっていることが示された。例えば、3回目の測定試験において、実施例3は、比較例1に対して1/10程度まで、比較例2に対して1/6程度までアンモニアガス濃度が低減していた。このように、実施例1〜4は、アンモニアガスに対して持続的な消臭効果を奏することが分かった。
(2)酢酸ガス
表2では、実施例1〜4と比較例1〜2とを比較すると、試験回数が増えるに連れて酢酸ガスに対する消臭効果の差が大きくなっていることが示された。例えば、5回目の測定試験において、実施例2は、比較例1に対して1/3程度まで、比較例2に対しても1/3程度まで酢酸ガス濃度が低減していた。このように、実施例1〜4は、酢酸ガスに対して持続的な消臭効果を奏することが分かった。
(3)アルデヒドガス
表3では、実施例1〜4と比較例1〜2とを比較すると、アルデヒドガスに対する消臭効果は、実施例1〜4の方が大きいことが示された。例えば、実施例3は、比較例1に対して1/10程度まで、比較例2に対して1/15程度までアルデヒドガス濃度が低減していた。このように、実施例1〜4は、アルデヒドガスに対して優れた消臭効果を奏することが分かった。
アンモニアガス、酢酸ガス、及びアルデヒドガスに対する総合的な持続消臭効果についても、実施例1〜4の非晶性白色消臭剤は、比較例1〜2よりも優れていると考えられる。例えば、表1のアンモニアガスについて、1回目では、実施例1、及び4は、比較例2に対して、消臭効果にあまり差が見られないが、2回目以降は消臭効果に大きな差が見られた。これは、本発明の非晶性白色消臭剤に含まれる二酸化ケイ素、及びジルコニアの相乗効果により、アンモニアガスに対して持続的に消臭効果を奏しているものと推察される。非晶性白色消臭剤に含まれる二酸化ケイ素、及びジルコニアの相乗効果は、表2の酢酸ガス、及び表3のアルデヒドガスに対しても、同様に機能していると推察される。このように、本発明の非晶性白色消臭剤は、汗臭、タバコ臭、及び加齢臭の原因成分である、アンモニア、酢酸、及びアルデヒド類等に対して総合的な消臭効果を奏する画期的な消臭剤であると言える。
本発明の非晶性白色消臭剤、及び非晶性白色消臭剤の製造方法は、種々の化学製品に消臭性能を付与する目的で利用可能であるが、化学製品以外の製品(例えば、紙類、木材等)に消臭性能を付与する目的で利用することも可能である。また、本発明の消臭機能付き化学製品は、繊維製品や樹脂製品として利用されるものであり、例えば、衣類、建物の内装、自動車の内装、家具、敷物等の製品形態で利用することができる。

Claims (8)

  1. 二酸化ケイ素及びジルコニアを含有し、有機物を含有しない非晶性白色消臭剤であって、
    アンモニアガス、酢酸ガス、及びアルデヒドガスを吸着可能であり、かつ亜鉛を含有せず、
    前記二酸化ケイ素(A)と前記ジルコニア(B)とのモル比(A/B)が、1:0.25〜1:2であり、
    水に分散させて5重量%スラリーとしたときの水素イオン濃度(pH)が4.5〜7である非晶性白色消臭剤。
  2. 水分含有率が20重量%以下である請求項1に記載の非晶性白色消臭剤。
  3. BET比表面積が150〜500m/gである請求項1又は2に記載の非晶性白色消臭剤。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の非晶性白色消臭剤を繊維、又は樹脂に添加、塗布、又は含浸してなる消臭機能付き化学製品。
  5. アンモニアガス、酢酸ガス、及びアルデヒドガスを吸着可能であり、かつ亜鉛を含有しない非晶性白色消臭剤の製造方法であって、
    ケイ酸塩水溶液及びジルコニウム塩水溶液を、水素イオン濃度(pH)を4.5〜6の範囲に維持しながら混合する水素イオン濃度(pH)調整工程と、
    前記ケイ酸塩水溶液及び前記ジルコニウム塩水溶液の反応生成物のスラリーの濃度を5〜20重量%に調整するスラリー濃度調整工程と、
    を包含する非晶性白色消臭剤の製造方法。
  6. 前記スラリーから固形分を濾別する濾別工程と、
    濾別された固形分を300℃以下で乾燥させる乾燥工程と、
    をさらに包含する請求項5に記載の非晶性白色消臭剤の製造方法。
  7. 前記水素イオン濃度(pH)調整工程において、硫酸及び水酸化ナトリウムを添加する請求項5又は6に記載の非晶性白色消臭剤の製造方法。
  8. 前記硫酸及び前記水酸化ナトリウムの添加によって生成した硫酸ナトリウムを脱離する脱離工程を実行する請求項7に記載の非晶性白色消臭剤の製造方法。
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