JP6471017B2 - 接着性樹脂組成物、積層フィルム、包装材料及び包装容器 - Google Patents

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Description

本発明は、接着性樹脂組成物、積層フィルム、包装材料及び包装容器に関する。
従来から、例えば食品包装分野に代表されるように、熱接着(ヒートシール)により包装材料を密封して内包物を包み、内包物を保存又は運搬の際に保護することが行われている。密封時の接着強度については、包装材料、包装機械、あるいは包装条件などの観点から種々検討がなされ、例えば包装材料の観点からは、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン系重合体を用いた材料などが知られている。
そして、密封時には保存又は運搬等に必要とされる接着強度を達成しつつも、内包物を包装材料中から取り出したい場合には、接着部(ヒートシール部)に力を加えて引き剥がすことで容易に開封することができる性能(ピーラブル性)を備えた包装材料も提案されている。
近年では、特に食品包装分野において、省資源化、ゴミの減容積化、及びリサイクル性を考慮して、ポリエステル樹脂を用いた容器(例えば、ポリエステル製カップ、最内層にポリエステル樹脂がラミネートされた容器など)が、食料(例えば、サラダ、惣菜、漬物、発酵食品(味噌など)、ヨーグルト、プリン、ゼリー等)、飲料(例えば、酒、お茶、コーヒーなど)等の飲食物、又は医薬品を提供するための包装容器として広く利用されている。
上記との関連において、熱可塑性樹脂A中に、熱可塑性樹脂Aとは非相溶系もしくは部分相溶系の熱可塑性樹脂Bをブレンドしたポリマーをシーラント層とした蓋材が開示されており、開封時の糸引きの発生を抑えられるとされている(例えば、特許文献1参照)。この蓋材に用いられる熱可塑性樹脂A,Bの組合せの例として、被着体がポリスチレン樹脂である場合には、エチレン・酢酸ビニル共重合体とポリブテン樹脂との組合せが好適であるとされている。
また、基材層と、中間層と、ポリエチレン樹脂及びエチレン・メタクリル酸共重合体樹脂等から選択される熱可塑性樹脂Aの相中に、ポリブテン−1及びポリプロピレン等から選択される熱可塑性樹脂Bからなるドメインが分散した海島構造を有するシーラント層とを順次積層して得られる易開封性積層フィルムが開示されている(例えば、特許文献2参照)。この易開封性積層フィルムでは、密封容器のシール部をピールして開封する容器の分野において、良好な密封性と易開封性とを兼ね備えるとされている。
このような密封性と易開封性の観点から、エチレン・ビニルエステル共重合体及びブテン重合体を含む熱融着層と、エチレン重合体及び/又はプロピレン重合体を含む熱融着層と、を互いに熱融着することにより、ヒートシール強度とイージーピール性とのバランスがとれた易開封性包装体が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特許第3835039号公報 特開2013−136151号公報 特許第4520605号公報
食品等の保管又は運搬等にあたっては、熱溶融により密封可能なチューブ状又はフラットフィルム状の包装材料が広く利用されるに至っているが、近年では、例えばポリエステル等の樹脂の容器の開口端に蓋材を熱で接着することで容器を密封し、密封された容器内に収容された収容物を取り出す際は、接着部を剥がすことによって、密封容器を開封することができる包装材料が広く利用されてきている。
このように蓋材が熱溶融により接着された密封容器を開封する場合、容器から蓋材を剥がす際の剥離機構として、(1)容器と蓋材の接着層との界面で剥離する界面剥離と、(2)複数層からなる接着層の層間で剥離する層間剥離と、(3)蓋材の接着層自身を凝集破壊させて剥離する凝集剥離と、の3形態がある。
密封性及び易開封性を同時に成り立たせるには、熱溶融させて強固に接着させつつも、蓋材を剥がす際には容易にかつ滑らかに剥がすことができる技術が求められている。上記の特許文献1〜3に記載された従来の蓋材、包装体等は、密封性と易開封性が考慮され、接着強度と剥離性においてのバランスが図られているが、樹脂製容器に接着された場合に、ジッピングを起こすなどの課題があり、易開封性の点で改善の余地が残されていた。
本発明は、上記に鑑みなされたものである。本発明は、少なくとも表面材質が樹脂である容器に対する接着性、及び接着後の剥離時に容易にかつ滑らかに剥離し得る易剥離性を両立した接着性樹脂組成物及び積層フィルム、並びに、少なくとも表面材質が樹脂である容器に接着して被収容物の保管又は運搬等に必要とされる密封性(接着性)と、開封時には容易にかつ滑らかに開封し得る易開封性(易剥離性)と、を兼ね備えた包装材料及び包装容器を提供することを目的とし、この目的を達成することを課題とする。
本発明における容器(又は収納容器)は、少なくとも最表面における材質(表面材質)が樹脂であればよく、例えば、最表面の一部領域又は全領域に樹脂を有する容器、樹脂を用いて成形された容器などが含まれる。以下、本発明における容器(又は収納容器)を「樹脂製容器」という場合がある。
課題を解決するための具体的手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> エチレン重合体及びエチレン・酢酸ビニル共重合体の少なくとも一方の樹脂Aと、前記樹脂Aに非相溶の樹脂Bと、部分水添石油樹脂と、を含有し、JIS−K6760に準拠して測定した2mm厚での引張強度が2MPa以上15MPa以下である接着性樹脂組成物である。
<2> 前記樹脂Aがエチレン・酢酸ビニル共重合体であり、前記樹脂Bがブテン重合体である<1>に記載の接着性樹脂組成物である。
<3> <1>又は<2>に記載の接着性樹脂組成物を含む第1樹脂層と、低密度ポリエチレン、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体の少なくとも一つを含む第2樹脂層と、を有する積層フィルムである。
<4> 支持体と、<3>に記載の積層フィルムと、を有する包装材料である。
<5> 前記積層フィルムは、共押出により前記支持体の上に層状に形成されている<4>に記載の包装材料である。
<6> 少なくとも最表面が樹脂である収納容器の開口部に接着させて前記開口部を閉塞する蓋材である<4>又は<5>に記載の包装材料である。
<7> 開口した収納部を有し、少なくとも最表面が樹脂である収納容器と、
支持体及び<3>に記載の積層フィルムを有し、前記収納容器の開口部に前記積層フィルムの第1樹脂層を接着させて前記開口部を閉塞する蓋材と、を備えた包装容器である。
<8> 前記収納容器の少なくとも蓋材と接する最表面が、ポリエステル系樹脂である<7>に記載の包装容器である。
本発明によれば、少なくとも表面材質が樹脂である容器(樹脂製容器)に対する接着性、及び接着後の剥離時に容易にかつ滑らかに剥離し得る易剥離性を両立した接着性樹脂組成物及び積層フィルムが提供される。
また、本発明によれば、少なくとも表面材質が樹脂である容器(樹脂製容器)に接着して被収容物の保管又は運搬等に必要とされる密封性(接着性)と、開封時には容易にかつ滑らかに開封し得る易開封性(易剥離性)と、を兼ね備えた包装材料及び包装容器が提供される。
以下、本発明の接着性樹脂組成物、並びにこれを用いた積層フィルム、包装材料、及び包装容器について詳細に説明する。
<接着性樹脂組成物>
本発明の接着性樹脂組成物は、エチレン重合体及びエチレン・酢酸ビニル共重合体の少なくとも一方の樹脂Aと、前記樹脂Aに非相溶の樹脂Bと、部分水添石油樹脂と、を含有し、JIS−K6760に準拠して測定した2mm厚での引張強度が2MPa以上15MPa以下である。
なお、本明細書においては、本発明の接着性樹脂組成物を用いて形成された層を「接着性層」と称することがあり、後述の第1樹脂層は接着性層である。
本発明の接着性樹脂組成物は、必要に応じて、さらに他の成分を含んでいてもよい。
熱溶融により蓋材が接着されて収容部が密封された、少なくとも最表面が樹脂である密封容器において、密封性及び易開封性の両立については、蓋材の接着性層による容器への接着強度を高めつつ、蓋材を容器から剥離し得る技術が従来から種々検討されている。
しかしながら、密封性及び易開封性のバランスについては、未だ両者をともに成り立たせる技術が確立されるに至っていない。このような状況のもと、凝集剥離による剥離機構を採用した場合に、接着強度を保ちつつも容易かつ滑らかに剥離し得るとの知見を得た。
かかる知見に基づき、本発明では、第1の樹脂Aとしてエチレン重合体又はエチレン・酢酸ビニル共重合体の一方又は両方と、第2の樹脂Bとして樹脂Aに非相溶な樹脂と、部分水添石油樹脂と、を組み合わせて混合した層(以下、接着性層もしくは第1樹脂層という。)とし、かつ当該層についてJIS−K6760に準拠して測定した2mm厚での引張強度が2MPa以上15MPa以下(好ましくは4MPa以上10MPa以下)であることで、接着強度を確保しつつも、この接着強度より弱い力で凝集破壊される層を得ることができる。これにより、容器内に被収容物を収容して密封する際には、樹脂製容器と蓋材の間において強固な接着性を確保する一方、蓋材を樹脂製容器から剥がして開封する際には、蓋材を容易にかつ滑らかに剥がすことができるものとなる。
本発明の接着性樹脂組成物を用いることで、被収容物の保管又は運搬等に必要とされる密封性(接着性)と、開封時に容易にかつ滑らかに開封し得る易開封性(易剥離性)と、を兼ね備えた包装材料を提供することができる。
−樹脂A(エチレン重合体及びエチレン・酢酸ビニル共重合体)−
本発明の接着性樹脂組成物は、エチレン重合体及びエチレン・酢酸ビニル共重合体の少なくとも一方を含有する。エチレン重合体及びエチレン・酢酸ビニル共重合体は、それぞれ1種単独で含む場合に限られず、複数種を混合して併用してもよい。
エチレン重合体としては、エチレン由来の構成単位が主成分である重合体であれば特に制限はなく、例えば、エチレンの単独重合体、又はエチレンと他のモノマーとの共重合体を挙げることができる。中でも、エチレン単独重合体(以下、ポリエチレンともいう。)が好ましく、被着体である樹脂材料(例えば樹脂容器、具体的には、例えばポリエステル(好ましくはポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記することがある。)又はポリエステル製容器)との接着強度に優れたものとなる点から、低密度ポリエチレンが好ましい。
低密度ポリエチレンとは、JIS−K6748(1995年)にて定められる密度が910kg/m以上930kg/m未満のポリエチレンのことを指す。好ましい低密度ポリエチレンは、前記密度が910kg/m以上920kg/m以下のポリエチレンである。
低密度ポリエチレンとしては、例えば、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)などが挙げられる。中でも、LDPEが好ましい。前記LLDPEは、チーグラー触媒やフィリップス触媒などの不均一系オレフィン重合触媒で製造されたLLDPE、メタロセン触媒やフェノキシイミン触媒のような均一系オレフィン重合触媒で製造されたLLDPEのいずれでもよい。
エチレン重合体は、エチレンとエチレン以外のα−オレフィン(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンなど)を共重合したものでもよい。
エチレン重合体の融点は、90℃以上140℃以下が好ましい。
また、エチレン重合体の190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR;JIS−K7210(1999年)に準拠)は、成形加工性、及び樹脂材料(例えば樹脂容器、具体的には、例えばポリエステル又はポリエステル製容器)との接着強度の点で、0.1g/10分以上100g/10分以下が好ましく、より好ましくは1g/10分以上80g/10分以下であり、さらに好ましくは3g/10分以上60g/10分以下である。
エチレン・酢酸ビニル共重合体は、エチレンと酢酸ビニルとが共重合した高分子化合物であり、任意の比率でエチレンと酢酸ビニルとが重合した化合物を選択することができる。
エチレン・酢酸ビニル共重合体において、エチレンに由来の構造単位の含有比率としては、全構造単位に対して、70質量%以上95質量%以下が好ましく、85質量%以上95質量%以下がより好ましい。
また、エチレン・酢酸ビニル共重合体において、酢酸ビニル(VA)由来の構造単位の含有比率としては、全構造単位に対して、4質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。VA由来の構造単位の含有比率が4質量%以上であると、低温シール性の点で好ましい。
エチレン・酢酸ビニル共重合体の、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR;JIS−K7210(1999年))は、樹脂材料(例えば樹脂容器、具体的には、例えばポリエステル又はポリエステル製容器)との接着強度に優れたものとなる点で、0.1g/10分〜50g/10分が好ましく、1g/10分〜40g/10分がより好ましく、1g/10分〜30g/10分がより好ましい。
エチレン重合体及びエチレン・酢酸ビニル共重合体は、それぞれ1種単独で用いるほか、2種を併用してもよい。
接着性樹脂組成物中における、エチレン重合体及びエチレン・酢酸ビニル共重合体の含有量としては、樹脂Aと、前記樹脂Aに非相溶の樹脂Bと、部分水添石油樹脂との総合計に対して、25質量%以上80質量%以下が好ましく、35質量%以上55質量%以下がより好ましい。
−樹脂B−
本発明の接着性樹脂組成物は、樹脂Aに非相溶な樹脂Bの少なくとも一種を含む。
「樹脂Aに非相溶」とは、樹脂Aと樹脂Bとを混合した後に、樹脂Aと樹脂Bとの境界が確認できる状態を意味する。樹脂Aと樹脂Bとの境界は、接着性樹脂組成物を用いて層状の薄片(厚み:0.05μm〜0.1μm)を作製し、オスミウム又はルテニウムにて染色した後、走査型電子顕微鏡などでモルフォロジー(微細構造)を観察することにより確認することができる。
樹脂Bとしては、樹脂Aに非相溶な樹脂の中から特に制限なく選択することができ、例えば、ブテン重合体などが挙げられる。樹脂Bを含有することにより、接着性樹脂組成物又はその成形物の低強度化に寄与する。そのため、接着性層を形成する場合、接着性層は隣接層との間で良好な接着強度を示す一方、接着性層自身の強度をある程度に低く抑えることができ、第1樹脂層での凝集剥離を行うことが可能になる。
この場合に、接着性層における上記樹脂Aと樹脂Bとの組合せとして、より適度な強度と易剥離性の両立という観点から、樹脂Aがエチレン・酢酸ビニル共重合体であり、樹脂Bがブテン重合体であることが好ましい。
ブテン重合体としては、1−ブテンの単独重合体、及び1−ブテンと他のα−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどの1種又は2種以上)との共重合体(1−ブテン・α−オレフィン共重合体)を挙げることができる。ブテン重合体は、結晶性を有する重合体であることが好ましい。中でも、ブテン重合体としては、単独重合体が好ましい。
1−ブテンの単独重合体の例としては、市販品として、例えばタフマーBL4000(三井化学社製)などを挙げることができる。また、1−ブテン・α−オレフィン共重合体の例としては、市販品として、例えば、タフマーBL3450、タフマーBL2481(いずれも三井化学社製)などを挙げることができる。
ブテン重合体の、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR;JIS−K7210(1999年))は、層などを成形した際の強度を低く抑える観点から、0.1g/10分〜5g/10分が好ましく、1g/10分〜3g/10分がより好ましく、1g/10分〜2g/10分がより好ましい。
樹脂Bは、1種単独で用いるほか、2種以上を併用してもよい。
樹脂Bの接着性樹脂組成物中における含有量としては、樹脂Aと、前記樹脂Aに非相溶の樹脂Bと、部分水添石油樹脂との総合計に対して、20質量%以上55質量%以下が好ましく、25質量%以上45質量%以下がより好ましく、32質量%以上40質量%以下が特に好ましい。樹脂Bの含有量が20質量%以上であると、接着性樹脂組成物の強度、特に層などの成形物を成形した際の成形物の強度を降下させる側に調製し、凝集破壊をさらに容易に発生させることができる。また、樹脂Bの含有量が55質量%以下であると、成形加工性及び経済性の点で有利である。
−部分水添石油樹脂−
本発明の接着性樹脂組成物は、少なくとも粘着付与樹脂の1種である部分水添石油樹脂を含む。部分水添石油樹脂とは、水素化石油樹脂の1種であり、芳香族系石油樹脂の不飽和二重結合の一部が部分的に水添された脂環族炭化水素樹脂のことをいい、接着性樹脂組成物に粘着性を付与する機能を有する樹脂(粘着付与樹脂)である。部分水添石油樹脂を含有することで、部分水添石油樹脂以外の他の粘着付与樹脂に比べて、被着体である樹脂材料(例えば樹脂容器、具体的には、例えばポリエステル(好ましくはPET)又はポリエステル製容器)との接着強度により優れたものとなる。
脂環族炭化水素樹脂の中の部分水添石油樹脂としては、例えば、スペントC〜C留分中のジエン成分を環化二量化後、重合させて得られる樹脂、シクロペンタジエンなどの環状モノマーを重合させた樹脂、芳香族系石油樹脂を核内水添した樹脂(いわゆる水素化石油樹脂)などが挙げられる。
これらの中でも、部分水添石油樹脂としては、接着性樹脂組成物の使用環境の観点から、軟化点が90℃以上のものが好ましい。
部分水添石油樹脂は、軟化点が90℃〜150℃の樹脂が好ましい。軟化点は、接着性の観点から高い方が好ましく、軟化点が90℃以上であることで、樹脂又は樹脂製容器(好ましくはポリエステル又はポリエステル製容器)との接着性に優れる。また、軟化点が150℃以下であると、粘着性付与の点で有利である。
中でも、上記と同様の理由から、軟化点は、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、120℃以上のものが特に好ましい。
部分水添石油樹脂の軟化点は、JIS K2207(2006年)に準拠して、軟化点試験方法(環球法)に基づいて測定された値を用いることができる。
上記の具体例としては、上市されている市販品として、アルコンシリーズ(荒川化学社製の脂環族炭化水素樹脂;例えば、アルコンM−90、アルコンM−100、アルコンM−115、アルコンM−135等の部分水添石油樹脂)、アイマーブシリーズ(出光社製の水添石油樹脂;例えば、アイマーブS−100、アイマーブS−110等の部分水添石油樹脂)などが挙げられる。
本発明の接着性樹脂組成物は、部分水添石油樹脂以外の他の樹脂組成物として、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、完全水添石油樹脂(樹脂中の不飽和二重結合の全てが水添された脂環族炭化水素樹脂)、芳香族炭化水素樹脂、及び脂肪族炭化水素樹脂のいずれか1種あるいは2種以上をさらに含んでいてもよい。
芳香族炭化水素樹脂としては、例えば、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、スチレン系樹脂、又はビニルトルエン、インデン、α−メチルスチレンなどの炭素数8〜10のビニル系芳香族炭化水素を少なくとも一種含有する留分を重合して得られる樹脂、これら留分と脂肪族炭化水素留分を共重合して得られる樹脂などが挙げられる。
テルペン系樹脂としては、テルペン単独重合体(例:ジペンテン重合体)、テルペンの一種であるピネン(C1016で表される有機化合物)から誘導されるピネン単独重合体(例:α−ピネン重合体、β−ピネン重合体)、テルペン・フェノール共重合体(例:α−ピネン・フェノール共重合体)、及びこれらの水素添加物などが含まれる。
テルペン系樹脂の具体例としては、上市されている市販品として、YSレジンシリーズ(例えば、YSレジンPX1250、YSレジンPX1150、YSレジンPX1000、YSレジンPX800等のテルペン重合体、YSレジンPX1150N、YSレジンPX300N等のピネン重合体、YSレジンTO125、YSレジンTO115、YSレジンTO105等の芳香族変性テルペン樹脂;ヤスハラケミカル社製)、YSポリスターシリーズ(例えば、YSポリスターU、YSポリスターT、YSポリスターS、YSポリスターG、YSポリスターUH等のテルペン・フェノール樹脂;ヤスハラケミカル社製)、クリアロンシリーズ(例えば、クリアロンP150、クリアロンP135、クリアロンP125、クリアロンP115、クリアロンM125、クリアロンM115、クリアロンK100等の水添テルペン樹脂;ヤスハラケミカル社製)、タマノルシリーズ(例えば、タマノル803L、タマノル901等のテルペン・フェノール樹脂;荒川化学社製)などが挙げられる。
ロジン系樹脂としては、例えば、ロジン、ガムロジン、重合ロジン、水添ロジン、ロジンのグリセリンエステル及びその水添物又はその重合体、及びロジンのペンタエリスリットエステル及びその水添物又はその重合体などが挙げられる。
ロジン系樹脂の具体例としては、上市されている市販品として、エステルガムシリーズ(例えば、エステルガムAA−L、エステルガムAAV、エステルガムAT等;荒川化学社製)、ペンセルシリーズ(例えば、ペンセルA、ペンセルAZ、ペンセルC等;荒川化学社製)などが挙げられる。
スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、イソプロピルトルエンなどのスチレン系単量体を重合して得られる分子量の低い樹脂状重合体が挙げられる。
スチレン系樹脂の具体例としては、上市されている市販品として、例えば、YSレジンSX(ヤスハラケミカル社製)等が挙げられる。
脂肪族炭化水素樹脂としては、例えば、1−ブテン、イソブテン、ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレンなどの炭素数4〜5のモノ又はジオレフィンの少なくとも1種以上を含む留分を重合して得られる樹脂が挙げられる。
部分水添石油樹脂の接着性樹脂組成物中における含有量としては、樹脂Aと、前記樹脂Aに非相溶の樹脂Bと、部分水添石油樹脂との総合計に対して、5質量%以上30質量%以下が好ましく、8質量%以上25質量%以下がより好ましい。含有量が5質量%以上であると、接着性樹脂組成物により粘着性を与える点で有利であり、含有量が30質量%以下であると、易剥離性の点で有利である。
−他の成分−
接着性樹脂組成物は、上記の成分以外の他の成分として、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤などの高分子分野で一般に用いられる添加剤をさらに含有してもよい。
他の成分は、接着性樹脂組成物による効果を損なわない範囲で含有することができる。
〜接着性樹脂組成物の調製〜
接着性樹脂組成物は、例えば、上記した成分を同時に又は逐次的にドライブレンド又はメルトブレンドすることによって調製することができる。これらの成分の混合順序には、特に制限はない。
前記ドライブレンドには、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサーなどの各種ミキサーを用いることができる。
前記メルトブレンドには、一軸又は二軸押出機、バンバリーミキサー、ロール、ニーダーなどの混練装置を用いることができる。混練装置による溶融混練は、例えば、160℃〜230℃の温度で行える。
<積層フィルム>
本発明の積層フィルムは、少なくとも、既述の本発明の接着性樹脂組成物を含む第1樹脂層と、低密度ポリエチレン、並びにエチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体(以下、総じて「エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体」ともいう。)の少なくとも1つを含む第2樹脂層と、を有している。
本発明の積層フィルムにおける第2樹脂層は、低密度ポリエチレン又はエチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体を含むことで、第1の樹脂層に比べて引張強度が強く、かつ支持体への接着性を有しているので、後述するように例えばアルミ材料を備えた包装材料とした場合にアルミ材料に対する接着性に優れたものとなり、第1樹脂層との間の接着にも優れたものとなる。
−第1樹脂層(接着性層)−
本発明における第1樹脂層(接着性層)は、既述の本発明の接着性樹脂組成物を用いて形成された層である。接着性層は、既述のように、エチレン重合体及びエチレン・酢酸ビニル共重合体の一方又は両方(樹脂A)と、前記樹脂Aに非相溶な樹脂Bと、部分水添石油樹脂と、を含有し、JIS−K6760に準拠して測定した2mm厚での引張強度が2MPa以上15MPa以下(好ましくは4MPa以上10MPa以下)である樹脂組成物を含むことで、被着体である樹脂材料(例えば少なくとも最表面が樹脂である容器、具体的には、例えばポリエステル系樹脂(好ましくはPET)又はポリエステル系樹脂製容器)との接着性に優れている。
接着性層は、エチレン重合体及びエチレン・酢酸ビニル共重合体の一方又は両方(樹脂A)、樹脂Aに非相溶な樹脂B、及び部分水添石油樹脂に加えて、更に他の成分を含んでいてもよい。
接着性層におけるエチレン重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体(樹脂A)、樹脂Aに非相溶な樹脂B、及び粘着付与樹脂の詳細については、接着性樹脂組成物の説明において既述した通りであり、好ましい態様も同様である。
接着性層の伸びは、JIS-K6760に準拠して測定した2mm厚での伸びが引張り力を与えていない通常状態からの伸び率で20%以上500%以下の範囲に調整されることが好ましい。より好ましくは30%以上300%以下であり、更に好ましくは30%以上200%以下であり、最も好ましくは30%以上70%以下である。
伸び率が20%以上であると、接着の信頼性の点で有利であり、伸び率が500%以下であると、凝集破壊およびその剥離感の点で有利である。
なお、伸び(%)は、所定量の接着性樹脂組成物を加圧プレスして2mm厚のプレスシートを作製し、JIS−K6760に準拠した方法により測定される。
接着性層の引張強度としては、剥離時の凝集破壊の観点から、2MPa以上15MPa以下の範囲であり、4MPa以上10MPa以下が好ましい。
なお、引張強度(MPa)は、伸び(%)と同様に、所定量の接着性樹脂組成物を加圧プレスして2mm厚のプレスシートを作製し、JIS−K6760に準拠した方法により測定される値である。
接着性層の厚みは、接着性と易剥離性の観点から、3μm以上20μm以下の範囲が好ましく、5μm以上15μm以下の範囲がより好ましい。
接着性層の厚みは、積層フィルムを積層方向と平行に裁断した裁断面を光学顕微鏡等で拡大して観察し計測することで求められる。
接着性層は、既述した本発明の接着性樹脂組成物を用い、塗布法、キャスト法、インフレーション成形法、押出成形法などの公知の方法により形成することができる。
ポリエステル系樹脂としては、結晶性、低結晶性、又は非晶性のポリエステル系樹脂、あるいは結晶性、低結晶性及び非結晶性の3相が混在したポリエステル系樹脂が挙げられる。ポリエステル系樹脂は、1種類以上のジオール成分と1種類以上のジカルボン酸成分とが反応して得られる樹脂を含む。また、ポリエステル系樹脂は、1種のみならず、2種以上が混合されたものでもよい。
ポリエステル系樹脂を構成するモノマーとしては、ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、セバシン酸等がある。なかでも、テレフタル酸及びイソフタル酸が一般的である。
ジオール成分として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等がある。エチレングリコールまたはブチレングリコールが一般的である。
−第2樹脂層−
第2樹脂層は、低密度ポリエチレン、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体、及びエチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体の少なくとも1つを含有し、アルミ材料などの支持体に対する接着性を有している。中でも、特にエチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体又はエチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体を含有する場合が好ましい。また、第2樹脂層は、必要に応じて、他の成分を含む態様も好ましい。
低密度ポリエチレンについては、既述の樹脂Aで例示した低密度ポリエチレンを使用することができる。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸から選ばれるモノマーとを少なくとも共重合成分として共重合させた重合体であり、必要に応じて、α,β−不飽和カルボン酸以外のモノマーが共重合されてもよい。支持体、特にアルミ材料との接着性に優れ、より高い接着強度を確保する観点から、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体としては、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸とを共重合させた2元ランダム共重合体が好ましい。α,β−不飽和カルボン酸以外のモノマーとしては、例えばα,β−不飽和カルボン酸エステルなどが挙げられる。
α,β−不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル(マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル等)、無水マレイン酸モノエステル(無水マレイン酸モノメチル、無水マレイン酸モノエチル等)などの炭素数4〜8の不飽和カルボン酸又はハーフエステル等が挙げられる。中でも、アクリル酸及びメタクリル酸は好適である。
なお、下記α,β−不飽和カルボン酸エステルのα,β−不飽和カルボン酸についても同様である。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体中におけるα,β−不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有比率としては、1質量%以上25質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上20質量%以下である。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体は、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸エステルから選ばれるモノマーとを少なくとも共重合成分として共重合させた重合体であり、必要に応じて、不飽和カルボン酸エステル以外のモノマーが共重合されてもよい。支持体、特にアルミニウム材との接着性に優れ、より高い接着強度を確保する観点から、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸エステルとを共重合させた2元ランダム共重合体が好ましい。α,β−不飽和カルボン酸エステル以外のモノマーとしては、例えばα,β−不飽和カルボン酸などが挙げられる。
α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルが好適に挙げられ、その中では、アルキル部位の炭素数が1〜8であるα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルが好ましく、アルキル部位の炭素数が1〜8である(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。アルキル部位の炭素数は、1〜4がより好ましい。
α,β−不飽和カルボン酸エステルの例としては、アクリル酸アルキルエステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ノルマルブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等)、メタクリル酸アルキルエステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ノルマルブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)などが挙げられる。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体において、上記以外のモノマーとして、一酸化炭素、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなども共重合可能なモノマーとして挙げられる。
これらモノマーは、1種単独で又は2種以上組み合わせて共重合されてもよい。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体中におけるα,β−不飽和カルボン酸エステルに由来する構成単位の含有比率としては、1質量%以上25質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以上20質量%以下である。
エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体の、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR;JIS−K7210(1999年))としては、樹脂材料(例えば樹脂容器、具体的には、例えばポリエステル又はポリエステル製容器)との接着強度に優れたものとなる点で、0.1g/10分〜30g/10分が好ましく、1g/10分〜20g/10分がより好ましく、3g/10分〜15g/10分がより好ましい。
第2樹脂層の強度は、引張強度で表すことができる。第2樹脂層の引張強度としては、剥離時に、既述の第1樹脂層において凝集剥離を行わせる観点から、第1樹脂層の引張強度より大きいことが好ましい。中でも、第2樹脂層の引張強度は、10MPa以上35MPa以下の範囲がより好ましく、10MPa以上30MPa以下の範囲が更に好ましい。
この引張強度は、所定量の接着性樹脂組成物を加圧プレスしてプレスシートを作製し、JIS−K6760に準拠した方法により測定される。
第2樹脂層の厚みは、15μm以上50μm以下の範囲が好ましく、15μm以上45μm以下の範囲がより好ましい。
第2樹脂層の厚みは、積層フィルムを積層方向と平行に裁断した裁断面を光学顕微鏡等で拡大して観察し計測することで求められる。
第2樹脂層は、第2樹脂層形成用の樹脂組成物を用い、塗布法、キャスト法、インフレーション成形法、押出成形法などの公知の方法により形成することができる。
積層フィルムの総厚としては、特に制限されるものではないが、被着体である樹脂材料、特にポリエステル(好ましくはポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する)又はその容器)との接着性の点で、10μm以上100μm以下の範囲であることが好ましく、更に好ましくは20μm以上70μm以下である。
本積層体において、被着体である樹脂材料に対する剥離強度(接着強度)の範囲は、8N/15mm以上25N/15mm以下であることが好ましく、さらに10N/15mm以上20N/15mm以下であることがより好ましい。
<包装材料>
本発明の包装材料は、支持体と、既述の本発明の積層フィルムと、を備えており、支持体に積層フィルムの第2樹脂層を直接又は他の層を介して配設することで構成される。
本発明の包装材料の構造例として、支持体/第2樹脂層/第1樹脂層(接着性層)の積層構造を含む積層構造としてもよい。
支持体としては、特に制限はなく、紙、アルミニウム板(例えばアルミ箔)、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート)の板状材(シート又はフィルム)、アルミ蒸着ポリエステル(例えばアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート)の板状材(シート又はフィルム)、シリカ蒸着ポリエステル(例えばシリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート)の板状材(シート又はフィルム)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン)の板状材(シート又はフィルム)、アルミ蒸着ポリオレフィン(例えばアルミ蒸着ポリプロピレン)の板状材(シート又はフィルム)などが挙げられる。これらの支持基体は、単層構造のみならず、2層以上の積層構造であってもよい。
積層フィルムは、具体例として、紙/ポリオレフィン層/アルミ箔/第2樹脂層/第1樹脂層(接着性層)等の構造に構成されてもよい。
上記のように支持体に積層フィルムを設ける方法としては、積層フィルムを構成する各層を形成するための塗布液を支持体に重層塗布する方法、積層フィルムを構成する各層を形成するための溶融樹脂を共押出により支持体上に付与する方法、等のいずれであってもよい。
本発明においては、経済性の点で、共押出により支持体上に積層フィルム成形する方法が好ましい。
包装材料の例としては、収納容器に接着して開口を閉塞する蓋材が好適に挙げられる。ここにいう収納容器は、少なくとも最表面が樹脂材料で成形された容器が好ましく、特に少なくとも最表面が、ポリエステル系樹脂で成形されたポリエステル容器がより好ましい。ポリエステル系樹脂には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が含まれる。
本発明の包装材料の例として、包装容器を挙げることができる。
包装容器としては、開口した収容部を有し、少なくとも最表面が樹脂である収納容器と、支持体及び本発明の積層フィルムを有し、少なくとも最表面が樹脂である収納容器の開口部に積層フィルムの第1樹脂層を接着させて開口部を閉塞する蓋材と、を備えた包装容器であってもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
また、メルトフローレート(MFR)は、JIS K−7210(1999年)に準拠して190℃、2160g荷重にて測定した。
−原料−
原料として、以下の材料を準備した。
[エチレン・酢酸ビニル共重合体]
・エチレン・酢酸ビニル共重合体:酢酸ビニル10質量%、MFR(190℃、2160g荷重):9g/10分
(以下、EVAと略記する)
[ブテン重合体]
・ポリブテン:ホモタイプ、MFR(190℃、2160g荷重):1.8g/10分
(以下、PBと略記する)
[エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体]
・エチレン・メタクリル酸・アクリル酸ブチル共重合体:酸含量:4質量%、アクリル酸ブチル:8質量%、MFR(190℃、2160g荷重):14g/10分
(以下、酸ポリマーと略記する)
[粘着付与樹脂]
・部分水添石油樹脂(1):部分水素添加芳香族炭化水素樹脂(環球法軟化点:135℃、荒川化学社製)
・部分水添石油樹脂(2):部分水素添加芳香族炭化水素樹脂(環球法軟化点:90℃、荒川化学社製)
・完全水添石油樹脂:完全水素添加芳香族炭化水素樹脂(環球法軟化点:115℃、荒川化学社製)
・テルペン系樹脂:ピネン重合体(環球法軟化点;115℃、ヤスハラケミカル社製)
(実施例1)
−第1樹脂層(接着性層)形成用の樹脂組成物の調製−
表1に示す配合にしたがって、原料を計量(仕込み量を10kgとした)し、溶融押出機(先端ダルメージフライトスクリュー、スクリュ径:φ65mm、L/D(=スクリュ長/スクリュ直径):28)の投入口へ投入した。各樹脂には、ペレットを用いた。そして、溶融押出機の加工温度を180℃に調節して溶融混練し、接着性層形成用の樹脂組成物を調製した。
<引張強度・伸び>
なお、引張強度(MPa)、伸び(%)の測定は、以下の方法にて行った。
調製した第1樹脂層形成用の樹脂組成物をそれぞれ約60g計量し、加圧プレス法により2mm厚のプレスシートを作製した。そして、JIS−K6760に準拠した方法により引張強度(MPa)と伸び(%)を測定した。測定結果を表1に示す。
−第2樹脂層形成用の樹脂の準備−
上記の酸ポリマー(エチレン・メタクリル酸共重合体)を、第2樹脂層形成用の樹脂(エチレン・α,β−不飽和カルボン系酸共重合体)として準備した。
−評価用サンプルの作製−
65mmφラミネーター(ダイ幅:900mm幅)を用いて、79.1g/mの片アート紙(三菱製紙社製)とアルミ箔(UACJ社製1N30)との間に厚み15μmの低密度ポリエチレン(1)を挟み込むようにして、加工温度320℃でサンド加工し、片アート紙/低密度ポリエチレン(15μm)/アルミ箔の積層構造を有する支持体を作製した。
次いで、表2に示した、第2樹脂層(10μm厚)、及び第1樹脂層(接着性層(35μm厚))の2層構造になるように、40mmφ共押出成形機(フィードブロック式、ダイ幅:450mm)を用いて、前記支持体のアルミ箔の表面に下記の条件で第2樹脂層形成用の樹脂と、第1樹脂層形成用の樹脂組成物と、を、アルミ箔からこの順に積層されるように層状に共押出して評価サンプルを作製した。評価用サンプルは、片アート紙/低密度ポリエチレン/アルミ箔/第2樹脂層/第1樹脂層の積層構造に形成されている。
<溶融押出条件>
・各層の溶融押出温度:260℃(第2樹脂層)、240℃(第1樹脂層)
・アダプター温度:250℃
・ダイ温度:250℃
・ライン速度:30m/分
−評価−
上記で作製した評価サンプルの各々について、以下の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(1)剥離強度、破壊形態、及び糸曳き性
上記で作製した各評価サンプルを、第1樹脂層において接するようにA−PET支持体(PR東プラ社製、厚み:500μm)の上に置き、下記の条件にてヒートシールした。
<シール条件>
・シール装置:ヒートシールバー(10mm幅)
・シール温度:130℃
・シール時間:1秒
・シール圧:0.2MPa(実圧)
次いで、15mm幅の短冊に切り出し、オートグラフを用いて剥離速度300mm/分、剥離角度:80°の剥離条件にて評価サンプルをA−PET支持体から剥離し、剥離時の剥離強度を測定した。ここで、剥離強度の目標値は、8N/15mm以上25N/15mm以下である。
さらに、剥離時に第1樹脂層を観察し、剥離形態を、下記基準1にしたがって評価した。
<基準1>
A:凝集破壊により剥離した。
B:凝集破壊と界面破壊が混在して剥離した。
C:界面剥離により剥離した。
また、測定の際、糸曳きの発生の有無を評価した。糸曳きの評価は、下記の基準2にしたがって行った。
<基準2>
A:糸曳きはみられない。
B:糸曳き及び毛羽立ちの発生は僅かである。
C:糸曳きの発生が明らかに認められる。
(実施例2)
実施例1において、第1樹脂(接着性層)の配合を配合2に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、評価サンプルを作製し、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例3)
実施例1において、第1樹脂(接着性層)の配合を配合3に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、評価サンプルを作製し、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例1において、第1樹脂(接着性層)の配合を配合4に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、評価サンプルを作製し、測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
表2に示されるように、部分水添石油樹脂を接着性層に含む実施例1〜3では、第1樹脂(接着性層)で凝集破壊を生じさせて剥離(凝集剥離)することができ、接着に必要なシール強度(剥離強度)を確保しつつも、剥離時に生じやすい糸曳き現象も見られなかった。
これに対して、部分水添石油樹脂を含まない比較例1では、接着性層で凝集破壊を生じさせて剥離することができずに界面剥離が発生し、シール強度(剥離強度)を確保することもできなかった。
本発明は、樹脂製容器に蓋材を熱溶融により接着して容器を密封し、必要に応じて開封することで容器内に封入された封入物を取り出せる包装容器用蓋材として好適であり、特に食品包装分野などに好ましく適用することができる。

Claims (8)

  1. エチレン重合体及びエチレン・酢酸ビニル共重合体の少なくとも一方の樹脂Aと、前記樹脂Aに非相溶の樹脂Bと、部分水添石油樹脂と、を含有し、JIS−K6760に準拠して測定した2mm厚での引張強度が2MPa以上15MPa以下である接着性樹脂組成物。
  2. 前記樹脂Aがエチレン・酢酸ビニル共重合体であり、前記樹脂Bがブテン重合体である請求項1に記載の接着性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の接着性樹脂組成物を含む第1樹脂層と、低密度ポリエチレン、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体及びエチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体の少なくとも一つを含む第2樹脂層と、を有する積層フィルム。
  4. 支持体と、請求項3に記載の積層フィルムと、を有する包装材料。
  5. 前記積層フィルムは、共押出により前記支持体の上に層状に形成されている請求項4に記載の包装材料。
  6. 少なくとも最表面が樹脂である収納容器の開口部に接着させて前記開口部を閉塞する蓋材である請求項4又は請求項5に記載の包装材料。
  7. 開口した収納部を有し、少なくとも最表面が樹脂である収納容器と、
    支持体及び請求項3に記載の積層フィルムを有し、前記収納容器の開口部に前記積層フィルムの第1樹脂層を接着させて前記開口部を閉塞する蓋材と、を備えた包装容器。
  8. 前記収納容器の少なくとも蓋材と接する最表面が、ポリエステル系樹脂である請求項7に記載の包装容器。
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