JP6465117B2 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、近赤外光遮蔽用の光学フィルムと、その製造方法に関する。さらに詳しくは、サーモクロミック性を有し、低ヘイズで、高湿環境下における保存安定性に優れ、かつ、温度変化時の赤外線透過効果と赤外線遮蔽効果の変化率が大きい光学フィルムとその製造方法に関する。
近年、自動車や建物等において、窓から入り込む外光(太陽光)の影響による人肌で感じる熱線を遮り、高い断熱性又は遮熱性を備えたガラスやガラスに貼合するフィルムが市場に流通している。最近では、電気自動車等の普及に伴い、車内の冷房効率を高める観点から、ガラスに適用する近赤外光(熱線)遮蔽フィルムの開発が盛んに行われている。
近赤外光遮蔽フィルムは、車体や建物の窓ガラスに適用することにより、車内のエア・コンディショナー等の冷房設備への負荷を低減することができ、省エネルギー対策として有効な手段である。
このような近赤外線遮蔽フィルムとしては、赤外線吸収性物質としてITO(錫ドープ酸化インジウム)などの導電体を含む光学フィルムが開示されている。また、特開2010−222233号公報には、赤外線反射層と赤外線吸収層とを有する機能性プラスチックフィルムを含む近赤外光遮蔽フィルムが開示されている。
一方、低屈折率層と高屈折率層とを交互に多数積層させた反射層積層体を有し、当該各屈折率層の層厚を調整することにより、近赤外光を選択的に反射する近赤外光遮蔽フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
このような構成よりなる近赤外光遮蔽フィルムは、太陽光の照度が高い赤道近傍の低緯度地帯では、その高い近赤外光遮蔽効果により、好ましい効果を発現する。しかしながら、中緯度〜高緯度地帯の冬の期間においては、逆に、太陽光をできるだけ車内や室内に取り込み、室温を保ちたい場合にも、一律に入射光線を遮蔽してしまうため、冬場で車内や室内が暖まらないという問題がある。
上記問題を踏まえ、近赤外光遮蔽フィルムに、近赤外光の遮蔽や透過の光学的性質を温度により制御することができるサーモクロミック材料を適用する方法の検討がなされている。その代表的な材料として、二酸化バナジウム(以下、VOと記載する。)が挙げられる。VOは、68℃前後の温度領域で相転移を起こし、サーモクロミック性を示すことが知られている。
すなわち、このVOの特性を利用した光学フィルムにより、高温になると熱の原因となる近赤外光を遮蔽し、低温環境下では近赤外光を透過する特性を発現することが可能となる。これにより、夏場の暑い時期は近赤外光を遮蔽して室内の温度上昇を抑制し、冬場の寒い時期は、外部からの光エネルギーを取り込むことができるようになる。
このような特性を備えたVOの具体例としては、水熱合成法により、バナジウム化合物と、ヒドラジン又はその水和物により、二酸化バナジウム(VO)のナノ微粒子を得る方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、上記水熱合成法により調製したVOナノ粒子を透明樹脂中に分散させ、樹脂基材上にVO分散樹脂層を形成する積層体とすることにより、サーモクロミックフィルムを提供する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、VO含有微粒子は、粒子を形成した後に濾過して乾燥させる場合、その過程でVO含有微粒子の一次粒子が凝集して、塊状の二次粒子を生じやすいことが判明した。特に、一旦乾燥工程を経て調製されたVO含有微粒子の二次粒子は、一般的な分散処理を行っても完全に凝集が解きほぐされて一次粒子化することが困難であり、形成した光学機能膜中に、凝集状態の二次粒子として存在することになる。このような二次粒子が、光学機能膜中に存在すると、低温時の赤外線透過性と高温時の赤外遮蔽性の差が小さくなることが分かってきた。
更に、光学機能膜に水系のバインダーを用いた場合、高湿度下に長期間保存されると低温時の赤外線透過性と高温時の赤外遮蔽性の差が小さくなることも判明した。
上記のようなサーモクロミックフィルムの諸問題を克服し、サーモクロミック性を有し、温度変化時の赤外線透過効果と赤外線遮蔽効果の変化の大きな光学フィルムの開発が切望されている。
国際公開第2013/065679号 特開2011−178825号公報 特開2013−184091号公報
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その課題は、使用する環境の温度条件に応じて近赤外遮蔽率を調節できるサーモクロミック性を有し、低ヘイズで、高湿環境下における保存安定性に優れ、かつ、温度変化時の赤外線透過効果と赤外線遮蔽効果の変化率が大きな光学フィルムの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、一次粒子及び二次粒子を含めた全粒子の数平均粒径が200nm以下である二酸化バナジウム含有微粒子(以下、VO含有微粒子ともいう。)と疎水性バインダー樹脂を含有する光学機能層を有することを特徴とする光学フィルムにより、使用する環境の温度条件に応じて近赤外遮蔽率を調節できるサーモクロミック性を有し、ヘイズが低く、高湿環境下における保存安定性に優れ、かつ、温度変化時の赤外線透過効果と赤外線遮蔽効果の変化率が大きな光学フィルムを得ることができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
少なくとも二酸化バナジウム含有微粒子と疎水性バインダー樹脂を含有する光学機能層を形成する工程を有する光学フィルムの製造方法であって、
前記二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子及び二次粒子を含めた全粒子の数平均粒径が、200nm以下となるように調整し、
前記二酸化バナジウム含有微粒子が、水系合成法により調製した二酸化バナジウム含有微粒子を含む水系分散液として調製した後、当該水系分散液を、前記二酸化バナジウム含有微粒子が乾燥状態を経ることなく、溶媒置換工程により二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液として調製することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
2.前記疎水性バインダー樹脂が、疎水性ポリマー又は疎水性バインダー樹脂の単量体を用い、硬化処理工程でポリマー化した樹脂であることを特徴とする第1項に記載の光学フィルムの製造方法。
.前記溶媒置換工程が、二酸化バナジウム含有微粒子を含む分散液の濃縮工程と、前記濃縮工程で得られた濃縮液に溶媒を添加する溶媒希釈工程より構成され、前記濃縮工程及び溶媒希釈工程における処理操作を2回以上繰り返して、二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液を調製する工程であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の光学フィルムの製造方法。
.前記二酸化バナジウム含有微粒子を含む分散液の濃縮工程で用いる濃縮手段が、限外濾過方法であることを特徴とする第項に記載の光学フィルムの製造方法。
.前記溶媒置換工程により調製した二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液が、水を0.01〜30質量%の範囲内で含有していることを特徴とする第項から第項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
.前記溶媒置換工程により調製した二酸化バナジウム含有微粒子を含有する溶媒分散液と疎水性バインダーを含む光学機能層形成用塗布液を調製し、当該光学機能層形成用塗布液を、透明基材上に塗布、乾燥して光学機能層を形成することを特徴とする第項から第項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
.前記溶媒置換工程により調製した二酸化バナジウム含有微粒子を含有する溶媒分散液と疎水性バインダーを含む光学機能層形成用ドープを調製し、当該光学機能層形成用ドープを、溶液流延法により光学機能層を形成することを特徴とする第項から第項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
.前記光学機能層に加え、700〜1000nmの光波長範囲内の少なくとも一部を遮蔽する機能を有する近赤外光遮蔽層を形成することを特徴とする第項から第項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
本発明の上記手段により、温度環境に応じて近赤外遮蔽率を調節できるサーモクロミック性を有し、低ヘイズで、高湿環境下における保存安定性に優れ、かつ、温度変化時の赤外線透過効果と赤外線遮蔽効果の変化率が大きな光学フィルムと、その製造方法を提供することができる。
本発明の上記目的効果を達成することができた発現機構・作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
従来、VO含有微粒子を調製する方法としては、焼成処理により合成したVO結晶塊を粉砕する方法と、水系合成法によりVO分散液として得る方法がある。VO結晶塊を粉砕する方法では、数平均粒径として100nm以下のサイズへの微粒子化は難しく、VO粒子の一次粒径が大きいのが問題であった。また、粉砕法では、粉砕時のエネルギーにより、いくつかの粒子が強く凝集した二次粒子状態となっており、通常、このような二次粒子は、分散処理によっても完全に一次粒子化することが難しく、光学機能層中でも数平均粒径が200nmを大きく超えるような膜しか得られないのが現状であった。
水系でVO含有微粒子を調製する水系合成法としては、例えば、水熱法を用いて合成する方法が挙げられる。水熱合成法によれば、一次粒径として、数平均粒径が100nm以下の微粒子を合成することができる。
しかしながら、従来の方法では、水系合成法により合成したVO含有微粒子をバインダー樹脂と混合して光学機能層を形成する際、合成したVO含有微粒子をいったん乾燥させたのち、溶媒系のバインダー樹脂と溶媒とに混合して塗布液を調製し、それを用いて光学機能層を形成する方法である。しかしながら、この方法では、VO含有微粒子が、層中では数平均粒径が200nmを超える二次凝集を起こした粒子分散状態でしか存在することができないことが判明した。これは、VO含有微粒子が、乾燥させる工程を経ることにより、水系合成したVO含有微粒子の表面が親水的で表面エネルギーが高くなり、強く凝集した二次粒子になっていることが分かってきた。このようにして形成された二次粒子は、通常の分散処理を施しても、数平均粒径を200nm以下のレベルまで再分散させることが困難であった。
本発明においては、二酸化バナジウム含有微粒子を水系合成法により調製し、かつ調製した二酸化バナジウム含有微粒子を、乾燥状態を経ることなく、溶媒置換工程により二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液として調製することにより、一次粒子及び二次粒子を含めた全粒子の数平均粒径が、200nm以下である二酸化バナジウム含有微粒子分散液を得ることができた。
このようにして調製した一次粒子及び二次粒子を含めた全粒子の数平均粒径が200nm以下である二酸化バナジウム含有微粒子分散液と、疎水性バインダー樹脂を用いて光学機能層を形成することにより、使用環境の温度変化時に、赤外線透過・赤外線遮蔽の変化の大きな光学フィルムとなる。これは、二酸化バナジウム含有微粒子表面を構成する結晶は、内部構造に比べて、温度変化により転移を起こしやすいため、二酸化バナジウム含有微粒子を含有する光学機能層は、環境の温度変化により、赤外線透過性と赤外線遮蔽率の変化が大きくなる。二酸化バナジウム含有微粒子の数平均粒径を200nm以下とすることにより、粒子表面の面積比率が高くなる。これに対し、一次粒径が200nmを超える粒子では表面の面積比率が少なくなるために、また、一次粒径が200nm以下であっても、二次凝集し、数平均粒径が200nmを超える強い凝集の場合には、一次粒子の表面間での相互作用が強くなり、温度変化時の赤外線透過率と赤外線遮蔽率の変化幅が小さくなるのではないかと推測している。
一方、親水性バインダーを用いた場合、高湿度環境下で長期間曝されると、温度変化時の赤外線透過率と赤外線遮蔽率の変化幅が小さくなる現象が発現することが判明した。この現象は、二酸化バナジウム含有微粒子表面が水分によって変質するのではないかと推測している。このような問題に対し、疎水性バインダーを用いることにより、上記の水分に起因する劣化を抑えることができ、その結果、温度変化時の赤外線透過率と赤外線遮蔽率との変化幅を維持できるのではないかと考えている。
また、二酸化バナジウム含有微粒子を水系合成法により調製することにより、温度変化時の赤外線透過率と赤外線遮蔽率との変化幅がより大きくなる。水系合成法では微結晶を形成しやすいこと、また、水系合成法で調製した二酸化バナジウム含有微粒子は、その粒子表面特性として、還元環境下の焼成法など水系合成法以外の方法で合成した二酸化バナジウム含有微粒子よりも、粒子表面で転移しやすくなっており、そのため、上記環境変化による光線透過率の変化幅が大きくなるのではないかと考えている。
二酸化バナジウム含有微粒子を含有する分散液においては、分散液中の水分が30質量%を超えると、高い水分濃度により、二酸化バナジウム含有微粒子が酸化されやすくなるとともに、共存する疎水性バインダーによる造膜能が低下し、ヘイズが高くなる。また、0.01質量%未満になると、温度変化時の赤外線透過率と赤外線遮蔽率との変化幅が小さくなる。二酸化バナジウム含有微粒子を含有する分散液に、特定の範囲内の水分を残すことで、特定範囲の水分が粒子表面に吸着して、水系合成法により調製した粒子の転移しやすい表面特性を維持することができるが、0.01%未満になると粒子表面が変質するのではないかと考えている。
また、光学機能層中では疎水性バインダーは、溶媒のようには強く粒子表面に作用しないので、層形成時に溶媒や水分が乾燥しても変化幅の低下は起きないと考えている。
本発明の光学フィルムの基本的な構成の一例を示す概略断面図 本発明の光学フィルムの基本的な構成の他の一例を示す概略断面図 本発明の近赤外光遮蔽層を有する光学フィルムの層配置の一例を示す概略断面図 本発明の近赤外光遮蔽層を有する光学フィルムの層配置の他の一例を示す概略断面図 本発明の近赤外光遮蔽層を有する光学フィルムの層配置の他の一例を示す概略断面図 本発明に適用可能な溶媒置換処理装置の一例を示す概略構成図
本発明の光学フィルムの製造方法は、少なくとも二酸化バナジウム含有微粒子と疎水性バインダー樹脂を含有する光学機能層を形成する工程を有する光学フィルムの製造方法であって、前記二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子及び二次粒子を含めた全粒子の数平均粒径が、200nm以下となるように調整し、前記二酸化バナジウム含有微粒子として、水系合成法により調製した二酸化バナジウム含有微粒子を含む水系分散液として調製した後、当該水系分散液を、前記二酸化バナジウム含有微粒子が乾燥状態を経ることなく、溶媒置換工程により二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液として調製することを特徴とする。この特徴は、各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、光学機能層中における前記二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子の粒子個数比率が、全粒子数の30個数%以上であることが、より優れた高湿環境下における保存性と、温度変化時の赤外線透過効果と赤外線遮蔽効果の高い変化率を得ることができる観点から好ましい。
また、本発明に係る光学機能層を透明基材上に形成すること、あるいは光学機能層が樹脂基材機能を兼ねた構成であることが、より好ましい態様である。
また、光学機能層に加え、700〜1000nmの光波長範囲内の少なくとも一部を遮蔽する機能を有する近赤外光遮蔽層を有することが、二酸化バナジウム含有微粒子による近赤外遮熱効果に加えて、反射層積層体による光線反射効果を付与することができ、より高い近赤外遮蔽効果を得ることができる。
また、本発明の光学フィルムの製造方法は、少なくとも二酸化バナジウム含有微粒子と疎水性バインダー樹脂を含有する光学機能層を形成して製造する方法であって、前記二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子及び二次粒子を含めた全粒子の数平均粒径が、200nm以下となるように調整することを特徴とする。
また、二酸化バナジウム含有微粒子が、水系合成法により調製された二酸化バナジウム含有微粒子であることが、より効果的に一次粒子及び二次粒子を含めた全粒子の数平均粒径が200nm以下の二酸化バナジウム含有微粒子を安定して調製でき、本発明の目的効果をより実現することができる観点から好ましい。
また、疎水性バインダー樹脂が、疎水性ポリマー、又は疎水性バインダー樹脂の単量体を用い、硬化処理工程でポリマー化した樹脂であることが、安定して光学機能層を形成することができる観点から好ましい。
発明の光学フィルムの製造方法においては、二酸化バナジウム含有微粒子が、水系合成法により二酸化バナジウム含有微粒子を含む水系分散液として調製した後、当該水系分散液を、前記二酸化バナジウム含有微粒子が乾燥状態を経ることなく、溶媒置換工程により二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液として調製することを特徴とし、一次粒子及び二次粒子を含めた全粒子の数平均粒径が200nm以下の二酸化バナジウム含有微粒子を含有する分散液を安定して調製することができる。
また、溶媒置換工程が、二酸化バナジウム含有微粒子を含む分散液を濃縮する濃縮工程と、濃縮液に溶媒を添加して希釈する溶媒希釈工程より構成され、前記濃縮工程及び溶媒希釈工程における処理操作を2回以上繰り返して、二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液を調製する工程であること、あるいは濃縮工程で用いる濃縮手段が、限外濾過方法であることが、確実に水分含有率を特定の範囲に制御した溶媒系分散液を調製することができる観点から好ましい。
また、二酸化バナジウム含有微粒子を含む分散液が、水を0.01〜30質量%の範囲内で含有していることが、安定して温度変化時の赤外線透過効果と赤外線遮蔽効果の変化率が大きな光学フィルムを製造することができる観点から好ましい。
また、溶媒置換工程により調製した二酸化バナジウム含有微粒子を含有する溶媒分散液と疎水性バインダーを含む光学機能層形成用塗布液を調製し、当該光学機能層形成用塗布液を透明基材上に塗布、乾燥して光学機能層を形成する方法、あるいは、溶媒置換工程により調製した二酸化バナジウム含有微粒子を含有する溶媒分散液と疎水性バインダーを含む光学機能層形成用ドープを調製し、当該光学機能層形成用ドープを、溶液流延法により成膜した光学機能層を形成する方法が、より温度環境に応じて近赤外遮蔽率を調節できるサーモクロミック性を有し、低ヘイズで、高湿環境下における保存性に優れ、かつ、温度変化時の赤外線透過効果と赤外線遮蔽効果の変化率が大きな光学フィルムを得ることができる観点から好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、以下の説明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《光学フィルムの層構成の概要》
本発明に係る光学フィルムは、少なくとも二酸化バナジウム含有微粒子と疎水性バインダー樹脂を含有する光学機能層を有し、光学機能層中における前記二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子及び二次粒子を含めた全粒子の数平均粒径が200nm以下であることが好ましい
本発明の光学フィルムの代表的な構成例について、図を交えて説明する。
本発明の光学フィルムの好ましい態様の一つは、透明基材上に、本発明に係る光学機能層が形成されている構成である。
図1は、本発明で規定する二酸化バナジウム含有微粒子と疎水性バインダー樹脂を含有する第1の実施態様である光学機能層を有する光学フィルムの基本的な構成の一例を示す概略断面図である。
図1に示す光学フィルム1は、透明基材2上に、光学機能層3を積層した構成を有している。この第1の実施態様の光学機能層3は、疎水性バインダー樹脂B1中に、二酸化バナジウム含有微粒子が分散されて状態で存在している。この二酸化バナジウム含有微粒子には、二酸化バナジウム含有微粒子が独立して存在している二酸化バナジウムの一次粒子VOと、2個以上の二酸化バナジウム含有微粒子の集合体(凝集体ともいう)を構成している、二酸化バナジウムの二次粒子VOが存在している。本発明では、2個以上の二酸化バナジウム含有微粒子の集合体を総括して二次粒子と称し、二次粒子凝集体、あるいは二次凝集粒子ともいう。
本発明においては、光学機能層3中における二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子V0及び二次粒子VOを含めた全粒子による数平均粒径が、200nm以下であることを特徴とする。
本発明において、光学機能層中における二酸化バナジウム含有微粒子の平均粒径は、下記の方法に従って求めることができる。
はじめに、光学フィルム1を構成する光学機能層3の側面をミクロトームによりトリミングして、図1に示すような断面を露出させる。次いで、露出した断面について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、1万〜10万倍で撮影する。撮影した断面の一定領域内に存在しているすべての二酸化バナジウム含有微粒子について、その粒径を測定する。この時、測定する二酸化バナジウム含有微粒子は、50〜100個の範囲内であることが好ましい。撮影した粒子には、図1に示すように単一粒子である一次粒子VOと、2粒子以上の凝集体である二次粒子VOとが含まれている。
それぞれの粒子の粒径測定としては、二酸化バナジウムの一次粒子VOの粒径は、それぞれ離間して独立している状態にある粒子の直径を測定する。もし、球形でない場合には、粒子の投影面積を円換算し、その直径をもって粒径とする。一方、2個以上の粒子が凝集して存在している二酸化バナジウムについては、凝集体全体の投影面積を求めたのち、投影面積を円換算し、その直径をもって粒径とする。以上のようにして求めた一次粒子と二次粒子の各直径について、数平均直径を求める。切り出した断面部には粒子分布のバラつきがあるため、このような測定を、異なる断面領域10か所について行い、総粒子数として500〜1000個を測定し、全体の数平均直径を求め、これを本発明でいう「二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子及び二次粒子を含めた全粒子の数平均粒径(nm)」とする。
本発明に係る二酸化バナジウム含有微粒子の詳細については後述するが、一次粒子の粒径としては、10〜100nmの範囲内であることが好ましい。したがって、二次粒子の粒径としては、凝集している粒子数により異なるが、おおまかには50〜500nmの範囲内である。
本発明の光学フィルムにおいては、更には、本発明に係る二酸化バナジウム含有微粒子と疎水性バインダー樹脂を含有する光学機能層に加えて、700〜1000nmの光波長範囲内の少なくとも一部を遮蔽する機能を有する近赤外光遮蔽層を有することが好ましい構成である。
本発明の光学フィルムの好ましい態様の他の一つは、光学機能層が樹脂基材機能を兼ねたハイブリッド構成である。
図2は、本発明の光学フィルムの基本的な構成の他の一例を示す概略断面図であり、図1で示したような透明基材2と光学機能層3が分離した状態ではなく、同一層で構成されている第2の実施態様であるハイブリッド光学機能層(2+3)で構成である。
透明基材を構成しているポリマーを疎水性バインダー樹脂B2として用い、当該疎水性バインダー樹脂B2中に、二酸化バナジウム含有微粒子が独立して存在している二酸化バナジウムの一次粒子VOと、2個以上の二酸化バナジウム含有微粒子の二次粒子VOが分散されて、単層で透明基材機能を兼ね備えた光学機能層を形成している構成である。
図3A〜図3Cは、図1に示す構成で、透明基材上に、本発明に係る第1の実施態様である光学機能層3と共に近赤外光遮蔽層を有する光学フィルムで、その代表的な層配置例を示す概略断面図である。
図3Aで示す光学フィルム1は、光線入射側Lより、光学機能層3、近赤外光遮蔽層4及び透明基材2の順に配置されている構成である。
図3Bで示す光学フィルム1では、透明基材2と近赤外光遮蔽層4との間に、本発明に係る光学機能層3を配置した例であり、図3Cは、透明基材2の光線入射側Lに近赤外光遮蔽層4を配置し、透明基材2の裏面側に本発明に係る光学機能層3を配置した例である。
本発明の光学フィルムとしては、上記説明した各構成層の他に、必要に応じて、各種機能層を設けてもよい。
本発明の光学フィルムの総膜厚としては、特に制限はないが、おおむね10〜1500μmの範囲内であり、好ましくは20〜1000μmの範囲内であり、さらに好ましくは30〜500μmの範囲内であり、特に好ましくは40〜300μmの範囲内である。
本発明の光学フィルムの光学特性として、JIS R 3106(1998)に準拠した方法で測定される可視光透過率としては、好ましくは30%以上であり、より好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは60%以上である。
《光学フィルムの各構成材料》
本発明の光学フィルムは、少なくとも二酸化バナジウム含有微粒子と疎水性バインダー樹脂を含有する光学機能層を有し、光学機能層中における二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子及び二次粒子を含めた全粒子の数平均粒子径が、200nm以下であることを特徴とする。
更には、700〜1000nmの光波長範囲内の少なくとも一部を遮蔽する機能を有する近赤外光遮蔽層を有することが好ましい構成である。
以下、本発明の光学フィルムの構成要素である光学機能層と、必要により設ける樹脂基材、近赤外光遮蔽層の詳細について説明する。
[光学機能層]
本発明に係る光学機能層は、少なくとも一次粒子及び二次粒子を含めた全粒子の数平均粒子径が、200nm以下である二酸化バナジウム含有微粒子とともに、疎水性バインダー樹脂を含有していることを特徴とする。
〔二酸化バナジウム含有微粒子〕
本発明に係る光学機能層においては、疎水性バインダー樹脂中に一次粒子及び二次粒子を含めた全粒子の数平均粒子径が200nm以下である二酸化バナジウム含有微粒子が分散されて存在していることを特徴とする。
本発明に係る二酸化バナジウム含有微粒子の結晶形は、特に制限はないが、サーモクロミック性(自動調光性)を効率よく発現させる観点から、ルチル型の二酸化バナジウム含有微粒子(VO含有微粒子)を用いることが、特に好ましい。
ルチル型のVO含有微粒子は、転移温度以下では、単斜晶系(monoclinic)の構造を有するため、M型とも呼ばれる。本発明に係る二酸化バナジウム含有微粒子においては、目的を損なわない範囲で、A型、あるいはB型などの他の結晶型のVO含有微粒子を含んでもよい。
本発明においては、光学機能層中における二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子及び二次粒子を含めた全粒子の数平均粒径が、200nm以下であることを特徴とする。
光学機能層中における二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子及び二次粒子を含めた全粒子の数平均粒径(nm)は、前述の方法に従って求めることができる。
本発明に係る一次粒子及び二次粒子を含めた全粒子の数平均粒径は、200nm以下であることを特徴とするが、好ましくは1〜180nmの範囲内であり、より好ましくは、5〜100nmの範囲内であり、さらに好ましくは10〜80nmの範囲内である。
また、二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子径としては、1〜150nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは、5〜100nmの範囲内であり、最も好ましくは、10〜50nmの範囲内である。
本発明の光学フィルムは、上記測定法による求めることができる光学機能層中における二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子の粒子個数比率が、一次粒子及び二次粒子の総粒子数の30個数%以上であることが好ましく、さらに好ましくは50個数%以上であり、特の好ましくは70個数%以上である。理想的な上限は100個数%であるが、現状における最大値としては、95個数%以下である。
また、二酸化バナジウム含有微粒子のアスペクト比としては、1.0〜3.0の範囲内であることが好ましい。
このような特徴をもつ二酸化バナジウム含有微粒子では、アスペクト比が十分に小さく、形状が等方的であるので、溶液に添加した場合の分散性が良好である。加えて、単結晶状態での粒径が十分に小さいので、従来の微粒子に比べて、良好なサーモクロミック性を発揮することができる。
本発明に係る二酸化バナジウム含有微粒子では、二酸化バナジウム(VO)の他に、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)およびリン(P)からなる群から選定された、少なくとも一つの元素を含んでいても良い。このような元素の添加により、二酸化バナジウム含有微粒子の相転移特性(特に、調光温度)を制御することが可能となる。なお、最終的に得られる二酸化バナジウム含有微粒子に対する、そのような添加物(ドーパント)の総量は、バナジウム(V)原子に対して、0.1〜5.0原子%程度で十分である。
また、本発明に係る光学機能層における二酸化バナジウム含有微粒子の濃度としては、特に制限はないが、光学機能層全質量に対し、5〜60質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5〜40質量%の範囲内であり、さらに好ましくは5〜30質量%の範囲内である。
(1:二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法)
一般に、二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法は、固相法により合成されたVO焼結体を粉砕する方法と、五酸化二バナジウム(V)やバナジン酸アンモニウムなどのバナジウム化合物を原料として、液相でVOを合成しながら粒子成長させる水系合成法が挙げられる。
本発明に係る二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法としては、平均一次粒径が小さく、粒径のばらつきを抑制することができる点で、バナジウム化合物を原料として、液相でVO含有微粒子を合成しながら粒子成長させる水系合成法が好ましい。
更に、水系合成法としては、水熱合成法と、超臨界状態を用いた水系合成法が挙げられる。水熱合成法の詳細については後述する。また、超臨界状態を用いた水系合成法(超臨界水熱合成法ともいう。)の詳細については、例えば、特開2010−58984号公報の段落番号(0011)、同(0015)〜同(0018)に記載されている製造方法を参照することができる。
上記水系合成法の中でも、本発明においては、水熱合成法を適用し、かつ、水系合成法により二酸化バナジウム含有微粒子を含む水系分散液として調製し、水系分散液中の二酸化バナジウム含有微粒子を乾燥させることなく、溶媒置換工程により二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶剤分散液を調製し、二酸化バナジウム含有微粒子が離間している一次粒子を構成している分散状態で疎水系バインダー樹脂溶液と混合して、光学機能層形成用塗布液を調製する。この状態の光学機能層形成用塗布液を用いて、光学機能層を形成することにより、二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子及び二次粒子を含めた全粒子の数平均粒径が200nm以下である本発明に係る光学機能層を形成することができる。また、二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法として、必要に応じて、粒子成長の核となる微小なTiO等の微粒子を核粒子として添加し、その核粒子上に二酸化バナジウム相を成長させることにより二酸化バナジウム含有微粒子を製造することもできる。
次いで、本発明に好適な水熱合成法による二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法について、その詳細をさらに説明する。
以下に、代表的な水熱合成法による二酸化バナジウム含有微粒子の製造工程を示す。
(工程1)
バナジウム(V)を含む物質(I)と、ヒドラジン(N)又はその水和物(N・nHO)と、水とを混ぜて原料溶液(A)を調製する。この原料溶液(A)は、バナジウム(V)を含む物質(I)が水中に溶解した水溶液であっても、あるいはバナジウム(V)を含む物質(I)が水中に分散した懸濁液の状態であっても良い。
バナジウム(V)を含む物質(I)としては、例えば、五酸化二バナジウム(V)、バナジン酸アンモニウム(NHVO)、三塩化酸化バナジウム(VOCl)、メタバナジン酸ナトリウム(NaVO)等が挙げられる。なお、物質(I)としては、五価のバナジウム(V)を含む化合物であれば、特に限定されない。ヒドラジン(N)及びその水和物(N・nHO)は、バナジウム(V)を含む物質(I)の還元剤として機能するものであって、水に容易に溶解する性質を有する。
原料溶液(A)は、最終的に得られる二酸化バナジウム(VO)の単結晶微粒子にその他の元素を添加することができ、添加可能な元素を含む物質(II)を更に含有していてもよい。添加可能な元素としては、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)又はリン(P)が挙げられる。
これらの元素を、最終的に得られる二酸化バナジウム(VO)含有の単結晶微粒子に添加することにより、二酸化バナジウム含有微粒子のサーモクロミック性、特に、転移温度特性を制御することができる。
また、この原料溶液(A)は、酸化性または還元性を有する物質(III)が更に含有されていてもよい。物質(III)としては、例えば、過酸化水素(H)が挙げられる。酸化性または還元性を有する物質Cを添加することにより、溶液のpHを調整したり、物質(I)であるバナジウム(V)を含む物質を均一に溶解させたりすることができる。
(工程2)
次に、調製した原料溶液(A)を用いて、水熱反応処理を行う。ここで、「水熱反応」とは、温度と圧力が、水の臨界点(374℃、22MPa)よりも低い熱水(亜臨界水)中において生じる化学反応を意味する。水熱反応処理は、例えば、オートクレーブ装置内で行われる。水熱反応処理により、二酸化バナジウム(VO)含有の単結晶微粒子を得ることができる。
水熱反応処理の条件(例えば、反応物の量、処理温度、処理圧力、処理時間等。)は、適宜設定されるが、水熱反応処理の温度としては、例えば、250〜350℃の範囲内であり、好ましくは250〜300℃の範囲内であり、より好ましくは250〜280℃の範囲内である。温度を低くすることにより、得られる単結晶微粒子の粒径を小さくすることができるが、過度に粒径が小さいと、結晶性が低くなる。また、水熱反応処理の時間は、例えば、1時間〜5日の範囲内であることが好ましい。時間を長くすることにより、得られる単結晶微粒子の粒径等を制御することができるが、過度に長い処理時間では、エネルギー消費量が多く、また生産性も低下する。
(工程3)
必要に応じて、得られた二酸化バナジウム含有微粒子の表面に対し、樹脂によるコーティング処理や表面改質処理を施しても良い。これらの処理により、二酸化バナジウム含有微粒子の表面が保護され、表面改質された単結晶微粒子を得ることができる。本発明では、その中でも、二酸化バナジウム含有微粒子の表面を水系バインダー樹脂と同じ又は同種の樹脂により被覆されていることが好ましい態様である。なお、本発明でいう「被覆」とは、二酸化バナジウム含有微粒子に対し、当該樹脂により粒子全面が完全に覆われている状態であっても、あるいは、粒子表面の一部が樹脂により覆われている状態であってもよい。
以上の工程1〜工程3を経て、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム(VO)含有の単結晶微粒子を含む分散液が得られる。
〈二酸化バナジウム含有微粒子分散液の不純物の除去処理〉
上記水系合成法により調製された二酸化バナジウム含有微粒子の分散液中には、合成過程での生じた残渣などの不純物が含まれており、光学機能層を形成する際に、二次凝集粒子発生のきっかけとなり、光学機能層の長期保存時の劣化要因となることがあり、予め分散液の段階で不純物を除去することが好ましい。
二酸化バナジウム含有微粒子分散液中の不純物を除去する方法としては、従来公知の異物や不純物を分散液から分離する方法を適用することができる。例えば、二酸化バナジウム含有微粒子分散液に遠心分離処理を施し、二酸化バナジウム含有微粒子を沈殿させ、上澄み中の不純物を除去し、再び分散媒を添加、分散する方法、あるいは限外濾過膜などの交換膜を用いて不純物を系外へ除去する方法等を挙げることができるが、二酸化バナジウム含有微粒子の凝集を防止する観点からは、限外濾過膜を用いる方法が最も好ましい。
限外ろ過膜の構成材質としては、セルロース系、ポリエーテルスルホン系、ポリテトラフルオロエチレン(略称:PTFE)などを挙げることができ、その中でも、ポリエーテルスルホン系、PTFEを用いることが好ましい。
(2:二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液の調製方法:溶媒置換処理)
本発明においては、上記水系合成法により二酸化バナジウム含有微粒子を含む水系分散液を調製した後、水系分散液を、二酸化バナジウム含有微粒子が乾燥過程を経ることなく、溶媒置換工程により二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液を調製することが好ましい。
上記溶媒置換工程とは、二酸化バナジウム含有微粒子を含む分散液を濃縮する濃縮工程と、濃縮液に溶媒を添加して希釈する溶媒希釈工程より構成され、濃縮工程とそれに続く溶媒希釈工程で構成される処理操作を2回以上繰り返して、二酸化バナジウム含有微粒子を含む非水系の溶媒分散液を調製する工程である。
具体的な二酸化バナジウム含有微粒子を含む分散液の濃縮工程で用いる濃縮手段としては、前記と同様の限外濾過方法であることが好ましい。
以下、溶媒置換処理の詳細な方法について説明する。
本発明に係る溶媒置換処理で適用可能な溶媒は、有機溶媒であり、好ましくは、非水系の有機溶媒である。溶媒置換工程とは、最終的には、酸化バナジウム含有微粒子を含む水系分散液を構成している媒体である水を、有機溶媒に置換して、二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液を調製する工程である。溶媒分散液とすることにより、光学機能層を形成する疎水性バインダー樹脂との相溶性が向上し、均一性の高い光学機能層を形成することができる。
溶媒としては、特に制限はなく適宜選択することができるが,例えば、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶媒,酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒,エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶媒、ジオキサン、ヘキサン、オクタン、ジエチルエーテル、ジメチルホルムアミド等、同時に適用する疎水性バインダー樹脂の溶解能を有しているものであれば、使用可能である。
具体的な溶媒置換処理について、図を交えて説明する。
図4は、本発明に適用可能な溶媒置換処理装置の一例を示す概略構成図である。
図4に示す溶媒置換処理装置10は、上記に記載した方法で調製した二酸化バナジウム含有微粒子を含む分散液12を貯留するための調製釜11、希釈用の溶媒18を貯留している溶媒ストック釜17、溶媒18を調整釜11に添加する溶媒供給ライン19、調製釜11内の分散液12を、循環ポンプ14により循環させる循環ライン13、循環ライン13の経路内に濃縮手段として、限外濾過部15が配置されている。
工程(A):
調製釜11に、上記に記載した方法で調製した二酸化バナジウム含有微粒子を含む分散液12を貯留して、循環ポンプ14により分散液12を循環させながら、限外濾過部15で、分散液中の水分を排出口16より排出して、所定の濃度まで濃縮する。濃縮の目安としては、初期体積を100体積%としたとき、20体積%まで濃縮する。これ以上の過度の濃縮を行うと、粒子密度の上昇に伴う粒子凝集が生じるため、避けることが好ましい。また、この濃縮操作においては、分散液を乾燥させないことが重要である。
工程(B):
次いで、20体積%まで濃縮した分散液12に対し、溶媒ストック釜17より溶媒供給ライン19を経由して、溶媒18を80質量%相当添加し、十分に撹拌混合して、第一次の溶媒置換した分散液12を調製する。
工程(C):
次いで、上記工程(A)と同様にして、循環ポンプPにより循環させながら、限外濾過部15で、分散液中の媒体(水+溶媒)を系外に排出口16より排出して、再び20体積%の濃度まで濃縮する。
工程(D):
次いで、上記工程(B)と同様にして、濃縮した分散液に対し、溶媒ストック釜17より溶媒供給ライン19を経由して、溶媒18を80質量%相当添加し、十分に撹拌混合して、第二次の溶媒置換した分散液12を調製する。
工程(E):
最終的には、工程(A)及び工程(B)による濃縮及び溶媒希釈操作を、少なくとも2回繰り返して、水分含有量を0.1〜5.0質量%の範囲内に調整した二酸化バナジウム含有微粒子を含有する溶媒分散液を調製する。なお、水分含有量は、例えば、カールフィッシャー法等により測定して求めることができる。
すなわち、本発明に係る二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液においては、水分をある程度含有することができ、その目安はおおよそ30質量%以下であり、好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは5.0質量%以下である。また、下限は、0.01質量%以上であり、好ましくは0.05質量%以上であり、特に好ましくは0.1質量%以上である。したがって、水分含有量としては、0.01〜30質量%が好ましい範囲であり、0.1〜5.0質量%の範囲内であることが、特に好ましい範囲である。当該溶媒分散液中の水分が30質量%以下であれば、光学機能層形成時に、共存する疎水性バインダーの造膜性を阻害することがなく、低ヘイズとすることができ、0.01質量%以上であれば温度変化時の赤外線透過率と赤外線遮蔽率との変化幅をある程度大きくすることができる。特に、含水率が5.0質量%以下であれば、二酸化バナジウム含有微粒子の酸化防止と、共存する疎水性バインダーの造膜性に対する影響を更に抑制することができ、ヘイズもより低いレベルに維持することができる。また、0.1質量%以上とすることにより、温度変化時の赤外線透過率と赤外線遮蔽率との変化幅をさらに拡大することができ、好ましい条件である。
上記溶媒置換処理で適用可能な限外濾過膜を用いた限外濾過方法に関しては、例えば、リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)No.10208(1972)、No.13122(1975)及びNo.16351(1977)などを参照することができる。操作条件として重要な圧力差や流量は、大矢春彦著「膜利用技術ハンドブック」幸書房出版(1978)、p275に記載の特性曲線を参考に設定することができる。
本発明に適用可能な限外濾過膜としては、すでにモジュールとして組み込まれている平板型、スパイラル型、円筒型、中空糸型、ホローファイバー型などが旭化成(株)、ダイセル化学(株)、(株)東レ、(株)日東電工などから市販されているが、耐溶媒性のある膜としては、日本ガイシ(株)、(株)ノリタケなどのセラミック膜が好ましい。
その他には、例えば、限外濾過膜としてSartorius stedim社製ビバフロー50(有効濾過面積50cm、分画分子量5000)を用い、流速300mL/min(分)、液圧100kPa、室温で限外濾過を行う方法や、ポリエーテルスルホン製で分画分子量が30万の濾過膜を有する限外濾過装置(日本ミリポア株式会社製 ペリコン2カセット)等を挙げることができる。
〔疎水性バインダー樹脂〕
本発明に係る光学機能層においては、二酸化バナジウム含有微粒子を保持するバインダーとして、疎水性バインダー樹脂を適用することを特徴とする。
本発明でいう疎水性バインダー樹脂とは、100gの水に対し、液温25℃での溶解量が1.0g未満である樹脂をいい、さらに好ましくは、溶解量が0.5g未満の樹脂であり、さらに好ましくは、溶解量が0.25g未満の樹脂である。
本発明に適用する疎水性バインダー樹脂としては、疎水性ポリマー、又は疎水性バインダー樹脂の単量体を用い、硬化処理工程でポリマー化した樹脂であることが好ましい。
本発明に適用可能な疎水性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系ポリマー、アクリル酸エステル系共重合体;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)やASA樹脂(アクリロニトリル−スチレン−アクリレート樹脂)、セルロース系樹脂、ブチラール系樹脂等が挙げられる。
また、本発明に適用可能な疎水性バインダー樹脂の他の例として、疎水性バインダー樹脂の単量体を用い、硬化処理工程でポリマー化する樹脂を挙げることができる。
その代表的な疎水性バインダー樹脂材料としては、紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射により硬化する化合物であり、具体的にはラジカル活性種による重合反応により硬化するラジカル重合性化合物、及びカチオン活性種によるカチオン重合反応により硬化するカチオン重合性化合物を挙げることができる。
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられ、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、さらに種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられる。
カチオン重合性化合物としては、各種公知のカチオン重合性のモノマーが使用できる。例えば、特開平6−9714号公報、特開2001−31892号公報、特開2001−40068号公報、特開2001−55507号公報、特開2001−310938号公報、特開2001−310937号公報、特開2001−220526号公報等に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
上記化合物と共に光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、「UV・EB硬化技術の応用と市場」(シーエムシー出版、田畑米穂監修/ラドテック研究会編集)などに掲載されているあらゆる公知の光重合開始剤を用いることができる。
本発明においては、各構成材料と、二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液とを含む光学機能層形成用塗布液を、例えば、透明基材上に塗布した後、その後、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射する。これにより、形成した光学機能層薄膜を構成する光硬化性組成物は速やかに硬化する。
活性エネルギー線として紫外線を照射する場合、その光源としては、例えば、紫外線LED、紫外線レーザー、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、低圧水銀灯、蛍光ランプ、炭素アークランプ、タングステン−ハロゲン複写ランプ及び太陽光を使用することができる。電子線により硬化させる場合には、通常300eVの以下のエネルギーの電子線で硬化させるが、1〜5Mradの照射量で瞬時に硬化させることも可能である。
一方、本発明に係る光学機能層の他の形成方法としては、図2にその構成を例示するように、透明基材の構成材料である疎水性樹脂に、二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液及び溶媒を添加、溶解して、成膜用ドープを調製した後、当該ドープを用いて従来公知のフィルム成膜で用いられている溶液流涎法により、樹脂基材を兼ねた第2の実施態様であるハイブリッド光学機能層を形成する方法も好適に用いることができる。
上記方法で適用可能な疎水性バインダー樹脂B2としては、従来光学フィルムの成膜で用いられている樹脂材料を挙げることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(略称:TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(略称:CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類及びそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート(略称:PC)、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(略称:PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル及びポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)及びアペル(商品名三井化学社製)等のシクロオレフィン(略称:COP)系樹脂等を挙げることができる。
また、溶媒としては、特に制限はないが、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができる。
上記各構成材料を混合、調製したドープを用いて、溶液流延法により、図2で例示するような透明基材を兼ねたハイブリッド光学機能層を成膜する。
[光学機能層のその他の添加剤]
本発明に係る光学機能層においては、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で、各種の添加剤を添加することができる。例えば、特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報、及び特開昭62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、特開昭57−87989号公報、特開昭60−72785号公報、特開昭61−146591号公報、特開平1−95091号公報、及び特開平3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオン又はノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、特開昭59−52689号公報、特開昭62−280069号公報、特開昭61−242871号公報、及び特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、滑剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などが挙げられる。
[光学機能層の形成方法]
本発明に係る光学機能層の形成方法としては、特に制限はないが、第1の実施態様である光学機能層3の形成方法としては、水系合成法より二酸化バナジウム含有微粒子を調製し、乾燥させる工程を経ることがなく、溶媒置換工程により二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液を調製した後、疎水性ンバインダー樹脂等と混合、溶解して、非水系の光学機能層形成用塗布液を調製し、この非水系の光学機能層形成用塗布液を湿式塗布方式により、透明基材上に塗布、乾燥して第1の実施態様である光学機能層3を形成する方法が好ましい形成方法のひとつであるである。
上記光学機能層の形成に用いる湿式塗布方式としては、特に制限されず、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、スライド型カーテン塗布法、又は米国特許第2761419号明細書、米国特許第2761791号明細書などに記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法などが挙げられる。
また、第2の実施態様である樹脂基材を兼ねたハイブリッド光学機能層を形成する方法としては、フィルムの成膜方法として一般に知られている溶液流涎法を適用することができ、具体的な成膜方法としては、例えば、特開2013−067074号公報、特開2013−123868号公報、特開2013−202979号公報、特開2014−066958号公報、特開2014−095729号公報、特開2014−159082号公報等に記載されている溶液流延成膜法に従って、形成することができる。
《透明基材》
本発明に適用可能な透明基材としては、透明であれば特に制限はなく、ガラス、石英、透明樹脂フィルム等を挙げることができるが、フレキシブル性の付与及び生産適性(製造工程適性、ロール・ツー・ロール適性等)の観点からは、透明樹脂フィルムであることが好ましい。本発明でいう「透明」とは、可視光領域における平均光線透過率が20%以上であることをいい、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、特に好ましくは70%以上である。
本発明に係る透明基材の厚さは、30〜200μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは30〜100μmの範囲内であり、更に好ましくは35〜70μmの範囲内である。透明基材の厚さが30μm以上であれば、取扱い中にシワ等が発生しにくくなり、また厚さが200μm以下であれば、ガラス基材と貼り合わせる際のガラス曲面への追従性がよくなる。
本発明に係る透明基材は、二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましいが、未延伸又は少なくとも一方に延伸されたポリエステルフィルムを用いることもできる。強度向上、熱膨張性の抑制の点から延伸フィルムが好ましい。特に、本発明の光学フィルムを具備した合わせガラスを、自動車用のガラスとして用いられる際に、延伸フィルムがより好ましい。
本発明に係る透明基材は、光学フィルムのシワの生成や光学機能層の割れを防止する観点から、温度150℃において、熱収縮率が0.1〜3.0%の範囲内であることが好ましく、1.5〜3.0%の範囲内であることがより好ましく、1.9〜2.7%であることがさらに好ましい。
本発明の光学フィルムに適用可能な透明基材としては、種々の樹脂フィルムを用いることが好ましく、例えば、ポリオレフィンフィルム(例えば、シクロオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロースフィルム等を用いることができ、好ましくは、シクロオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、トリアセチルセルロースフィルムである。
透明樹脂フィルムは、成膜過程で片面又は両面にインラインで下引層塗布液を塗布することが好ましい。本発明においては、成膜工程中での下引塗布をインライン下引という。
《近赤外遮蔽層》
本発明の光学フィルにおいては、光学機能層に加え、700〜1000nmの光波長範囲内の少なくとも一部を遮蔽する機能を有する近赤外光遮蔽層を設ける構成とすることもできる。
本発明に適用可能な近赤外光遮蔽層の詳細については、例えば、特開2012−131130号公報、特開2012−139948号公報、特開2012−185342号公報、特開2013−080178号公報、特開2014−089347号公報等に記載されている構成要素及び形成方法等を参考にすることができる。
《光学フィルムの用途》
本発明の光学フィルムの用途としては、ガラスに後貼りする構成とすることができ、このフィルムを貼合したガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。フィルムを貼合したガラスは、これらの用途以外にも使用できる。上記フィルムを貼合したガラスは、建築用又は車両に用いることが好ましい。上記フィルムを貼合したガラスは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。
ガラス部材としては、無機ガラス及び有機ガラス(樹脂グレージング)が挙げられる。無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス、及び、グリーンガラス等の着色ガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラス(樹脂グレージング)としては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
《光学フィルムの作製》
〔光学フィルム101の作製〕
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液1の調製:粒子乾燥工程なし)
純水10mLに、バナジン酸アンモニウム(NHVO、和光純薬社製、特級)0.433gを混合し、更に、ヒドラジン水和物(N・HO、和光純薬社製、特級)の5質量%水溶液をゆっくり滴下し、pH値が9.2の溶液1を調製した。調製した溶液1を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三愛科学社製 HU−25型、SUS製本体に25ml容積のテフロン(登録商標)製内筒を備える構成。)内に入れ、100℃で8時間、引き続き270℃で24時間、水熱反応処理を施して、二酸化バナジウム含有微粒子が3.0質量%の濃度で分散されている水系の二酸化バナジウム含有微粒子分散液1を調製した。
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液1の限外濾過処理による溶媒系の二酸化バナジウム含有微粒子分散液2の調製)
上記調製した二酸化バナジウム含有微粒子分散液1を20℃に保った状態で、系内循環させる形で接続したポリエーテルスルホン製で分画分子量が30万の濾過膜を有する限外濾過装置(日本ミリポア株式会社製 ペリコン2カセット)を具備した図4に記載の溶媒置換処理装置を用いて濃縮操作を行い、初期の二酸化バナジウム含有微粒子分散液1の体積を100%とした時、20体積%まで濃縮した後、エチルアルコールを添加して、100体積%とした。次いで、この分散液を再度20体積%まで濃縮した後、溶媒としてメチルエチルケトンを添加して100体積%として、2回の溶媒置換処理を施し、粒子濃度が3質量%の溶媒系の二酸化バナジウム含有微粒子分散液2を調製した。
上記調製した酸化バナジウム含有微粒子分散液2中の水分含有量をカールフィッシャー法により測定した結果、4.05質量%であった。
(光学機能層形成用塗布液1の調製)
下記の各構成材料を順次添加、混合及び溶解して、溶媒系の光学機能層形成用塗布液1を調製した。
3質量%の二酸化バナジウム含有微粒子分散液2(溶媒:メチルエチルケトン) 28質量部
5質量%の疎水性バインダー樹脂(溶媒:メチルエチルケントン、溶質:バイロン200(非晶性ポリエステル樹脂、東洋紡社製)) 60質量部
(光学機能層の形成)
厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300、両面易接着層)の透明基材上に、押出コーターを用いて、上記調製した光学機能層形成用塗布液1を、乾燥後の層厚が1.5μmとなる条件で湿式塗布を行い、次いで110℃の温風を2分間吹きつけて乾燥させて、光学機能層を形成して、図1に記載の構成の光学フィルム101を作製した。
〔光学フィルム102の作製〕
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液3の調製)
上記二酸化バナジウム含有微粒子分散液2の調製において、更に、同様の溶媒置換処理装置を用いて、当該分散液2を20体積%まで濃縮した後、メチルエチルケトンを添加して100体積%として、溶媒置換処理を3回行い、粒子濃度が3質量%の溶媒系の二酸化バナジウム含有微粒子分散液3を調製した。
上記調製した酸化バナジウム含有微粒子分散液3中の水分含有量をカールフィッシャー法により測定した結果、0.84質量%であった。
(光学機能層形成用塗布液の調製及び光学機能層の形成)
上記光学フィルム101の作製において、二酸化バナジウム含有微粒子分散液2に代えて、上記調製した二酸化バナジウム含有微粒子分散液3を用いて、光学機能層形成用塗布液の調製及び光学機能層の形成を行った以外は同様にして、光学フィルム102を作製した。
〔光学フィルム103の作製〕
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液4の調製)
上記二酸化バナジウム含有微粒子分散液3の調製において、更に、同様の溶媒置換処理装置を用いて、当該分散液3を20体積%まで濃縮した後、メチルエチルケトンを添加して100体積%として、溶媒置換処理を4回行い、粒子濃度が3質量%の溶媒系の二酸化バナジウム含有微粒子分散液4を調製した。
上記調製した酸化バナジウム含有微粒子分散液4中の水分含有量をカールフィッシャー法により測定した結果、0.03質量%であった。
(光学機能層形成用塗布液の調製及び光学機能層の形成)
上記光学フィルム101の作製において、二酸化バナジウム含有微粒子分散液2に代えて、上記調製した二酸化バナジウム含有微粒子分散液4を用いて、光学機能層形成用塗布液の調製及び光学機能層の形成を行った以外は同様にして、光学フィルム103を作製した。
〔光学フィルム104の作製〕
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液5の調製)
上記二酸化バナジウム含有微粒子分散液4の調製において、更に、同様の溶媒置換処理装置を用いて、当該分散液4を20体積%まで濃縮した後、メチルエチルケトンを添加して100体積%として、溶媒置換処理を5回行い、粒子濃度が3質量%の溶媒系の二酸化バナジウム含有微粒子分散液5を調製した。
上記調製した酸化バナジウム含有微粒子分散液5中の水分含有量をカールフィッシャー法により測定した結果、0.008質量%であった。
(光学機能層形成用塗布液の調製及び光学機能層の形成)
上記光学フィルム101の作製において、二酸化バナジウム含有微粒子分散液2に代えて、上記調製した二酸化バナジウム含有微粒子分散液5を用いて、光学機能層形成用塗布液の調製及び光学機能層の形成を行った以外は同様にして、光学フィルム104を作製した。
〔光学フィルム105の作製〕
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液6の調製)
上記調製した二酸化バナジウム含有微粒子分散液1を20℃に保った状態で、前記と同様の図4に記載の溶媒置換処理装置を用いて濃縮操作を行い、初期の二酸化バナジウム含有微粒子分散液1の体積を100%とした時、30体積%まで濃縮した後、エチルアルコールを添加して、100体積%とした。次いで、この分散液を再度30体積%まで濃縮した後、溶媒としてメチルエチルケトンを添加して100体積%として、2回の溶媒置換処理を施し、粒子濃度が3質量%の溶媒系の二酸化バナジウム含有微粒子分散液6を調製した。
上記調製した酸化バナジウム含有微粒子分散液6中の水分含有量をカールフィッシャー法により測定した結果、9.10質量%であった。
(光学機能層形成用塗布液の調製及び光学機能層の形成)
上記光学フィルム101の作製において、二酸化バナジウム含有微粒子分散液2に代えて、上記調製した二酸化バナジウム含有微粒子分散液6を用いて、光学機能層形成用塗布液の調製及び光学機能層の形成を行った以外は同様にして、光学フィルム105を作製した。
〔光学フィルム106の作製〕
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液7の調製)
上記調製した二酸化バナジウム含有微粒子分散液1を20℃に保った状態で、前記と同様の図4に記載の溶媒置換処理装置を用いて濃縮操作を行い、初期の二酸化バナジウム含有微粒子分散液1の体積を100%とした時、28体積%まで濃縮した後、エチルアルコールを添加して、100体積%として、1回の溶媒置換処理を施し、粒子濃度が3質量%の溶媒系の二酸化バナジウム含有微粒子分散液7を調製した。
上記調製した酸化バナジウム含有微粒子分散液7中の水分含有量をカールフィッシャー法により測定した結果、28.10質量%であった。
(光学機能層形成用塗布液の調製及び光学機能層の形成)
上記光学フィルム101の作製において、二酸化バナジウム含有微粒子分散液2に代えて、上記調製した二酸化バナジウム含有微粒子分散液7を用いて、光学機能層形成用塗布液の調製及び光学機能層の形成を行った以外は同様にして、光学フィルム106を作製した。
〔光学フィルム107の作製〕
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液8の調製)
上記調製した二酸化バナジウム含有微粒子分散液1を20℃に保った状態で、前記と同様の図4に記載の溶媒置換処理装置を用いて濃縮操作を行い、初期の二酸化バナジウム含有微粒子分散液1の体積を100%とした時、50体積%まで濃縮した後、エチルアルコールを添加して、100体積%として、1回の溶媒置換処理を施し、粒子濃度が3質量%の溶媒系の二酸化バナジウム含有微粒子分散液8を調製した。
上記調製した酸化バナジウム含有微粒子分散液8中の水分含有量をカールフィッシャー法により測定した結果、50.10質量%であった。
(光学機能層形成用塗布液の調製及び光学機能層の形成)
上記光学フィルム101の作製において、二酸化バナジウム含有微粒子分散液2に代えて、上記調製した二酸化バナジウム含有微粒子分散液8を用いて、光学機能層形成用塗布液の調製及び光学機能層の形成を行った以外は同様にして、光学フィルム107を作製した。
〔光学フィルム108の作製〕
上記光学フィルム102の作製において、光学機能層形成用塗布液2の調製に用いた疎水性バインダー樹脂である非晶性ポリエステル樹脂(バイロン200)に代えて、同量のポリビニルブチラール樹脂(略称:PVB)を用いて調製した光学機能層形成用塗布液9により光学機能層を形成した以外は同様にして、光学フィルム108を作製した。
(光学機能層形成用塗布液8の調製)
下記の各構成材料を順次添加、混合及び溶解して、溶媒系の光学機能層形成用塗布液8を調製した。
3質量%の二酸化バナジウム含有微粒子分散液3(溶媒:メチルエチルケトン) 28質量部
5質量%の疎水性バインダー樹脂(溶媒:メチルエチルケントン/トルエン=1/1、溶質:ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBX−1、積水化学工業社製)) 60質量部
〔光学フィルム109の作製〕
上記光学フィルム102の作製において、光学機能層形成用塗布液2の調製に用いた疎水性バインダー樹脂である非晶性ポリエステル樹脂(バイロン200)に代えて、同量のジアセチルセルロース(略称:DAC)を用いて調製した光学機能層形成用塗布液9により光学機能層を形成した以外は同様にして、光学フィルム109を作製した。
(光学機能層形成用塗布液9の調製)
下記の各構成材料を順次添加、混合及び溶解して、溶媒系の光学機能層形成用塗布液9を調製した。
3質量%の二酸化バナジウム含有微粒子分散液3(溶媒:メチルエチルケトン) 28質量部
5質量%の疎水性バインダー樹脂(溶媒:メチルエチルケントン、溶質:ジアセチルセルロース、酢化度=55%、重量平均分子量=18万)
60質量部
〔光学フィルム110の作製〕
上記光学フィルム102の作製に用いた二酸化バナジウム含有微粒子分散液3の調製において、溶媒置換処理を、図4に記載した限外濾過装置を用いた方法に代えて、エバポレーターによる減圧蒸留法で行った以外は同様にして、二酸化バナジウム含有微粒子分散液9を調製し、これを用いた以外は同様にして、光学フィルム110を作製した。
〔光学フィルム111の作製〕
上記光学フィルム102の作製において、光学機能層形成用塗布液2に代えて、下記光学機能層形成用塗布液11を用いて、光学機能層を形成した以外は同様にして、光学フィルム111を作製した。
(光学機能層形成用塗布液11の調製)
下記の各構成材料を順次添加、混合及び溶解して、溶媒系の光学機能層形成用塗布液11を調製した。
3質量%の二酸化バナジウム含有微粒子分散液3(溶媒:メチルエチルケトン) 28質量部
5質量%の紫外線硬化型疎水性バインダー樹脂(溶媒:MEK、商品名V−7600B(日本合成化学工業社製、多官能ウレタンアクリレート、略称:UA) 60質量部
光重合開始剤:イルガキュア184(BASFジャパン製)
0.15質量部
(光学機能層の形成)
厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300、両面易接着層)の透明基材上に、上記調製した光学機能層形成用塗布液11を、乾燥後の層厚が1.5μmとなる条件でワイヤーバーを用いて塗布した後、空気雰囲気下で、アイグラフィックス社製のUV硬化装置(高圧水銀ランプ使用)を用い、硬化条件として、照度として400mJ/cmの条件で硬化を行い、その後、80℃で、3分間の乾燥を行い、光学フィルム111を作製した。
〔光学フィルム112の作製〕
上記光学フィルム102の作製に用いた二酸化バナジウム含有微粒子分散液3に代えて、下記の方法で調製した二酸化バナジウム含有微粒子分散液10を用いた以外は同様にして、光学フィルム112を作製した。
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液10の調製)
二酸化バナジウム含有微粒子分散液3の調製に用いたバナジウム原子の供給源であるバナジン酸アンモニウム(NHVO、和光純薬社製、特級)に代えて、五酸化二バナジウム(V)を用いた以外は同様にして、公知の合成方法に従って、二酸化バナジウム含有微粒子を含む二酸化バナジウム含有微粒子分散液10を調製した。
〔光学フィルム113の作製〕
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液11の調製)
前記調製した水系の二酸化バナジウム含有微粒子分散液1を20℃に保った状態で、前記図4に記載したのと同様の構成の溶媒置換処理装置を用いて濃縮操作を行い、初期の二酸化バナジウム含有微粒子分散液1の体積を100%とした時、20体積%まで濃縮した後、エチルアルコールを添加して、100体積%とした。次いで、この分散液を再度20体積%まで濃縮した後、溶媒としてメチレンクロライド(略称:MC)を添加して100体積%として、更に、この分散液を20体積%まで濃縮した後、溶媒としてメチレンクロライドを添加して100体積%として、3回の溶媒置換処理を施し、粒子濃度が3質量%の溶媒系の二酸化バナジウム含有微粒子分散液11を調製し、日本精線(株)製のファインメットNFで濾過した。
上記調製した二酸化バナジウム含有微粒子分散液11中の水分含有量をカールフィッシャー法により測定した結果、0.84質量%であった。
(ドープの調製)
はじめに、加圧溶解タンクに下記に示すメチレンクロライドとエタノールを添加した。有機溶媒の入った加圧溶解タンクに、トリアセチルセルロース(略称:TAC)及び上記調製した二酸化バナジウム含有微粒子分散液11を攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、トリアセチルセルロースを溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープを調製した。
〈ドープの組成〉
メチレンクロライド 487質量部
エタノール 45質量部
疎水性ポリマー樹脂:トリアセチルセルロース(リンター綿から合成されトリアセチルセルロース、アセチル基置換度=2.88、Mn=15万、Mw=30万) 100質量部
3質量%の二酸化バナジウム含有微粒子分散液11 33質量部
(製膜)
上記調製したドープを用い、特開2014−095729号公報及び特開2014−159082号公報に記載されている溶液流延製膜法に従って、ハイブリッド光機能層である光学フィルム113を作製した。
〔光学フィルム114の作製〕
(ドープの調製)
加圧溶解タンクに下記に示すメチレンクロライドを添加した。有機溶媒の入った加圧溶解タンクに、シクロオレフィンポリマー(略称:COP)及び上記調製した二酸化バナジウム含有微粒子分散液11を攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、シクロオレフィンポリマーを溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープを調製した。
〈ドープの組成〉
メチレンクロライド 192質量部
疎水性ポリマー樹脂:シクロオレフィンポリマー(商品名:アートン、JSR(株)製) 76.9質量部
3質量%の二酸化バナジウム含有微粒子分散液11 12.0質量部
(製膜)
上記調製したドープを用い、特開2014−095729号公報及び特開2014−159082号公報に記載されている溶液流延製膜法に従って、ハイブリッド光機能層である光学フィルム114を作製した。
〔光学フィルム115の作製〕
(ドープの調製)
加圧溶解タンクに下記に示すメチレンクロライドを添加した。有機溶媒の入った加圧溶解タンクに、アクリル樹脂としてポリメタクリル酸メチル(略称:PMMA)及び上記調製した二酸化バナジウム含有微粒子分散液11を攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、ポリメタクリル酸メチルを溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープを調製した。
〈ドープの組成〉
メチレンクロライド 192質量部
疎水性ポリマー樹脂:アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル、商品名:VB−7103、三菱レイヨン(株)製) 76.9質量部
3質量%の二酸化バナジウム含有微粒子分散液11 25.6質量部
(製膜)
上記調製したドープを用い、特開2014−095729号公報及び特開2014−159082号公報に記載されている溶液流延製膜法に従って、ハイブリッド光機能層である光学フィルム115を作製した。
〔光学フィルム116の作製〕
上記光学フィルム101の作製において、二酸化バナジウム含有微粒子分散液2に代えて、下記二酸化バナジウム含有微粒子分散液12を用いた以外は同様にして、光学フィルム116を作製した。
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液12の調製:粒子乾燥工程あり)
純水10mlに、バナジン酸アンモニウム(NHVO、和光純薬社製、特級)0.433gを混合し、更に、ヒドラジン水和物(N・HO、和光純薬社製、特級)の5質量%水溶液をゆっくり滴下し、23℃、55%RHにけるpH値が9.2の溶液1を調製した。調製した溶液1を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三愛科学社製 HU−25型、SUS製本体に25ml容積のテフロン(登録商標)製内筒を備える構成。)内に入れ、100℃で8時間、引き続き270℃で24時間、水熱反応処理を施した。
次に、得られた反応生成物をろ過し、濾過残差を水及びエタノールで濾過洗浄を行った。さらに、この反応生成物を、定温乾燥機を用いて、60℃で10時間乾燥させて、二酸化バナジウム含有微粒子の紛体を得た。
次いで、得られた二酸化バナジウム含有微粒子の紛体を、メチルエチルケトンに3.0質量%の濃度となるように添加して混合液を調製し、超音波分散機(エスエムティー社製UH−300)で5分間の超音波分散処理を施して再分散させ、二酸化バナジウム含有微粒子分散液12を調製した。
〔光学フィルム117の作製〕
上記光学フィルム101の作製において、二酸化バナジウム含有微粒子分散液2に代えて、下記二酸化バナジウム含有微粒子分散液13を用いた以外は同様にして、光学フィルム117を作製した。
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液13の調製:粒子乾燥工程あり)
バナジルトリイソプロポキシドの13.7gを、イソプロパノール500mLに溶解した。この溶液にイオン交換水15mLを添加し、室温で72時間攪拌した後、溶媒(イソプロパノール)を除去した。残渣を解砕し、400℃で2時間焼成し、引き続き水素気流中で、450℃、2時間焼成することにより、焼成法による二酸化バナジウム含有微粒子を得た。
次いで、得られた二酸化バナジウム含有微粒子の紛体を、メチルエチルケトンに3.0質量%の濃度となるように添加して混合液を調製し、超音波分散機(エスエムティー社製UH−300)で5分間の超音波分散処理を施して再分散させ、二酸化バナジウム含有微粒子分散液13を調製した。
〔光学フィルム118の作製〕
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液14の調製:粒子乾燥工程あり)
純水10mlに、バナジン酸アンモニウム(NHVO、和光純薬社製、特級)0.433gを混合し、更に、ヒドラジン水和物(N・HO、和光純薬社製、特級)の5質量%水溶液をゆっくり滴下し、23℃、55%RHにけるpH値が9.2の溶液1を調製した。調製した溶液1を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三愛科学社製 HU−25型、SUS製本体に25ml容積のテフロン(登録商標)製内筒を備える構成。)内に入れ、100℃で8時間、引き続き270℃で24時間、水熱反応処理を施した。
次に、得られた反応生成物をろ過し、濾過残差を水及びエタノールで濾過洗浄を行った。さらに、この反応生成物を、定温乾燥機を用いて、60℃で10時間乾燥させて、二酸化バナジウム含有微粒子の紛体を得た。
次いで、得られた二酸化バナジウム含有微粒子の紛体を、純水に3.0質量%の濃度となるように添加して混合液を調製し、超音波分散機(エスエムティー社製UH−300)で5分間の超音波分散処理を施して再分散させ、二酸化バナジウム含有微粒子分散液14を調製した。
(光学機能層形成用塗布液17の調製)
下記の各構成材料を順次添加、混合及び溶解して水系の光学機能層形成用塗布液17を調製した。
3質量%の水系の二酸化バナジウム含有微粒子分散液14 28質量部
3質量%のホウ酸水溶液 10質量部
5質量%のポリビニルアルコール(5質量%水溶液、PVA−124;重合度:2400、ケン化度:98〜99mol%;クラレ株式会社製)
60質量部
5質量%の界面活性剤水溶液(ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル株式会社製) 2質量部
なお、ポリビニルアルコールであるPVA−124は、ヒドロキシ基含有の繰り返し単位の比率が50モル%以上の親水性ポリマーである。
(光学機能層の形成)
厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300、両面易接着層)の透明基材上に、押出コーターを用いて、上記調製した光学機能層形成用塗布液17を、乾燥後の層厚が1.5μmとなる条件で湿式塗布を行い、次いで110℃の温風を2分間吹きつけて乾燥させて、光学機能層を形成して、光学フィルム118を作製した。
《光学フィルムの特性値の測定》
上記作製した各光学フィルムについて、下記の方法に従って、光学機能層中の二酸化バナジウム含有微粒子の数平均粒径及び一次粒子比率を測定した。
各光学フィルムを構成する光学機能層の側面をミクロトームによりトリミングして、図1又は図2に示すような断面を露出させた。次いで、露出した断面について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、1万倍で断面を撮影した。撮影した断面の一定領域内に存在しているすべての二酸化バナジウム含有微粒子について、その粒径を測定した。
この時、測定する二酸化バナジウム含有微粒子は、300個とした。撮影した粒子には、図1又は図2に示すように単一粒子である一次粒子と、2粒子以上の凝集体である二次粒子とが含まれており、二酸化バナジウムの一次粒子VOの粒径は、各独立している粒子の直径を測定する。また、2個以上の粒子が凝集して存在している二酸化バナジウムについては、凝集体全体の投影面積を求めたのち、投影面積を円換算し、その直径をもって粒径とした。
以上のようにして求めた一次粒子と二次粒子の各直径について、数平均直径(nm)を求めた。次いで、上記測定した各粒子について、全粒子数に対する一次粒子の比率(粒子個数%)を求めた。
以上により作製した光学フィルム101〜118の構成及び粒子の特性値について、表1に示す。
Figure 0006465117
上記表1に略称で記載した各構成要素の詳細は、以下のとおりである。
(樹脂基材)
PET:ポリエチレンテレフタレート
(溶媒種類)
MEK:メチルエチルケトン
MC:メチレンクロライド
(疎水性バインダー樹脂)
PVB:ポリビニルブチラール
DAC:ジアセチルセルロース
UA:紫外線硬化型疎水性バインダー樹脂(多官能ウレタンアクリレート)
TAC:トリアセチルセルロース
COP:シクロオレフィンポリマー
PMMA:アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル)
(親水性樹脂)
PVA:ポリビニルアルコール
《光学フィルムの評価》
次いで、上記作製した各光学フィルムについて、下記の各評価を行った。
(ヘイズの評価)
上記作製した各光学フィルムについて、室温(25℃)で、ヘイズメータ−(日本電色工業社製、NDH2000)を用いて、ヘイズ(%)を測定し、下記の基準に従ってヘイズの評価を行った。
◎:ヘイズが、2.0%未満である
○:ヘイズが、2.0%以上、3.0%未満である
○△:ヘイズが、3.0%以上、5.0%未満である
△:5.0%以上、8.0%未満である
×:8.0%以上である
(可視光透過率の測定)
上記ヘイズ測定と同時に可視光透過率を測定した結果、本発明及び比較例は、いずれも50%以上の可視光透過率であった。後述の変化率は透過率が低い場合、大きく見積もられる傾向が出るが、本発明、比較いずれのサンプルもこの影響は小さい。
(分光透過率の温度依存性の評価)
上記作製した各光学フィルムについて、25℃・55%RHの環境下及び80℃・50%RHでの環境下における、それぞれの分光透過率を日本分光社製の分光透過率計V−570を用い、赤外領域である1500nmにおける各透過率を測定し、下式に従って、分光透過率の変化率を測定し、下記の基準に従って、分光透過率の温度依存性を評価した。変化率が大きいほど、夏場での遮熱効果と、冬場での光透過性を発現し、高い温度依存性を有しており、好ましいと判定した。
分光透過率の変化率(%)=〔(25℃・55%RHにおける分光透過率λ1500−80℃・55%RHにおける分光透過率λ1500)/25℃・55%RHにおける分光透過率λ1500〕×100
◎:分光透過率の変化率が、50%以上である
○:分光透過率の変化率が、45%以上、50%未満である
○△:分光透過率の変化率が、40%以上、45%未満である
△:分光透過率の変化率が、30%以上、40%未満である
△×:分光透過率の変化率が、20%以上、30%未満である
×:分光透過率の20%未満である
(強制劣化処理後の温度依存性の評価)
上記作製した各光学フィルムについて、55℃・80%RHの高温高湿環境下で3日間の強制劣化処理を行った後、上記分光透過率の温度依存性の評価と同様に、25℃・55%RHの環境下及び80℃・50%RHでの環境下における、それぞれの分光透過率を日本分光社製の分光透過率計V−570を用い、赤外領域である1500nmにおける各透過率を測定し、変化率を求め、上記同様の評価基準に従って、強制劣化処理後の温度依存性を評価した。
55℃・80%RHの高温高湿環境下で保存した後でも、変化幅を維持していれば、耐久性に優れていると判定した。
以上により得られた結果を、表2に示す。
Figure 0006465117
表2に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成よりなる光学機能層を有する光学フィルムは、比較例に対し、低ヘイズで、分光透過率の温度依存性が大きく、かつ高温高湿環境下で保存した後でも優れた分光透過率の温度依存性を維持していることが分かる。
本発明の光学フィルムは、温度環境に応じて近赤外遮蔽率を調節できるサーモクロミック性を有し、低ヘイズで、高湿環境下における保存安定性に優れ、かつ、温度変化時の赤外線透過効果と赤外線遮蔽効果の変化率が大きな光学フィルムであり、1対のガラス構成部材で挟持させて、合わせガラスを構成することができ、この合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物用の窓ガラス部材として好適に利用できる。
1 光学フィルム
2 透明基材
3 光学機能層
2+3 ハイブリッド光学機能層
4 近赤外光遮蔽層
10 溶媒置換処理装置
11 調製釜
12 二酸化バナジウム含有微粒子を含む分散液
13 循環ライン
14 循環ポンプ
15 限外濾過部
16 排出口
17 溶媒ストック釜
18 溶媒
19 溶媒供給ライン
B1、B2 疎水性バインダー樹脂
L 光線入射側
VO 二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子
VO 二酸化バナジウム含有微粒子の二次粒子

Claims (8)

  1. 少なくとも二酸化バナジウム含有微粒子と疎水性バインダー樹脂を含有する光学機能層を形成する工程を有する光学フィルムの製造方法であって、
    前記二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子及び二次粒子を含めた全粒子の数平均粒径が、200nm以下となるように調整し、
    前記二酸化バナジウム含有微粒子が、水系合成法により調製した二酸化バナジウム含有微粒子を含む水系分散液として調製した後、当該水系分散液を、前記二酸化バナジウム含有微粒子が乾燥状態を経ることなく、溶媒置換工程により二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液として調製することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 前記疎水性バインダー樹脂が、疎水性ポリマー又は疎水性バインダー樹脂の単量体を用い、硬化処理工程でポリマー化した樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法
  3. 前記溶媒置換工程が、二酸化バナジウム含有微粒子を含む分散液の濃縮工程と、前記濃縮工程で得られた濃縮液に溶媒を添加する溶媒希釈工程より構成され、前記濃縮工程及び溶媒希釈工程における処理操作を2回以上繰り返して、二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液を調製する工程であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記二酸化バナジウム含有微粒子を含む分散液の濃縮工程で用いる濃縮手段が、限外濾過方法であることを特徴とする請求項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記溶媒置換工程により調製した二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液が、水を0.01〜30質量%の範囲内で含有していることを特徴とする請求項から請求項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
  6. 前記溶媒置換工程により調製した二酸化バナジウム含有微粒子を含有する溶媒分散液と疎水性バインダーを含む光学機能層形成用塗布液を調製し、当該光学機能層形成用塗布液を、透明基材上に塗布、乾燥して光学機能層を形成することを特徴とする請求項から請求項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
  7. 前記溶媒置換工程により調製した二酸化バナジウム含有微粒子を含有する溶媒分散液と疎水性バインダーを含む光学機能層形成用ドープを調製し、当該光学機能層形成用ドープを、溶液流延法により光学機能層を形成することを特徴とする請求項から請求項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
  8. 前記光学機能層に加え、700〜1000nmの光波長範囲内の少なくとも一部を遮蔽する機能を有する近赤外光遮蔽層を形成することを特徴とする請求項から請求項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
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