JP2016188939A - 光学フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、温度環境に応じて近赤外光遮蔽率を調節できるサーモクロミック性を有しつつ、ヘイズが低く、長期間にわたり、過酷な環境下で保存した後でも、優れたひび割れ耐性、密着性及びサーモクロミック安定性を維持することができ、保存性に優れる光学フィルムを提供することである。
【解決手段】本発明の光学フィルムは、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有微粒子と、金属アルコキシドとを含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、近赤外光遮蔽用の光学フィルムに関する。さらに詳しくは、温度環境に応じて近赤外光遮蔽率を調節できるサーモクロミック性を有しつつ、ヘイズが低く、長期間にわたる使用における保存安定性に優れる光学フィルムに関する。
近年、車窓から入り込む太陽光の影響によって人肌で感じる熱さを遮り、高い断熱性又は遮熱性を備えたガラスやガラスに貼合するフィルムが市場に流通している。最近では、電気自動車等の普及に伴い、車内の冷房効率を高める観点から、ガラスに適用する近赤外光(熱線、赤外線)遮蔽フィルムの開発が盛んに行われている。
近赤外光遮蔽フィルムを車体や建物の窓ガラスに適用することにより、車内のエア・コンディショナー等の冷房設備への負荷を低減することができ、省エネルギー対策として有効な手段である。
このような近赤外光遮蔽フィルムとしては、赤外光吸収性物質としてITO(スズドープ酸化インジウム)などの導電体を含む光学フィルムが開示されている。また、特開2010−222233号公報には、赤外光反射層と赤外光吸収層とを有する機能性プラスチックフィルムを含む近赤外光遮蔽フィルムが開示されている。
一方、低屈折率層と高屈折率層とを交互に多数積層させた反射層積層体を有し、当該各屈折率層の層厚を調整することにより、近赤外光を選択的に反射する近赤外光遮蔽フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
このような構成よりなる近赤外光遮蔽フィルムは、太陽光の照度が高い赤道近傍の低緯度地帯では、その高い近赤外光遮蔽効果により、好ましく利用されている。しかしながら、中緯度〜高緯度地帯の冬場においては、逆に、太陽光をできるだけ車内や室内に取り込みたい場合にも、一律に入射光線を遮蔽してしまうという問題がある。
上記問題に対し、近赤外光遮蔽フィルムに対し、近赤外光の遮蔽や透過の光学的性質を温度により制御するサーモクロミック材料を適用する方法の検討がなされている。その代表な材料として、二酸化バナジウム(以下、「VO」とも記す。)が挙げられる。VOは、60℃前後の温度領域で相転移を起こし、サーモクロミック性を示すことが知られている。
すなわち、このVOの特性を利用した光学フィルムにより、高温になると熱の原因となる近赤外光を遮蔽し、低い温度では近赤外光を透過する特性を発現することが可能となる。この特性を利用することにより、夏場の暑い時期では近赤外光を遮蔽して室内の温度上昇を抑制し、冬場の寒い時期では、外部からの光エネルギーを取り込むことができるようになる。
このような特性を備えたVOの具体例としては、水熱合成により、バナジウム化合物と、ヒドラジン又はその水和物により、二酸化バナジウム(VO)のナノ微粒子を得る方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、上記水熱合成法により調製したVOナノ粒子を透明樹脂中に分散させ、樹脂基材上にVO分散樹脂層を形成する積層体とすることにより、サーモクロミックフィルムを提供することができる方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、二酸化バナジウム含有微粒子は、サーモクロミック性を発現する光学機能膜を形成する場合、二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子が凝集して、二次粒子を生じる場合があり、このような二次粒子が、光学機能膜中に存在すると、温度や湿度が大きく変動する環境下で長期間にわたり使用される際に、この凝集した二次粒子塊の部分を起点として、ひび割れや膜剥がれが生じることがある。
本発明者は、更に検討を進めて結果、二酸化バナジウム含有微粒子を含む光学フィルムを、過酷な環境下、例えば、高温高湿環境、光照射環境で長期間にわたり保存した際に、含有している二酸化バナジウム含有微粒子が酸化を受け、上記と同様に、ひび割れや密着性の低下を引き起こすとともに、サーモクロミック性も低下するという、耐久性、保存性に対する問題が生じることが判明し、より一層安定性に優れた二酸化バナジウム含有微粒子を含む光学フィルムの開発が望まれている。
国際公開第2013/065679号 特開2011−178825号公報 特開2013−184091号公報
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その課題は、温度環境に応じて近赤外光遮蔽率を調節できるサーモクロミック性を有しつつ、ヘイズが低く、長期間にわたり、過酷な環境下で保存した後でも、優れたひび割れ耐性、密着性及びサーモクロミック安定性を維持することができ、保存性に優れる光学フィルムを提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有微粒子と、金属アルコキシドとを含むことを特徴とする光学フィルムにより、温度環境に応じて近赤外光遮蔽率を調節できるサーモクロミック性を有し、ヘイズが低く、長期間にわたり、過酷な環境下で保存した後でも、優れたひび割れ耐性、密着性及びサーモクロミック安定性を維持することができる光学フィルムを提供できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
1.サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有微粒子と、金属アルコキシドとを含むことを特徴とする光学フィルム。
2.前記金属アルコキシドを構成する金属元素が、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、ケイ素(Si)及びロジウム(Rh)から選ばれることを特徴とする第1項に記載の光学フィルム。
3.前記二酸化バナジウム含有微粒子の表面が、前記金属アルコキシドにより被覆され、コア・シェル構造を有していることを特徴とする第1項又は第2項に記載の光学フィルム。
4.前記二酸化バナジウム含有微粒子の数平均粒径が、30〜125nmの範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
本発明の上記手段により、温度環境に応じて近赤外光遮蔽率を調節できるサーモクロミック性を有し、ヘイズが低く、長期間にわたる使用に際してもひび割れ耐性及び密着性に優れた光学フィルムを提供することができる。
二酸化バナジウム含有微粒子自身は、大気中の酸素等により、酸化を受けやすく、酸化により、粒子が劣化することになり、その結果、二酸化バナジウム含有微粒子を含有する層のひび割れ耐性や、基材等の密着性が低下、あるいはサーモクロミック性の低下を引き起こすことになる。
上記二酸化バナジウム含有微粒子の酸化に対する改良技術について検討を進めた結果、金属アルコキシドを共存させることが有効であることを見いだし、より効果的には、二酸化バナジウム含有微粒子の表面を、金属アルコキシド薄膜で被覆して、コア・シェル構造を形成することにより、大気中の酸素の影響を遮断でき、長期間にわたる保存に際しても、酸化を受けることなく良好なサーモクロミック性を維持することができることを見いだし、本発明に至った。
本発明の光学フィルムの基本的な構成の一例を示す概略断面図 本発明の近赤外光遮蔽層を有する光学フィルムの層配置の一例を示す概略断面図 本発明に係る二酸化バナジウム含有微粒子の調製工程で適用可能な溶媒置換処理装置の一例を示す概略工程図
本発明の光学フィルムは、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有微粒子とともに、金属アルコキシドとを含むことを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項4に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、前記金属アルコキシドを構成する金属元素として、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、ケイ素(Si)及びロジウム(Rh)から選ばれることが、二酸化バナジウムに対し、より優れた酸化防止効果を発現させることができる点で好ましい。
また、二酸化バナジウム含有微粒子の表面が、前記金属アルコキシドにより被覆され、コア・シェル構造を形成していることが、より効果的に二酸化バナジウム含有微粒子の酸化防止効果を発現させることができる観点から好ましい。
また、二酸化バナジウム含有微粒子の数平均粒径を、30〜125nmの範囲内とすることが、より低ヘイズの光学フィルムを得ることができる点で好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、以下の説明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《光学フィルムに二酸化バナジウム含有微粒子を存在させる構成例》
本発明の光学フィルムでは、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有微粒子と、金属アルコキシドとを共存させることを特徴としており、光学フィルムの構成要素中に二酸化バナジウム含有微粒子と、金属アルコキシドを同時に有していればよい。
本発明に係る二酸化バナジウム含有微粒子と金属アルコキシドとを共存させる方法としては、特に制限はないが、例えば、下記に示す構成を挙げることができる。
構成1:樹脂基材上に、光学機能層を形成し、当該光学機能層を構成するバインダー樹脂中に、二酸化バナジウム含有微粒子と、金属アルコキシドとを、それぞれ独立させた状態で存在している構成、
構成2:樹脂基材上に、二酸化バナジウム含有微粒子とバインダー樹脂を含有する光学機能層を形成し、当該光学機能層の空気界面側、あるいは当該光学機能層の両面に、金属アルコキシドを含む金属アルコキシド含有層を形成している構成、
構成3:樹脂基材上に、二酸化バナジウム含有微粒子の表面を、金属アルコキシドにより被覆されているコア・シェル構造の複合粒子を含有する光学機能層を形成する構成、
構成4:樹脂基材中に、酸化バナジウム含有微粒子と、金属アルコキシドとを、それぞれ独立させた状態で存在させ、光学機能層と樹脂基材の機能を兼ねたハイブリッド構成、
構成5::樹脂基材中に、二酸化バナジウム含有微粒子の表面を、金属アルコキシドにより被覆されているコア・シェル構造の複合粒子を含有させ、光学機能層と樹脂基材の機能を兼ねたハイブリッド構成、
等を挙げることができる。
次いで、上記説明した本発明の光学フィルムの構成について、その一例を、図を交えて説明する。
図1は、本発明の光学フィルムの代表的な構成の一例を示す概略断面図である。
図1の(a)は、上記説明した構成1に相当する概略断面図である。
図1の(a)において、光学フィルム(1)は、樹脂基材(2)上に、バインダー樹脂(B1)に、二酸化バナジウム含有微粒子(4)と、金属アルコキシド(5)とを、それぞれ独立させた状態で含有している光学機能層(3)を有する構成を示している。このような構成とすることにより、二酸化バナジウム含有微粒子(4)近傍に位置する金属アルコキシド(5)が、外部環境から光学機能層(3)中に侵入してくる酸素やその他の有害成分の二酸化バナジウム含有微粒子(4)へのアタックを抑制することができる。
図1の(b)は、上記説明した構成3に相当する概略断面図である。
図1の(b)において、光学フィルム(1)は、樹脂基材(2)上に、バインダー樹脂(B1)に、酸化バナジウム含有微粒子(4)の表面を、金属アルコキシド(5)により被覆されているコア・シェル構造の複合粒子(6)を含有する光学機能層(3)を有する構成を示してある。
このように、酸化バナジウム含有微粒子(4)表面を、金属アルコキシド(5)で被覆して、コア・シェル構造とすることにより、二酸化バナジウム含有微粒子(4)の酸化等による性能の劣化を防止することができる。
図1の(c)は、上記説明した構成5に相当する概略断面図である。
図1の(c)において、光学フィルム(1)は、ハイブリッド光学機能層(2+3)を構成するバインダー樹脂(B2)中に、二酸化バナジウム含有微粒子(4)の表面を、金属アルコキシド(5)により被覆されているコア・シェル構造の複合粒子(6)を含有させ、光学機能層と樹脂基材の機能を兼ねたハイブリッド光学機能層(2+3)である。
《光学フィルムの全体構成》
図2は、本発明の近赤外光遮蔽層を有する光学フィルムの層配置の一例を示す概略断面図である。
図2の(a)〜(c)は、図1の(a)又は(b)に示す構成で、透明基材(2)上に、本発明に係る二酸化バナジウム含有微粒子(4)と金属アルコキシド(5)とを含有する光学機能層(3)と共に、近赤外光遮蔽層(6)を有する光学フィルム(1)である。
図2の(a)で示す光学フィルム(1)は、光線入射側(L)より、本発明に係る二酸化バナジウム含有微粒子と金属アルコキシドとを含有する光学機能層(3)、近赤外光遮蔽層(7)及び透明基材(2)の順に積層配置されている構成である。
図2の(b)で示す光学フィルム(1)では、透明基材(2)と近赤外光遮蔽層(7)との間に、本発明に係る光学機能層(3)を配置した例であり、図2の(c)は、透明基材(2)の光線入射側(L)に近赤外光遮蔽層(7)を配置し、透明基材(2)の裏面側に本発明に係る光学機能層(3)を配置した例である。
一方、図2の(d)で示す構成は、図1の(c)で代表される構成で、樹脂基材を構成するバインダー樹脂中に、例えば、二酸化バナジウム含有微粒子と、金属アルコキシドから構成されるコア・シェル構造の複合粒子を含有して、光学機能層と樹脂基材の機能を兼ねたハイブリッド光学機能層(2+3)上に、近赤外光遮蔽層(7)を配置した構成である。
本発明の光学フィルムとしては、上記説明した各構成層の他に、必要に応じて、各種機能層を設けてもよい。
本発明の光学フィルムの総厚としては、特に制限はないが、10〜1500μmの範囲内であり、好ましくは20〜1000μmの範囲内であり、さらに好ましくは30〜500μmの範囲内であり、特に好ましくは40〜300μmの範囲内である。
本発明の光学フィルムの光学特性として、JIS R3106(1998)で測定される可視光透過率としては、好ましくは30%以上であり、より好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは60%以上である。
《光学フィルムの各構成材料》
本発明の光学フィルムは、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有微粒子と金属アルコキシドを含有することを特徴とする。この二酸化バナジウム含有微粒子と金属アルコキシドは、上記で説明したように、光学機能層中で共存させても、あるいは樹脂基材中に共存させてもよい。
以下、本発明の光学フィルムの構成要素である二酸化バナジウム含有微粒子、金属アルコキシドと、光学機能層、樹脂基材、近赤外光遮蔽層の詳細について説明する。
〔二酸化バナジウム含有微粒子〕
本発明に係るサーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有微粒子の結晶形は、特に制限はないが、サーモクロミック性(自動調光性)を効率よく発現させる観点から、ルチル型の二酸化バナジウム含有微粒子(VO含有微粒子)を用いることが、特に好ましい。
ルチル型のVO含有微粒子は、転移温度以下では、単斜晶系(monoclinic)の構造を有するため、M型とも呼ばれる。本発明に係る二酸化バナジウム含有微粒子においては、目的を損なわない範囲で、A型、あるいはB型などの他の結晶型のVO含有微粒子を含んでもよい。
(1.数平均粒径及び一次粒子比率の測定)
本発明においては、光学機能層中又は樹脂基材中に存在する二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子及び二次粒子の数平均粒径が、30〜125nmの範囲内であることが好ましい。
本発明でいう二酸化バナジウム含有微粒子の数平均粒径は、下記の方法により求めることができる。
はじめに、二酸化バナジウム含有微粒子を含有する光学機能層、又は樹脂基材の側面を、ミクロトーム等を用いてトリミングし、図1の(a)及び(b)に示すような二酸化バナジウム含有微粒子を含有する光学機能層(3)、又は図1の(c)で示すような二酸化バナジウム含有微粒子を含有する樹脂基材(2+3)の断面を露出させる。
次いで、露出した断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、1万〜10万倍で撮影する。撮影した二酸化バナジウム含有微粒子を含む断面の一定領域内に存在しているすべての二酸化バナジウム含有微粒子について、その粒径を測定する。この時、測定する二酸化バナジウム含有微粒子としては、100〜300個の範囲内であることが好ましい。撮影した二酸化バナジウム含有微粒子群には、一次粒子と二次粒子とが混在しており、二酸化バナジウムの一次粒子の粒径は、各独立している粒子の直径を測定する。もし、球形でない場合には、粒子の投影面積を円換算し、その直径をもって粒径とする。一方、2個以上の粒子が凝集して存在している二酸化バナジウムの二次粒子については、凝集体全体の投影面積を求めたのち、投影面積を円換算し、その直径をもって粒径と、それらの凝集した二次粒子を1粒子とする。以上のようにして求めた一次粒子と二次粒子の各直径について、数平均直径を求める。切り出した断面部には粒子分布のバラつきがあるため、このような数平均直径の測定について、異なるシーンの断面領域10か所について行い、全体の数平均直径を求め、本発明でいう数平均粒径を求める方法が好ましい。
本発明に係る一次粒子及び二次粒子の数平均粒径は、200nm以下であることを特徴とするが、好ましくは1〜180nmの範囲内であり、より好ましくは、5〜100nmの範囲内であり、さらに好ましくは10〜80nmの範囲内である。
また、二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒径としては、1〜150nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは、5〜100nmの範囲内であり、最も好ましくは、10〜50nmの範囲内である。
なお、上記二酸化バナジウム含有微粒子の粒径測定においては、例えば、図1の(b)や図1の(c)で示すような二酸化バナジウム含有微粒子(4)の表面を、金属アルコキシド(5)により被覆しているコア・シェル構造の複合粒子(6)である場合には、本発明でいう二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子の直径は、金属アルコキシド(5)により構成されるシェル層の厚さを含む。ただし、二酸化バナジウム含有微粒子(4)の直径に対し、金属アルコキシド(5)により構成されるシェル層の厚さは、圧倒的に薄いため、多くの場合は無視することができる。
また、本発明の光学フィルムにおいては、上記測定法による求めることができる光学機能層、又は樹脂基材中における二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子の粒子個数比率が、一次粒子及び二次粒子の総粒子数の30個数%以上であることが好ましく、さらに好ましくは45個数%以上であり、特の好ましくは70個数%以上である。理想的な上限は100個数%であるが、現状における最大値としては、95個数%以下である。
また、二酸化バナジウム含有微粒子のアスペクト比としては、1.0〜3.0の範囲内であることが好ましい。
このような特徴をもつ二酸化バナジウム含有微粒子では、アスペクト比が十分に小さく、形状が等方的であるので、溶液に添加した場合の分散性が良好である。加えて、単結晶の粒径が十分に小さいので、従来の微粒子に比べて、良好なサーモクロミック性を発揮することができる。
(2.ドープ用金属原子)
本発明に係る二酸化バナジウム含有微粒子では、二酸化バナジウム(VO)の他に、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)およびリン(P)からなる群から選定された元素を含んでいても良い。このような元素の添加により、二酸化バナジウム含有微粒子の相転移特性(特に、調光温度)を制御することが可能となる。なお、最終的に得られる二酸化バナジウム含有微粒子に対する、そのような添加物の総量は、バナジウム(V)原子に対して、0.1〜5.0原子%程度で十分である。
(3.光学機能層又は樹脂基材中における二酸化バナジウム含有微粒子の含有量)
また、本発明に係る二酸化バナジウム含有微粒子の光学機能層又は樹脂基材中における濃度としては、特に制限はないが、光学機能層に添加する場合には、光学機能層全質量に対し、5〜60質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5〜40質量%の範囲内であり、さらに好ましくは5〜30質量%の範囲内である。樹脂基材に添加する場合にも、5〜40質量%の範囲内であることが好ましい。
(4:二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法)
一般に、二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法は、固相法により合成されたVO焼結体を粉砕する方法と、五酸化二バナジウム(V)やバナジン酸アンモニウムなどのバナジウム化合物を原料として、液相でVOを合成しながら粒子成長させる水系合成法が挙げられる。
本発明に係る二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法としては、平均一次粒径が小さく、粒径のばらつきを抑制することができる点で、バナジウム化合物を原料として、液相でVO含有微粒子を合成しながら粒子成長させる水系合成法が好ましい。
更に、水系合成法としては、水熱合成法と、超臨界状態を用いた水系合成法が挙げられる。水熱合成法の詳細については後述する。また、超臨界状態を用いた水系合成法(超臨界水熱合成法ともいう。)の詳細については、例えば、特開2010−58984号公報の段落番号(0011)、同(0015)〜(0018)に記載されている製造方法を参照することができる。
上記水系合成法の中でも、本発明においては、水熱合成法を適用し、かつ、水系合成法により二酸化バナジウム含有微粒子を含む水系分散液として調製し、水系分散液中の二酸化バナジウム含有微粒子を乾燥させることなく、溶媒置換工程により二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶剤分散液を調製し、二酸化バナジウム含有微粒子が離間している分散状態で疎水系バインダー樹脂溶液と混合して、光学機能層形成用塗布液を調製する。この状態の光学機能層形成用塗布液を用いて、光学機能層を形成することにより、二酸化バナジウム含有微粒子の一次粒子及び二次粒子の数平均粒径が200nm以下である本発明に係る光学機能層を形成することができる。また、二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法として、必要に応じて、粒子成長の核となる微小なTiO等の微粒子を核粒子として添加し、その核粒子を成長させることにより二酸化バナジウム含有微粒子を製造することもできる。
次いで、本発明に好適な水熱合成法による二酸化バナジウム含有微粒子の製造方法について、その詳細をさらに説明する。
以下に、代表的な水熱合成法による二酸化バナジウム含有微粒子の製造工程を示す。
〈工程1〉
バナジウム(V)を含む物質(I)と、ヒドラジン(N)またはその水和物(N・nHO)と、水とを混合して、溶液(A)を調製する。この溶液(A)は、バナジウム(V)を含む物質(I)が水中に溶解した水溶液であっても良いし、バナジウム(V)を含む物質(I)が水中に分散した懸濁液であっても良い。
バナジウム(V)を含む物質(I)としては、例えば、五酸化二バナジウム(V)、バナジン酸アンモニウム(NHVO)、三塩化酸化バナジウム(VOCl)、メタバナジン酸ナトリウム(NaVO)等が挙げられる。なお、バナジウム(V)を含む物質(I)としては、五価のバナジウム(V)を含む化合物であれば、特に限定されない。ヒドラジン(N)及びその水和物(N・nHO)は、物質(I)の還元剤として機能するものであって、水に容易に溶解する性質を有する。
溶液(A)は、最終的に得られる二酸化バナジウム(VO)の単結晶微粒子に元素を添加するため、添加する元素を含む物質(II)が更に含有していてもよい。添加する元素としては、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)又はリン(P)が挙げられる。
これらの元素を、最終的に得られる二酸化バナジウム(VO)含有の単結晶微粒子に添加することにより、二酸化バナジウム含有微粒子のサーモクロミック性、特に、転移温度を制御することができる。
また、この溶液(A)は、酸化性または還元性を有する物質(III)が更に含有されていてもよい。物質(III)としては、例えば、過酸化水素(H)が挙げられる。酸化性または還元性を有する物質Cを添加することにより、溶液のpHを調整したり、物質(I)であるバナジウム(V)を含む物質を均一に溶解させたりすることができる。
〈工程2〉
次に、調製した溶液(A)を用いて、水熱反応処理を行う。ここで、「水熱反応」とは、温度と圧力が、水の臨界点(374℃、22MPa)よりも低い熱水(亜臨界水)中において生じる化学反応を意味する。水熱反応処理は、例えば、オートクレーブ装置内で行われる。水熱反応処理により、二酸化バナジウム(VO)含有の単結晶微粒子が得られる。
水熱反応処理の条件(例えば、反応物の量、処理温度、処理圧力、処理時間等。)は、適宜設定されるが、水熱反応処理の温度は、例えば、250〜350℃の範囲内であり、好ましくは250〜300℃の範囲内であり、より好ましくは250〜280℃の範囲内である。温度を低くすることにより、得られる単結晶微粒子の粒径を小さくすることができるが、過度に粒径が小さいと、結晶性が低くなる。また、水熱反応処理の時間は、例えば1時間〜5日の範囲内であることが好ましい。時間を長くすることにより、得られる単結晶微粒子の粒径等を制御することができるが、過度に長い処理時間では、エネルギー消費量が多くなる。
以上の工程1及び工程2を経て、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム(VO)含有の単結晶微粒子を含む分散液が得られる。
〈二酸化バナジウム含有微粒子分散液の不純物の除去処理〉
上記水系合成法により調製された二酸化バナジウム含有微粒子の分散液中には、合成過程で生じた残渣などの不純物が含まれており、光学機能層を形成する際に、二次凝集粒子発生のきっかけとなり、光学機能層の長期保存での劣化要因となることがあり、予め分散液の段階で不純物を除去することが好ましい。
二酸化バナジウム含有微粒子分散液中の不純物を除去する方法としては、従来公知の異物や不純物を分離する手段を適用することができ、例えば、二酸化バナジウム含有微粒子分散液に遠心分離を施し、二酸化バナジウム含有微粒子を沈殿させ、上澄み中の不純物を除去し、再び分散媒を添加、分散する方法でも良いし、限外濾過膜などの交換膜を用いて不純物を系外へ除去する方法でも良いが、二酸化バナジウム含有微粒子の凝集を防止する観点からは、限外濾過膜を用いる方法が最も好ましい。
限外ろ過膜の材質としては、セルロース系、ポリエーテルスルホン系、ポリテトラフルオロエチレン(略称:PTFE)などを挙げることができ、その中でも、ポリエーテルスルホン系、PTFEを用いることが好ましい。
(5:二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液の調製方法:溶媒置換処理)
本発明においては、上記水系合成法により二酸化バナジウム含有微粒子を含む水系分散液を調製した後、水系分散液として、二酸化バナジウム含有微粒子が乾燥過程を経ることなく、溶媒置換工程により二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液を調製することが好ましい。
上記溶媒置換工程としては、二酸化バナジウム含有微粒子を含む分散液を濃縮する濃縮工程と、濃縮液に溶媒を添加して希釈する溶媒希釈工程より構成され、濃縮工程とそれに続く溶媒希釈工程で構成される処理操作を2回以上繰り返して、二酸化バナジウム含有微粒子を含む非水系の溶媒分散液を調製する工程であることが好ましい。
具体的な二酸化バナジウム含有微粒子を含む分散液の濃縮工程で用いる濃縮手段としては、限外濾過方法であることが好ましい。
以下、溶媒置換処理の詳細な方法について説明する。
本発明に係る溶媒置換処理で適用可能な溶媒は、有機溶媒であり、好ましくは、非水系の有機溶媒である。最終的には、酸化バナジウム含有微粒子を含む水系分散液を構成している媒体である水を、有機溶媒に置換して、二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液を調製する工程である。溶媒分散液とすることにより、光学機能層を形成するバインダー樹脂との相溶性が向上し、均一性の高い光学機能層を形成することができる。
溶媒としては、特に制限はなく適宜選択することができるが,例えば、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶媒,酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒,エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶媒、ジオキサン、ヘキサン、オクタン、ジエチルエーテル、ジメチルホルムアミド等、同時に適用するバインダー樹脂を溶解させるものであれば使用可能である。
具体的な溶媒置換処理について、図を交えて説明する。
図3は、本発明に適用可能な溶媒置換処理装置の一例を示す概略フロー図である。
図3に示す溶媒置換処理装置10は、上記調製した二酸化バナジウム含有微粒子を含む分散液12を貯留するための調製釜11、希釈用の溶媒18を貯留している溶媒ストック釜17、溶媒18を調整釜11に添加する溶媒供給ライン19、調製釜11を、循環ポンプ14により循環させる循環ライン13、循環ライン13の経路内に濃縮手段として、限外濾過部15が配置されている。
工程(A):調製釜11に、分散液12として、上記方法で調製した二酸化バナジウム含有微粒子を含む分散液を貯留して、循環ポンプ14により循環させながら、限外濾過部15で、分散液中の水分を排出口16より排出して、所定の濃度まで濃縮する。濃縮の目安としては、初期体積に対し20体積%まで濃縮する。これ以上に過度の濃縮を行うと、粒子密度の上昇に伴う粒子凝集が生じるため、避けることが好ましい。また、この濃縮操作においては、分散液を乾燥させないことが重要である。
工程(B):次いで、20体積%まで濃縮した分散液12に対し、溶媒ストック釜17より溶媒供給ライン19を経由して、溶媒18を80質量%相当添加し、十分に撹拌混合して、第一次の溶媒置換した分散液12を調製する。
工程(C):次いで、上記工程(A)と同様にして、循環ポンプPにより循環させながら、限外濾過部15で、分散液中の媒体(水+溶媒)を系外に排出16して、再び20体積%の濃度まで濃縮する。
工程(D):次いで、上記工程(B)と同様にして、濃縮した分散液に対し、溶媒ストック釜17より溶媒供給ライン19を経由して、溶媒18を80質量%相当添加し、十分に撹拌混合して、第一次の溶媒置換した分散液12を調製する。
工程(E):最終的には、工程(A)及び工程(B)による濃縮及び溶媒希釈操作を、少なくとも2回以上繰り返して、水分含有量を0.1〜5.0質量%の範囲内に調整した二酸化バナジウム含有微粒子を含有する溶媒分散液を調製する。なお、水分含有量は、例えば、カールフィッシャー法等により測定して求めることができる。
すなわち、本発明に係る二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液においては、水分をある程度含有することができ、30質量%以下であり、好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは5.0質量%以下である。また、下限は、0.01質量%以上であり、好ましくは0.05質量%以上であり、特に好ましくは0.1質量%である。したがって、水分含有量としては、0.01〜30質量%が好ましい範囲であり、0.1〜5.0質量%の範囲内であることが、特に好ましい態様である。当該溶媒分散液中の水分が30質量%以下であれば、光学機能層形成時に、共存するバインダー樹脂の造膜性を阻害することがなく、低ヘイズとすることができ、0.01質量%以上であれば温度変化時の赤外線透過率と赤外線遮蔽率との変化幅をある程度大きくすることができる。特に、含水率が5.0質量%以下であれば、二酸化バナジウム含有微粒子の酸化防止と、共存するバインダー樹脂の造膜性に対する影響を更に抑制することができ、ヘイズもより低いレベルに維持することができる。また、0.1質量%以上とすることにより、温度変化時の赤外線透過率と赤外線遮蔽率との変化幅をさらに拡大することができ、好ましい条件である。
上記溶媒置換処理で用いる限外濾過方法としては、例えば、リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)No.10208(1972)、No.13122(1975)及びNo.16351(1977)などを参照することができる。操作条件として重要な圧力差や流量は、大矢春彦著「膜利用技術ハンドブック」幸書房出版(1978)、p275に記載の特性曲線を参考に選定することができる。
限外濾過膜は、膜材質として、有機膜では、すでにモジュールとして組み込まれた平板型、スパイラル型、円筒型、中空糸型、ホローファイバー型などが旭化成(株)、ダイセル化学(株)、(株)東レ、(株)日東電工などから市販されているが、耐溶媒性のある膜としては、日本ガイシ(株)、(株)ノリタケなどのセラミック膜が好ましい。
具体的には、例えば、濾過膜としてSartorius stedim社製ビバフロー50(有効濾過面積50cm、分画分子量5000)を用い、流速300ml/min(分)、液圧100kPa、室温で限外濾過を行う方法や、ポリエーテルスルホン製で分画分子量が30万の濾過膜を有する限外濾過装置(日本ミリポア株式会社製 ペリコン2カセット)等を挙げることができる。
〔金属アルコキシド〕
本発明の光学フィルムは、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有微粒子と共に、金属アルコキシドを含有することを特徴とする。
本発明でいう「金属アルコキシド」とは、金属元素に対して結合するアルコキシ基を有する化合物をいい、下記一般式(1)で表わされる化合物である。
一般式(1)
M(OR(R
上記一般式(1)において、Mは周期表の1族〜14族の金属を表す。Rは置換基を有していてもよい1価の鎖式炭化水素基、置換基を有していてもよい1価の脂環式炭化水素基、又は置換基を有していてもよい単環若しくは多環の1価の芳香族もしくはヘテロ芳香族炭化水素基を表す。Rとして好ましくは、1価の鎖式炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数が1〜12の範囲内にあるアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等を挙げることができ、特に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、又はtert−ブチル基である。
は、置換又は非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基、又はアセチルアセトナート基を表す。aは、1以上の整数である。bは、0以上の整数である。a+bは、Mによって決定される任意の数を示し、bとして好ましくは0である。
Mは、周期表の1族〜14族の金属である。周期表の1族〜14族の金属の例としては、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ケイ素(Si)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロジウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)、鉛(Pb)、ラジウム(Ra)などが挙げられる。
Mとしては、中でも、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、ケイ素(Si)及びロジウム(Rh)から選ばれる元素であることが好ましく、更には、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)が好ましい。
は、置換又は非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基、又はアセチルアセトナート基を表す。ここで、アルキル基としては、炭素原子数1〜8の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などがある。また、アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などの非縮合炭化水素基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基などの縮合多環炭化水素基が挙げられる。
この中でも、炭素原子数3以上のアルキル基が好ましく、更には炭素原子数3以上の直鎖のアルキル基が好ましい。
本発明に係る金属アルコキシドの具体的な化合物例としては、ベリリウムアセチルアセトネート、ホウ酸トリメトキシド、ホウ酸トリエトキシド、ホウ酸トリn−プロポキシド、ホウ酸トリイソプロポキシド、ホウ酸トリn−ブトキシド、ホウ酸トリtert−ブトキシド、マグネシウムジメトキシド、マグネシウムジエトキシド、マグネシウムエトキシエトキシド、マグネシウムメトキシエトキシド、マグネシウムアセチルアセトネート、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリn−プロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリn−ブトキシド、アルミニウムトリsec−ブトキシド、アルミニウムトリtert−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセテートジn−ブチレート、アルミニウムジエチルアセトアセテートモノn−ブチレート、アルミニウムジイソプロピレートモノsec−ブチレート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ビス(エチルアセトアセテート)(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム、アルミニウムアルキルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムオキサイドイソプロポキサイドトリマー、アルミニウムオキサイドオクチレートトリマー、カルシウムメトキシド、カルシウムエトキシド、カルシウムイソプロポキシド、カルシウムアセチルアセトネート、スカンジウムアセチルアセトネート、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラノルマルプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンジイソプロポキシジノルマルブトキシド、チタンジターシャリーブトキシジイソプロポキシド、チタンテトラtert−ブトキシド、チタンテトライソオクチロキシド、チタンテトラステアリルアルコキシド、バナジウムトリイソブトキシドオキシド、トリス(2,4−ペンタンジオナト)クロム、クロムn−プロポキシド、クロムイソプロポキシド、マンガンメトキシド、トリス(2,4−ペンタンジオナト)マンガン、鉄メトキシド、鉄エトキシド、鉄n−プロポキシド、鉄トリイソプロポキシド、トリス(2,4−ペンタンジオナト)鉄、コバルトイソプロポキシド、トリス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト、ニッケルアセチルアセトネート、銅ジメトキシド、銅ジエトキシド、銅ジイソプロポキシド、銅アセチルアセトネート、亜鉛ジメトキシド、亜鉛ジエトキシド、亜鉛エトキシエトキシド、亜鉛メトキシエトキシド、ガリウムジメトキシド、ガリウムエトキシド、ガリウムイソプロポキシド、ガリウムアセチルアセトナート、ストロンチウムイソプロポキシド、イットリウムn−プロポキシド、イットリウムイソプロポキシド、イットリウムアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムtert−ブトキシド、テトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム、ニオブエトキシド、ニオブn−ブトキシド、ニオブtert−ブトキシド、モリブデンエトキシド、モリブデンアセチルアセトネート、パラジウムアセチルアセトネート、銀アセチルアセトネート、カドミウムアセチルアセトネート、トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム、インジウムイソプロポキシド、インジウムイソプロポキシド、インジウムn−ブトキシド、インジウムテトラメトキシド、スズn−ブトキシド、スズtert−ブトキシド、スズアセチルアセトネート、バリウムジイソプロポキシド、バリウムtert−ブトキシド、バリウムアセチルアセトネート、ランタンイソプロポキシド、ランタンメトキシエトキシド、ランタンアセチルアセトネート、セリウムn−ブトキシド、セリウムtert−ブトキシド、セリウムアセチルアセトネート、プラセオジムメトキシエトキシド、プラセオジムアセチルアセトネート、ネオジムメトキシエトキシド、ネオジムアセチルアセトネート、ネオジムメトキシエトキシド、サマリウムイソプロポキシド、サマリウムアセチルアセトネート、ユーロピウムアセチルアセトネート、ガドリニウムアセチルアセトネート、テルビウムアセチルアセトネート、ホルミウムアセチルアセトネート、イッテルビウムアセチルアセトネート、ルテチウムアセチルアセトネート、ハフニウムエトキシド、ハフニウムn−ブトキシド、ハフニウムtert−ブトキシド、ハフニウムアセチルアセトネート、タンタルメトキシド、タンタルエトキシド、タンタルn−ブトキシド、タンタルブトキシド、タンタルテトラメトキシドアセチルアセトネート、タングステンエトキシド、イリジウムアセチルアセトネート、イリジウムジカルボニルアセチルアセトネート、タリウムエトキシド、タリウムアセチルアセトネート、鉛アセチルアセトネート、テトラエトキシシランなどが挙げられる。これら金属アルコキシドの中でも、アルミニウムトリイソプロポキシド、鉄トリイソプロポキシド、銅ジイソプロポキシド、ホウ酸トリメトキシド、マグネシウムジメトキシド、チタンテトラメトキシド、ロジウムトリメドキシド、亜鉛ジメトキシド、ガリウムジメトキシド、ジルコニウムテトラメトキシド、インジウムトリメトキシド、テトラエトシキシラン等が好ましい。
(光学フィルムへの金属アルコキシドの含有方法)
本発明の光学フィルムは、二酸化バナジウム含有微粒子と共に、金属アルコキシドを含有することを特徴とし、光学フィルムに存在させる方法としては、大別して、前記図1を用いて説明した方法が挙げられる。
第1の方法は、光学機能層あるいは樹脂基材中に、二酸化バナジウム含有微粒子と金属アルコキシドとを分離独立して存在させる方法である。この方法では、例えば、純水中に、二酸化バナジウム含有微粒子と、金属アルコキシドを添加して混合液を調製した後、分散機で分散して、二酸化バナジウム含有微粒子分散液を調製し、この分散液をバインダー樹脂溶液中に添加して光学機能層形成用塗布液を調製し、樹脂基材上に塗布して光学機能層を形成する。
他の方法としては、二酸化バナジウム含有微粒子を有機溶媒中に分散し、そこに、金属アルコキシドを添加し、加熱反応させることにより、コア部が二酸化バナジウム含有微粒子で、その表面に金属アルコキシドがシェリングされているコア・シェル型の複合粒子を調製する。調製したこの複合粒子を、光学機能層形成用塗布液や基材樹脂を構成するドープ中に添加する方法を挙げることができる。
二酸化バナジウム含有微粒子に対する金属アルコキシドによるシェル層の層厚としては、特に制限はないが、コア・シェル型の複合粒子の直径を100%とした時、シェル層の層厚の比率としては、0.1〜10%の範囲内であり、好ましくは0.1〜5%の範囲内であり、さらに好ましくは0.1〜2%の範囲内である。
また、二酸化バナジウム含有微粒子の表面に金属アルコキシドがシェリングされてコア・シェル型の複合粒子を形成していることの確認方法としては、例えば、複合粒子の断面を中心位置でトリミングして露出した後、その断面部を電子顕微鏡で観察する方法、あるいは、粒子断面に中心位置を、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)を用いて、元素プロファイルを測定し、バナジウム原子と、金属アルコキシドを構成する金属元素の構成分布を求めることにより、二酸化バナジウム含有微粒子の表面に金属アルコキシドがシェリングされていること、及びシェル層の層厚を求めることができる。
[光学機能層]
本発明においては、上記説明した二酸化バナジウム含有微粒子、金属アルコキシドと共にとバインダー樹脂により、樹脂基材上に光学機能層を形成することが好ましい態様である。
〔バインダー樹脂〕
本発明に係る光学機能層に含有されるバインダー樹脂は、フィルム状に成形できるものであれば、天然樹脂、半合成樹脂及び合成樹脂のいずれにも限定されず、また熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。例えば、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、アクリル樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂及びフェノール樹脂等があるが、この中でも、以下に説明する水系バインダー樹脂や疎水性バインダー樹脂などを好ましく用いることができる。
(水系バインダー樹脂)
ここでいう水系バインダー樹脂とは、25℃における水100gに対し、1.0g以上溶解する樹脂である。また、熱水に溶解させた後、25℃で同様に溶解している樹脂も、本発明でいう水系バインダー樹脂として定義する。
本発明に係る光学機能層の形成に有用な水系バインダー樹脂としては、例えば、ゼラチン類、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼイン等のタンパク質、セルロース類、アルギン酸ソーダ、セルロース硫酸エステル、デキストリン、デキストラン、デキストラン硫酸塩等の糖誘導体、増粘多糖類等の天然由来素材や、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩が挙げられる。
中でも、二酸化バナジウム含有微粒子との親和性が高く、膜形成の乾燥時にも粒子の凝集を防ぐ効果の高い、ヒドロキシ基を有する繰り返し単位成分を50mol%以上含有するポリマーであることが好ましく、こうしたポリマーとしては、セルロース類、ポリビニルアルコール類、ヒドロキシ基を有するアクリル系樹脂などを挙げることができ、その中でも、ポリビニルアルコール類、セルロース類が最も好ましく利用できる。
(疎水性バインダー樹脂)
ここでいう疎水性バインダー樹脂とは、100gの水に対し、液温25℃での溶解量が1.0g未満である樹脂をいい、更に好ましくは、溶解量が0.5g未満の樹脂であり、更に好ましくは、溶解量が0.25g未満の樹脂である。
本発明の光学フィルムにおいて適用する疎水性バインダー樹脂として、疎水性ポリマー、又は疎水性バインダー樹脂を構成する単量体を用い、硬化処理工程で重合した樹脂を用いることが好ましい。
本発明に適用可能な疎水性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)やASA樹脂(アクリロニトリル−スチレン−アクリレート樹脂)等が挙げられる。
また、本発明に適用可能な疎水性バインダー樹脂の1種として、疎水性バインダー樹脂の単量体を用い、硬化処理工程で重合する樹脂を挙げることができ、その代表的な疎水性バインダー樹脂材料としては、活性エネルギー線の照射により硬化する化合物であり、具体的にはラジカル活性種による重合反応により硬化するラジカル重合性化合物、及びカチオン活性種によるカチオン重合反応により硬化するカチオン重合性化合物を挙げることができる。
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられ、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられる。
カチオン重合性化合物としては、各種公知のカチオン重合性のモノマーが使用できる。例えば、特開平6−9714号公報、特開2001−31892号公報、特開2001−40068号公報、特開2001−55507号公報、特開2001−310938号公報、特開2001−310937号公報、特開2001−220526号公報に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
上記化合物とともに光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、「UV・EB硬化技術の応用と市場」(シーエムシー出版、田畑米穂監修/ラドテック研究会編集)などに掲載されているあらゆる公知の光重合開始剤を用いることができる。
本発明においては、各構成材料と、二酸化バナジウム含有微粒子を含む溶媒分散液とを含む光学機能層形成用塗布液を、例えば、透明基材上に塗布した後、その後、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射する。これにより形成した光学機能層薄膜を構成する組成物は速やかに硬化する。
活性エネルギー線の光源としては、紫外線を照射する場合には、例えば紫外線LED、紫外線レーザー、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、低圧水銀灯、蛍光ランプ、炭素アークランプ、タングステン−ハロゲン複写ランプ及び太陽光を使用することができる。電子線により硬化させる場合には、通常300eVの以下のエネルギーの電子線で硬化させるが、1〜5Mradの照射量で瞬時に硬化させることも可能である。
(樹脂基材成分のバインダー樹脂B2)
一方、本発明に係る光学機能層の他の形成方法としては、図1の(c)にその構成を例示するように、透明基材の構成材料であるバインダー樹脂(B2)に、二酸化バナジウム含有微粒子と金属アルコキシドを含む溶媒分散液、あるいは二酸化バナジウム含有微粒子表面を金属アルコキシドにより被覆したコア・シェル型の複合粒子を添加して、成膜用ドープを調製した後、当該ドープを用いて従来公知のフィルム成膜で用いられている溶液流延法により、図1の(c)で示すような透明基材を兼ねたハイブリッド光学機能層(2+3)を形成する方法も好適に用いることができる。
上記方法で適用可能なバインダー樹脂(B2)としては、従来光学フィルムの成膜で用いられている樹脂材料を挙げることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(略称:TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(略称:CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類及びそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート(略称:PC)、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(略称:PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル及びポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)及びアペル(商品名三井化学社製)等のシクロオレフィン系樹脂等を挙げることができる。
また、溶媒としては、特に制限はないが、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができる。
上記各構成材料を混合、調製したドープを用いて、溶液流延法により透明基材を兼ねたハイブリッド光学機能層を成膜する。
〔光学機能層のその他の添加剤〕
本発明に係る光学機能層に、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で適用可能な各種の添加剤を、以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報、及び特開昭62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、特開昭57−87989号公報、特開昭60−72785号公報、特開昭61−146591号公報、特開平1−95091号公報、及び特開平3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオン又はノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、特開昭59−52689号公報、特開昭62−280069号公報、特開昭61−242871号公報、及び特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、滑剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などが挙げられる。
〔光学機能層の形成方法〕
本発明に係る光学機能層の形成方法としては、特に制限はないが、水系合成法より二酸化バナジウム含有微粒子を調製した後、乾燥させる工程を経ることがなく、溶媒置換工程により二酸化バナジウム含有微粒子と金属アルコキシドを含む溶媒分散液を調製した後、バインダー樹脂等と混合、溶解して、光学機能層形成用塗布液を調製する方法、あるいは二酸化バナジウム含有微粒子表面を、金属アルコキシドにより被覆してコア・シェル型の複合粒子を調製した後、バインダー樹脂等と混合して、光学機能層形成用塗布液を調製する方法、により調製した光学機能層形成用塗布液を湿式塗布方式により、透明基材上に塗布、乾燥して光学機能層(3)を形成する方法が好ましい。
上記光学機能層の形成に用いる湿式塗布方式としては、特に制限されず、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、スライド型カーテン塗布法、又は米国特許第2761419号明細書、米国特許第2761791号明細書などに記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法などが挙げられる。
また、図1の(c)で示すような樹脂基材を兼ねたハイブリッド光学機能層を形成する方法としては、溶液流涎法を適用することができ、具体的な成膜方法としては、例えば、特開2013−067074号公報、特開2013−123868号公報、特開2013−202979号公報、特開2014−066958号公報、特開2014−095729号公報、特開2014−159082号公報等に記載されている溶液流延製膜法に従って、形成することができる。
[透明基材]
本発明に適用可能な透明基材としては、透明であれば特に制限はなく、ガラス、石英、透明樹脂フィルム等を挙げることができるが、可撓性の付与及び生産適性(製造工程適性)の観点からは、透明樹脂フィルムであることが好ましい。本発明でいう「透明」とは、可視光領域における平均光線透過率が50%以上であることをいい、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。
本発明に係る透明基材の厚さは、30〜200μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは30〜100μmの範囲内であり、更に好ましくは35〜70μmでの範囲内である。透明基材の厚さが30μm以上であれば、取扱い中にシワ等が発生しにくくなり、また厚さが200μm以下であれば、ガラス基材と貼り合わせる際のガラス曲面への追従性がよくなる。
本発明に係る透明基材は、二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましいが、未延伸又は少なくとも一方に延伸されたポリエステルフィルムを用いることもできる。強度向上、熱膨張抑制の点から延伸フィルムが好ましい。特に、本発明の光学フィルムを具備した合わせガラスを、自動車用のガラスとして用いられる際に、延伸フィルムがより好ましい。
本発明に係る透明基材は、光学フィルムのシワの生成や光学機能層の割れを防止する観点から、温度150℃において、熱収縮率が0.1〜3.0%の範囲内であることが好ましく、1.5〜3.0%の範囲内であることがより好ましく、1.9〜2.7%であることがさらに好ましい。
本発明の光学フィルムに適用可能な透明基材としては、透明であれば特に制限されることはいが、種々の樹脂フィルムを用いることが好ましく、例えば、ポリオレフィンフィルム(例えば、シクロオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、トリアセチルセルロースフィルム等を用いることができ、好ましくは、シクロオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、トリアセチルセルロースフィルムである。
透明樹脂フィルムは、製膜過程で片面又は両面にインラインで下引層塗布液を塗布することが好ましい。本発明においては、製膜工程中での下引塗布をインライン下引という。
《近赤外遮蔽層》
本発明の光学フィルにおいては、光学機能層に加え、700〜1000nmの光波長範囲内一部を遮蔽する機能を有する近赤外光遮蔽層を設ける構成とすることもできる。
本発明に適用可能な近赤外光遮蔽層の詳細については、例えば、特開2012−131130号公報、特開2012−139948号公報、特開2012−185342号公報、特開2013−080178号公報、特開2014−089347号公報等に記載されている構成要素及び形成方法等を参考にすることができる。
《光学フィルムの用途》
本発明の光学フィルムの用途としては、ガラスに後貼りする構成とすることができ、このフィルムを貼合したガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。フィルムを貼合したガラスは、これらの用途以外にも使用できる。上記フィルムを貼合したガラスは、建築用又は車両に用いることが好ましい。上記フィルムを貼合したガラスは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。
ガラス部材としては、無機ガラス及び有機ガラス(樹脂グレージング)が挙げられる。無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス、及び、グリーンガラス等の着色ガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラス(樹脂グレージング)としては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
実施例1
《光学フィルムの作製》
〔光学フィルム101の作製〕
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液1の調製)
純水10mLに、バナジン酸アンモニウム(NHVO、和光純薬社製、特級)0.433gを混合し、さらに、ヒドラジン水和物(N・HO、和光純薬社製、特級)の5質量%水溶液をゆっくり滴下し、23℃、55%RHにけるpH値(液温23℃)が9.2の溶液を調製した。調製した溶液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三愛科学社製 HU−25型、SUS製本体に25mL容積のテフロン(登録商標)製内筒を備える構成。)内に入れ、100℃で8時間、引き続き270℃で24時間、水熱反応処理を施した。
次に、得られた反応生成物を濾過し、濾過残差を水及びエタノールで濾過洗浄を行った。さらに、この反応生成物を、定温乾燥機を用いて、60℃で10時間乾燥させて、二酸化バナジウム含有微粒子の紛体を得た。
次いで、得られた二酸化バナジウム含有微粒子の紛体を、純水に3.0質量%の濃度となるように添加し、次いで、アルミニウムトリイソプロポキシド(Al(OiPr))を0.2mmolとなるように添加して混合液を調製し、超音波分散機(エスエムティー社製UH−300)で5分間の超音波分散処理を施して再分散させ、アルミイソプロポキシドを分離した状態で含有する二酸化バナジウム含有微粒子分散液1を調製した。
(光学機能層形成用塗布液1の調製)
下記の各構成材料を順次添加、混合及び溶解して水系の光学機能層形成用塗布液1を調製した。
3質量%の二酸化バナジウム含有微粒子分散液1 28質量部
3質量%のホウ酸水溶液 10質量部
5質量%のポリビニルアルコール(5質量%水溶液、PVA−217;重合度:1700、ケン化度:87〜89mol%;クラレ株式会社製) 60質量部
5質量%の界面活性剤水溶液(ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル株式会社製) 2質量部
また、ここでいう「ケン化度」とは、ポリビニルアルコール中のアセチルオキシ基(原料の酢酸ビニル由来のもの)とヒドロキシ基との合計数に対するヒドロキシ基の割合のことである。
(光学機能層の形成)
厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300、両面易接着層)の透明基材上に、押出コーターを用いて、上記調製した光学機能層形成用塗布液1を、乾燥後の層厚が1.5μmとなる条件で湿式塗布を行い、次いで110℃の温風を2分間吹き付けて乾燥させて、光学機能層を形成して、図1の(a)示す構成の光学フィルム101を作製した。なお、光学フィルム101において、後述の方法で数平均粒径、一次粒子の比率を求めた結果を、表1に示す。
〔光学フィルム102の作製〕
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液2の調製)
上記二酸化バナジウム含有微粒子分散液1の調製に用いた二酸化バナジウム含有微粒子の紛体の3.0gを、トルエン100mlに分散し、次いで、鉄トリイソプロポキシド(Fe(OiPr))の0.2mmolを加えて加熱反応させることにより、コア・シェル型の複合粒子1(VO/Fe(OiPr)を調製し、最後にトルエンを真空で除去して紛体2を得た。
この紛体2を、純水に3.0質量%の濃度となるように添加し、超音波分散機(エスエムティー社製UH−300)で5分間の超音波分散処理を施して再分散させ、二酸化バナジウム含有微粒子分散液2を調製した。
(光学機能層形成用塗布液2の調製)
下記の各構成材料を順次添加、混合及び溶解して水系の光学機能層形成用塗布液2を調製した。
3質量%の二酸化バナジウム含有微粒子分散液2 28質量部
3質量%のホウ酸水溶液 10質量部
5質量%のポリビニルアルコール(5質量%水溶液、PVA−217;重合度:1700、ケン化度:87〜89mol%;クラレ株式会社製) 60質量部
5質量%の界面活性剤水溶液(ソフタゾリンLSB−R、川研ファインケミカル株式会社製) 2質量部
(光学機能層の形成)
厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300、両面易接着層)の透明基材上に、押出コーターを用いて、上記調製した光学機能層形成用塗布液2を、乾燥後の層厚が1.5μmとなる条件で湿式塗布を行い、次いで110℃の温風を2分間吹き付けて乾燥させて、図1の(b)に示す、コア・シェル型の複合粒子1(VO/Fe(OiPr)を含有する光学機能層を形成して、光学フィルム102を作製した。
〔光学フィルム103〜114の作製〕
上記光学フィルム102の作製に用いた二酸化バナジウム含有微粒子分散液2の調製において、金属アルコキシドとして、鉄トリイソプロポキシド(Fe(OiPr))に代えて、表1に記載の金属アルコキシドに変更して二酸化バナジウム含有微粒子分散液3〜14を調製し、それを用いて各光学機能層を形成した以外は同様にして、光学フィルム103〜114を作製した。
〔光学フィルム115の作製〕
上記光学フィルム103の作製において、光学機能層の形成に用いたバインダー樹脂として、ポリビニルアルコール(PVA−217)に代えて、同量のポリビニルピロリドン(PVP、日本触媒社製、K−85、K値=85)を用いた以外は同様にして、光学フィルム115を作製した。
〔光学フィルム116の作製〕
上記光学フィルム103の作製において、光学機能層の形成に用いたバインダー樹脂として、ポリビニルアルコール(PVA−217)に代えて、同量のポリヒドロキシエチルアクリレート(略称:PHEA)を用いた以外は同様にして、光学フィルム116を作製した。
〔光学フィルム117の作製〕
上記光学フィルム103の作製において、光学機能層の形成に用いたバインダー樹脂として、ポリビニルアルコール(PVA−217)に代えて、同量の疎水性バインダー樹脂(溶媒:メチルエチルケントン、溶質:バイロン200(非晶性ポリエステル樹脂、東洋紡社製)、略称:ポリエステル)を用いた以外は同様にして、光学フィルム117を作製した。
〔光学フィルム118の作製〕
上記光学フィルム103の作製において、光学機能層の形成に用いたバインダー樹脂として、ポリビニルアルコール(PVA−217)に代えて、同量のポリビニルブチラール(略称:PVB)を用いた以外は同様にして、光学フィルム118を作製した。
〔光学フィルム119の作製〕
上記光学フィルム103の作製において、光学機能層の形成に用いたバインダー樹脂として、ポリビニルアルコール(PVA−217)に代えて、同量のジアセチルセルロース(略称:DAC)を用いた以外は同様にして、光学フィルム119を作製した。
〔光学フィルム120の作製〕
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液20の調製)
前記調製したコア・シェル型の複合粒子2(VO/Al(OiPr))を含む二酸化バナジウム含有微粒子分散液3を20℃に保った状態で、系内循環させる形で接続したポリエーテルスルホン製で分画分子量が30万の濾過膜を有する限外濾過装置(日本ミリポア株式会社製 ペリコン2カセット)を具備した図3に記載の溶媒置換処理装置を用いて濃縮操作を行い、初期の二酸化バナジウム含有微粒子分散液20の体積を100%とした時、20体積%まで濃縮した後、エチルアルコールを添加して、再び100体積%とし、粒子濃度が3質量%の溶媒系の二酸化バナジウム含有微粒子分散液20を調製した。
上記調製したVO含有微粒子分散液20中の水分含有量をカールフィッシャー法により測定した結果、4.05質量%であった。
(ドープ1の調製)
はじめに、加圧溶解タンクに、有機溶媒として下記に示すメチレンクロライドとエタノールを添加した。有機溶媒の入った加圧溶解タンクに、セルローストリアセテート及び上記調製した二酸化バナジウム含有微粒子分散液21を攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、セルローストリアセテートを溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープ1を調製した。
〈ドープ1の組成〉
メチレンクロライド 487質量部
エタノール 45質量部
バインダー樹脂(B2):セルローストリアセテート(リンター綿から合成されたセルローストリアセテート、アセチル基置換度=2.88、Mn=15万、Mw=30万、略称:TAC) 100質量部
二酸化バナジウム含有微粒子分散液20 33質量部
(フィルム成膜)
上記調製したドープ1を用いて、特開2014−095729号公報及び特開2014−159082号公報に記載されている溶液流延製膜法に従って、可視光透過率が所定の濃度になるように調整して微粒子を加え、図1の(c)に記載の構成からなるハイブリッド光機能層(2+3)である光学フィルム120を作製した。
〔光学フィルム121の作製〕
上記光学フィルム120の作製において、ドープ1に代えて、下記の方法で調製したドープ2を用いた以外は同様にして、バインダー樹脂(B2)がシクロオレフィンポリマーである図1の(c)に記載の構成からなるハイブリッド光機能層(2+3)からなる光学フィルム121を作製した。
(ドープ2の調製)
加圧溶解タンクに下記に示すメチレンクロライドを添加した。有機溶媒の入った加圧溶解タンクに、シクロオレフィンポリマー(略称:COP)及び上記調製した二酸化バナジウム含有微粒子分散液21を攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、シクロオレフィンポリマーを溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープ2を調製した。
〈ドープ2の組成〉
メチレンクロライド 192質量部
バインダー樹脂(B2):シクロオレフィンポリマー(商品名:アートン、JSR(株)製) 76.9質量部
3質量%の二酸化バナジウム含有微粒子分散液21 12.0質量部
(製膜)
上記調製したドープ2を用い、特開2014−095729号公報及び特開2014−159082号公報に記載されている溶液流延製膜法に従って、ハイブリッド光機能層である光学フィルム121を作製した。
〔光学フィルム122の作製〕
上記光学フィルム120の作製において、バインダー樹脂(B2)を、セルローストリアセテートに代えて、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた以外は同様にして、特開2014−095729号公報及び特開2014−159082号公報に記載されている溶液流延製膜法に従って、ハイブリッド光機能層である光学フィルム122を作製した。
〔光学フィルム123の作製〕
上記光学フィルム103の作製において、二酸化バナジウム含有微粒子分散液3に代えて、下記の方法で調製した「VO/タングステンドープ/金属アルコキシド(Al(OiPr))」の構成からなるコア・シェル型の複合粒子を含む二酸化バナジウム含有微粒子分散液23を用いた以外は同様にして、光学フィルム123を作製した。
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液23の調製)
純水10mLに、バナジン酸アンモニウム(NHVO、和光純薬社製、特級)0.433gを混合し、さらに、ヒドラジン水和物(N・HO、和光純薬社製、特級)の5質量%水溶液をゆっくり滴下し、23℃、55%RHにけるpH値(液温23℃)が9.2の溶液を調製した。調製した溶液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三愛科学社製 HU−25型、SUS製本体に25mL容積のテフロン(登録商標)製内筒を備える構成。)内に入れ、100℃で8時間、引き続き270℃で24時間、水熱反応処理を施した。
次に、得られた反応生成物を濾過し、濾過残差を水及びエタノールで濾過洗浄を行った。さらに、この反応生成物を、定温乾燥機を用いて、60℃で10時間乾燥させて、二酸化バナジウム含有微粒子の紛体を得た。
次いで、二酸化バナジウム含有微粒子の紛体0.9gを純水中に分散させたのち、タングステン酸アンモニウムパラ五水和物((NH101241・5HO)を0.061g添加して、バナジウムに対しタングステンを1.87at%でドープした。
次いで、上記調製したタングステンをドープした二酸化バナジウム含有微粒子の紛体の3.0gを、トルエン100mlに分散し、次いで、アルミイソプロポキシド(Al(OiPr))の0.2mmolを加えて加熱反応させることにより、VO/タングステンドープ/金属アルコキシド(Al(OiPr))から構成されるコア・シェル型の複合粒子を調製し、最後にトルエンを真空で除去して紛体を得た。
この紛体を、純水に3.0質量%の濃度となるように添加し、超音波分散機(エスエムティー社製UH−300)で5分間の超音波分散処理を施して再分散させ、二酸化バナジウム含有微粒子分散液23を調製した。
〔光学フィルム124の作製〕
上記光学フィルム103の作製において、二酸化バナジウム含有微粒子分散液3に代えて、下記の方法で調製した「VO/金属アルコキシド(Si(OEt))」の構成からなるコア・シェル型の複合粒子を含む二酸化バナジウム含有微粒子分散液24を用いた以外は同様にして、光学フィルム124を作製した。
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液24の調製)
純水10mLに、バナジン酸アンモニウム(NHVO、和光純薬社製、特級)0.433gを混合し、さらに、ヒドラジン水和物(N・HO、和光純薬社製、特級)の5質量%水溶液をゆっくり滴下し、23℃、55%RHにけるpH値(液温23℃)が9.2の溶液を調製した。調製した溶液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三愛科学社製 HU−25型、SUS製本体に25mL容積のテフロン(登録商標)製内筒を備える構成。)内に入れ、100℃で8時間、引き続き270℃で24時間、水熱反応処理を施した。
次に、得られた反応生成物を濾過し、濾過残差を水及びエタノールで濾過洗浄を行った。さらに、この反応生成物を、定温乾燥機を用いて、60℃で10時間乾燥させて、二酸化バナジウム含有微粒子の紛体を得た。
次いで、二酸化バナジウム含有微粒子の紛体70mgに、0.6mLのテトラエトキシシラン(TEOS)を注入して、混合物を形成し、窒素ガス雰囲気下で、一晩、インキュベーションのために保持した。その後、混合液を、50mLフラスコ中で、10mLの逆マイクロエマルション(シクロヘキサン/CO−520、18ml/1.35g)に、600rpmの撹拌下で注入した。混合物を15分間撹拌し、その後0.1mLの4%NHOHを注入し、反応を開始させた。次の日に遠心分離して反応を停止させ、固相を収集した。得られた粒子を、20mLのシクロヘキサンで2度洗浄し、その後真空下で乾燥させ、粒子表面が金属アルコキシド(Si(OEt))から構成されるコア・シェル型の複合粒子を調製し、最後にトルエンを真空で除去して紛体を得た。
この紛体を、純水に3.0質量%の濃度となるように添加し、超音波分散機(エスエムティー社製UH−300)で5分間の超音波分散処理を施して再分散させ、二酸化バナジウム含有微粒子分散液24を調製した。
〔光学フィルム125の作製〕
上記光学フィルム101の作製において、下記の二酸化バナジウム含有微粒子分散液25(金属アルコキシド未添加)を用いた以外は同様にして、光学フィルム125を作製した。
(二酸化バナジウム含有微粒子分散液25の調製)
純水10mLに、バナジン酸アンモニウム(NHVO、和光純薬社製、特級)0.433gを混合し、さらに、ヒドラジン水和物(N・HO、和光純薬社製、特級)の5質量%水溶液をゆっくり滴下し、23℃、55%RHにけるpH値(液温23℃)が9.2の溶液を調製した。調製した溶液を、市販の水熱反応処理用オートクレーブ(三愛科学社製 HU−25型、SUS製本体に25mL容積のテフロン(登録商標)製内筒を備える構成。)内に入れ、100℃で8時間、引き続き270℃で24時間、水熱反応処理を施した。
次に、得られた反応生成物を濾過し、濾過残差を水及びエタノールで濾過洗浄を行った。さらに、この反応生成物を、定温乾燥機を用いて、60℃で10時間乾燥させて、二酸化バナジウム含有微粒子のみから構成される紛体を得た。
次いで、得られた二酸化バナジウム含有微粒子の紛体を、純水に3.0質量%の濃度となるように添加し、超音波分散機(エスエムティー社製UH−300)で5分間の超音波分散処理を施して再分散させ、二酸化バナジウム含有微粒子分散液25を調製した。
なお、表1に略称で記載している置換基は、iPr=イソプロピル、Me=メチル、Et=エチル、iBu=イソブチル、を表す。
《光学フィルムの特性値の測定》
上記作製した各光学フィルムについて、下記の方法に従って、光学機能層又は樹脂基材中の二酸化バナジウム含有微粒子の数平均粒径及び一次粒子比率を測定した。
各光学フィルムを構成する光学機能層の側面をミクロトームによりトリミングして、図1の(a)〜(c)に示すような断面を露出させた。次いで、露出した断面について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、1万倍で断面を撮影した。撮影した断面の一定領域内に存在している全ての二酸化バナジウム含有微粒子について、その粒径を測定した。
この時、測定する二酸化バナジウム含有微粒子は、300個とした。撮影した粒子には、単一粒子である一次粒子と、2粒子以上の凝集体である二次粒子とが含まれており、二酸化バナジウムの一次粒子の粒径は、各独立している粒子の直径を測定する。また、2個以上の粒子が凝集して存在している二次粒子状態の二酸化バナジウム含有微粒子群については、凝集体全体の投影面積を求めたのち、投影面積を円換算し、その直径をもって粒径とした。
以上のようにして求めた一次粒子と二次粒子の各直径について、数平均直径(nm)を求めた。次いで、上記測定した各粒子について、全粒子数に対する一次粒子の比率(粒子数%)を求めた。
《光学フィルム及び光学フィルム貼合ガラスの評価》
〔サーモクロミック性の評価〕
(光学フィルム貼合ガラスの作製)
上記作製した各光学フィルムをサイズ10cm×10cmに断裁した後、厚さ3mmのガラス板(サイズ15cm×20cm)に透明粘着シート(日東電工社製、LUCIACS CS9621T)を介して貼り合わせて、光学フィルム貼合ガラス101〜126を作製した。
(夏場想定の遮熱性評価)
〈測定環境〉
・測定環境:室温が28℃の環境試験室の壁面に、光学フィルム貼合ガラスを、内側が光学フィルムとなるように配置し、日本クールビズ室内を想定した環境室を用いた。
・環境試験室の光学フィルム貼合ガラスを配置した外側より、夏場の太陽を想定し、50cm離れた位置より、150Wのハロゲンランプを点灯した。
・さらに、太陽光照射の蓄積により光学フィルム貼合ガラスが加熱されると想定して、貼合ガラスを熱電対で70℃に加熱した。
〈評価1〉
環境試験室内の光学フィルム貼合ガラスより1m離れた位置に温度計を設置し、上記条件で3時間経過後の温度を測定し、下記の基準(ランク)に従って夏場想定1の遮熱性の評価を行った。
5:1時間経過後の温度が29℃未満で、外部光による温度上昇がほとんど認められない
4:1時間経過後の温度が29℃以上、32℃未満である
3:1時間経過後の温度が32℃以上、34℃未満である
2:1時間経過後の温度が34℃以上、36℃未満である
1:1時間経過後の温度が36℃以上であり、過酷な環境である
(冬場想定の遮熱性評価)
〈測定環境〉
・測定環境:室温が20℃の環境試験室の壁面に、光学フィルム貼合ガラスを、内側が光学フィルムとなるように配置し、日本ウォームビズ室内を想定した環境室を用いた。
・環境試験室の光学フィルム貼合ガラスを配置した外側より、冬場の太陽を想定し、50cm離れた位置より、100Wのハロゲンランプを点灯した。
〈評価2〉
環境試験室内の光学フィルム貼合ガラスより1m離れた位置に温度計を設置し、上記条件で3時間経過後の温度を測定し、下記の基準(ランク)に従って遮熱性の評価を行った。
5:1時間経過後の温度が26℃以上となり、外部光による熱エネルギーが適度に侵入している
4:1時間経過後の温度が24℃以上、26℃未満である
3:1時間経過後の温度が22℃以上、24℃未満である
2:1時間経過後の温度が21℃以上、22℃未満である
1:多くの近赤外光が無条件で遮蔽され、1時間経過後の温度が21℃未満である
〔保存安定性の評価〕
得られた各光学フィルムを10cm角のサイズで各5枚ずつ切り出し、保存性の評価として下記の加速劣化処理を行い、加速劣化処理後のサンプルを作製した。次いで、下記の評価ランクに従って、ひび割れ・膜剥がれ耐性及びサーモクロミック安定性の評価を行った。
(保存劣化処理)
3台の加速試験機を準備し、それぞれを85℃(加湿なし)、−20℃、60℃−相対湿度80%に調整し、各光学フィルムを(85℃:1時間)→(−20℃:1時間)→(60℃−相対湿度80%:1時間)、これを3回繰り返した。なお、各加速試験機間の移動は1分以内とした。その後、メタルハライドランプ式耐候性試験機(スガ試験機製 M6T)により、放射照度1kW/mの光を15時間照射した。これを1サイクルとして、計3サイクルの保存加速試験を行った。
(ひび割れ・膜剥がれ耐性の評価)
上記加速劣化処理を施した5枚のサンプルについて、その光学機能層面側を10倍のルーペを用いて観察し、下記の基準に従って、第1の保存性評価として、ひび割れ・膜剥がれ耐性の評価を行った。
5:5枚の光学フィルムとも、0.5mm以上のひび割れ及び膜剥がれの発生がみられない
4:5枚の光学フィルムにおいて、サイズが0.5mm以上、3mm未満のひび割れや膜剥がれの総発生数が1個以上、2個以下である
3:5枚の光学フィルムにおいて、サイズが0.5mm以上、3mm未満のひび割れや膜剥がれの総発生数が3個以上、5個以下である
2:5枚の光学フィルムにおいて、サイズが0.5mm以上、3mm未満のひび割れや膜剥がれの総発生数が6個以上、10個以下である
1:5枚の光学フィルムにおいて、サイズが0.5mm以上、3mm未満のひび割れや膜剥がれの総発生数が11個以上又はサイズが3mm以上のひび割れや膜剥がれの総発生数が1個以上
(サーモクロミック安定性の評価)
〈光学フィルム貼合ガラスの作製〉
上記強制劣化処理を行った各光学フィルム(サイズ10cm×10cm)を、厚さ3mmのガラス板(サイズ15cm×20cm)に透明粘着シート(日東電工社製、LUCIACS CS9621T)を介して貼り合わせて、光学フィルム貼合ガラスを作製した。
〈夏場想定2の遮熱性評価〉
次いで、上記サーモクロミック性の評価で、前記夏場想定1の遮熱性評価と同様の方法で、サーモクロミック性(夏場想定2)を評価した。
前記強制劣化処理を行っていない夏場想定1の遮熱性評価(評価1)に対し、夏場想定2における評価ランクに変化がないか、あるいは低下ランク幅が1ランク以内であれば、良好なサーモクロミック安定性であり、低下が2ランク以上であればサーモクロミック安定性に問題があると判定した。
〔ヘイズの評価〕
上記作製した各光学フィルム貼合ガラスについて、ヘイズメータ−(日本電色工業社製、NDH2000)を用いて、ヘイズ(%)を測定し、下記の基準(ランク)に従ってヘイズの評価を行った。
5:ヘイズが、2.0%未満である
4:ヘイズが、2.0%以上、3.0%未満である
3:ヘイズが、3.0%以上、5.0%未満である
2:5.0%以上、8.0%未満である
1:8.0%以上である
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2016188939
表1に記載の結果より明らかなように、光学フィルムとして、二酸化バナジウム含有微粒子と、金属アルコキシドとを共存させることにより、様々な環境下でのサーモクロミック性、保存安定性に優れ、かつ低ヘイズであることが分かる。
実施例2
《光学フィルムの作製》
〔光学フィルム201〜207の作製〕
実施例1に記載の光学フィルム103の作製において、二酸化バナジウム含有微粒子分散液3の調製において、水熱反応処理における反応温度及び反応時間を調節すること並びに光学機能層形成用塗布液3に含有させる二酸化バナジウム含有微粒子の量を調節することにより、数平均粒径及び一次粒子の比率を、表2に記載の条件となるようした以外は同様にして、光学フィルム201〜207を作製した。
《光学フィルムの評価》
上記作製した光学フィルム201〜207と、実施例1で作製した光学フィルム103について、実施例1に記載の方法と同様にして、サーモクロミック性(評価1及び評価2)、保存安定性(ひび割れ・膜剥がれ耐性、サーモクロミック安定性)及びヘイズの評価を行い、得られた結果を表2に示す。
Figure 2016188939
表2に記載の結果より明らかなように、二酸化バナジウム含有微粒子の数平均粒径が、30〜125nmの範囲内とすることにより、より良好な特性を得ることができることが分かる。
1 光学フィルム
2 樹脂基材
3 光学機能層
2+3 ハイブリッド光学機能層
4 二酸化バナジウム含有微粒子
5 金属アルコキシド
7 近赤外光遮蔽層
B1 光学機能層のバインダー樹脂
B2 ハイブリッド光学機能層のバインダー樹脂
10 溶媒置換処理装置
11 調製釜
12 二酸化バナジウム含有微粒子を含む分散液
13 循環ライン
14 循環ポンプ
15 限外濾過部
16 排出口
17 溶媒ストック釜
18 溶媒
19 溶媒供給ライン

Claims (4)

  1. サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有微粒子と、金属アルコキシドとを含むことを特徴とする光学フィルム。
  2. 前記金属アルコキシドを構成する金属元素が、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、ケイ素(Si)及びロジウム(Rh)から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記二酸化バナジウム含有微粒子の表面が、前記金属アルコキシドにより被覆され、コア・シェル構造を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学フィルム。
  4. 前記二酸化バナジウム含有微粒子の数平均粒径が、30〜125nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
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