JP6464747B2 - ポリエステル樹脂及びそれを用いてなる水分散体 - Google Patents
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Description
[1] カルボン酸成分とアルコール成分からなるポリエステル樹脂であって、全カルボン酸成分を100モル%、全アルコール成分を100モル%とした時、(A)スルホン酸塩基を持たないジカルボン酸成分を50〜100モル%、(B)スルホン酸塩基を持たないグリコール成分を50〜100モル%、(C)下記(化式1)で表されるカルボン酸成分(C1)及び下記(化式2)で表されるアルコール成分(C2)よりなる群から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸塩基を含有する化合物成分を3〜30モル%(ただし、(C1)は全カルボン酸成分100モル%に対して、(C2)は全アルコール成分100モル%に対して)、及び(D)三つ以上の官能基を持つカルボン酸成分(D1)及び三つ以上の官能基を持つアルコール成分(D2)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物成分を1〜20モル%(ただし、(D1)は全カルボン酸成分100モル%に対して、(D2)は全アルコール成分100モル%に対して)含有し、かつ下記式(I)を満たすことを特徴とするポリエステル樹脂。
(C1+C2)/(D1+D2)=1.5〜7.0 ・・ 式(I)
[C1、C2は、それぞれ(C1)成分の含有量(モル%)、(C2)成分の含有量(モル%)を表し、D1、D2は、それぞれ(D1)成分の含有量(モル%)、(D2)成分の含有量(モル%)を表す。]
[4] 芳香族ジカルボン酸が、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびテレフタル酸から選ばれる1種以上である[3]に記載のポリエステル樹脂。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載のポリエステル樹脂を用いてなる水分散体。
三つ以上の官能基を持つカルボン酸成分(D1)及び三つ以上の官能基を持つアルコール成分(D2)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物成分を使用し、(化式1)で表されるカルボン酸成分(C1)を使用する場合、本発明のポリエステル樹脂を構成する全カルボン酸成分量(モル%)と全アルコール成分量(モル%)が同じにはならない。末端に(化式1)で表されるカルボン酸成分(C1)が存在する為、全カルボン酸成分量(モル%)/全アルコール成分量(モル%)は、1を超える。この場合、全カルボン酸成分量(モル%)/全アルコール成分量(モル%)は、1.20〜1.60の範囲となることが好ましい。
(化式1)のカルボン酸成分は、カルボン酸化合物だけでなく、炭素数1〜6のアルキルエステル化合物も原料として使用可能である。分子内にエステル反応性官能基を1つ及びスルホン酸塩基を1つ以上有すれば特に制限はないが、(化式1)中、X1は炭素数6〜10の2価の芳香族基が好ましく、中でも2価のベンゼン環であることがより好ましく、又は炭素数2〜6のアルキレン基であることが好ましい。M+は金属イオンであることが好ましく、中でもナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンであることがより好ましく、ナトリウムイオンであることがさらに好ましい。具体的には、m−スルホ安息香酸ナトリウム、m−スルホ安息香酸カリウム、m−スルホ安息香酸リチウム、m−スルホ安息香酸テトラメチルアンモニウム、m−スルホ安息香酸テトラメチルホスホニウム、m−カルボキシメチル−ベンゼンスルホン酸ナトリウム、m−カルボキシメチル−ベンゼンスルホン酸カリウム、m−カルボキシメチル−ベンゼンスルホン酸リチウム、o−スルホ安息香酸ナトリウム、o−スルホ安息香酸カリウム、o−スルホ安息香酸リチウム、o−カルボキシメチル−ベンゼンスルホン酸ナトリウム、o−カルボキシメチル−ベンゼンスルホン酸カリウム、o−カルボキシメチル−ベンゼンスルホン酸リチウム、p−スルホ安息香酸ナトリウム、p−スルホ安息香酸カリウム、p−スルホ安息香酸リチウム、p−スルホ安息香酸テトラメチルアンモニウム、p−スルホ安息香酸テトラメチルホスホニウム、p−カルボキシメチル−ベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−カルボキシメチル−ベンゼンスルホン酸カリウム、p−カルボキシメチル−ベンゼンスルホン酸リチウム、2−カルボキシ−6−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−カルボキシ−6−ナフタレンスルホン酸カリウム、2−カルボキシ−6−ナフタレンスルホン酸リチウム、2−カルボキシメチル−6−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−カルボキシメチル−6−ナフタレンスルホン酸カリウム、2−カルボキシメチル−6−ナフタレンスルホン酸リチウム、2−カルボキシメチル−6−ナフタレンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、2−カルボキシメチル−6−ナフタレンスルホン酸テトラメチルホスホニウム、1−カルボキシ−3−プロパンスルホン酸ナトリウム、1−カルボキシ−4−ブタンスルホン酸ナトリウム、1−カルボキシ−5−ペンタンスルホン酸ナトリウム、1−カルボキシ−6−ヘキサンスルホン酸ナトリウム、1−カルボキシ−7−ヘプタンスルホン酸ナトリウム、1−カルボキシ−8−オクタンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。m−スルホ安息香酸ナトリウム、o−スルホ安息香酸ナトリウム、p−スルホ安息香酸ナトリウムであることが好ましく、m−スルホ安息香酸ナトリウムが最も好ましい。
(化式2)のアルコール成分は、アルコール化合物だけでなく、エステルと反応可能な求核攻撃官能基であるアミン化合物、チオール化合物も原料として使用可能である。また、ヒドロキシル基部がアセトキシ基、エポキシ基、およびヒドロキシル基の水素が炭素数2〜6のアルキル基である化合物も原料として使用可能である。分子内にエステル反応性官能基を1つ及びスルホン酸塩基を1つ以上有すれば特に制限はないが、(化式2)中、X1は炭素数6〜10の2価の芳香族基が好ましく、中でも2価のベンゼン環であることがより好ましく、又は炭素数2〜8のアルキレン基であることが好ましい。M+は金属イオンであることが好ましく、中でもナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンであることがより好ましく、ナトリウムイオンであることがさらに好ましい。具体的には、イセチオン酸ナトリウム、イセチオン酸カリウム、イセチオン酸リチウム、イセチオン酸テトラメチルアンモニウム、イセチオン酸テトラメチルホスホニウム、1−ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシエタンスルホン酸カリウム、1−ヒドロキシエタンスルホン酸リチウム、1−ヒドロキシエタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、1−ヒドロキシエタンスルホン酸テトラメチルホスホニウム、1−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシブタンスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシペンタンスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシヘキサンスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシヘプタンスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシオクタンスルホン酸ナトリウム、4−アミノベンゼンスルホン酸ナトリウム、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム、4−アセトキシ−1−ブタンスルホン酸ナトリウム、オキシラニルメタンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。イセチオン酸ナトリウム、1−ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウムであることが好ましく、イセチオン酸ナトリウムが最も好ましい。
ポリエステル樹脂に(C)成分が共重合していることは、核磁気共鳴装置で分析可能である。
三つ以上の官能基を持つ化合物とは、分子内にエステル反応性官能基を3つ以上有すれば特に制限はないが、3官能以上のカルボン酸成分(D1)としては、具体的にはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸等の芳香族カルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族カルボン酸が挙げられる。これら3官能以上のカルボン酸成分は、カルボン酸化合物だけでなく、炭素数1〜6のアルキルエステル化合物や酸無水物化合物も原料として使用可能である。例えば、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などが使用可能である。
3官能以上のアルコール成分(D2)としては、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコース、マニトール、ソルビトールが挙げられる。
(D1)としては、トリメリット酸であることが好ましく、(D2)としては、トリメチロールプロパンであることが好ましい。(D)成分として用いる原料としては、無水トリメリット酸、トリメチロールプロパンが好ましい。
ポリエステル樹脂に三つ以上の官能基を持つ化合物が共重合していることは、核磁気共鳴装置で分析可能である。
なお、(C1)は全カルボン酸成分100モル%に対して、(C2)は全アルコール成分100モル%に対して、共重合量を考えるため、例えば(C1)を全カルボン酸成分100モル%に対して10モル%と、(C2)を全アルコール成分100モル%に対して10モル%共重合した場合、(C)成分の共重合量を20モル%と考える。
なお、(D1)は全カルボン酸成分100モル%に対して、(D2)は全アルコール成分100モル%に対して、共重合量を考えるため、例えば(D1)を全カルボン酸成分100モル%に対して5モル%と、(D2)を全アルコール成分100モル%に対して5モル%共重合した場合、(D)成分の共重合量を10モル%と考える。
共重合比は、式(I)のように表すこともできる。
(C1+C2)/(D1+D2)=1.5〜7.0 ・・ 式(I)
[C1、C2は、それぞれ(C1)成分の含有量(モル%)、(C2)成分の含有量(モル%)を表し、D1、D2は、それぞれ(D1)成分の含有量(モル%)、(D2)成分の含有量(モル%)を表す。]
スルホン酸塩基を持たない脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はないが、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、オクタデカン二酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸であることが好ましく、アジピン酸が最も好ましい。ポリエステル樹脂にスルホン酸塩基を持たないジカルボン酸を含有していることは、核磁気共鳴装置で分析可能である。耐水性の観点から脂肪族ジカルボン酸は、全ジカルボン酸成分に対し、20モル%以下が好ましく、脂肪族ジカルボン酸を使用しないことが特に好ましい。
(A)成分の共重合量は、50〜100モル%であるが、(C)成分及び/又は(D)成分としてカルボン酸成分が共重合された量に応じて、好ましい(A)成分の共重合量の上限・下限は、ポリエステル樹脂を構成する全カルボン酸成分が100モル%となるように変化する。例えば、(C1)が3〜30モル%共重合された場合、(A)成分の共重合量は70〜97モル%が好ましく、(D1)が1〜20モル%共重合された場合、(A)成分の共重合量は80〜99モル%が好ましく、(C1)が3〜30モル%及び(D1)が1〜20モル%共重合された場合、(A)成分の共重合量は50〜96モル%が好ましい。また、(C1)及び(D1)とも共重合されない場合、(A)成分の共重合量は100モル%が好ましい。
スルホン酸塩基を持たないグリコールとしては、特に制限はないが、具体的には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、3(4)、8(9)−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ(5.2.1.1/2.6)デカン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族グリコールが挙げられる。水分散の観点から、エーテル結合を有するジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールを含有することが好ましく、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール及びポリエチレングリコールを組み合わせて用いることがより好ましい。ポリエチレングリコールの数平均分子量は500〜4000が好ましく、含有量は1〜10モル%が好ましい。また、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールC、ビスフェノールZ、ビスフェノールAP、4,4′−ビフェノールのエチレンオキサイド付加体またはプロピレンオキサイド付加体、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール等も挙げられる。
(B)成分の共重合量は、50〜100モル%であるが、(C)成分及び/又は(D)成分としてアルコール成分が共重合された量に応じて、好ましい(B)成分の共重合量の上限・下限は、ポリエステル樹脂を構成する全アルコール成分が100モル%となるように変化する。例えば、(C2)が3〜30モル%共重合された場合、(B)成分の共重合量は70〜97モル%が好ましく、(D2)が1〜20モル%共重合された場合、(B)成分の共重合量は80〜99モル%が好ましく、(C2)が3〜30モル%及び(D2)が1〜20モル%共重合された場合、(B)成分の共重合量は50〜96モル%が好ましい。また、(C2)及び(D2)とも共重合されない場合、(B)成分の共重合量は100モル%が好ましい。
エステル化/交換反応では、全モノマー成分および/またはその低重合体を不活性雰囲気下、加熱熔融して反応させる。エステル化/交換温度は、180〜250℃が好ましく、200〜250℃がより好ましい。反応時間は2.5〜10時間が好ましく、4時間〜6時間がより好ましい。なお、反応時間は所望の反応温度になってから、つづく重縮合反応までの時間とする。
ポリエステル樹脂0.05gをフェノール/テトラクロロエタン(質量比6/4)の混合溶媒25cm3に溶かし、ウベローデ粘度管を用いて30℃で測定した。
ポリエステル樹脂の組成及び組成比の決定は共鳴周波数500MHzの1H−NMR測定(プロトン型核磁気共鳴分光測定)にて行った。測定装置はVARIAN社製 NMR装置 500−MHzを用い、溶媒には重クロロホルム/重ヘキサフルオロイソプロパノール=85/15(重量比)を用いた。
水47質量部、およびイソプロピルアルコール18質量部を入れた、撹拌機、温度計、還流用冷却器を装備し、内温を30℃に保った分散釜内に、重縮合反応終了直後で溶融状態のポリエステル35重量部を投入し、系の温度を約75℃に保ちながら撹拌を行い水分散した後、冷却することにより水分散体を得た。
得られた水分散体の状態を目視で確認し、以下のように判断した。
○:水分散体が透明であり、水分散化が可能
×:水分散体が不透明であり、水分散化が不可能
ポリエステル樹脂を、液体窒素を入れたフリーザーミル(米国スペックス社製6750型)を用いて冷凍粉砕を行い20メッシュ以下の粉末にした。この粉末1gを純水100mlに入れ、密閉系にして130℃に加熱、加圧した条件下に1時間撹拌した。加水分解試験前および後の試料を(1)の方法により還元粘度を測定した。得られた測定結果から、(ΔHS還元粘度)=(加水分解試験前の還元粘度)−(加水分解試験後の還元粘度)により計算した。
ポリエステル樹脂をヤマト科学製Vacuum Drying Oven D41で80℃、12時間処理した後、1gの樹脂をテスター産業株式会社製TABLE TYPE TEST PRESS SA−302−Iを用いて、230℃で60秒間加熱後、6.9MPaで90秒間プレスし、0.1mm厚のサンプルを得た。該サンプルを3cm×6cmの短冊状に切り、短冊状サンプルを吊るし、ナガノサイエンス株式会社製卓上型恒温恒湿槽LH21−11Mを使用し、85℃、85%RH条件下で20日間処理した。耐湿性試験前および後の試料を(1)の方法により還元粘度を測定した。得られた測定結果から、(ΔMS還元粘度)=(耐湿性試験前の還元粘度)−(耐湿性試験前の還元粘度)により計算した。
室温で真空乾燥した共重合ポリエステル樹脂を示差走査熱量計(DSC)用のアルミパンに入れ、250℃で1分間加熱し、その後、液体窒素で冷却した。そのように前処理した共重合ポリエステル樹脂を、TAインスツルメンツ社製DSC2920を用いて測定した。試料5.0mg、窒素雰囲気下中、−10〜150℃の範囲を10℃/分で昇温して、その途中において観察される、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値を求め、これをガラス転移温度(Tg)とした。
攪拌機付き2リッターステンレス製オートクレーブに、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル187.8g(0.77モル)、テレフタル酸ジメチル91.9g(0.47モル)、無水トリメリット酸35.1g(0.18モル)、m−スルホ安息香酸ナトリウム90.1(0.40モル)、ポリエチレングリコール#2000(数平均分子量2000)76.7g(0.038モル)、エチレングリコール224.4g(3.6モル)、触媒としてテトラブチルチタネート0.35g、安定剤としてイルガノックス1330 1gを150℃で仕込み、220℃まで昇温しつつ、220分間エステル交換反応を行い、オリゴマー混合物を得た。その後、60分間かけて240℃まで昇温しつつ、反応系の圧力を徐々に下げて、13.3Pa(0.1Torr)として、さらに240℃、13.3Pa下でポリエステル重縮合反応をおこなった。放圧に続き、微加圧下のレジンを冷水にストランド状に吐出して急冷し、その後20秒間冷水中で保持した後、カッティングして長さ約3mm、直径約2mmのシリンダー形状のポリエステル樹脂ペレットを得た。このポリエステル樹脂の特性を上記の方法に従い還元粘度、ガラス転移温度、水分散化可否判断、耐水性評価の結果を表1に示す。表1で、各成分は用いた原料名で記載しており、下記の組成解析でも各成分は用いた原料名で記載している。イオン性モノマーであるm−スルホ安息香酸ナトリウムの共重合量が多く、耐水性評価1では、ポリエステル樹脂が水に溶解したため評価できなかったが、耐水性評価2では、還元粘度の低下が小さく耐水性が優れていることが分かった。
組成解析は、上記の方法に従い実施し、以下のピークから組成を同定した。重クロロホルムを7.33ppmとした際に8.7ppm付近のピーク(積分値;10.0)から2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、8.1ppm付近のピーク(積分値;27.4)からテレフタル酸ジメチル、7.8ppm付近のピーク(積分値;0.696)から無水トリメリット酸、7.6ppm付近のピーク(積分値;1.28)からm−スルホ安息香酸ナトリウム、4.8ppm付近のピーク(積分値;15.3)からエチレングリコール、4.6ppm付近のピーク(積分値;10.4)からジエチレングリコール、3.7ppm付近のピーク(積分値;33.2)からポリエチレングリコール#2000の組成比を同定した。ジエチレングリコールは、エチレングリコール同士の縮合で副生して樹脂中に残存していた。最終組成は以下のように積分値/プロトン数で算出し、カルボン酸成分/アルコール成分(全カルボン酸成分量(モル%)/全アルコール成分量(モル%))は、以下の方法で解析した。NMRチャートを図1に示す。
(1)m−スルホ安息香酸ナトリウム;1.28/1=1.28
(2)無水トリメリット酸;0.696/1=0.696
(3)2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル;(10−1.28−0.696)/2=4.01
(4)テレフタル酸ジメチル;(27.4−4.01×4−1.28)/4=2.53
(5)エチレングリコール;15.3/4=3.83
(6)ポリエチレングリコール#2000;33.2/180.2=0.18
(7)ジエチレングリコール;(10.4−0.18×4)/4=2.42
(1)+(2)+(3)+(4)=8.52、(5)+(6)+(7)=6.43となりモル比は以下のように算出した。
(1)m−スルホ安息香酸ナトリウム;(1.28/8.52)×100=15
(2)無水トリメリット酸;(0.696/8.52)×100=8
(3)ナフタレンジカルボン酸ジメチル;(4.01/8.52)×100=47
(4)テレフタル酸ジメチル;(2.53/8.52)×100=30
(5)エチレングリコール;(3.83/6.34)×100=60
(6)ポリエチレングリコール#2000;(0.18/6.34)×100=3
(7)ジエチレングリコール;(2.42/6.34)×100=37
カルボン酸成分/アルコール成分[(1)+(2)+(3)+(4)]/[(5)+(6)+(7)]=8.52/6.43=1.33
実施例1に準じて、但し、原料の種類と配合比率を変更してポリエステル樹脂を重合した。このポリエステル樹脂の特性を上記の方法に従い還元粘度、ガラス転移温度、水分散化可否判断、耐水性評価の結果、組成解析の結果を表1に示す。実施例1と同様、イオン性モノマーであるm−スルホ安息香酸ナトリウムの共重合量が多く、耐水性評価1では、ポリエステル樹脂が水に溶解したため評価できなかったが、耐水性評価2では、還元粘度の低下が小さく耐水性が優れていることが分かった。
実施例1に準じて、但し、原料の種類と配合比率を変更してポリエステル樹脂を重合した。このポリエステル樹脂の特性を上記の方法に従い還元粘度、ガラス転移温度、水分散化可否判断、耐水性評価の結果、組成解析の結果を表1に示す。実施例1と同様、イオン性モノマーであるm−スルホ安息香酸ナトリウムの共重合量が多く、耐水性評価1では、ポリエステル樹脂が水に溶解したため評価できなかったが、耐水性評価2では、還元粘度の低下が小さく耐水性が優れていることが分かった。
実施例1に準じて、但し、原料の種類と配合比率を変更してポリエステル樹脂を重合した。このポリエステル樹脂の特性を上記の方法に従い還元粘度、ガラス転移温度、水分散化可否判断、耐水性評価の結果、組成解析の結果を表1に示す。実施例1と同様、イオン性モノマーであるm−スルホ安息香酸ナトリウムの共重合量が多く、耐水性評価1では、ポリエステル樹脂が水に溶解したため評価できなかったが、耐水性評価2では、還元粘度の低下が小さく耐水性が優れていることが分かった。
実施例1に準じて、但し、原料の種類と配合比率を変更してポリエステル樹脂を重合した。このポリエステル樹脂の特性を上記の方法に従い還元粘度、ガラス転移温度、水分散化可否判断、耐水性評価の結果、組成解析の結果を表1に示す。実施例1と同様、イオン性モノマーであるm−スルホ安息香酸ナトリウムの共重合量が多く、耐水性評価1では、ポリエステル樹脂が水に溶解したため評価できなかったが、耐水性評価2では、還元粘度の低下が小さく耐水性が優れていることが分かった。
実施例1に準じて、但し、原料の種類と配合比率を変更してポリエステル樹脂を重合した。このポリエステル樹脂の特性を上記の方法に従い還元粘度、ガラス転移温度、水分散化可否判断、耐水性評価の結果、組成解析の結果を表1に示す。実施例1と同様、イオン性モノマーであるイセチオン酸ナトリウムの共重合量が多く、耐水性評価1では、ポリエステル樹脂が水に溶解したため評価できなかったが、耐水性評価2では、還元粘度の低下が小さく耐水性が優れていることが分かった。
実施例1に準じて、但し、原料の種類と配合比率を変更してポリエステル樹脂を重合した。このポリエステル樹脂の特性を上記の方法に従い還元粘度、ガラス転移温度、水分散化可否判断、耐水性評価の結果、組成解析の結果を表1に示す。実施例1とは異なり、耐水性評価1で溶解は見られなかったため、濾過をおこないポリエステル樹脂を回収し、上記方法に従い還元粘度を測定し、ΔHS還元粘度を算出した。還元粘度の低下が無く耐水性が優れていることが分かった。耐水性評価2でも、還元粘度の低下が小さく耐水性が優れていることが分かった。
実施例1に準じて、但し、原料の種類と配合比率を変更してポリエステル樹脂を重合した。このポリエステル樹脂の特性を上記の方法に従い還元粘度、ガラス転移温度、水分散化可否判断、耐水性評価の結果、組成解析の結果を表1に示す。実施例1と同様、イオン性モノマーであるm−スルホ安息香酸ナトリウムの共重合量が多く、耐水性評価1では、ポリエステル樹脂が水に溶解したため評価できなかったが、耐水性評価2では、還元粘度の低下が小さく耐水性が優れていることが分かった。
実施例1に準じて、但し、原料の種類と配合比率を変更してポリエステル樹脂を重合した。このポリエステル樹脂の特性を上記の方法に従い還元粘度、ガラス転移温度、水分散化可否判断、耐水性評価の結果、組成解析の結果を表1に示す。実施例1と同様、イオン性モノマーであるm−スルホ安息香酸ナトリウムの共重合量が多く、耐水性評価1では、ポリエステル樹脂が水に溶解したため評価できなかったが、耐水性評価2では、還元粘度の低下が小さく耐水性が優れていることが分かった。
実施例1に準じて、但し、原料の種類と配合比率を変更してポリエステル樹脂を重合した。このポリエステル樹脂の特性を上記の方法に従い還元粘度、ガラス転移温度、水分散化可否判断、耐水性評価の結果、組成解析の結果を表1に示す。実施例1と同様、イオン性モノマーであるm−スルホ安息香酸ナトリウムの共重合量が多く、耐水性評価1では、ポリエステル樹脂が水に溶解したため評価できなかったが、耐水性評価2では、還元粘度の低下が小さく耐水性が優れていることが分かった。
実施例1に準じて、但し、原料の種類と配合比率を変更してポリエステル樹脂を重合した。このポリエステル樹脂の特性を上記の方法に従い還元粘度、ガラス転移温度、水分散化可否判断、耐水性評価の結果、組成解析の結果を表2に示す。表2で、各成分は用いた原料名で記載している。イオン性モノマーの共重合量が少なく、水分散化することはできなかった。
実施例1に準じて、但し、原料の種類と配合比率を変更してポリエステル樹脂を重合した。このポリエステル樹脂の特性を上記の方法に従い還元粘度、ガラス転移温度、水分散化可否判断、耐水性評価の結果、組成解析の結果を表2に示す。m−スルホ安息香酸ナトリウムの添加量が多く、末端封鎖剤として働き、還元粘度を向上させることはできなかった。また、取り出し口のストランドは未反応のm−スルホ安息香酸ナトリウムの異物が多い状態であった。還元粘度が低く、分子鎖中に親水性基を持たない分子が経時的に凝集、沈降した為、水分散化することはできなかった。
実施例1に準じて、但し、原料の種類と配合比率を変更してポリエステル樹脂を重合した。このポリエステル樹脂の特性を上記の方法に従い還元粘度、ガラス転移温度、水分散化可否判断、耐水性評価の結果、組成解析の結果を表2に示す。無水トリメリット酸、m−スルホ安息香酸ナトリウムの含有量比が最適化されていない為、比較例2と同様、還元粘度を向上させることはできなかった。還元粘度が低く、分子鎖中に親水性基を持たない分子が経時的に凝集、沈降した為、水分散化することはできなかった。
実施例1に準じて、但し、原料の種類と配合比率を変更してポリエステル樹脂を重合した。このポリエステル樹脂の特性を上記の方法に従い還元粘度、ガラス転移温度、水分散化可否判断、耐水性評価の結果、組成解析の結果を表2に示す。無水トリメリット酸、m−スルホ安息香酸ナトリウムの含有量比が最適化されていない為、重合中にゲル化が起こった。溶液に溶解しなかった為、還元粘度を測定することはできなかった。
実施例1に準じて、但し、原料の種類と配合比率を変更してポリエステル樹脂を重合した。このポリエステル樹脂の特性を上記の方法に従い還元粘度、ガラス転移温度、水分散化可否判断、耐水性評価の結果、組成解析の結果を表2に示す。5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルをイオン性モノマーとして用いているため水分散化することはできた。しかし、耐水性評価1、2の結果、実施例7と比べて耐水性に劣ることが分かった。実施例7と比較例5は、酸成分が同じであることから耐水性に劣る理由は、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルを使用することで分子鎖中にスルホン酸ナトリウムを含有しているためと判断した。
実施例1に準じて、但し、原料の種類と配合比率を変更してポリエステル樹脂を重合した。このポリエステル樹脂の特性を上記の方法に従い還元粘度、ガラス転移温度、水分散化可否判断、耐水性評価の結果、組成解析の結果を表2に示す。5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルの共重合量が多く、分子鎖中にスルホン酸ナトリウムのイオン凝集により溶融粘度が高くなり、還元粘度が低い状態で重合を終了せざるを得なかった。還元粘度が低く、分子鎖中に親水性基を持たない分子が経時的に凝集、沈降した為、水分散化することはできなかった。また、イオン性モノマーである5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルの共重合量が多く、耐水性評価1ではポリエステル樹脂が水に溶解したが、耐水性評価2では、還元粘度の低下が大きく耐水性が劣っていることが分かった。耐水性に劣る理由は、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルを使用することで分子鎖中にスルホン酸ナトリウムを含有しているためと判断した。
実施例1に準じて、但し、原料の種類と配合比率を変更してポリエステル樹脂を重合した。このポリエステル樹脂の特性を上記の方法に従い還元粘度、ガラス転移温度、水分散化可否判断、耐水性評価の結果、組成解析の結果を表2に示す。5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルをイオン性モノマーとして用いているため水分散化することはできた。しかし、耐水性評価1、2の結果、実施例7と比べて耐水性に劣ることが分かった。実施例7と比較例7は、酸成分、およびグリコール組成比が同じであることから耐水性に劣る理由は、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルを使用することで分子鎖中にスルホン酸ナトリウムを含有しているためと判断した。
Claims (4)
- カルボン酸成分とアルコール成分からなるポリエステル樹脂であって、全カルボン酸成分を100モル%、全アルコール成分を100モル%とした時、(A)スルホン酸塩基を持たないジカルボン酸成分を50〜100モル%、(B)スルホン酸塩基を持たないグリコール成分を50〜100モル%、(C)下記(化式1)で表されるカルボン酸成分(C1)及び下記(化式2)で表されるアルコール成分(C2)よりなる群から選ばれる少なくとも1種のスルホン酸塩基を含有する化合物成分を3〜30モル%(ただし、(C1)は全カルボン酸成分100モル%に対して、(C2)は全アルコール成分100モル%に対して)、及び(D)三つ以上の官能基を持つカルボン酸成分(D1)及び三つ以上の官能基を持つアルコール成分(D2)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物成分を1〜20モル%(ただし、(D1)は全カルボン酸成分100モル%に対して、(D2)は全アルコール成分100モル%に対して)含有し、かつ下記式(I)を満たすポリエステル樹脂を用いてなる水分散体。
[(化式1)中、X1は炭素数6〜20の2価の芳香族基又は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、M+は金属イオン、テトラアルキルホスホニウムイオン又はテトラアルキルアンモニウムイオンを表す。]
[(化式2)中、X2は炭素数6〜20の2価の芳香族基又は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、M+は金属イオン、テトラアルキルホスホニウムイオン又はテトラアルキルアンモニウムイオンを表す。]
(C1+C2)/(D1+D2)=1.5〜7.0 ・・ 式(I)
[C1、C2は、それぞれ(C1)成分の含有量(モル%)、(C2)成分の含有量(モル%)を表し、D1、D2は、それぞれ(D1)成分の含有量(モル%)、(D2)成分の含有量(モル%)を表す。] - (C1)が下記(化式3)で表されるカルボン酸成分、(C2)が下記(化式4)で表されるアルコール成分であり、(D1)がトリメリット酸、(D2)がトリメチロールプロパンである請求項1に記載の水分散体。
- (A)成分が、芳香族ジカルボン酸である請求項1または2に記載の水分散体。
- 芳香族ジカルボン酸が、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびテレフタル酸から選ばれる1種以上である請求項3に記載の水分散体。
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