JP6461756B2 - 導電性高分子水系分散液及び導電性塗膜 - Google Patents
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Description
π共役系導電性高分子は、それ単独で導電性を発現するものではなく、通常、アニオン系のドーパントをドーピングすることによって導電性を発現させており、そのドーパントとして、スルホン酸基等のアニオン基を有するポリアニオンを使用することがある。また、π共役系導電性高分子は、水及び各種有機溶剤に対して不溶性であるため、界面活性剤と同様の役割を果たすポリアニオンをπ共役系導電性高分子と共存することがある。この場合、π共役系導電性高分子とポリアニオンとは複合体を形成している。
例えば、ポリチオフェン等のπ共役系導電性高分子にポリスチレンスルホン酸等のポリアニオンが共存する導電性高分子分散液が知られている(特許文献1)。
ところが、ポリアニオンを含む水系分散液は強い酸性となる。しかし、酸性が強いと、金属等を腐食させるため、導電性高分子水系分散液の用途が限定されていた。そのため、アミン化合物を添加し、導電性高分子水系分散液を中和させて、腐食性を低下させることがあった(特許文献2)。
本発明は、保存安定性に優れ、得られる導電性塗膜において充分な導電性を確保できる導電性高分子水系分散液を提供することを目的とする。また、本発明は、充分な導電性を有する導電性塗膜を提供することを目的とする。
(式中、Rはアルキル基、m,nは各々独立して1以上4以下の整数であり、pは1又は2である。)
本発明の導電性高分子水系分散液においては、π共役系導電性高分子及びポリアニオン以外の樹脂をさらに含有してもよい。
本発明の導電性塗膜は、上記導電性高分子水系分散液が塗布されて形成されたものである。
本発明の導電性塗膜は、充分な導電性を有する。
本発明の導電性高分子水系分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンからなる導電性複合体と、アミン化合物と、水とを含有する。
また、本発明の導電性高分子水系分散液は、25℃におけるpHが3以上9以下であり、4以上8以下であることが好ましく、6以上8以下であることがより好ましい。導電性高分子水系分散液のpHが3未満であると、腐食性を抑制できず、pHが9を超えると、ポリアニオンの脱ドープが生じて導電性が低下する傾向にある。
導電性複合体を構成するπ共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば本発明の効果を有する限り特に制限されず、例えば、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン類及びポリアニリン系導電性高分子が好ましく、透明性の面から、ポリチオフェン系導電性高分子がより好ましい。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)が挙げられる。
上記π共役系導電性高分子の中でも、導電性、透明性、耐熱性の点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
前記π共役系導電性高分子は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
導電性複合体を構成するポリアニオンとは、アニオン基を有するモノマー単位を、分子内に2つ以上有する重合体である。このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、スルホ基(スルホン酸基)、またはカルボキシ基(カルボン酸基)であることが好ましい。
このようなポリアニオンの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリメタクリルオキシベンゼンスルホン酸等のスルホン酸基を有する高分子や、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等のカルボン酸基を有する高分子が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
これらポリアニオンのなかでも、導電性をより高くできることから、スルホン酸基を有する高分子が好ましく、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
前記ポリアニオンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンの質量平均分子量は2万以上100万以下であることが好ましく、10万以上50万以下であることがより好ましい。
ただし、ポリアニオンにおいては、全てのアニオン基がπ共役系導電性高分子にドープせず、余剰のアニオン基を有している。この余剰のアニオン基は親水基であるため、導電性複合体は水分散性を有する。
本発明で使用するアミン化合物は、上記式(1)で表されるアミン化合物である。
式(1)において、Rはアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、メチル基、エチル基が好ましい。
式(1)におけるm,nは各々独立して1以上4以下の整数である。mは、保存安定性及び導電性をより高くできることから、1以上3以下であることが好ましく、2又は3であることがより好ましい。nは、保存安定性及び導電性をより高くできることから、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
式(1)におけるpは1又は2である。
式(1)で表されるアミン化合物は、NH3−p(CmH2mOCnH2n+1)pとアクリル酸アルキルエステルとを反応させることにより得られる。その反応の際には、式(1)で表されるアミン化合物を容易に合成できることから、アルミナ触媒を用いることが好ましく、また、メタノール中で反応させることが好ましい。
導電性高分子水系分散液における水の含有量が20質量%超であり、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。水の含有量が前記範囲であることで、分散液は水系となる。水の含有量の上限値は、100(%)−π共役系導電性高分子の含有量(%)−ポリアニオンの含有量(%)−アミン化合物の含有量(%)、である。
導電性高分子水系分散液においては、水以外の分散媒として有機溶剤を含んでもよいが、有機溶剤の含有量は40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
有機溶剤が含まれる場合でも、水と均一混合する親水性有機溶剤が好ましい。親水性有機溶剤としては、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられ、エーテル系溶剤としては、ジオキサン、ジエチルエーテル等が挙げられ、ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。有機溶剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物としてもよい。
導電性高分子水系分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオン以外の他の樹脂をさらに含有してもよい。この他の樹脂は、バインダとしての役割を果たし、導電性高分子水系分散液から形成される導電性塗膜の耐久性、基体との密着性を向上させる機能を有する。
他の樹脂は、熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよい。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド12、ポリアミド11等のポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂が挙げられる。
これら他の樹脂は1種のみを使用してもよいし、複数を併用してもよい。
他の樹脂の中でも、導電性高分子水系分散液を塗布する基体との密着性を容易に高くできることから、オキセタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
オキセタン樹脂及びエポキシ樹脂の具体例は、例えば、特開2010−168445号公報に記載されている。アクリル樹脂の具体例は、例えば、特開2012−97227号公報に記載されている。
導電性高分子水系分散液がオキセタン樹脂又はエポキシ樹脂を含む場合、オキセタン樹脂及びエポキシ樹脂を迅速にかつ充分に硬化させる点で、カチオン発生化合物をさらに含有することが好ましい。
カチオン発生化合物は、ルイス酸を発生させる化合物である。具体的には、光カチオン開始剤、熱カチオン開始剤等が挙げられる。光カチオン開始剤と熱カチオン開始剤は併用しても構わない。
アクリル樹脂の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量%に対して0.05質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。アクリル樹脂の含有量が前記下限値以上であれば、導電性塗膜の耐久性が充分に高くなり、前記上限値以下であれば、導電性塗膜中にπ共役系導電性高分子が充分量含まれるため、充分な導電性が得られる。
導電性高分子水系分散液には、必要に応じて、添加剤が含まれてもよい。なお、添加剤は、前記π共役系導電性高分子、前記ポリアニオン、前記アミン化合物、前記有機溶剤及び前記他の樹脂以外の化合物である。
添加剤としてはπ共役系導電性高分子及びポリアニオンと混合しうるものであれば特に制限されず、例えば、無機導電剤、界面活性剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ポリアニオン以外の他のドーパントなどを使用できる。
無機導電剤としては、金属イオン(金属塩を水に溶解させて形成する)類、導電性カーボン等が挙げられる。
界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤; アミン塩、4級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤;カルボキシベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリウムベタイン等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等の非イオン界面活性剤等が挙げられる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
カップリング剤としては、ビニル基、アミノ基、エポキシ基等を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類、ビタミン類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オギザニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。酸化防止剤と紫外線吸収剤とは併用することが好ましい。
ポリアニオン以外の他のドーパントとしては、特開2008−133415号公報に記載されたものが挙げられる。
具体的に、導電性向上剤は、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物、2個以上のカルボキシル基を有する化合物、1個以上のヒドロキシル基および1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物、水溶性有機溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。
これら化合物の具体例は、例えば、特開2010−87401号公報に記載されている。ただし、導電性向上剤は、前記π共役系導電性高分子、前記ポリアニオン、前記アミン化合物、前記有機溶剤、前記他の樹脂及び前記添加剤以外の化合物である。
上記導電性高分子水系分散液を製造する方法としては、例えば、ポリアニオン水溶液中でπ共役系導電性高分子の前駆体モノマーを化学酸化重合して、π共役系導電性高分子とポリアニオンとの導電性複合体が水に分散した分散液を調製した後、その分散液に前記アミン化合物を添加する方法が挙げられる。
前記化学酸化重合の際には、通常、触媒としての役割を果たす酸化剤を使用する。酸化剤としては、例えば、ぺルオキソ二硫酸アンモニウム(過硫酸アンモニウム)、ぺルオキソ二硫酸ナトリウム(過硫酸ナトリウム)、ぺルオキソ二硫酸カリウム(過硫酸カリウム)等のぺルオキソ二硫酸塩、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、塩化第二銅等の遷移金属化合物、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウムなどの金属ハロゲン化合物、酸化銀、酸化セシウム等の金属酸化物、過酸化水素、オゾン等の過酸化物、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、酸素等が挙げられる。
高分散化処理においては、分散機を用いることが好ましい。分散機としては、例えば、ホモジナイザ、高圧ホモジナイザ、ビーズミル等が挙げられ、中でも、高圧ホモジナイザが好ましい。
高圧ホモジナイザは、例えば、高分散化処理する導電性高分子水分散液などを加圧する高圧発生部と、分散を行う対向衝突部やオリフィス部あるいはスリット部とを備える装置である。高圧発生部としては、プランジャーポンプ等の高圧ポンプが好適に用いられる。
高圧ポンプには、一連式、二連式、三連式などの各種の形式があるが、いずれの形式も本発明において採用できる。
高圧ホモジナイザの具体例としては、吉田機械興業製の商品名ナノマイザー、マイクロフルイディスク製の商品名マイクロフルイダイザー、スギノマシン製のアルティマイザーなどが挙げられる。
本発明の導電性高分子水系分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンからなる導電性複合体を含むため、導電性高分子水系分散液から得られる塗膜は導電性を有する。
また、本発明の導電性高分子水系分散液は、前記特定のアミン化合物を含有して酸性度が弱められ、pHが前記範囲にされているため、金属等を腐食させる腐食性が抑制されている。したがって、本発明の導電性高分子水系分散液は、金属の成形体及び金属を含む部材等、酸に弱いものに対しても適用できる。
従来の導電性高分子水系分散液では、その酸性度を弱めると、導電性が低下する傾向にあるが、前記特定のアミン化合物を含有して導電性高分子水系分散液の酸性度を弱めた本発明では、導電性が低下しにくい。したがって、本発明の導電性高分子水系分散液によれば、導電性に優れた導電性塗膜を容易に形成できる。また、高い導電性が得られるから、導電性向上剤を必須成分として含有させなくてもよい。
また、従来の導電性高分子水系分散液では、導電性高分子水系分散液を中和させると、導電性高分子水系分散液の保存安定性が低下する傾向にあったが、前記特定のアミン化合物を含有する導電性高分子水系分散液は、保存安定性が高く、導電性複合体の沈殿が生じにくい。したがって、本発明の導電性水系分散液によれば、長期保管後でも、導電性が高い導電性塗膜を容易に形成できる。
本発明の導電性高分子水系分散液の保存安定性が向上するのは、前記アミン化合物は酸素原子を多く有し、特にカルボニル基を有することで、導電性複合体に混ざり易くなるためと推測される。
本発明の導電性塗膜は、導電性高分子水系分散液が塗布され、硬化されて形成された塗膜であり、少なくとも、π共役系導電性高分子及びポリアニオンからなる導電性複合体と、式(1)で表されるアミン化合物とを含有する。
導電性高分子水系分散液の塗布方法としては、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等のコーターを用いた塗工方法、エアスプレー、エアレススプレー、ローターダンプニング等の噴霧器を用いた噴霧方式、ディップ等の浸漬方法等を適用することができる。
導電性高分子水系分散液の塗布量は特に制限されないが、固形分として、0.1g/m2以上2.0g/m2以下の範囲であることが好ましい。
導電性高分子水系分散液は、通常、基体上に塗布される。ここで、基体としては特に制限されず、プラスチック、紙、金属、金属酸化物等のいずれであってもよい。上記導電性高分子水系分散液は腐食性が低いため、金属製の基体又は金属製部材を有する基体にも適用できる。
導電性高分子水系分散液塗布後には、水分を蒸発させるために加熱処理する。加熱処理としては、例えば、熱風加熱や赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。
他の樹脂として光硬化性樹脂を含む場合には、加熱処理後に光照射処理を施す。光照射処理としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプなどの光源から紫外線を照射する方法を採用できる。
導電性塗膜の全光線透過率は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。また、導電性塗膜のヘイズは10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。全光線透過率及びヘイズが前記範囲であれば、充分な透明性を有するといえる。なお、ここでいう全光線透過率及びヘイズはJIS K7136に従って測定した値である。
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法を用いてポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000ml溶液を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。
さらに、得られたろ液に約2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色のポリスチレンスルホン酸の固形物を得た。
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、1.2質量%の青色のPEDOT−PSSの水分散液を得た。
メタノール溶媒に、アクリル酸メチル及び塩基性のアルミナ触媒0.5gを添加し、10℃で20分間攪拌した。これにより得られた液に、ビス(2−メトキシエチルアミン)を添加し、50℃で反応させた。ビス(2−メトキシエチルアミン)の添加量:アクリル酸メチルの添加量は、モル比で、2:1とした。反応後、エバポレータを用いて、メタノールを蒸発させて、式(1)におけるmが2、nが1、pが1、RがCH3のアミン化合物Aを得た。
メタノール溶媒に、アクリル酸メチル及び塩基性のアルミナ触媒0.5gを添加し、10℃で20分間攪拌した。これにより得られた液に、3−メトキシプロピルアミンを添加し、50℃で反応させた。3−メトキシプロピルアミンの添加量:アクリル酸メチルの添加量は、モル比で、1:2とした。反応後、エバポレータを用いて、メタノールを蒸発させて、式(1)におけるmが3、nが1、pが2、RがCH3のアミン化合物Bを得た。
メタノール溶媒に、アクリル酸メチル及び塩基性のアルミナ触媒0.5gを添加し、10℃で20分間攪拌した。これにより得られた液に、2−エトキシエチルアミンを添加し、50℃で反応させた。2−エトキシエチルアミンの添加量:アクリル酸メチルの添加量は、モル比で、1:2とした。反応後、エバポレータを用いて、メタノールを蒸発させて、式(1)におけるmが2、nが2、pが2、RがCH3のアミン化合物Cを得た。
メタノール溶媒に、アクリル酸エチル及び塩基性のアルミナ触媒0.5gを添加し、10℃で20分間攪拌した。これにより得られた液に、3−エトキシプロピルアミンを添加し、50℃で反応させた。3−エトキシプロピルアミンの添加量:アクリル酸エチルの添加量は、モル比で、1:2とした。反応後、エバポレータを用いて、メタノールを蒸発させて、式(1)におけるmが3、nが2、pが2、RがC2H5のアミン化合物Dを得た。
調製例2で得たPEDOT−PSS水分散液100gに、調製例3で得たアミン化合物Aを2.5g添加し、混合して、導電性高分子水系分散液を得た。得られた導電性高分子水系分散液のpH(25℃)をpH計で測定したところ、6.9であった。
調製例3で得たアミン化合物Aの代わりに調製例4で得たアミン化合物Bを添加した以外は実施例1と同様にして導電性高分子水系分散液を得た。得られた導電性高分子水系分散液のpH(25℃)をpH計で測定したところ、7.8であった。
調製例3で得たアミン化合物Aの代わりに調製例5で得たアミン化合物Cを添加した以外は実施例1と同様にして導電性高分子水系分散液を得た。得られた導電性高分子水系分散液のpH(25℃)をpH計で測定したところ、7.2であった。
調製例3で得たアミン化合物Aの代わりに調製例6で得たアミン化合物Dを添加した以外は実施例1と同様にして導電性高分子水系分散液を得た。得られた導電性高分子水系分散液のpH(25℃)をpH計で測定したところ、7.2であった。
調製例3で得たアミン化合物Aの代わりにトリス(メトキシエトキシエチルアミン)を添加した以外は実施例1と同様にして導電性高分子水系分散液を得た。得られた導電性高分子水系分散液のpH(25℃)をpH計で測定したところ、7.8であった。
調製例3で得たアミン化合物Aの代わりにトリエチルアミンを添加した以外は実施例1と同様にして導電性高分子水系分散液を得た。得られた導電性高分子水系分散液のpH(25℃)をpH計で測定したところ、10.2であった。
調製例3で得たアミン化合物Aの代わりにトリスメチルアミンを添加した以外は実施例1と同様にして導電性高分子水系分散液を得た。得られた導電性高分子水系分散液のpH(25℃)をpH計で測定したところ、9.5であった。
各実施例及び各比較例の導電性高分子水系分散液を室温で1か月放置した。1か月放置後の導電性高分子水系分散液を目視により観察し、保存安定性を下記の基準で評価した。
A:凝集物が見られず、保存安定性に優れていた。
B:凝集物が少量見られたが、使用可能であった。
C:凝集物量が多く、使用困難な程に保存安定性が低かった。
各例の導電性塗膜の表面抵抗値を、三菱化学アナリティック株式会社製ロレスタを用いJIS K7194に従って測定した。測定結果を表1に示す。
また、前記積層体について、日本電色工業株式会社製へイズメータ測定器(NDH5000)を用い、JIS K7136に準じて全光線透過率を測定した。測定結果を表1に示す。
トリス(メトキシエトキシエチルアミン)を含む比較例1の導電性高分子水系分散液は、保存安定性が低かった。
トリエチルアミンを含む比較例2の導電性高分子水系分散液から形成した導電性塗膜は表面抵抗値が大きく、導電性が不充分であった。
トリメチルアミンを含む比較例3の導電性高分子水系分散液から形成した導電性塗膜は表面抵抗値が大きく、導電性が不充分であった。
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