JP2017025262A - 導電性高分子分散液及び導電性フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
前記導電性高分子分散液から形成した導電層は、耐光性が充分でなく、可視光又は紫外光が長時間照射されると、表面抵抗値が上昇し、導電性が低下することがあった。
そこで、導電性高分子分散液に、没食子酸(ガリック酸)やベンゾフェノン化合物等の耐光剤を含有させることがあった(特許文献1,2)。
また、導電層の耐傷付き性を向上させるために導電性高分子分散液に活性エネルギー線硬化性アクリル化合物を含有させた場合に、特許文献1,2に記載の耐光剤を用いると、活性エネルギー線硬化性アクリル化合物が硬化しにくくなる傾向にあった。そのため、耐傷付き性を充分に発揮させることができなかった。
本発明は、導電性、耐光性及び耐傷付き性のいずれもが優れた導電層を容易に形成できる導電性高分子分散液を提供することを目的とする。また、本発明は、導電性、耐光性及び耐傷付き性のいずれもが優れた導電層を備える導電性フィルムを提供することを目的とする。
[2]前記ポリアニオンのアニオン基にアミン化合物又はエポキシ化合物が配位又は付加しており、前記分散媒が有機溶剤である、[1]に記載の導電性高分子分散液。
[3]前記置換基含有芳香族化合物が、下記式(1)で表される化合物、下記式(2)で表される化合物、下記式(3)で表される化合物、及び下記式(4)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載の導電性高分子分散液。
(式(1)〜(4)におけるR1は、各々、水素原子又は任意の一価の置換基であり、式(2),(4)におけるR2は、各々、任意の二価の置換基である。)
[5]前記式(3)で表される化合物が下記式(5)で表される化合物である、[4]に記載の導電性高分子分散液。
(式(5)におけるR3は水素原子又はメチル基である。)
(式(6)におけるR2は、任意の二価の置換基であり、R4は水素原子又はメチル基である。)
[8]前記式(5)で表される化合物が、N−(4−ヒドロキシフェニル)−アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−メタクリルアミドよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、[5]に記載の導電性高分子分散液。
[9]前記π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)であり、前記ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸である、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
[10]フィルム基材と、該フィルム基材の少なくとも一方の面に形成された、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液を硬化した導電層とを備える、導電性フィルム。
本発明の導電性フィルムは、導電性、耐光性及び耐傷付き性のいずれもが優れた導電層を備える。
該分散液は、導電層を形成するための塗料として使用される。
[π共役系導電性高分子]
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば本発明の効果を有する限り特に制限されず、例えば、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン類及びポリアニリン系導電性高分子が好ましく、透明性の面から、ポリチオフェン系導電性高分子がより好ましい。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)が挙げられる。
上記π共役系導電性高分子の中でも、導電性、透明性、耐熱性の点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。本明細書では、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)のことを「PEDOT」ということがある。
前記π共役系導電性高分子は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンとは、アニオン基を有するモノマー単位を、分子内に2つ以上有する重合体である。このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、スルホ基、またはカルボキシ基であることが好ましい。
このようなポリアニオンの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリメタクリルオキシベンゼンスルホン酸等のスルホン酸基を有する高分子や、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等のカルボン酸基を有する高分子が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
これらポリアニオンのなかでも、帯電防止性をより高くできることから、スルホン酸基を有する高分子が好ましく、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。本明細書では、ポリスチレンスルホン酸のことを「PSS」ということがある。
前記ポリアニオンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンの質量平均分子量は2万〜100万であることが好ましく、10万〜50万であることがより好ましい。
本明細書における質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定し、標準物質をポリスチレンとして求めた値である。
ただし、本態様におけるポリアニオンにおいては、全てのアニオン基がπ共役系導電性高分子にドープすることはなく、ドープに寄与しない余剰のアニオン基を有するようになっている。余剰のアニオン基は高い親水性を有するため、導電性複合体の水分散性を高める役割を果たす。
アミン化合物は、炭素数2〜12の直鎖、もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数2〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数7〜12のアラルキレン基、及び炭素数2〜12のオキシアルキレン基から選択される置換基を有していてもよい。
具体的な2級アミンとしては、例えば、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、ジナフチルアミン等が挙げられる。
具体的な3級アミンとしては、例えば、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、トリナフチルアミン等が挙げられる。
具体的な4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩、テトラベンジルアンモニウム塩、テトラナフチルアンモニウム塩等が挙げられる。アンモニウムの対となる陰イオンとしてはヒドロキシドイオンが挙げられる。
エポキシ化合物は、エポキシ基を1つ又は2つ以上有する化合物である。エポキシ基はカルボキシ基等のアニオン基と反応することが可能である。
エポキシ化合物の具体例としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、脂肪酸変性エポキシ、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトール系ポリグリシジルエーテル、エチレンオキシドラウリルアルコールグリシジルエーテル、エチレンオキシドフェノールグリシジルエーテル、C12,C13混合高級アルコールグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、アジピン酸グリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート等が挙げられる。
本態様における置換基含有芳香族化合物は、芳香環の水素原子の少なくとも1つが、アミド結合を有する置換基に置換されていると共に、前記芳香環の残りの水素原子の少なくとも1つが、ヒドロキシ基に置換されている化合物である。ここで、芳香環とは、ベンゼン環だけでなく、ナフタレン環、アントラセン環も含む。該置換基含有芳香族化合物はアミン化合物ではない。
この置換基含有芳香族化合物は、導電層の耐光性を向上させると共に導電性を向上させる効果も有し、さらに、活性エネルギー線硬化性アクリル化合物の硬化を阻害させにくい。
式(1)〜(4)におけるR1は、各々、水素原子又は任意の一価の置換基であり、R2は、各々、任意の二価の置換基である。
一価の置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アルケニル基(例えば、エチレニル基、プロピレニル基、ブチレニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフタレン基等)等が挙げられ、これらの基は置換基(例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基等)を有してもよい。
二価の置換基としては、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等)、オキシアルキレン基(例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基等)等が挙げられ、これらの基は置換基(例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基等)を有してもよい。
置換基含有芳香族化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルアセトアミド等が挙げられる。
式(3)で表される化合物の具体例としては、例えば、4−ヒドロキシアセトアニリド、3−ヒドロキシアセトアニリド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−メタクリルアミド等が挙げられる。
上記の具体的な置換基含有芳香族化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、特許文献1,2に記載されているような重合不能な耐光剤は、耐傷付き性の向上には寄与しない。
(メタ)アクリロイル基を有する置換基含有芳香族化合物であって、上記式(4)で表される化合物としては、容易に製造できる点から、式(6)で表される化合物が好ましい。式(6)におけるR2は、式(2),(4)と同様に任意の二価の置換基であり、R4は水素原子又はメチル基である。
活性エネルギー線硬化性アクリル化合物は、活性エネルギー線(紫外線、電子線、可視光線)の照射によってラジカル重合して硬化するアクリル化合物である。
活性エネルギー線硬化性アクリル化合物としては、例えば、アクリレート、メタクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、カルボン酸ビニルエステル等が挙げられる。また、活性エネルギー線硬化性アクリル化合物は、ビニル基を1つのみ有する単官能モノマーでもよいし、ビニル基を2つ以上有する多官能モノマーでもよいし、単官能モノマーと多官能モノマーの併用でもよい。単官能アクリルモノマーと多官能アクリルモノマーを併用した場合には、導電層が架橋するため、導電層の耐傷付き性をより向上させることができる。
メタクリレートとしては、例えば、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、メタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロイルモルホリン、アクリロイルピペリジン等が挙げられる。
ビニルエーテルとしては、例えば、2−クロロエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
カルボン酸ビニルエステルとしては、例えば、酪酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が挙げられる。
また、活性エネルギー線硬化性アクリル化合物は、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリアクリルアクリレート等の、アクリルモノマーと他の化合物とを反応させて得た多官能アクリレートであってもよい。
上記活性エネルギー線硬化性アクリル化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、上記活性エネルギー線硬化性アクリル化合物に加えて、活性エネルギー線の照射によってラジカルを発生させる光重合開始剤を含有させてもよい。
本態様における分散媒は、導電性高分子複合体を分散させるための液であり、水及び有機溶剤の少なくとも一方からなる。ポリアニオンのアニオン基にアミン化合物又はエポキシ化合物が配位又は付加している場合には、導電性複合体は親水性が失われて疎水性となっているため、分散媒として有機溶剤を使用することが好ましい。
有機溶剤としては、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン系溶媒;ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテルなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼンなどの芳香族系溶媒;エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、アリルアルコールなどのアルコール系溶媒;N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、が挙げられるが、上記に限定されるものではない。これら有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
分散媒の含有量は、導電性高分子分散液の固形分濃度が好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.2〜5質量%になる量とする。
導電性高分子分散液には、公知の添加剤が含まれてもよい。
添加剤としては、本発明の効果を有する限り特に制限されず、例えば、界面活性剤、無機導電剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。ただし、添加剤は、前記ポリアニオン、前記置換基含有芳香族化合物、前記アミン化合物、前記エポキシ化合物、前記活性エネルギー線硬化性アクリル化合物及び前記分散媒以外の化合物からなる。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられるが、保存安定性の面からノニオン系が好ましい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどのポリマー系界面活性剤を添加してもよい。
無機導電剤としては、金属イオン類、導電性カーボン等が挙げられる。なお、金属イオンは、金属塩を水に溶解させることにより生成させることができる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンレジン等が挙げられる。
カップリング剤としては、ビニル基、アミノ基、エポキシ基等を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類、ビタミン類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
分散媒が水である場合の導電性高分子分散液の製造方法としては、ポリアニオンの水溶液中で、π共役系導電性高分子を形成するモノマーを重合した後、置換基含有芳香族化合物及び活性エネルギー線硬化性アクリル化合物を添加する方法が挙げられる。
分散媒が有機溶剤である場合の導電性高分子分散液の製造方法としては、ポリアニオンの水溶液中で、π共役系導電性高分子を形成するモノマーを重合して水分散液を得た後、該水分散液を凍結乾燥して凍結乾燥体を調製し、その凍結乾燥体に有機溶剤とアミン化合物又はエポキシ化合物を添加し、分散処理した後、置換基含有芳香族化合物及び活性エネルギー線硬化性アクリル化合物を添加する方法が挙げられる。
本発明の一態様の導電性フィルムは、フィルム基材と、該フィルム基材の少なくとも一方の面に形成された、上記導電性高分子分散液を硬化した導電層とを備える。
フィルム基材としては、プラスチックフィルムを用いることができる。
プラスチックフィルムを構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリレート、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。これらの樹脂材料の中でも、透明性、可撓性、汚染防止性及び強度等の点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましく、非晶性ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
プラスチックフィルムは未延伸のフィルムでもよいし、一軸延伸のフィルムでもよいし、二軸延伸のフィルムでもよい。機械的物性に優れる点では、プラスチックフィルムは二軸延伸のフィルムが好ましい。
本明細書における平均厚さは、任意の10箇所について厚さを測定し、その測定値を平均した値である。
導電層は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、置換基含有芳香族化合物と、活性エネルギー線硬化性アクリル化合物の硬化物とを含有する。置換基含有芳香族化合物が(メタ)アクリロイル基を有していた場合には、置換基含有芳香族化合物同士が重合して硬化物となっている。
導電層の露出面の表面抵抗値は、1.0×103〜1.0×109Ω/□の範囲内となる。本発明における表面抵抗値は抵抗率計によって測定された値である。
導電層の平均厚みとしては、0.1〜50μmであることが好ましく、0.2〜20μmであることがより好ましい。導電層の平均厚みが前記下限値以上であれば、充分に高い導電性を発揮でき、前記上限値以下であれば、導電層を容易に形成できる。
導電性高分子分散液の塗工方法としては、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等のコーターを用いた塗工方法、エアスプレー、エアレススプレー、ローターダンプニング等の噴霧器を用いた噴霧方式、ディップ等の浸漬方法等を適用することができる。
導電性高分子分散液の塗工後且つ硬化前には、必要に応じて、乾燥させてもよい。乾燥法としては、例えば、熱風加熱による乾燥法や、赤外線加熱による乾燥法などの通常の方法を採用できる。
導電性高分子分散液を硬化させる方法としては、塗工により形成された塗膜に活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。
活性エネルギー線のなかでも、汎用的である点では、紫外光(紫外線)が好ましい。紫外光の照射においては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプなどの光源を用いることができる。
紫外光照射における照度は100mW/cm2以上が好ましい。照度が100mW/cm2未満であると、前記活性エネルギー線硬化性アクリル化合物が充分に硬化しないことがある。また、積算光量は50mJ/cm2以上が好ましい。積算光量が50mJ/cm2未満であると、充分に架橋しないことがある。なお、本発明における照度、積算光量は、トプコン社製UVR−T1(工業用UVチェッカー、受光器;UD−T36、測定波長範囲;300〜390nm、ピーク感度波長;約355nm)を用いて測定した値である。
本発明者が調べた結果、前記導電性複合体に加えて前記置換基含有芳香族化合物を含有させることにより、導電層の導電性及び耐光性が高くなることが判明した。また、本発明者が調べた結果、前記置換基含有芳香族化合物は活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化を阻害しにくいため、活性エネルギー線硬化性アクリル化合物が充分に硬化することが判明した。したがって、本発明における導電層は耐傷付き性が高い。
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法によりポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000ml溶液を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。さらに、得られたろ液に約2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合させた。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、1.2質量%のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)水分散液(PEDOT−PSS水分散液)を得た。
上記PEDOT−PSS水分散液1000gを凍結乾燥して、12gの凍結乾燥体を得た。
イソプロピルアミン1000gに、4.0gの上記凍結乾燥体と3.5gのトリオクチルアミンを加え、高圧ホモジナイザーを用いて分散して、PEDOT−PSSとトリオクチルアミンとを含む混合液Aを得た。
イソプロピルアミン1000gに、4.0gの上記凍結乾燥体と1.8gのトリブチルアミンを加え、高圧ホモジナイザーを用いて分散して、PEDOT−PSSとトリオクチルアミンとを含む混合液Bを得た。
PEDOT−PSS水分散液100gに、メタノール300gと、エポライトM−1230(共栄社化学株式会社製、C12,C13混合高級アルコールグリシジルエーテル)25gを加え、60℃で4時間加熱攪拌した。この攪拌により、PEDOT−PSS及び前記高級アルコールグリシジルエーテルを含む複合体の析出物が生成する。この析出物をろ取して、1.575gの複合体を回収した。
次に、315gのメチルエチルケトンに上記の複合体を添加し、高圧ホモジナイザーを用いて分散して、PEDOT−PSSと高級アルコールグリシジルエーテルとを含む混合液Cを得た。
製造例4で得た53.5gの混合液Aに、アートレジンUN−904M(根上工業社製、ウレタンアクリレート)10gと、ペンタエリスリトールトリアクリレート20gと、ジアセトンアルコール15gと、光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア127)1.2gと、4−ヒドロキシフェニルアセトアミド2.0g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して930質量部)とを添加して、導電性高分子有機溶剤分散液を調製した。
得られた導電性高分子有機溶剤分散液をポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東レ株式会社製、ルミラーT60)の一方の面に塗布し、120℃で1分間乾燥させた後、400mJの紫外線を照射し、導電性高分子有機溶剤分散液を硬化させた。これにより、フィルム基材の一方の面に導電層が形成された導電性フィルムを得た。
実施例1において4−ヒドロキシフェニルアセトアミド2.0gを1.0g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して470質量部)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例1において4−ヒドロキシフェニルアセトアミドを3−ヒドロキシアセトアニリドに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例1において4−ヒドロキシフェニルアセトアミドを4−ヒドロキシアセトアニリドに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例1において4−ヒドロキシフェニルアセトアミドを4−ヒドロキシベンズアミドに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例1において混合液Aの量を33.5gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例1において混合液Aの量を73.5gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例1において製造例4で得た混合液Aを製造例5で得た混合液Bに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例1において製造例4で得た混合液Aを製造例6で得た混合液Cに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例1において4−ヒドロキシフェニルアセトアミドをN−(4−ヒドロキシフェニル)−メタクリルアミドに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例1において4−ヒドロキシフェニルアセトアミドを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例1において4−ヒドロキシフェニルアセトアミドをヘキサヒドロキシベンゾフェノンに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例1において4−ヒドロキシフェニルアセトアミドを没食子酸メチルに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例1において4−ヒドロキシフェニルアセトアミドをカテコールに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例1において4−ヒドロキシフェニルアセトアミドを4−ヒドロキシアセトフェノンに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例1において4−ヒドロキシフェニルアセトアミドをヒドロキシエチルアクリルアミドに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例1において4−ヒドロキシフェニルアセトアミドを2,4−ジヒドロキシベンズアミドに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
各実施例及び各比較例の導電性フィルムに対し、紫外線フェードメーターを用いて、カーボンアークにより発生させた紫外光を48時間照射した。紫外光照射前後の導電層の表面抵抗値を、抵抗率計(三菱化学社製ハイレスタMCP−HT450)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。紫外光照射後の表面抵抗の上昇度(表中のB/A)が小さい程、耐光性に優れる。
また、各実施例及び各比較例における導電性フィルムの導電層について耐傷付き性を評価した。具体的には、導電層の表面を、1kgf(98.1kPa)の荷重を加えたスチールウールによって、10往復擦った。その後、導電層表面を目視により観察した。観察結果を表1に示す。
導電層に置換基含有芳香族化合物が含まれない比較例1の導電性フィルムは、導電性及び耐光性が低かった。
導電層に本願請求項1で規定するものとは異なる置換基含有芳香族化合物が含まれる比較例2〜7の導電性フィルムは、紫外光照射後の表面抵抗率の上昇度が大きく、耐光性が低かった。また、ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、没食子酸メチル、カテコール又は4−ヒドロキシアセトフェノンを含有させた比較例2〜5では、導電性も低かった。ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、没食子酸メチル、カテコール又は2,4−ジヒドロキシベンズアミドを含有させた比較例2〜4,7では、導電層の耐傷付き性も低かった。
Claims (10)
- アニオン基を有するポリアニオン及びπ共役系導電性高分子を含む導電性複合体と、置換基含有芳香族化合物と、活性エネルギー線硬化性アクリル化合物と、分散媒とを含有し、
前記置換基含有芳香族化合物は、芳香環の水素原子の少なくとも1つが、アミド結合を有する置換基に置換されていると共に、前記芳香環の残りの水素原子の少なくとも1つが、ヒドロキシ基に置換されている、導電性高分子分散液。 - 前記ポリアニオンのアニオン基にアミン化合物又はエポキシ化合物が配位又は付加しており、前記分散媒が有機溶剤である、請求項1に記載の導電性高分子分散液。
- 前記置換基含有芳香族化合物が(メタ)アクリロイル基を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
- 前記置換基含有芳香族化合物が、4−ヒドロキシフェニルアセトアミド、4−ヒドロキシベンズアミド、ジヒドロキシベンズアミド、4−ヒドロキシアセトアニリド、3−ヒドロキシアセトアニリドよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
- 前記式(5)で表される化合物が、N−(4−ヒドロキシフェニル)−アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−メタクリルアミドよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の導電性高分子分散液。
- 前記π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)であり、前記ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
- フィルム基材と、該フィルム基材の少なくとも一方の面に形成された、請求項1〜9のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液を硬化した導電層とを備える、導電性フィルム。
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