JP6459564B2 - ディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックス、ディップ成形用組成物およびディップ成形体 - Google Patents

ディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックス、ディップ成形用組成物およびディップ成形体 Download PDF

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Description

本発明は、ディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックス、ディップ成形用組成物およびディップ成形体に関する。さらに詳しくは、所定の条件において発生するセスキテルペン量が所定量以下である界面活性剤を使用したディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックス、このラテックスを含むディップ成形用組成物、およびこの組成物をディップ成形して得られるディップ成形体に関する。
従来、天然ゴムのラテックスを含有するディップ成形用組成物をディップ成形して、乳首、風船、手袋、バルーン、サック等の人体と接触して使用されるディップ成形体が得られることが知られている。しかしながら、天然ゴムのラテックスは、人体にアレルギー症状を引き起こすような蛋白質を含有するため、生体粘膜又は臓器と直接接触するディップ成形体としては問題がある場合があった。そのため、天然ゴムのラテックスの代わりに合成イソプレン重合体のラテックスを用いる検討がされてきている。
合成イソプレン重合体ラテックスは、合成イソプレン重合体を溶剤に溶解し、それを界面活性剤と一緒に乳化し、更に脱溶媒する方法で製造されることが知られている。この方法において、界面活性剤としてロジン酸塩が一般的に使用されるが、精製されていない天然由来(ガムロジン)のロジン酸の塩を使用している場合は、ディップ後の加硫工程においてセスキテルペンが揮発していた。
セスキテルペンは、3つのイソプレンから構成されC1524の分子式を持つものである。セスキテルペンは非常に種類が多く3000以上存在すると言われており、ファルネセン、ロンギホレン、ビサボレン、カリオフィレン、セリネンなどは精油として使用されている場合がある。このように、リラックス効果のある物質も含まれているが、加硫工程において、加硫剤である硫黄由来の臭気にこのセスキテルペン系の臭気が混合した臭気は不快であり異臭を訴える作業員が増える傾向があった。このため、排気設備の拡充や強化が必要になる等、設備投資が大きくなる場合があった。
例えば特許文献1および特許文献2には、合成イソプレン重合体ラテックスの製造に用いる界面活性剤として、ロジン酸塩を用いることが開示されている。しかし、ロジン酸塩を得るためのロジンについては、特に説明も限定もなく、加硫時のセスキテルペンの発生については何ら言及されていなかった。
特開2009−179680号公報 特表2009−531497号公報
本発明は、加硫時における不快な臭いの発生を抑制することができるディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックス、このラテックスを含むディップ成形用組成物、およびこの組成物をディップ成形して得られるディップ成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、界面活性剤として特定のロジン系物質を使用することにより製造したディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックスが、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明によれば、
(1) 160℃加熱時に発生するセスキテルペン量が500ppm以下のロジン系物質の存在下で乳化することにより得られるディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックス、
(2) (1)に記載のディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックス、硫黄系加硫剤、および加硫促進剤を含有してなるディップ成形用組成物、
(3) (2)に記載のディップ成形用組成物をディップ成形してなるディップ成形体
が提供される。
本発明のディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックスによれば、加硫時における不快な臭いの発生を抑制することができる。また、本発明によればこのラテックスを含むディップ成形用組成物、およびこの組成物をディップ成形して得られるディップ成形体が提供される。
以下、本発明のディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックスについて説明する。本発明のディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックスは、160℃加熱時に発生するセスキテルペン量が500ppm以下のロジン系物質の存在下で乳化することにより得られる。ロジン系物質中のセキステルペン量は好ましくは400ppm以下である。
前記ロジン系物質中のセキステルペン量は、ロジン系物質を160℃で加熱することにより発生した成分を吸着管(TenaxGR+Carboxen569)へ捕集し、特定条件で測定した場合の発生量であり、詳細は後述の実施例における方法により測定された量である。
(ディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックス)
本発明のディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックスは、イソプレンを重合して得られる合成イソプレン重合体のラテックスである。
(合成イソプレン重合体)
合成イソプレン重合体は、イソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体を共重合したものであってもよい。合成イソプレン重合体のイソプレン単位の含有量は、柔軟で、引張強さに優れるディップ成形体が得られ易いことから、全単量体単位に対して、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上、特に好ましくは100重量%(イソプレンの単独重合体)である。
イソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、ブタジエン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン等のイソプレン以外の共役ジエン単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル単量体;スチレン、アルキルスチレンなどのビニル芳香族単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルなどのエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等の架橋性単量体;が挙げられる。なお、これらのイソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
合成イソプレン重合体中のイソプレン単位としては、イソプレンの結合状態により、シス結合単位、トランス結合単位、1,2−ビニル結合単位、3,4−ビニル結合単位の4種類が存在する。
そして、ディップ成形体の引張強さ向上の観点から、合成イソプレン重合体に含まれるイソプレン単位中のシス結合単位の含有割合は、全イソプレン単位に対して、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。
合成イソプレン重合体の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー分析による標準ポリスチレン換算で、10,000〜5,000,000、好ましくは500,000〜5,000,000、特に好ましくは800,000〜3,000,000である。合成イソプレン重合体の重量平均分子量が小さ過ぎると、ディップ成形体の引張強さが低下する傾向があり、逆に大き過ぎると、合成イソプレン重合体のラテックスが製造し難くなる傾向がある。
また、合成イソプレン重合体のポリマームーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は、50〜80、好ましくは60〜80、特に好ましくは70〜80である。
また、合成イソプレン重合体ラテックス中のラテックス粒子(合成イソプレン重合体粒子)の体積平均粒子径は、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは0.5〜3μm、特に好ましくは0.5〜2μmである。この体積平均粒子径が小さすぎると、ラテックス粘度が高くなりすぎて取り扱い難くなる場合があり、逆に大きすぎると、合成イソプレン重合体ラテックスを貯蔵した際に、ラテックス表面に皮膜が生成する場合がある。
合成イソプレン重合体ラテックスの電導度は、1.0mS/cm〜2.0mS/cmであることが好ましい。電導度が1.0mS/cm未満の場合は乳化時や濃縮時に凝集物が多量に発生する場合がある。また、電導度が2.0mS/cmを超える場合には、脱溶剤時に発泡が激しくなったり、ディップ成形用組成物を移送する際や配合時に泡立ちが激しく、手袋にピンホールなどの欠陥を残す場合がある。
なお、電導度は、METTLER TOLEDO社製導電率計(商品名:SG78−FK2)を使用し、測定温度25℃で測定した値である。
本発明のディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックスの製造方法としては、例えば、有機溶媒に溶解または微分散した合成イソプレン重合体の溶液または微細懸濁液を、界面活性剤の存在下に、水中で乳化し、必要により有機溶媒を除去して、ディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックスを製造する方法が挙げられる。
合成イソプレン重合体は、従来公知の方法、例えばトリアルキルアルミニウム−四塩化チタンからなるチーグラー系重合触媒やn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム重合触媒を用いて、不活性重合溶媒中で、イソプレンを溶液重合して得ることができる。そして、得られた合成イソプレン重合体の重合体溶液を、そのまま用いても良いが、該重合体溶液から固形の合成イソプレン重合体を取り出した後、その固形の合成イソプレン重合体を有機溶媒に溶解して用いることもできる。
この際、イソプレン重合体を合成した後に、重合体溶液中に残った重合触媒の残渣などの不純物を取り除いてもよい。また、重合中または重合後の溶液に、後述する老化防止剤を添加してもよい。
また、市販の固形の合成イソプレン重合体を用いてもよい。
本発明のディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックスを製造する際に用いる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン等の脂環族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、二塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素溶媒;等を挙げることができる。これらのうち、芳香族炭化水素溶媒および脂環族炭化水素溶媒が好ましく、シクロヘキサンおよびトルエンが特に好ましい。
なお、有機溶媒の使用量は、合成イソプレン重合体100重量部に対して、好ましくは2,000重量部以下、より好ましくは20〜1,500重量部である。
合成イソプレン重合体ラテックスの脂環族炭化水素溶媒および芳香族炭化水素溶媒の合計含有量は500重量ppm以下であることが好ましい。また、脂環族炭化水素溶媒としてはシクロヘキサンが好ましく、芳香族炭化水素溶媒としてはトルエンが好ましい。脂環族炭化水素溶媒および芳香族炭化水素溶媒の合計含有量、特にシクロヘキサンおよびトルエンの合計含有量が多すぎると、ディップ成形用組成物の臭気がきつくなる傾向がある。
なお、脂環族炭化水素溶媒および芳香族炭化水素溶媒の合計含有量の測定は、ガスクロマトグラフィー法など、一般的に使用可能な測定方法で測定することができる。
本発明のディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックスを製造する際に、界面活性剤として、160℃で加熱したときのセスキテルペン発生量が500ppm以下、好ましくは400ppm以下であるロジン系物質を用いる。
ここで、ロジン系物質とは、ロジン由来の物質であり、トールロジンなどのロジン、ロジン酸ナトリウムやロジン酸カリウムなどのロジン酸塩などが挙げられる。これらのなかでも、トールロジン、精製ロジンのロジン酸塩が好ましい。
160℃で加熱したときのセスキテルペン量が上記範囲であるロジン系物質を用いることにより乳化時の乳化安定性が良好となる。また、得られるディップ成形体を強度に優れたものにすることができる。
ここで、セスキテルペンとは、3つのイソプレンから構成されC1524の分子式を持つものである。セスキテルペンとしては、例えばファルネセン、ロンギホレン、ビサボレン、カリオフィレン、およびセリネンなどが挙げられる。
界面活性剤の使用量は、合成イソプレン重合体100重量部に対して、好ましくは0.5〜50重量部、より好ましくは0.5〜30重量部である。この量が少なすぎると、ラテックスの安定性が劣る傾向にあり、逆に多すぎると、発泡しやすくなり、ディップ成形時に問題が起きる可能性がある。
本発明のディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックスを製造する際に使用する水の量は、合成イソプレン重合体100重量部に対して、好ましくは50〜5,000重量部、より好ましくは100〜3,000重量部である。
使用する水の種類としては、硬水、軟水、イオン交換水、蒸留水、ゼオライトウォーターなどが挙げられる。また、メタノールなどのアルコールに代表される極性溶媒を水と併用してもよい。
合成イソプレン重合体の有機溶媒溶液または微細懸濁液を、界面活性剤の存在下、水中で乳化する装置は、一般に乳化機又は分散機として市販されているものであれば特に限定されず使用できる。そして、界面活性剤の添加方法は、特に限定されず、予め水および/または合成イソプレン重合体の有機溶媒溶液または微細懸濁液に添加しても、乳化操作を行っている最中に、乳化液に添加してもよく、一括添加しても、分割添加してもよい。
乳化装置としては、例えば、商品名:ホモジナイザー(IKA社製)、商品名:ポリトロン(キネマティカ社製)、商品名:TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機;商品名:TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、商品名:コロイドミル(神鋼パンテック社製)、商品名:スラッシャー(日本コークス工業社製)、商品名:トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、商品名:キャビトロン(ユーロテック社製)、商品名:マイルダー(大平洋機工社製)、商品名:ファインフローミル(大平洋機工社製)等の連続式乳化機;商品名:マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、商品名:ナノマイザー(ナノマイザー社製)、商品名:APVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機;膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機;商品名:バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機;商品名:超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機;等が挙げられる。なお、乳化装置による乳化操作の条件は、特に限定されず、所望の分散状態になるように、処理温度、処理時間などを適宜選定すれば良い。
本発明のディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックスを製造する際には、乳化操作を経て得られた乳化物から、有機溶媒を除去して、合成イソプレン重合体ラテックスを得ることが好ましい。乳化物から有機溶媒を除去する方法は、特に限定されず、減圧蒸留、常圧蒸留、水蒸気蒸留、遠心分離等の方法を採用することができる。
また、有機溶媒を除去した後、必要に応じ、合成イソプレン重合体ラテックスの固形分濃度を上げるために、減圧蒸留、常圧蒸留、遠心分離、膜濃縮等の方法で濃縮操作を施してもよい。
合成イソプレン重合体ラテックスの固形分濃度は、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは40〜70重量%である。固形分濃度が低すぎると、合成イソプレン重合体ラテックスを貯蔵した際に、合成イソプレン重合体粒子が分離する懸念があり、逆に高すぎると、合成イソプレン重合体粒子同士が凝集して粗大凝集物が発生する場合がある。
また、合成イソプレン重合体ラテックスには、ラテックスの分野で通常配合される、pH調整剤、消泡剤、防腐剤、架橋剤、キレート化剤、酸素捕捉剤、分散剤、老化防止剤等の添加剤を配合しても良い。
pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩;アンモニア;トリメチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン化合物;等が挙げられるが、アルカリ金属の水酸化物またはアンモニアが好ましい。
(ディップ成形用組成物)
本発明のディップ成形用組成物は、ディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックス、硫黄系加硫剤、および加硫促進剤を含有してなる。
(加硫剤)
加硫剤としては、例えば、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等の硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリン・ジスルフィド、アルキルフェノール・ジスルフィド、N,N'−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン−2)、含りんポリスルフィド、高分子多硫化物、2−(4'−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール等の硫黄系加硫剤を用いることができる。なかでも、硫黄が好ましく使用できる。これらの加硫剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
加硫剤の使用量は、特に限定されないが、合成イソプレン重合体100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜3重量部である。この量が少なすぎても、多すぎても、ディップ成形体の引張強さが低下する傾向がある。
(加硫促進剤)
加硫促進剤としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用でき、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸、ジ−2−エチルヘキシルジチオカルバミン酸、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸、ジフェニルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸などのジチオカルバミン酸類およびそれらの亜鉛塩;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジエチルチオ・カルバイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,6−ジメチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2−(4′−モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4−モルホニリル−2−ベンゾチアジル・ジスルフィド、1,3−ビス(2−ベンゾチアジル・メルカプトメチル)ユリアなどが挙げられるが、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛が好ましい。これらの加硫促進剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
加硫促進剤の使用量は、合成イソプレン重合体100重量部に対して、好ましくは0.05〜5重量部であり、更に好ましくは0.1〜2重量部である。この量が少ないとディップ成形体の引張強さが低下する場合がある。また、この量が過大であると、ディップ成形体の伸び、および引張強さが低下する場合がある。
(その他の成分)
(酸化亜鉛)
本発明のディップ成形用組成物は、さらに酸化亜鉛を含有することが好ましい。酸化亜鉛の含有量は、特に限定されないが、合成イソプレン重合体100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.2〜2重量部である。この量が少なすぎるとディップ成形体の引張強さが低下する傾向があり、逆に多すぎると、ディップ成形用組成物中の合成イソプレン重合体粒子の安定性が低下して粗大な凝集物が発生する場合がある。
(分散剤)
本発明のディップ成形用組成物は、分散剤を必要に応じて含有してもよく、分散剤としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノレン酸及びロジン酸などの脂肪酸のナトリウムまたはカリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性界面活性剤等が挙げられるが、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが特に好ましい。なお、これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
分散剤の使用量は、合成イソプレン重合体100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部であり、更に好ましくは0.05〜3重量部である。この量が少ないとディップ成形用組成物の配合安定性が低下したり、前加硫時に凝集物が多くなる場合がある。また、この量が過大であると、ディップ成形用組成物が泡立ち易くなり、ピンホールが発生し易くなる場合がある。
(配合剤)
本発明のディップ成形用組成物には、さらに、老化防止剤;カーボンブラック、シリカ、タルク等の補強剤;炭酸カルシウム、クレー等の充填剤;紫外線吸収剤;可塑剤;等の配合剤を必要に応じて配合することができる。
老化防止剤としては、2,6−ジ−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、スチレン化フェノール、2,2'−メチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフノール)、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、アルキル化ビスフェノール、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、などの硫黄原子を含有しないフェノール系老化防止剤;2,2'−チオビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス−(6−t−ブチル−o−クレゾール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノールなどのチオビスフェノール系老化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコール・ジホスファイトなどの亜燐酸エステル系老化防止剤;チオジプロピオン酸ジラウリルなどの硫黄エステル系老化防止剤;フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)−ジフェニルアミン、4,4'―(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物などのアミン系老化防止剤;6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどのキノリン系老化防止剤;2,5−ジ−(t−アミル)ハイドロキノンなどのハイドロキノン系老化防止剤;などが挙げられる。これらの老化防止剤は、1種を単独で用いてもよいし、または2種以上を併用してもよい。
老化防止剤の使用量は、合成イソプレン重合体100重量部に対して、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。この量が少なすぎると、合成イソプレン重合体が劣化する場合がある。また、この量が多すぎると、ディップ成形体の引張強さが低下する場合がある。
ディップ成形用組成物の調製方法は、特に限定されない。当該調整方法としては、ボールミル、ニーダー、ディスパー等の分散機を用いて、合成イソプレン重合体のラテックスに、加硫剤、加硫促進剤、酸化亜鉛、上記の分散剤および必要に応じて配合される老化防止剤などのその他の配合剤を混合する方法や、予め上記の分散機を用いて、合成イソプレン重合体のラテックス以外の所望の配合成分の水性分散液を調製した後、該水性分散液を合成イソプレン重合体のラテックスに混合する方法などが挙げられる。また、合成イソプレン重合体のラテックスに前記の分散剤を予め混合した後、加硫剤、加硫促進剤、および老化防止剤などのその他の配合剤、を添加することもできる。
ディップ成形用組成物のpHは、7以上であることが好ましく、pH8〜12の範囲であることがより好ましい。
ディップ成形用組成物の固形分濃度は、例えば、15〜70重量%の範囲である。本発明のディップ成形用組成物は、ディップ成形に供する前に、熟成(前加硫ともいう。)させることが好ましい。
前加硫する時間は、特に限定されず、前加硫温度にも依存するが、好適な引張強さを有するディップ成形体が得られる観点から、好ましくは1〜14日間であり、更に好ましくは1〜7日間である。
前加硫温度は、好ましくは20〜40℃である。
前加硫した後、ディップ成形に供されるまで、好適な引張強さを有するディップ成形体が得られる観点から、好ましくは10〜25℃で貯蔵することが好ましい。
(ディップ成形体)
本発明のディップ成形体は、本発明のディップ成形用組成物をディップ成形して得られる。
ディップ成形は、ディップ成形用組成物に型を浸漬し、型の表面に当該組成物を沈着させ、次に型を当該組成物から引き上げ、型の表面に沈着した当該組成物を乾燥させる方法である。ディップ成形用組成物に浸漬される前の型を予熱させてもよい。型をディップ成形用組成物に浸漬する前又は型をディップ成形用組成物から引き上げた後、必要に応じて凝固剤を使用できる。凝固剤の使用方法の具体例は、ディップ成形用組成物に浸漬する前の型を凝固剤溶液に浸漬して型に凝固剤を付着させる方法(アノード凝着浸漬法)、ディップ成形用組成物を沈着させた型を凝固剤溶液に浸漬する方法(ティーグ凝着浸漬法)である。
厚みムラの少ないディップ成形体が得られる点で、アノード凝着浸漬法が好ましい。
凝固剤の具体例は、塩化バリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどのハロゲン化金属;硝酸バリウム、硝酸カルシウム、硝酸亜鉛などの硝酸塩;酢酸バリウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛など酢酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムなどの硫酸塩;などの水溶性多価金属塩である。なかでも、カルシウム塩が好ましく、硝酸カルシウムがより好ましい。これらの水溶性多価金属塩は、単独または2種以上組み合わせて用いることができ、好ましくは水溶液の状態で使用する。この水溶液は、さらにメチルアルコール、エチルアルコールなどの水溶性有機溶媒やノニオン性界面活性剤を含有し得る。凝固剤の濃度は、水溶性多価金属塩の種類によっても異なるが、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは8〜30重量%である。
型をディップ成形用組成物から引き上げた後、例えば、加熱して型上に形成された沈着物を乾燥させる。乾燥条件は適宜選択する。
次いで、加熱して、型上に形成された沈着物を加硫する。
加硫時の加熱条件は、特に限定されないが、好ましくは60〜150℃、より好ましくは100〜130℃の加熱温度で、好ましくは10〜120分の加熱時間である。
加熱の方法は、特に限定されないが、オーブンの中で温風で加熱する方法、赤外線を照射して加熱する方法などである。
ディップ成形用組成物を沈着させた型を加熱する前あるいは加熱した後に、水溶性不純物(例えば、余剰の界面活性剤、凝固剤)を除去するために、好ましくは型を水または温水で洗浄する。
加硫後のディップ成形体は、型から脱着される。脱着方法の具体例は、手で型から剥がす方法、水圧又は圧縮空気圧力により剥がす方法である。形成途中のディップ成形体が脱着に対する十分な強度を有していれば、途中工程で脱着し、引き続き、その後の処理を継続してもよい。
ディップ成形体が手袋である場合、ディップ成形体同士の接触面における密着を防止し、着脱の際の滑りをよくするために、タルク、炭酸カルシウムなどの無機微粒子又は澱粉粒子などの有機微粒子を手袋表面に散布したり、微粒子を含有するエラストマー層を手袋表面に形成したり、手袋の表面層を塩素化したりしてもよい。
以下、実施例により本発明が詳細に説明されるが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、以下の「%」および「部」は、特に断りのない限り、重量基準である。なお、各種の物性は以下のように測定した。
(重量平均分子量)
実施例及び比較例で得られた合成イソプレン重合体ラテックスを固形分濃度で0.1重量%となるように、テトラヒドロフランに溶解した。この溶液をゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー分析し、合成イソプレン重合体の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量として算出した。
(シス結合単位量)
実施例及び比較例で得られた合成イソプレン重合体ラテックスにメタノールを添加し、凝固した。得られた凝固物を乾燥した後、1H−NMR分析して、合成ポリイソプレン中の全イソプレン単位に対するシス結合単位の割合を示した。
(界面活性剤における160℃加熱時に発生するセスキテルペン量測定)
(試料前処理)
不揮発分を15%に調整した界面活性剤20mgを清浄な容器に入れて加熱した。加熱により発生した成分を吸着管(TenaxGR+Carboxen569)へ捕集した。加熱条件および測定条件は以下に示した。なお、不揮発分とは、105℃に調整したオーブン内で2時間乾燥した場合の残渣であり、界面活性剤は、本発明に用いるロジン系物質を含む。
(加熱条件)
温度:160℃
捕集時間:20min
キャリアーガス:ボンベ空気(Air)(流量50ml/min、AirZERO−A:住友精化製)
(測定条件)
下記の機器および条件にて、セスキテルペン(C1524)発生量を測定した。なお、検量線はトルエンを用いて作成した。検出下限は5ppmである。
・装置
熱脱離装置:TD−100(Markes製)
GC/MS:HP7890/5975C(Agilent製)
・熱脱離条件
1次脱離:260℃×15min(−30℃トラップ)
2次脱離:320℃×5min
・カラム
DB−5MS(30m×0.25mmID、膜厚1.0μm)J&W社製
・各温度
オーブン:40℃(4minHOLD)−>300℃(15minHOLD)
(10℃/min昇温)
注入口:225℃
トランスファーライン:280℃
イオン源:230℃
・キャリアーガス
He:流量1.5ml/min(スプリット比1:200)
・検出器
MS:電子イオン化(EI)、m/z 29〜600
(ディップ成形体における160℃加熱時に発生するセスキテルペン量測定)
(試料前処理)
加硫直前のディップ成形膜20mgをインピンジャーに入れて加熱した。加熱により発生した成分を吸着管(TenaxGR+Carboxen569)へ捕集した。加熱条件および測定条件は、界面活性剤における160℃加熱時に発生するセスキテルペン量測定と同一条件とした。
(加硫時の臭気の判定)
加硫時の臭気を下記基準により評価し、結果を表1に示した。
○:セスキテルペンの混じった臭いがしない
△:かすかにセスキテルペンの混じった臭いがするが、不快ではない
×:セスキテルペンの混じった不快な臭いがする
××:セスキテルペンの混じった不快な臭いが強い
(ディップ成形体の引張強度及び破断直前の伸び)
ディップ成形体の引張強度は、ASTM D412に基づいて測定した。具体的には、ディップ成形体のフィルムをダンベル(Die−C:ダンベル社製)で打ち抜き、引張強度測定用試験片を作製した。当該試験片をテンシロン万能試験機(商品名「RTC−1225A」、(株)オリエンテック製)で引張速度500mm/minで引っ張り、破断直前の引張強度(単位:MPa)、破断直前の伸び(単位:%)を測定した。ディップ成形体の引張強度は下記基準にて評価した。
A:引張強度が23MPa以上
B:引張強度が18MPa以上、23MPa未満
(実施例1)
アルキルリチウム系触媒を用いてシクロヘキサン中で溶液重合して得られる合成イソプレン重合体(重量平均分子量(MW)176万、Mw/Mn=1.24、シス結合単位量82%)を含む合成イソプレン重合体のシクロヘキサン溶液1250部(合成イソプレン重合体100部、シクロヘキサン1150部)を準備した。次に、界面活性剤(160℃加熱時に発生するセスキテルペン量が検出限界以下の「バンディスT−25K」(ハリマ化成(株)製))0.8重量%を含有してなる界面活性剤水溶液1245部を調整した。
そして、上記の合成イソプレン重合体のシクロヘキサン溶液全量、および上記界面活性剤水溶液の全量を、SUS304製の溶液に入れて攪拌混合し、続いてホモジナイザー(商品名「マイルダーMDN−303V」、大平洋機工社製)により乳化分散処理を施し、乳化混合液を得た。
次に、消泡剤(商品名「SM5515」、東レ・ダウコーニング社製)を合成イソプレン重合体100部に対して400ppmになるように添加し、溶剤除去用タンク内で、上記乳化混合液からシクロヘキサンを留去して、合成イソプレン重合体ラテックスを得た。そして、200メッシュステンレス製金網を用い、合成イソプレン重合体ラテックス中の凝集物を除去した。
次に、凝集物を除去後の合成イソプレン重合体ラテックスに対し、密閉ディスク型連続遠心分離機(アルファ・ラバル社製SGR509)により、9000G、通液流量1600L/hrで遠心分離した。その結果、固形分濃度66重量%の実施例1の合成イソプレン重合体ラテックスを得た。当該遠心分離機のボウルが開けられ、ディスクが解放されると、凝集物はほとんど見られなかった。
(ディップ成形用組成物)
上記で得られた合成イソプレン重合体ラテックスを攪拌しながら、合成イソプレン重合体100部に対して、固形分換算で1部になるように濃度10%のドデシルベンゼンスルホン酸ソーダを添加した。そして、得られた混合物を攪拌しながら、混合物中の合成イソプレン重合体100部に対して、それぞれ固形分換算で、酸化亜鉛1.5部、硫黄1.5部、老化防止剤(商品名:Wingstay L、グッドイヤー社製)2部、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛0.3部、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛0.5部、メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩0.7部となるように、各配合剤の水分散液を添加した後、水酸化カリウム水溶液を添加して、pHを10.5に調整したディップ成形用組成物を得た。
その後、得られたディップ成形用組成物を、30℃に調整された恒温水槽で48時間熟成した。
(ディップ成形体)
市販のセラミック製手型(株式会社シンコー製)を洗浄し、70℃のオーブン内で予備加熱した後、18重量%の硝酸カルシウムおよび0.05重量%のポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名:エマルゲン109P、花王(株)製)からなる凝固剤水溶液に5秒間浸漬し、取り出した。次いで、凝固剤で被覆された手型を70℃のオーブン内で30分以上乾燥した。
その後、凝固剤で被覆された手型をオーブンから取り出し、ディップ成形用組成物に10秒間浸漬した。その後、室温で10分間風乾してから、この手型を60℃の温水中に5分間浸漬した。この操作を繰り返し、フィルム状の合成イソプレン重合体で被覆された手型を2本作成した。
フィルム状の合成イソプレン重合体で被覆された手型の内、1本は130℃のオーブン内に置き、30分間加硫を行った後、オーブンのドアを開けて直ぐに臭気判定を行い、次いで、オーブンから取り出してディップ成形体の物性を測定した。また、残りの1本は、160℃加熱時に発生するセスキテルペン量測定用に使用した。
加硫されたフィルムで被覆された手型を室温まで冷却し、タルクを散布した後、当該フィルムを手型から剥離した。得られたディップ成形体を用いて引張強度および破断時の伸びの評価を行った。結果を表1に示した。
(実施例2)
160℃加熱時に発生するセスキテルペン量が検出限界以下である「バンディスT−25K」(ハリマ化成(株)製)に、セスキテルペンの1種である(E)-β-ファルネセン(和光純薬社製)を添加し、160℃加熱時に発生するセスキテルペン量が400ppmになる界面活性剤を調整した。この界面活性剤を使用した以外は、実施例1と同様にして合成イソプレン重合体ラテックスを得た。これを用いて実施例1と同様に、ディップ成形用組成物およびディップ成形体の製造、160℃加熱時に発生するセスキテルペン量の測定、引張強度および破断時伸びの評価を行った。結果を表1に示した。
(比較例1)
界面活性剤を、160℃加熱時に発生するセスキテルペン量が800ppmの「ロンジスN−18」(荒川化学(株)製)に変更した以外は、実施例1と同様に合成イソプレン重合体ラテックスを得た。また、これを用いて実施例1と同様にディップ成形用組成物およびディップ成形体の製造、160℃加熱時に発生するセスキテルペン量の測定、引張強度および破断時伸びの評価を行った。結果を表1に示した。
(比較例2)
160℃加熱時に発生するセスキテルペン量が検出限界以下である「バンディスT−25K」(ハリマ化成(株)製)に、セスキテルペンの1種である(E)-β-ファルネセン(和光純薬社製)を添加し、160℃加熱時に発生するセスキテルペン量が1000ppmになる界面活性剤を調整した。この界面活性剤を使用した以外は、実施例1と同様に合成イソプレン重合体ラテックスを得た。また、これを用いて実施例1と同様にディップ成形用組成物およびディップ成形体の製造、160℃加熱時に発生するセスキテルペン量の測定、引張強度および破断時伸びの評価を行った。結果を表1に示した。
Figure 0006459564
実施例1は、加硫時の不快な臭いがしなかった。さらに、ディップ成形体の引張強度と破断時伸びが高いものが得られた。
実施例2は、加硫時にかすかにセスキテルペンの混じった臭いが発生したが、不快な臭いではなかった。さらに、ディップ成形体の引張強度と破断時伸びが高いものが得られた。
一方、セスキテルペン発生量が多い界面活性剤を使用した比較例1においては、加硫時に不快な臭いが発生した。また、ディップ成形体の引張強度が低いものであった。
また、セスキテルペンを多く添加した比較例2においては、加硫時に発生した不快な臭いが強いものであった。また、ディップ成形体の引張強度が低いものであり、破断時伸びも劣ったものであった。

Claims (4)

  1. 160℃加熱時に発生するセスキテルペン量が500ppm以下のロジン系物質の存在下で乳化することにより得られるディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックス。
  2. イソプレン単位の含有量が、90重量%以上である請求項1記載のディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックス。
  3. 請求項1または2に記載のディップ成形用合成イソプレン重合体ラテックス、硫黄系加硫剤、および加硫促進剤を含有してなるディップ成形用組成物。
  4. 請求項に記載のディップ成形用組成物をディップ成形してなるディップ成形体。
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