JP6457765B2 - 水中油型乳化化粧料 - Google Patents
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Description
特許文献2の技術では、配合されるステアリン酸ステアリル等による即時的なハリ感を得ることは可能であるが、配合量によっては、固体油特有の適度なハリ感となりにくい場合や、ハリ感の持続性に優れない場合があった。
特許文献3の技術では、共重合体による皮膜形成によってハリ感を与えた場合、使用直後に共重合体による皮膜によって、ハリ感が感じられることがあるが、皮膜の柔軟性が低く、肌への密着感が弱いため、目元、口元等の動きの大きい箇所では皮膚の動きによって皮膜の断裂を生じやすく、さらには剥離してしまう場合もあった。
特許文献4の技術では、油溶性皮膜形成剤と揮発性の高い油剤、高級アルコール、高級脂肪酸とN−長鎖アシルアミノ酸系界面活性剤を併用することで持続性のハリ感を付与する場合、揮発性油剤が揮発することによって得られる即時性のハリ感はその揮発スピードが速すぎることによって強固な膜が形成されてしまい、使用感が満足のいくものではなかった。
以上のような従来技術における課題等を勘案して、本発明においては、肌にハリ感を与えるだけでなく、べたつき感のなさにも優れ、さらにハリ感が持続するものであって、特にみずみずしい使用感を具現化しやすい水中油型乳化化粧料において開発することを目指した。
(A)数平均分子量1000〜3000であるポリブテン又は水素添加ポリイソブテン
(B)リンゴ酸ジイソステアリル
(C)ジグリセリンと脂肪酸とのエステル化物である油剤
を含有し、成分(A)、(B)、(C)の含有量の合計が、全油量に対して20質量%以上であることを特徴とする水中油型乳化化粧料に関するものである。
本発明に使用される成分(A)は数平均分子量1000〜3000であるポリブテン又は水素添加ポリイソブテンである。ポリブテンは、イソブテンの共重合体であり、例えば、イソブテン(C4ガス)を、触媒を用いて重合して得られたものを用いることができる。また水素添加ポリイソブテンは、イソブテンの重合による長鎖状炭化水素によって構成されたポリイソブテンを水素添加したものである。これらの数平均分子量は、1000〜3000であるものが本発明において必要であり、この範囲にすることで、化粧料塗布後において、肌のハリ感を向上させることができるのである。なお、数平均分子量はGPC(ポリスチレン換算)で測定した。市販品のポリブテンの例としては、出光ポリブテン 2000H食添(数平均分子量2900)、出光ポリブテン 300H(数平均分子量1330)(共に出光興産社製)、精製ポリブテンHV−100F(SB)(数平均分子量940)(日本ナチュラルプロダクツ社製)、ポリブテン30N(数平均分子量1350)、ポリブテン200N(数平均分子量2650)(共に日油社製)、日石ポリブテン グレードHV−300(数平均分子量1400)日石ポリブテン グレードHV−1900(数平均分子量2900)(共にJX日鉱日石エネルギー社製)がある。水素添加ポリイソブテンの例としては、パールリーム18(数平均分子量1000)、パールリーム24(数平均分子量1350)、パールリーム46(数平均分子量2650)(共に日油社製)等が挙げられる。
なお、本発明における数平均分子量は、島津製GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定装置を用いて数平均分子量(ポリスチレン換算)を測定した。また成分(A)の平均分子量は、1000〜3000であることが好ましいが、平均分子量が1000未満になると、十分なハリ感を得られない場合があり、また3000を超えると、使用する際の、塗布時の伸び広がりに肌への負担を感じる場合がある。
なお、本発明における成分(A)、(B)、(C)以外の油剤としては、通常化粧料に用いられる油剤であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形油、半固形油、液体油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられる。
一般に、リン脂質は、フォスファチジルコリン純度が高いものが、化粧料として多く用いられることがあるが、本発明においては、フォスファチジルコリン(PC)純度が高いことは必要でなく、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチルジイノシトール等を含むものである方が、本発明においては好ましい。そのため、PC純度としては、90%以下が好ましく、より好ましくは70%以下のものがよく、そしてさらには50%以下が好ましい。市販品では、レシノールS−10が特に適するものである。
本発明品1〜16および比較品1〜5:水中油型乳化化粧料(アイクリーム)
表1〜3に示す組成および下記製造方法にてアイクリームを調整した。化粧品評価専門パネル20名により、表1〜3に示すアイクリームについて、各試料1gを目元周辺の約2cm四方に塗布した後、「肌のハリ感(塗布直後)」、「肌のハリ感持続性(塗布5時間後)」、「べたつき感のなさ」の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1〜3に示した。
A:成分(1)、(2)、(20)を室温にて均一に混合し、70℃に加熱する。
B:成分(3)〜(16)を70℃に加熱し、Aに添加しゲル形成する。
C:成分(17)〜(21)を70℃に加熱し、Bに添加し乳化する。
D:Cを40℃まで冷却した後に成分(23)を添加混合しアイクリームを得た。
専門評価者20名の目元に、本発明品1〜16および比較品1〜5の各試料を塗布し、塗布直後のハリ感についてアンケートを行い、以下の基準で評価した。
(評価)
◎:塗布後の肌に、ハリ感があると答えた評価者が16名以上。
○:塗布後の肌に、ハリ感があると答えた評価者が12〜15名。
△:塗布後の肌に、ハリ感があると答えた評価者が8〜11名。
×:塗布後の肌に、ハリ感があると答えた評価者が7名以下。
専門評価者20名の目元に、本発明品1〜13および比較品1〜5の各試料を塗布し、「肌のハリ感持続性(5時間経過後)」についてアンケートを行い、以下の基準で評価した。
(評価)
◎:塗布5時間経過後の肌に、ハリ感があると答えた評価者が16名以上。
○:塗布5時間経過後の肌に、ハリ感があると答えた評価者が12〜15名。
△:塗布5時間経過後の肌に、ハリ感があると答えた評価者が8〜11名。
×:塗布5時間経過後の肌に、ハリ感があると答えた評価者が7名以下。
専門評価者20名の目元に、本発明品1〜13および比較品1〜5の各試料を塗布し、「べたつき感のなさ」について、アンケートを行い、以下の基準で評価した。
(評価)
◎:塗布後の肌に、べたつき感がないと答えた評価者が16名以上。
○:塗布後の肌に、べたつき感がないと答えた評価者が12〜15名。
△:塗布後の肌に、べたつき感がないと答えた評価者が8〜11名。
×:塗布後の肌に、べたつき感がないと答えた評価者が7名以下。
これに対して成分(A)の代わりに数平均分子量が350のポリブテンを用いた比較品1は、肌のハリ感(塗布直後)、およびその持続性に劣るものであった。成分(A)を含有しない比較品2では、塗布直後のハリ感およびその持続性は十分なものであったが、べたつき感のなさでは劣るものだった。数平均分子量が、1000〜3000の範囲にあるものがハリ感の強さ、およびべたつき感に影響しているためと考えられる。成分(C)の代わりにトリイソステアリン酸トリメチロールプロパンにした比較品3では、塗布直後のハリ感、およびその持続性に劣るものであった。また成分(D)の代わりにイソステアリン酸プロピレングルリコールにした比較品4ではハリ感、および特にその持続性に劣るものであり、ジグリセリンと、炭素数8〜20の飽和、不飽和もしくは直鎖、分岐いずれの脂肪酸との、モノ、ジ、トリ又はテトラエステル化物であるジグリセリン骨格を有する油剤がハリ感の持続性において、特に優れた成分であり、該成分を含有しないと発明の効果が得られないことがわかった。(A+B+C)/全油量が10%である比較品5は、塗布直後の肌のハリ感、その持続性において劣るものであった。
(成分) (%)
1.水添レシチン 2
2.濃グリセリン 10
3.セトステアリルアルコール 1
4.ポリブテン (*5) 2
5.トリイソステアリン酸ジグリセリル 3
6.リンゴ酸ジイソステアリル 2
7.精製水 残量
8.シラカバエキス 0.1
9.ビャクダンエキス 0.1
10.カルボキシビニルポリマー 1
11.水酸化ナトリウム 0.35
12.ポリビニルアルコール 4
A:成分(1)〜(2)を室温にて均一に混合し、70℃に加熱する。
B:成分(3)〜(6)を70℃に加熱し、Aに添加しゲル形成する。
C:成分(7)を70℃に加熱し、Bに添加し乳化する。
D:Cを40℃まで冷却した後に成分(8)〜(12)を添加し目元用クリームを得た。
(成分) (%)
1.水添レシチン 2
2.ジグリセリン 10
3.ワセリン 1
4.水添ポリイソブテン (*2) 3
5.モノイソステアリン酸ジグリセリル 5
6.リンゴ酸ジイソステアリル 7
7.流動パラフィン 10
8.精製水 残量
9.アルキル変性カルボキシビニルポリマー 1
10.トリエタノールアミン 適量
11.1,3−ブチレングリコール 5
12.ヒアルロン酸 0.1
13.コメヌカエキス 0.1
14.ローヤルゼリーエキス 0.1
A:成分(1)〜(2)を室温にて均一に混合し、70℃に加熱する。
B:成分(3)〜(7)を70℃に加熱し、Aに添加しゲル形成する。
C:成分(8)〜(11)を70℃に加熱し、Bに添加し乳化する。
D:Cを40℃まで冷却した後に成分(12)〜(14)を添加しマッサージクリームを得た。
(成分) (%)
1.水添レシチン 2
2.濃グリセリン 10
3.1,3−ブチレングリコール 5
4.メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 7
5.ポリブテン (*5) 3
6.テトライソステアリン酸ジグリセリル 5
7.リンゴ酸ジイソステアリル 5
8.スクワラン 8
9.精製水 残量
10.アルキル変性カルボキシビニルポリマー (*8) 1
11.トリエタノールアミン 適量
12.ソルビトール 1
(*8)ペミュレンTR−1(NOVEON社製)
A:成分(1)〜(3)を室温にて均一に混合し、70℃に加熱する。
B:成分(4)〜(8)を70℃に加熱し、Aに添加しゲル形成する。
C:成分(9)〜(11)を70℃に加熱し、Bに添加し乳化する。
D:Cを40℃まで冷却した後に成分(12)を添加し日焼け止めクリームを得た。
(成分) (%)
1.水添レシチン 2
2.N−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム 0.5
3.濃グリセリン 10
4.セトステアリルアルコール 1
5.ポリブテン (*5) 2
6.トリイソステアリン酸ジグリセリル 3
7.リンゴ酸ジイソステアリル 2
8.オレイン酸コレステロールエステル 0.1
9.精製水 残量
10.シラカバエキス 0.1
11.ビャクダンエキス 0.1
12.カルボキシビニルポリマー 1
13.水酸化ナトリウム 0.35
14.ポリビニルアルコール 4
A:成分(1)〜(3)を室温にて均一に混合し、70℃に加熱する。
B:成分(4)〜(8)を70℃に加熱し、Aに添加しゲル形成する。
C:成分(9)を70℃に加熱し、Bに添加し乳化する。
D:Cを40℃まで冷却した後に成分(10)〜(14)を添加し目元用クリームを得た。
(成分) (%)
1.水添レシチン 2
2.ジグリセリン 8
3.ジペンタエリトリット脂肪酸エステル (*9) 1
4.水添ポリイソブテン (*2) 3
5.ジイソステアリン酸ジグリセリル 5
6.リンゴ酸ジイソステアリル 7
7.流動パラフィン 10
8.精製水 残量
9.アルキル変性カルボキシビニルポリマー 1
10.(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI)
コポリマー (*10) 1
11.トリエタノールアミン 適量
12.1,3−ブチレングリコール 5
(*9)コスモール168ARNV(日清オイリオ社製)
(*10)アデカノールGT−700(ADEKA社製)
A:成分(1)〜(2)を室温にて均一に混合し、70℃に加熱する。
B:成分(3)〜(7)を70℃に加熱し、Aに添加しゲル形成する。
C:成分(8)を70℃に加熱し、Bに添加し乳化する。
D:Cを40℃まで冷却した後に成分(9)〜(12)を添加しマッサージクリームを得た。
Claims (5)
- 次の成分(A)〜(C);
(A)数平均分子量1000〜3000であるポリブテン又は水素添加ポリイソブテン
(B)リンゴ酸ジイソステアリル
(C)ジイソステアリン酸ジグリセリル、又はトリイソステアリン酸ジグリセリル
を含有し、成分(A)、(B)、(C)の合計含有量が、全油量に対して20質量%以上であり、成分(B)、(C)の含有質量割合(B)/(C)が、0.1〜10であることを特徴とする水中油型乳化化粧料。 - 前記成分(A)、(B)の含有質量割合(A)/(B)が、0.1〜10であることを特徴とする請求項1記載の水中油型乳化化粧料。
- 前記成分(C)の含有量が、0.1〜20%である、請求項1又は2記載の水中油型乳化化粧料。
- さらに、成分(D)水素添加リン脂質を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の水中油型乳化化粧料。
- 次の成分(A)〜(C);
(A)数平均分子量1000〜3000であるポリブテン又は水素添加ポリイソブテン
(B)リンゴ酸ジイソステアリル
(C)モノイソステアリン酸ジグリセリル
を含有し、成分(A)、(B)、(C)の合計含有量が、全油量に対して20質量%以上であり、成分(B)、(C)の含有質量割合(B)/(C)が、0.1〜10であることを特徴とする水中油型乳化化粧料。
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