JP6457330B2 - 繊維強化樹脂複合管状構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化樹脂複合管状構造体、とりわけ耐圧性及び耐環境性を高めた繊維強化樹脂複合管状構造体及びその製造方法に関する。
農業用のビニールハウス内で散水するための灌水管として、一般的にはポリ塩化ビニル(以下、PVC)管が使用されてきた。その設計耐水圧は1MPa程度のものであった。しかしながら、PVC管は温度変化により変形しやすく、変形によってPVC管に取り付けられた散水器具の方向が変わってしまうため、所要箇所に散水ができなかったり、散水量にばらつきが生じ、農作物の生育が不均一になるなどの弊害があった。また、曲げ剛性が低いため吊り子(ブラケット)により支持して配管する場合には、自重によりたわみやすく、大きく変形して蛇行する場合がある。そこで、高温環境下で変形し難い灌水管として、繊維強化プラスチック管が市販されている(特許文献1、2参照)。
特許文献1及び2に記載の発明では、熱可塑性樹脂からなる中芯管と、この中芯管の外周に配置された繊維強化熱硬化性樹脂層と、この繊維強化熱硬化性樹脂層(以下、FRP層という)の外周に配置された熱可塑性樹脂被覆層の3層構造よりなり、前記FRP層は長手方向(以下、UD方向という)に強化繊維を縦添えしてUD繊維強化層(以下、UD−FRP層という)を形成している。一方、さらに、中芯管とUD−FRP層の間に強化繊維を中芯管の長手方向に対して一定の角度で所定の巻回(ワインディング)方向(以下、FW方向という)に巻回した強化繊維を含むFW繊維強化層(以下、FW−FRP層)を形成することで、長手方向の剛性の確保と共に、より高い内圧(内部水圧)に耐えることを兼ね備えたUD−FW複層繊維強化管状構造体を提案している。
そして、好適な補強繊維としては、炭素繊維、アラミド繊維などの高弾性率繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、或いは安価であるという点からガラス繊維が例示されている。
また、特許文献1には、FRP灌水管として引抜き成形法(UD−FRP層が形成される。)、或いはフィラメントワインディング法(FW−FRP層が形成される。)による灌水管が提案されており、従来の樹脂管ではなくFRP複合管とすることで、長手方向における線膨張係数が小さくなり、長手方向での蛇行や変形がしにくいことが開示されている。
一方、FRP複合灌水管は、農業用ビニールハウスや温室等において永年継続して使用可能であることが望ましく、このためには、一旦敷設した後は、シーズン毎に設置、撤去を繰り返すことなく、通年設置したままで使用できることが、設置や撤去の手間、費用等を削減できることから望ましい。そのためには、夏場と冬場における使用環境温度耐性が求められる。
しかし、FW−FRP層を含む前記従来技術の灌水管では、夏場における使用環境温度の上昇と冬場における環境温度の降下の繰り返しによる経年劣化によって、管状構造体の耐水圧性能が低下するという問題があった。一方、ハウス農園の大規模化による送水距離や高低差の増大のため、また夏季のハウス内温度を低下するための細霧噴霧用途の送水管では、従来の送水管以上に高水圧での使用に耐えられる管状構造体が求められるようになっている。
特開平10−178942号公報 特開2004−330559号公報
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであって、経年劣化による耐水圧性低下の問題を解決でき、耐水圧がより向上した繊維強化樹脂複合管状構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは、熱可塑性樹脂製中芯管とFW−FRP層(単にFW層という場合がある)とUD−FRP層と最外周の樹脂被覆層の順次の層からなる繊維強化樹脂複合管状構造体について詳細に検討した結果、FW層を含む繊維強化管状構造体が通年にわたる環境温度の変化によって、散水時に水圧の負荷で構造体の最外被覆層まで割れて、水が漏れ出す可能性があり、これは環境温度、特に氷点下の低温側への温度変化の際に、構造体を構成する各層の線膨張係数の違いが関係していることが判明した。
例えば、FW層の強化繊維としてガラス繊維を用いた場合、中芯管の外周の円周方向においては、FW層は、ガラス繊維が補強効果を発現している。このため、ガラス繊維と線膨張係数が大きく異なる熱可塑性樹脂が最内層パイプ(中芯管)として用いられると、環境温度が低温に変化した際、中芯管が大きく収縮するのに対して、FW層はガラス繊維の補強効果によりFW層の物性を支配しているガラス繊維の線膨張係数は非常に小さく、収縮が小さいため、中芯管とFW層に間に剥離が生じることが確認された。
さらに、通年使用においては、夏場の温度上昇と冬場の温度降下による経年劣化により、この剥離部分の近傍において、FW−FRP層内にひび割れが発生しているものと推測された。散水時の水圧負荷時において、この剥離部分を起点に発生したFW−FRP層のひび割れは拡大し、その外側に位置し、円周方向に強化能力を持たないUD−FRP層および更に最外層である表面樹脂被覆層にひび割れが一気に伝播し、水漏れが発生するものと推定した。
すなわち、通年にわたる使用環境温度の変動によって、特に直径の大きい構造体(φ13mmより大きい構造体)では、構造体内部での層間剥離や割れなどの劣化が生じ、特に中芯管とFW−FRP層との間(層間)で、剥離が生じ、これが原因となり、経年使用した繊維強化樹脂複合管状構造体の使用の際、散水時の水圧負荷によって構造体の破壊につながる問題点があることを知得した。
そこで、本発明者らは、繊維強化樹脂複合管状構造体を構成する中芯管とその外周のFW−FRP層の線膨張係数に着目して、環境温度の変化によって中芯層とFW−FRP層で剥離や割れが生じ難い繊維強化樹脂複合管状構造体について鋭意検討して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下に記載の〔1〕〜〔10〕を提供する。
〔1〕熱可塑性樹脂からなる中芯管と、前記中芯管の外周に接し、円周方向に配向した強化繊維を含む繊維強化硬化性樹脂内層と、前記内層の外周に中芯管の長手方向に配向した強化繊維を含む繊維強化硬化性樹脂外層とを、有する繊維強化樹脂複合管状構造体であって、前記内層の強化繊維の線膨張係数が正の値を示す有機繊維である繊維強化樹脂複合管状構造体。
〔2〕前記中芯管をなす熱可塑性樹脂と、前記内層の有機繊維の線膨張係数が共に3×10−5〜25×10−5/℃の範囲にある〔1〕に記載の繊維強化樹脂複合管状構造体。
〔3〕前記内層の有機繊維の線膨張係数が4×10−5〜25×10−5/℃の範囲であり、前記中芯管をなす熱可塑性樹脂の線膨張係数が3×10−5〜20×10−5/℃の範囲である〔1〕または〔2〕に記載の繊維強化樹脂複合管状構造体(以下、単に「管状構造体」ということがある)。
〔4〕前記内層の有機繊維が、管状構造体作製における硬化温度よりも高い温度でアニール処理された繊維である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合管状構造体。
〔5〕前記内層の有機繊維がポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、およびポリアミド繊維から選択される1種以上の繊維である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合管状構造体。
〔6〕前記外層の強化繊維が、ガラス繊維、カーボン繊維、およびアラミド繊維から選択される1種以上の繊維である〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合管状構造体。
〔7〕前記繊維強化樹脂複合管状構造体の表面に熱可塑性樹脂被覆を施して成る〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合管状構造体。
〔8〕熱可塑性樹脂からなる中芯管と、前記中芯の円周方向に配向した強化繊維を含む繊維強化硬化性樹脂内層と、前記内層の外周に中芯管の長手方向に配向した強化繊維を含む繊維強化硬化性樹脂外層とを、有する繊維強化樹脂複合管状構造体の製造方法であって、
(1)熱可塑性樹脂を連続的に溶融押出しして中芯管を形成する工程、
(2)前記中芯管の外周に未硬化状の硬化性樹脂を付着させた後、その円周上に強化繊維として線膨張係数が正の値を示す有機繊維を一定方向に巻回した一次層を形成し、又は必要に応じて、引き続いて前記一次層の外周に未硬化状の硬化性樹脂を付着させた後、前記有機繊維を前記一次層とは逆の回転方向に巻回して二次層を形成して、一次層又は一次層及び二次層からなる未硬化状の繊維強化硬化性樹脂内層を形成する工程、(3)前記未硬化状の繊維強化硬化性樹脂内層の外周を、強化繊維に未硬化の硬化性樹脂を含浸した強化繊維で長手方向に被覆する未硬化状の繊維強化硬化性樹脂外層を形成する工程、次いで
(4)未硬化状の硬化性樹脂を硬化する工程、
を有することを特徴とする繊維強化樹脂複合管状構造体の製造方法。
〔9〕前記(3)の未硬化状の繊維強化硬化性樹脂外層を形成する工程、と前記(4)の未硬化状の硬化性樹脂を硬化する工程、の間に
(5)前記未硬化状の繊維強化硬化性樹脂外層の外周に熱可塑性樹脂被覆層を
形成する工程、
を有する〔8〕に記載の繊維強化樹脂複合管状構造体の製造方法。
〔10〕前記有機繊維の線膨張係数が3×10−5〜25×10−5/℃の範囲にあることを特徴とする〔8〕に記載の繊維強化樹脂複合管状構造体の製造方法。
1)繊維強化硬化性樹脂内層(FW−FRP層)の強化繊維を、中芯管樹脂、即ち最内層の中芯管(パイプ)を構成する熱可塑性樹脂に、近い正の値の線膨張係数を持つ有機繊維とすることによって、環境温度の変化による寸法変化が類似するため、中芯管の外周に接するFW−FRP層との層間剥離が生じ難くなり、この剥離を起点とした繊維強化樹脂複合管状構造体(以下、「繊維強化管状構造体」という)の水圧による割れや破壊が発生しないという効果を奏する。
2)前記有機繊維を予めアニール処理を行った後にFW−FRP層の強化繊維に用いることで、繊維強化管状構造体の製造工程において、例えば、熱湯を媒体とする硬化槽、もしくはその他の加熱方式を用いる硬化槽を使用する場合に存在する、熱硬化後の中芯管の変形(しわ)が抑制され、管状構造体の断面形状が一定の適正な形状とすることができ、接続時の不都合が解消されるという効果を奏する。
3)さらに、本発明の繊維強化樹脂複合管状構造体を灌水管として使用する場合、FW−FRP層に前記の所定の線膨張係数を有する有機繊維を用いると、繊維強化管状構造体が破壊される前に繊維強化管状構造体の表面被覆樹脂に長手方向にスジ(細かなひび割れ模様)が発生するという現象が観察されることから、これを、一気に破壊が生じ、水漏れが起きる前兆現象と把握し、灌水管の交換の目安になるので、突然の破裂事故を未然に防げるという安全上の予想外の効果を奏する。
本発明の実施例1により得られた繊維強化樹脂複合管状構造体の長手方向に直交する断面の層構成を示す模式図である。 本発明の繊維強化樹脂複合管状構造体の製造方法における製造工程の一例を示す説明図である。 中芯管に硬化性樹脂を塗布するための塗布装置の説明図であり、(a)一次層形成用、(b)二次層形成用、装置の模式的断面図である。 本発明の実施例1により得られた繊維強化樹脂複合管状構造体の環境温度試験後の中芯管と繊維強化硬化性樹脂内層(FW−FRP層)の界面状態に変化が生じていないことを示す部分拡大断面写真である。 比較例1より得られた繊維強化樹脂複合管状構造体の環境温度試験において−30℃試験およびヒートサイクル試験後において、中芯管と繊維強化硬化性樹脂内層(FW−FRP層)の界面に剥離が生じている状態を示す部分拡大断面写真である。 比較例1による繊維強化樹脂複合管状構造体の劣化過程を模式的に表わした説明図である。(a)初期状態、(b)降温により−30℃で界面剥離が発生した状態、(c) 降温・昇温サイクルで、FW−FRP層にクラックが発生した状態、(d)FW−FRP層のクラックが繊維強化硬化性樹脂外層(UD−FRP層)、さらには、最外層の被覆層まで伝播し、最弱部から内圧水が噴出している状態、を示す模式図である。 実施例1の管状構造体の耐水圧試験において水漏れ破壊の前兆現象として、表面に縦方向に破壊の前兆現象として筋状のマイクロクラック模様が入った状態を示す表面写真である。 耐水圧試験において水漏れ破壊が生じた後の管状構造体の写真である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明の繊維強化樹脂複合管状構造体は、熱可塑性樹脂からなる中芯管と、前記中芯管の外周に接し、円周方向に配向した強化繊維を含む繊維強化硬化性樹脂内層(FW-FRP層)と、前記内層の外周に中芯管の長手方向に配向した強化繊維を含む繊維強化硬化性樹脂外層(UD−FRP層)とを、有する繊維強化樹脂複合管状構造体であって、前記内層の強化繊維の線膨張係数が正の値を示す有機繊維である。
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。本発明に係る繊維強化樹脂複合中空構造体は、図1に示すように、例えば温室ハウス等で用いられる灌水管として用いられるパイプ1である。このパイプ1は、中芯管2と、FW-FRP層3、UD−FRP層4、及び被覆層(最外層)5とからなる4層構造となっている。
中芯管2は、液体と接触し液体輸送の主体となる管体であり、熱可塑性樹脂から溶融押出成形により製造される。熱可塑性樹脂としては、繊維強化硬化性樹脂内層の硬化性樹脂と化学的親和力を有するものが使用され、たとえばABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、AES(アクリロニトリル・エチレンプロピレンゴム・スチレン樹脂)、AS(アクリロニトリル−スチレン樹脂)、AAS(アクリロニトリル−アクリル−スチレン樹脂)、PS(ポリスチレン樹脂)、PC(ポリカーボネート樹脂)、PPE(変性ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンとポリスチレンとのグラフト共重合体)、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
また、中芯管2は、農薬等の薬液を輸送する場合は、特開2002−130544号公報に開示されているように、薬液と接する最内周側の層は、オレフィン系熱可塑性樹脂による第1の熱可塑性樹脂層とその外周に密着して形成されたオレフィン系熱可塑性樹脂とスチレン系熱可塑性樹脂とが所定の重量比で含有されたブレンド樹脂層によって形成されたものであってもよい。
さらに、耐薬品性が必要な場合は、中芯の内面に耐薬品性のある熱可塑性樹脂層を設けてもよい。例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂やポリエステル系エンジニアプラスチック(PEP)樹脂、オレフィン系樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
さらにまた、中芯管に用いられる熱可塑性樹脂の線膨張係数は、3×10−5〜25×10−5/℃の範囲にあることが好ましく、3×10−5〜20×10−5/℃の範囲にあることがさらに好ましい。
線膨張係数が3×10−5〜25×10−5/℃の範囲であれば、FW−FRP層の強化繊維として好適な有機繊維との線膨張係数の値が接近し、環境温度が特に低温に変化した際に、あるいは昇温、降温の熱履歴を繰り返し受けた際に、最内層である中芯管とFW−FRP層との間に剥離が生じ難い。
本発明の繊維強化樹脂複合管状構造体において中芯管2の外周に接し、円周方向に配向した強化繊維を含む繊維強化硬化性樹脂内層(FW-FRP層)3は、強化繊維の線膨張係数が正の値を示す有機繊維であることを要する。さらに、
有機繊維の線膨張係数としては、中芯管であって最内層樹脂の線膨張係数の値に近い3×10−5/℃〜25×10−5/℃の範囲が好ましく、4×10−5〜25×10−5/℃の範囲であることがさらに好ましい。強化繊維として用いる有機繊維の線膨張係数が正の値を示すものであれば、これを用いた繊維強化硬化性樹脂内層が、パイプとして通年使用された場合において中芯管との界面から剥離することを抑止でき、パイプの寿命を延長することができる。
強化繊維に用いる有機繊維の形態としては、製造工程における巻回操作(ワインディング)のし易さ、及び補強効果の発現性等の観点から、連続状のフィラメントであることが望ましい。かかる線膨張係数を有する有機繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維等挙げられる。これらの中でも、コストや取り扱い性、入手しやすさ等の観点から、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、およびポリオレフィン繊維から選ばれる1種以上の有機繊維が好ましく、ポリエステル繊維が特に好ましい。
なお、ここで1種以上としているのは、これらを組み合わせて使用することができることを示している。
なお、有機繊維であっても、アラミド繊維、ポリベンゾオキサゾール(PBO)繊維、超高分子量PEを使用したゲル紡糸・ゲル延伸繊維、及び有機繊維には含まれないが炭素繊維は、負の線膨張係数を有しており、これらを用いては、本発明の効果が得られない。
すなわち、有機繊維であって線膨張係数が負の値を示す繊維は、中芯管の樹脂として正の値を示す樹脂を使用する本発明においては、有機繊維と中芯管との線膨張挙動が温度変化に対して逆方向に作用するため、線膨張係数の差として大きいことと等価となることを意味する。
また、有機繊維の線膨張係数は、当該有機繊維の製造工程における延伸倍率や、熱処理の度合いによっても変化し得ることを認識しておく必要がある。この点から、強化繊維として用いる有機繊維については、使用前に管状構造体作製における硬化温度よりも高い温度でアニール処理しておくことが好ましい。
このアニール処理とは、熱処理のことであり、有機繊維の製造過程で受けた内部応力歪みを除去するため、結晶化度を上げて、機械的強度を向上させたり、耐薬品性などの性能を向上させるため、広い温度環境下における寸法安定性を増大させるため等の目的で行われるものである。管状構造体作製における硬化温度よりも高い温度で行うのは、当該硬化温度における有機繊維の熱収縮などの熱挙動を抑制するためである。
本発明では、アニール温度としては105℃以上であることが好ましい。この様な条件で有機繊維を予めアニール処理しておくことによって、管状構造体の製造中の熱硬化樹脂の硬化の際に、有機繊維が熱収縮することが抑制され、中芯管である最内層樹脂壁にシワ状の変形等が発生することがなく、管状構造体として、各層が密着し、断面が円形に整った、他の部材との接続性に優れた管状体が得られる。
繊維強化硬化性樹脂内層(FW-FRP層)3の形成方法は、後述するが、硬化後にマトリックス樹脂となる硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、不飽和モノカルボン酸変性ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらのうち、熱硬化性であることや、汎用性、経済性等の観点から不飽和ポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
一方、繊維強化硬化性樹脂外層(UD-FRP層)4の補強繊維としては、ガラス繊維の他、例えば炭素(カーボン)繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、金属繊維、高弾性率の合繊繊維なども使用可能であるが、ガラス繊維、カーボン繊維およびアラミド繊維から選択される1種以上を用いることが好ましく、経済性と高強度性のバランスから、ガラス繊維を用いることが特に好ましい。
また、マトリックス樹脂となる硬化性樹脂は、前述の前記内層に用いられる硬化性樹脂が同様に使用できる。
図1における、熱可塑性樹脂被覆層5は必ずしも必須ではないが、得られるパイプの取り扱い性の向上、耐候性の向上、配管時の接続性、散水器具の取り付け易さなどの点から、熱可塑性樹脂被覆層を有していることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、後述する製造方法による場合は、未硬化状の熱硬化性樹脂のモノマー成分と相溶性がある成分を含む樹脂が、硬化性樹脂の硬化後に高い接着性を得ることができるので好ましい。
すなわち、好適な熱可塑性樹脂としては、中芯管の樹脂と同様に、スチレンをモノマーに含む不飽和ポリエステル樹脂を用いる場合は、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、AES(アクリロニトリル・エチレンプロピレンゴム・スチレン樹脂)、AS(アクリロニトリル−スチレン樹脂)、AAS(アクリロニトリル−アクリル−スチレン樹脂)、PS(ポリスチレン樹脂)、PC(ポリカーボネート樹脂)、PPE(変性ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンとポリスチレンとのグラフト共重合体)、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
また、中芯管の外周に、FW−FRP層及びUD−FRP層が、硬化性樹脂を硬化させることによってすでに形成されている場合には、目的に応じて、適宜の熱可塑性樹脂により被覆すればよい。
しかしながら、被複層は、UD−FRP層の外周と接着していることが望ましく、前記の様に硬化後に最外層の被覆層を形成する場合は、接着剤層を介して接着するか、最外周被覆層の最内層に接着剤層を配した二層共押出被覆や、接着性樹脂による押出被覆、によって被複層を形成することが、接着性を確保できる観点から好ましい。
本発明の繊維強化樹脂複合管状構造体の製造方法は、
(1)熱可塑性樹脂を連続的に溶融押出しして中芯管を形成する工程、
(2)前記中芯管の外周に未硬化状の硬化性樹脂を付着させた後、その円周上に強化繊維として線膨張係数が正の値を示す有機繊維を一定方向に巻回した一次層を形成し、又は必要に応じて、引き続いて前記一次層の外周に未硬化状の硬化性樹脂を付着させた後、前記有機繊維を前記一次層とは逆の回転方向に巻回して二次層を形成して、一次層、または一次層及び二次層からなる未硬化状の繊維強化硬化性樹脂内層を形成する工程、
(3)前記未硬化状の繊維強化硬化性樹脂内層の外周を、強化繊維に未硬化の硬化性樹脂を含浸した強化繊維で長手方向に被覆する未硬化状の繊維強化硬化性樹脂外層を形成する工程、次いで
(4)未硬化状の硬化性樹脂を硬化する工程、
を有することを特徴とする。
また、本発明の繊維強化樹脂複合管状構造体の製造方法では、前記(3)の未硬化状の繊維強化硬化性樹脂外層を形成する工程、と前記(4)の未硬化状の硬化性樹脂を硬化する工程、の間に
(5)前記未硬化状の繊維強化硬化性樹脂外層の外周に熱可塑性樹脂被覆層を形成する工程、
を有していてもよい。
本発明の繊維強化樹脂複合管状構造体の製造方法について、最外層に熱可塑性樹脂被覆層を有する場合について、図2を用いて、具体的に説明する。
<未硬化状FW−FRP層の形成>
まず、熱可塑性樹脂の中芯管2を中芯管用押出機10のクロスヘッドダイス11よりパイプ状に押出して、水冷真空サイジング冷却槽12にて整形しつつ冷却固化しつつ、引取機13により連続的に引取る。次いで、この中芯管2を所定の内径のノズル141を備え硬化性樹脂含浸槽14a(図3(a)参照)に挿通して、中芯管2の外周に未硬化状の硬化性樹脂を付着させ、その外周に有機繊維からなる補強繊維15が複数本のボビンによって繰り出し可能に配置されたフィラメントワインダー16によって、中芯管2の軸心の回りに時計回り(以下、S回転という)にワインディングしたS巻中芯管3’aに、引き続いて、ノズル142を備えた硬化性樹脂含浸槽14b(図3(b)参照)に挿通した後、S巻中芯管3’aの上に反時計回り(以下、Z回転という)にワインディングした二次層を有するZ巻中芯管3’bを形成する。
<未硬化状UD−FRP層の形成および被覆層の形成>
この中芯管のまわりに未硬化状のFW−FRP層が形成された連続状物の外周に、長尺状のガラス繊維ロービング17に硬化性樹脂含浸槽18中で硬化性樹脂を含浸して縦沿えし、これを絞りダイス19で所定の外径に絞り成形して未硬化状UD−FRP層を連続的に形成する。
絞り成形された連続状物を、被覆層用押出機20のクロスヘッドダイス21から押出される熱可塑性樹脂により環状に被覆し、水冷却槽にて熱可塑性樹脂被複層を冷却し、引き続いて、熱可塑性樹脂被複層と中芯管外周の間に存在する未硬化状FW−FRP層とUD−FRP層を硬化させるため、熱湯槽23に導入して、熱硬化し、水冷却槽24で冷却された後、引取機25で連続的に引取られ、定長カット機26で所定の長さに切断される。
<最外層としての熱可塑性樹脂被覆層を形成しない場合>
上記の未硬化状UD−FRP層の形成時において、絞りダイスを通過させた後、加熱された所定内径の引抜金型で引抜きつつ、未硬化状樹脂を硬化させて、UD−FRP層が最外層である管状構造体とすることができる。
また、硬化性樹脂組成物を紫外線で硬化する組成に変更して、これを石英ガラス管などの透明ダイスに通して、外形を平滑にしつつ紫外線を照射して、未硬化層を硬化させてもよい。
さらに、本発明の構成についてより具体的に述べると、中芯管2に熱硬化性樹脂としての不飽和ポリエステル樹脂を塗布した後、正の線膨張係数の有機強化繊維をフィラメントワインダー16a、16bにより2段階でSZの2層で巻回して未硬化状FW−FRP層を形成し、次いで、長手方向に不飽和ポリエステル樹脂を含浸した強化繊維としてガラス繊維を沿わせ絞り成形する。この場合、例えば、未硬化状FW−FRP層の厚みは0.1〜0.5mm(製品外径に対し、0.2〜2.8%の厚み)、未硬化UD−FRP層の厚みは0.6〜2.4mm(製品外径に対し、1.2〜13.4%の厚み)程度とするのが好ましい。
また、中芯管2への硬化性樹脂の付着(塗布)は、中芯外径及び一次層FW後の外径に対して、それぞれ+0.5mm程度のノズルを備えた図3(a)、(b)に示す樹脂槽を通過させて行なう。中芯管への樹脂塗布が少ないと、中芯とフィラメントワインディング層との接着が劣るばかりでなく、巻回した有機繊維のフィラメントがずれてしまう。また、樹脂が多量に塗布されると、UD−FRP層を積層するまでの工程で樹脂がたれてしまう。
FW−FRP層に使用する有機繊維による強化繊維は、そのフィラメントワインド工程時の番手を1000dtex〜15000dtexとすることが好ましい。このような範囲の番手は、あらかじめ各種低番手のフィラメントを合糸して調整することができる。このとき番手が小さい方が製品の表面に凹凸が出にくくなり平滑な仕上がりの点で好ましい。一方、強度面で必要な量を巻回するには巻密度を高く、巻回数を多くする必要があるが、ワインドするフィラメント数を多数本に増大することによって生産性が低下することなく生産できる。
なお、有機繊維による強化繊維は、フィラメントに限定されるものでなく、細幅テープ状の織布等のリボン状のものであってもよい。
FW層における強化繊維の含有量は、30〜70vol%、より好ましくは40〜60vol%である。30vol%より少ないと繊維の補強効果が小さいため、より高い内圧に耐えることができない。一方、70vol%より多いと熱可塑性樹脂の含侵不良が起きやすく、強化繊維の間に隙間(ボイドなどの欠陥)が生じ、散水時の水圧負荷時にこの隙間を起点として構造体の外層部にまで割れが生じ、水が漏れ出す可能性がある。
さらに、FW−FRP層の強化繊維の巻角度は中芯管2の長さ(軸)方向に対して、40度以上90度未満とすることが好ましく、また45度以上88度以下とすることが更に好ましい。この巻角度が40度未満では常態時の初期耐水圧がUD−FRP層のみの管状構造体と同程度の5MPaあるいはそれ以下に低下するため好ましくない。一方、88度を超えると、ワインドするフラメント本数を多数本に増大させたとしても、管状構造体の生産速度が極端に低速となるため好ましくない。
さらにまた、硬化性樹脂には、脱泡剤および/または濡れ改質剤を添加することが好ましい。
なお、このように、線膨張係数が所定の範囲の有機繊維を強化繊維として中芯管2に巻き付けることで、中芯管の強度を向上させ、内圧からの破壊強度を向上する一方、特に降温時の低温環境下において、中芯管の収縮等の変形を接着一体化しており、線膨張係数が近似するFW−FRP層によって抑制できるものと考えられる。
また、UD−FRP層における強化繊維の含有量は30〜70vol%、より好ましくは40〜60vol%である。30vol%より少ないと熱硬化性樹脂の割合が多いため脆くなり、得られた繊維強化樹脂複合管状構造体は折れ易い。一方、70vol%より多いと熱硬化性樹脂が少ないため、強化繊維間の拘束(結着)が弱く、得られた繊維強化樹脂複合管状構造体は自重によりたわみやすく、大きく変形して蛇行する。
さらに、FW−FRP層とUD−FRP層の管状構造体の横断面における層構成、すなわち、これらの内側或いは外側の位置関係は、中芯管に隣接する外側(外周)にFW−FRP層が位置することが最も好ましく、さらにその外側(外周)にUD−FRP層とするのが好ましい。UD−FRP層がFW−FRP層の外側に位置することによって、環境温度の変化によって外層まで割れが達して水漏れが生じる前に長手方向にスジ状のマイクロクラック模様が発生し、経年劣化による水漏れが生じる前に、交換の目安とすることができる。また、使用者への、一気に管破壊が生じる恐れがあるよとのシグナルとしての注意喚起機能も有することになるので、前記位置関係にあることが好ましい。
以上、詳細に述べたように、本発明の繊維強化樹脂複合管状構造体(パイプ)は、灌水管として用いて好適であり、これを灌水管として用いた場合には、吊り子(あるいはブラケット)等を介して所定間隔をおいて支持されるが、特定の有機繊維を強化繊維とするFW−FRP層と、主としてガラス繊維から選択されるUD−FRP層を組み合わせたことにより、環境温度変化に対する耐性を大幅に向上でき、経年劣化の少ない耐久性の潅水パイプ等として有効に使用できる。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本発明に用いる材料の線膨張係数の測定や、各種の評価は以下のように行った。
1)各層の(熱)硬化性樹脂(マトリックス樹脂)、熱可塑性樹脂、強化繊維の線膨張係数の測定方法
<マトリックス樹脂の線膨張係数測定方法>
a)測定用サンプルの準備
FRP層のマトリックス樹脂であって、熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステルを、所定寸法の金型に流し込み、金型ごと加熱温度98℃、静置時間10分の条件で熱硬化後させた。その後、金型から熱硬化済の硬化体を取り出し、縦5mm×横5mm×高さ10mmの寸法に切断して測定用試料片を作製した。
b)線膨張係数の測定
JIS K 7197(プラスチックの熱機械分析による線膨張率試験方法)に準じて、熱機械測定装置(TMA〔Thermo Mechanical Analysis〕Q400、TAインスツルメント社製)を用い、前記測定用試験片を、測定モードを圧縮モードとして取り付け、昇温速度:2℃/minで、温度範囲:20℃から120℃までの間を走査して、この温度範囲での変化量を、3点の試験片についてそれぞれ測定した。各3点の試験片について線膨張係数を算出し、その平均値を線膨張係数の測定値とした。
<熱可塑性樹脂の線膨張係数測定方法>
a)測定用サンプルの準備
ABSあるいはAESなどの熱可塑性樹脂は、射出成型機を用いて、所定寸法の金型に溶融射出し、充分冷却後金型から取り出した。その後、縦5mm×横5mm×高さ10mmの寸法に切断して測定用試料片を作製した。
b)線膨張係数の測定
前記(1)b)と同様な方法を用いて、線膨張係数を算出した。
<強化繊維の線膨張係数測定方法>
a)測定用サンプルの準備
強化繊維を単繊維ごとに、長さ26mmに切断して測定用試料片を作製した。
b)線膨張係数の測定
前記(1)b)と同様な方法を用いて、線膨張係数を算出した。ただし、当該繊維の測定においては、試験片は単繊維とし、測定モードを引っ張りモードとし、クランプ間を22mmとして取り付けて、20点の試験片について、前記と同様に各変化量を測定し、その平均値を線膨張係数の測定値とした。
2)耐水圧試験方法
得られた繊維強化樹脂複合管状構造体を長さ50cmに切断し、耐衝撃性ポリ塩化ビニル樹脂用接着剤を用いて、端部密栓用のポリ塩化ビニル製キャップと水圧テスター(水圧供給ポンプ及び加圧制御装置)との接続用バルブソケットを、繊維強化中空構造体に接着接続した後、水圧テスター(T−300N、キョーワ社製)を用いて、手動調整で水圧を上げ、耐水圧試験を行った。構造体が破壊していく過程、および水漏れが発生する過程、を目視観察し、それぞれ、その時の水圧を読み取ることによって測定結果とした。
3)環境温度試験評価方法
(1)環境温度試験
恒温恒湿機(EC−45MHP,日立空調システム社製)に、得られた管状構造体を長さ50cmに切断して投入し、80℃あるいは−30℃の一定温度で、それぞれ5日間保持した。また、ヒートサイクル試験として−30℃から80℃までの温度範囲を5サイクル行った(昇温・降温時間:各2時間、−30℃および80℃における各保持時間:4時間、1ヒートサイクル時間:12時間)。
(2)評価方法
a)目視観察評価
前記環境温度試験後、管状構造体を横断面方向に切断し、断面状況を観察した。各層の間の剥離や割れが見られなかった場合を〇、剥離が認められた場合を×とした。
b)耐水圧試験
前記と同じく前記環境温度試験後の管状構造体の耐水圧を、前記の耐水圧試験と同様にして行った。
実施例1
1)強化繊維のアニール処理
105℃に設定した熱風オーブン内に、ポリエチレンテレフタテート(PET)長繊維(1100dtex/192f.以下、単にPET繊維という)を紙管に巻いたまま投入し、一晩(8時間〜12時間)、前記の緊張下に放置してアニール処理を行った。
アニール処理前の引張強力は76.5N、伸度は13%であり、処理後の引張強力は78.5N、伸度は14%であった。
2)繊維強化樹脂複合管状構造体(管状構造体)の作製
(1)中芯管の作製工程
熱可塑性樹脂であるアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂(MFR=5g/10分・220℃/98N)を溶融押出し成形するとともに、水冷真空サイジングによる外径サイジングを行うことにより内径25.2mm、外径27.7mmのABS製の中芯管を作製した。
(2)FRP層の作製工程
(i)未硬化の繊維強化硬化性樹脂内層(FW−FRP層)の作製
前記中芯管を中芯外径+0.5mmのノズルを備えた熱硬化性樹脂槽に通して、中芯管上に熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂/ユピカ3464、日本ユピカ社製)を塗布した。
さらに、2台の巻き付け機(フィラメントワインダー)で、前記のアニール処理したPET繊維(1100dtex)を3本合糸して使用して、S方向による一次層及びZ方向の二次層を形成すべく、二方向から各6本(計12本)を、FW−FRP層の強化繊維含有量が54.2vol%になる様に巻き付け、厚み0.25mmのFW−FRP層を設けた。
このとき、S方向巻き付け後の一次層には、再び、一次層形成後の外径+0.5mmのノズルを備えた熱硬化性樹脂槽に通した。その後、このS方向巻きした一次層の繊維の上に、改めてZ方向に巻き付けた。
(ii)未硬化の繊維強化硬化性樹脂外層(UD−FRP層)の作製
前記S方向及びZ方向にフィラメントワインディングして形成した(FW−FRP層)の外周上に前記と同じ熱硬化性樹脂を含浸したガラス長繊維(22000dtex/820f.)を、76本使用して縦添え積層し、外径が31.0mmになる様に絞りダイスを通して、余剰の熱硬化性樹脂を絞り取るとともに外形状を円形に成形することによって、厚さ2.8mmの、強化繊維が長手方向に配向した未硬化の繊維強化硬化性樹脂外層(UD−FRP層)を設けた。
この時、UD−FRP層の強化繊維含有量は50.6vol%となる様にした。
(3)被覆層の形成工程
前記未硬化のUD−FRP層(内周に未硬化のFW−FRP層を含む)を作製した後、連続して溶融押し出し機を備えたクロスヘッドダイスに通し、熱可塑性樹脂であるアクリロニトリル・エチレンプロピレンゴム・スチレン(AES)樹脂(MFR=17g/10分・220℃/98N)を前記未硬化のUD−FRP層の上層に0.5mm厚みで溶融押出しして、被覆し、水冷却槽で被覆樹脂を冷却した。その後、99℃の熱湯槽に挿通して熱硬化し、再び水冷却槽を通すことで管状構造体を作製した。前記(1)から(3)の工程は一連の工程で行い、その工程速度は2.9m/minで行った。
製造工程における問題はなく、安定して製造することができた。
得られた管状構造体は、最内層から最外層に向けて、ABS樹脂層(中芯管)/FW−FRP層/UD−FRP層/AES樹脂層(最外周被覆層)の四層構造よりなり、内径25.2mm、外径32.0mm、目付け433g/mの繊維強化樹脂複合管状構造体である。
3)繊維強化樹脂複合管状構造体の評価
(1)外観
前記の製造方法と条件で得た管状構造体は、目視による外観上の観察において、中芯管に変形は見られず、最内層から最外層に向けて各層が円形であって、層間で密着し、整った円形状であった。
(2)各層の材料の線膨張係数
各層の材料の線膨張係数は、測定の結果は以下の通りであった。
中芯管(最内層パイプ樹脂/ABS)の樹脂は9×10−5/℃であった。
FW層の強化繊維(PET繊維)は16×10−5/℃であった。
FW層およびUD層のマトリックス樹脂であって熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル)の熱硬化体は10×10−5/℃であった。
UD層の強化繊維(ガラス繊維)は0.5×10−5/℃であった。
最外層被覆樹脂(AES)は8×10−5/℃であった。
これらの結果から、中芯管樹脂の線膨張係数を1とした時の各材料の係数比率は、中芯管/FW層繊維/マトリックス樹脂/UD層強化繊維/被覆樹脂=1/1.78/1.11/0.06/0.89であり、UD層の強化繊維であるガラス繊維を除いて、その他の層の、材料の線膨張係数は極めて接近した値であった。
(3)耐水圧試験
前記の方法で耐水圧試験を行った。得られた管状構造体について、まず、作製後の状態で、初期耐水圧試験を行い、耐水圧を調べた結果、7〜8MPaで、最外層の熱可塑性樹脂に、長手方向に、図7の写真に示すような細かなスジ状のマイクロクラック模様が観察された。しかしこの水圧で水漏れは発生せず、そのまま放置しても問題なかった。更に、水圧を上げていくと10MPaで、水漏れが発生し、管状構造体の内部FW−FRP層でのひび割れ、および最内層である中芯管でのひび割れが発生した。図8に水漏れが発生した管状構造体の写真を示す。
(4)環境温度試験(促進試験)
環境温度試験は、80℃の保持後、−30℃の保持後、および80℃から−30℃の温度範囲で昇温と降温を繰り返した(ヒートサイクル)後、の3状態にいて、管状構造体の横断面における、各層の状態を目視観察した。
また更に、前記3状態の管状構造体について、それぞれ前記の(4)と同様の方法で耐水圧試験を行い、耐水圧を評価した。
各環境温度試験後の管状構造体の断面を観察した結果、80℃試験後、−30℃試験後およびヒートサイクル試験後の何れにおいても各層間の剥離や割れは観察されなかった。この剥離や割れがなかった断面状態の観察写真を図4に示す。
次に、各環境温度試験後の耐水圧試験を行った結果、何れの試験後サンプルも環境温度試験前と同じく、7〜8MPaで最外層の長手方向にスジ状のマイクロクラック模様が発生し、10MPaで水漏れが発生した。即ち、各環境温度試験による耐水圧の低下は認められなかった。マイクロクラック模様の写真を図7に示す。同図において白い筋状の部分がマイクロクラック模様である。
なお、このマイクロクラック模様が発生しても、直ちにパイプが水漏れして使用不能となるわけではないので、これをパイプ破壊の前兆現象として捉え、交換などの予防保全の目安とすることができる。
また、本実施例1で得られた管状構造体について、常態での圧縮強力、曲げ強力及び曲げ剛性について以下の測定方法で測定した。
・圧縮強力:得られた管状構造体を長さ10cmに切断し、平板間で、圧縮速度20mm/分で圧縮試験を行い、その変形量と応力から圧縮強力を算出した。圧縮強力は3,236N/10cmであり、同一外径でUD−FRP層のみを有す従来品と比較して、圧縮強力が47%向上した。
・曲げ強力、曲げ剛性は、得られた管状構造体を長さ150mmに切断し、支点間距離を外径の40倍として3点曲げ試験を、曲げ試験速度20mm/分で行い、その変形量と応力を計測し、曲げ強力、及び曲げ剛性を算出した。
曲げ強力は1,010Nであり、同一外径でUD−FRP層のみを有す従来品と比較して、圧縮強力が24%向上し、曲げ剛性が57.5kN/mmで従来品と比較して10%向上していた。
なお、以降の各実施例、比較例においても管状構造体の常態における圧縮強力、曲げ強力及び曲げ剛性はほぼ同等の値であったので、これらの結果の記載を割愛する。
実施例2
FW−FRP層の強化繊維として、実施例1のPET繊維の代わりに、ポリオレフィン繊維であるポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)海島複合一体化長繊維(複合モノフィラメント、750dtex/島成分:240f.、以下、単にPE/PP繊維という。宇部エクシモ社製)に変更し、強化繊維含有量を51.3vol%とした以外は実施例1と同様にして管状構造体を作製した。
アニール処理前のPE/PP繊維の引張強力は106.9N、伸度は14%であり、処理後の引張強力は107.9N、伸度は17%であった。
得られた管状構造体は内径25.3mm、外径32.1mm、目付け428g/mであった。
製造工程における問題はなく、安定して製造することができた。
実施例1と同様に得られた管状構造体を評価した。
その結果、外観上、中芯管壁の変形は認められず円形であって、各層間は密着していた。
各層の材料の線膨張係数は、実施例1に変えて使用したFW−FRP層の強化繊維(PE/PP繊維)は10×10−5/℃であった。その他の材料の線膨張係数は実施例1と同じであった。従って、中芯管樹脂の線膨張係数を1とした時の各材料の係数比率は、中芯管/FW層繊維/マトリックス樹脂/UD層強化繊維/被覆樹脂=1/1.11/1.11/0.06/0.89であり、UD層の強化繊維であるガラス繊維を除いて、その他の層の、材料線膨張係数は極めて接近した値であった。
得られた管状構造体について初期耐水圧を調べた結果、8〜9MPaで、最外層の熱可塑性樹脂に、長手方向に、細かなスジ状のマイクロクラック模様が観察された。しかしこの水圧で水漏れは発生せず、そのまま放置しても問題なかった。更に、水圧を上げていくと11MPaで、水漏れが発生し、管状構造体の内部FRP層でのひび割れ、および最内層である中芯管でのひび割れが発生したものと推測された。
各環境温度試験後の管状構造体の断面を観察した結果、80℃試験後、−30℃試験後およびヒートサイクル試験後の何れにおいても各層間の剥離や割れは観察されなかった。
次に、各環境温度試験後の耐水圧試験を行った結果、何れの試験後サンプルも環境温度試験前と同じく、8〜9MPaで最外層の長手方向にスジ状のマイクロクラック模様が発生し、11MPaで水漏れが発生した。即ち、各環境温度試験による耐水圧の低下は認められなかった。
実施例3
FW−FRP層の強化繊維として、実施例1のPET繊維の代わりに、ポリアミド繊維〔ナイロン6(PA6)長繊維(935dtex/96f.、以下、単にPA6繊維という)〕、に変更した以外は実施例1と同様にして管状構造体を作製した。
アニール処理前のPA6繊維の引張強力は67.7N、伸度は25%であり、処理後の引張強力は66.7N、伸度は28%であった。
得られた管状構造体は内径25.0mm、外径32.3mm、目付け429g/mであった。
製造工程における問題はなく、安定して製造することができた。
実施例1と同様に得られた管状構造体を評価した。
その結果、外観上、中芯管壁の変形は認められず円形であって、各層間は密着していた。
各層の材料の線膨張係数は、実施例1に変えて使用したFW−FRP層の強化繊維(PA6繊維)は8×10−5/℃であった。その他の材料の線膨張係数は実施例1と同じであった。従って、中芯管樹脂の線膨張係数を1とした時の各材料の係数比率は、中芯管/FW層繊維/マトリックス樹脂/UD層強化繊維/被覆樹脂=1/0.89/1.11/0.06/0.89であり、UD層の強化繊維であるガラス繊維を除いて、その他の層の、材料線膨張係数は極めて接近した値であった。
得られた管状構造体について初期耐水圧を調べた結果、8〜9MPaで、最外層の熱可塑性樹脂に、長手方向に、細かなスジ状のマイクロクラック模様が観察された。しかしこの水圧で水漏れは発生せず、そのまま放置しても問題なかった。更に、水圧を上げていくと11MPaで、水漏れが発生し、管状構造体の内部FRP層でのひび割れ、および最内層である中芯管でのひび割れが発生したものと考えられた。
各環境温度試験後の管状構造体の断面を観察した結果、80℃試験後、−30℃試験後およびヒートサイクル試験後の何れにおいても各層間の剥離や割れは観察されなかった。
次に、各環境温度試験後の耐水圧試験を行った結果、何れの試験後サンプルも環境温度試験前と同じく、8〜9MPaで最外層の長手方向にスジ状のマイクロクラック模様が発生し、11MPaで水漏れが発生した。即ち、各環境温度試験による耐水圧の低下は認められなかった。
比較例1
FW−FRP層の強化繊維として、実施例1のPET繊維の代わりに、ガラス長繊維(675dtex/800f.、以下、単にガラス繊維という)を3本合糸したもの(2,025dtex/2400f.)、に変更し、アニール処理はせず、強化繊維含有量を51.3vol%とした以外は実施例1と同様にして管状構造体を作製した。
得られた管状構造体は内径25.1mm、外径32.5mm、目付け494g/mであった。
製造工程における問題はなく、安定して製造することができるものであった。
実施例1と同様に得られた管状構造体を評価した。
その結果、外観上は、中芯管壁の変形は認められず円形であって、各層間は密着していた。
各層の材料の線膨張係数は、実施例1に変えて使用したFW−FRP層の強化繊維(ガラス繊維)は0.5×10−5/℃であった。その他の材料の線膨張係数は実施例1と同じであった。従って、中芯管樹脂の線膨張係数を1とした時の各材料の係数比率は、中芯管/FW層繊維/マトリックス樹脂/UD層強化繊維/被覆樹脂=1/0.06/1.11/0.06/0.89であり、UD層の強化繊維であるガラス繊維だけでなく、中芯管と隣接するFW層の強化繊維の線膨張係数に大きな差があり、極めて異なる値であった。
得られた管状構造体について初期耐水圧を調べた結果、実施例の様な、最外層の熱可塑性樹脂に、長手方向に、細かなスジ状のマイクロクラック模様が発生するという前兆現象は観察されず、12MPaで、突然水漏れが発生した。
各環境温度試験後の管状構造体の断面を観察した結果、80℃試験後では各層間の剥離や割れは観察されなかったが、−30℃試験後およびヒートサイクル試験後においては、中芯管とFW−FRP層の間で剥離が観察された。剥離状態の断面観察写真を図5に示す。
次に、各環境温度試験後の耐水圧試験を行った結果、80℃試験後のサンプルは各環境温度試験前と同じく12MPaで、前兆現象なく突然、最外層の熱可塑性樹脂被覆にまで割れが発生し、水漏れが発生した。しかし、−30℃試験後およびヒートサイクル試験後ではそれぞれ7MPa、および5MPaで、前兆現象なく突然、最外層まで割れが達し、水漏れが発生した。即ち80℃試験後、およびヒートサイクル試験後においては、各試験前の耐水圧が著しく低下するとともに、実施例の耐水圧よりも低い耐水圧にまで低下した結果であった。
環境温度試験後の、管状構造体の観察結果と耐水圧試験結果とから、水漏れ発生に至るまでの構造体内部の、破壊の過程は次の様に考えられる。即ち、図6(a)に初期状体(常態)を示す管状構造体が低温下にさらされた結果、および高温と低温との間で、昇温と降温を繰り返された結果、図6(b)に示すように中芯管とFW−FRP層間に部分的に剥離が発生する。次に前記剥離部分或いはその近傍に位置するFW−FRP層において、図6(c)に示すように厚さ方向に貫通する割れ発生する。この割れは昇温と降温のヒートサイクルを経た場合に顕著に発生する。この状態で高圧な水圧が内部に、一気にかけられた時、断面円周方向への補強繊維による拘束力が低いUD−FRP層へひび割れが伝播し、即刻、表面被覆樹脂層へも伝播し、外周方向に向けて一気にひび割れが伝播した結果、実施例で発生する様な最外層の長手方向にスジ状のマイクロクラック模様の発生現象なしに、図6(d)に示すように一気に破壊が進行し、水漏れが発生したものと考えられる。一方、本発明の実施例では中芯管とFW−FRP層との間に剥離が発生しないことから、各層は、水圧により、ある程度の膨張と収縮を許容しているものと考えられる。その結果として、図7に示すような最外層の、長手方向へのスジ状マイクロクラック模様の発生が生じるものと推測される。
従って、経年による耐水圧の低下は、中芯管とFW−FRP層との経年温度履歴による剥離現象の発生有無が要因であり、その原因はFW−FRP層の強化繊維と中芯管樹脂との線膨張係数に大きく差異があることにある。
本発明ではFW−FRPの強化繊維として、その線膨張係数が中芯管樹脂と接近した値の繊維を用いているため、この様な剥離現象が発生しない。
比較例2
FW−FRP層の強化繊維として、実施例1のPET繊維の代わりに、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)長繊維(545dtex/320f.以下、単にPBO繊維という)、に変更し、これを7本合糸して使用した以外は実施例1と同様にして管状構造体を作製した。
アニール処理前のPBO繊維の引張強力は362.8N、伸度2.5%であり、処理後の引張強力も362.8N、伸度も2.5%であった。
得られた管状構造体は内径25.4mm、外径32.1mm、目付け438g/mであった。
製造工程における問題はなく、安定して製造することができるものであった。
実施例1と同様に得られた管状構造体を評価した。
その結果、外観上は、中芯管壁の変形は認められず円形であって、各層間は密着していた。
各層の材料の線膨張係数は、実施例1に変えて使用したFW−FRP層の強化繊維(PBO繊維)は−0.6×10−5/℃であり、即ち負(マイナス)の線膨張係数を示す結果であった。その他の材料の線膨張係数は実施例1と同じであった。従って、中芯管樹脂の線膨張係数を1とした時の各材料の係数比率は、中芯管/FW層繊維/マトリックス樹脂/UD層強化繊維/被覆樹脂=1/−0.07/1.11/0.06/0.89であり、UD層の強化繊維であるガラス繊維とに大きな差があるだけでなく、中芯管と隣接するFW層の強化繊維(PBO繊維)の線膨張係数には、中芯管に対して、温度上昇と降下において、逆方向に膨張と収縮が発生するという点で、大きな差があり、極めて異なる値であった。
得られた管状構造体について初期耐水圧を調べた結果、実施例の様な、最外層の熱可塑性樹脂に、長手方向に、細かなスジ状のマイクロクラック模様が発生するという前兆現象は観察されず、12MPaで、水圧ポンプと繊維強化樹脂複合管状構造体とを接続していたポリ塩化ビニル製の接続ソケットが割れて、破壊された。
各環境温度試験後の管状構造体の断面を観察した結果、80℃試験後では各層間の剥離や割れは観察されなかったが、−30℃試験後およびヒートサイクル試験後においては、中芯管とFW−FRP層の間で、図3に示す状態と同様な剥離が観察された。
次に、各環境温度試験後の耐水圧試験を行った結果、80℃試験後のサンプルは各環境温度試験前と同じく、初期試験時と同様に、12MPaで、水圧ポンプと繊維強化樹脂複合管状構造体とを接続していたポリ塩化ビニル製の接続ソケットが割れて、破壊された。一方、−30℃試験後およびヒートサイクル試験後ではそれぞれ7MPa、および5MPaで、前兆現象がなく突然、最外層まで割れが達し、水漏れが発生した。即ち−30℃試験後、およびヒートサイクル試験後においては、各環境試験前の耐水圧が著しく低下するとともに、実施例の耐水圧よりも低い耐水圧にまで低下しているという結果であった。
以上、実施例、比較例の管状構造体の材料構成、強化繊維含有率、管状構造体(表1中では、「管状体」と表記)の評価結果を、下記表1にまとめて示す。
本発明の繊維強化樹脂複合管状構造体は、通年設置状態で経年しても、管状構造体の耐水圧性能が低下するのを抑制できる灌水管などとして、特に施設農業等の分野において有効に利用できる。
また、本発明の繊維強化樹脂複合管状構造体の製造方法は、前記の有効な繊維強化樹脂複合管状構造体を再現性よく製造できる方法として利用できる。
1 繊維強化樹脂複合管状構造体(パイプ、管状構造体、管状体)
2 中芯管(最内層)
3 繊維強化硬化性樹脂内層(FW−FRP層)
3´a (未硬化)一次層
3´b (未硬化)二次層
4 繊維強化硬化性樹脂外層(UD−FRP層)
5 熱可塑性樹脂被覆層(被覆層)
10 中芯管用押出機
11 クロスヘッドダイス
12 真空水冷サイジング水槽
13 引取機
14 FW層用(熱)硬化性樹脂槽
15 FW層用強化繊維(有機繊維)
16a、bフィラメントワインディング装置(ワインディング装置)
17 UD層用強化繊維
18 UD層用(熱)硬化性樹脂槽
19 絞りダイス
20 被覆層用押出機
21 クロスヘッドダイス
22 冷却水槽
23 熱湯槽(熱硬化槽)
24 水冷却槽
25 引取機
26 定長カット機
R (熱)硬化性樹脂

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂からなる中芯管と、前記中芯管の外周に接し、円周方向に配向した強化繊維を含む繊維強化硬化性樹脂内層と、前記内層の外周に中芯管の長手方向に配向した強化繊維を含む繊維強化硬化性樹脂外層とを、有する繊維強化樹脂複合管状構造体であって、前記内層の強化繊維の線膨張係数が正の値を示す有機繊維である繊維強化樹脂複合管状構造体。
  2. 前記中芯管をなす熱可塑性樹脂と、前記内層の有機繊維の線膨張係数が共に3×10−5〜25×10−5/℃の範囲にある請求項1に記載の繊維強化樹脂複合管状構造体。
  3. 前記内層の有機繊維の線膨張係数が4×10−5〜25×10−5/℃の範囲であり、前記中芯管をなす熱可塑性樹脂の線膨張係数が3×10−5〜20×10−5/℃の範囲である請求項1または2に記載の繊維強化樹脂複合管状構造体。
  4. 前記内層の有機繊維が、管状構造体作製における硬化温度よりも高い温度でアニール処理された繊維である請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合管状構造体。
  5. 前記内層の有機繊維がポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、およびポリアミド繊維から選択される1種以上の繊維である請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合管状構造体。
  6. 前記外層の強化繊維が、ガラス繊維、カーボン繊維、およびアラミド繊維から選択される1種以上の繊維である請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合管状構造体。
  7. 前記繊維強化樹脂複合管状構造体の表面に熱可塑性樹脂被覆を施して成る請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化樹脂複合管状構造体
  8. 熱可塑性樹脂からなる中芯管と、前記中芯の円周方向に配向した強化繊維を含む繊維強化硬化性樹脂内層と、前記内層の外周に中芯管の長手方向に配向した強化繊維を含む繊維強化硬化性樹脂外層とを、有する繊維強化樹脂複合管状構造体の製造方法であって、
    (1)熱可塑性樹脂を連続的に溶融押出しして中芯管を形成する工程、
    (2)前記中芯管の外周に未硬化状の硬化性樹脂を付着させた後、その円周上に強化繊維として線膨張係数が正の値を示す有機繊維を一定方向に巻回した一次層を形成してなる未硬化状の繊維強化硬化性樹脂内層を形成する工程、又は引き続いて前記一次層の外周に未硬化状の前記硬化性樹脂を付着させた後、前記有機繊維を前記一次層とは逆の回転方向に巻回して二次層を形成して、一次層及び二次層からなる未硬化状の繊維強化硬化性樹脂内層を形成する工程、
    (3)前記未硬化状の繊維強化硬化性樹脂内層の外周を、強化繊維に未硬化の硬化性樹脂を含浸した強化繊維で長手方向に被覆する未硬化状の繊維強化硬化性樹脂外層を形成する工程、次いで
    (4)未硬化状の硬化性樹脂を硬化する工程、
    を有することを特徴とする繊維強化樹脂複合管状構造体の製造方法。
  9. 前記(3)の未硬化状の繊維強化硬化性樹脂外層を形成する工程、と前記(4)の未硬化状の硬化性樹脂を硬化する工程、の間に
    (5)前記未硬化状の繊維強化硬化性樹脂外層の外周に熱可塑性樹脂被覆層を
    形成する工程、
    を有する請求項8に記載の繊維強化樹脂複合管状構造体の製造方法。
  10. 前記有機繊維の線膨張係数が3×10−5〜25×10−5/℃の範囲にあることを特徴とする請求項8または9に記載の繊維強化樹脂複合管状構造体の製造方法。
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