以下、本発明による減衰係数推定装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本発明の実施の形態による減衰係数推定装置は、減衰特性関数の減衰係数に関する方位角特性の類似性を用いて、ある観測集合に対応する適切なパラメータの値を特定し、そのパラメータの値に対応する減衰係数を用いて、波源からの電波が到達する範囲を推定するものである。
図1は、本実施の形態による減衰係数推定装置3を含む情報通信システムの構成を示す図である。図1において、本実施の形態による情報通信システムは、複数の受信装置1と、減衰係数推定装置3とを備える。複数の受信装置1と、減衰係数推定装置3とは、有線または無線の通信回線100を介して接続されている。通信回線100は、例えば、インターネットやイントラネット、公衆電話回線網等であってもよい。なお、後述するように、複数の受信装置1と減衰係数推定装置3とは通信回線100を介して接続されていなくてもよい。
受信装置1は、波源2からの電波を受信する。受信装置1は、通常、その電波の受信に応じて、波源2からの受信信号を取得するが、そうでなくてもよい。その受信信号は、例えば、ベースバンド信号のIQデータや複素振幅値等であってもよい。受信信号を取得しない場合には、受信装置1は、波源2からの電波の受信電力を取得してもよい。また、受信装置1の位置が不明である場合には、受信装置1は、その位置を取得する処理を行ってもよい。受信装置1が移動可能な場合には、受信装置1の位置を取得する処理を行うことが好適である。なお、受信装置1の個数や配置箇所は問わないが、減衰特性関数を推定するのに十分な個数の受信装置1が、波源2の周辺にできるだけ均等に存在することが好適である。また、図1では、複数の受信装置1が存在する場合について示しているが、そうでなくてもよい。移動可能な1個の受信装置1によって、複数の地点における波源2からの電波の受信が行われてもよい。また、図1では、受信装置1の受信アンテナがパラボラアンテナである場合について示しているが、そうでなくてもよいことは言うまでもない。
受信装置1によって自装置の位置の取得が行われる場合に、その位置の取得は、例えば、GPS(Global Positioning System)を用いて行われてもよく、ジャイロなどの自律航法装置を用いて行われてもよく、携帯電話や無線LAN等の最寄りの基地局を利用して行われてもよく、または、その他の方法で行われてもよい。
また、受信装置1は、取得した受信信号や受信電力を用いて、後述する受信信号強度を算出してもよい。また、受信装置1は、波源2から自装置までの距離及び方位角を取得してもよい。その距離及び方位角についても後述する。受信装置1は、その距離等の算出を、例えば、波源2の位置と、自装置の位置とを用いて行ってもよい。また、受信装置1は、受信電力または受信信号強度等を減衰係数推定装置3に送信してもよい。また、後述するように、減衰係数推定装置3において、受信装置1が電波を受信した受信アンテナの高さや、受信装置1を識別する受信装置識別子が必要である場合には、受信装置1は、そのような情報を直接または他のサーバ等を介して、減衰係数推定装置3に送信してもよい。その場合には、受信アンテナの高さ等は、例えば、後述する観測情報に含めて送信されてもよい。なお、波源2の位置は、例えば、既知であってもよく、または、TDoA(Time Difference of Arrival)や、DoA(Direction of Arrival)等の方法を用いて算出されたものであってもよい。ここで、TDoAやDoAによる位置の算出方法の詳細については、例えば、次の文献を参照されたい。
文献:K. Ho,Y. Chan,「Solution and performance analysis of geolocation by tdoa」,IEEE Transactions on Aerospace and Electronic Systems,vol. 29,no. 4,p. 1311-1322,1993年10月
文献:S. U. Pillai,「Array Signal Processing」,Springer-Verlag,1989年
波源2は、電波を送信するものであればどのようなものであってもよく、例えば、携帯電話等の無線基地局であってもよく、タクシー等の無線システムの基地局であってもよく、その他の電波を送信するものであってもよい。また、波源2の個数は1個であってもよく、または、2個以上であってもよい。2個以上の波源2が存在する場合に、それらの波源2は、例えば、ほぼ同じ位置に存在し、周波数の異なる電波を送信するものであってもよい。また、その場合に、それらの波源2は、同じ送信電力により、同じゲインの送信アンテナを介して電波を送信するものであってもよい。また、波源2は、単一の周波数の電波のみを送信するものであってもよく、または、周波数の異なる2以上の電波を送信するものであってもよい。また、図1では、波源2の周囲に複数の受信装置1が存在する場合について示しているが、波源2の位置が事前に分からないこともあるため、複数の受信装置1は、波源2の存在しうる範囲の全体にわたって配置されていることが好適である。
図2は、本実施の形態による減衰係数推定装置3の構成を示すブロック図である。本実施の形態による減衰係数推定装置3は、受付部11と、推定部12と、記憶部13と、基準情報記憶部14と、類似判断部15と、特定部16と、範囲推定部17と、出力部18と、要求情報出力部19と、高密度観測集合受付部20と、基準推定部21と、正解値特定部22と、基準情報受付部23とを備える。なお、減衰係数推定装置3は、それら以外の構成要素を有していてもよい。例えば、受信装置1に情報を送信する場合には、減衰係数推定装置3は、情報を送信する送信部を備えていてもよい。
受付部11は、観測集合を受け付ける。観測集合は、複数の観測情報の集合である。すなわち、観測集合には、複数の観測情報が含まれている。その観測集合は、図示しない記録媒体に蓄積されてもよい。その観測情報は、受信装置1が波源2から受信する電波の受信信号強度と、波源2からその受信装置1までの距離及び方位角とを有する情報である。すなわち、
観測情報=(距離、方位角、受信信号強度)
であってもよい。
ここで、受信信号強度とは、受信装置1の受信アンテナを通過する直前における電波の強度(空間電力値)である。したがって、その受信信号強度には、受信アンテナのゲインの影響が含まれておらず、次式のように示される。次式において、受信電力は、受信装置1が受信アンテナを介して受信した信号の電力である。
受信信号強度=受信電力−受信アンテナゲイン
波源2から受信装置1までの距離は、通常、波源2と受信装置1との直線距離である。また、波源2から受信装置1までの方位角は、波源2から受信装置1までの方向を示す角度である。その方位角は、例えば、波源2を中心として、北を0度とし、東を90度とするものであってもよく、その他の方向を基準とするものであってもよい。
また、観測情報は、受信装置1が波源2から受信する電波の周波数(センシング周波数)をも有していてもよい。すなわち、
観測情報=(距離、方位角、受信信号強度、周波数)
であってもよい。後述する減衰特性関数の推定において周波数をも用いる場合には、そのように、観測情報に電波の周波数が含まれていることが必要となる。なお、観測情報が周波数を有するとは、実質的に周波数を有しているのと同じ状況であってもよい。すなわち、周波数ごとに、(距離、方位角、受信信号強度)が管理されている場合にも、観測情報が周波数を含んでいると考えてもよい。
なお、一の観測集合に含まれる複数の観測情報は、複数の受信装置1によってそれぞれ取得された受信電力等を用いて作成されたものであってもよく、または、移動可能な1個以上の受信装置1によって取得された受信電力等を用いて作成されたものであってもよい。また、一の観測集合に含まれる複数の観測情報は、通常、一の波源2から送信された電波に関する複数の観測情報であるとする。本実施の形態では、この場合について主に説明する。なお、一の観測集合に含まれる複数の観測情報は、ほぼ同じ位置に存在し、周波数の異なる電波を送信する複数の波源2からの電波に関する複数の観測情報であってもよい。
また、観測情報に含まれる受信信号強度は、あらかじめ決められた閾値より大きいものであってもよい。すなわち、そのような閾値より大きい受信信号強度の電波についてのみ、観測情報が生成されてもよい。その閾値は、例えば、背景雑音と同程度の大きさであってもよい。減衰特性関数を推定する際に、役に立たない情報を用いないようにするためである。
受付部11は、例えば、有線または無線の通信回線を介して送信された観測集合を受信してもよく、観測情報を生成する構成要素から観測集合を受け取ってもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)から読み出された観測集合を受け付けてもよい。具体的には、受付部11は、1以上の受信装置1から送信された複数の観測情報を含む観測集合を受信してもよい。また、受信装置1から送信された受信電力等の情報が他の装置で受信され、その装置において、受信された情報に基づいて観測情報が生成された場合には、受付部11は、その装置から複数の観測情報を含む観測集合を受信してもよい。また、受信装置1から送信された情報が減衰係数推定装置3で受信され、受付部11以外の他の構成要素によって、受信された情報から観測情報が生成された場合には、受付部11は、その構成要素から複数の観測情報を含む観測集合を受け取ってもよい。また、受付部11は、一の観測集合に含まれる複数の観測情報を、一括して受け付けてもよく、または、別々に受け付けてもよい。後者の場合には、複数の観測情報が順次、受け付けられることによって、結果として、観測集合が受け付けられることになってもよい。後述する高密度観測集合受付部20が高密度観測集合を受け付ける場合にも同様であるとする。なお、受信装置1から受信された情報から観測情報を生成する処理には、例えば、受信電力から受信信号強度を算出する処理が含まれていてもよく、受信装置1と波源2の位置から、波源2から受信装置1までの距離及び方向を算出する処理が含まれていてもよい。なお、受付部11が通信回線100を介して観測集合を受信するのでない場合には、減衰係数推定装置3は、通信回線100に接続されていなくてもよい。また、受付部11は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、モデムやネットワークカードなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、受付部11は、ハードウェアによって実現されてもよく、または所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
推定部12は、波源2を中心とする特定の方位角に関する減衰特性関数の係数である減衰係数を、受付部11が受け付けた観測集合に含まれる複数の観測情報を用いて推定する。減衰特性関数は、波源2からの電波の減衰特性に関する関数であり、波源2からの距離に依存する関数である。その減衰特性関数は、例えば、電波の伝搬損失(パスロス)等を示すものであってもよく、または、受信信号強度等を示すものであってもよい。なお、後述するように、パスロスと受信信号強度とを加算したものが、通常、一定値である送信電力となるため、両者は互いに関係する値となっている。また、減衰特性関数を推定するとは、その減衰特性関数に含まれる減衰係数を特定することである。したがって、減衰係数を推定するとは、減衰特性関数を推定することであると考えてもよい。推定部12は、異なる特定の方位角について、その減衰特性関数の推定を繰り返すことによって、波源2からの複数の方向(方位角)について減衰特性関数を推定する。その複数の方向は、例えば、あらかじめ決められた角度間隔(例えば、5度や10度など)ごとの全方位角(360度)であってもよく、または、その角度間隔ごとのある方位角の範囲(例えば、90度から270度までなど)であってもよい。なお、その角度間隔は均等でなくてもよい。本実施の形態では、推定部12が、あらかじめ決められた角度間隔ごとの全方位角について減衰係数の推定を行う場合について主に説明する。また、推定部12は、波源2からの特定の方位角の減衰特性関数を推定する際に、その特定の方位角以外の観測情報をも用いて、減衰特性関数の推定を行う。その際に、推定部12は、特定の方位角から離れた方位角を含む観測情報ほど小さな影響となり、特定の方位角に近い方位角を含む観測情報ほど大きな影響となる回帰分析によって、その推定を行うものとする。その回帰分析による減衰特性関数の推定は、例えば、最小二乗法を用いて行われてもよく、または、最小絶対値法を用いて行われてもよい。すなわち、推定部12は、減衰特性関数を、特定の方位角の方向から離れるほど小さくなる重みを用いた重み付き最小二乗法や最小絶対値法により算出してもよい。その場合には、観測情報にフィッティングする減衰特性関数が重みを考慮して特定されることになる。したがって、推定部12は、特定の方位角に関する減衰係数を、特定の方位角から離れるほど減少する重みの関数であり、その減少に関する1以上のパラメータを含む関数である重み関数を用いて推定することになる。重み関数に含まれるパラメータの個数は、1個であってもよく、または、2個以上であってもよい。その重み関数は、例えば、観測情報に含まれる方位角と、特定の方位角との差の絶対値が小さいほど大きな値となり、その差の絶対値が大きいほど小さな値となる関数であってもよい。その関数の具体例については後述する。なお、例えば、その重みの最大値は1であり、最小値は0であってもよく、または、その他の値であってもよい。また、推定部12は、異なる周波数を有する観測情報を用いて回帰分析を行ってもよい。その場合には、減衰特性関数は、電波の周波数にも依存する関数となる。また、推定部12が行う回帰分析は、最小二乗法や最小絶対値法等の線形回帰分析であってもよく、または、非線形回帰分析であってもよい。後者の場合には、例えば、反復最小二乗推定法などによって、反復計算で近似解を改良していくことによって減衰特性関数を推定してもよい。
ここで、受信信号強度と、送信電力との関係は、
受信信号強度=送信電力−パスロス
となる。推定部12が推定する減衰特性関数は、前述のように、上式における「パスロス」を示すものであってもよく、「送信電力−パスロス」(=受信信号強度)を示すものであってもよい。両者共に、少なくとも電波の減衰特性に関連していると考えることができるからである。本実施の形態では、減衰特性関数が「送信電力−パスロス」を示すものである場合、すなわち、波源2からの距離に応じた受信信号強度を示す関数である場合について主に説明する。なお、上式における「送信電力」は、厳密には、送信アンテナの利得の影響を含む空中線電力である。ここで、その送信電力は、通常、変化しないと考えている。次に、減衰特性関数の推定について、周波数を用いない場合と、用いる場合とに分けて説明する。
[周波数を用いない減衰特性関数の推定]
この場合には、受付部11で受け付けられた観測集合は、次のようになる。なお、i番目の観測情報(xi,θi,Pi)において、xiは、波源2から受信装置1までの距離(km)であり、θiは、波源2を中心とする受信装置1の方位角(deg)であり、Piは、xi、θiの位置の受信装置1で受信された電波の受信信号強度(dBm)である。なお、その受信装置1は、i番目の観測情報に対応する電波を受信した受信装置1である。また、Nは、2以上の整数であり、観測情報の全個数である。
観測集合={(x1,θ1,P1),(x2,θ2,P2),…,(xN,θN,PN)}
次に、特定の方向に対応する方位角である特定方位角をθとする。そして、その特定方位角θの減衰特性関数Pθ(dBm)を次式のように定義する。なお、xθは、特定方位角θの方向の中心(波源2)からの距離(km)である。また、その減衰特性関数は、受信信号強度を示すものであるとする。
Pθ=gθ(xθ,θ)
ここで、i番目の観測情報(xi,θi,Pi)の受信信号強度Piに対して、Pθとの残差をδiとする。
δi=Pi−gθ(xi,θ)
そして、推定部12は、すべての観測情報について、次の目的関数Eθを最適化する最適解であるgθを算出する。なお、その最適化は、目的関数を最小化することである。目的関数を最小化するgθの算出は、例えば、最急降下法等を用いて行ってもよく、その他の方法を用いて行ってもよい。なお、F(θi)は、θiが特定方位角θから離れるほど小さくなり、θiが特定方位角θに近づくほど大きくなる重みである。また、Nは、前述のように、観測情報の全個数である。
次に、gθ(xθ,θ)について説明する。gθ(xθ,θ)は、例えば、次式で示されるものであってもよい。なお、a(θ)、c(θ)は、減衰係数である。a(θ)は、距離減衰係数と呼ばれることもあり、c(θ)は、定数項と呼ばれることもある。減衰係数a(θ),c(θ)は共にθによって決まるθの関数である。
Pθ=gθ(xθ,θ)=a(θ)×logxθ+c(θ)
この場合には、上述の目的関数を最適化する最適解の算出は、減衰係数a(θ),c(θ)の算出となる。なお、減衰係数c(θ)に送信電力を含めると、Pθは、受信信号強度を示すものとなり、減衰係数c(θ)に送信電力を含めないと、Pθは、パスロスを示すものとなる。また、Pθが上式で示される場合には、δi,Eθは、次式で示されるようになる。
δi=Pi−a(θ)×logxi−c(θ)
なお、そのようなEθを最小化する減衰係数a(θ),c(θ)を算出することによって、関数gθの減衰係数a(θ),c(θ)を、重み付きの最小二乗法によって推定することになる。したがって、推定部12は、特定方位角θから離れるほど小さくなる重みF(θi)を含む目的関数を最適化する最適解を算出することによって、重み付き最小二乗法や、重み付き最小絶対値法などの回帰分析を用いたa(θ),c(θ)の算出を行ってもよい。それらの減衰係数を算出することによって、減衰特性関数Pθが算出されたことになる。
次に、その重み関数F(θi)について説明する。その重み関数は、前述のように、特定方位角θから離れるほど小さくなるものであれば、どのようなものであってもよいが、例えば、次式のF1(θi)やF2(θi)を用いてもよい。なお、その重み関数は、前述のように、減少に関する1以上のパラメータを含む関数である。減少に関するパラメータとは、減少の程度を規定するパラメータである。例えば、特定方位角θの方向から離れた場合に、急激に減少するのか、緩やかに減少するのかなどがパラメータによって決められることになる。F1(θi)において、α,βは、θiが特定方位角θから離れた際に、F1(θi)がどれぐらい小さくなるかを特徴付けるパラメータである。そのパラメータα,βは、0<α<1、β>0の範囲の値である。また、パラメータβの値が大きくなるほど、特定方位角θからより離れた方位角の観測情報も用いられるようになるため、例えば、β≦180(度)などの上限を設けてもよい。また、F2(θi)は、バタワースフィルタの通過特性に基づいた重みであり、パラメータηは遮断角であり、パラメータγは遮断率に関係する係数であり、パラメータMは次数である。そのパラメータη,γ,Mは、η>0、γ>0、M>0の範囲の値である。また、η≦180(度)としてもよく、M≧1としてもよい。また、|θ−θi|は、例えば、0≦|θ−θi|≦180(度)となるようにしてもよい。
なお、F1(θi)のパラメータα,βの値、F2(θi)のパラメータη,γ,Mの値を調整することによって、減衰特性関数の推定に影響を与える方位角の範囲が変化することになり、結果として、減衰特性関数の推定結果が異なることになる。したがって、前述のように、減衰特性関数を適切に推定できるように、パラメータの値を設定することが求められる。なお、F2(θi)の方が遮断率等をより細かく設定できるため、より自由度の高い重みの設定が可能となる。
また、特定方位角θの減衰特性関数Pθは、その特定方位角θに近い方位角を有する観測情報に含まれる受信信号強度によりフィッティングするようになっている。一方、減衰特性関数Pθは、その特定方位角θから離れた方位角を有する観測情報に含まれる受信信号強度の影響も受けるため、例えば、特定方位角θに近い方位角の観測情報が少数しか存在しなかったとしても、不適切な減衰特性関数が推定されることを回避することができうる。
なお、上述のように、gθ(xθ,θ)=a(θ)×logxθ+c(θ)とした場合には、線形回帰モデルとなり、解析的な最小二乗法や最小絶対値法を用いて最適解を算出することができるが、非線形回帰モデルとなる場合には、例えば、反復計算で近似解を改良していくことによって、減衰特性関数を推定してもよい。
[周波数を用いる減衰特性関数の推定]
この場合には、受付部11で受け付けられた観測情報の集合は、次のようになる。なお、xi,θi,Pi,Nは、周波数を用いない場合と同様である。また、fiは、i番目の観測情報における電波の周波数(MHz)であり、K個の周波数のいずれかである。ここで、KはN以下の正の整数である。K=2である場合には、例えば、f1=f2=…、f3=f4=…となってもよい。
観測情報の集合={(x1,θ1,P1,f1),(x2,θ2,P2,f2),…,(xN,θN,PN,fN)}
周波数を用いない場合と同様に特定方位角θを設定すると、その特定方位角θの減衰特性関数Pθ(dBm)は、次式のようになる。なお、fは、波源2からの電波の周波数(MHz)である。
Pθ=gθ(xθ,f,θ)
したがって、i番目の観測情報(xi,θi,Pi,fi)の受信信号強度Piに対するPθとの残差δiは次式のようになる。
δi=Pi−gθ(xi,fi,θ)
なお、推定部12が、すべての観測情報について、目的関数Eθを最適化する最適解であるgθを算出することは、周波数を用いない場合と同様である。また、周波数を用いる場合には、gθ(xθ,f,θ)は、例えば、次式で示されるものとなる。
Pθ=gθ(xθ,f,θ)=a(θ)×logxθ+b×logf+c(θ)
ここで、減衰係数bは周波数係数であり、例えば、波源2から受信装置1までの電波の伝搬モデルを自由空間モデルとする場合には、b=20としてもよく、波源2から受信装置1までの電波の伝搬モデルを奥村−秦モデル(市街地モデル)とする場合には、b=26.16−1.1×hm+1.56としてもよい。ただし、このモデルを適用できるのは、次の条件が満たされる場合に限定される。
30<hb<200
1<hm<10
150<f<2200
1<xi<20
なお、hbは、送信アンテナ高(m)であり、hmは、受信アンテナ高(m)であり、fは、電波の周波数(MHz)であり、xiは、波源2から受信装置1までの距離(km)である。この場合には、受信アンテナ高hmを取得する必要がある。その受信アンテナ高hmは、例えば、観測情報に含まれていてもよく、または、減衰係数推定装置3において、受信装置識別子と、その受信装置識別子で識別される受信装置1のアンテナの高さとが対応付けられて図示しない記録媒体で記憶されていてもよい。なお、受信アンテナ高と、送信アンテナ高とは、逆であってもよい。すなわち、hbが、受信アンテナ高(m)であり、hmが、送信アンテナ高(m)であってもよい。また、通常、送信アンテナ高は不明であるため、送信アンテナ高に関する条件は満たされていると仮定して奥村−秦モデルを適用してもよい。
したがって、この場合にも、目的関数を最適化する最適解の算出は、減衰係数a(θ),c(θ)の算出となる。また、Pθが上式で示される場合には、δi,Eθは、次式で示されるようになる。
δi=Pi−a(θ)×logxi−b×logfi−c(θ)
なお、重みF(θi)は、周波数を用いない場合と同様であり、例えば、F1(θi)やF2(θi)を用いてもよい。このようにして、周波数を用いる場合にも、目的関数Eθを最適化する減衰係数a(θ),c(θ)を算出することによって、減衰特性関数を推定することができる。なお、周波数も用いる場合には、異なる周波数の電波をも用いて関数のフィッティングを行うことができるため、サンプル数が増えることになる。したがって、例えば、受信装置1の数が少なくても、より精度の高い減衰特性関数の推定が可能になる。
また、上記説明では、周波数係数bがモデルから与えられるとしたが、そうでなくてもよい。周波数係数bがモデルから与えられるのでない場合には、減衰特性関数Pθ、残差δiを、次式のようにしてもよい。
Pθ=gθ(xθ,f,θ)=a(θ)×logxθ+b(θ)×logf+c(θ)
δi=Pi−a(θ)×logxi−b(θ)×logfi−c(θ)
そして、目的関数Eθを最小化する最適解である減衰係数a(θ),b(θ),c(θ)を算出するようにしてもよい。すなわち、周波数係数である減衰係数b(θ)をも算出するようにしてもよい。このように、減衰特性関数の減衰係数を推定するとは、すべての減衰係数a(θ),b(θ),c(θ)を推定することであってもよく、または、一部の減衰係数a(θ),c(θ)を推定することであってもよい。なお、以下の説明では、周波数を用いない減衰特性関数の推定を行う場合について主に説明する。
また、上記説明では、減衰特性関数が、受信信号強度である場合について説明したが、波源2の送信電力を知ることができる場合には、その送信電力を用いて、パスロスを示す減衰特性関数を推定してもよいことは言うまでもない。その場合には、パスロスである減衰特性関数は、「送信電力−Pθ」となる。周波数を用いる推定方法では、同じ波源2が異なる周波数の電波を同じ送信電力で送信している場合や、近接した位置に存在する異なる複数の波源2が、それぞれ異なる周波数の電波を同じ送信電力で同じアンテナゲインの送信アンテナを介して送信している場合には、上述のようにして、受信信号強度を示す減衰特性関数を算出することができる。一方、そうでない場合には、推定部12は、送信電力を用いて、パスロスを示す減衰特性関数を推定することになる。そのように、減衰特性関数の推定に送信電力が必要な場合に、その送信電力は、例えば、受信電力や受信信号強度から推定されてもよく、波源2や他の装置等から事前登録されている値が取得されてもよい。なお、送信電力を推定する場合には、推定部12は、複数の受信装置1のすべての受信電力またはあらかじめ決められた閾値以上の受信電力を用いて、送信電力を推定してもよい。そして、推定部12は、その推定した送信電力と、受信装置1の受信信号強度とを用いて、パスロスを示す減衰特性関数を推定してもよい。なお、送信電力を推定する際には、波源2と受信装置1との間の伝搬経路に応じたモデル(例えば、自由空間モデルや、大地反射の2波モデル、奥村−秦モデル等)の係数a,b,cを用いたパスロスの関数G(x,f)=a×log(x)+b×log(f)+cを用いてもよい。ここで、xは、波源2から受信装置1までの距離であり、fは周波数である。また、モデルの選択は、例えば、受信装置1が取得した遅延プロファイル等を用いて行ってもよい。例えば、遅延プロファイルによって見通しであることが示される場合には、自由空間モデルや大地反射の2波モデルを選択し、遅延プロファイルによって見通しでないことが示される場合には、奥村−秦モデルを選択してもよい。また、そのようにして算出された複数の送信電力のうち、最大値を、波源2の送信電力としてもよく、または、平均+3×(標準偏差)を、波源2の送信電力としてもよい。なお、標準偏差は、算出された送信電力の標準偏差である。前者は、理想的な見通しである伝搬経路を介して受信された受信電力から算出された送信電力が最大値となると考えられることから、最大の送信電力が実際の送信電力であると見なすものである。後者は、統計的なばらつきを考慮すれば、平均+3×(標準偏差)が最大値に近い値となるため、その値を実際の送信電力と見なすものである。
また、推定部12は、上述のように、複数の方位角(特定方位角)について減衰係数を推定する処理を、パラメータの複数の値について行うものとする。そのパラメータの複数の値は、あらかじめ決めっていてもよい。例えば、重み関数がF1(θi)である場合に、パラメータの複数の値が、(α,β)=(α1,β1)、(α2,β2)、…、(αA,βA)のように決まっていてもよい。なお、Aは、2以上の整数であり、パラメータα,βの値の組の総数を示すものである。また、α1,…,αAに同じ値が存在してもよく、β1,…,βAに同じ値が存在してもよい。ただし、パラメータの値の組(α1,β1)、(α2,β2)、…、(αA,βA)としては、同じものは存在しないことが好適である。そのようにして、推定部12は、パラメータの値と、そのパラメータの値の重み関数を用いて推定した、複数の方位角ごとの減衰係数とを対応付ける対応情報を、複数のパラメータの値について取得することになる。推定部12は、その複数の対応情報を、記憶部13に蓄積する。また、重み関数に含まれるパラメータ(α,β)である場合の複数の対応情報は、例えば、次のようになる。
(α1,β1):{(a(θ),c(θ))}
(α2,β2):{(a(θ),c(θ))}
…
(αA,βA):{(a(θ),c(θ))}
ここで、{(a(θ),c(θ))}={(a(0°),c(0°))、(a(ε),c(ε))、(a(2ε),c(2ε))、(a(3ε),c(3ε))、…、(a(B×ε),c(B×ε))}である。また、異なるパラメータの組に対応している{(a(θ),c(θ))}は、通常、異なる集合である。(αj,βj):{(a(θ),c(θ))}が、1個の対応情報となる。なお、jは、1からAまでの任意の整数である。また、εは、特定方位角の間隔(deg)である。また、減衰係数が、360°の各方位角について推定される場合には、Bは、ε×(B+1)≧360°となる最小の整数である。ここで、パラメータの値(αj,βj)に対応する各方位角の減衰係数の集合を、{(a(θ,αj,βj),c(θ,αj,βj))}と記載することもある。その場合には、{(a(θ,αj,βj),c(θ,αj,βj))}が1個の対応情報となる。すなわち、推定部12によって推定された複数の対応情報は、例えば、次のようになる。
{(a(θ,α1,β1),c(θ,α1,β1))}
{(a(θ,α2,β2),c(θ,α2,β2))}
…
{(a(θ,αA,βA),c(θ,αA,βA))}
なお、{(a(θ,αj,βj),c(θ,αj,βj))}={(a(0°,αj,βj),c(0°,αj,βj))、(a(ε,αj,βj),c(ε,αj,βj))、…}であるとする。
記憶部13では、推定部12によって取得された複数の対応情報が記憶される。その対応情報は、前述のように、パラメータの値と、複数の方位角ごとの減衰係数とを対応付ける情報である。記憶部13での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、または、長期的な記憶でもよい。記憶部13は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。ここで、「パラメータの値と、複数の方位角ごとの減衰係数とを対応付ける」とは、パラメータの値から、複数の方位角ごとの減衰係数を取得できればよいという意味である。したがって、対応情報は、パラメータの値と複数の方位角ごとの減衰係数とを組として含む情報を有してもよく、パラメータの値と複数の方位角ごとの減衰係数とをリンク付ける情報であってもよい。後者の場合には、対応情報は、例えば、パラメータの値と複数の方位角ごとの減衰係数の格納されている位置を示すポインタやアドレスとを対応付ける情報であってもよい。本実施の形態では、前者の場合について主に説明する。また、パラメータの値と複数の方位角ごとの減衰係数とは、直接対応付けられていなくてもよい。例えば、パラメータの値に、第3の情報が対応しており、その第3の情報に複数の方位角ごとの減衰係数が対応していてもよい。他の情報が対応付けられている場合にも同様であるとする。
基準情報記憶部14では、複数の基準情報が記憶される。基準情報は、複数の基準対応情報と、パラメータの正解値とを含む情報である。基準対応情報は、パラメータの値と、そのパラメータの値の重み関数、及び高密度観測集合を用いて推定された、複数の方位角ごとの減衰係数の方位角方向の特性である方位角特性とを対応付ける情報である。高密度観測集合は、観測集合よりも多い個数の観測情報の集合である。観測集合と、高密度観測集合とは、通常、異なる波源からの電波に対応している。ただし、後述するように、要求情報の出力に応じて受け付けられた高密度観測集合は、観測集合と同じ波源からの電波に対応しているものである。また、異なる高密度観測集合は、通常、異なる波源からの電波に対応している。また、一の基準情報に含まれる複数の基準対応情報は、通常、一の高密度観測集合を用いて算出され、基準情報ごとに、高密度観測集合が異なっているものとする。なお、高密度観測集合を用いて、複数の方位角ごとの減衰係数を推定する方法は、上述した推定部12による、観測集合を用いた複数の方位角ごとの減衰係数の推定方法と同様である。ただし、高密度観測集合を用いた場合には、観測情報の個数が多いため、より正確な減衰係数の推定が可能となる。図5A,図5Bは、観測集合と、高密度観測集合とについて説明するための図である。例えば、図5Aで示される受信装置で取得された観測情報の集合が観測集合となり、図5Bで示される受信装置で取得された観測情報の集合が高密度観測集合となる。両図の比較からも分かるように、高密度観測集合は、観測集合よりもより高い密度の受信位置で取得された観測情報を含んでいることになる。その結果、高密度観測集合の要素数は、観測集合の要素数よりも多くなる。減衰係数の方位角特性は、例えば、減衰係数の方位角方向の変化の分散であってもよく、減衰係数の方位角方向の変化の標準偏差であってもよく、減衰係数の方位角方向の変化の状況を示すその他の情報であってもよい。本実施の形態では、減衰係数の方位角特性が、減衰係数の方位角方向の変化の分散である場合について主に説明する。減衰係数の方位角方向の変化とは、例えば、減衰係数を方位角で微分したものであってもよく、隣接する特定方位角間の減衰係数の差であってもよい。減衰係数の方位角での微分∂a(k×ε)/∂θは、例えば、次のようであってもよい。
∂a(k×ε)/∂θ=(a(k×ε)−a((k−1)×ε))/ε
また、隣接する特定方位角間の減衰係数の差D(k×ε)は、例えば、次のようであってもよい。
D(k×ε)=a(k×ε)−a((k−1)×ε)
なお、kは、0からBまでの任意の整数である。ただし、εが360°の約数であり、a(−ε)=a(B×ε)であるとしている。減衰係数c(θ)についても同様である。また、基準情報に含まれるパラメータの正解値は、その基準情報に含まれる複数の基準対応情報に対応する高密度観測集合に適合するパラメータの値である。高密度観測集合に適合するパラメータとは、高密度観測集合に含まれる複数の観測情報との誤差の小さい方位角ごとの減衰特性関数にそれぞれ含まれる方位角ごとの減衰係数に対応するパラメータの値であってもよい。すなわち、そのパラメータの正解値を含む重み関数と高密度観測集合とを用いて複数の方位角ごとの減衰特性関数を推定した場合に、その推定結果である減衰特性関数を用いて推定された受信信号強度と、高密度観測集合の各観測情報に含まれる受信信号強度との誤差が小さくなることになる。基準情報は、具体的には、パラメータの正解値(αc,βc)と、複数の基準対応情報{[σ∂a,ref(αj,βj)]2、[σ∂c,ref(αj,βj)]2}とを含む情報であってもよい。なお、
{[σ∂a,ref(αj,βj)]2、[σ∂c,ref(αj,βj)]2}={[σ∂a,ref(α1,β1)]2、[σ∂c,ref(α1,β1)]2、…、[σ∂a,ref(αA,βA)]2、[σ∂c,ref(αA,βA)]2}
であり、[σ∂a,ref(α1,β1)]2、[σ∂c,ref(α1,β1)]2が1個の基準対応情報である。また、[σ∂a,ref(αj,βj)]2は、パラメータの値(αj,βj)に対応する減衰係数a(θ)の方位角特性(分散)であり、[σ∂c,ref(αj,βj)]2は、パラメータの値(αj,βj)に対応する減衰係数c(θ)の方位角特性(分散)である。
基準情報記憶部14での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、または、長期的な記憶でもよい。基準情報記憶部14は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。
類似判断部15は、推定部12によって取得された複数の対応情報を用いて、パラメータの値ごとに減衰係数の方位角特性を取得する。その方位角特性の種類は、基準情報に含まれる複数の基準対応情報において、パラメータの値と対応付けられる方位角特性の種類と同じであることが好適である。例えば、基準対応情報において、パラメータの値と対応付けられる方位角特性が、減衰係数の方位角方向の変化の分散である場合には、類似判断部15が対応情報を用いて取得する、パラメータの値ごとの減衰係数の方位角特性も、減衰係数の方位角方向の変化の分散であることが好適である。例えば、類似判断部15は、次式のように、減衰係数の方位角方向の変化の分散である方位角特性を算出してもよい。
なお、jは、1からAまでの任意の整数である。また、バーは、減衰係数の方位角での偏微分に関する平均値(例えば、∂a(k×ε)/∂θ等のk=0〜Bの平均値)を示すものである。類似判断部15は、そのようにして取得したパラメータの値ごとの方位角特性に、基準情報に含まれる複数の基準対応情報に関するパラメータの値ごとの方位角特性が類似するかどうか判断する。この判断は、例えば、パラメータの値ごとに両方位角特性の差の絶対値に応じた値を累積した値が、あらかじめ決められた閾値より小さいかどうかによって判断されてもよい。絶対値に応じた値は、例えば、絶対値を引数とする増加関数の値(例えば、絶対値そのものや、絶対値の二乗など)であってもよい。なお、パラメータの値ごとに両方位角特性の差の絶対値に応じた値を累積した値は、例えば、両方位角特性の二乗平均平方根誤差(RMSE:Root Mean Squared Error)であってもよく、平均二乗誤差(MSE:Mean Squared Error)であってもよく、パラメータの値ごとに両方位角特性の差の絶対値に応じた値を累積した値を示すその他の値であってもよい。例えば、RMSEを算出する場合には、類似判断部15は、次のように、減衰係数a(θ)に関するRMSEであるRMSE[∂a]と、減衰係数c(θ)に関するRMSEであるRMSE[∂c]とを算出してもよい。
そして、類似判断部15は、例えば、RMSE[∂a]が閾値以下であり、かつ、RMSE[∂c]も閾値以下である場合に、複数の対応情報に対応する方位角特性が、基準情報に含まれる複数の基準対応情報に対応する方位角特性と類似すると判断してもよい。なお、RMSE[∂a]に関する閾値と、RMSE[∂c]に関する閾値とは、同じであってもよく、または、異なっていてもよい。また、類似判断部15は、例えば、RMSE[∂a]+RMSE[∂c]が閾値以下である場合に、複数の対応情報に対応する方位角特性が、基準情報に含まれる複数の基準対応情報に対応する方位角特性と類似すると判断してもよい。また、類似判断部15は、RMSE[∂a]、RMSE[∂c]を引数とするその他の関数の値が閾値以下である場合に、複数の対応情報に対応する方位角特性が、基準情報に含まれる複数の基準対応情報に対応する方位角特性と類似すると判断してもよい。類似判断部15は、その類似の判断を、基準情報記憶部14で記憶されている基準情報ごとに行うものとする。なお、以下の説明において、基準情報に含まれる複数の基準対応情報に対応するパラメータの値ごとの方位角特性が、記憶部13で記憶されている複数の対応情報に対応するパラメータの値ごとの方位角特性に類似する場合に、基準情報に含まれる複数の基準対応情報が、記憶部13で記憶されている複数の対応情報に類似すると言うこともある。
なお、基準情報記憶部14では、パラメータの値と、そのパラメータの値に対応する、複数の方位角ごとの減衰係数とを対応付ける複数の情報、及びパラメータの正解値を含む複数の基準情報が記憶されていてもよい。その場合であっても、類似判断部15による類似判断が行われる際には、その複数の情報から、パラメータの値ごとに減衰係数の方位角特性が算出されることになる。したがって、類似判断が行われる際には、基準情報記憶部14において、複数の基準対応情報、及びパラメータの正解値を含む複数の基準情報が記憶されていることになる。
特定部16は、類似判断部15によって、複数の対応情報に対応するパラメータの値ごとの方位角特性に類似すると判断された複数の基準対応情報を有する基準情報に含まれるパラメータの正解値に、対応情報によって対応付けられる減衰係数を特定する。例えば、類似判断部15によって、複数の基準対応情報{[σ∂a,ref(αj,βj)]2、[σ∂c,ref(αj,βj)]2}と、複数の対応情報とが類似すると判断され、その複数の基準対応情報に、パラメータの正解値(αc,βc)が対応付けられている場合には、特定部16は、そのパラメータの正解値(αc,βc)に、対応情報によって対応付けられる減衰係数、すなわち、減衰係数a(θ,αc,βc),c(θ,αc,βc)を特定してもよい。その特定される減衰係数は、複数の方位角ごとの減衰係数である。なお、複数の対応情報に対応するパラメータの値ごとの方位角特性に類似すると判断された複数の基準対応情報を有する基準情報が2以上あった場合には、特定部16は、減衰係数を特定するのに、最も類似している基準情報に含まれるパラメータの正解値を用いてもよく、または、その他の基準情報に含まれるパラメータの正解値を用いてもよい。後者の場合には、例えば、要素数が最も多い高密度観測集合に対応する基準情報に含まれるパラメータの正解値が用いられてもよく、ランダムに選択された基準情報に含まれるパラメータの正解値が用いられてもよい。また、類似判断部15によって、複数の対応情報に対応するパラメータの値ごとの方位角特性に類似すると判断された複数の基準対応情報が存在しなかった場合には、特定部16は、基準情報受付部23によって受け付けられた基準情報に含まれるパラメータの正解値に、対応情報によって対応付けられる減衰係数を特定してもよい。その基準情報受付部23による基準情報の受け付けについては後述する。なお、複数の対応情報に対応するパラメータの値ごとの方位角特性に類似すると判断された複数の基準対応情報とは、厳密には、複数の対応情報に対応するパラメータの値ごとの方位角特性に類似すると判断された複数の方位角特性をパラメータの値に対応付けている複数の基準対応情報のことである。特定部16によって減衰係数が特定されることにより、結果として、減衰特性関数が特定されたことになる。減衰係数が特定されるとは、例えば、特定された減衰係数が図示しない記録媒体に蓄積されることであってもよく、または、特定された減衰係数に、特定されたことを示すフラグ等の情報が設定されることであってもよい。
範囲推定部17は、特定部16によって特定された減衰係数を含む減衰特性関数を用いて、波源2からの電波が到達する範囲を推定する。例えば、範囲推定部17は、特定された減衰係数a(θ,αc,βc),c(θ,αc,βc)を含む、複数の方位角ごとの減衰特性関数を用いて、波源2からの電波が到達する範囲を推定してもよい。その範囲は、例えば、波源2からの電波を利用できる範囲であってもよく、波源2からの電波の影響がある範囲であってもよい。波源2が携帯電話の基地局である場合には、例えば、前者の範囲は、携帯電話による通話を行うことができる範囲であり、後者の範囲は、携帯電話の通話はできないこともあるが、同一周波数の電波を、他の用途に利用することはできない範囲であってもよい。なお、この範囲以外の領域がホワイトスペースであると考えることができる場合には、範囲推定部17は、実質的にホワイトスペースを推定していると考えることもできる。そのホワイトスペースは、波源2からの電波の到達しない地域的な領域である。範囲推定部17は、推定部12が推定した減衰特性関数を用いて、その減衰特性関数の推定された特定の方向ごとに、受信信号電力があらかじめ決められた閾値となる波源2からの距離を算出し、その距離に応じた地点である電波の到達端を結ぶ領域を、電波の到達する範囲としてもよい。具体的には、特定方位角θに関する減衰特性関数が推定された場合には、受信信号強度が閾値PTHとなる距離dの位置を、電波の到達端としてもよい。そのようにして、特定方位角θと、電波の到達端までの距離dとの複数の組を取得することができる。なお、減衰特性関数が受信信号電力を示すものでない場合には、範囲推定部17は、波源2の送信電力をも用いて、その範囲の推定を行ってもよい。
図6A,図6Bは、電波の到達範囲の一例を示す図である。電波の到達範囲の境界は、図6Aのように、電波の到達端のそれぞれを通過してもよく、または、図6Bのように、そうでなくてもよい。後者の場合には、例えば、範囲推定部17は、横軸を方位角とし、縦軸を電波の到達距離とする座標系において、取得された特定方位角θと距離dとの組(θ,d)をプロットする。そして、そのプロットされた点と、曲線との距離が最も近くなるように特定した曲線に対応するものが、電波の到達範囲の境界線であってもよい。なお、電波の到達距離とは、波源2から電波の到達端までの距離である。また、波源2が複数の周波数の電波を送信する場合には、範囲推定部17は、その周波数ごとに電波の到達範囲の推定を行ってもよい。また、範囲推定部17は、ホワイトスペースを特定する処理を別途、行ってもよい。波源2が1個である場合には、上述したように、電波の到達範囲を特定することによって、結果としてホワイトスペースを特定したことになりうるが、複数の波源2が存在する場合には、いずれの波源2からの電波も到達しない範囲がホワイトスペースとなる。したがって、範囲推定部17は、いずれの電波の到達範囲にも含まれない領域であるホワイトスペースの特定を行ってもよい。なお、結果として、電波の到達範囲やホワイトスペースと、それ以外とを区別できるようになるのであれば、電波の到達範囲やホワイトスペースを特定する方法は問わない。範囲推定部17は、例えば、電波の到達範囲等の領域の輪郭を示す情報を取得してもよい。
出力部18は、範囲推定部17が推定した範囲に関する出力を行う。その出力は、例えば、電波の到達範囲やホワイトスペースを示す情報を出力することであってもよく、または、ある位置が電波の到達範囲もしくはホワイトスペースに含まれるかどうかの判断結果を出力することであってもよい。判断結果を出力する場合には、例えば、出力部18が範囲推定部17による推定結果を用いた判断を行ってもよく、または、その他の構成要素がその判断を行ってもよい。なお、その判断対象となる位置は、例えば、受付部11によって受け付けられてもよい。
ここで、この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、CRTや液晶ディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、プリンタによる印刷でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。なお、出力部18は、出力を行うデバイス(例えば、表示デバイスや送信デバイスなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、出力部18は、ハードウェアによって実現されてもよく、または、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
要求情報出力部19は、複数の対応情報に対応するパラメータの値ごとの方位角特性に類似すると類似判断部15によって判断された複数の基準対応情報がない場合に、波源2からの電波に関する基準情報を要求する要求情報を出力する。その波源2は、観測集合に含まれる各観測情報に応じた電波の波源2である。その要求情報には、波源2を特定可能な情報が含まれていてもよい。出力された要求情報を受け取った者が、基準情報の取得対象となる波源2を特定できるようになるためである。波源2を特定可能な情報は、例えば、波源2の位置であってもよく、波源2のID等であってもよい。波源2を特定可能な情報は、例えば、観測集合と一緒に受け付けられてもよく、減衰係数推定装置3において生成されてもよく、または、その他の方法で取得されてもよい。
ここで、この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、CRTや液晶ディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、プリンタによる印刷でもよく、スピーカによる音声出力でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。なお、要求情報出力部19は、出力を行うデバイス(例えば、表示デバイスやプリンタなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、要求情報出力部19は、ハードウェアによって実現されてもよく、または、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
高密度観測集合受付部20は、要求情報出力部19による要求情報の出力に応じて、波源からの電波に関する高密度観測集合を受け付ける。その高密度観測集合には、受付部11で受け付けられた観測集合の各要素が含まれていてもよく、または、そうでなくてもよい。その高密度観測集合に含まれる各観測情報は、例えば、移動可能な受信装置1を波源2の周囲の複数の箇所に移動させることによって取得されたものであってもよく、または、あらかじめ設置されている複数の受信装置1によって取得されたものであってもよい。また、高密度観測集合受付部20は、一の高密度観測集合に含まれる複数の観測情報を、一括して受け付けてもよく、または、別々に受け付けてもよい。
高密度観測集合受付部20は、例えば、入力デバイス(例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなど)から入力された高密度観測集合を受け付けてもよく、有線または無線の通信回線を介して送信された高密度観測集合を受信してもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)から読み出された高密度観測集合を受け付けてもよい。なお、高密度観測集合受付部20は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、モデムやネットワークカードなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、高密度観測集合受付部20は、ハードウェアによって実現されてもよく、または所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
基準推定部21は、重み関数と、高密度観測集合受付部20によって受け付けられた高密度観測集合とを用いて、パラメータの値と、そのパラメータの値の重み関数を用いて推定した、複数の方位角ごとの減衰係数とを対応付ける情報を、複数のパラメータの値について取得する。その複数の方位角ごとの減衰係数は、例えば、次のようになる。
{(aref(θ,α1,β1),cref(θ,α1,β1))}
{(aref(θ,α2,β2),cref(θ,α2,β2))}
…
{(aref(θ,αA,βA),cref(θ,αA,βA))}
なお、{(aref(θ,αj,βj),cref(θ,αj,βj))}={(aref(0°,αj,βj),cref(0°,αj,βj))、(aref(ε,αj,βj),cref(ε,αj,βj))、…}であるとする。
その後、基準推定部21は、その複数の方位角ごとの減衰係数の方位角特性を取得することによって複数の基準対応情報を取得する。基準推定部21が方位角特性を取得する方法は、観測集合が高密度観測集合となった以外、類似判断部15が方位角特性を取得する方法と同様であり、その詳細な説明を省略する。また、基準推定部21が取得する方位角特性の種類は、類似判断部15が複数の対応情報について取得する方位角特性の種類と同じであることが好適である。その方位角特性が、減衰係数の方位角方向の変化の分散である場合には、例えば、基準推定部21は、各パラメータの値(αj,βj)について、[σ∂a,ref(αj,βj)]2、[σ∂c,ref(αj,βj)]2を算出してもよい。なお、[σ∂a,ref(αj,βj)]2等の算出は、a(θ,αj,βj)等がaref(θ,αj,βj)等となる以外、類似判断部15による算出と同様にして行われる。
正解値特定部22は、基準推定部21によって取得された、パラメータの値と、複数の方位角ごとの減衰係数とを対応付ける複数の情報から、高密度観測集合受付部20によって受け付けられた高密度観測集合に適合する複数の方位角ごとの減衰係数を特定し、その特定した減衰特性に対応するパラメータの値である正解値を特定する。正解値特定部22は、例えば、パラメータの値ごとに、高密度観測集合に含まれる各観測情報の観測位置(受信位置)に関して、観測情報に含まれる受信信号強度と、そのパラメータの値を含む重み関数を用いて推定された減衰特性関数を用いて算出された受信信号強度との誤差を算出することを行い、その誤差の最も小さいパラメータの値を正解値としてもよい。例えば、正解値特定部22は、パラメータの値(αj,βj)について、{(aref(θ,αj,βj),cref(θ,αj,βj))}を用いて各観測位置の受信信号強度を算出する。なお、ある観測位置の受信信号強度を算出する際には、その観測位置の方位角に最も近い特定方位角の減衰係数(aref,cref)を含む減衰特性関数を用いてもよい。また、正解値特定部22は、観測位置ごとに、観測された受信信号強度と、算出された受信信号強度との差の絶対値に応じた値を累積することによって、両者の誤差を算出する。絶対値に応じた値は、例えば、絶対値を引数とする増加関数の値(例えば、絶対値そのものや、絶対値の二乗など)であってもよい。その誤差は、例えば、RMSEやMSE等であってもよい。また、正解値特定部22は、そのような誤差の算出を、各パラメータの値について行う。その結果、パラメータの値と、そのパラメータの値に対応する誤差とが得られることになる。その後、正解値特定部22は、最も小さい誤差に対応するパラメータの値を、パラメータの正解値としてもよい。そのパラメータの正解値は、例えば、(αc,βc)であってもよい。なお、正解値特定部22は、そのような誤差を実際に算出することなく、高密度観測集合に適合する複数の方位角ごとの減衰係数に対応するパラメータの値を特定してもよい。その場合には、正解値特定部22は、例えば、基準推定部21が取得した、パラメータの値と、複数の方位角ごとの減衰係数とを対応付ける情報において、集合{aref(θ,αj,βj)}={aref(0°,αj,βj)、aref(ε,αj,βj)、…、aref(B×ε,αj,βj)}の各要素が−20以下である減衰係数{aref(θ,αj,βj)}に対応するパラメータ(αj,βj)であり、かつ、角度分解能の高いパラメータ(αj,βj)を正解値として特定してもよい。自由空間では、電波の電力は、波源からの距離の二乗に反比例するため、減衰係数aref(θ)は、−20となる。自由空間以外では、それよりも減衰が大きいと考えられるため、減衰係数{aref(θ,αj,βj)}の各要素は、−20以下になると考えられる。したがって、そうでない減衰係数を除外することにより、高密度観測集合に適合しない減衰係数を除外することができると考えられる。また、重み関数がF1(θi)である場合には、パラメータαの値が小さいほど、角度分解能が高いことになる。したがって、正解値特定部22は、例えば、小さい値のパラメータαを正解値としてもよい。
基準情報受付部23は、要求情報出力部19による要求情報の出力に応じて、高密度観測集合受付部20で受け付けられた高密度観測集合を用いて基準推定部21によって取得された複数の基準対応情報と、正解値特定部22によって特定された正解値とを含む基準情報を受け付ける。なお、基準推定部21から複数の基準対応情報を受け付け、正解値特定部22からパラメータの正解値を受け付けることが、両者を含む基準情報の受け付けであると考えてもよい。基準情報受付部23は、その基準情報を、基準情報記憶部14に蓄積する。例えば、基準情報受付部23は、基準推定部21から、複数の基準対応情報{[σ∂a,ref(αj,βj)]2、[σ∂c,ref(αj,βj)]2}を受け付け、正解値特定部22から、パラメータの正解値(αc,βc)を受け付け、両者を有する基準情報を、基準情報記憶部14に蓄積してもよい。
なお、基準情報受付部23は、要求情報出力部19による要求情報の出力に応じて、減衰係数推定装置3の外部から、波源2からの電波に関する基準情報を受け付け、基準情報記憶部14に蓄積してもよい。その場合には、減衰係数推定装置3は、高密度観測集合受付部20や基準推定部21、正解値特定部22を備えていなくてもよい。すなわち、それらの構成要素によって行われる処理が、減衰係数推定装置3と異なる装置によって行われてもよい。また、その場合には、基準情報受付部23は、例えば、有線または無線の通信回線を介して送信された基準情報を受信してもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)から読み出された基準情報を受け付けてもよい。なお、基準情報受付部23は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、モデムやネットワークカードなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、基準情報受付部23は、ハードウェアによって実現されてもよく、または所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
なお、記憶部13と、基準情報記憶部14とは、同一の記録媒体によって実現されてもよく、または、別々の記録媒体によって実現されてもよい。前者の場合には、推定部12によって取得された複数の対応情報を記憶している領域が記憶部13となり、複数の基準情報を記憶している領域が基準情報記憶部14となる。
次に、減衰係数推定装置3の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)受付部11は、観測集合を受け付けたかどうか判断する。そして、受け付けた場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、観測集合を受け付けるまで、ステップS101の処理を繰り返す。
(ステップS102)推定部12は、受け付けられた観測集合を用いて、複数の対応情報を取得し、記憶部13に蓄積する。なお、この処理の詳細については、図4Aのフローチャートを用いて後述する。
(ステップS103)類似判断部15は、基準情報に含まれる複数の基準対応情報が、記憶部13で記憶されている複数の対応情報に類似するかどうかを、各基準情報について判断する。なお、この処理の詳細については、図4Bのフローチャートを用いて後述する。
(ステップS104)特定部16は、記憶部13で記憶されている複数の対応情報に類似する複数の基準対応情報が存在したかどうか判断する。そして、そのような複数の基準対応情報が存在した場合には、ステップS105に進み、そうでない場合には、ステップS108に進む。
(ステップS105)特定部16は、記憶部13で記憶されている複数の対応情報に類似する複数の基準対応情報を有する基準情報に含まれるパラメータの正解値を特定する。そして、特定部16は、その特定したパラメータの正解値に、複数の対応情報によって対応付けられる、複数の方位角ごとの減衰係数を特定する。なお、記憶部13で記憶されている複数の対応情報に類似する複数の基準対応情報を有する基準情報が複数存在する場合には、特定部16は、前述のように、一個の基準情報を特定し、その基準情報に含まれるパラメータの正解値を用いるものとする。また、ステップS112からステップS105に進んだ場合には、特定部16は、ステップS112で蓄積された基準情報に含まれるパラメータの正解値を用いるものとする。
(ステップS106)範囲推定部17は、特定部16によって特定された、複数の方位角ごとの減衰係数を含む減衰特性関数を用いて、電波の到達範囲を推定する。その推定結果である電波の到達範囲は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
(ステップS107)出力部18は、範囲推定部17による範囲の推定結果に関する出力を行う。そして、電波の到達範囲の推定に関する一連の処理は終了となる。
(ステップS108)要求情報出力部19は、要求情報を出力する。その要求情報には、例えば、波源2を特定可能な情報が含まれていてもよい。なお、その要求情報の出力に応じて、波源2から送信される電波について、観測集合よりも高密度の観測情報を含む高密度観測集合が取得されることになる。この取得は、実際に高密度の観測地点において波源2からの電波の受信を行うことによって行われる。なお、その波源2は、例えば、要求情報に含まれる情報によって特定されるものであってもよい。
(ステップS109)高密度観測集合受付部20は、高密度観測集合を受け付けたかどうか判断する。そして、受け付けた場合には、ステップS110に進み、そうでない場合には、受け付けるまでステップS109の処理を繰り返す。
(ステップS110)基準推定部21は、受け付けられた高密度観測集合を用いて、複数の基準対応情報を取得する。なお、この処理の詳細については、図4Cのフローチャートを用いて後述する。
(ステップS111)正解値特定部22は、受け付けられた高密度観測集合に対応するパラメータの正解値を特定する。なお、この処理の詳細については、図4Dのフローチャートを用いて後述する。
(ステップS112)基準情報受付部23は、ステップS110で取得された複数の基準対応情報と、ステップS111で特定されたパラメータの正解値とを含む基準情報を受け付け、その基準情報を基準情報記憶部14に蓄積する。そして、ステップS105に進む。
なお、図3のフローチャートのステップS106において、ホワイトスペースの検出を行ってもよい。また、図3のフローチャートの処理を繰り返して実行することにより、時間方向についても、電波の到達範囲やホワイトスペースを検出できるようになる。また、図3のフローチャートでは、複数の対応情報に類似する複数の基準対応情報がなかった場合に、基準情報の生成を行う場合について説明したが、それ以外の場合にも基準情報の生成が行われてもよい。例えば、本実施の形態による減衰係数推定装置3による電波の到達範囲の推定を行う前に、あらかじめ基準情報記憶部14に複数の基準情報を蓄積するため、基準情報の生成が行われてもよい。
図4Aは、図3のフローチャートにおける複数の対応情報の取得の処理(ステップS102)の詳細を示すフローチャートである。
(ステップS201)推定部12は、パラメータの値をあらかじめ決められた初期値に設定する。
(ステップS202)推定部12は、特定の方向を示す方位角である特定方位角θを0度に設定する。
(ステップS203)推定部12は、観測集合に含まれる複数の観測情報を用いて、特定方位角θに関する減衰係数を推定する。この推定は、周波数を用いたものであってもよく、または、そうでなくてもよい。
(ステップS204)推定部12は、特定方位角θをεだけインクリメントする。なお、εは、360度の約数であってもよく、またはそうでなくてもよい。
(ステップS205)推定部12は、特定方位角θが360度以上であるかどうか判断する。そして、360度以上である場合には、ステップS206に進み、そうでない場合には、ステップS203に戻る。なお、ステップS201またはステップS207で設定されたパラメータの値と、ステップS203で各方位角について推定された減衰係数とを対応付ける情報が対応情報である。その対応情報は、順次、記憶部13に蓄積されてもよい。
(ステップS206)推定部12は、あらかじめ決められたすべてのパラメータの値について対応情報を取得する処理を行ったかどうか判断する。そして、すべてのパラメータの値について対応情報を取得した場合には、図3のフローチャートに戻り、そうでない場合には、ステップS207に進む。
(ステップS207)推定部12は、パラメータの値を、現在のパラメータの値の次の値に設定する。パラメータの値をどのように変更していくのかについては、あらかじめ決められていてもよい。そして、ステップS202に戻る。
図4Bは、図3のフローチャートにおける類似判断の処理(ステップS103)の詳細を示すフローチャートである。
(ステップS301)類似判断部15は、記憶部13で記憶されている複数の対応情報のそれぞれについて方位角特性を取得する。また、例えば、減衰係数a,cのように、複数の方位角ごとの減衰係数が2種類以上存在する場合には、類似判断部15は、各種類の減衰係数について方位角特性を取得してもよい。その結果、例えば、パラメータの値ごとに、また減衰係数a,cごとに、方位角特性が取得されることになる。
(ステップS302)類似判断部15は、カウンタiを1に設定する。
(ステップS303)類似判断部15は、基準情報記憶部14で記憶されているi番目の基準情報に含まれる複数の基準対応情報と、記憶部13で記憶されている複数の対応情報との類似の程度を示す類似情報を算出する。その類似情報は、結果として類似の程度を知ることができる情報であればよく、例えば、類似度であってもよく、または非類似度であってもよい。その類似情報は、例えば、前述のRMSEやMSEであってもよい。
(ステップS304)類似判断部15は、ステップS303で取得された類似情報によって、両者が類似しているかどうか判断する。そして、両者が類似している場合には、図3のフローチャートに戻り、そうでない場合には、ステップS305に進む。なお、この判断は、例えば、類似情報の示す値と、あらかじめ決められた閾値とを比較することによって行われてもよい。また、このステップS304において類似していると判断された場合には、i番目の基準情報に含まれる複数の基準対応情報と、複数の対応情報とが類似していると判断されたことになる。
(ステップS305)類似判断部15は、カウンタiを1だけインクリメントする。
(ステップS306)類似判断部15は、基準情報記憶部14でi番目の基準情報が記憶されているかどうか判断する。そして、i番目の基準情報が記憶されている場合には、ステップS303に戻り、そうでない場合には、図3のフローチャートに戻る。
なお、図4Bのフローチャートでは、ステップS304において類似すると判断されると、図3のフローチャートに戻る場合について説明したが、そうでなくてもよい。すべての基準情報について判断を行った後に、図3のフローチャートに戻るようにしてもよい。
図4Cは、図3のフローチャートにおける複数の基準対応情報の取得の処理(ステップS110)の詳細を示すフローチャートである。
(ステップS401)基準推定部21は、パラメータの値をあらかじめ決められた初期値に設定する。
(ステップS402)基準推定部21は、特定の方向を示す方位角である特定方位角θを0度に設定する。
(ステップS403)基準推定部21は、高密度観測集合に含まれる複数の観測情報を用いて、特定方位角θに関する減衰係数を推定する。この推定は、周波数を用いたものであってもよく、または、そうでなくてもよい。
(ステップS404)基準推定部21は、特定方位角θをεだけインクリメントする。なお、εは、360度の約数であってもよく、またはそうでなくてもよい。
(ステップS405)基準推定部21は、特定方位角θが360度以上であるかどうか判断する。そして、360度以上である場合には、ステップS406に進み、そうでない場合には、ステップS403に戻る。
(ステップS406)基準推定部21は、ステップS403で各方位角について推定された減衰係数を用いて、その複数の減衰特性に関する方位角特性を取得する。そして、基準推定部21は、ステップS401またはステップS408で設定されたパラメータの値と、取得した方位角特性とを対応付ける基準対応情報を取得したことになる。その基準対応情報は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。なお、減衰係数a,cのように、複数の方位角ごとの減衰係数が2種類以上存在する場合には、基準推定部21は、各種類の減衰係数について方位角特性を取得してもよい。
(ステップS407)基準推定部21は、あらかじめ決められたすべてのパラメータの値について基準対応情報を取得する処理を行ったかどうか判断する。そして、すべてのパラメータの値について基準対応情報を取得した場合には、図3のフローチャートに戻り、そうでない場合には、ステップS408に進む。
(ステップS408)基準推定部21は、パラメータの値を、現在のパラメータの値の次の値に設定する。パラメータの値をどのように変更していくのかについては、あらかじめ決められていてもよい。そして、ステップS402に戻る。
図4Dは、図3のフローチャートにおけるパラメータの正解値の取得の処理(ステップS111)の詳細を示すフローチャートである。
(ステップS501)正解値特定部22は、パラメータの値をあらかじめ決められた初期値に設定する。
(ステップS502)正解値特定部22は、現在のパラメータの設定値に、基準対応情報によって対応付けられる減衰係数を含む減衰特性関数を用いて、高密度観測集合に含まれる各観測情報の距離及び方位角に対応する受信信号強度をそれぞれ算出する。その結果、各観測情報にそれぞれ対応する観測地点における受信信号強度が算出されることになる。なお、観測情報に含まれる方位角について、減衰係数の推定が行われていない場合には、正解値特定部22は、例えば、観測情報に含まれる方位角に最も近い特定方位角の減衰係数を用いて、受信信号強度の算出を行ってもよい。
(ステップS503)正解値特定部22は、高密度観測集合の各観測情報に含まれる受信信号強度と、ステップS502で算出された観測地点ごとの受信信号強度とを用いて、両者の誤差を算出する。具体的には、正解値特定部22は、両受信信号強度について、RMSEやMSE等を算出してもよい。この誤差の算出の結果、パラメータの値と、誤差との対応が取得されたことになる。
(ステップS504)正解値特定部22は、あらかじめ決められたすべてのパラメータの値について誤差を算出したかどうか判断する。そして、すべてのパラメータの値について誤差を算出した場合には、ステップS505に進み、そうでない場合には、ステップS506に進む。
(ステップS505)正解値特定部22は、最小の誤差に対応するパラメータの値を、パラメータの正解値とする。そして、図3のフローチャートに戻る。
(ステップS506)正解値特定部22は、パラメータの値を、現在のパラメータの値の次の値に設定する。パラメータの値をどのように変更していくのかについては、あらかじめ決められていてもよい。そして、ステップS502に戻る。
以上のように、本実施の形態による減衰係数推定装置3によれば、複数の対応情報に類似する複数の基準対応情報が存在する場合には、その基準対応情報に対応するパラメータの正解値を用いることによって、要素数の少ない観測集合から、適切な減衰係数を推定することができるようになる。その結果、電波の到達範囲やホワイトスペースを精度高く推定することができる。また、そのような基準対応情報が存在しない場合には、要求情報の出力に応じて、高密度観測集合を受け付け、その高密度観測集合を用いて新たな基準情報を取得することによって、観測集合に対応する減衰係数を適切に推定することができるようになる。また、新たな基準情報が蓄積され、基準情報の数が増えることによって、受け付けられた観測集合に対応する複数の対応情報から、要求情報を出力することなく減衰係数を推定できる可能性を高めることができる。また、減衰特性関数が受信信号強度を示すものである場合には、波源2の送信電力を知らなくても、推定結果である減衰係数を含む減衰特性関数を用いることによって、各位置における受信信号強度を推定できるようになる。
なお、本実施の形態では、減衰係数推定装置3が範囲推定部17を備える場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、範囲の推定を他の装置で行う場合などには、減衰係数推定装置3は、範囲推定部17を備えていなくてもよい。その場合には、例えば、出力部18は、推定部12が推定した減衰係数、または、その減衰係数を含む減衰特性関数を出力してもよい。
また、本実施の形態では、減衰係数推定装置3が要求情報出力部19や基準情報受付部23を備える場合について説明したが、そうでなくてもよい。新たな基準情報を受け付けない場合には、減衰係数推定装置3は、要求情報出力部19や基準情報受付部23を備えていなくてもよい。また、基準情報受付部23を備えていない場合には、減衰係数推定装置3は、高密度観測集合受付部20や基準推定部21、正解値特定部22も備えていなくてもよい。なお、新たな基準情報を受け付けない場合には、例えば、複数の対応情報と、複数の基準対応情報とのRMSE等の誤差がすべて閾値よりも大きく、類似判断部15が、複数の対応情報に類似する複数の基準対応情報が存在しないと判断したとすると、特定部16による減衰係数の特定が行われないことになる。したがって、類似判断部15は、複数の対応情報に最も類似する複数の基準対応情報を、複数の対応情報に類似する複数の基準対応情報としてもよい。すなわち、類似判断部15によって複数の対応情報に類似すると判断される複数の基準対応情報が少なくとも存在するようにしてもよい。
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、または、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、または長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、または、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、または、図示しない読み出し部が行ってもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、または、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
また、上記実施の形態において、減衰係数推定装置3に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、または、別々のデバイスを有してもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、または、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。なお、上記実施の形態における減衰係数推定装置3を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、基準情報記憶部にアクセス可能なコンピュータを、受信装置が波源から受信する電波の受信信号強度と、波源から受信装置までの距離及び方位角とを有する複数の観測情報の集合である観測集合を受け付ける受付部、特定の方位角に関する、波源からの電波の減衰特性に関する関数であり、波源からの距離に依存する関数である減衰特性関数の係数である減衰係数を、観測集合に含まれる複数の観測情報と、特定の方位角から離れるほど減少する重みの関数であり、減少に関する1以上のパラメータを含む関数である重み関数とを用いて、特定の方位角から離れた方位角を含む観測情報ほど小さな影響となる回帰分析によって推定することを、複数の方位角、及びパラメータの複数の値について行うことにより、パラメータの値と、パラメータの値の重み関数を用いて推定した、複数の方位角ごとの減衰係数とを対応付ける対応情報を複数のパラメータの値について取得する推定部、推定部によって取得された複数の対応情報を用いて、パラメータの値ごとに減衰係数の方位角特性を取得し、取得したパラメータの値ごとの方位角特性に、パラメータの値と、パラメータの値の重み関数、及び観測集合よりも多い個数の観測情報の集合である高密度観測集合を用いて推定された、複数の方位角ごとの減衰係数の方位角方向の特性である方位角特性とを対応付ける複数の基準対応情報、並びに高密度観測集合に適合するパラメータの値である正解値を含む基準情報が複数記憶される基準情報記憶部で記憶されている基準情報に含まれる複数の基準対応情報に関するパラメータの値ごとの方位角特性が類似するかどうか判断する類似判断部、類似判断部によって、複数の対応情報に対応するパラメータの値ごとの方位角特性に類似すると判断された複数の基準対応情報を有する基準情報に含まれるパラメータの正解値に、対応情報によって対応付けられる減衰係数を特定する特定部として機能させるためのプログラムである。
なお、上記プログラムにおいて、上記プログラムが実現する機能には、ハードウェアでしか実現できない機能は含まれない。例えば、情報を受け付ける受付部や、情報を取得する取得部、情報を出力する出力部などにおけるモデムやインターフェースカードなどのハードウェアでしか実現できない機能は、上記プログラムが実現する機能には少なくとも含まれない。
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、または分散処理を行ってもよい。
図7は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態による減衰係数推定装置3を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
図7において、コンピュータシステム900は、CD−ROMドライブ905を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。
図8は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。図8において、コンピュータ901は、CD−ROMドライブ905に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、LANやWAN等への接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
コンピュータシステム900に、上記実施の形態による減衰係数推定装置3の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM921に記憶されて、CD−ROMドライブ905に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM921、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。また、CD−ROM921に代えて他の記録媒体(例えば、DVD等)を介して、プログラムがコンピュータシステム900に読み込まれてもよい。
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態による減衰係数推定装置3の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能やモジュールを呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。