以下、下記の順序に従って本技術を説明する。
(1)第1の実施形態:
(2)第2の実施形態:
(3)第3の実施形態:
(4)第4の実施形態
(1)第1の実施形態:
図1は、本実施形態にかかる便座装置を備えたトイレ装置1を表す模式的斜視図である。
同図に示すトイレ装置1は、洋式腰掛便器10(以下、単に便器10とする)と、便器10の上に設けられた便座装置11と、を備える。
便器10は、ボウル部12を有する。ボウル部12は、便器10の上部に設けられる。ボウル部12は、便器10の上面10aから下方へ凹んだ凹状に形成されている。ボウル部12は、使用者が***した汚物や尿などを受ける。また、ボウル部12の内部には水が貯留されており、便器10に接続された排水管から、悪臭や害虫類などが室内へ逆流することを防止する。
便座装置11は、ケーシング111、便座112、及び、便蓋113を有する。便座112と便蓋113は、ケーシング111に対して軸支されている。これにより、便座112は、ボウル部12の上縁に沿って配置された閉状態と、ボウル部12の上縁に対して略垂直に配置された開状態との間で、ケーシング111に対する軸を回転の中心として回動自在になっている。同様に、便蓋113も、ボウル部12の上縁に沿って便座112の上に配置された閉状態と、ボウル部12の上縁に対して略垂直に配置された開状態との間で、ケーシング111に対する軸を回転の中心として回動自在になっている。なお、便蓋113は必ずしも設けなくともよい。
便座装置11は、衛生洗浄機能、局部乾燥機能、便座暖房機能、等を有する。衛生洗浄機能は、便座112に座った使用者の「おしり」などの局部を洗浄する機能である。局部乾燥機能は、便座112に座った使用者の「おしり」などの局部に温風を吹き付けることにより、衛生洗浄によって濡れた局部を乾燥させる機能である。便座暖房機能は、便座112の着座面を適温に温める機能である。
便座装置11は、衛生洗浄機能として、例えば、使用者が操作部に対して行う操作などに応じてケーシング111から吐水ノズル114を便器10のボウル部12内に進出させ、吐水ノズル114の先端付近に設けられた吐水口から水を噴射する機能を有する。これにより、使用者の局部を洗浄することができる。また、吐水ノズルからは、冷水のみならず、ヒーターによって加熱した温水を吐水口から噴射することもできる。
なお、本願明細書においては、便座112に座った使用者からみて上方を「上方」とし、便座112に座った使用者からみて下方を「下方」とする。また、開いた状態の便蓋113に背を向けて便座112に座った使用者からみて前方を「前方」とし、便座112に座った使用者からみて後方を「後方」とする。また、後方を向いて便器10の前に立った使用者からみて右側を「右側方」とし、後方を向いて便器10の前に立った使用者からみて左側を「左側方」とする。
図2は、本実施形態に係る便座装置11の電気的構成の一例を示す回路図である。同図に示す便座装置11は、制御部20、抵抗負荷21、負荷スイッチング部22、ゼロクロス検出部23、電源部24、記憶部25、電源端子26、操作部27、入室検知センサー28、人体検知センサー29、及び、着座検知センサー30、を有する。
制御部20には、記憶部25が電気的に接続されている。記憶部25には、例えば、便座装置11を制御するための各種のプログラムやデータが記憶されている。制御部20は、記憶部25からプログラムやデータを読み出して適宜に処理を行うことにより、便座装置11の各部を統括的に制御する。記憶部25としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置を用いることができる。
電源端子26は、例えば、家庭用のコンセントに着脱自在に挿し込まれるACインレットなどで構成される。便座装置11には、電源端子26を介して商用交流電源から交流電力が供給される。なお、便座装置11に供給される交流電力は商用交流電源から供給される交流電力に限るものではなく、例えば、自家発電機から供給される交流電力などであってもよい。
抵抗負荷21は、温水ヒーター、温風ヒーター、便座ヒーター等のように、通電により発熱する抵抗素子である。
温水ヒーターは、衛生洗浄の際に用いられる温水を生成するためのヒーターである。温水ヒーターは、例えば、タンクに一時的に貯留された洗浄水を加熱することにより、衛生洗浄用の温水を生成する。温水ヒーターには、例えば、セラミックヒータやシーズヒータなどが用いられる。
温風ヒーターは、局部乾燥に用いられる温風を生成するためのヒーターである。温風ヒーターは、例えば、ファンと吹出口との間に配置され、ファンから吹き出された風を加熱することにより、局部乾燥用の温風を生成する。温風ヒーターには、例えば、ニクロム線ヒーターなどが用いられる。
便座ヒーターは、便座112を加熱して便座暖房機能を実現するためのヒーターである。便座ヒーターには、例えば、チュービングヒータや面状ヒーターなどが用いられる。
このように、便座装置11(トイレ装置1)には、被加熱物を加熱するための各種の抵抗負荷21が設けられている。被加熱物とは、衛生洗浄用の洗浄水、局部乾燥用の風、便座112などである。ただし、便座装置11に設けられる抵抗負荷21は、これらに限るものではなく、例えば、室温調節用の温風を生成するためのヒーターを設けてもよいし、便座暖房機能を実現するためのヒーターにおいて、便座112の着座面の温度を連続的に上昇させる急速加熱用のヒーターや、便座112の着座面の温度を所定の温度範囲内に保つ保温加熱用のヒーター等を設けてもよい。
負荷スイッチング部22は、温水ヒーター、温風ヒーター、便座ヒーター等の抵抗負荷21への通電をオン/オフ切り替えるためのスイッチング素子である。
温水用スイッチング素子は、温水ヒーターに対して直列に接続される。温水用スイッチング素子は、温水ヒーターに対して電力を供給する通電状態(オン状態)と、電力を供給しない非通電状態(オフ状態)と、の切り替えに用いられる。
温風用スイッチング素子は、温風ヒーターに対して直列に接続される。温風用スイッチング素子は、温風ヒーターに対して電力を供給している通電状態(オン状態)と、電力を供給していない非通電状態(オフ状態)と、の切り替えに用いられる。
便座用スイッチング素子は、便座ヒーターに対して直列に接続される。便座用スイッチング素子は、便座ヒーターに対して電力を供給している通電状態(オン状態)と、電力を供給していない非通電状態(オフ状態)と、の切り替えに用いられる。
負荷スイッチング部22は、制御部20と電気的に接続されており、負荷スイッチング部の通電状態と非通電状態との間の切り替えは、制御部20によって制御される。各負荷スイッチング部22は、制御部20から入力される制御信号に基づいて通電状態と非通電状態とを切り替えられる。各負荷スイッチング部22には、例えば、機械式のリレーや半導体スイッチなどを用いることができる。
制御部20は、図3に示す複数の通電パターンの中から目標設定温度に応じた最適な通電パターンを選択し、選択した通電パターンに従って負荷スイッチング部22へオン信号を出力することにより、抵抗負荷21に所定の通電割合で交流電力を供給することができる。
図3には、各々異なる通電割合となるようにオン/オフ割合が設定された通電パターン0〜5を示してあり、オン/オフ割合が0%(通電しない)の通電パターン0、オン/オフ割合が31%の通電パターン1、オン/オフ割合が44%の通電パターン2、オン/オフ割合が56%の通電パターン3、オン/オフ割合が69%の通電パターン4、オン/オフ割合が100%の通電パターン5を示してある。これら通電パターン0〜5が、抵抗負荷21をその温度設定に応じて加熱する際の基本通電パターンとなる。なお、抵抗負荷21の設定温度は使用者が行う操作部27への操作入力等により設定される温度である。
このように、負荷スイッチング部22のオン/オフ割合、すなわち抵抗負荷21における通電割合を変化させることにより、抵抗負荷が被加熱物を適温に加熱する熱量を良好に制御することができる。なお、図3に示す通電パターンの中で白抜き部分は非通電を表し、黒塗り部分が通電を表す。
各通電パターンにおいては、交流電力の半波に相当する時間をオン/オフが切り替わる単位時間としてある。例えば、電源端子26へ供給される交流電力の周波数が60Hzの商用交流電源の場合には、通電パターン0〜5の単位時間を1/120秒としてある。このように、通電パターンの通電オン/オフを切り替える単位時間を交流電力の半波に相当する時間とすることにより、通電オン/オフの切り替えタイミングを後述するゼロクロス点で行うことが可能となる。なお、図3に示す基本通電パターンを構成する通電パターンの種類数、各基本通電パターンにおけるオン/オフ割合、各通電パターンにおけるオン/オフの並び順等は一例であり、様々に変更可能である。
制御部20は、電源波形のゼロクロス点の近傍において、負荷スイッチング部22のオン/オフ切替を行う。具体的には、ゼロクロス検出部23には電源端子26から供給される交流電力の電源波形が入力されており、制御部20は、ゼロクロス検出部23が出力するゼロクロス検出信号に基づいて負荷スイッチング部22のオン/オフ切替を行う。これにより、抵抗負荷21への通電オン/オフが交流電力のゼロクロス点で切り替わることとなり、抵抗負荷21に通電される電圧や電流が短時間の間に大きく変化することが抑制され、機器の誤動作を引き起こす可能性のあるノイズの発生を極力防ぐことが出来る。
図2において、制御部20は、電源部24から電力を供給されており、トイレ室(パブリック用の場合にはトイレブースの個室)への使用者の入室を検知する入室検知センサー28、便座112の前方にいる使用者を検知する人体検知センサー29、便座112への使用者の着座を検知する着座検知センサー30、操作部27などからの信号に基づいて、不図示の電磁弁やノズルモータ等の動作を制御することができる。電源部24には、電源端子26を介して外部の商用交流電源CSから交流電力が供給される。
着座検知センサー30は、使用者が便座112に着座する直前において便座112の上方に存在する人体や、便座112に着座した使用者を検知することができる。すなわち、着座検知センサー30は、便座112に着座した使用者だけではなく、便座112の上方に存在する使用者を検知することができる。このような着座検知センサー30としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサーなどを用いることができる。
人体検知センサー29は、便器10の前方にいる使用者、すなわち便座112から前方へ離間した位置に存在する使用者を検知することができる。つまり、人体検知センサー29は、トイレ室に入室して便座112に近づいてきた使用者を検知することができる。このような人体検知センサー29としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサーなどを用いることができる。
入室検知センサー28は、トイレ室のドアを開けて入室した直後の使用者や、トイレ室に入室しようとしてドアの前に存在する使用者を検知することができる。つまり、入室検知センサー28は、トイレ室に入室した使用者だけではなく、トイレ室に入室する前の使用者、すなわちトイレ室の外側のドアの前に存在する使用者を検知することができる。このような入室検知センサー28としては、焦電センサーや、ドップラーセンサなどのマイクロ波センサーなどを用いることができる。マイクロ波のドップラー効果を利用したセンサーや、マイクロ波を送信し反射したマイクロ波の振幅(強度)に基づいて被検知体を検出するセンサーなどを用いた場合、トイレ室のドア越しに使用者の存在を検知することが可能となる。つまり、トイレ室に入室する前の使用者を検知することができる。
図1に示すトイレ装置1では、ケーシング111の上面に一部が埋め込まれるように入室検知センサー28、着座検知センサー30および人体検知センサー29が設けられている。入室検知センサー28は、便蓋113が閉じた状態では、その基部付近に設けられた透過窓を介して使用者の入室を検知する。そして、例えば、入室検知センサー28が使用者を検知すると、制御部20は、入室検知センサー28の検知結果に基づいて便蓋113を自動的に開くことができる。ただし、着座検知センサー30、人体検知センサー29、および入室検知センサー28の設置形態は、これだけに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。また、センサーの種類もこれらに限るものではなく、これら以外の各種のセンサーを設けてもよい。
図4は、抵抗負荷21に対する通電を利用した情報出力にかかる処理の流れを示すフローチャートである。同図に示す処理は、制御部20が負荷スイッチング部22を制御することにより行う。なお、同図に示す処理では、様々な情報を出力することが可能であるが、以下では、上述した着座検知センサー30の検知結果を情報として出力する場合を例に取り説明を行うことにする。また、制御部20は、同図に示す処理と並行して上述した通電パターンに応じた負荷スイッチング部22のオン/オフ制御、すなわち抵抗負荷21への通電のオン/オフ制御を実行することができる。
まず、制御部20は、このような情報出力にかかる設定値を取得して、抵抗負荷21に対する通電を利用した情報出力を行うか否かを判断する(S10)。この設定値が情報出力を行う設定になっている場合には(S10:Yes)、着座検知センサー30のセンサー出力を取得する(S20)。一方、この設定値が情報出力を行わない設定になっている場合には(S10:No)、一定時間の経過を判断することになる(S40)。このような設定値は、例えば、レジスタ値として上述した記憶部25等の記憶媒体に記憶されており、使用者が操作部27に対して所定の操作入力を行うことにより情報出力の設定を変更することができる。
次に、情報出力を行う場合(S10:Yes)、制御部20は、上述した通電パターンを基本通電パターンとは異なるものへ変化させる(S30)。本実施形態では、図5に示すように、上述した基本通電パターンの一部を、着座検知センサー30から取得したセンサー出力に応じた所定の通電パターンで置き換えることにより、上述した通電パターンを基本通電パターンとは異なるものへ変化させている。
例えば、着座検知センサー30のセンサー出力が着座検知を示している場合には、図5(a)に示す所定の着座検知パターンで基本通電パターンの一部を置き換え、逆に、着座検知センサー30のセンサー出力が着座非検知を示している場合には、図5(b)に示す所定の着座非検知パターンで基本通電パターンの一部を置き換える。
その後、一定時間の経過を待って(S40)ステップS10以降の処理を繰り返し実行する。これにより、図6に示すように、情報出力を行う場合は、一定の繰り返し周期で所定の通電パターンで基本通電パターンの一部が置き換えられることになる。すなわち、一定の繰返し周期で、基本通電パターンの一部が特定の通電パターンで置き換えられる。
以上説明した通電パターン(基本通電パターン、又は所定の通電パターンで一部を置き換えられた基本通電パターン)で負荷スイッチング部22をオン/オフ制御することにより、この通電パターンに同期して抵抗負荷21における通電/非通電が切り替わることになる。抵抗負荷21に流れる電流は、電源端子26に接続された交流電源ラインから供給されるため、電源端子26にも同様の電流が流れることになる。そして、電源端子26は、電源タップ50を介して商用の交流電源に接続されている。
図7は、電源タップ50の電気的構成を示すブロック図である。なお、本実施形態においては、便座装置11、電源タップ50、及び外部のコントローラーが通信システムを構成する。
同図に示す電源タップ50は、通電検知回路としての電流センサー51、通電パターン識別部52、通信コード生成部53、無線通信部54、及び、ACアウトレット等の電源端子55を備えている。この電源タップ50は、外部のコントローラー60と無線通信回線を通じて通信可能に構成されている。
電流センサー51は、便座装置11の電源端子26に接続される電源端子55と、商用交流電源CSと、の間の電源線Lにおける通電を検知し、この検知結果を通電パターン識別部52へ出力する。例えば、電流センサー51は、電源線Lに通電していることを検知した場合には通電オン信号を通電パターン識別部52へ出力し、電源線Lに通電していないことを検知した場合には通電オフ信号を通電パターン識別部52へ出力する。
通電パターン識別部52は、上述した各基本通電パターン、並びに、着座検知を示す特定の通電パターン及び着座非検知を示す特定の通電パターンを記憶した記憶部を有しており、基本通電パターンに相当する部分と、特定の通電パターンに相当する部分と、をパターン認識によって識別することができる。すなわち、特定の通電パターンに相当する部分が、図5(a)に示す着座検知を示す特定の通電パターンであるか、図5(b)に示す着座非検知を示す特定の通電パターンであるかを識別することができる。そして、識別した特定の通電パターンそのものまたはそれに応じた情報を、通信コード生成部53を介して通信コードに変換して無線通信部54から無線送信させる。
このようにして送信された無線信号は、外部のコントローラー60の無線通信部61が受信する。そして、コントローラー60が有する動作状態識別部62が、無線通信部61が受信した特定の通電パターンそのものまたはそれに応じた情報を取得し、便座装置11の使用状態、ひいてはトイレ装置1の使用状態にかかる情報を取得する。このようにして取得した使用状態にかかる情報は、コントローラー60に記憶装置を設けて蓄積してもよいし、インターネット回線等の通信回線を通じて、外部の情報処理装置(パーソナルコンピュータ、タブレット、携帯電話、サーバー装置等)へ、要求に応じて、または定期的に送信するようにしてもよい。
(2)第2の実施形態:
次に、図8を参照しつつ、抵抗負荷21に対する通電を利用した情報出力にかかる処理の他の例について説明する。本実施形態では、情報出力を、便座装置11の使用状態が変化したタイミングに応じて実行するように構成してある。なお、第1の実施形態と同様に、制御部20は、同図に示す処理と並行して、上述した基本通電パターンでの負荷スイッチング部22のオン/オフ制御を実行することができる。なお、本実施形態においては、制御部20が行う情報出力に係る処理、及び、電源タップ50の通電パターン識別部52が行う通電パターンの識別処理以外は、第1の実施形態と同様であるため、トイレ装置1のハードウェア、ソフトウェア構成については、第1の実施形態と同じ符号を付して詳細な説明を省略することにする。
まず、制御部20は、このような情報出力にかかる設定値を取得して、抵抗負荷21に対する通電を利用した情報出力を行うか否かを判断する(S110)。この設定値が情報出力を行う設定になっている場合には(S110:Yes)、着座検知センサー30のセンサー出力を取得する(S120)。一方、この設定値が情報出力を行わない設定になっている場合には(S110:No)、特に何も動作はしない。このような設定値は、例えば、レジスタ値として上述した記憶部25等の記憶媒体に記憶されており、使用者が操作部27に対して所定の操作入力を行うことにより、情報出力の設定を変更することができる。
次に、使用状態の変化が発生したか否かを各センサー出力に基づいて判断する(S130)。使用状態が変化した場合は(S130:Yes)、そのタイミングで上述した通電パターンを基本通電パターンとは異なるものへ変化させる(S140)。従って、本実施形態では、図9に示すように、使用状態が変化したとき(着座非検知状態から着座検知状態への使用状態の変化が発生したとき、および、着座検知状態から着座非検知状態への使用状態の変化が発生したとき)に、上述した基本通電パターンの一部を、着座検知センサー30から取得したセンサー出力に応じた所定の通電パターンで置き換えることで、上述した通電パターンを基本通電パターンとは異なるものに変化させている。
図10は、本実施形態にかかる各使用状態に相当する所定の通電パターンの一例を示す図である。図10(a)に示すように、本実施形態にかかる所定の通電パターンは、リーダー部Plとデータ部Pdとを含んで構成されている。リーダー部Plは、その後にデータ部Pdが続いて発生することを示す識別用の通電パターンであり、データ部Pdは使用状態変動の内容を示す通電パターンである。リーダー部Plおよびデータ部Pdは、一定数の半波で構成された一定長の通電パターンである。
そして、リーダー部Plは、図10(b)に示すように、例えば、図6に示す基本通電パターンとしての各通電パターン0〜5の全部および一部と非同一のユニークな通電パターンとしてある。このため、電源タップ50の通電パターン識別部52は、基本通電パターンのどの部分がリーダー部Plにかかる通電パターンで置き換えられても、リーダー部Plを識別することができるようになっている。従って、リーダー部Plに続いて発生するデータ部Pdは、そのパターンが基本通電パターンの一部又は全部と同一であっても、通電パターン識別部52が基本通電パターンと誤認せずにデータ部Pdと識別することができる。
図10(c)は、データ部Pdの一例を示す図である。同図には、交流電力の8つの半波を含む4周期分(b0、b1、b2、b3)の通電パターンをデータ部Pdとした場合を示してあり、各周期のプラス側の半波を通電しつつマイナス側の半波を非通電にするパターンをPで示してあり、前半をオフにしつつ後半をオンにするパターンをNで示してある。このように交流電力の4周期分を使用したデータ部Pdでは、8種類の使用状態を表現可能となる。図10(c)に示す例では6種類の使用状態(着座、離座、人体検知、人体非検知、洗浄開始、洗浄停止)にそれぞれ異なる通電パターンを対応付けてある。むろん、半波毎に通電のオン/オフを変えて通電パターンを構成して64種類の使用状態を表現可能にしてもよい。
一方、使用状態が変化していない場合(S130:No)、及び、基本通電パターンを異なるものへ変化させた(S140)後は、ステップS110に戻ってステップS110以降の処理を繰り返し実行する。これにより、使用状態が変化したときに、基本通電パターン中の一部を使用状態に応じたユニークな通電パターンに変化させて、通電パターンを基本通電パターンとは異なるものへと変化させることができる。
(3)第3の実施形態:
次に、図11を参照して、上述した第1の実施形態にかかる便座装置11を具体的に実現する回路構成の一例について説明する。なお、本実施形態においては、第1の実施形態と共通する構成については第1の実施形態と同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図11に示す回路では、便座装置11は、制御部20としてのマイコンを駆動するDC電圧を交流電源から生成する電源部24としてのAC/DCコンバーターと、交流電源のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出部23と、抵抗負荷21の通電を制御する負荷スイッチング部22と、を備えている。
電源部24では、まず、ダイオードブリッジ回路が交流電源を全波整流するとともに電解コンデンサが脈流を除去することで交流を直流に変換する。次に、この直流をPWM制御等により電源トランスの一次側巻線に断続的に印加することで電源トランスの二次側巻線に所望電圧の交流を発生させる。そして、電源トランスの二次側巻線に発生した交流を、二次側に設けたダイオードと電解コンデンサとで整流平滑することにより、所望電圧のDC電圧である定電圧電源Vccが得られる。この所望電圧の定電圧電源Vccがマイコンの電源電圧入力端子Vccへ供給される。
ゼロクロス検出部23は、交流電源の一方の入力ラインL1と入力ラインの全波整流後の1次側グランドGNDPとの間を、整流素子としてのダイオードD1及び整流素子としてのダイオードD2とが並列接続している。ダイオードD1は、カソードを入力ラインL1に向け、アノードを1次側グランドGNDPに向けて接続されている。一方、ダイオードD2は、ダイオードD1とは逆向きに接続されており、アノードを入力ラインL1に向け、カソードを1次側グランドGNDPに向けて接続されている。
本実施形態において、ダイオードD2は、フォトカプラPC1の発光素子を構成する発光ダイオードによって構成されている。そして、このフォトカプラPC1の受光素子を構成するフォトトランジスタPTは、コレクタ端子をマイコンの入力端子INに向けて接続され、エミッタ端子を2次側グランドに向けて接続されている。フォトトランジスタPTのコレクタ端子は抵抗を介して定電圧電源Vccにプルアップされている。これにより、交流電源とマイコンとの間を電気的に絶縁しつつ、ゼロクロス検出部23が出力するゼロクロス検出信号をマイコンの入力端子INへ入力することができる。
ゼロクロス検出部23は、交流電源の入力ラインL1の電圧V1が入力ラインL2の電圧V2よりも高い場合には、入力ラインL1からの電流が抵抗を通じてダイオードD2を経由し、1次側グランドGNDPを経由し、1次側グランドGNDPから全波整流器としてのダイオードブリッジ回路を経由して入力ラインL2へ戻る。この経路で電流が流れる場合はダイオードD2が発光する。一方、電圧V1が電圧V2よりも低い場合には、ダイオードD2には電流が流れず、ダイオードD1が導通してダイオードD2が発光しない。
負荷スイッチング部22は、直列接続された抵抗負荷21と交流スイッチとしてのトライアックTrcが、入力ラインL1と入力ラインL2の間を接続している。このため、トライアックTrcがオフになると抵抗負荷21に通電せず、トライアックTrcがオンになると抵抗負荷21に通電することとなる。
トライアックTrcの制御端子としてのゲート端子は、マイコンの出力端子Outから出力される制御信号をフォトカプラPC2を介して入力されている。フォトカプラPC2は、発光素子としての発光ダイオードPD2と、受光素子としてのフォトトライアックPTrcとを有する。
発光ダイオードPD2は、アノードを抵抗を介して定電圧電源Vccに接続され、カソードをNPN型のバイポーラトランジスタTrを介してグランドに接続されている。バイポーラトランジスタTrは、コレクタを発光ダイオードPD2に向け、エミッタをグランドに向けて接続されており、ゲートはマイコンの出力端子Outに接続されている。このため、マイコンが出力端子Outから所定の制御信号を出力すると、バイポーラトランジスタTrのコレクタ−エミッタ間が導通し、発光ダイオードPD2に電流が流れて発光することになる。
一方、発光ダイオードPD2の発光を受光するフォトトライアックPTrcは、一方の端子が抵抗を介してトライアックTrcの一方の端子に接続され、他方の端子は抵抗を介してトライアックTrcの他方の端子に接続されている。そして、トライアックTrcのゲート端子は、フォトトライアックPTrcの他方の端子に接続されている。このため、フォトトライアックPTrcが発光ダイオードPD2の発光を受けてフォトトライアックPTrcに電流が流れると、トライアックTrcにゲート電流が流れてトライアックTrcがターンオンすることなる。
マイコンは、負荷スイッチング部22のオン/オフを制御する信号を出力する場合は、ゼロクロス検出部23からのゼロクロス検知信号を入力端子INに入力されたタイミングで、出力端子Outから所定の制御信号を出力するように構成されている。このため、ゼロクロス検出部23が交流電源のゼロクロスを検知したタイミングに同期して、負荷スイッチング部22がターンオンして抵抗負荷21が通電する。これにより、抵抗負荷21への通電オン/オフが交流電力のゼロクロス点で切り替わることとなり、抵抗負荷21に通電される電圧や電流が短時間の間に大きく変化することが抑制され、機器の誤動作を引き起こす可能性のあるノイズの発生を極力防ぐことが出来る。また、交流電源とマイコンの間をフォトカプラPC1,PC2を用いて電気的に絶縁して接続しているため、マイコンの安定動作を実現できる。
(4)第4の実施形態:
次に、上述した電源タップ50を具体的に実現する回路構成の一例について図12を参照しつつ説明する。なお、本実施形態においては、第1の実施形態と共通する構成については第1の実施形態と同じ符号を付して詳細な説明を省略することにする。
図12に示す電源タップ50は、マイコン56と、マイコン56を駆動するためのDC電圧を交流電源から生成するAC/DCコンバーター57と、交流電源のゼロクロス点を検出するためのゼロクロス検出部58と、交流電源の伝送ラインL1における通電を検知する電流センサー51と、無線通信部54としての無線モジュールとを備えている。
AC/DCコンバーター57では、まず、ダイオードブリッジ回路にて交流電源を全波整流するとともに電解コンデンサにて脈流を除去することで交流電源を直流に変換する。次に、この直流をDC/DCコンバーターにて所望電圧のDC電圧に変換する。この所望電圧のDC電圧が、マイコン56の駆動電圧入力端子Vinへ供給される。
ゼロクロス検出部58は、交流電源の伝送ラインL2にアノードを向けて接続されたダイオードD3と、RC直列回路RCとを有する。RC直列回路RCの抵抗と容量の接続点Jは、別の抵抗を介してグランドに接続されている。そして、この別の抵抗の高電位側の端子電圧がマイコン56のAD入力端子AD1へ入力され、この別の抵抗の低電位側の端子電圧がマイコン56のグランド入力端子GNDへ入力されている。マイコン56は、AD入力端子AD1とグランド入力端子GNDの間の電位差を検出することにより、RC直列回路RCの容量の蓄電量の変動を検出することができる。従って、マイコン56は、AD入力端子AD1とグランド入力端子GNDの間の電位差が最大値と最小値の検出をもって、交流電源のゼロクロス検出とすることができる。
電流センサー51は、伝送ラインL1の周囲に設けられた電流センサーCTと、当該電流センサーCTの出力を増幅する増幅器Ampとを有する。増幅器Ampの出力は、マイコン56のAD入力端子AD2へ入力されている。これにより、マイコン56は、交流電源の通電を検知することができる。
そして、マイコン56は、ゼロクロス検出部58の出力に基づいて検出した交流電源の各半波区間毎に、交流電源の伝送ラインL1に通電しているかを判別することで、交流電源を介して送信される通電パターンを再現することができる。そして、マイコン56は、再現された通電パターンが所定の通電パターンを含むか否かをパターン認識により識別する。このようにして通電パターンを再現するとともに所定の通電パターンを識別するマイコン56が本実施形態において通電パターン識別部52を構成する。
そして、マイコン56は、通電パターン中に所定の通電パターンが含まれると識別した場合は、当該所定の通電パターンそのものまたは当該所定の通電パターンに相当する使用状態にかかる情報を通信コードに変換し、端子Tx,Rxを用いて無線モジュールを制御し、通信コードを出力する。すなわち、所定の通電パターンそのものまたは所定の通電パターンに相当する使用状態にかかる情報を通信コードに変換して無線モジュールへ出力するマイコン56が本実施形態において通信コード生成部53を構成する。
なお、本発明は上述した各実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。また,本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず,特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。