JP6454437B1 - 複合糸及びそれを用いた織編物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2.2W/mK以上の熱伝導係数を有するフィラメントとセルロース短繊維からなる、英式番手5〜40番手の複合糸であって、該糸の20℃、65%RHにおける水分率が2.5〜12%であり、該糸表面に存在する長さ3mm以上の毛羽数が糸長10mあたり20〜200個であることを特徴とする複合糸。
【選択図】図1
Description
(1)複合糸をパイルに用いたパイル織編物であって、複合糸が、2.2W/mK以上の熱伝導係数を有するフィラメントとセルロース短繊維からなる、英式番手5〜40番手の複合糸であり、該糸の20℃、65%RHにおける水分率が2.5〜12%であり、該糸の表面に存在する長さ3mm以上の毛羽数が糸長10mあたり20〜200個であること、及びパイル織編物の圧力0.7kPaでの厚み/圧力89kPaでの厚みを表わす厚み変形度が1.3〜2.5であり、20℃から30℃における10秒後の瞬間熱移動量が0.028W/cm2以上であることを特徴とするパイル織編物。
(2)フィラメントが、高分子量ポリエチレン繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリベンザゾール繊維、及び炭素繊維からなる群から選択される少なくとも1種の繊維であることを特徴とする(1)に記載のパイル織編物。
紡績糸の毛羽数は、シキボウ株式会社製のF−インデックステスターを用いて測定した。測定糸長は10mとし、1mm以上の毛羽数及び3mm以上の毛羽数をそれぞれ測定した。
糸の水分率はJIS L1095:2010 9.2水分率に準じて測定した。織編物の水分率はJIS L1096:2010 8.10 水分率の方法に準じて測定した。
熱伝導率は、ヘリウム冷凍機付きの温度制御装置を有するシステムにて定常熱流法により測定した。また、試料繊維の長さは約25mmとし、繊維束は単繊維を約1000本引き揃えて束ねた。
次いで、試料繊維の両端をスタイキャストGTにて固定し、試料台にセットした。温度測定にはAu−クロメル熱電対を用いた。ヒーターには1kΩ抵抗を用い、これを繊維束端にワニスで接着した。測定温度領域は27℃とした。測定は断熱性を保つため10−3Paの真空中で行った。なお測定は試料を乾燥状態にするため10−3Paの真空状態で24時間経過した後開始した。
熱伝導率の測定は、2点間Lの温度差ΔTが1Kとなるように、ヒーターに一定の電流を流して行った。これを図3に示す。ここで、繊維束の断面積をS、熱電対間の距離をL、ヒーターにより与えた熱量をQ、熱電対間の温度差をΔTとすると、求める熱伝導率κは以下の式により算出することができる。
κ(W/mK)=(Q/ΔT)×(L/S)
厚み変形度の測定は、(株)尾崎製作所製ダイヤルシックネスゲージ0.01mmタイプの型式G−1A(測定力1.8N,測定子面積0.2cm2,測定圧89kPa)と型式FFG−11(測定力0.35N,測定子面積5cm2,測定圧0.7kPa)の二つの定圧厚み測定機を用いる。測定試料は10cm角の大きさにカットして標準状態20℃65%RHの雰囲気で1日間調湿しておく。 厚みは1試料につき異なる5か所について前記厚さ測定器を用いて測定し(mm),その平均値を算出して小数点以下2桁に丸める。厚みは同じ試料に対して、先にFFG−11で厚みを測定して(測定値1)、その後G−1Aで測定して(測定値2)、以下の式により厚み変形度を求める。
厚み変形度=(測定値1)/(測定値2)
カトーテック社製サーモラボIIを用いて測定する。Qmaxとも呼ばれ、カトーテック社製の測定マニュアルに従う。予め環境温湿度を20℃65%RHに調湿した生地を、肌側面を上に向けて発泡スチロール断熱材上に置き、30℃に温めた熱板兼温度センサーを生地肌側面に接触させて測定する。測定間隔0.01秒で連続して測定を行い、10秒後の瞬間熱流量を測定する。また、接触開始から30秒間(3000測定分)の瞬間熱流束量(W/cm2・10℃)の積算値を算出する。
編地が濡れた時のべたつきやすさの評価として、密着性を評価した。アクリル板の上に、5cm×5cmのサンプルを置き、さらに0.4mlの水を加える。その後、圧縮試験機(KES−G5(カトーテック社製))を用いて、500mNの荷重を加えた後、0.2cm/秒の速度で引き離した時の密着力(抵抗力)を測定する。その後は水0.1mlを付与して密着力を測定する手順を繰り返していく。水を加えたときに密着力が急激に高まったときが測定の終了となる。このとき付与した合計水分量(ml)を密着性の値とする。この急激に高まったときとは、0.1mlを付与したことで1.0gf以上密着力が上昇したときとする。尚、合計水分量が2.5ml加えても急激に密着力が高まることが無い場合は、そこで試験は終了して判定を「優秀」とする。本発明では密着性が0.8ml以上の場合に合格と判断する。
織編物試料を肌面側地にして、幅100cm×長さ200cmの敷パットを作製した。ポリエステル60/綿45の英式番手40番の紡績糸を経緯に用いた平織を裏側の側地とし、また中綿にはポリエスエル樹脂ワタ100g/m2をはさんで他針キルト機で波形の模様でキルトを行い、四方の縁は裏地と同じ生地でヘムを取り付けた。シングルサイズの布団に前記敷パットを取り付けた。環境試験室で雰囲気を32℃×85%RHの高温高湿に調整して、25才男性が敷パットの上に30分間横たわったときの寝心地(べたつき感)を評価した。ベタツキ感が全くないを◎、べたつきが少ないを○、べたつくを△、非常にべたついて不快を×とした。
セルロース短繊維としてモダール(有効繊維長38mm,単糸繊度1.0dtex)をOHARA製混綿機を用いて混打綿した後、石川製作所製カード機を用いてカードスライバーを作った。該カードスライバーをコーマ機にかけた後、原織機製練条機に2回通して400ゲレン/6ydのスライバーとした。更に豊田自動織機製粗紡機に通して140ゲレン/15ydの粗糸を作成した。次いで精紡機でこの粗糸に約28倍のドラフトをかけてフロントローラーから出てきたところで(図2の糸道B位置)、長繊維として超高分子量ポリエチレン(東洋紡(株)製イザナス(登録商標)(タイプSK71))220dtex(T)、192フィラメント(f)と交撚して、英式番手で13番手の精紡交撚糸1を作製した。この紡績糸の撚係数を測定すると、3.7であった。出来上がった精紡交撚糸1の特性を表1に示す。
東洋紡(株)製イザナス(登録商標)を高分子量ポリエチレン繊維(東洋紡(株)製ツヌーガ(登録商標))220T、176fに変更した以外は、実施例1と同様にして精紡交撚糸2を作製した。出来上がった精紡交撚糸2の特性を表1に示す。
東洋紡(株)製イザナス(登録商標)をポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)繊維(東洋紡(株)製ザイロン(登録商標)(タイプAS))278T、166fに変更した以外は実施例1と同様にして精紡交撚糸3を作製した。出来上がった精紡交撚糸3の特性を表1に示す。
セルロース短繊維としてモダール(有効繊維長38mm,繊度1.0dtex)をOHARA製混綿機を用いて混打綿した後、石川製作所製カード機を用いてカードスライバーを作った。該カードスライバーをコーマ機にかけた後、原織機製練条機に2回通して400ゲレン/6ydのスライバーとした。更に豊田自動織機製粗紡機に通して140ゲレン/15ydの粗糸を作成した。次いで精紡機でこの粗糸に約28倍のドラフトをかけて、英式番手で25番手の紡績糸を作製した。この紡績糸の撚係数を測定すると、3.5であった。このモダール精紡糸と、超高分子量ポリエチレン繊維(東洋紡(株)製イザナス(登録商標)タイプSK71)220T、192fとを紡績糸と同じ撚方向に500T/mで交撚して英式番手で13番の交撚糸1を作製した。出来上がった交撚糸1の特性を表1に示す。
セルロース短繊維としてモダール(有効繊維長38mm,繊度1.0dtex)をOHARA製混綿機を用いて混打綿した後、石川製作所製カード機を用いてカードスライバーを作った。該カードスライバーをコーマ機にかけた後、原織機製練条機に2回通して200ゲレン/6ydのスライバーとした。更に豊田自動織機製粗紡機に通して80ゲレン/15ydの粗糸を作成した。次いで精紡機でこの粗糸に約51倍のドラフトをかけて英式番手で80番手の精紡糸を作製した。この紡績糸の撚係数を測定すると、3.5であった。このモダール精紡糸と、高分子量ポリエチレン繊維(東洋紡(株)製イザナス(登録商標)タイプSK71)220T、192fとをZ撚500T/mで交撚して英式番手で20番の交撚糸2を作製した。出来上がった交撚糸2の特性を表1に示す。
東洋紡(株)製イザナス(登録商標)をキュプラフィラメント167T、90f(84T45fを2本引揃え)に変更した以外は実施例1と同様にして精紡交撚糸4を作製した。出来上がった精紡交撚糸4の特性を表1に示す。
東洋紡(株)製イザナス(登録商標)をポリエステルフィラメント167T、96fに変更した以外は実施例1と同様にして精紡交撚糸5を作製した。出来上がった精紡交撚糸5の特性を表1に示す。
東洋紡(株)製イザナス(登録商標)(タイプSK71)440T、390fをダブルツイスターでZ撚で300T/mを施撚して撚糸1を作製した。出来上がった撚糸1の特性を表1に示す。
出来上がった精紡交撚糸1を口径30inch−20Gのシングル編機(福原機械)により天竺を編成した。出来上がった編地を開反したのち、連続精練を行った後、日阪製作所製液流染色機NSタイプを用いてレーヨンを反応染料で淡色サックスに染色して、その後、テンターで幅出ししながら仕上処理を行った。この編地の詳細と評価結果を表1に示す。
出来上がった精紡交撚糸2を実施例7と同じ条件で編成して天竺を編成して、実施例7と同様に染色加工を行って仕上がり生地を得た。この編地の詳細と評価結果を表1に示す。
出来上がった精紡交撚糸3を実施例7と同じ条件で編成して天竺を編成した。この生機を実施例7と同様に染色加工を行って仕上がり生地を得た。この編地の詳細と評価結果を表1に示す。
出来上がった交撚糸1を実施例7と同じ条件で編成して天竺を編成した。この生機を実施例7と同様に染色加工を行って仕上がり生地を得た。この編地の詳細と評価結果を表1に示す。
出来上がった交撚糸2を経緯に用いて3/1ツイル織物を作製した。製織条件としては、筬番手(鯨寸)50番として、引込本数4本(耳5本)とし、経糸6250本用意して、筬入幅118cmで、エアージェット織機にて製織して、生機密度は経137本/inch、緯密度51本/inchであった。この織物を連続精練、幅出しセットを行ったのち、液流染色機にて直接染料で淡色サックスに染色した後、テンターで仕上剤をつけて幅出しセットを行った。この織物の詳細と評価結果を表1に示す。
地糸としてポリエステル仮撚加工糸110T、48fを準備して、パイル糸として精紡交撚糸1を用いて、シンカーパイルを作製した。編成条件として、30インチ16ゲージのシンカーパイル編機にて、シンカーのパイル高さを2.2mmに設定した。この生機を液流染色機で精練・反応染料で淡色サックスに染色したのち、開反して吸水加工剤を付与したのち120℃で乾燥・セットした編地を得た。この編地の詳細と評価結果を表1に示す。
パイル糸を精紡交撚糸4に変更して、パイル高さを1.6mmとした以外は実施例12と同様にしてシンカーパイルを作製した。編成条件として、30インチ16ゲージのシンカーパイル編機にて、シンカーのパイル高さを2.2mmに設定した。この生機を液流染色機で精練・反応染料で淡色サックスに染色したのち、開反して吸水加工剤を付与したのち150℃で乾燥・セットした編地を得た。この編地の詳細と評価結果を表1に示す。
精紡交撚糸1をポリエステルフィラメント167T、72f(丸断面セミダル)(精紡交撚糸5)に変更した以外は実施例7と同じ条件で編成して天竺を編成した。出来上がった生機を通常のポリエステル丸編地の染色加工工程を通して、分散染料でサックスに染色して吸水加工仕上げを行い、最終生地した。この編地の詳細と評価結果を表1に示す。
出来上がった撚糸1を精紡交撚糸1の代わりに使用したこと以外は実施例7と同じ条件で編成して天竺を編成した。この生機を開反して連続精練した後、吸水加工剤を付与したのち120℃で乾燥・セットした編地を得た。この編地の詳細と評価結果を表1に示す。
2 ガイド
3 テンション装置
4 ガイド
5 ボビン
6 ガイド
7 バックローラ
8 セカンドローラ
9 フロントローラ
10 繊維束
A 糸道A
B 糸道B
11 冷凍機冷却ヘッド
12 試料台
13 熱伝対
14 試料繊維
15 接着剤
16 ヒーター
17 繊維測定距離
V 電源
Claims (2)
- 複合糸をパイルに用いたパイル織編物であって、複合糸が、2.2W/mK以上の熱伝導係数を有するフィラメントとセルロース短繊維からなる、英式番手5〜40番手の複合糸であり、該糸の20℃、65%RHにおける水分率が2.5〜12%であり、該糸の表面に存在する長さ3mm以上の毛羽数が糸長10mあたり20〜200個であること、及びパイル織編物の圧力0.7kPaでの厚み/圧力89kPaでの厚みを表わす厚み変形度が1.3〜2.5であり、20℃から30℃における10秒後の瞬間熱移動量が0.028W/cm2以上であることを特徴とするパイル織編物。
- フィラメントが、高分子量ポリエチレン繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリベンザゾール繊維、及び炭素繊維からなる群から選択される少なくとも1種の繊維であることを特徴とする請求項1に記載のパイル織編物。
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