以下、本発明の一実施形態に係る食品包装用容器について図1〜図10を参酌しつつ説明する。本実施形態における容器は、図1〜図3のように縦方向の寸法及び横方向の寸法に対して高さ方向の寸法が小さいトレー状の容器である。収容する食品は特には限定されないが、油分や水分の多い食品に好適であって、特に、天ぷらやフライ、唐揚げ、カツ、コロッケ、フライドポテト、ドーナツ、揚げパン等の揚げ物に好適である。
容器の平面視の形状は円形や楕円形、矩形等、各種の形状であってよい。本実施形態では、図2のように平面視略方形状、詳細には、横長の長方形状の容器を例示して説明する。容器は横長の長方形状であって、縦方向の寸法に対して横方向の寸法が長い。従って、容器の縦方向が幅方向であって短辺方向であり、容器の横方向が長手方向であって長辺方向である。
容器は、底面部1と、該底面部1の周縁部から上方に立ち上がった側面部2とを備えている。底面部1は、容器の平面視の形状に対応して平面視略長方形状である。尚、底面部1の四つの隅部は円弧状に面取りされていてよい。底面部1の上面の中央部には、台状に一段高くなった高台部5が形成されている。該高台部5は平面視長方形状であり、その周囲には所定幅の溝部6が周設されている。溝部6は高台部5と側面部2との間に位置する。従って、底面部1の上面は、平面視長方形状の内側領域とその外側を囲むように周設された所定幅の外側領域に区画され、高台部5が内側領域を構成し、溝部6が外側領域を構成している。溝部6の下面は、容器をテーブル等の上に載置する際の載置面となる。従って、溝部6の下面の所定部分は容器の脚部7となる。
高台部5は、容器の平面視の形状と対応していて横長の長方形状であって、その縦方向の寸法が横方向の寸法よりも短い。高台部5は、底面部1の上面の主要部を占めている。そして、高台部5の上面には、図4にも示しているように、平面視において筋状に延びる複数の突条10a,10bが上方に向けて突設されている。突条10a,10bは、筋状頂面20と該筋状頂面20から下降する一対の側面12とを備えている。突条10a,10bの長手方向の寸法は任意である。突条10a,10bの長手方向の寸法は、突条10a,10bの幅方向の寸法よりも長ければよい。複数の突条10a,10bの数(本数)は任意であるが、食品を均等に載置できる程度の数とされる。突条10a,10bは容器の横方向に間隔をあけながら複数並設されており、突条10a,10b同士の間の間隔は一定である。従って、複数の突条10a,10bは全て互いに平行である。突条10a,10bは、板状であって上方に向けて起立状態にある。突条10a,10bは、容器の縦方向に沿って延びている。即ち、突条10a,10bの長手方向は容器の縦方向であり、高台部5の縦方向の略全長に亘って形成されている。本実施形態では、突条10a,10bがそれぞれ高台部5の縦方向の略全長に亘って連続して筋状に形成されているが、例えば、突条10a,10bが高台部5の縦方向の中央部で二本に分割されて、その分割された二本の突条10a,10bが高台部5の縦方向に直列に並んでいる構成であってもよい。また、一本の突条10a,10bが三本以上に分割された構成であってもよい。
図5及び図6のように個々の突条10a,10bの高さは長手方向の両端部を除いて略一定であって、長手方向の両端部は徐々に湾曲しつつ下降した肩部11となっていて高台部5の上面まで連続的に下降しており、突条10a,10bは高台部5の上面の周縁部まで達している。尚、両肩部11は互いに対称形状である。尚、図4にも示しているように突条10a,10bの高さは側面部2の上端の高さよりも低い。即ち、突条10a,10bの高さはフランジ部3の上端の高さよりも低く形成されるが、逆に高く形成されてもよい。
複数の突条10a,10bは全て同一の形状であってもよいが、本実施形態では、図4のように両端に位置する二本の突条10aのみが他の突条10bよりも高さが高くなっている。従って、本実施形態において突条10a,10bは、高低二種類存在しており、両端に位置する相対的に高さの高い二本の第一の突条10aと、それらの間に位置し、相対的に高さの低い複数本の第二の突条10bとを備えている。このような構成とすることで、滑りやすいカツ等を載置した際のカツの位置ズレをより一層抑制することができる。尚、以下の説明において第一の突条10aと第二の突条10bを特に区別する必要がない場合には単に突条10a,10bと総称することとする。本実施形態では第二の突条10bは七本形成されているが、その本数は任意であり、三本以上が好ましく、五本以上が更に好ましい。左右の第一の突条10aは互いに同じ高さであり、また、第二の突条10bも全て互いに同じ高さである。但し、突条10a,10bの高さが個々に異なっていてもよく、三種類以上の高さであってもよい。
突条10a,10bをその幅方向に切断すると図4のようになる。この方向に切断したときの断面形状を横断面形状と称することとする。突条10a,10bをその幅方向に切断した断面視において、突条10a,10bの横断面形状は上側ほど幅狭となる山型である。従って、突条10a,10bの両側面12は傾斜面となっている。突条10a,10bの側面12は、湾曲しない平面であってもよいが、本実施形態では下側に向けて湾曲した凹状の曲面となっている。そして、隣り合う二つの突条10a,10bの側面12の下端同士は連続していて一つの凹状の曲面を構成している。
隣り合う突条10a,10b間には谷部13が形成されており、谷部13は、突条10a,10bの長手方向に沿って延びている。谷部13をその幅方向に切断すると図4のようになる。この方向に切断したときの断面形状を横断面形状と称することとする。谷部13の横断面形状はそれぞれ下側に湾曲した円弧状であって、谷部13はその両側の突条10a,10bの側面12と滑らかに連続している。それぞれの谷部13は、図4のように幅方向に切断した断面視において、それぞれの谷部13における中央部の高さが最も低くなっており、従って、それぞれの谷部13の幅方向の中央部が谷底部となっている。谷部13の横断面形状は下側に湾曲した円弧状に限られず、U字状やV字状であってもよい。また、谷部13の横断面形状は、谷底部に平面部を有する形状であってもよく、例えば、谷部13の横断面形状が矩形であってもよい。尚、図4に示した形態では、複数の谷部13の谷底部の高さは、互いに同じ高さとなっているが、互いに異なっていてもよい。
谷部13は突条10a,10bと平行であって突条10a,10bの長手方向に延びる樋状である。図6は谷部13をその長手方向に沿って切断したときの断面形状を示している。この図6のように長手方向に沿って切断したときの断面形状を縦断面形状と称することとする。この図6のように、谷部13の縦断面形状は、谷部13の長手方向の中央部13aが最も高くなっていてその中央部13aを頂点としてそこから両端部13bに向けて徐々に高さが低くなった形状である。また、谷部13の縦断面形状は全体として上方に緩やかに湾曲した曲面状となっている。谷部13の長手方向の両端部13bは、高台部5の縦方向の両端部に位置している。その谷部13の長手方向の両端部13bは他の部分に比して小さな曲率半径で急に湾曲しつつ下降していて、高台部5の側面5aに連続的につながっている。本実施形態では、高台部5の周縁部に一段高くなった細幅状あるいは筋状の段差部5bが上方に向けて突設されているが、谷部13の長手方向の両端部13bにおいては段差部5bが存在せず、段差部5bは谷部13において部分的に切り欠かれていて、食品から流れ出た油が溝部6へ導かれることとなる。尚、両端の第一の突条10aと高台部5の横方向の両端部までの間の領域は、段差部5bを除いてフラットな平面となっており、その高さは谷部13よりも低い。
<突条10a,10bの筋状頂面20の凹凸>
次に突条10a,10bの筋状頂面20について述べる。突条10a,10bの筋状頂面20には凹凸が形成されている。該凹凸は、相対的に上方に突出した凸部21と、相対的に下方に凹んだ凹部22とから構成される。尚、筋状頂面20の凹凸は突条10a,10bの全体としては微小な凹凸であって、凸部21の上方への突出量や凹部22の下方への凹み量は突条10a,10bの突出量に比して小さいものである。凸部21と凹部22との高さ差は、突条10a,10bの突出量の少なくとも半分未満であって、具体的には、例えば0.3〜3mmであって、好ましくは0.5〜1.5mmである。
凹凸は突条10a,10bの長手方向に連続して形成されている。つまり、凹凸を構成している凹部22と凸部21は突条10a,10bの長手方向に交互に形成されていると共に繰り返し形成されており、凹凸は突条10a,10bの全長に亘って形成されている。従って、突条10a,10bの長手方向の両端部の肩部11における筋状頂面20にも凹凸が形成されている。凹部22は突条10a,10bの筋状頂面20を突条10a,10bの幅方向に横断している。そのため、隣り合う凹部22間に位置する凸部21も、凹部22と同様に突条10a,10bの筋状頂面20を突条10a,10bの幅方向に横断する形状となっている。但し、凹部22は筋状頂面20を横断していればよく、筋状頂面20の幅方向に対して傾斜する方向に横断していてもよい。
突条10a,10bの筋状頂面20の凹凸形状について、より詳細に説明する。突条10a,10bをその幅方向に見たとき、即ち、突条10a,10bをその側面12から見たとき、図5や図6のように突条10a,10bの筋状頂面20は水平な平坦面ではなく波形に連続した凹凸形状となっている。尚、図5及び図7は突条10a,10bをその長手方向に沿って切断したときの断面図である。図7において突条10a,10bの長手方向を符号Lで示している。突条10a,10bの筋状頂面20の凹凸を構成している凸部21は、突条10a,10bの長手方向に沿って上側に湾曲した形状となっており、突条10a,10bの筋状頂面20の凹凸を構成している凹部22は、突条10a,10bの長手方向に沿って下側に湾曲した形状となっている。そして、隣り合う凸部21と凹部22は滑らかに連続している。このように突条10a,10bの筋状頂面20の凹凸は、突条10a,10bの長手方向に沿って滑らかな曲線を描きながら波形に連続している。尚、凹部22と凸部21の高さ差は、容器を構成しているシートの厚さよりも大きいことが好ましい。
一方、突条10a,10bをその幅方向に切断したときの断面形状を図9に示している。図9は、突条10a,10bをその幅方向に切断したときの断面図であって、突条10a,10bの筋状頂面20の凹凸のうち凹部22において切断したときの断面図であり、より詳細には、凹部22の最下部で切断したときの断面図である。図9において突条10a,10bの幅方向を符号Wで示している。尚、突条10a,10bをその幅方向に切断したときの断面形状を横断面形状と称するが、図9(a)のように、凸部21の横断面形状は全体として上側に向けて湾曲した形状であって、凸部21は突条10a,10bの両側面12と滑らかに連続している。凹部22の横断面形状は、幅方向の中央部に平坦な直線部を有する形状である。平坦な直線部の長さは任意であるが、本実施形態では半分以上の長さを占めている。尚、凹部22の両端部は、湾曲しつつ下降していて突条10a,10bの両側面12と滑らかに連続している。尚、図4及び図8(a)は、容器を凹部22の位置において切断したときの断面図であり、図8(b)は容器を凸部21の位置において切断したときの断面図である。
図9(a)では、凹部22の横断面形状が幅方向の中央部において平坦な直線部を有する形状としているが、平坦な直線部に代えて、緩やかに上側に湾曲した形状であってもよい。但し、凹部22の横断面形状が平坦な直線部を有する形状であると、シート成形時に金型で凹部22を形成しやすい。また、図9(b)のように、凹部22の横断面形状も、凸部21のそれと同様に、突条10a,10bの両側面12から連続しつつ上側に向けて湾曲した形状であってもよい。
<側面部2>
側面部2の上端部には外側に向けてフランジ部3が形成されている。該フランジ部3は全周に亘って形成されている。フランジ部3の外縁部には外側に向けて例えば水平又は若干下方に向けて延びる縁取り部4が全周に亘って形成されていることが好ましい。このようにフランジ部3に縁取り部4を形成した場合にはその縁取り部4の外縁が容器の外縁となって平面視において最も外側に位置する部分となる。縁取り部4は、容器の最外周縁となる部分である。フランジ部3の外縁部に縁取り部4を全周に亘って設けることでフランジ部3を効果的に補強できる。縁取り部4の幅は例えば0.1mm〜2mm程度と細いものであってよい。縁取り部4の上面や下面には、容器を熱成形する際に細かな凹凸加工やエンボス加工を施して凹凸形状を形成してよく、更なる補強効果が得られるうえに指の切創も防止できる。
また、本実施形態では、図示しない蓋が容器の内側に嵌合する構成、いわゆる内嵌合の構成となっており、そのため側面部2の上部には上側に向けて徐々に内側に傾斜した逆テーパ状の嵌合部8が形成されているが、蓋が容器の外側に嵌合する、いわゆる外嵌合の構成であってもよい。また、蓋が嵌合しない構成であってもよいし、蓋を使用しない構成であってもよい。
<材質>
容器は、合成樹脂シート製であって、いわゆるシート成形により形成されたシート成形品である。シート成形としては例えば真空成形、圧空成形、真空圧空成形、両面真空成形、熱板成形等があり、何れにしても合成樹脂シートを熱成形することにより形成される。従って、容器において外面と内面は原則として凹凸が逆の形状となる。
ここで、合成樹脂シートとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン等、各種の合成樹脂からなるシート、これらのシート素材として無機物を充填したシート、これらをシート素材として発泡させた発泡シート、更には、これらのシートを延伸させた延伸シートなどを使用できる。特に、レンジ加熱が可能な耐熱性を有するシートから構成されることが好ましい。
以上のような容器に食品Tが収容される。食品Tは、例えば図10のように複数の突条10a,10bの筋状頂面20に載置される。食品Tは複数の突条10a,10bの筋状頂面20に跨るように載置される。尚、少なくとも二つの突条10a,10bの筋状頂面20の上に食品Tが跨る載置態様であればよい。突条10a,10b同士の間の間隔は、収容する食品Tの大きさと関係し、少なくとも突条10a,10b間の谷部13に落下しない程度の大きさの食品Tを収容することが好ましい。
例えば、食品Tが天ぷら等の油分が多いものである場合について説明すると、複数の突条10a,10bの上に食品Tが載置されるので、食品Tと容器との接触面積が小さく、食品Tは複数の突条10a,10bとマクロ的には線接触に近い状態で接触することになる。しかも、突条10a,10bの筋状頂面20には凹凸が形成されているので、食品Tとの接触面積が更に減少して点接触の状態となったり、筋状頂面20の凸部21と相対的に強く接触し、筋状頂面20の凹部22と相対的に弱く接触したりする。そのため、食品Tの油が突条10a,10bの筋状頂面20に留まりにくくなり、突条10a,10bの筋状頂面20から隣の谷部13へと効率良く流れ落ちることになり、スムーズに油切りができる。また、筋状頂面20の凸部21から凹部22へと流れたりする。従って、食品Tのべたつきを防止することができ、例えば店頭から家に持ち帰ったときでも、食品Tのカリッとした食感を楽しむことができる。また、容器を構成している合成樹脂シートが耐熱性を有していて電子レンジによる加熱に対応したものであれば、容器に食品Tが収容された状態のまま電子レンジで加熱することができるが、そのときにおいても油切りが良く、食品Tがべたつかない。更に、突条10a,10bの筋状頂面20に凹凸が形成されているので、食品Tが油分が多くて滑りやすいものであっても、食品Tが不用意に滑りにくくなり、食品Tの位置ずれも抑制され、良好な見栄えも維持でき、食品Tの型くずれも防止される。
また、凹凸が突条10a,10bの長手方向に繰り返し形成されていて突条10a,10bの全長に亘って形成されているので、例えばコロッケやとんかつ等のように幅の広い食品Tであっても、全体に亘って油切りが良好であって、広い範囲に亘ってべたつきを防止できる。それと共に食品Tの位置ずれも確実に防止できる。
特に、突条10a,10bの筋状頂面20の凹凸を構成している凹部22が、突条10a,10bの筋状頂面20を突条10a,10bの幅方向に横断していると、凸部21から凹部22に流れ落ちた油が凹部22から突条10a,10bの両側面12へと効率良く排出されることになる。従って、より一層良好な油切りができる。特に、凹部22を突条10a,10bの幅方向に切断した断面視において、凹部22の横断面形状が突条10a,10bの幅方向に沿って上側に湾曲している形状であると、より一層効率良く油が凹部22から突条10a,10bの両側面12へと流れ落ちていく。
また、突条10a,10bの筋状頂面20の凹凸を構成している凸部21が、突条10a,10bの長手方向に沿って上側に向けて湾曲していると共に、突条10a,10bの幅方向に沿って上側に向けて湾曲していると、食品Tが凸部21に点接触しやすくなる。そのため、凸部21に付着した油が、凸部21から突条10a,10bの両側面12へと効率良く流れ落ちていくと共に、凸部21から凹部22にも効率良く流れ落ちていくことになり、油切れがより一層良好になる。
そして更に、突条10a,10b間に位置する谷部13が樋状であって横断面形状において幅方向の中央部が最も低くなっているので、突条10a,10bから谷部13に流れ落ちた油は、谷部13の谷底部に集まることになる。そして、谷部13の縦断面形状が長手方向の両端部13bに向けて徐々に下降していく形状となっているので、谷部13の谷底部に集まった油は、谷部13の長手方向の両端部13bに向けて流れていき、やがて高台部5の周囲の溝部6に流れ落ちることになる。特に、谷部13の長手方向の両端部13bが湾曲して下降していて高台部5の側面5aに連続してつながっているので、油が谷部13から高台部5の側面5aをつたって溝部6へと効率良く流れ落ちる。
また、図10のように食品Tが長いものであって両端に位置する相対的に高さの高い第一の突条10aに食品Tが支持される場合には、食品Tの端部T1が第一の突条10aによって上方に持ち上げられることから、食品Tの端部T1が上側に迫り上がった状態となる。仮に食品Tの端部T1が下方に垂れ下がって傾斜していると、食品Tの端部T1に油が集まりやすくなり、その端部がべたつきやすくなる。それに対して、図10のように食品Tの端部T1が第一の突条10aによって持ち上げられた状態になると、食品Tの端部T1に油が集まりにくくなり、食品Tの端部T1の油は第一の突条10aに集まっていくことになる。そして、食品Tと接触している第一の突条10aの筋状頂面20の凸部21から凹部22あるいは第一の突条10aの両側面12へと油が流れていくことになるので、食品Tの端部T1がカリッとした食感のまま維持されて、べたつきが防止される。
尚、本実施形態では、突条10a,10bが容器の縦方向に沿って筋状に延びていたが、容器の横方向に沿って筋状に延びていてもよく、縦横両方に延びていてもよい。即ち、縦横十字状に突条10a,10bが形成されていてもよい。また、縦方向や横方向に対して傾斜した方向に延びた突条10a,10bであってもよい。更に、突条10a,10bは平面視において直線状のみならず曲線状や折れ曲がり形状であってもよく、平面視において弧状に湾曲した形状や、平面視においてS字状や波形に湾曲した形状、あるいは、平面視においてくの字状に屈曲した形状や平面視においてギザギザ状等であってよい。
尚、容器の各部には適宜のリブを設けて補強してよい。
また、上記実施形態では、突条10a,10bが側面部2から離間している構成であったが、図11のように突条30が側面部2まで達していて側面部2と連結された構成であってもよい。
次に、容器本体40と蓋41がヒンジ部42を介して連結された構成の食品包装用容器について図12〜図18を参酌しつつ説明する。該容器は合成樹脂製シートを熱成形することによって容器本体40と蓋41とが一体的に形成された蓋一体型のものであって、容器本体40と蓋41を連結するためのヒンジ部42が容器本体40と蓋41の間に設けられている。ヒンジ部42によって、蓋41は、容器本体40に対して、ヒンジ部42の長手方向に沿った軸線回りに相対的に回動可能である。容器本体40や蓋41、ヒンジ部42の具体的な構成は何れも任意であるが、例えば図示のような構成を採用できる。尚、説明の都合上、容器本体40については開口部側を上側とし、蓋41については開口部側を下側とする。
容器本体40は、例えば平面視矩形であるが、三角形状や円形状等、他の形状であってもよい。本実施形態では、具体的には、平面視長方形状である。容器本体40は、底面部50と、底面部50の周縁部から立ち上がる本体側面部と、本体側面部の上端部から外側に向けて延設された本体フランジ部52とを備えている。本体フランジ部52の四辺のうちの一辺にヒンジ部42が連設されており、本実施形態では、本体フランジ部52の長辺と短辺のうち長辺にヒンジ部42が形成されている。従って、ヒンジ部42の長手方向は長辺方向となっている。
底面部50は、本体フランジ部52に対して傾斜している。図13のように本体フランジ部52を水平とした基準姿勢において、その水平な本体フランジ部52に対して底面部50は平行ではなく傾斜している。底面部50の傾斜方向は、平面視においてヒンジ部42に対して直交する方向であって、ヒンジ部42から該ヒンジ部42に対向した辺に向かう方向であり、本実施形態では、容器本体40の短辺方向である。そして、底面部50が所定方向に傾斜していることから、容器本体40の深さは、ヒンジ部42に近い底面部50の端部50aにおいて最も深く、ヒンジ部42から離れる程徐々に浅くなっていって、ヒンジ部42から遠い底面部50の端部50bにおいて最も浅くなっている。つまり、本体フランジ部52から底面部50までの上下方向の離間距離は、ヒンジ部42に近い底面部50の端部50aにおいて最も長く、ヒンジ部42から離れる程に短くなっていき、ヒンジ部42から遠い底面部50の端部50bにおいて最も短くなっている。
底面部50の内面のヒンジ部42側の端部には、凹部53が形成されている。該凹部53は、ヒンジ部42に沿った方向に長い形状であって、長辺方向の全長のうちの大部分の長さに形成されている。底面部50の内面に凹部53が形成されていることから、底面部50の外面には凹部53に対応して凸部54が形成されている。図16のように閉蓋状態の容器を水平面100に載置したとき、底面部50の外面のうちヒンジ部42とは反対側の端部50bと底面部50の外面の凸部54が水平面100に当接する。そのため、底面部50は外面の凸部54によってヒンジ部42側が若干上に持ち上げられた傾斜状態となる。尚、底面部50の内面の凹部53、あるいは、外面の凸部54には、短辺方向に延びる補強用のリブ55を形成することが好ましい。
容器本体40が平面視矩形であることから、容器本体40の本体側面部は、四つの壁面部51a,51b,51c,51dから構成されている。即ち、容器本体40の本体側面部は、ヒンジ部42と底面部50との間に位置する第一の壁面部51aと、該第一の壁面部51aに対向する第二の壁面部51bと、第一の壁面部51aと第二の壁面部51bの左右両端部同士をそれぞれ連結する第三の壁面部51c及び第四の壁面部51dとから構成されている。第一の壁面部51aはヒンジ部42に最も近い位置にあってヒンジ部42の下側に位置している。第二の壁面部51bはヒンジ部42から最も遠い位置にある。第一の壁面部51aと第二の壁面部51bは容器の長辺方向に沿って延びており、第三の壁面部51cと第四の壁面部51dは容器の短辺方向に沿って延びている。
上述のように、底面部50が本体フランジ部52に対して所定方向に傾斜していることから、本体側面部の上下方向の寸法も全周に亘って一定ではなく変化していて、第一の壁面部51aが最も長く、第二の壁面部51bが最も短く、そして、第三の壁面部51cと第四の壁面部51dにおいては、ヒンジ部42から離れる程、徐々に短くなっている。また、本体フランジ部52と第一の壁面部51aの外面との間の角度は90度を越える鈍角である。第一の壁面部51aの内面と底面部50の内面との間の角度は、好ましくは90度未満の鋭角である。
容器本体40の底面部50の内面には、図1に示した容器と同様に、平面視において筋状に延びる複数の突条56a,56bが上方に向けて突設されている。突条56a,56bは互いに間隔をあけながら複数並設されていて、複数の突条56a,56bは全て平行である。突条56a,56b同士の間の間隔は例えば一定とされるが、一定間隔でなくてもよい。突条56a,56bの長手方向は、ヒンジ部42に対して直交する方向であって、本実施形態では短辺方向である。複数の突条56a,56bのうち両端に位置する二本の突条56aを除く中央側の突条56bは、底面部50の内面の短辺方向の全長に亘って形成されていて、凹部53まで達している。両端に位置する二本の突条56aは、ヒンジ部42とは反対側の端部51bから凹部53の手前まで延びていて凹部53には達していない。但し、突条56a,56bの長さは任意である。また、本実施形態において複数の突条56a,56bの高さは全て同じとなっているが、互いに異なっていてもよい。
容器本体40の本体側面部の第一の壁面部51aの内面にも同様に複数の突条57が突設されている。第一の壁面部51aの突条57の本数や配置等も底面部50の突条56a,56bと同様に任意であるが、本実施形態では、底面部50の突条56a,56bのうち中央側の突条56bと同じ間隔、配置である。そして、底面部50の中央側の突条56bが第一の壁面部51aまで延びて第一の壁面部51aの突条57とつながっている。即ち、底面部50の中央側の突条56bと第一の壁面部51aの突条57は一直線状に連続している。但し、底面部50の突条56bと第一の壁面部51aの突条57とが分離していてもよい。第一の壁面部51aの突条57の高さや突出量は種々であってよいが、例えば、上側ほど、即ち、底面部50から離れるほど高さが低くなるように形成してよい。
底面部50の突条56a,56bの筋状頂面60と第一の壁面部51aの突条57の筋状頂面70には、上述したような凹凸が形成されている。凹凸の形状は任意であって、底面部50の突条56a,56bと第一の壁面部51aの突条57とが同じ形状であってもよいが、本実施形態では互いに異なる形状となっている。
底面部50における突条56a,56bの筋状頂面60の凹凸形状を図18(a)に示している。図18(a)は、突条56a、56bを側面61側から見た拡大正面図である。筋状頂面60の凸部62は、突条56a,56bの長手方向に沿って直線状に延びる平面部を有する形状である。筋状頂面60の凹部63は、突条56a,56bの長手方向に沿って下側に湾曲した形状となっている。但し、図7のように筋状頂面60の凸部62が長手方向に沿って上側に湾曲した形状であってもよく、筋状頂面60の凸部62と凹部63が突条56a,56bの長手方向に沿って波形に連続する構成であってもよい。尚、底面部50の突条56a,56bを幅方向に切断したときの断面形状については、図9(a)のような形状であってもよいし、図9(b)のような形状であってもよい。
第一の壁面部51aにおける突条57の筋状頂面70の凹凸形状を図18(b)に拡大図で示している。図18(b)は、突条57を側面71側から見た拡大正面図である。第一の壁面部51aにおける突条57の筋状頂面70の凹凸形状は、突条57の長手方向に沿って指向性を有していて、上下非対称の形状となっている。筋状頂面70の凸部72は、突条57をその側面71側から見た正面視において三角形状となっていて、筋状頂面70の凹部73は、同じく正面視において逆三角形状となっており、筋状頂面70の凸部72と凹部73は連続したノコギリ刃の形状となっている。そして、筋状頂面70の凸部72の下側の斜面72aは緩い傾斜面で上側の斜面72bは垂直に近い急な傾斜面となっている。尚、第一の壁面部51aの突条57を幅方向に切断したときの断面形状については、図9(a)のような形状であってもよいし、図9(b)のような形状であってもよい。
蓋41は、容器本体40に対応する形状であって本実施形態では全体として平面視矩形であり、その開口部は閉蓋状態において容器本体40の開口部と対峙する。蓋41は、天面部80と、該天面部80の周縁部から下降する蓋側面部81と、該蓋側面部81の下端部に外側に向けて延設された蓋フランジ部82とを備えている。蓋フランジ部82も本体フランジ部52と同様に長辺と短辺があって、長辺側の本体フランジ部52と長辺側の蓋フランジ部82との間にヒンジ部42が形成されている。ヒンジ部42は種々の形状が可能であって例えば断面円弧状や断面コの字状のものであってよい。蓋41の天面部80は、蓋フランジ部82に対して傾斜していることが好ましい。蓋41の天面部80の傾斜方向は、図13のような開蓋状態において、容器本体40の底面部50の傾斜方向と等しいことが好ましい。従って、天面部80と蓋フランジ部82との間の距離は、ヒンジ部42から離れる程に長くなっていくことが好ましいが、本実施形態では、ヒンジ部42から離れた途中部分において最も長くなっていて、そこからヒンジ部42とは反対側の端部に向けて徐々に短くなっている。
本実施形態では、蓋フランジ部82が本体フランジ部52の外側に嵌合する構造を採用している。そのため、本体フランジ部52は、本体側面部の上端部から外側に略水平に延びる上部水平部52aと、該上部水平部52aの外縁部から下側に向けて略垂直に延びる嵌合壁部52bと、該嵌合壁部52bの下端部から外側に向けて略水平に延びる下部水平部52cとを備えた構成とされている。嵌合壁部52bの外面の所定箇所には係合突起52dが外側に向けて突設されている。
蓋フランジ部82は、本体フランジ部52に対応していて、蓋側面部81の下端部から外側に略水平に延びる上部水平部82aと、該上部水平部82aの外縁部から下側に向けて略垂直に延びる嵌合壁部82bと、該嵌合壁部82bの下端部から外側に向けて略水平に延びる下部水平部82cとを備えた構成とされている。嵌合壁部82bの内面の所定箇所には係合突起82dが内側に向けて突設されている。
閉蓋状態において、本体フランジ部52の上部水平部52aの上側に蓋フランジ部82の上部水平部82aが対向して位置し、本体フランジ部52の嵌合壁部52bの外側に蓋フランジ部82の嵌合壁部82bが対向して位置し、本体フランジ部82の下部水平部52cの上側に蓋フランジ部82の下部水平部82cが重なり合うように位置する。そして、本体フランジ部52の係合突起52dの下側に蓋フランジ部82の係合突起82dが係合し、これによって閉蓋状態が維持される。ヒンジ部42は、本体フランジ部52の下部水平部52cと蓋フランジ部82の下部水平部82cとの間に形成されている。
尚、このような嵌合構造を採用する場合には、ヒンジ部42とは反対側の開口側に位置する本体フランジ部52の両隅部と蓋フランジ部82の両隅部にそれぞれ摘み部52e,82eを形成することが好ましい。これらの摘み部52e,82eには各種の滑り止め加工を施すことが好ましい。
但し、容器本体40の嵌合壁部52bの外側に蓋41の嵌合壁部82bが嵌合する、いわゆる外嵌合の構成ではなく、容器本体40の嵌合壁部の内側に蓋41の嵌合壁部が嵌合する、いわゆる内嵌合の構成であってもよい。また、このような嵌合構造を用いずに、本体フランジ部52と蓋フランジ部82とが単に上下に重なり合う構成であって各種の粘着テープや輪ゴム等によって閉蓋状態を維持する構成であってもよい。
ヒンジ部42を除く本体フランジ部52の周縁部や蓋フランジ部82の周縁部には、略水平な縁取り部52f,82fを設けることが好ましい。縁取り部52f,82fは、熱成形の際に同時にシートの上面や下面に細かな凹凸加工やエンボス加工を施して凹凸形状を形成したものが好ましく、特に、シート端面を正面に拡大して見た場合において正弦波や三角波、台形波等の波形形状であることが好ましい。縁取り部52f,82fの端面は容器の外縁であってシート成形時に抜刃でカットされたシート切断面であるが、縁取り部52f,82fにおけるシートの表面に凹凸形状を形成することによって、シート切断面がそれを正面に拡大して見た場合において上下に波打つように蛇行した波形形状となる。従って、容器の外縁が鋭利ではなくなり、その部分における切創を防止することができる。かかる意味においてもヒンジ部42を除いた容器の全周に、表面に凹凸形状を有する縁取り部52f,82fを形成することが好ましい。また、凹凸形状が滑り止め機能も発揮する。
尚、本体側面部の上端部や蓋側面部81の下端部には、開蓋状態において容器本体40同士あるいは蓋41同士が複数重ね合わせられた際に、上側の容器本体40あるいは蓋41が下側の容器本体40あるいは蓋41にきつく嵌り合って離れなくなる現象(ブロッキング現象)を防止するためのブロッキング防止用突部58,88を形成することが好ましい。該ブロッキング防止用突部58,88は周回方向に間隔をあけて複数箇所に形成されており、その配置は等間隔ではなく、また、容器本体40や蓋41毎にその位置を周回方向にずらすようにして形成する。
また、蓋41の天面部80の外面には、閉蓋状態の容器同士を横置き状態で上下に積み重ねた際に、容器同士の横ずれを防止するための凸部83を上側に向けて突設することが好ましい。そして、その蓋41の凸部83に凹凸係合する凹部59を容器本体40の底面部50の外面に凹設しておくことが好ましい。尚、容器本体40や蓋41には各種の補強用のリブを設けてよい。
以上のように構成されたヒンジ部42付きの容器は、内部に食品Tが収容されて閉蓋状態とされるが、図14及び図16に示すような横置きの使用状態と、図15及び図17に示すような縦置きの使用状態の双方が可能である。横置き状態では、底面部50が下となって食品載置面となり、図16のように底面部50の突条56a,56bの上に食品Tが載置される。
縦置き状態では、第一の壁面部51aが下となって食品載置面となり、図17のように第一の壁面部51aの突条57の上に食品Tが載置される。縦置き状態では、ヒンジ部42と、底面部50と第一の壁面部51aとの境界部、即ち、ヒンジ部42側の端部50aが接地して容器を支持する。縦置き状態では、第一の壁面部51aは、水平ではなく、本体フランジ部52側が上側となるように傾斜した姿勢となる。また、縦置き状態では、底面部50は、垂直状態に対して、蓋41とは反対側、即ち、後側に向けて45度未満の角度で傾倒した姿勢となる。但し、縦置き状態で底面部50が略垂直な姿勢となってもよい。このような縦置き状態では、図17のように、第一の壁面部51aの突条57の上に食品Tが載置されるが、食品Tは底面部50の突条56a,56bにも接触して底面部50の突条56a,56bにもたれ掛かった状態となる。このように縦置き状態において底面部50が後側に傾倒した姿勢となることにより、収容された食品Tを底面部50の突条56a,56bにもたれ掛けさせることができ、食品Tが蓋41に接触しにくくなる。従って、食品Tの油切りや水切りが良好となって、食品Tのべたつきを防止できてそのおいしさを維持できると共に蓋41を介して見える食品Tの見栄えも良好なものとなる。
また、縦置き状態において、第一の壁面部51aの突条57の筋状頂面70に凹凸が形成されているので、その凹凸が滑り止めとして機能して食品Tの位置ずれが防止され、陳列状態での良好な見栄えが維持される。特に、筋状頂面70の凸部72の上側の斜面72bが急斜面となっているので、第一の壁面部51aが底面部50側に下降するように傾斜していても、凸部72の上側の斜面72bが引っ掛かりとなって、食品Tの底面部50側への位置ずれを効果的に防止する。また、底面部50の突条56a,56bの筋状頂面60の凹凸によっても食品Tの位置ずれが防止される。特に、底面部50の突条56a,56bの筋状頂面60の凹凸によって食品Tの下降移動が抑制されるので、縦置きされた食品Tの上下方向の型崩れが防止される。
尚、底面部50と第一の壁面部51aの双方に突条56a,56b,57が形成されていたが、底面部50のみに突条56a,56bが形成されていたり、第一の壁面部51aのみに突条57が形成されていたりしてもよい。底面部50のみに突条56a,56bが形成されている構成は横置き使用に適しており、第一の壁面部51aのみに突条57が形成されている構成は縦置き使用に適している。