JP6447614B2 - 高炉への原料装入方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高炉への原料装入方法に関し、特に、鉱石と粒径の小さいコークスとを事前に混合した原料を装入する方法に関する。
銑鉄を製造する高炉(「溶鉱炉」ともいう)では、通常、原料である鉄鉱石(以下、単に、「鉱石」とも記す)と還元材であるコークスとを、それぞれが交互に層状となるように炉頂から装入し、高炉内に鉱石層とコークス層とを形成している。そして、図1に示す高炉の概略縦断面図における炉半径方向(炉口径方向)の鉱石層及びコークス層の堆積後の分布を調整することにより、炉内でのガス流れを制御している。高炉の安定操業を維持するためには、高炉内で良好な通気性を確保し、炉下部の羽口と呼ばれる孔から高炉内部に供給される高温の空気の流れを安定化することが重要である。
高炉内における通気性は、装入される鉱石及びコークスの性状、粒度の影響を受けるが、これ以外に、炉頂からの装入物の装入方法及び装入物の炉内における分布状況によっても大きく影響を受ける。
高炉内の通気性を改善する方法の一つとして、非特許文献1には、鉱石と粒径の小さいコークス(「小中塊コークス」という)とを事前に混合した原料(「混合原料」という)と、粒径の大きいコークス(大塊コークス)とを交互に装入し、混合原料からなるコークス混合鉱石層と、大塊コークスからなるコークス層とを、層状に形成する操業が提案されている。また、非特許文献2には、混合原料への小中塊コークスの配合量が28kg/t−pigの操業を実施し、非特許文献3には、混合原料への小中塊コークスの配合量が30kg/t−pigの操業を実施し、これによって、炉下部の通気性が向上すること、及び、還元効率が向上することが報告されている。尚、「kg/t−pig」とは、溶銑1トンあたりを生産する際に混合した小中塊コークスの混合量という意味である。
高炉内に装入された鉱石は炉内を降下するにつれて昇温・還元され、相互に融着しあって融着層と呼ばれる層を形成する。融着層は層内の空隙の割合が低いので、ガスの通気性が著しく低下するが、コークスを内包する融着層では通気性の改善が認められている。これは、コークス混合鉱石層中に混合されたコークスが、融着層中において、融着・収縮し空隙率が著しく低下した鉱石の代わりのガスパスとしての役割を果たすことによると考えられている。
また、コークス混合鉱石層とコークス層とを層状に形成した場合には、前述した融着層の通気性の改善に加え、ガス化開始温度の低下による還元効率の向上が期待される。これは、コークスのガス化開始温度を低下させ、熱保存帯温度を低下させれば、FeO−Feの還元平衡点の制御が可能になるという原理に基づくものである。
以上をまとめると、鉱石と小中塊コークスとを事前に混合した混合原料を装入して鉱石層中に小中塊コークスを混合させること(以下、「混合装入」とも記す)により、(1)炉下部融着帯における通気性の改善、(2)還元効率の改善といったメリットが期待できる。
混合装入の効果を最大限に発揮するためには、粒径や密度の異なる鉱石やコークスなどからなる装入物を必要な部位に必要な量だけ装入することが重要となる。しかしながら、装入物は粒状体であるので、粒径差或いは密度差に起因するコークスと鉱石との偏析(分離)は基本的には不可避な問題である。そのため、装入物の性状・粒度或いは装入方法によって装入物の分布を制御する方法が、従来、提案されている。
例えば特許文献1には、鉱石とコークスとの混合装入を行う際の旋回シュートの旋回速度を、鉱石及びコークスの少なくとも一つの単独装入を行う際の旋回速度よりも低速とするベルレス高炉への原料装入方法が提案されている。特許文献1に記載の方法によれば、鉱石とコークスとの同時装入時の旋回シュートの旋回速度を鉱石及びコークスの単独装入を行う際の旋回速度よりも低速とすることで、堆積面におけるコークスの偏析が抑制可能である、つまり、コークスと鉱石との分離を抑制した状態でコークス混合鉱石層を形成することができるとしている。尚、ベルレス高炉1とは、図2に示すように、炉頂バンカー10から切り出された鉱石やコークスを流下させて炉内に装入する旋回シュート11を炉頂部の内部に有する高炉を指す。旋回シュート11は、炉中心を軸として炉の周方向に旋回し、且つ、旋回シュート11を固定するピン12を軸として炉の半径方向に傾動するように構成されている。
一方、非特許文献4に記載の離散要素法(DEM;Discrete Element Method)と呼ばれる数値計算手法の結果によれば、鉱石を模擬した粒径の異なる粒子が旋回シュート上を流下する際には、大粒径側の粒子は小粒径側の粒子から浮き上がり偏析することが知られている。つまり、鉱石と小中塊コークスとを旋回シュートを介して同時に装入した場合、鉱石に比較して粒度が大きく密度が低い小中塊コークスは、より顕著な旋回シュート上の偏析傾向を示すことが予想され、したがって、特許文献1に記載の方法を採用しても、炉半径方向における小中塊コークスの均一装入は困難であると考えられる。
ところで、特許文献2には、コークス混合鉱石層を形成する場合、小中塊コークスをコークス混合鉱石層の上部に偏析つまり偏在させることで、鉱石の平均還元率が向上することが報告されている。これは、通常、コークス混合鉱石層の層下部と層上部とを比較すると、上部は下部と比較して還元率が低いことから、還元率が低位であるコークス混合鉱石層上部のコークス混合率を高めることで、コークス混合鉱石層上部の還元率が向上することに基づくと考えられる。
特許文献2は、コークス混合鉱石層の上部にコークスを偏析させる方法について、「炉頂バンカー内上部に偏析制御板等を設置して、炉頂バンカーに装入される混合原料が炉頂バンカーの排出口に近い高炉の中心軸寄りに落下するような原料流れを形成しながら装入すればよい」と記載しているが、この方法だけでは、目的とする偏析状態を得ることが不十分であることを、本発明者らは確認している。また、この方法では炉頂バンカー内の上部に偏析制御板を設置する必要がある。
特開2012−36425号公報 特開2012−188744号公報
下村等、鉄と鋼、vo.62(1976)、No.11、S404 奥田等、鉄と鋼、vol.70(1984)、No.4、S102 阿南等、CAMP-ISIJ、vol.12(1999)、No.1、p.234 H.Mio等、ISIJ International、49(2009)、p.479 清水等、鉄と鋼、vol.73(1987)、No.12、S754
上記のように、コークス混合鉱石層の上部にコークスを偏析させることは有効であることが知られているが、鉱石と小中塊コークスとを同時に装入した場合、鉱石に比較して粒度が大きく密度も低い小中塊コークスが旋回シュート上でも偏析する傾向があり、コークス混合鉱石層の上部にコークスを偏析させることは、十分には実施できていないのが実情であった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鉱石と小中塊コークスとを混合した混合原料を高炉に装入するにあたり、炉半径方向におけるコークス混合率の均一性及びコークス混合鉱石層の層厚み方向において小中塊コークスをよりコークス混合鉱石層の上部に存在させることのできる、高炉への原料装入方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]鉄鉱石と小中塊コークスとを事前に混合した混合原料を高炉に装入するにあたり、混合する小中塊コークスの平均粒径と混合する鉄鉱石の平均粒径との比(小中塊コークスの平均粒径/鉄鉱石の平均粒径)を0.8〜1.2の範囲とすることを特徴とする、高炉への原料装入方法。
[2]炉内の炉半径方向の各位置を、各位置までの炉中心からの距離を炉口径(半径)で除した無次元半径で表示したとき、前記混合原料の炉中心側位置を無次元半径0.12の位置から0.25の位置とし、前記混合原料の炉壁側位置を無次元半径0.80の位置までの範囲として、前記混合原料を装入することを特徴とする、上記[1]に記載の高炉への原料装入方法。
[3]前記鉄鉱石が、焼結鉱であることを特徴とする、上記[1]または上記[2]に記載の高炉への原料装入方法。
本発明によれば、高炉において、コークス混合鉱石層の小中塊コークスの混合率分布が適正に保たれ、これによって高炉の通気性の改善及び還元効率の向上が達成される。
高炉の概略縦断面図である。 ベルレス高炉の炉頂部の概略縦断面図である。 高炉炉頂部における装入物の堆積断面を示す概略図である。 本発明で使用した計算領域のモデルを示す図である。 離散要素法によるコークス混合鉱石層の堆積形状の計算結果の一例を示す図である。 粒径比が1.9及び0.5の場合におけるコークス混合鉱石層断面の小中塊コークスの透視図である。 粒径比が1.9、1.2、0.8、0.5の場合における、層厚方向の混合率Xの分布を示す図である。 粒径比が1.9、1.2、0.8、0.5の場合における、層厚方向の混合率Xの偏差σを示す図である。 粒径比が1.9、1.2、0.8、0.5の場合における、炉半径方向での混合率Xの分布を示す図である。 粒径比が1.9、1.2、0.8、0.5の場合における、炉半径方向での混合率X分布の偏差σを示す図である。 炉半径方向の混合率Xkの偏差σと原料装入範囲との関係を求める際の、原料装入範囲を模式的に示す図である。 粒径比が1.2の場合において、炉半径方向の混合率Xkの偏差σと原料装入範囲との関係の調査結果を示す図である。 荷重軟化試験装置の概略図である。 粒径比が1.9、1.2、0.8、0.5の場合における、溶融した試料の圧力損失の測定結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、離散要素法と呼ばれる数値シミュレーションに基づきなされたものである。離散要素法(Discrete Element Method)という計算手法は、個別要素法(Distinct Element Method)の名称でも呼ばれている。これらを代表して本発明では離散要素法と呼ぶ。
本発明は、この離散要素法によって高炉炉頂部における鉄鉱石(鉱石)及びコークスの旋回シュートからの排出、堆積状況を模擬し、実炉でのコークス混合鉱石層における小中塊コークスの混合状況をシミュレートする。離散要素法によれば、装入される鉱石及びコークスは球形或いは非球形の粒子として構成され、個々の構成要素(粒子)について運動方程式を構築し、粒子間或いは粒子と壁間との接触による相互作用力を加味することで、個々の粒子の速度と位置とが逐次算出される。
以下、離散要素法によるシミュレーション結果について説明する。
まず、装入物を堆積している炉頂部を模擬したモデルを作成した。図3は、高炉炉頂部における装入物の堆積断面を示す。図3に示すように、高炉への装入物は、通常、鉱石と小中塊コークスとを事前に混合した混合原料、及び、大塊コークスが、それぞれ2回づつ、計4回に分けて装入される。4回に分けられたこの一連の装入を1チャージと呼称する。図3において、符号Cで示す層が1回目の大塊コークスの装入によって形成されたコークス層で、符号Cで示す層が2回目の大塊コークスの装入によって形成されたコークス層であり、符号Oで示す層が1回目の混合原料の装入によって形成されたコークス混合鉱石層で、符号Oで示す層が2回目の混合原料の装入によって形成されたコークス混合鉱石層である。尚、本明細書における小中塊コークスとは、目開き寸法が40mmの篩分器を通過するサイズのコークスであり、長径が40mmを超える紡錘形コークスであっても、目開き寸法が40mmの篩分器を通過する限り、小中塊コークスと定義する。
混合原料及び大塊コークスの1回あたりの装入は1バッチと呼ばれ、1チャージあたりの装入は、混合原料及び大塊コークスそれぞれ2バッチの装入から構成される。そのため、コークス混合鉱石層中に混合された小中塊コークスが炉上部に堆積した際の混合率分布を推定する上では、小中塊コークスを混合している混合原料のバッチのみを対象として計算を行えばよい。
図4に本発明で使用した計算領域のモデルを示す。通常、ベルレス高炉1では高炉炉頂部に設置された炉頂バンカー10に鉱石、コークスなどの装入物を装入して貯蔵し、これら装入物を装入する際には、炉頂バンカー10の下部のゲートを開き炉頂バンカー10から装入物を排出する。炉頂バンカー10から排出された装入物は8〜10rpm程度の回転速度で旋回する旋回シュート11の内部を流下し、炉頂部に排出される。尚、図4(A)は、ベルレス高炉の炉頂部の概略縦断面図、図4(B)は、高炉炉頂部における装入物の堆積断面、図4(C)は、離散要素法による計算領域を示す図である。
本発明で採用している離散要素法では、計算対象とする粒子数が増加するほど計算負荷が増加し、シミュレーションに要する時間が増加する。そのため本発明では、炉頂バンカー10の下部からの粒子の排出、及び、排出後の粒子の旋回シュート11での流下は考慮せず、炉中心から炉壁間の旋回シュート11の移動(以下、「傾動」と記す)及び傾動する旋回シュート11の先端からの粒子の排出のみを考慮する。また、炉頂の全周にわたる領域を対象として計算を実施するのは、同様に計算負荷の増大を招くので、図4(C)に示すような、幅が10D(D;小中塊コークスの平均粒径)の矩形の領域を対象として計算を実施する。
また、前述のとおり、小中塊コークスを混合したコークス混合鉱石層のみを計算すればよいことから、コークス層の形状を模擬した下面形状を用意し、その上に鉱石及び小中塊コークスを装入する。小中塊コークス及び鉱石(図4は鉱石として焼結鉱を用いた例である)は、図4に示す粒子排出部13(旋回シュート11の先端)から同時に排出して堆積させる。コークス混合鉱石層への小中塊コークスの混合量は60kg/t−pigを設定した。
離散要素法によるコークス混合鉱石層の堆積形状の計算結果の一例を図5に示す。離散要素法によりコークス混合鉱石層の堆積形状を算出後、図5に示す炉半径方向及び層厚方向について領域を分割後にサンプリングを行い、各サンプリング位置における小中塊コークスの混合率X(kg/t−pig)を算出した。尚、混合率Xの定義は、以下の(1)式に示す通りである。(1)式の質量は「kg」表示とすればよい。(1)式では、鉱石質量から銑鉄質量に換算するために、補正係数として1.6を掛けている。
=[(サンプリング位置のコークス質量)/(サンプリング位置の鉱石質量)]×1.6×1000・・・(1)
混合原料中の小中塊コークスの平均粒径と鉄鉱石の平均粒径との比(小中塊コークスの平均粒径/鉄鉱石の平均粒径)を種々変化させ、コークス混合鉱石層の堆積状態を計算した。尚、本発明における粒径は、平均粒径を指す。次いで、炉半径方向及び層厚方向の各位置について混合率Xを算出した後、炉半径方向及び層厚方向のそれぞれについて混合率Xの偏差σを算出した。偏差σが小さいほどコークス混合鉱石層中における小中塊コークスの偏析性が小さく、混合性が良好となる。
図6に、小中塊コークスの粒径と鉄鉱石の粒径との比(小中塊コークスの平均粒径/鉄鉱石の平均粒径)が1.9及び0.5の場合におけるコークス混合鉱石層断面の小中塊コークスの透視図を示す。図6に示すように、比(小中塊コークスの平均粒径/鉄鉱石の平均粒径)が1.9の場合は、小中塊コークスが層厚方向の下部に偏析し、一方、比(小中塊コークスの平均粒径/鉄鉱石の平均粒径)が0.5の場合は、小中塊コークスが層厚方向で略均一に分散することがわかる。尚、以下、小中塊コークスの粒径と鉄鉱石の粒径との比(小中塊コークスの平均粒径/鉄鉱石の平均粒径)を、単に「粒径比」とも記す。
また、図7に、粒径比が1.9、1.2、0.8、0.5の場合における、層厚方向の混合率Xの分布を示す。図7から明らかなように、粒径比が0.8の場合は、小中塊コークスが層厚方向で略均一に分散しているが、粒径比が0.8よりも小さくなると、層厚方向の上部側に小中塊コークスが偏析し、逆に、粒径比が0.8よりも大きくなると、層厚方向の下部側に小中塊コークスが偏析する傾向であることがわかった。尚、図7の縦軸は、サンプリング位置の層高さを炉口径(半径)で除した、無次元化した数値で表示している。
即ち、図6及び図7より、粒径比の低下に伴って、小中塊コークスの層内の分散性が向上し、小中塊コークスは堆積斜面の表層側へも分布することがわかった。
図8に、粒径比が1.9、1.2、0.8、0.5の場合における、層厚方向の混合率Xの偏差σを示す。図8に示すように、粒径比の低下に伴って層厚方向の偏差σが低下し、混合性が改善することがわかる。
次に、図9に、粒径比が1.9、1.2、0.8、0.5の場合における、炉半径方向での混合率Xの分布を示す。図9の横軸は、炉半径方向の各サンプリング点の位置までの炉中心からの距離を炉口径(半径)で除した、無次元化した数値、つまり「無次元半径」で表示している。図9に示すように、各粒径比の場合とも、小中塊コークスは炉中心側及び炉壁側に偏析する傾向にあることがわかる。
また、図9より、炉半径方向において、小中塊コークスと鉱石とが一定の割合で分布している領域が存在することがわかる。このような領域は小中塊コークスの混合率Xが20〜100kg/t−pig、即ち、偏差σが40kg/t−pig以下の領域となる。
図10に、粒径比が1.9、1.2、0.8、0.5の場合における、炉半径方向での混合率Xの偏差σを示す。前述の図9から得られた、小中塊コークスと鉱石とが一定の割合で分布している条件である、混合率Xの偏差σが40kg/t−pig以下の領域を図10にあてはめれば、粒径比が0.8から1.2の範囲内のときに、炉半径方向おいて混合率がより均一な状態を保てることが期待できる。
更に、小中塊コークスと鉄鉱石とを混合した混合原料の炉内への装入範囲を炉半径方向で変化させた場合について、離散要素法によってシミュレーションし、小中塊コークスの炉半径方向の混合率X及び混合率Xの偏差σを算出した。
高炉内に堆積した装入物や高炉内のガス流速などの分布は、堆積領域を炉半径方向に等断面積で中心部、中間部、周辺部に3等分して扱われることが多いが、炉口径(半径)をRとすると、約0.80×Rの距離よりも炉壁側が周辺部に相当する。当領域では鉱石層の厚みは薄く、ガスパスとなるコークス層は厚くなることが多い。そのため、0.80×Rよりも炉壁側の領域は、還元性、通気性ともに十分であるために、混合装入によって得られる効果は少ない。そのため、本シミュレーションでは、図11に示すように、炉中心から0.80×Rの距離、炉壁側に離れた位置を原料装入終点位置として設定した。この条件のもと、炉口径Rに対する混合原料の炉内への装入範囲の比率を40%から70%の範囲で変更した。つまり、炉口径Rに対する混合原料の炉内への装入範囲の比率が40%の場合は、炉内の各位置を無次元半径で表示したときに無次元半径0.40の位置から無次元半径0.80の位置までの範囲に混合原料を装入し、炉口径Rに対する混合原料の炉内への装入範囲の比率が70%の場合は、無次元半径0.10の位置から無次元半径0.80の位置までの範囲に混合原料を装入することになる。
図12に、横軸を、炉口径Rに対する混合原料の炉内への装入範囲の比率とし、縦軸を、炉半径方向の混合率Xkの偏差σとして、炉半径方向の混合率Xkの偏差σと原料装入範囲との関係の調査結果を示す。尚、図12は、粒径比が1.2の場合の計算結果を示したものであるが、本発明者らは、粒径比が0.8〜1.2の場合は、図12と同様の傾向であることを確認している。
図12から明らかなように、炉口径Rに対する混合原料の炉内への装入範囲の比率が55%(即ち、無次元半径0.25の位置から装入開始)未満の場合では、混合率Xkの偏差σは原料装入範囲の比率の低下に伴い上昇し、混合性が悪化する。これは、原料装入範囲の比率が低下すると、同一落下面に装入される混合原料の量が増加し、混合原料堆積面の角度が急勾配化することで原料中の混合コークスが偏析してしまうためである。一方、炉口径Rに対する混合原料の炉内への装入範囲の比率が55%以上の場合は、偏差σの変動は小さく、混合性が装入範囲の影響を受けにくくなっていることがわかる。
一方、図1に示すように、高炉炉下部には炉芯と呼ばれる、コークスの降下速度が他の領域と比較して非常に遅い領域が存在する。一般的に炉芯における通気性の低下は、装入物の降下不順とこれに伴う炉熱変動により安定操業を阻害するので、通気性を確保するために高炉中心部に塊コークスが装入される。非特許文献5によれば、炉芯は無次元半径で0の位置から0.12の位置(即ち、装入範囲が68%以上)の範囲に装入されたコークスから構成されることがわかっており、したがって、当該領域に小粒径である小中塊コークスを装入することは通気性の確保の点において好ましくない。
この結果から、小中塊コークスと鉄鉱石との混合原料を装入するにあたり、炉頂部において、図12に示すとおり、無次元半径0.12の位置から0.25の位置までの範囲を装入開始の位置として、無次元半径0.80の位置までの範囲に混合原料を装入することで、小中塊コークスの混合率Xkの偏差σを最小とすることが可能となることがわかった。即ち、小中塊コークスの混合率Xkの偏差σを最小とするためには、混合原料の炉中心側位置を無次元半径0.12の位置から0.25の位置とし、混合原料の炉壁側位置を無次元半径0.80の位置までの範囲とすることが好ましい。この場合の原料装入範囲の炉口径Rに対する比率は55〜68%になる。
本発明は、上記の離散要素法によるシミュレーション結果に基づいてなされたものであり、鉄鉱石と小中塊コークスとを事前に混合した混合原料と、大塊コークスとを、高炉内に交互に装入し、混合原料からなるコークス混合鉱石層と大塊コークスからなるコークス層とを、層状に形成する操業において、混合原料に混合する小中塊コークスの平均粒径と鉄鉱石の平均粒径との比(小中塊コークスの平均粒径/鉄鉱石の平均粒径)を0.8〜1.2の範囲とすることを必須とする。その際、混合原料を、無次元半径0.12から0.25の位置を装入開始の位置として、無次元半径0.80の位置までの範囲に装入すること、及び、鉄鉱石としては、一般的に使用される焼結鉱を使用することが好ましい。
この構成の本発明によれば、高炉において、コークス混合鉱石層の小中塊コークスの混合率分布が適正に保たれ、これによって高炉の通気性の改善及び還元効率の向上が達成される。
離散要素法によるシミュレーション結果の妥当性を確認するために、鉄鉱石として焼結鉱を使用し、焼結鉱中に小中塊コークスを混合させた試料の荷重軟化試験を実施し、融着層の通気抵抗を評価した。
図13に、荷重軟化試験装置の概略図を示す。荷重軟化試験装置21は、複数の加熱炉22を備えており、加熱炉22で加熱した雰囲気(N−CO−CO雰囲気)中で鉱石などの試料24を加熱し、加熱した試料24に荷重器23を介して荷重を付与し、荷重を付与したときの試料24の圧力損失を求めることができる装置である。図13中の符号25はガス混合器、26はガス分析計である。荷重軟化試験装置21は、鉱石類の高温性状を評価するために利用されている。
試験では、コークス混合鉱石層での小中塊コークスの混合量が60kg/t−pigに相当する条件下のもとで、小中塊コークスと鉱石との粒径比を種々変化させた試料24において、軟化・融着した試料24の通気抵抗を評価した。具体的には、小中塊コークスと焼結鉱とを混合した混合原料を直径50mmの黒鉛製の坩堝に充填し、この坩堝を荷重軟化試験装置21の内部に静置し、高炉内を模擬した条件下(温度パターン、試料と反応させるガスの組成、試料に負荷する荷重)において、コークス混合鉱石層を模擬した試料24の圧力損失を測定した。
図14に、粒径比が1.9、1.2、0.8、0.5の場合における、溶融した試料24の圧力損失の測定結果を示す。粒径比が0.8〜1.2の範囲において通気抵抗は低位を保ち、通気抵抗の緩和に効果があることがわかった。この結果は、離散要素法によるシミュレーションの結果と良く一致していた。即ち、離散要素法によるシミュレーションの結果は妥当であることが確認できた。
本実施例では、内容積が5000mである高炉を用い、旋回シュートを用いて、高炉内にコークスと混合原料とを交互に装入した。尚、本実施例で用いた混合原料は、鉱石原料としては鉄含有量が58質量%の焼結鉱を用い、塊鉱石は鉄含有量が60質量%のものを用いた。また、コークスは固定炭素を88質量%含むものを用いた。
試験では、コークス混合鉱石層での小中塊コークスの混合量が60kg/t−pigの条件下で、小中塊コークスと鉱石との粒径比を種々変化させた際の高炉の通気性を評価した。
高炉の通気性の評価は、下記の(2)式で求められる通気抵抗指数で評価した。
通気抵抗指数=(P −P )/V1.7×100・・・(2)
(2)式において、Pは送風圧(kPa)、Pは炉頂圧(kPa)、Vは送風量(Nm/min)である。求められる通気抵抗指数が大きいほど、炉内での圧力損失が高く通気性が悪いことを示し、低いほど炉内通気性が良好であることを示す。
表1に、鉱石と小中塊コークスとを混合した混合原料の装入範囲を無次元半径0.20の位置から無次元半径0.80の位置までの範囲として、小中塊コークスと鉱石との粒径比(小中塊コークス粒径/鉱石粒径)を0.5〜1.9の範囲に変化させたときの通気抵抗指数の調査結果を示す。尚、表1において、コークス比及び微粉炭比は、銑鉄1トンあたりを製造するのに要したコークス及び微粉炭の使用量を表す。
表1に示すように、本発明の範囲では通気抵抗指数は低位であり、本発明を適用することで、コークス混合鉱石層の小中塊コークスの混合率分布が適正に保たれ、これによって高炉の通気性の改善及び還元効率の向上が実現されることが確認できた。
また、表2に、小中塊コークスと鉱石との粒径比(小中塊コークス粒径/鉱石粒径)を1.0及び1.2としたときに、鉱石と小中塊コークスとを混合した混合原料の装入範囲を変化させたときの通気抵抗指数の調査結果を示す。
表2に示すように、混合原料の装入範囲が、無次元半径0.35の位置から無次元半径0.80の位置までの場合に比較して、混合原料の装入範囲を無次元半径0.12の位置または0.25の位置から0.80の位置までの範囲とした場合には、高炉の通気抵抗指数がより低位に保たれることが確認できた。
1 ベルレス高炉
10 炉頂バンカー
11 旋回シュート
12 ピン
13 粒子排出部
21 荷重軟化試験装置
22 加熱炉
23 荷重器
24 試料
25 ガス混合器
26 ガス分析計

Claims (2)

  1. 鉄鉱石と小中塊コークスとを事前に混合した混合原料を高炉に装入するにあたり、
    混合する小中塊コークスの平均粒径と混合する鉄鉱石の平均粒径との比(小中塊コークスの平均粒径/鉄鉱石の平均粒径)を0.8〜1.2の範囲とし、
    且つ、炉内の炉半径方向の各位置を、各位置までの炉中心からの距離を炉口径(半径)で除した無次元半径で表示したとき、前記混合原料の炉中心側位置を無次元半径0.12の位置から0.25の位置とし、前記混合原料の炉壁側位置を無次元半径0.80の位置までの範囲として、前記混合原料を装入することを特徴とする、高炉への原料装入方法。
  2. 前記鉄鉱石が、焼結鉱であることを特徴とする、請求項1に記載の高炉への原料装入方法。
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