JP5574064B2 - 高炉への原料装入方法 - Google Patents
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Description
この融着帯の通気性が高炉全体の通気性に大きく影響を及ぼしており、高炉における生産性を律速している。さらに、低コークス操業を行う場合、使用されるコークス量が減少することからコークススリットが限りなく薄くなることが考えられる。
例えば、特許文献1においては、ベルレス高炉において、鉱石ホッパーのうち下流側の鉱石ホッパーにコークスを装入し、コンベア上で鉱石の上にコークスを積層し、炉頂バンカーに装入して、鉱石とコークスとを旋回シュートを介して高炉内に装入するようにしている。
しかしながら、特許文献3に記載された代表的なコークスの平均粒径は約40〜50mmであって、鉱石の平均粒径は約15mmであり、両者の粒径は大幅に異なることから、単純に混合しただけでは空隙率が大幅に低下して、炉内において通気性が悪化し、ガスの吹き抜けや原料の降下不良といったトラブルを生じる可能性がある。
また、鉱石とコークスとをそれぞれ2つのバンカーから同時に切り出して混合装入したとしても、装入面の傾斜によって、大粒径のコークスがより遠くまで転がるため、コークスが分離し易いといった課題がある。
これらのトラブルを回避するためには、炉軸心部にコークスのみの層を形成する方法が考えられる。この方法によれば、炉軸心部にコークス層によるガスの通り道が確保されるため、通気性の改善が可能となる。また、鉱石とコークスとを同時に切り出して混合装入する際に、装入原料を中心から積み付ける逆傾動装入が、上記トラブル回避に有効であることが知られている。
1.高炉への原料装入1チャージを、コークス装入2バッチ以上、鉱石装入2バッチ以上に分けて、旋回シュートを用いて装入する多バッチ装入において、該コークス装入と該鉱石装入とを同時切り出しで行うに際し、
nを任意の自然数とした時、以下の式1で求められる上記旋回シュートの旋回ごとの平均層厚:Lav1を、高炉の軸中心部に装入されたコークスの厚み:hよりも小さくする高炉への原料装入方法。
Lav1 = Vn/〔(Rn 2−Rn-1 2)π〕 ・・・ 1
ここに、Vn:n回目の旋回における旋回あたりの装入量(t)/(コークス
と鉱石混合層の見掛け密度(t/m3))
Rn:n回目の旋回における装入原料の落下半径(m)
R 0 =0
nを任意の自然数とした時、以下の式2で求められる上記旋回シュートのn旋回目の平均層厚:Lav2(n)と、以下の式3で求められるn+1旋回目の平均層厚:Lav2(n+1)とが、以下の式4を満足する高炉への原料装入方法。
Lav2 (n)= Vn/〔(Rn 2−Rn-1 2)π〕 ・・・ 2
Lav2 (n+1)= Vn+1/〔(Rn+1 2−Rn 2)π〕 ・・・ 3
ここに、Vn:n回目の旋回における旋回あたりの装入原料体積(m3)
Rn-1:n−1回目の旋回における装入原料の落下半径(m)
Rn:n回目の旋回における装入原料の落下半径(m)
Vn+1:n+1回目の旋回における旋回あたりの装入原料体積(m3)
Rn+1:n+1回目の旋回における装入原料の落下半径(m)
R 0 =0
Lav2(n+1)< Lav2 (n) ・・・ 4
高炉内に、鉱石類原料およびコークスを装入する具体的な装入要領を、図1に基づいて説明する。
以下の説明では、炉頂バンカー12aにはコークスのみが、また炉頂バンカー12bおよび12cには鉱石類原料が、それぞれ貯留されているものとする。
なお、図中、10は高炉、12a〜12cは炉頂バンカー、13は流量調整ゲート、14は集合ホッパー、15はベルレス式装入装置、16は旋回シュートである。また、θは、旋回シュートの垂直方向に対する角度である。
すなわち、旋回シュート16の原料装入先が高炉の炉壁部を向いている状態では、炉頂バンカー12bおよび12cの流量調整ゲート13を閉じ、炉頂バンカー12aのみの流量調整ゲート13を開き、この炉頂バンカー12aに貯留されているコークスのみを旋回シュート16に供給することによって、高炉の中心部に、中心コークス層を形成する。
Lav1 = Vn/〔(Rn 2−Rn-1 2)π〕 ・・・ 1
ここに、Vn:n回目の旋回における旋回あたりの装入量(t)/(コークスと鉱石混合層の見掛け密度(t/m3))
Rn:n回目の旋回における装入原料の落下半径(m)
炉頂バンカーまでの搬送設備などに鉱石類原料やコークスが偏析する場合には、鉱石類原料又はコークスのみが装入されることになり、集合ホッパー14で他の炉頂バンカー12a、12bおよび12cから装入されるコークスや鉱石類原料と混合されることにはなるが、鉱石類原料又はコークスの比率が増加して、旋回シュート16によって形成される鉱石類原料およびコークスの混合層の混合率が不均一となる。
そこで、本発明では、図2に示すように、式1で求めたLav1を、高炉の軸中心部に装入された中心コークスの厚み:hよりも小さくすることで、上記混合層の不均一性が解消され、結果的に、コークス量が少なかったり、微粉炭の大量吹込み操業を実施したりする場合であっても、高炉内の通気性を安定的に確保することができるのである。
装入原料が直前に撒いた原料の山を乗り越えて中心側に流れ込み、混合コークスが分離して、混合率制御性の悪化や、コークス混合率の低下を防止するためである。
なお、本発明では、上記Lav1<hの関係を満足することが重要であるが、具体的な値としては、Lav1が0.90〜1.35(m)程度、hが1.20〜1.50(m)程度の範囲とすることがそれぞれ望ましい。
Lav2 (n)= Vn/〔(Rn 2−Rn-1 2)π〕 ・・・ 2
Lav2 (n+1)= Vn+1/〔(Rn+1 2−Rn 2)π〕 ・・・ 3
ここに、Vn:n回目の旋回における旋回あたりの装入原料体積(m3)
Rn-1:n−1回目の旋回における装入原料の落下半径(m)
Rn:n回目の旋回における装入原料の落下半径(m)
Vn+1:n+1回目の旋回における旋回あたりの装入原料体積(m3)
Rn+1:n+1回目の旋回における装入原料の落下半径(m)
Lav2(n+1)< Lav2 (n) ・・・ 4
炉頂バンカー12a、12b若しくは12cから、同時に切り出されるコークスと鉱石類原料は、集合ホッパー14内で合流し、装入シュートを通して装入される。この際、装入シュートn旋回目においてリング状に装入された原料の山より、n+1旋回目においてリング状に装入される原料の山の高さが高い場合、n旋回目の山を超えて装入原料が中心側へ流れこむ可能性がある。この場合、n+1旋回目の原料は斜面を流れる過程でコークスが分離するため、コークス混合率が低下し、通気性改善効果を十分に発揮することが出来なくなる。
なお、本発明では、上記式4の関係を満足することが重要であるが、具体的な値としては、Vnが2〜7(m3)程度、R1が1〜2(m)程度、ΔRが0.2〜0.5(m)程度の範囲とすることがそれぞれ望ましい。
これらの方法に従い、コークス層並びに同時切り出しの混合層12eで構成される層を順次積層することによって、高炉10内の軸心部および炉壁部には通気抵抗の小さいコークス層が高炉下部から高炉上部に向かって形成され、たとえ、原料装入間隔が狭い状況下においても、その間にコークスと鉱石類原料とが完全混合された混合層12eを形成することができるだけでなく、コークス混合による空隙率低下に起因する高炉上部通気性悪化を防ぐことが出来る。加えて、コークス層の間にコークスと鉱石類原料とが完全混合された混合層12eを形成することができるため、高炉炉下部における通気性改善効果を最大限得ることが可能となる。
この際の高炉内におけるガスの流れを図4または5に示す。高炉10の下部に設置された送風管21から羽口を通して高温の空気が送風され、羽口近傍のコークスや微粉炭を燃焼することにより高温のCO2ガスを発生させる。CO2ガスは、高炉下部のコークスと反応しCOとなり、鉱石類原料を還元溶解する。
このため、溶融層の上部側に鉱石類原料が軟化した融着帯が形成され、この融着帯の上部側で鉱石類原料の還元が行われる。
このとき、図6の右半部に示すように、高炉10の下部では、混合層12eにおいて、鉱石類原料とコークスとが完全混合されて、鉱石類原料間にコークスが入り込んだ状態となり、通気性が改善されるとともに、高温ガスが直接鉱石類原料間を通過するため伝熱遅れがなく伝熱特性を改善することができる。
このときの還元反応は、FeO+CO=Fe+CO2で表される。
また、ガス化反応は、C+CO2=2COで表される。
しかしながら、本発明では、前述したように、コークス層およびコークスと鉱石類原料とを完全混合した混合層12eとで形成される装入層を積層しているので、混合層でコークススリットが形成されることはなく、ガス流れが均一化すると共に、良好な伝熱性を確保して安定的な通気改善が可能となり、上記従来の問題点を有利に解決することができる。
本発明の効果を実証するために、図7に示す実験装置を用いて、高炉内での原料還元、昇温過程を模擬してその通気抵抗の変化を調べた。
この実験装置は、円筒状の炉体31の内周面に炉芯管32を配置し、この炉芯管32の外側に円筒状の加熱用ヒーター33を配置する。炉芯管32の内側には耐火物で構成された円筒体34の上端に黒鉛製るつぼ35を配置し、このるつぼ35内に装入原料36が装入されている。この装入原料36には、高炉下部の融着層と同程度の状態となるように、パンチ棒37を介して連結した荷重負荷装置38により上部から荷重を負荷する。円筒体34の下部には、滴下物サンプリング装置39が設けられている。
ここで、るつぼ35内に装入された装入原料36としては、以下に示すものを用いた。
さらに、それぞれの場合における操業結果を、表1に比較して併記する。
還元材比は、コークス比と微粉炭比の総和である。
ガス利用率は、炉頂におけるCO2とCOとの濃度の比であり、次式により算出する。
ガス利用率=CO2/(CO2+CO)×100
ここで、CO2は炉頂CO2濃度[%]
COは炉頂CO濃度[%]
また、ΔP/Vは高炉内での通気抵抗を指数化した指標であり、次式により算出する。
ΔP/V=(BP−TP)/BGV
ここで、BPは送風圧力[Pa]
TPは炉頂圧力[Pa]
BGVはボッシュガス量[m3(標準状態)/min]
低コークス比とした低還元材比においても、通気抵抗を低滅できることが実証された。
さらに、内容積:4000mm3級の高炉実機において、原料装入試験を実施し、操業条件を比較した。本高炉においては図1に示すように、高炉上部に3つの独立したバンカーを有し、それぞれにコークスまたは鉱石類原料を装入する。通常装入においては、1チャージごとにコークス2バッチを装入後、鉱石類原料2バッチを装入し、混合装入(120kg/t)においては、コークス1バッチ装入後、2バッチ目のコークス切り出しの前半で炉中心部にコークスを装入し、中心コークス層を形成した。その後、他方のバンカーから鉱石類原料を同時に切り出し、逆傾動装入にて原料を装入しコークス混合層を形成した。
上記手順に従った試験結果を表2に示す。
還元材比は、コークス比と微粉炭比の総和である。
ガス利用率は、炉頂におけるCO2とCOとの濃度の比であり、次式により算出する。
ガス利用率=CO2/(CO2+CO)×100
ここで、CO2は炉頂CO2濃度[%]
COは炉頂CO濃度[%]
また、ΔP/Vは高炉内での通気抵抗を指数化した指標であり、次式により算出する。
ΔP/V=(BP−TP)/BGV
ここで、BPは送風圧力[Pa]
TPは炉頂圧力[Pa]
BGVはボッシュガス量[m3(標準状態)/min]
以上の結果より、低コークス比とした低還元材比においても、通気抵抗を低滅できることが実証された。
12a〜12c 炉頂バンカー
13 流量調整ゲート
14 集合ホッパー
15 ベルレス式装入装置
16 旋回シュート
31 炉体
32 炉芯管
33 加熱用ヒーター
34 円筒体
35 黒鉛製るつぼ
36 装入原料
37 パンチ棒
38 荷重負荷装置
39 滴下物サンプリング装置
40 ガス混合装置
41 ガス分析装置
42 熱電対
Claims (2)
- 高炉への原料装入1チャージを、コークス装入2バッチ以上、鉱石装入2バッチ以上に分けて、旋回シュートを用いて装入する多バッチ装入において、該コークス装入と該鉱石装入とを同時切り出しで行うに際し、
nを任意の自然数とした時、以下の式1で求められる上記旋回シュートの旋回ごとの平均層厚:Lav1を、高炉の軸中心部に装入されたコークスの厚み:hよりも小さくする高炉への原料装入方法。
Lav1 = Vn/〔(Rn 2−Rn-1 2)π〕 ・・・ 1
ここに、Vn:n回目の旋回における旋回あたりの装入量(t)/(コークス
と鉱石混合層の見掛け密度(t/m3))
Rn:n回目の旋回における装入原料の落下半径(m)
R 0 =0 - 高炉への原料装入1チャージを、コークス装入2バッチ以上、鉱石装入2バッチ以上に分けて、旋回シュートを用いて装入する多バッチ装入において、該コークス装入と該鉱石装入とを同時切り出しで行うに際し、
nを任意の自然数とした時、以下の式2で求められる上記旋回シュートのn旋回目の平均層厚:Lav2(n)と、以下の式3で求められるn+1旋回目の平均層厚:Lav2(n+1)とが、以下の式4を満足する高炉への原料装入方法。
Lav2 (n)= Vn/〔(Rn 2−Rn-1 2)π〕 ・・・ 2
Lav2 (n+1)= Vn+1/〔(Rn+1 2−Rn 2)π〕 ・・・ 3
ここに、Vn:n回目の旋回における旋回あたりの装入原料体積(m3)
Rn-1:n−1回目の旋回における装入原料の落下半径(m)
Rn:n回目の旋回における装入原料の落下半径(m)
Vn+1:n+1回目の旋回における旋回あたりの装入原料体積(m3)
Rn+1:n+1回目の旋回における装入原料の落下半径(m)
R 0 =0
Lav2(n+1)< Lav2 (n) ・・・ 4
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