以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1に示す積層型熱交換器1は、その積層型熱交換器1の内部を循環する冷媒と熱交換対象物とを熱交換させることによりその熱交換対象物を冷却する冷却器である。具体的には、その熱交換対象物すなわち冷却対象物は、板状に形成された複数の電子部品2であり、積層型熱交換器1は、その電子部品2をその両面から冷却する。積層型熱交換器1の冷媒すなわち熱交換媒体としては、例えばエチレングリコール系の不凍液が混入した水すなわち冷却水が用いられる。
なお、図1の矢印DRstは流路管3の積層方向DRstすなわちチューブ積層方向DRstを示す。また、図1の矢印DRtbは流路管3の長手方向DRtbすなわちチューブ長手方向DRtbを示す。また、図2の矢印DRwは流路管3の短手方向DRwすなわちチューブ短手方向DRwを示す。本実施形態では、そのチューブ積層方向DRst、チューブ長手方向DRtb、およびチューブ短手方向DRwは、互いに交差する方向、正確には互いに直交する方向である。また、図1では、見易い表示にするために、電子部品2に点ハッチングが付されている。
積層型熱交換器1は、図1および図2に示すように、扁平形状に形成された複数の流路管3を、隣り合う流路管3同士の間に形成される隙間に電子部品2を配設した状態で積層配置されて構成されている。すなわち、その流路管3は、チューブ積層方向DRstへ電子部品2と交互に積層されている熱交換チューブである。そして、流路管3の内部には、その電子部品2と熱交換する熱交換媒体が流れる。
電子部品2は、その電子部品2に隣り合う流路管3にチューブ積層方向DRstの両側から狭持されるように扁平な直方体形状に形成されている。本実施形態では、電子部品2として、車両用のインバータ、産業機器用のモータ駆動インバータ等で使用される半導体モジュールが採用されている。その半導体モジュールとは、例えばIGBT等の半導体素子およびダイオードで構成される部品である。
流路管3は、図2に示すように、チューブ短手方向DRwの一対の周縁部がチューブ長手方向DRtbに沿って並行に延在する形状となっている。
本実施形態の流路管3は、特許文献1の積層型冷却器に含まれる冷却管と同様に、アルミニウムや銅等の高い熱伝導性を有する金属製のプレートを積層し、これらプレートを接合して構成されている。具体的には、流路管3は、図2および図3に示すように、一対の外殻プレート31、32と、一対の外殻プレート31、32の間に配された中間プレート33と、外殻プレート31、32および中間プレート33の間に配された波形状のインナーフィン34とを有している。なお、図3では、電子部品2の図示が省略されている。
そして、外殻プレート31、32および中間プレート33の間に、熱交換媒体が流通する媒体流路30が形成されている。すなわち、一対の外殻プレート31、32は、媒体流路30を形成している流路形成部材38を構成する。言い換えれば、一対の外殻プレート31、32から構成される流路形成部材38は、媒体流れ方向DRfwへ熱交換媒体を流す媒体流路30を、流路形成部材38の内側に形成している。流路管3ではチューブ長手方向DRtbに沿って熱交換媒体を流すので、媒体流れ方向DRfwはチューブ長手方向DRtbと平行である。
一対の外殻プレート31、32は、流路管3の外殻を構成する板部材である。一対の外殻プレート31、32、中間プレート33、およびインナーフィン34は互いにろう付けによって接合されている。
また、一対の外殻プレート31、32はそれぞれ、電子部品2と接触する接触面311、321を、チューブ積層方向DRstの外側に有している。その接触面311、321は流路管3の扁平面のうちの大部分を占めている。その接触面311、321の範囲を図示すれば、図2に接触面311、321の範囲を重ねて表示した図4のようになる。すなわち、接触面311、321は、チューブ積層方向DRstから見ればインナーフィン34と重なっている。
また、図1および図3に示すように、その接触面311、321は何れもチューブ積層方向DRstを向いた平面である。但し、チューブ積層方向DRstにおいて1本の流路管3の両側に電子部品2が接触しているので、接触面311、321同士は互いに反対向きになっている。
中間プレート33は、チューブ積層方向DRstから見た外形が外殻プレート31、32と略同じような形状とされた平板状の板部材である。中間プレート33は、その周縁部分で外殻プレート31、32の間に挟まれて外殻プレート31、32と接合されている。それと共に、中間プレート33は、インナーフィン34を介しても一対の外殻プレート31、32にそれぞれ接合されている。また、中間プレート33には、後述する突出管部35の開口部に対応して円形の開口孔33aが形成されている。
この中間プレート33が設けられているので、流路管3内では、チューブ積層方向DRstに中間プレート33を挟んで2段の媒体流路30が形成されている。すなわち、その2段の媒体流路30のうちの一方の媒体流路30は、一対の外殻プレート31、32のうちの一方の外殻プレート31と中間プレート33とによって形成されている。そして、他方の媒体流路30は、一対の外殻プレート31、32のうちの他方の外殻プレート32と中間プレート33とによって形成されている。
インナーフィン34は、媒体流路30を流通する熱交換媒体と電子部品2との伝熱を促進させる部材である。その伝熱の促進のために図2および図3に示すように、インナーフィン34は2つ設けられている。そして、その2つのうちの一方のインナーフィン34は上記一方の媒体流路30内に配置され、他方のインナーフィン34は上記他方の媒体流路30内に配置されている。一方のインナーフィン34および他方のインナーフィン34はその配置場所においては異なるものの、互いに同じ構造を備えている。
具体的に、インナーフィン34は、複数のフィン流路301a〜301iに媒体流路30を仕切っている。その複数のフィン流路301a〜301iは何れも、媒体流れ方向DRfwへ熱交換媒体を流す流路であり、チューブ短手方向DRwへ並んで配置されている。すなわち、複数のフィン流路301a〜301iの流路並び方向はチューブ短手方向DRwに一致する。従って、その流路並び方向は、媒体流れ方向DRfwに交差し且つ外殻プレート31、32の接触面311、321に沿った方向である。
また、チューブ積層方向DRstから見たインナーフィン34は、図2に示すように矩形形状を成している。そして、インナーフィン34は、チューブ短手方向DRwにおいて複数のフィン流路301a〜301iの全部に対する一方側に、一方側フィン端部341を有している。それと共に、インナーフィン34は、チューブ短手方向DRwにおいて複数のフィン流路301a〜301iの全部に対する上記一方側とは反対側の他方側に、他方側フィン端部342を有している。
そのインナーフィン34の一方側フィン端部341は、図2および図3に示すように、端部隙間としての一方側隙間302を、外殻プレート31、32の内壁面312、322との間に形成している。これと同様に、他方側フィン端部342は、他方側隙間303を、外殻プレート31、32の内壁面312、322との間に形成している。その一方側フィン端部341および他方側フィン端部342は、フィン流路301a〜301iと同様に、媒体流れ方向DRfwへ延びるように形成されている。
また、図2に示すように、インナーフィン34の一方側フィン端部341および他方側フィン端部342は何れも板状に形成されている。すなわち、一方側フィン端部341は、一方側隙間302と複数のフィン流路301a〜301iのうちで最も一方側に位置するフィン流路301aとの間を仕切る仕切り壁を成している。これと同様に、他方側フィン端部342は、他方側隙間303と複数のフィン流路301a〜301iのうちで最も他方側に位置するフィン流路301iとの間を仕切る仕切り壁を成している。
また、インナーフィン34は、上述したように複数のフィン流路301a〜301iを形成しているので、フィン流路301a〜301iの流路並び方向にそのフィン流路301a〜301iを相互に隔てる複数の隔壁部343a〜343hを有している。
また図2に示すように、インナーフィン34は、インナーフィン34が形成するフィン流路301a〜301iの形状から、ストレート部34a、34cと波状部34bとに分けられる。具体的に、そのストレート部34a、34cは、インナーフィン34のうち、媒体流れ方向DRfwにおける一部の範囲である一方側の端部分と他方側の端部分とをそれぞれ占めている。波状部34bは、ストレート部34a、34cを除いた中央部分を占めている。
そして、インナーフィン34は、ストレート部34a、34cにおいて、複数のフィン流路301a〜301iを媒体流れ方向DRfwに沿った直管状に形成している。その一方で、インナーフィン34は、波状部34bにおいて、複数のフィン流路301a〜301iを、チューブ短手方向DRwへ振れて蛇行する波状に形成している。
流路管3は、図2に示すように、外殻プレート31、32と一体に構成された第1閉塞部40および第2閉塞部42を備えている。外殻プレート31、32は互いに同様の構造になっているので、詳しく言えば、一方の外殻プレート31は第1閉塞部40および第2閉塞部42を備え、他方の外殻プレート32も第1閉塞部40および第2閉塞部42を備えている。例えば第1閉塞部40が、図2のV部詳細図である図5に拡大して図示されている。
図2および図3に示すように、第1閉塞部40および第2閉塞部42はそれぞれ、外殻プレート31、32の内壁面312、322から突き出るように形成されている。例えば、第1閉塞部40および第2閉塞部42はそれぞれ、その内壁面312、322から突き出たリブ形状を成している。
そして、第1閉塞部40は、媒体流れ方向DRfwにおける一方側隙間302の一部にて、その一方側隙間302を塞いでいる。これにより、第1閉塞部40は、一方側隙間302における熱交換媒体の流れを塞き止めている。
この一方側隙間302と同様に、第2閉塞部42は、媒体流れ方向DRfwにおける他方側隙間303の一部にて、その他方側隙間303を塞いでいる。これにより、第2閉塞部42は、他方側隙間303における熱交換媒体の流れを塞き止めている。
また図2に示すように、第1閉塞部40は、インナーフィン34のストレート部34a、34cおよび波状部34bのうち、媒体流れ方向DRfwにおいてストレート部34aが占める範囲内に入るように配置されている。これと同様に、第2閉塞部42も、媒体流れ方向DRfwにおいてストレート部34cが占める範囲内に入るように配置されている。
更に図4に示すように、第1閉塞部40および第2閉塞部42は何れも、媒体流れ方向DRfwにおいて外殻プレート31、32の接触面311、321が占める範囲RGtから外れるように配置されている。
例えば、図2に示す複数のフィン流路301a〜301iのうち流路並び方向において一方側隙間302に最も近いフィン流路301aを一方側の第1フィン流路301aと呼び、2番目に近いフィン流路301bを一方側の第2フィン流路301bと呼ぶものとする。その場合、一方側の第1フィン流路301aおよび第2フィン流路301bは1枚の隔壁部343aを挟んで互いに隣接する。それと共に、一方側の第1フィン流路301aは、一方側フィン端部341を介して一方側隙間302に隣接する。
そして、図2および図5に示すように、第1閉塞部40は、複数の隔壁部343a〜343hのうち一方側の第1フィン流路301aと第2フィン流路301bとを流路並び方向に隔てる隔壁部343aに対して、その流路並び方向(すなわち、チューブ短手方向DRw)の間隔CR1を空けるように構成されている。その間隔CR1が空いているということは、第1閉塞部40が一方側の第1フィン流路301aと第2フィン流路301bとの間の隔壁部343aにまで及んでいないということである。従って、一方側の第1フィン流路301aは第1閉塞部40によって流路断面積が狭められる側へ部分的に変形させられているものの、一方側の第2フィン流路301bは、流路断面積が狭められる側へ変形させられてはいない。
これと同様に、図2に示す複数のフィン流路301a〜301iのうち流路並び方向において他方側隙間303に最も近いフィン流路301iを他方側の第1フィン流路301iと呼び、2番目に近いフィン流路301hを他方側の第2フィン流路301hと呼ぶものとする。その場合、他方側の第1フィン流路301iおよび第2フィン流路301hは1枚の隔壁部343hを挟んで互いに隣接する。それと共に、他方側の第1フィン流路301iは、他方側フィン端部342を介して他方側隙間303に隣接する。そして、第2閉塞部42は、複数の隔壁部343a〜343hのうち他方側の第1フィン流路301iと第2フィン流路301hとを流路並び方向に隔てる隔壁部343hに対して、その流路並び方向の間隔CR2を空けるように構成されている。
図1に戻り、流路管3は、チューブ積層方向DRstへ開口すると共にチューブ積層方向DRstへ突出した円筒状の突出管部35を、チューブ長手方向DRtbの両側に有している。隣り合う流路管3は、突出管部35同士を嵌合させると共にその突出管部35の側壁同士を接合することによって互いに連結されている。
なお、複数の流路管3のうち、チューブ積層方向DRstの最も外側に位置する一対の流路管3以外の流路管3には、隣り合う流路管3に対向する対向面の両面に一対の突出管部35が設けられている。一方、複数の流路管3のうち、チューブ積層方向DRstの最も外側に位置する一対の流路管3は、隣り合う流路管3に対向する一面にだけ突出管部35が設けられている。
隣り合う流路管3の相互間では、互いの突出管部35の接合により、互いの媒体流路30が連通している。一対の突出管部35のうち、チューブ長手方向DRtbにおける一方の突出管部35は、チューブ積層方向DRstへ複数連結されることで、積層型熱交換器1での供給ヘッダ部11として機能する。その供給ヘッダ部11は、各流路管3の媒体流路30へ熱交換媒体を供給するための部位である。また、チューブ長手方向DRtbにおける他方の突出管部35は、チューブ積層方向DRstへ複数連結されることで、積層型熱交換器1での排出ヘッダ部12として機能する。その排出ヘッダ部12は、各流路管3の媒体流路30から熱交換媒体を排出させるための部位である。
また、突出管部35の根元部36は環状のダイヤフラムとして機能する。すなわち、その根元部36は、流路管3に対してチューブ積層方向DRstに圧縮荷重が作用した際に、突出管部35を介してその圧縮荷重を受けて流路管3の内側に向かって変形する変形部位である。
また、複数の流路管3のうち、チューブ積層方向DRstの最も外側に配置される一対の流路管3の一方には、媒体導入管4と媒体導出管5とが接続されている。その媒体導入管4は、熱交換媒体を積層型熱交換器1に導入するための媒体導入部である。従って、媒体導入管4は、上記一対の流路管3の一方のうち供給ヘッダ部11を構成する部位に接続されている。
その一方で、媒体導出管5は、熱交換媒体を積層型熱交換器1から導出するための媒体導出部である。従って、媒体導出管5は、上記一対の流路管3の一方のうち排出ヘッダ部12を構成する部位に接続されている。この媒体導入管4および媒体導出管5は、例えばろう付け等の接合技術により、チューブ積層方向DRstの最も外側に配置される一対の流路管3の一方に接合されている。
ここで、積層型熱交換器1は、電子部品2と流路管3との密着性を高めるために、流路管3同士の間に形成される隙間に電子部品2を配置した状態で、不図示のプレス機にてチューブ積層方向DRstに圧縮して電子部品2を流路管3の両面(すなわち、図4の接触面311、321)で挟み込む構造となっている。この際、流路管3の突出管部35の根元部36が、圧縮荷重により流路管3の内側に向かって変形する。この圧縮荷重がプレス機によって保持されることで、電子部品2と流路管3との密着が維持される。
次に、積層型熱交換器1の製造工程について簡単に説明する。先ず、1本の流路管3につき、一対の外殻プレート31、32と1枚の中間プレート33と2枚のインナーフィン34とが用意される。このとき、外殻プレート31、32に、第1閉塞部40および第2閉塞部42は未だ成形されていない。
続いて、外殻プレート31、32と中間プレート33とインナーフィン34から流路管3が組み立てられ、例えばカシメ接合によって相互に接合される。これにより、積層型熱交換器1を構成する個々の流路管3がそれぞれ組み立てられる。
上記カシメ接合が完了すると、複数の流路管3のそれぞれにおいて、外殻プレート31、32に第1閉塞部40および第2閉塞部42がプレス加工によって成形される。このとき、そのプレス加工によって外殻プレート31、32と中間プレート33とインナーフィン34とが相互に位置ずれしないように上記カシメ接合によって固定されている。
詳細には、第1閉塞部40および第2閉塞部42は、図2および図3に示すように、外殻プレート31、32の内壁面312、322から突き出るようにプレス成形される。このプレス成形では、第1閉塞部40の成形と同時に、インナーフィン34の一方側フィン端部341は、ストレート部34aに含まれる部位にて、第1閉塞部40に沿って凹んだ形状を有するように成形される。そのため、その成形後には、一方側フィン端部341は、その第1閉塞部40に密着する密着面341aを有する。
第2閉塞部42の成形に関してもこれと同様である。すなわち、第2閉塞部42の成形と同時に、インナーフィン34の他方側フィン端部342は、ストレート部34cに含まれる部位にて、第2閉塞部42に沿って凹んだ形状を有するように成形される。そのため、その成形後には、他方側フィン端部342は、その第2閉塞部42に密着する密着面を有する。
本実施形態では、第1閉塞部40は一方側フィン端部341に密着しているので、後述のろう付け接合後には、熱交換媒体の流路としての一方側隙間302は完全に閉塞される。これと同様に、そのろう付け接合後には、熱交換媒体の流路としての他方側隙間303は、第2閉塞部42によって完全に閉塞される。
第1閉塞部40および第2閉塞部42の成形が完了すると、次に、図1に示すように、複数の流路管3が、隣り合う流路管3の突出管部35同士を嵌合させつつ、チューブ積層方向DRstに積層される。そして、媒体導入管4が供給ヘッダ部11に接続されると共に、媒体導出管5が排出ヘッダ部12に接続される。次に、積層型熱交換器1が加熱され、各構成部品がろう付け接合される。
ろう付け接合によって完成した積層型熱交換器1には、上述したようにチューブ積層方向DRstの圧縮荷重が付与され、それと共に、積層型熱交換器1は、複数の流路管3の相互間に電子部品2を挟み込む。
次に、積層型熱交換器1での熱交換媒体の流れについて説明する。熱交換媒体は、図1の矢印FWinのように、媒体導入管4から供給ヘッダ部11内へ流入する。供給ヘッダ部11内へ流入した熱交換媒体は、供給ヘッダ部11から各流路管3の媒体流路30へ分配される。そして、媒体流路30は複数のフィン流路301a〜301iから構成されているので、その熱交換媒体は複数のフィン流路301a〜301iを並列に流れる共に、電子部品2と熱交換を行う。要するに電子部品2を冷却する。このとき、図2に示すように、第1閉塞部40は一方側隙間302への熱交換媒体の流入を妨げると共に、第2閉塞部42は他方側隙間303への熱交換媒体の流入を妨げる。例えば、図5の矢印FL1のように、一方側隙間302へ向かおうとする熱交換媒体の流れは、第1閉塞部40によって一方側隙間302への流入を阻止され、フィン流路301a〜301iへと向かうことになる。
流路管3の各々において複数のフィン流路301a〜301iを通過した熱交換媒体は、図1の排出ヘッダ部12内へ流入する。その排出ヘッダ部12内へ流入した熱交換媒体は、矢印FWoutのように媒体導出管5へ流出する。
上述したように、本実施形態によれば、図2および図3に示すように、第1閉塞部40は、媒体流れ方向DRfwにおける一方側隙間302の一部にてその一方側隙間302を塞いでいる。従って、その一方側隙間302における熱交換媒体の流れを十分に遮断することが可能である。例えば特許文献2に開示されているような構成と比較して、一方側隙間302における熱交換媒体の流れを十分に遮断することが可能である。このことは、第2閉塞部42についても同様である。
このことを図6および図7に示す比較例を用いて詳述する。その比較例の積層型熱交換器1では、図6および図7に示すように、流路管3に第1閉塞部40および第2閉塞部42が設けられていない。この点を除いて、比較例の積層型熱交換器1は本実施形態の積層型熱交換器1と同じである。
第1閉塞部40が設けられていなければ、流路管3を流れる熱交換媒体は、複数のフィン流路301a〜301iへ流れるが、それと同時に、矢印FL2のように一方側隙間302へも流れる。従って、比較例では、一方側隙間302へ熱交換媒体が流れる分だけ、複数のフィン流路301a〜301iへ流れる熱交換媒体の流量が減少することになる。そして、一方側隙間302は流路管3の中でチューブ短手方向DRwの端に位置しているので、一方側隙間302内の熱交換媒体は、複数のフィン流路301a〜301i内の何れを流れる熱交換媒体と比較しても、流路管3に挟持された電子部品2と熱交換し難い。このことは、他方側隙間303に関しても同様である。
従って、本実施形態では、流路管3に第1閉塞部40および第2閉塞部42を設けられることで、一方側隙間302および他方側隙間303における熱交換媒体の流通を阻止することができ、積層型熱交換器1の熱交換性能を向上させることが可能である。
例えば図6および図7に示す比較例では、外殻プレート31、32とインナーフィン34との出来栄えにより一方側隙間302および他方側隙間303を流れる冷媒量にバラツキが生じる。その結果として比較例の流路管3には、肝心のフィン流路301a〜301iへ流れ込む熱交換媒体の流量が増減してしまう問題が存在する。これに対し、本実施形態の流路管3では、一方側隙間302および他方側隙間303が第1閉塞部40および第2閉塞部42によって完全に閉塞することが可能である。これにより、流路管3において供給ヘッダ部11側から排出ヘッダ部12側へ流れる熱交換媒体の全部がフィン流路301a〜301iを通過するので、積層型熱交換器1の冷却性能の向上を図ることができ、流路管3毎の冷却性能のバラツキを抑えることができる。
また、本実施形態によれば、図3および図5に示すように、第1閉塞部40は、一対の外殻プレート31、32から成る流路形成部材38と一体に構成されると共に、その流路形成部材38の内壁面312、322から突き出るように形成されている。それと共に、一方側フィン端部341は密着面341aを有し、その密着面341aは、第1閉塞部40に沿って凹んだ形状を成し、第1閉塞部40に密着している。従って、一方側隙間302における熱交換媒体の流通が第1閉塞部40によって阻止されるという効果を、第1閉塞部40をプレス成形よって形成することにより、十分に高い効果として容易に得ることが可能である。このことは、第2閉塞部42に関しても同様である。
また、本実施形態によれば、図2および図3に示すように、第1閉塞部40は、複数の隔壁部343a〜343hのうち一方側の第1フィン流路301aと第2フィン流路301bとを流路並び方向に隔てる隔壁部343aに対して、その流路並び方向の間隔CR1を空けるように構成されている。
ここで、仮に図8に示すように、第1閉塞部40が、二点鎖線で示す第1閉塞部40zのようになっている場合を想定する。その二点鎖線の第1閉塞部40zは、複数のフィン流路301a〜301iのうち流路並び方向において一方側隙間302側から2番目である一方側の第2フィン流路301bと3番目である第3フィン流路301cとの間の隔壁部343bにまで及んでいる。要するに、二点鎖線の第1閉塞部40zは、その隔壁部343bを変形させている。そして、その第1閉塞部40zは、第1フィン流路301aと第2フィン流路301bとの間の隔壁部343aに対して上記流路並び方向の間隔CR1を空けるように構成されていない。そのため、二点鎖線の第1閉塞部40zは、一方側の第1フィン流路301aを閉塞させてしまうおそれがある。
従って、流路管3の第1閉塞部40が、図8に示す二点鎖線の第1閉塞部40zのように構成されたとすれば、フィン流路301a〜301iが過剰に狭められるというデメリットが生じる。これに対し、本実施形態では、第1閉塞部40によってフィン流路301a〜301iが狭められるというデメリットを最小限に抑えつつ、一方側隙間302における熱交換媒体の流通を第1閉塞部40によって十分に阻止することが可能である。このことは、第2閉塞部42に関しても同様である。
また、本実施形態によれば、図2に示すように、第1閉塞部40は、インナーフィン34のうち媒体流れ方向DRfwにおいてストレート部34aが占める範囲内に入るように配置されている。従って、第1閉塞部40の位置が媒体流れ方向DRfwに沿って多少ずれても、フィン流路301a〜301iの流路並び方向すなわちチューブ短手方向DRwにおける第1閉塞部40と一方側フィン端部341との相対的な位置関係は殆ど変わらない。
これに対し、第1閉塞部40が媒体流れ方向DRfwにおいて例えば波状部34bが占める範囲内に配置されることを想定する。その場合、その波状部34bが占める範囲内では、チューブ短手方向DRwの一方側隙間302の幅が図5の矢印WD1、WD2で示すように、媒体流れ方向DRfwの位置に応じて大きく異なる。そのため、一方側隙間302を完全に塞ぐには、第1閉塞部40の位置を厳密に決めるか、或いは、その第1閉塞部40自体の大きさを大きくする必要がある。
従って、本実施形態では、媒体流れ方向DRfwにおいて例えば波状部34bが占める範囲内に第1閉塞部40が配置される構成と比較して、媒体流れ方向DRfwへの第1閉塞部40の位置ずれを許容する許容幅を大きくすることが可能である。そして、第1閉塞部40自体の大きさを不必要に大きくする必要もない。このことは、第2閉塞部42に関しても同様である。
また、本実施形態によれば、図4に示すように、第1閉塞部40は、媒体流れ方向DRfwにおいて外殻プレート31、32の接触面311、321が占める範囲から外れるように配置されている。従って、流路管3と熱交換対象物である電子部品2との間の伝熱面積を減らすことなく第1閉塞部40を配置することが可能である。すなわち、流路管3内の熱交換媒体と電子部品2との熱交換が第1閉塞部40の設置に起因して妨げられることを回避することが可能である。このことは、第2閉塞部42に関しても同様である。
また、本実施形態によれば、図2に示すように、第2閉塞部42は、第1閉塞部40と同様に、媒体流れ方向DRfwにおける他方側隙間303の一部にてその他方側隙間303を塞いでいる。従って、一方側隙間302での熱交換媒体の流れを第1閉塞部40によって塞き止めることに加えて、更に他方側隙間303での熱交換媒体の流れを第2閉塞部42によって塞き止めることもできる。その結果、複数のフィン流路301a〜301iへ流通する熱交換媒体の流量を増すことが可能である。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。また、前述の実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。このことは後述の第3実施形態以降でも同様である。
本実施形態では、図9および図10に示すように、第1閉塞部40の形状が第1実施形態と異なっている。また、本実施形態の第2閉塞部42は第1閉塞部40と同様に構成されているので、本実施形態の第2閉塞部42の形状も第1実施形態の第2閉塞部42と異なっている。
具体的に、第1閉塞部40は一方側フィン端部341に向かって外殻プレート31、32の内壁面312、322から突き出ている。これにより、流路管3内において一方側隙間302が塞がれている。この点については第1実施形態と同様である。
しかし、本実施形態では第1実施形態とは異なり、外殻プレート31、32単体の状態すなわち外殻プレート31、32にインナーフィン34が組み付けられる前の状態において、第1閉塞部40は外殻プレート31、32に形成されている。そのため、外殻プレート31、32にインナーフィン34を組み付ける際の組付け性の都合から、フィン流路301a〜301iの流路並び方向において第1閉塞部40と一方側フィン端部341との間に微小な隙間が生じる。本実施形態では、その微小な隙間は、樹脂やろう材などで構成された封止材44によって埋められている。
本実施形態の第2閉塞部42は、上述した第1閉塞部40と同様に構成されている。
本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第2実施形態と異なる点を主として説明する。
本実施形態では、図11および図12に示すように、流路管3は中間プレート33を備えていない。従って、1本の流路管3が有するインナーフィン34は1枚である。また、流路管3は、図10の外殻プレート31、32に替えて、単体として扁平断面形状を有し筒形状を成す流路形成部材38を備えている。本実施形態は、これらの点において第2実施形態と異なっている。なお、チューブ長手方向DRtbにおける第1閉塞部40および第2閉塞部42の位置は何れも、第2実施形態と同様である。
本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第2実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第1実施形態と組み合わせることも可能である。
(他の実施形態)
(1)上述の各実施形態において、積層型熱交換器1は、熱交換対象物としての電子部品2を冷却する装置であるが、その熱交換対象物は電子部品2でなくても差し支えない。例えば、その熱交換対象物は、通電されない機械的な構造物であってもよい。また、積層型熱交換器1は、熱交換対象物を暖める機能を備えた加熱装置であっても差し支えない。
(2)上述の各実施形態において、第1閉塞部40および第2閉塞部42は、図2では、チューブ長手方向DRtbにおいてインナーフィン34が占めるフィン長手範囲のうちの端部に設けられているが、そのフィン長手範囲のうちの中央部分に設けられていても差し支えない。
(3)上述の各実施形態において、図1に示すように、流路管3の相互間の1つにつき電子部品2は1つ配置されているが、流路管3の相互間の1つの間隔につき複数の電子部品2が配置されていても差し支えない。流路管3の相互間の1つの間隔につき、例えば特許文献1の積層型冷却器にように、2つの電子部品2が媒体流れ方向DRfwに並ぶと共に相互間隔を空けて配置されていても差し支えない。
(4)上述の第1実施形態において、図2に示すように、第1閉塞部40は、媒体流れ方向DRfwにおける一方側隙間302の一部にて、その一方側隙間302を塞いでいるが、第1閉塞部40が一方側隙間302を塞ぐ範囲はそれに限られない。例えば、図13に示すように、第1閉塞部40は、媒体流れ方向DRfwへ延びるように形成され、一方側隙間302の全部にてその一方側隙間302を塞いでいても差し支えない。要するに、第1閉塞部40は、一方側隙間302における熱交換媒体の流通を阻止すればよいので、その一方側隙間302の少なくとも一部にてその一方側隙間302を塞いでいればよい。このことは、第2閉塞部42についても同様である。
(5)上述の各実施形態において、インナーフィン34のうちストレート部34a、34cは、図2に示すように媒体流れ方向DRfwにおける一部の範囲に設けられているが、波状部34bが無く、インナーフィン34の全体がストレート部34a、34cになっていても差し支えない。
また、インナーフィン34のストレート部34a、34cは、図2に示すように、媒体流れ方向DRfwにおけるインナーフィン34の端部にあるが、そのようにインナーフィン34の端部にある必要はない。
(6)上述の第1および第2実施形態において、流路管3は中間プレート33を有しているが、その中間プレート33を有していない流路管3も考え得る。
(7)上述の第1および第2実施形態の流路管3において、第1閉塞部40は、図3に示すように、中間プレート33を挟んだ両側にそれぞれ形成されているが、例えば図14に示すように、第1閉塞部40が中間プレート33を挟んだ両側のうちの一方にだけ形成されていることも考えられる。このことは、第2閉塞部42についても同様である。
(8)上述の第2実施形態の流路管3において、第1閉塞部40は一方側フィン端部341に向かって外殻プレート31、32の内壁面312、322から突き出ており、その外殻プレート31、32と一体に構成されているが、それに限られない。例えば図15に示すように、第1閉塞部40は、インナーフィン34の一方側フィン端部341から一方側隙間302に突き出ていてもよい。すなわち、第1閉塞部40は、インナーフィン34と一体に構成されていてもよいということである。このことは、第2閉塞部42についても同様である。
(9)上述の各実施形態において、第1閉塞部40は、1つの一方側隙間302につき1つ設けられているが、1つの一方側隙間302につき2つ以上設けられていても差し支えない。このことは、第2閉塞部42についても同様である。
(10)上述の各実施形態において、電子部品2は、積層型熱交換器1の流路管3に挟持され、それにより流路管3内の熱交換媒体が電子部品2と熱交換可能になっている。この点において例えば、その電子部品2は、流路管3に直接接触させた状態で配設されてもよい。或いは、必要に応じて、電子部品2と流路管3との間に、セラミック等の絶縁板を介在させてもよいし、熱伝導性グリス等を介在させてもよい。要するに、流路管3の接触面311、321と電子部品2との接触は、直接接触に限らず間接的な接触であっても差し支えない。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、インナーフィンのフィン端部は、媒体流れ方向へ延びる端部隙間を流路形成部材の内壁面との間に形成する。そして、閉塞部は、媒体流れ方向における端部隙間の少なくとも一部にてその端部隙間を塞ぐ。
また、第2の観点によれば、閉塞部は流路形成部材と一体に構成されると共に、流路形成部材の内壁面から突き出るように形成されている。それと共に、フィン端部は、閉塞部に沿って凹んだ形状を成し閉塞部に密着する密着面を有している。従って、端部隙間における熱交換媒体の流通を閉塞部が阻止する効果を、閉塞部をプレス成形によって形成することにより、十分に高い効果として容易に得ることが可能である。
また、第3の観点によれば、インナーフィンは、第1フィン流路と第2フィン流路とを流路並び方向に隔てる隔壁部を有している。そして、閉塞部は、その隔壁部に対して流路並び方向の間隔を空けるように構成されている。従って、端部隙間における熱交換媒体の流通を閉塞部によって十分に阻止しつつ、閉塞部によってフィン流路が狭められるというデメリットを最小限に抑えることが可能である。
また、第4の観点によれば、閉塞部は、インナーフィンのうち媒体流れ方向においてストレート部が占める範囲内に入るように配置されている。従って、閉塞部の位置が媒体流れ方向に多少ずれても、流路並び方向における閉塞部とフィン端部との相対的な位置関係は殆ど変わらない。そのため、媒体流れ方向においてストレート部が占める範囲外に閉塞部が配置される構成と比較して、媒体流れ方向への閉塞部の位置ずれを許容する許容幅を大きくすることが可能である。
また、第5の観点によれば、閉塞部は、媒体流れ方向において上記接触面が占める範囲から外れるように配置されている。従って、熱交換チューブと熱交換対象物との間の伝熱面積を減らすことなく閉塞部を配置することが可能である。
また、第6の観点によれば、第2閉塞部は、媒体流れ方向における他方側隙間の少なくとも一部にてその他方側隙間を塞ぐ。従って、一方側隙間としての上記端部隙間を第1閉塞部としての上記閉塞部によって塞ぐことに加えて、更にその他方側隙間を第2閉塞部によって塞ぐこともできる。その結果、複数のフィン流路へ流通する熱交換媒体の流量を増すことが可能である。