以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
図1〜図18は、本発明の画像処理装置、画像読取装置、画像処理方法及び画像処理プログラムの一実施例を示す図である。図1は、本発明の画像処理装置、画像読取装置、画像処理方法及び画像処理プログラムの一実施例を適用したカラー複合装置1の画像読取部10の正面概略構成図である。
図1において、画像読取部(画像読取装置)10は、筐体11の上部に原稿読取台(原稿台)12が設けられており、原稿読取台12には、通常、コンタクトガラスが配設されている。原稿読取台12の上部は、開閉可能な原稿押さえ板13が設けられており、原稿押さえ板13は、原稿読取台12上にセットされた原稿Gを原稿読取台12のコンタクトガラスに密着させるように押さえつける。
図1の筐体11の右側上部には、原稿搬送部14が配設されており、原稿搬送部14は、SDF(シートスルー・ドキュメント・フィーダ)ユニット15と原稿トレイ16とを備えている。SDFユニット15内には原稿搬送ステッピングモータ17が備えられており、原稿トレイ16上には、複数枚の原稿Gが読取面を上にして重ねて載置される。
原稿搬送部14は、図2に示すように、原稿搬送ステッピングモータ17により、SDFユニット15内に配設されている分離ローラ18と搬送ローラ19を回転駆動させる。SDFユニット15は、回転駆動される分離ローラ18により、原稿トレイ16上の原稿Gを1枚ずつ分離して、搬送ローラ19により、SDFユニット15内の原稿搬送経路を通過させて、原稿読取台12上へ送って、さらに、図示しない排紙トレイ上に搬送する。SDFユニット15は、原稿搬送経路に沿って、CIS(Contact Image Sensor:密着イメージセンサ)15a、1対のフォトセンサ15b及び白板15c等が配設されている。
CIS15aは、原稿搬送経路上を搬送される原稿Gの裏面の画像を読み取る。
フォトセンサ15bは、主走査方向(原稿搬送方向に対して直交する方向)に所定距離離れて1対配設されており、それぞれ、原稿搬送経路上を搬送される原稿Gの先端を検出する。
この1対のフォトセンサ15bは、例えば、図3に示すように、カラー複合装置1が処理可能な最小幅サイズの原稿Gの先端2箇所を検出可能なように、距離を開けて配設されている。図3の場合、B6原稿で、SEF(Short Edge Feed)方向を最小幅サイズとした場合が示されている。具体的には、例えば、フォトセンサ15bは、原稿Gの読取原点から主走査方向に10mmの位置(以下、第1検知位置P1という。)と、第1検知位置P1から100mm間隔を置いた位置(以下、第2検知位置P2という。)と、にそれぞれ配設されている。
図3に示したようにフォトセンサ15bを配置して取り付ける場合、取付位置精度は、1つの取付位置精度が、通常、図4に示すように、副走査方向に対して、±1.5mmである。したがって、2つのフォトセンサ15bにおける取付位置の最大誤差は、3mm/100mmとなる。ところが、この程度の取付位置精度による誤差は、フォトセンサ15bの信号の発生タイミングを調整することで、補正することができ、カラー複合装置1の工場出荷時に、1台毎にキャリブレートすることで、誤差を「0」とすることができる。
また、フォトセンサ15bは、その検知精度において、誤差を含んでいる。例えば、フォトセンサ15bは、図5に示すように、上述のようにしてセンサ取付誤差を「0」に調整した場合であっても、原稿端部が目標検知位置を通過するときの検知精度が、最大約0.6mmの誤差を含んでいる。
したがって、2つのフォトセンサ15bによる原稿Gの傾きの絶対値は、最大|1.2mm/100mm|の誤差を含んでいることになる。例えば、原稿Gが傾きのない状態でフォトセンサ15bを通過したとしても、フォトセンサ15bの検知結果としては、原稿Gが傾いているという検知結果になるおそれがある。
いま、SDFユニット15のスキューの規格が|±0.75mm/100mm|であったとすると、フォトセンサ15bの検知誤差が、以下のように、この規格を大きく上回ることになる。
傾き検知誤差|±1.2mm/100mm|
>スキュー規格|±0.75mm/100mm|
したがって、フォトセンサ15bを単独に用いて原稿Gの傾きを高精度に検出することはできない。フォトセンサ方式による原稿端の検知は、検知精度自体は高くはないが、後述する画像処理による電子方式に比較して、原稿Gの画像特性に依存して大きく端部の検出を間違えることはない。
白板15cは、SDFユニット15の原稿読取台12に対向する位置に形成されているSDF窓15dに対応するSDFユニット15内の位置に配設されている。白板15cは、SDF窓15d及び透過ガラス15eを通した光路上、特に、透明ガラス15eにゴミ等が付着しているか否かを検出する際に読み取られる。すなわち、カラー複合装置1は、SDFユニット15を利用した原稿Gの読み取りにおいては、透明ガラス15eの位置を、固定の原稿読取位置として、原稿Gの読み取りを行ない、この読取時における光路上のゴミ等の有無を検出するのに白板15cを用いる。
また、原稿搬送部14は、原稿読取台12のSDFユニット15側の端部に、シェーディング補正用の白基準板20が配設されている。また、原稿搬送部14は、原稿押さえ板13と一体構造となっており、原稿押さえ板13を開く際、原稿搬送部14も一緒に開閉動作される。
再び、図1において、筐体11の内部には、第1走行体21、第2走行体22、レンズ23、CCD(Charge Coupled Device )24及び走行体ステッピングモータ25等からなる走査光学系(画像読取手段)26が配設されており、第1走行体21は、光源21aとミラー21bを、また、第2走行体22は、ミラー22a、22bを、それぞれ搭載している。
走査光学系26は、第1走行体21と第2走行体22が走行体ステッピングモータ25により水平方向(副走査方向)に移動させる。走査光学系26は、第1走行体21上の光源21a、例えば、蛍光灯等から原稿読取台12上に載置された原稿Gに光を照射して、該原稿Gで反射された光の反射光を第1走行体21上のミラー21bで第2走行体22方向に反射する。走査光学系26は、第2走行体22上のミラー22a及びミラー22bで第1走行体21から入射される光を順次反射して、レンズ23方向に出射させる。走査光学系26は、レンズ23で、第2走行体22から入射される光をCCD24に集光して照射させる。CCD24は、1次元に複数の光電変換素子として1ライン分のCCD素子が主走査方向にライン状に配列されており、レンズ23から入射される入射光を光電変換して、アナログの画像データ(画像信号)を出力する。また、走査光学系26は、白基準板20に光を照射して、該白基準板20からの反射光を上記同様にCCD24に入射し、CCD24からシェーディング補正用の基準データとして出力する。
そして、画像読取部10は、原稿読取モードとして、ブックモードとSDFモードを有している。ブックモードは、図6に示すように、原稿押さえ板13を開いて原稿読取台12上に載置された原稿Gの画像を、第1走行体21と第2走行体22を移動させながら読み取るモードである。SDFモードは、図2に示したように、原稿搬送部14のSDFユニット15を用いて搬送される原稿Gの画像を第1走行体21と第2走行体22を静止させた状態で読み取るモードである。
画像読取部10は、ブックモードでは、図6に示したように、原稿押さえ板13を開いて原稿読取台12上に原稿Gがセットされると、光源21aを点灯させて、まず、白基準板20の読み取りを行って、シェーディング補正用の基準データを取得する。画像読取部10は、その後、走行体ステッピングモータ25を駆動させて、第1走行体21及び第2走行体22を、原稿GからCCD24までの光路長が一定となる状態で副走査方向に移動して、原稿サイズを検出した後、原稿読取台12上の原稿Gの画像を読み取る。
また、画像読取部10は、SDFモードでは、図2に示したように、原稿トレイ16上に複数枚の原稿Gがセットされると、まず、光源21aを点灯させて、白基準板20の読み取りを行った後、原稿搬送ステッピングモータ17を駆動させる。画像読取部10は、第1走行体21をSDF窓15dの読取位置まで移動させて停止させる。次に、画像読取部10は、原稿搬送ステッピングモータ17を駆動させて、原稿トレイ16にセットされた原稿Gを分離ローラ18で1枚ずつ分離して、搬送ローラ19で搬送して、CIS15aによって原稿Gの裏面画像を読み取らせる。画像読取部10は、裏面の読み取りを行った原稿Gを第1走行体21の所定の読取位置であるSDF窓15dの位置まで搬送する。画像読取部10は、原稿Gを一定速度で搬送させ、第1走行体21及び第2走行体22を読取位置に停止させた状態で、第1走行体21上の光源21aからSDF窓15dを通して搬送される原稿Gに光を照射させる。画像読取部10は、原稿Gで反射された反射光を、再度、SDF窓15dを通して、ミラー21b及び第2走行体22上のミラー22a、22bで反射させて、レンズ23を通してCCD24に入射させ、CCD24で光電変換して、原稿Gの表面の画像を読み取る。
カラー複合装置1は、図7に示すように回路ブロック構成されており、CPU(Central Processing Unit )31、メモリ32、メモリコントローラ33、読取信号処理部34、画像処理部35、書込信号処理部36、LD(Laser Diode:半導体レーザ)37、LD駆動部38、上記CIS15a、上記CCD24、CCD駆動部39、上記光源21a、光源ドライバ40、上記原稿搬送用の原稿搬送ステッピングモータ17、原稿搬送モータドライバ41、上記走行体駆動用の走行体ステッピングモータ25、走行体モータドライバ42、バッファメモリ43及びバッファメモリコントローラ44等を備えている。
メモリ32は、画像読取部10としての基本処理プログラムや本発明の画像処理プログラム等の各種プログラム及びこれらの各種プログラムを実行するのに必要な各種データが格納されている。また、メモリ32は、CPU31のワークメモリとして利用される。
CPU31は、メモリ32内のプログラムに基づいて、メモリ32をワークメモリとして利用しつつ、カラー複合装置1の各部を制御して、カラー複合装置1としての処理を実行するとともに、本発明の画像処理方法を実行する。
上記光源21aは、CPU31の制御下で、光源ドライバ40により点灯・消灯制御され、CCD24は、CPU31の制御下で、CCD駆動部39により駆動されて、光電変換した画像データを読取信号処理部34に出力する。
上記原稿搬送ステッピングモータ17は、CPU31の制御下で、原稿搬送モータドライバ41により駆動され、走行体ステッピングモータ25は、CPU31の制御下で、走行体モータドライバ42により駆動される。
読取信号処理部34は、図8に示すように、アナログビデオ処理部51とシェーディング補正処理部52を備えている。
アナログビデオ処理部51には、CCD24の出力するアナログのカラー画像信号(アナログの読取データ)が入力される。アナログビデオ処理部51は、アナログのカラー画像信号をデジタル変換してデジタルのカラー画像データ(デジタル読取データ)としてシェーディング補正処理部52に出力する。
シェーディング補正処理部52は、白基準板20を読み取った際のカラー画像データを内部RAM等で構成されるラインバッファ52c(図9参照)にシェーディング補正用の基準データとして記憶する。シェーディング補正処理部52は、原稿Gを読み取った際のアナログビデオ処理部51でデジタル変換されたデジタルカラー画像データに対して、該基準データに基づいてシェーディング補正を施す。シェーディング補正処理部52は、シェーディング補正後のデジタルカラー画像データを、バッファメモリコントローラ44を通して、バッファメモリ43に保管させる。
バッファメモリコントローラ44は、バッファメモリ43へのデータの記憶及び読み出しを制御し、バッファメモリ43は、例えば、RAM等が用いられている。
バッファメモリコントローラ44は、上記読取信号処理部34からデジタルカラー画像データが入力されるとともに、CIS15aから原稿Gの裏面の画像データが同時に入力され、2ページ分の画像データをバッファメモリ43に格納する。
バッファメモリコントローラ44は、バッファメモリ43に格納されているCCD24からの原稿Gの表面の画像データとCIS15aからの裏面の画像データを交互に1ページの画像データとして、画像処理部35へ出力する。
画像処理部35は、バッファメモリコントローラ44から送られてくる1ページの画像データ毎に、各種画像処理を行い、画像処理後の画像データをメモリコントローラ33を介してメモリ32に一旦保管した後、書込信号処理部36へ出力する。
そして、上記読取信号処理部34のアナログビデオ処理部51及びシェーディング補正処理部52は、詳細には、図9に示すようにブロック構成されている。
すなわち、アナログビデオ処理部51は、図9に示すように、プリアンプ回路51a、可変増幅回路51b、A/Dコンバータ51c等を備えている。また、シェーディング補正処理部52は、黒演算回路52a、シェーディング補正演算回路52b及びラインバッファ52c等を備えている。
画像読取部10は、原稿読取台12上の原稿Gに光源21aから照射した読取光の反射光を、白基準板20を通して、レンズ23によってCCD24に集光して結像する。なお、図9では、説明を簡単化するために、反射光を折り返すためのミラーは省略している。また、白基準板20は、CCD24の中央部と端部での反射光量の差を無くすための光量調整の役割を果たすものである。すなわち、シェーディング演算処理において、CCD24の中央部と端部で反射光量の差がありすぎると、歪を多く含んだ演算結果しか得られないため、白基準板20で、予め反射光量の差を無くした後に、シェーディング演算処理を行う。
アナログビデオ処理部51は、CCD24から入力されるアナログのカラー画像信号をプリアンプ回路51aと可変増幅回路51bで増幅して、A/Dコンバータ51cに入力させる。アナログビデオ処理部51は、増幅されたカラー画像信号を、A/D変換部51cで、デジタル変換してデジタルのカラー画像データとしてシェーディング補正処理部52の黒演算回路52aに出力する。
黒演算回路52aは、アナログビデオ処理部51からのデジタルカラー画像データに対して、CCD24のチップ間、画素間の黒レベル(光量が少ない場合の電気信号)のばらつきを低減させて、画像の黒部にスジやムラが生じることを防止する。黒演算回路52aは、演算処理したカラー画像データを、シェーディング補正演算回路52bに出力する。シェーディング補正演算回路52bは、ラインバッファ52cの保持している基準データに基づいて、照射系、光学系やCCD24の感度ばらつきを補正するシェーディング補正を施してデジタルカラー画像データをバッファメモリ43に保管する。
CPU31は、バッファメモリコントローラ44を介して、バッファメモリ43に保管されたカラー画像データを、画像処理部35に送り、画像処理部35に、メモリ32を使用して、傾き補正及びその他の必要な画像処理を行わせる。
画像処理部35は、CPU31の制御下で、バッファメモリ43からの画像データに対して各種画像処理を施して書込信号処理部36に出力する。特に、画像処理部35は、CPU31の制御下で、原稿傾きを検出して補正する画像処理を実行する。すなわち、CPU31は、メモリ32内の本発明の画像処理プログラムに基づいて、バッファメモリ43に格納されている原稿Gの画像データとフォトセンサ15bの検知結果を利用して、原稿Gの傾きを正確に検出し、また、補正する画像処理を実行する。したがって、CPU31、メモリ32、メモリコントローラ33、画像処理部35は、全体として、画像処理装置50として機能している。
そして、画像処理部35は、 ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構築されるが、本発明の画像処理プログラムが導入されることで、図10に示すような機能ブロックが構築される。すなわち、画像処理部35は、検知時間差算出部61、副走査距離生成部62、光学式1次原稿傾き算出部63、検出用データ生成部64a、64b、64c、電子式1次原稿傾き算出部65a、65b、65c、2次原稿傾き算出部66及び傾き補正処理部67等が構築される。
検知時間差算出部61は、2つのフォトセンサ15bから原稿先端の検知信号が入力され、これら2つの検知信号の時間差Δtを算出して、副走査距離生成部62へ出力する。なお、2つのフォトセンサ15bは、それぞれ原稿Gの先端が通過したタイミングで、検知信号をCPU31へ出力し、CPU31が画像処理部15bへ出力する。このフォトセンサ15bは、本実施例では、検知信号をCPU31に出力しているが、直接、画像処理部15bへ出力してもよい。
フォトセンサ15bからの検知信号は、図4に示した第1検知位置P1と第2検知位置P2それぞれで独立に発生する。いま、図11に示すように、検知時間差算出部61が、周波数20MHzのクロックCLKで動作して、フォトセンサ15bからの検知信号S1、S2の有無を検出し、一方の検知信号S1、S2から他方の検知信号S1、S2までの時間差Δtを算出する。この検知信号S1、S2は、ローアクティブであり、検知信号S1が、第1検知位置P1のフォトセンサ15bからの信号、検知信号S2が、第2検知位置P2のフォトセンサ15bからの信号である。いま、原稿Gの搬送速度Vが、200mm/sであるとする。検知時間差算出部61は、一方の検知信号S1、S2がアサートすると、クロックカウンタによるカウントを開始し、他方の検知信号S1、S2がアサートすると、カウントを停止する。検知時間差算出部61は、いま、カウンタ値が61500であるとすると、次式(1)により、時間差Δtを算出する。
時間差Δt=61500/(20×1000000)=−3.075m秒・・・(1)
なお、式(1)において、マイナス符号が付いているのは、図11において、第1検知位置のフォトセンサ15bが先にアサートし、第2検知位置のフォトセンサ15bが後でアサートしていることに対応している。したがって、第2検知位置のフォトセンサ15bが先にアサートし、第1検知位置のフォトセンサ15bが後でアサートする場合には、時間差Δtの符号は、(+)となる。
副走査距離生成部62は、検知時間差算出部61の算出した時間差Δtに基づいて、一方のフォトセンサ15bが検出した原稿Gの先端位置から他方のフォトセンサ15bが検出した原稿Gの先端位置までの距離Δyを、次式(2)により算出する。
Δy[mm]=V[mm/s]×Δt[s]・・・(2)
いま、図11において、第2検知位置P2を基準として、第1検知位置P1の副走査方向の距離を、式(2)に当てはめると、次式のようにして、距離Δyを算出することができる。
Δy=V×Δt=200[mm/s]×(−0.003075)=−0.615[mm]
副走査距離生成部62は、算出した距離Δyを、光学式1次原稿傾き算出部63へ出力する。したがって、上記フォトセンサ15b、検知時間差算出部61及び副走査距離生成部62は、全体として、光学式端部検出手段として機能している。
光学式1次原稿傾き算出部(光学式傾き抽出手段)63は、副走査距離生成部62の算出した距離Δyに基づいて、原稿Gの傾きd0(以下、適宜、光学式傾きd0という。)を、次式(3)により算出(抽出)する。
d0=Δy/Δx・・・(3)
ここで、Δxは、2つのフォトセンサ15b間の距離、すなわち、第1検知位置P1と第2検知位置P2の距離である。この式(3)に、上記例を適用すると、次式のようになって、約−0.352度となる。
d0=−0.615/100=arctan(−0.615/100)=約−0.352度
光学式1次原稿傾き算出部63は、算出した光学式傾きd0を、2次原稿傾き算出部66へ出力する。
一方、検出用データ生成部64a、64b、64cは、CCD24から出力されて読取信号処理部34で処理され、バッファメモリ43に保管されている画像データのうち、傾きを検出するための画像データを所定タイミングに取得する。この傾き検出用の画像データは、必ずしも原稿G全体の画像データである必要はなく、例えば、図12においてハッチング部(CからDの範囲)を施した傾き検出に必要な先端部分のみの画像データでよい。すなわち、バッファメモリ43の先端アドレスから原稿Gの先端部分を所定量含む画像領域の画像データの存在するアドレスまでを検出対象画像領域Grとして、該検出対象画像領域Grの画像データを原稿Gの傾きを検出するための検出対象画像データとする。
検出用データ生成部64a、64b、64cは、検出対象画像データに適宜の画像処理を施して、それぞれ後続の電子式1次原稿傾き算出部65a、65b、65cが原稿Gの傾きを算出するのに用いる種類のデータを生成する。したがって、検出用データ生成部64a、64b、64cは、電子式端部検出手段として機能している。
なお、電子式1次原稿傾き算出部65a、65b、65cは、画像処理した画像データを用いて原稿Gの先端を正確に検出することのできる種類のデータであれば、適宜の種類のデータを用いることができる。本実施例では、電子式1次原稿傾き算出部65aが、エッジ検出データ、電子式1次原稿傾き算出部65bが、輝度データ、電子式1次原稿傾き算出部65cが、色差データを、それぞれ用いて原稿傾きを算出するものとして説明する。
そこで、電子式1次原稿傾き算出部65aに対応する検出用データ生成部64aは、バッファメモリ43から取得したR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の画像データから既知の変換方式に基づいて、まず、Labデータ(輝度データ)を生成する。このLabデータ(輝度データ)は、L(明度:lightness)、a(規格に基づく色の領域:aが+であると赤、−であると補色の緑)、b(規格に基づく色の領域:bが+であると黄色、−であると補色の青)で示される。なお、輝度データは、Labデータに限るものではなく、グレー情報であってもよく、色変換されたLデータである。
検出用データ生成部64aは、輝度データに対して、例えば、ソーベルフィルタ等のエッジ抽出フィルタでフィルタ処理することで、原稿端であるエッジ部を抽出し、エッジ抽出データを、エッジ検出閾値を用いて、エッジ検出データを生成する。
すなわち、検出用データ生成部64aは、図13に示すように、原稿を読み取った読取画像データ(スキャン画像)のうち、輝度データは、図13(a)に示すように、上記検出位置A(P1)と検出位置B(P2)における副走査方向においてデータ変化する。ここで、図13に示す対向板領域とは、白板15cを読み取っている領域である。白板15cは、通常、白色に施されているが、浮游ゴミや汚れ等によって読取画像データに小さいデータ変化として現れる。そして、検出用データ生成部64aは、検出位置A及び検出位置Bに対応する画像データから生成した輝度データの変化を調べて、図13(b)に示すように、原稿端部の影の部分をエッジ成分として抽出する。検出用データ生成部64aは、例えば、このエッジ検出を、ソーベルフィルタ等のエッジ抽出フィルタ処理を行うことで、エッジ検出を行ない、そのデータに対して2値化処理してエッジ抽出結果とする。さらに、検出用データ生成部64aは、2値化処理後のエッジ抽出結果を、所定の閾値(例えば、「80」)と比較して、図13(c)に示すように、閾値(「80」)以下の部分をエッジ部分とし、「0」から「80」に変化するところの変化点を原稿端と判定する。検出用データ生成部64aは、判定結果を、エッジ検出結果信号(「0」から「255」に変化する信号)として、電子式1次原稿傾き算出部65aへ出力する。例えば、検出用データ生成部64aは、検出位置Aと検出位置Bのそれぞれにおいて、画像の先頭からエッジ変化点までのライン数を、検出位置Aの原稿端部y1を、y1=100ライン目、検出位置Bの原稿端部y2を、y2=116ライン目としてカウントし、カウント結果を、原稿端部位置として電子式1次原稿傾き算出部65aへ出力する。
そして、電子式1次原稿傾き算出部65aは、検出用データ生成部64aからの検出位置Aと検出位置Bにおける原稿端部位置y1、y2及び(検出位置A−B間の画素数ABs)から次式(1)により第1原稿傾きd1を算出する。
いま、y1=100、y2=116、ABs=2362(100mm)とすると、次式(4)より、第1原稿傾きd1は、約0.39度となる。なお、本実施例では、読取解像度は、主走査方向及び副走査方向共に、600dpiとする。
第1原稿傾きd1=(y1−y2)/ABs
=(100−116)/2362=約0.39度・・・(4)
電子式1次原稿傾き算出部65aは、算出した第1原稿傾きd1を2次原稿傾き算出部66へ出力する。
次に、電子式1次原稿傾き補正部65bに対応する検出用データ生成部64bは、バッファメモリ43から取得したRGBの画像データから既知の変換方式に基づいて、まず、Labデータ(輝度データ)を生成する。この輝度データは、上記同様に、RGBの画像データに対して既知の変換方式で生成されるLabデータまたはグレー情報に色変換されたLデータである。
検出用データ生成部64bは、生成した輝度データから輝度差を求めて、読取画像データの端部位置、特に、上端2箇所の検知位置P1、P2における端部位置を検出する。
具体的には、検出用データ生成部64bは、輝度データに基づいて、図14に示すように、画像データにおける原稿端部位置を検出する。すなわち、原稿を読み取った画像データから生成された輝度データは、図14(a)に示すように、上記検出位置A(P1)と検出位置B(P2)における副走査方向においてデータ変化する。検出用データ生成部64bは、原稿部分が読み取られる前の対向板である白板15cの輝度データと、原稿地肌部の輝度データの変化点を、原稿端部として検出する。カラー複合装置1は、検出用データ生成部64bにおける輝度差算出の基準となる白板15cの輝度を、工場出荷時等のゴミや汚れが付着していない状態でスキャンしたデータを、例えば、平均した値(平均値)から生成し、予め基準輝度として保管している。いま、図14(a)では、対向板である白板15cの輝度が、「253」としている。検出用データ生成部64bは、原稿領域の輝度については、後述する変化点以降の画素データを平均して算出する。
ここで、原稿領域部の輝度は、図14(a)の場合、検出位置Aで、「210」、検出位置Bで、「205」である。そして、検出用データ生成部64bは、変化点を、画像データの輝度情報を、変化点検出閾値(本実施例では、「230」としている。)で、2値化処理することで求める。
すなわち、検出用データ生成部64bは、図14(b)に示すように、上記2値化後の「0」から「255」に変化する変化点を原稿端として検出して変化点検出結果とする。図14(b)の場合、検出用データ生成部64bは、検出位置Aについては、y1=105ライン目、検出位置Bについては、y2=120ライン目を変化点としてとして検出して、変化点検出結果を電子式1次原稿傾き算出部65bへ出力する。
電子式1次原稿傾き算出部65bは、第2原稿傾きd2を、検出用データ生成部64bの検出した検出位置Aと検出位置Bにおける原稿端部位置y1、y2及び(検出位置A−B間の画素数ABs)から次式(5)により算出する。いま、y1=105、y2=120、ABs=2362とすると、次式(5)より、第2原稿傾きd2は、約0.36度となる。
第2原稿傾きd2=(y1−y2)/ABs
=(105−120)/2362=約0.36度・・・(5)
電子式1次原稿傾き算出部65bは、算出した第2原稿傾きd2を、2次原稿傾き算出部66へ出力する。
そして、検出用データ生成部64cは、バッファメモリ43から取得したRGBの画像データをLab空間に変換したLabデータを生成し、Labデータを用いて色差データを生成する。検出用データ生成部64cは、生成した色差データに基づいて、画像データの端部位置、特に、上端2箇所の位置(検出位置A(P1)と検出位置B(P2))を検出し、原稿端部位置を検出する。
すなわち、検出用データ生成部64cは、上述のように、画像データのRGBをLabに色変換して色差データを生成するが、この色差データは、検出位置A(P1)の色差データと検出位置B(P2)色差データの変換点は、図15のように示される。
検出用データ生成部64cは、生成した色差データに基づいて、図15に示すように、読取画像データにおける原稿端部位置を検出する。すなわち、原稿を読み取った画像データのうち、検出用データ生成部64cで生成された色差データは、図15(a)に示すように、上記検出位置Aと検出位置Bにおける副走査方向においてデータ変化する。検出用データ生成部64cは、原稿部分が読み取られる前の対向版である白板15cの色差データと、原稿地肌部の色差データの変化点を、原稿端部として検出する。カラー複合装置1は、検出用データ生成部64cにおける色差算出の基準となる白板15cの色情報を、工場出荷時等のゴミや汚れが付着していない状態でスキャンしたデータ、例えば、平均した値(平均値)から生成し、予め基準色情報として保管している。いま、図15(a)では、対向板(白板15c)の色情報(RGBをLabに変換したデータ)が、L=92、a=2、b=−12である。また、検出用データ生成部64cは、原稿領域の色情報を、変化点以降の画素データを平均して算出する。
いま、検出用データ生成部64cは、検出位置A(P1)の色情報を、L=88、a=−1、b=3としたとき、検出位置Aの原稿領域部の色差ΔEaを、色差ΔEの算出式である次式(6)に適用して、「15」と算出する。
また、検出用データ生成部64cは、検出位置Bの色情報を、L=87、a=−2、b=3としたとき、検出位置Bの原稿領域部の色差ΔEbを、式(6)を適用して、「16」と算出する。
そして、検出用データ生成部64cは、画像データの色情報を、変化点検出閾値(本実施例では、「10」としている。)で、2値化処理することで、変化点を求める。
すなわち、検出用データ生成部64cは、図15(b)に示すように、上記2値化後の「0」から「255」に変化する変化点を、検出位置A、検出位置Bにおける原稿端部位置y1、y2として検出して、電子式1次原稿傾き算出部65cへ出力する。
電子式1次原稿傾き算出部65cは、第3原稿傾きd3を、検出用データ生成部64cの検出した検出位置Aと検出位置Bにおける原稿端部位置y1、y2及び(検出位置A−B間の画素数ABs)から次式(7)により算出する。いま、y1=111、y2=125、ABs=2362(100mm)とすると、次式(7)より、第3原稿傾きd3は、約0.34度となる。
第3原稿傾きd3=(y1−y2)/ABs・・・(7)
d3=(111−125)/2362=約0.34度
電子式1次原稿傾き算出部65cは、算出した第3原稿傾きd3を、2次原稿傾き算出部66へ出力する。
したがって、電子式1次原稿傾き算出部65a、65b、65cは、電子式傾き抽出手段として機能している。
2次原稿傾き算出部66は、3つの電子式1次原稿傾き算出部64a、64b、64cの算出した原稿傾きd1、d2、d3のうち、フォトセンサ15bの検出結果から光学式1次原稿傾き算出部63が算出した原稿傾きd0から大きく離れていない原稿傾きd1、d2、d3を抽出する。2次原稿傾き算出部66は、抽出した原稿傾きd1、d2、d3に基づいて、最終的な原稿傾きを算出して、算出した最終原稿傾きを傾き補正処理部67へ出力する。したがって、2次原稿傾き算出部66は、最終傾き抽出手段として機能している。
傾き補正処理部67は、2次原稿傾き算出部66の算出した最終原稿傾きに基づいて、原稿G、すなわち、画像データの傾きを補正する。傾き補正処理部67は、この画像データの傾き補正を、例えば、画像データに対して既知のアフィン変換処理を施すことで実行する。
なお、上記説明においては、カラー複合装置1は、電子式原稿傾きを算出するのに、原稿Gの表面画像を読み取るCCD24からの画像データを用いているが、原稿Gに裏面画像がある場合には、裏面画像を読み取るCIS15aからの画像データを用いてもよい。また、カラー複合装置1は、CCD24とCIS15aの双方、または、いずれか一方を用いて、原稿傾きを算出してもよい。
また、CIS15aからの画像データは、CCD24からの画像データに対して読取信号処理部34で行う処理と同等の処理がすでに行われている画像データである。したがって、カラー複合装置1は、CIS15aからの画像データに対しては、アナログビデオ処理やシェーディング補正処理を行うことなく、バッファメモリ43へ入力している。
そして、カラー複合装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の原稿傾きを正確に判定する画像処理方法を実行する画像処理プログラムを読み込んでメモリ32等に導入することで、後述する原稿傾きを正確に判定する画像処理方法を実行する画像読取部(画像読取装置)10を備えた画像処理装置として構築されている。この情報識別プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向プログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例のカラー複合装置1は、原稿傾きを正確に判定する。
カラー複合装置1は、画像読取部10において、図16(a)に示すように、原稿Gが、スキャン方向に対して、ある傾きを持ってスキャンされた(読み取られた)ものとする。カラー複合装置1は、画像読取部10で、スキャン方向に対して所定の傾きを有する状態で読み取られた原稿Gの画像データを、適宜に画像処理してバッファメモリコントローラ44の制御下で、バッファメモリ43に、ページ毎に蓄積する。
カラー複合装置1は、読み取った画像データが傾きを有しているため、図16(b)に示すように、バッファメモリ43に対して、画像データの画像領域である原稿領域Grよりも大きな蓄積画像領域Arに該原稿領域Grで示す画像データを蓄積することとなる。
カラー複合装置1は、この蓄積画像領域Arに蓄積された画像データ(原稿領域Gr)の傾きを検出し、図16(c)に示すように、検出した傾きに基づいて画像データ(原稿領域Gr)を、蓄積画像領域Arに対して補正する。
カラー複合装置1は、図16(d)に示すように、蓄積画像領域Arの原稿領域Grの画像データを切り出して、印刷出力や転送出力等の出力を行う。
そして、カラー複合装置1は、画像データの傾きをより一層正確に検出するために、図17に示すように、フォトセンサ15cによる原稿先端部の検出結果をも利用して、画像データに対する複数種類の画像処理から原稿傾きを検出する。
すなわち、カラー複合装置1は、SDFユニット15の原稿トレイ16上に原稿Gがセットされて読み取りの開始が指示操作されると、SDFユニット15により原稿Gを搬送して、原稿Gのスキャンを行う(ステップS101)。
カラー複合装置1は、原稿スキャンを開始すると、検知時間差算出部61が、1対のフォトセンサ15bが検出した原稿Gの先端の検知信号S1、S2に基づいて、上述のように検知時間差Δtを算出する検知時間差算出処理を行う(ステップS102)。
一方、カラー複合装置1は、CCD24が読み取った原稿Gの画像データを、読取信号処理部34で必要な画像処理を施した後、バッファメモリ43に蓄積する(ステップS103)。
カラー複合装置1は、副走査距離生成部62が、時間差Δtから、一方のフォトセンサ15bが検出した原稿Gの先端位置から他方のフォトセンサ15bが検出した原稿Gの先端位置までの距離Δyを算出する副走査距離生成処理を行う(ステップS104)。
カラー複合装置1は、バッファメモリ43に蓄積した画像データを、検出用データ生成部64a、64b、64cが、それぞれ読み出す。各検出用データ生成部64a、64b、64cは、それぞれ、エッジ検出データ、輝度データ及び色差データに基づいて、原稿端部位置y1、y2をそれぞれ算出する(ステップS105a、S105b、S105c)。
カラー複合装置1は、光学式1次原稿傾き算出部63が、副走査距離生成処理で求められた距離Δyに基づいて、原稿Gの光学式傾きd0を、上述のように算出する光学式1次原稿傾き算出処理を行う(ステップS106)。
さらに、カラー複合装置1は、電子式1次原稿傾き算出部65a、65b、65cが、対応する検出用データ生成部64a、64b、64cが算出した原稿端部位置y1、y2及び検出位置間の画素数ABsに基づいて、それぞれ電子式第1原稿傾きd1、d2、d3を算出する(ステップS107a、107b、107c)。
次に、カラー複合装置1は、2次原稿傾き算出部66が、電子式1次原稿傾き算出部64a、64b、64cの算出した原稿傾きd1、d2、d3のうち、フォトセンサ15bの検出結果から光学式1次原稿傾き算出部63が算出した原稿傾きd0から大きく離れていない原稿傾きd1、d2、d3を抽出する。2次原稿傾き算出部66は、抽出した原稿傾きd1、d2、d3に基づいて、最終的な原稿傾きを算出する2次原稿傾き算出処理を行う(ステップS108)。
カラー複合装置1は、傾き補正処理部67が、最終原稿傾きに基づいて、原稿G、すなわち、画像データの傾きを補正する傾き補正処理を行って、原稿傾き検出処理を終了する(ステップS109)。
そして、カラー複合装置1は、2次原稿傾き算出部66による2次原稿傾き算出処理を、図18に示すように実行する。2次原稿傾き算出部66は、まず、計算フラグであるSumとCntを、初期化(Sum=0、Cnt=0)する(ステップS201)。なお、ここで、Sumは、傾きの総和を計算するための傾き総和を示す変数であり、Cntは、カウンタである。
次に、2次原稿傾き算出部66は、原稿傾きd1が、光学式傾きd0に、予め設定されている判定閾値αを加減算した値を判定条件(d0−α<d1<d0+α)として、該判定条件を満たしているかチェックする(ステップS202)。この判定閾値αは、処理対象の原稿傾きを、平均値算出に利用するか否かを判断するための閾値であり、例えば、α=0.02/100が設定されている。したがって、2次原稿傾き算出部66は、原稿傾きd1が、判定条件であるd0−0.02/100<d1<d0+0.02/100を満たしているか判定する。
ステップS202で、原稿傾きd1が、上記判定条件を満たしていると(ステップS202で、YESのとき)、2次原稿傾き算出部66は、傾き総和Sumに、原稿傾きd1を加算し、加算数を示すカウンタCntを「1」だけインクリメント(+1)する(ステップS203)。
次に、2次原稿傾き算出部66は、原稿傾きd2が、判定条件(d0−α<d2<d0+α)を満たしているかチェックする(ステップS204)。
また、ステップS202で、原稿傾きd1が判定条件を満たしていないと(ステップS202で、NOのとき)、2次原稿傾き算出部66は、傾き総和Sum及びカウンタCntの加算を行うことなく、原稿傾きd2が、判定条件を満たしているかチェックする(ステップS204)。
ステップS204で、原稿傾きd2が判定条件を満たしていると(ステップS204で、YESのとき)、2次原稿傾き算出部66は、傾き総和Sumに、原稿傾きd2を加算し、カウンタCntを「1」だけインクリメントする(ステップS205)。
次に、2次原稿傾き算出部66は、原稿傾きd3が、判定条件(d0−α<d3<d0+α)を満たしているかチェックする(ステップS206)。
ステップS204で、原稿傾きd2が判定条件を満たしていないと(ステップS204で、NOのとき)、2次原稿傾き算出部66は、傾き総和Sum及びカウンタCntの加算を行うことなく、原稿傾きd3が、判定条件を満たしているかチェックする(ステップS206)。
ステップS206で、原稿傾きd3が判定条件を満たしていると(ステップS206で、YESのとき)、2次原稿傾き算出部66は、傾き総和Sumに、原稿傾きd3を加算し、カウンタCntを「1」だけインクリメントする(ステップS207)。
次に、2次原稿傾き算出部66は、カウンタCntの値が「1」以上の値であるか、すなわち、電子式に算出した原稿傾きのうち、1つ以上が判定条件を満たしていたかをチェックする(ステップS208)。
ステップS206で、原稿傾きd3が判定条件を満たしていると(ステップS206で、YESのとき)、2次原稿傾き算出部66は、傾き総和Sum及びカウンタCntの加算を行うことなく、カウンタCntの値が「1」以上の値であるかチェックする(ステップS208)。
ステップS208で、カウンタCntの値が「1」以上であると(ステップS208で、YESのとき)、2次原稿傾き算出部66は、原稿傾きaを、次式(8)により算出して、2次原稿傾き算出処理を終了する。
a=Sum/Cnt・・・(8)
ステップS208で、カウンタCntの値が「0」であると(ステップS208で、NOのとき)、2次原稿傾き算出部66は、フォトセンサ傾き採用有無変数Corが、「ON」であるか否かチェックする(ステップS210)。
このフォトセンサ傾き採用有無変数Corは、全ての電子式原稿傾きd1、d2、d3が、判定条件を満たさない場合に、フォトセンサ15bを利用した光学式原稿傾きd0を、原稿傾きとして採用するか否かを示す変数であり、予めユーザが適宜設定することができる。
ステップS210で、フォトセンサ傾き採用有無変数Corが「ON」であると(ステップS210で、YESのとき)、2次原稿傾き算出部66は、原稿傾き精度が悪い旨の報知を行う(ステップS211)。2次原稿傾き算出部66は、原稿傾き精度が悪い旨の報知を、例えば、操作表示部のディスプレイへのその旨のメッセージの表示出力等により行う。なお、2次原稿傾き算出部66は、この原稿傾き精度が悪い旨の報知出力した時点で、光学式原稿傾きd0を原稿傾きaとして採用するか否かを選択可能としてもよい。この場合、2次原稿傾き算出部66は、光学式原稿傾きd0を、原稿傾きaとして採用するか否かの選択画面を、ディスプレイに表示し、ユーザが光学式原稿傾きd0を原稿傾きaとして採用するか否かを選択可能とする。
2次原稿傾き算出部66は、原稿傾きaとして、光学式原稿傾きd0を採用し、2次原稿傾き算出処理を終了する(ステップS212)。
ステップS210で、フォトセンサ傾き採用有無変数Corが「OFF」であると(ステップS210で、NOのとき)、2次原稿傾き算出部66は、原稿傾きの検出ができなかった旨の報知を行う(ステップS213)。2次原稿傾き算出部66は、原稿傾きの検出ができなかった旨の報知を、例えば、操作表示部のディスプレイへの、「原稿スキュー補正を行いませんでした」等のメッセージの表示出力等により行う。なお、2次原稿傾き算出部66は、この原稿傾き検出ができなかった旨を報知出力した時点で、光学式原稿傾きd0を原稿傾きaとして採用するか否かを選択可能としてもよい。
2次原稿傾き算出部66は、原稿傾きaを「0」に設定し、2次原稿傾き算出処理を終了する(ステップS214)。
図18の2次原稿傾き算出処理においては、2次原稿傾き算出部66は、具体的には、以下のように処理する。
いま、フォトセンサ15bによる原稿傾きd0が、上述のように、d0=−0.615mm/100mm(約−0.352度)であるとする。また、各電子式原稿傾きd1、d2、d3が、上述のように、d1=−16/2362(約−0.39度)=−0.6773mm/100mm、d2=−15/2362(約−0.36度)=−0.6351mm/100mm、d3=−14/2362(約−0.34度)=−0.593mm/100mmとする。また、上記電子式原稿傾きd1、d2、d3を平均値算出に用いるか否かの判定閾値αは、上記α=0.02/100とする。
そして、2次原稿傾き算出部66は、ステップS201で、傾き総和SumとカウンタCntを初期化し、原稿傾きd1から原稿傾きd3までを、順次、判定条件を満たしているかチェックする(ステップS202〜S207)。2次原稿傾き算出部66は、判定条件を満たしていると、傾き総和Sumに該原稿傾きd1、d2、d3を加算し、カウンタCntに「1」を加算するが、判定条件を満たしていないときには、傾き総和SumとカウンタCntの加算を行わない。
いま、原稿傾きd1に対しては、上記条件では、(−0.615/100−0.02/100)<−0.6773/100<(−0.615/100+0.02/100)が成り立たない。したがって、2次原稿傾き算出部66は、傾き総和SumとカウンタCntの加算処理を行わない。ところが、原稿傾きd1が、上記値ではなく、判定条件を満たしているときには、Sum=Sum+d1、Cnt=Cnt+1を実行する。
また、原稿傾きd2及び原稿傾きd3は、判定条件を満たしている。したがって、2次原稿傾き算出部66は、Sum=d2+d3=(−0.6351mm/100mm)+(−0.593mm/100mm)=−0.6141/100(=約−0.352度)、Cnt=2を算出する。
そして、2次原稿傾き算出部66は、判定条件を満たした原稿傾きd1、d2、d3が1つも存在しないときには、操作表示部のディスプレイに、情報報知を行って、原稿傾きaを、光学式原稿傾きd0または「0」に設定する(ステップS210〜S214)。
この情報通知の方法は、ディスプレイへの情報表示だけでなく、警告灯、警告音、電子メール送付等の方法であってもよい。
このように、本実施例のカラー複合装置1は、搬送される原稿Gの画像を読み取って画像データを出力する走査光学系(画像読取手段)26と、走査光学系26の出力する画像データに基づいて、搬送される前記原稿Gの搬送方向の先端部を電子式端部として検出する検出用データ生成部(電子式端部検出手段)64a、64b、64cと、搬送される前記原稿Gの搬送方向先端部を光学的に光学式端部として検出するフォトセンサ15b、検知時間差算出部61及び副走査距離生成部62からなる光学式端部検出手段と、前記電子式端部に基づいて、前記原稿Gの搬送方向先端部の傾きを電子式傾きとして抽出する電子式1次原稿傾き算出部(電子式傾き抽出手段)65a〜65cと、前記光学式端部に基づいて、前記原稿Gの搬送方向先端部の傾きを光学式傾きとして抽出する光学式1次原稿傾き算出部(光学式傾き抽出手段)63と、前記電子式傾きと前記光学式傾きから前記原稿Gの最終傾きである原稿傾きaを抽出する2次原稿傾き算出部(最終傾き抽出手段)66と、を備えている。
したがって、光学式端部に基づく光学式傾きと電子式端部に基づく電子式傾きに基づいて、高精度に原稿Gの最終傾きを求めることができ、原稿傾きaを正確に判定することができる。
また、本実施例のカラー複合装置1は、搬送される原稿Gの画像を読み取って画像データを出力する画像読取処理ステップと、前記画像読取処理ステップの出力する画像データに基づいて、搬送される前記原稿Gの搬送方向の先端部を電子式端部として検出する電子式端部検出処理ステップと、搬送される前記原稿Gの搬送方向先端部を光学的に光学式端部として検出する光学式端部検出処理ステップと、前記電子式端部に基づいて、前記原稿Gの搬送方向先端部の傾きを電子式傾きとして抽出する電子式傾き抽出処理ステップと、前記光学式端部に基づいて、前記原稿Gの搬送方向先端部の傾きを光学式傾きとして抽出する光学式傾き抽出処理ステップと、前記電子式傾きと前記光学式傾きから前記原稿Gの最終傾きである原稿傾きaを抽出する最終傾き抽出処理ステップと、を有する画像処理方法を実行する。
したがって、光学式端部に基づく光学式傾きと電子式端部に基づく電子式傾きに基づいて、高精度に原稿Gの最終傾きを求めることができ、原稿傾きaを正確に判定することができる。
さらに、本実施例のカラー複合装置1は、CPU31等の制御プロセッサに、搬送される原稿Gの画像を読み取って画像データを出力する画像読取処理と、前記画像読取処理の出力する画像データに基づいて、搬送される前記原稿Gの搬送方向の先端部を電子式端部として検出する電子式端部検出処理と、搬送される前記原稿Gの搬送方向先端部を光学的に光学式端部として検出する光学式端部検出処理と、前記電子式端部に基づいて、前記原稿Gの搬送方向先端部の傾きを電子式傾きとして抽出する電子式傾き抽出処理と、前記光学式端部に基づいて、前記原稿Gの搬送方向先端部の傾きを光学式傾きとして抽出する光学式傾き抽出処理と、前記電子式傾きと前記光学式傾きから前記原稿Gの最終傾きである原稿傾きaを抽出する最終傾き抽出処理と、を実行させる画像処理プログラムを搭載している。
したがって、光学式端部に基づく光学式傾きと電子式端部に基づく電子式傾きに基づいて、高精度に原稿Gの最終傾きを求めることができ、原稿傾きaを正確に判定することができる。
また、本実施例のカラー複合装置1は、前記2次原稿傾き算出部66が、前記電子式傾きが、前記光学式傾きに対して所定の判定閾値α内にあるか否かを判定して、該判定閾値α内に存在すると、該電子式傾きに基づいて前記最終傾きである原稿傾きaを抽出し、該判定閾値α外にあると、該光学式傾きに基づいて該最終傾きである原稿傾きaを抽出する。
したがって、光学式傾きから離れた電子式傾きを省いた電子式傾きから原稿傾きaを求めることができ、原稿傾きaをより一層正確に判定することができる。
さらに、本実施例のカラー複合装置1は、前記検出用データ生成部(電子式端部検出手段)64a、64b、64cが、前記走査光学系(画像読取手段)26の読み取った前記画像データに対して、所定の画像処理を施して、該画像処理後の画像データに基づいて、前記電子式端部を検出する。
したがって、原稿Gの端部を検出するのに適した画像処理を施した画像データに基づいて原稿Gの端部を検出して原稿Gの傾きを求めることができ、原稿傾きaをより一層正確に判定することができる。
また、本実施例のカラー複合装置1は、前記検出用データ生成部(電子式端部検出手段)64a、64b、64cが、前記走査光学系(画像読取手段)26の読み取った前記画像データに対して、複数の異なる画像処理を並列的に施して、該画像処理後の各画像データに基づいて、それぞれ前記電子式端部を検出し、前記電子式1次原稿傾き算出部(電子式傾き抽出手段)65a〜65cが、複数の前記電子式端部に基づいて、それぞれ前記電子式傾きを抽出する。
したがって、原稿Gの端部を検出するのに適した異なる画像処理を施した複数の画像データに基づいて、それぞれ原稿Gの端部を検出して、それぞれ原稿Gの傾きを求めることができ、該複数の原稿傾きから原稿傾きaをより一層正確に判定することができる。
さらに、本実施例のカラー複合装置1は、2次原稿傾き算出部(最終傾き抽出手段)66が、複数の前記電子式傾きのうち、前記判定閾値内に存在する該電子式傾きの平均値に基づいて、前記最終傾きを抽出する。
したがって、原稿Gの端部を検出するのに適した異なる画像処理を施した複数の画像データに基づいて、それぞれ原稿Gの端部を検出して、それぞれ原稿Gの傾きを求めることができ、該複数の原稿傾きから原稿傾きaをより一層正確に判定することができる。
また、本実施例のカラー複合装置1は、2次原稿傾き算出部(最終傾き抽出手段)66が、前記判定閾値α内に存在する前記電子式傾きが非存在であると、前記光学式傾きに基づいて前記最終傾きを抽出する。
したがって、電子式傾きが判定閾値α内に存在しない場合であっても、光学式傾きに基づいて、原稿傾きaを求めることができる。
さらに、本実施例のカラー複合装置1は、情報を報知出力する報知手段(操作表示部等)を、さらに備え、2次原稿傾き算出部(最終傾き抽出手段)66が、前記判定閾値α内に存在する前記電子式傾きが非存在であると、前記原稿Gの前記最終傾きの抽出精度が低い旨の情報を前記操作表示部等の報知手段に報知出力させる。
したがって、求めた最終的な原稿傾きaの精度が低い場合に、その旨をユーザに分かるようにすることができ、利用性を向上させることができる。
また、本実施例のカラー複合装置1は、前記判定閾値α内に存在する前記電子式傾きが非存在であると、前記最終傾きを、前記光学式傾きに基づいて抽出するか否かを設定する設定手段(操作表示部等)を、さらに備え、2次原稿傾き算出部(最終傾き抽出手段)が、前記判定閾値α内に存在する前記電子式傾きが非存在のときに、前記設定手段で前記最終傾きを前記光学式傾きに基づいて抽出することが設定されていると、該最終傾きを該光学式傾きに基づいて抽出し、該設定手段で、該最終傾きを該光学式傾きに基づいて抽出することが非設定であると、原稿傾きが非存在であることを該最終傾きとする。
したがって、求めた最終的な原稿傾きaの精度が低い場合に、その旨をユーザの指示に応じて、最終傾きである原稿傾きaを求めることができ、利用状況に応じた原稿傾きaを用いて、利用性を向上させることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。