JP6444912B2 - 鋼構造物の補強・補修構造および方法 - Google Patents

鋼構造物の補強・補修構造および方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼橋などの鋼構造物において、主桁の上フランジ(以下、「主桁上フランジ」と略称する場合がある。)とウェブギャップ板あるいは垂直補剛材との接合部の補修などに好適に実施することができる鋼構造物の補強・補修構造および方法に関する。
鋼構造物である、たとえば鋼橋の主桁上フランジと横桁上フランジとの間のウェブギャップ部とも呼ばれる取合い部には、ウェブギャップ板が設けられている。主桁は、橋軸に平行に配設され、横桁は橋軸に垂直に配設される。ウェブギャップ板は、主桁上フランジと分配横桁の横桁上フランジとに溶接によって接合されている。
ウェブギャップ板と主桁上フランジとの溶接部、ウェブギャップ板と主桁ウェブとの溶接部、ウェブギャップ板と横桁の上フランジ(以下、「横桁上フランジ」と略称する場合がある。)との溶接部、およびウェブギャップ板の母材には、長年の繰返し荷重の作用によって、亀裂が発生する場合があり、これらの亀裂発生箇所に対して、適切な補強・補修が求められる。
このような亀裂発生箇所は、主桁と分配横桁あるいは対傾構とが交差する狭隘な場所であるため、従来では、亀裂発生箇所の補強・補修作業を行うために、主桁上フランジに支持されているコンクリート床版およびコンクリート床版上の舗装工を、できるだけ狭い範囲で撤去し、この撤去によって形成された開口から、亀裂発生箇所の補強・補修工事を行っている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2011−242362号公報
上記の従来技術では、亀裂発生箇所の補強・補修作業を行うために、コンクリート床版および舗装などを撤去するので、補強・補修工事が完了した後に、撤去した部分を復旧する必要があるとともに、工事期間に通行を制限または停止しなければならないという問題がある。
本発明の目的は、亀裂発生箇所の補強・補修作業を、コンクリート床版および舗装などを撤去せず、通行を制限または停止せずに、簡便に行うことができる鋼構造物の補強・補修構造および方法を提供することである。
本発明は、
(a)鋼橋の橋床構造1は、
繰返し荷重が作用する第1部材21と、
第1部材21に接合部で接合されて第1部材21を支持する第2部材10とを有し、
(b)第2部材10の厚さ方向(図9の左右方向)の両側に設けられる一対の補強部材26と、
押付け装置30と、
固定部材17、17a、19、19aとを準備し、
(b1)各補強部材26は、
第1部材21の第2部材10に臨む面27に配置される当接支持部28と、
当接支持部28に連なり、前記面27から第2部材10に沿って遠ざかる方向(図9の下方向)に、第2部材10の途中(図9の上下方向の途中)まで延び、前記面27から異なる距離に(図9の上下に)形成される第1挿通孔39b、および第2挿通孔39a、39cを有する取付け部29とを有し、
第2挿通孔39a、39cには、固定部材17、17a、19、19aが挿通可能であり、
(b2)押付け装置30は、
一対の細長い第1および第2連結部41、46と、
第2部材10の厚さ方向の一方側(図7〜9の左方)で、第1連結部41の一端部と第2連結部46の一端部とにわたって延び、軸線まわりに回転駆動されて第1連結部41の一端部と第2連結部46の一端部とを相互に離間方向(図7〜9の上下方向)に変位駆動する第1ねじ棒44aと、
第2部材10の厚さ方向の他方側(図7〜9の右方)で、第1連結部41の他端部と第2連結部46の他端部とにわたって延び、軸線まわりに回転駆動されて第1連結部41の他端部と第2連結部46の他端部とを相互に離間方向(図7〜9の上下方向)に変位駆動する第2ねじ棒44bとを有し、
第1連結部41は、第1挿通孔39bに挿通可能であり、
(c)第2部材10に、
第1挿通孔39bに対応する位置で、第1連結部41が挿通可能な第3挿通孔37bを形成し、
第2挿通孔39a、39cに対応する位置で、固定部材17、17a、19、19aが挿通可能な第4挿通孔37a、37cを形成するとともに、
前記面27から第2部材10に沿って取付け部29よりも遠ざかった(すなわち、図9の下方の)位置で、第2連結部46が挿通可能な第5挿通孔35を形成し、
前記面27に補強部材26の当接支持部28が当接している状態では、補強部材26の第1挿通孔39bを規定する内周面の、第1部材21の第2部材10に臨む前記面27に最も近い部分(図9の最上部)39b1は、第2部材10の第3挿通孔37bを規定する内周面の前記面27に最も近い部分(図9の最上部)よりも、第1部材21の第2部材10に臨む前記面27から遠ざかって(すなわち、図9の下方に)突出するように取り付けられ、
(d)押付け装置30の第1連結部41を、第1挿通孔37bおよび第3挿通孔39bに挿通し、
第2連結部46を、第5挿通孔35に挿通し、
第1および第2ねじ棒42a、42bを前記回転駆動して、第1および第2連結部41、46を相互に離間方向(図9の上下方向)に変位駆動することによって、第2連結部46を、第2部材10の第5挿通孔35を規定する内周面の前記面27から最も遠い部分(図9の最下部)に支持して、第1連結部41によって、取付け部29の第1挿通孔39bを規定する内周面の前記面27に最も近い部分(図9の最上部)39b1を、前記面27に向けて押して(図9では、押上げて)、第1部材21の前記面27に補強部材26の当接支持部28を押付けて当接させた状態とし、
(e)前記面27に当接支持部28を押付けて当接させた状態で、第2挿通孔39a、39cと第4挿通孔37a、37cとに、固定部材17、17a、19、19aを挿通して、第2部材10に取付け部29を固定することを特徴とする鋼橋の補強・補修方法である。
本発明は、
第1部材21は、主桁上フランジ21であり、
第2部材10は、主桁上フランジ21と、主桁ウェブ23と、主桁下フランジ22とに取付けられる垂直補剛材10であることを特徴とする請求項1に記載の鋼構造物の補強・補修方法である。
本発明は、
(a)鋼橋の橋床構造は、
主桁上フランジ21、主桁ウェブ23、および横桁上フランジ31にウェブギャップ板9が溶接によって接合されて構成され、
(b)ウェブギャップ板9の厚さ方向の両側に設けられる一対の補強部材26a、タッピングボルト54、および固定部材17、17a、18、18aを準備し、
(b1)各補強部材26aは、
主桁上フランジ21のウェブギャップ板9に臨む下面27に沿って配置され、タッピングボルト54が挿通する遊通孔51が形成される当接支持部28a、および
当接支持部28aに連なり、ウェブギャップ板9に沿って配置され、固定部材17、17a、18、18aが挿通可能な第1挿通孔39a、39bが形成される取付け部29aを備え、
当接支持部28aおよび取付け部29aが屈曲してL字状に形成され、
(b2)タッピングボルト54は、ボルト頭部、およびそのボルト頭部に連なるボルト軸部を有し、
(c)ウェブギャップ板9に、第1挿通孔39a、39bに対応する位置で、固定部材17、17a、19、19aが挿通可能な第2挿通孔37a、37bを形成し、
(d)主桁上フランジ21に、当接支持部28aの遊通孔51に対応する位置で、タッピングボルト54をねじ込むためのめねじ加工が施されていない下穴50を形成し、
(e)タッピングボルト54のボルト軸部を、遊通孔51を挿通して、下穴50にねじ込むことによって、自らねじ切りをしつつ進み、めねじを塑性変形によって形成し、
タッピングボルト54を締付けることによって、主桁上フランジ21に補強部材26aの当接支持部28aがねじ接合され、これによって、補強部材26aの当接支持部28aを主桁上フランジ21のウェブギャップ板9に臨む面27に押付けて当接させた状態とし、ボルト軸部の端部は、主桁上フランジ21の上面と面一(図12、図13)であり、
(f)第1挿通孔39a、39b、および第2挿通孔37a、37bに、固定部材17、17a、19、19aを挿通して、ウェブギャップ板9に取付け部29aを固定することを特徴とする鋼橋の補強・補修方法である。
また本発明は、
(a)鋼橋の橋床構造は、
主桁上フランジ21、主桁ウェブ23、および横桁上フランジ31にウェブギャップ板9が溶接によって接合されて構成され、
(b)ウェブギャップ板の厚さ方向の両側に設けられる一対の補強部材26aを有し、
(b1)各補強部材26aは、
主桁上フランジ21のウェブギャップ板9に臨む下面27に沿って配置され、タッピングボルト54が挿通する遊通孔51が形成される当接支持部28a、および
当接支持部28aに連なり、ウェブギャップ板9に沿って配置され、固定部材17、17a、18、18aが挿通可能な第1挿通孔39a、39bが形成される取付け部29aを備え、
当接支持部28aおよび取付け部29aが屈曲してL字状に形成され、
(b2)タッピングボルト54は、ボルト頭部、およびそのボルト頭部に連なるボルト軸部を有し、
(c)ウェブギャップ板9に、第1挿通孔39a、39bに対応する位置で、固定部材17、17a、19、19aが挿通可能な第2挿通孔37a、37bが形成され、
(d)主桁上フランジ21に、当接支持部28aの遊通孔51に対応する位置で、タッピングボルト54をねじ込むためのめねじ加工が施されていない下穴51が形成され、
タッピングボルト54のボルト軸部を、遊通孔51に挿入して、下穴50にねじ込むことによって、自らねじ切りをしつつ進み、めねじを塑性変形によって形成し、
タッピングボルト54を締付けることによって、主桁上フランジ21に補強部材26aの当接支持部28aがねじ接合され、これによって、補強部材26aの当接支持部28aを主桁上フランジ21のウェブギャップ板9に臨む面27に押付けて当接させた状態とし、ボルト軸部の端部は、主桁上フランジ21の上面と面一(図12、図13)であり、
(e)第1挿通孔39a、39b、および第2挿通孔37a、37bに、固定部材17、17a、19、19aを挿通して、ウェブギャップ板9に取付け部29aを固定することを特徴とする鋼橋の補強・補修構造である。
本発明の鋼構造物の補強・補修方法によれば、一対の補強部材26は、たとえば主桁上フランジ21である第1部材の、たとえば垂直補剛材10である第2部材に臨む面27に配置される当接支持部28と、当接支持部28に連なり、第2部材に沿って延びる取付け部29とを有する。この補強部材は、固定部材17、17a、19、19aによって、当接支持部が第1部材の第2部材に臨む面27に押付けられて当接し、この状態で、取付け部29が第2部材に固定され、第1部材と第2部材との接合部に作用する繰返し荷重の少なくとも一部を補強部材が負荷するように構成されるので、補強部材を第1部材および第2部材に固定部材を用いて容易に取付け、接合部の亀裂の進展を防ぎ、亀裂発生箇所を補強および補修することができる。
このような補強部材の取付け作業は、押付け装置30によって、補強部材の当接支持部を第1部材の前記面27に押付けて当接させた状態とし、取付け部を固定部材によって第2部材に固定すればよいので、第1部材および第2部材に対して補強部材を取付ける側から行なうことができ、前記従来技術のように、第1部材を主桁上フランジとし、第2部材を垂直補剛材やウェブギャップ板としたとき、コンクリート床版などの床組や舗装を撤去する必要がなく、床組の下方の空間で補強部材の取付け作業を行なうことができる。したがって、亀裂発生箇所の補強・補修作業を、車両や歩行者の通行を制限または停止せずに、実施することができる。
また本発明によれば、補強部材26aは、当接支持部28aと取付け部29aとが屈曲してL字状に連なった構成であり、当接支持部28aには遊通孔51が穿設され、主桁上フランジ21である第1部材には下穴50が形成されるので、遊通孔51が下穴50上に配置されるように、補強部材26aを主桁上フランジ21である第1部材に位置決めした状態で、タッピングボルト54のボルト軸部を遊通孔51に挿入して、下穴50にねじ込むことによって、自らねじ切りをしつつ進み、めねじを塑性変形によって形成し、タッピングボルト54を締付けることによって、主桁上フランジ21である第1部材に補強部材26aの当接支持部28aがねじ接合される。これによって、補強部材26aの当接支持部28aを主桁上フランジ21である第1部材の、ウエブギャップ板9である第2部材に臨む面27に押付けて当接させた状態とすることができ、図12、図13に明らかに示されるとおり、ボルト軸部の端部は、主桁上フランジ21の上面と面一であり、補強部材26aの主桁上フランジ21である第1部材への取付け作業を簡素化および容易化し、取付け作業の効率を向上することができる。
本発明の一実地形態の鋼構造物の補強・補修構造を示す斜視図である。 鋼桁橋の橋床構造1の一部の斜視図である。 主桁上フランジ21付近を橋軸L1方向に見た拡大断面図である。 垂直補剛材10付近の拡大斜視図である。 垂直補剛材10の上端部と主桁上フランジ21との接合部に疲労亀裂が発生した場合の補強・補修手順を示すフローチャートである。 補強部材26が垂直補剛材10の上端部に取付けられた状態を示す断面図である。 押付け装置30を垂直補剛材10に取付けた状態を示す断面図である。 押付け装置30の拡大断面図である。 垂直補剛材10およびガセット20に形成された既存のボルト挿通孔37a,37b,37c;38a,38b,38c付近の拡大断面図である。 垂直補剛材10付近の一部の断面図である。 垂直補剛材10付近の一部の斜視図である。 本発明の他の実施形態の鋼構造物の補強・補修構造を示す断面図である。 図12の右側から見た断面図である。 ウェブギャップ板9の上端部に疲労亀裂が発生した場合の補強・補修手順を示すフローチャートである。 ウェブギャップ部付近の一部の断面図である。 ウェブギャップ部付近の一部の斜視図である。
図1は本発明の一実地形態の鋼構造物の補強・補修構造を示す斜視図であり、図2は鋼桁橋の橋床構造1の一部の斜視図である。図1は、図2のセクションIを拡大して示し、図2は図解を容易にするため、部分的に切欠いて示されている。本実施形態の鋼構造物の補強・補修構造は、本発明の構造物の補強・補修方法を実施することによって構築されるものとして、以下に説明する。鋼構造物である鋼桁橋の橋床構造1は、橋軸L1方向に延びる複数の主桁2と、各主桁2に垂直に延び、橋軸L1方向に互いに間隔をあけて配設される複数の分配横桁(以下、「横桁」と略記する)3と、各横桁3間に橋軸L1方向に互いに間隔をあけて配設される複数の対傾構4とを有する。各主桁2上には、コンクリート床版5が敷設され、コンクリート床版5の上方に臨む表面には、防水シート6が敷設され、防水シート6上にはアスファルトなどによって舗装7が敷設される。
主桁2は、第1部材としての主桁上フランジ21と、主桁下フランジ22と、主桁上フランジ21および主桁下フランジ22を連結する主桁ウェブ23とを有する。主桁2は、たとえば断面がI字状の構造用鋼材から成る。横桁3は、横桁上フランジ31と、横桁下フランジ32と、横桁上フランジ31および横桁下フランジ32を連結する横桁ウェブ33とを有する。横桁3は、前述の主桁2と同様な、断面I字状の構造用鋼材から成る。
主桁上フランジ21と横桁上フランジ31との間には、第2部材としてのウェブギャップ板9が設けられ、主桁上フランジ21と主桁下フランジ22との間には、第2部材としての垂直補剛材10が設けられる。ウェブギャップ板9の上端部と主桁上フランジ21とは、溶接金属から成るビード11を形成する溶接によって接合され、ウェブギャップ板9の下端部と横桁上フランジ31とはビード12を形成する溶接によって接合され、ウェブギャップ板9の一側端部と主桁ウェブ23とはビード13を形成する溶接によって接合される。
図3は、主桁上フランジ21付近を橋軸L1方向に見た拡大断面図であり、図4は垂直補剛材10付近の拡大斜視図である。垂直補剛材10の上端部と主桁上フランジ21とは、溶接金属から成るビード14を形成する溶接によって接合され、垂直補剛材10の下端部と主桁下フランジ22とは、ビード15を形成する溶接によって接合され、垂直補剛材10の一側端部と主桁ウェブ23とは、ビード16を形成する溶接によって接合される。
垂直補剛材10の上端部には、固定部材としての第1〜第3ボルト17〜19および第1〜第3ボルト17〜19に螺着される第1〜第3ナット17a〜19aによって、ガセット20が固定され、ガセット20には対傾構25が溶接によって接合される。第1〜第3ボルト17〜19は高張力ボルトが用いられ、第1〜第3ナット17a〜19aは高張力ナットが用いられる。
図5は、垂直補剛材10の上端部と主桁上フランジ21との接合部に疲労亀裂が発生した場合の補強・補修手順を示すフローチャートであり、図6は補強部材26が垂直補剛材10の上端部に取付けられた状態を示す断面図である。まず、ステップs0で補強・補修作業が開始され、1つの補強箇所に2枚の補強部材26が用いられ、補強箇所数分の補強部材26が準備される。補強部材26は、第1部材である主桁上フランジ21の、第2部材である主桁ウェブ23に臨む面である下面27に当接させた状態で配置される当接支持部28と、当接支持部28に連なり、主桁ウェブ23に沿って延びる取付け部29とを有する。本実施形態において、補強部材26は、図6の紙面に垂直な方向である正面視において、台形状の構造用鋼板から成り、斜辺を上方にして、先端部が主桁ウェブ23から離れた側に配設される。このような先端部およびその近傍によって、上記の当接支持部28が構成される。主桁ウェブ23およびガセット20に両側には、フィラープレート36を介して補強部材26がそれぞれ配設され、第1〜第3ボルト17〜19に第1〜第3ナット17a〜19aを螺着して締付けることによって、各補強部材26の取付け部29間で、主桁ウェブ23、ガセット20および各フィラープレート36が摩擦接合される。
このような補強部材26がステップs0で準備されると、ステップs1で垂直補剛材10に、後述の図7および図8に示す押付け装置30を取付けるための第5挿通孔である下穴35を穿設する。下穴35が形成されると、ステップs2へ移り、垂直補剛材10とガセット20とを固定している既存のボルトを取外す。
図7は、押付け装置30を垂直補剛材10に取付けた状態を示す断面図であり、図8は押付け装置30の拡大断面図である。図9は、垂直補剛材10およびガセット20に形成された既存のボルト挿通孔37a,37b,37c;38a,38b,38c付近の拡大断面図である。垂直補剛材10およびガセット20には、3本の既存ボルトのボルト軸部が挿通するボルト挿通孔37a、37b、37c;38a,38b,38cが形成される。垂直補剛材10のボルト挿通孔37a〜37cのうち、ボルト挿通孔37bを第3挿通孔とし、ボルト挿通孔37a、39cを第4挿通孔とする。これらの既存のボルト挿通孔37a,37b,37c;38a,38b,38cの内径D1は、たとえばφ24.5mmである。
次にステップs3で、補強部材26およびフィラープレート36を上段の第1ボルト17およびナット17a、下段の第3ボルト19およびナット19aによって、垂直補剛材10およびガセット20に取付け、仮固定する。
補強部材26およびフィラープレート36には、上記既存のボルト挿通孔37a,37b,37c;38a,38b,38cに対応した同一の間隔で、第1〜第3ボルト17〜19のボルト軸部が挿通するボルト挿通孔39a〜39c,40a〜40cがそれぞれ形成される。補強部材26の取付け部29のボルト挿通孔39a〜39cのうち、ボルト挿通孔39bを第1挿通孔とし、ボルト挿通孔39a、39cを第2挿通孔とする。これらのボルト挿通孔39a〜39cの内径D2は、既存のボルト挿通孔37a〜37c,38a〜38cの内径D1よりも大きい値、たとえばS2=26.5mmに選ばれる。また、フィラープレート36のボルト挿通孔40a〜40cの内径D3は、既存のボルト挿通孔37a〜37c,38a〜38cの内径D1と同一(D3=D1)に選ばれる。
補強部材26は、フィラープレート36とともに垂直補剛材10およびガセット20に、これらを挟持するように装着された状態では、ボルト挿通孔39a〜39cを規定する内周面の最上部39a1〜39c1が、垂直補剛材10のボルト挿通孔37a〜37cを規定する内周面の最上部およびガセット20のボルト挿通孔38a〜38cを規定する内周面の最上部およびフィラープレート36のボルト挿通孔40a〜40cを規定する内周面の最上部よりも下方に突出するように取付けられる。
ステップs4に移り、補強部材26が上段および下段のボルト17,19およびナット17a,19aによって垂直補剛材10およびガセット20に取付けられた状態で、中段のボルト挿通孔37b,38b,39b,40bおよび下穴35を利用して、押付け装置30が取付けられる。
前述のとおり、前記下面27に補強部材26の当接支持部28が当接している状態では、補強部材26のボルト挿通孔39bを規定する内周面の前記面27に最も近い部分である図9の最上部39b1は、垂直補剛材10のボルト挿通孔37bを規定する内周面の前記面27に最も近い部分である図9の最上部よりも、前記面27から遠ざかって(すなわち、図9の下方に)突出している。
押付け装置30は、細長い第1連結部としての連結ボルト41の外ねじが刻設された軸線方向両端部に幅調整用保持体42a,42bが装着され、各一対のナット43a,43bによって固定して位置決めされる。各幅調整用保持体42a,42bには、ねじ棒44a,44bの軸線方向一端部のそれぞれが回転自在に保持される。ねじ棒44a,44bには、可動部材45a,45bが螺着され、各可動部材45a,45bには、連結ボルト41と対を成す細長い第2連結部としてのもう1つの連結ボルト46の軸線方向両端部が螺着され、互いに連結される。各ねじ棒44a,44bの軸線方向他端部には、一直径線方向に貫通した貫通孔47a,47bが形成され、これらの貫通孔47a,47bにレバーなどの操作工具を挿入して回転操作することによって、各可動部材45a,45bはねじ棒44a,44bの軸線方向に移動し、下段の連結ボルト46が垂直補剛材10の下穴35を挿通して該下穴35を規定する内周面の前記面27から最も遠い部分である最下部に支持された状態で、上段の連結ボルト41によって各補強部材26の第1挿通孔としてのボルト挿通孔39bを規定する内周面の前記面27に最も近い部分である最上部39b1を押上げる。ステップs5で、各補強部材26の上端部である当接支持部28を主桁上フランジ21の下面27に向けて押して当接させて押上げ状態にして、垂直補剛材10が主桁上フランジ21から下方へ離反する方向へ反力を与え、これによって垂直補剛材10にプレストレスを付与する。
その後、ステップs6で、上段および下段の第1、第3ボルト17,19およびナット17a,19aを本締めし、ステップs7で押付け装置30を取外し、ステップs8で中段の第2ボルト18およびナット18aを取付けて本締めする。
このようにして図10の断面図および図11の斜視図に示されるように、垂直補剛材10と主桁上フランジ21ととの交差部付近の溶接部から発生した亀裂48,49の進展を抑えるように、垂直補剛材10にプレストレスを付与し、ステップs9で補強・補修作業が終了する。このような補強・補修方法を実施することによって、本発明に従う鋼構造体の補強・補修構造が実現されて、垂直補剛材10に付与されたプレストレスと上載荷重による応力とが相殺し、亀裂48,49が発生している部位の応力を低減し、亀裂48,49の進展を阻止するとともに、新たな亀裂の発生を防止し、亀裂48,49が発生した部位およびその近傍を補強することができる。
図12は、本発明の他の実施形態の鋼構造物の補強・補修構造を示す断面図であり、図13は図12の右側から見た断面図である。本実施形態では、ウェブギャップ板9の補強・補修構造および方法について説明する。なお、前述の実施形態と対応する部分には、同一の参照符を付す。
本実施形態の補強部材26aは、主桁上フランジ21のウェブギャップ板9に臨む下面27に配置される当接支持部28aと、当接支持部28aに連なり、ウェブギャップ板9に沿って延びる取付け部29aとを有する。補強部材26aの取付け部29aは、当接支持部28aに連なり、ウェブギャップ板9に沿って配置され、第1挿通孔としてのボルト挿通孔39a、39bを有する。ウェブギャップ板9は、ボルト挿通孔39a、39bに対応する位置で、第2挿通孔としてのボルト挿通孔37a、37bを有する。
この補強部材26aは、断面がL字状の山型鋼から成る短尺材であり、固定部材としての第1および第2ボルト17、18、ナット17a、18aによって、当接支持部28aが主桁上フランジ21のウェブギャップ板9に臨む下面27にタッピングボルト54で押付けられて当接し、この状態で、取付け部29aがウェブギャップ板9に摩擦接合によって固定され、主桁上フランジ21とウェブギャップ板9との接合部に作用する繰返し荷重の少なくとも一部を補強部材26aが負荷するように構成される。これによって、補強部材26aを主桁上フランジ21およびウェブギャップ板9にボルト17、18、ナット17a、18aを用いて容易に取付け、接合部の亀裂の進展を防ぎ、亀裂発生箇所を補強および補修することができる。
タッピングボルト54のボルト軸部を、遊通孔51を挿通して、下穴50にねじ込むことによって、自らねじ切りをしつつ進み、めねじを塑性変形によって形成し、タッピングボルト54を締付けることによって、主桁上フランジ21に補強部材26aの当接支持部28aがねじ接合され、これによって、補強部材26aの当接支持部28aを主桁上フランジ21のウェブギャップ板9に臨む面27に押付けて当接させた状態とし、図12、図13に明らかに示されるとおり、ボルト軸部の端部は、主桁上フランジ21の上面と面一である。
このような補強部材26aの取付け作業は、補強部材26aの当接支持部28aを主桁上フランジ21の前記下面27に押付けて当接させた状態とし、取付け部29aをボルト17,18によってウェブギャップ板9に固定すればよいので、主桁上フランジ21および垂直補剛材10に対して補強部材26を取付ける側から行うことができ、前記従来技術のように、コンクリート床版などの床組や舗装を撤去する必要がなく、床組の下方の空間で補強部材26aの取付け作業を行うことができる。したがって、亀裂発生箇所の補強・補修作業を、車両や歩行者の通行を制限または停止せずに、実施することができる。
また、補強部材26aは、当接支持部28aと取付け部29aとが屈曲してL字状に連なった構成であり、当接支持部28aには遊通孔である下穴51が穿設され、主桁上フランジ21には下穴51よりも小径の下穴50が形成されるので、主桁上フランジ21の下穴50が当接支持部28aの下穴51上に配置されるように、補強部材26aを主桁上フランジ21に位置決めし、タッピングボルト54のボルト軸部を下穴51に挿入して、タッピングボルト54を下穴50にねじ込んで自らねじ切りをしつつ進んで締付けることによって、主桁上フランジ21に補強部材26aの当接支持部28aが支圧接合され、その後、取付け部29aをボルト17,18によってフィラープレート36を介してウェブギャップ板9に摩擦接合させる。これによって、補強部材26aの当接支持部28aを主桁上フランジ21の下面27に押付けて当接させた状態とし、前述の実施形態と同様に、当接支持部28aをタッピングボルト54を締め込むことによって、ウェブギャップ板9にプレストレスを付与することができ、補強部材26aの主桁上フランジ21への取付け作業を簡素化および容易化し、取付け作業の効率を向上することができる。
上記のタッピングボルトとしては、スレッドローリングスクリュ(略称;TRS(登録商標))を好適に用いることができる。このスレッドローリングスクリュは、接合される複数の部材の少なくとも一方における、めねじ加工が施されていない下穴に、直接にねじ込むことによって、自らねじを切りつつ進み、めねじを母材の塑性変形によって形成して、ねじ接合するボルトまたはねじであり、また、自らねじを切りつつ進み、めねじを母材の弾性変形によって、または切削加工して形成して、ねじ接合するボルトまたはねじを含み、さらにまた、いわゆるスレッドフォーミングスクリュ、タッピンねじおよびタップボルトなどを含む。
また、ウェブギャップ板9と補強部材26の取付け部29aとをリベット接合するように構成されてもよい。この場合においても、当接支持部28aが主桁上フランジ21の下面27に押付けられて当接した補強部材26aの取付け部29aを、ウェブギャップ板0に容易にかつ迅速に接合することができ、補強部材26aのウェブギャップ板9への取付け作業の効率を向上することができる。
このような補強部材26aの取付け作業は、補強部材26aの当接支持部28aを主桁上フランジ21の下面27に押付けて当接させた状態とし、取付け部29aをボルト17,18によってウェブギャップ板9に固定すればよいので、主桁上フランジ21およびウェブギャップ板9に対して補強部材26aを取付ける側から作業を行うことができ、前記従来技術のように、コンクリート床版などの床組や舗装を撤去する必要がなく、床組の下方の空間で補強部材26aの取付け作業を行うことができる。したがって、亀裂発生箇所の補強・補修作業を、車両や歩行者の通行を制限または停止せずに、実施することができる。
図14は、ウェブギャップ板9の上端部に疲労亀裂が発生した場合の補強・補修手順を示すフローチャートである。ステップs20で、ウェブギャップ板9の接合部に生じた亀裂発生箇所の補強・補修作業が開始され、ステップs21で、既存の上段および中段のボルト17,18およびナット17a,18aが取外される。
ステップs22に移り、主桁上フランジ21および補強部材26aの当接支持部28aに下穴50,51を形成し、ステップs23で、補強部材26aを、フィラープレート36とともにウェブギャップ板9に、上段および中段の第1、第2ボルト17,18およびナット17a,18bによって仮固定する。
次にステップs24に移り、タッピングボルト54を締込み、補強部材26aの当接支持部28aを主桁上フランジ21に固定する。次にステップs25で、上段および中段の第1,第2ボルト17,18およびナット17a,18aを本締めする。
このようにして図15の断面図および図16の斜視図に示されるように、ウェブギャップ板9の主桁上フランジ21との接合部および主桁ウェブ23との接合部の交差部分付近から発生した亀裂52,53の進展を抑えるように、ウェブギャップ板9にプレストレスを付与し、ステップs26で補強・補修作業が終了する。
また本実施形態によれば、鋼橋の主桁上フランジ21とウェブギャップ板9とに補強部材26aが接合され、これによってウェブギャップ板9にプレストレスが付与されるので、ウェブギャップ板9に付与されたプレストレスと上載荷重による応力とが相殺し、亀裂52,53が発生している部位の応力を低減し、亀裂52,53の進展を阻止するとともに、新たな亀裂の発生を防止し、亀裂52,53が発生した部位およびその近傍を、補強および補修することができる。
本発明は、次の実施の形態が可能である。
(1)鋼構造物の補強・補修構造は、(a)繰返し荷重が作用する第1部材と、(b)第1部材に接合部で接合されて第1部材を支持する第2部材と(c)補強部材であって、第1部材の第2部材に臨む面に配置される当接支持部と、当接支持部に連なり、第2部材に沿って延びる取付け部とを有する補強部材と、(d)当接支持部を第1部材の前記面に押付けて当接した状態を保ったままで、第2部材に補強部材の取付け部を固定し、これによって、前記接合部に作用する繰返し荷重の少なくとも一部を補強部材で受ける固定部材とを含むことを特徴とする鋼構造物の補強・補修構造である。
(2)本発明補強部材は、当接支持部と取付け部とが屈曲して連なって構成され、ボルト頭部とそのボルト頭部に連なるボルト軸部とを有するタッピングボルトを有し、このタッピングボルトは、ボルト軸部が補強部材の当接支持部に穿設された遊通孔を挿通して第1部材のめねじ加工が施されていない下穴に、直接にねじ込むことによって、自らねじ切りをしつつ進み、めねじを塑性変形によって形成して、第1部材と当接支持部とを締付けて当接してねじ接合する。
(3)補強部材は、当接支持部と第2部材とが屈曲して連なって構成され、ボルト頭部とそのボルト頭部に連なるボルト軸部とを有するボルトを有し、このボルトは、ボルト軸部が補強部材の当接支持部に穿設された遊通孔を挿通して第1部材のめねじ加工が施されているねじ孔に螺合して、第1部材と当接支持部とを締付けて当接してねじ接合する。
(4)固定部材は、第2部材と取付け部とをボルト接合またはリベット接合によって、固定する。
(5)鋼構造物は、鋼橋であり、第1部材は、主桁上フランジであり、第2部材は、主桁上フランジと、主桁ウェブと、横桁上フランジとに取付けられるウェブギャップ板である。
(6)鋼構造物は、鋼橋であり、第1部材は、主桁上フランジであり、第2部材は、主桁上フランジと、主桁ウェブと、主桁下フランジとに取付けられる垂直補剛材である。
(7)垂直補剛材には、ガセットを介して対傾構が接合される。
(8)鋼構造物の補強・補修方法は、繰返し荷重が作用する第1部材と、第1部材に接合部で接合されて第1部材を支持する第2部材とを有する鋼構造物の補強・補修方法において、(a)補強部材を準備する準備ステップであって、補強部材は、第1部材の第2部材に臨む面に配置される当接支持部と、当接支持部に連なり、第2部材に沿って延びる取付け部とを有する、補強部材の準備ステップと、(b)当接支持部を、第1部材の前記面に押付けて当接する押付けステップと、(c)押付けステップの押付けて当接した状態を保ったままで、第2部材に補強部材の取付け部を固定し、これによって、前記接合部に作用する繰返し荷重の少なくとも一部を補強部材で受ける固定ステップとを含むことを特徴とする鋼構造物の補強・補修方法である。
(9)補強部材は、当接支持部と取付け部とが屈曲して連なって構成され、ボルト頭部とそのボルト頭部に連なるボルト軸部とを有するタッピングボルトを準備するタッピングボルトの準備ステップを含み、押付けステップでは、タッピングボルトのボルト軸部が補強部材の当接支持部に穿設された遊通孔を挿通して第1部材のめねじ加工が施されていない下穴に、直接にねじ込むことによって、自らねじ切りをしつつ進み、めねじを塑性変形によって形成して、第1部材と当接支持部とを締付けて当接してねじ接合する。
(10)補強部材は、当接支持部と取付け部とが屈曲して連なって構成され、ボルト頭部とそのボルト頭部に連なるボルト軸部とを有するボルトを準備するボルトの準備ステップを含み、押付けステップでは、ボルト軸部が補強部材の当接支持部に穿設された遊通孔を挿通して第1部材のめねじ加工が施されているねじ孔に螺合して、第1部材と当接支持部とを締付けて当接してねじ接合する。
(11)当接支持部を、第1部材の前記面に押付けて当接し、その反力を第2部材で受ける押付け装置を準備する押付け装置の準備ステップを含み、
押付けステップでは、押付け装置によって、当接支持部を、第1部材の前記面に押付けて当接する。
(12)補強部材は、当接支持部と第2部材とが屈曲して連なった構成であり、当接支持部には遊通孔が穿設され、第1部材にはねじ孔が形成されるので、遊通孔がねじ孔上に配置されるように、補強部材を第1部材に位置決めした状態で、ボルトのボルト軸部を遊通孔に挿入してボルトを締付けることによって、第1部材に補強部材の当接支持部がねじ接合される。これによって、補強部材の当接支持部を第1部材の第2部材に臨む面に押付けて当接させた状態とすることができ、補強部材の第1部材への取付け作業を簡素化および容易化し、取付け作業の効率を向上することができる。
(13)固定部材は、第2部材と補強部材の取付け部とをボルト接合またはリベット接合するように構成されるので、当接支持部が第1部材の第2部材に臨む面に押付けられて当接した補強部材の取付け部を、第2部材に容易にかつ迅速に接合することができ、補強部材の第2部材への取付け作業の効率を向上することができる。
(14)鋼橋の主桁上フランジとウェブギャップ板とに補強部材が接合されるので、主桁上フランジとウェブギャップ板との接合部を、補強および補修することができる。
(15)鋼橋の主桁上フランジと垂直補剛材とに補強部材が接合されるので、主桁上フランジと垂直補剛材との接合部を、補強および補修することができる。
(16)垂直補剛材にガセットを介して対傾構が接合されるので、主桁上フランジから垂直補剛材やウェブギャップ板に作用する荷重の少なくとも一部をも、補強部材によって負荷することができ、これによって確実な荷重分配を行ない、過大な応力の発生を防止することができる。
(17)鋼構造物の補強・補修方法によれば、準備ステップで、第1部材の第2部材に臨む面に配置される当接支持部と、当接支持部に連なり、第2部材に沿って延びる取付け部とを有する補強部材が準備される。準備された補強部材は、押付けステップにおいて、当接支持部が第1部材の第2部材に臨む面に押付けられて当接し、次の固定ステップに移ると、当接支持部が第1部材の前記面に押付けられて当接した状態を保ったままで、取付け部が第2部材に固定され、第1部材と第2部材との接合部に作用する繰返し荷重の少なくとも一部が負荷されるように、第1部材および第2部材に補強部材が取付けられ、接合部の亀裂の進展を防ぎ、亀裂発生箇所を補強および補修することができる。
(18)補強部材の取付け作業は、補強部材の当接支持部を第1部材の前記面に押付けて当接させた状態とし、取付け部を固定部材によって第2部材に固定すればよいので、第1部材および第2部材に対して補強部材を取付ける側から行うことができ、前記従来技術のように、第1部材を主桁とし、第2部材を垂直補剛材やウェブギャップ板としたとき、コンクリート床版などの床組や舗装を撤去する必要がなく、床組の下方の空間で補強部材の取付け作業を行うことができる。したがって、亀裂発生箇所の補強・補修作業を、車両や歩行者の通行を制限または停止せずに、実施することができる。
(19)準備ステップにおいて、タッピングボルトが準備され、押付けステップにおいて、遊通孔が下穴上に配置されるように、補強部材を第1部材に位置決めした状態で、タッピングボルトのボルト軸部を遊通孔に挿入して、タッピングボルトを締付けることによって、第1部材に補強部材の当接支持部がねじ接合される。これによって、補強部材の当接支持部を第1部材の第2部材に臨む面に押付けて当接させた状態とすることができ、補強部材の第1部材への取付け作業を簡素化および容易化し、取付け作業の効率を向上することができる。
(20)準備ステップにおいて、ボルトが準備され、押付けステップにおいて、遊通孔がねじ孔上に配置されるように、補強部材を第1部材に位置決めした状態で、ボルトのボルト軸部を遊通孔に挿入してボルトを締付けることによって、第1部材に補強部材の当接支持部がねじ接合される。これによって、補強部材の当接支持部を第1部材の第2部材に臨む面に押付けて当接させた状態とすることができ、補強部材の第1部材への取付け作業を簡素化および容易化し、取付け作業の効率を向上することができる。
(21)準備ステップにおいて、押付け装置が準備され、押付けステップにおいて、当接支持部が第1部材の第2部材に臨む面に押付けられて当接した補強部材の取付け部を、第2部材に容易にかつ迅速に接合することができ、補強部材の第2部材への取付け作業の効率を向上することができる。
1 橋床構造
2 主桁
3 横桁
4 対傾構
5 コンクリート床版
9 ウェブギャップ板
10 垂直補剛材
17 第1ボルト
17a,17b ナット
18 第2ボルト
19 第3ボルト
20 ガセット
21 主桁上フランジ
22 主桁下フランジ
23 主桁ウェブ
25 対傾構
26,26a 補強部材
27 下面
28,28a 当接支持部
29,29a 取付け部
30 押付け装置
31 横桁上フランジ
35,50,51 下穴
36 フィラープレート

Claims (4)

  1. (a)鋼橋の橋床構造は、
    繰返し荷重が作用する第1部材と、
    第1部材に接合部で接合されて第1部材を支持する第2部材とを有し、
    (b)第2部材の厚さ方向の両側に設けられる一対の補強部材と、
    押付け装置と、
    固定部材とを準備し、
    (b1)各補強部材は、
    第1部材の第2部材に臨む面に配置される当接支持部と、
    当接支持部に連なり、前記面から第2部材に沿って遠ざかる方向に、第2部材の途中まで延び、前記面から異なる距離に形成される第1挿通孔、および第2挿通孔を有する取付け部とを有し、
    第2挿通孔には、固定部材が挿通可能であり、
    (b2)押付け装置は、
    一対の細長い第1および第2連結部と、
    第2部材の厚さ方向の一方側で、第1連結部の一端部と第2連結部の一端部とにわたって延び、軸線まわりに回転駆動されて第1連結部の一端部と第2連結部の一端部とを相互に離間方向に変位駆動する第1ねじ棒と、
    第2部材の厚さ方向の他方側で、第1連結部の他端部と第2連結部の他端部とにわたって延び、軸線まわりに回転駆動されて第1連結部の他端部と第2連結部の他端部とを相互に離間方向に変位駆動する第2ねじ棒とを有し、
    第1連結部は、第1挿通孔に挿通可能であり、
    (c)第2部材に、
    第1挿通孔に対応する位置で、第1連結部が挿通可能な第3挿通孔を形成し、
    第2挿通孔に対応する位置で、固定部材が挿通可能な第4挿通孔を形成するとともに、
    前記面から第2部材に沿って取付け部よりも遠ざかった位置で、第2連結部が挿通可能な第5挿通孔を形成し、
    前記面に補強部材の当接支持部が当接している状態では、補強部材の第1挿通孔を規定する内周面の、第1部材の第2部材に臨む前記面に最も近い部分は、第2部材の第3挿通孔を規定する内周面の前記面に最も近い部分よりも、第1部材の第2部材に臨む前記面から遠ざかって突出するように取り付けられ、
    (d)押付け装置の第1連結部を、第1挿通孔および第3挿通孔に挿通し、
    第2連結部を、第5挿通孔に挿通し、
    第1および第2ねじ棒を前記回転駆動して、第1および第2連結部を相互に離間方向に変位駆動することによって、第2連結部を、第2部材の第5挿通孔を規定する内周面の前記面から最も遠い部分に支持して、第1連結部によって、取付け部の第1挿通孔を規定する内周面の前記面に最も近い部分を、前記面に向けて押して、第1部材の前記面に補強部材の当接支持部を押付けて当接させた状態とし、
    (e)前記面に当接支持部を押付けて当接させた状態で、第2挿通孔と第4挿通孔とに、固定部材を挿通して、第2部材に取付け部を固定することを特徴とする鋼橋の補強・補修方法。
  2. 第1部材は、主桁上フランジであり、
    第2部材は、主桁上フランジと、主桁ウェブと、主桁下フランジとに取付けられる垂直補剛材であることを特徴とする請求項1に記載の鋼構造物の補強・補修方法。
  3. (a)鋼橋の橋床構造は、
    主桁上フランジ、主桁ウェブ、および横桁上フランジにウェブギャップ板が溶接によって接合されて構成され、
    (b)ウェブギャップ板の厚さ方向の両側に設けられる一対の補強部材、タッピングボルト、および固定部材を準備し、
    (b1)各補強部材は、
    主桁上フランジのウェブギャップ板に臨む下面に沿って配置され、タッピングボルトが挿通する遊通孔が形成される当接支持部、および
    当接支持部に連なり、ウェブギャップ板に沿って配置され、固定部材が挿通可能な第1挿通孔が形成される取付け部を備え、
    当接支持部および取付け部が屈曲してL字状に形成され、
    (b2)タッピングボルトは、ボルト頭部、およびそのボルト頭部に連なるボルト軸部を有し、
    (c)ウェブギャップ板に、第1挿通孔に対応する位置で、固定部材が挿通可能な第2挿通孔を形成し、
    (d)主桁上フランジに、当接支持部の遊通孔に対応する位置で、タッピングボルトをねじ込むためのめねじ加工が施されていない下穴を形成し、
    (e)タッピングボルトのボルト軸部を、遊通孔を挿通して、下穴にねじ込むことによって、自らねじ切りをしつつ進み、めねじを塑性変形によって形成し、
    タッピングボルトを締付けることによって、主桁上フランジに補強部材の当接支持部がねじ接合され、これによって、補強部材の当接支持部を主桁上フランジのウェブギャップ板に臨む面に押付けて当接させた状態とし、ボルト軸部の端部は、主桁上フランジの上面と面一であり、
    (f)第1挿通孔、および第2挿通孔に、固定部材を挿通して、ウェブギャップ板に取付け部を固定することを特徴とする鋼橋の補強・補修方法。
  4. (a)鋼橋の橋床構造は、
    主桁上フランジ、主桁ウェブ、および横桁上フランジにウェブギャップ板9が溶接によって接合されて構成され、
    (b)ウェブギャップ板の厚さ方向の両側に設けられる一対の補強部材を有し、
    (b1)各補強部材は、
    主桁上フランジのウェブギャップ板に臨む下面に沿って配置され、タッピングボルトが挿通する遊通孔が形成される当接支持部、および
    当接支持部に連なり、ウェブギャップ板に沿って配置され、固定部材が挿通可能な第1挿通孔が形成される取付け部を備え、
    当接支持部および取付け部が屈曲してL字状に形成され、
    (b2)タッピングボルトは、ボルト頭部、およびそのボルト頭部に連なるボルト軸部を有し、
    (c)ウェブギャップ板に、第1挿通孔に対応する位置で、固定部材が挿通可能な第2挿通孔が形成され、
    (d)主桁上フランジに、当接支持部の遊通孔に対応する位置で、タッピングボルトをねじ込むためのめねじ加工が施されていない下穴が形成され、
    タッピングボルトのボルト軸部を、遊通孔を挿通して、下穴にねじ込むことによって、自らねじ切りをしつつ進み、めねじを塑性変形によって形成し、
    タッピングボルトを締付けることによって、主桁上フランジに補強部材の当接支持部がねじ接合され、これによって、補強部材の当接支持部を主桁上フランジのウェブギャップ板に臨む面に押付けて当接させた状態とし、ボルト軸部の端部は、主桁上フランジの上面と面一であり、
    (e)第1挿通孔、および第2挿通孔に、固定部材を挿通して、ウェブギャップ板に取付け部を固定することを特徴とする鋼橋の補強・補修構造。
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