JP6908542B2 - 鋼桁の支承部周辺の補強方法 - Google Patents

鋼桁の支承部周辺の補強方法 Download PDF

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Description

本発明は、橋脚や橋台などの上に配置されたソールプレート上に載置されて繰り返し荷重が載荷される鋼桁の支承部周辺の補強方法及び補強構造に関するものである。
特許文献1−3及び非特許文献1に開示されているように、橋梁の橋桁などの鋼製部材には、列車荷重や自動車の走行荷重などの繰り返し載荷される荷重によって疲労き裂が生じることが知られている。
これらの文献には、橋脚の上端面に設けられる支承のソールプレート上に鋼桁が載置される支承部の構造において、ソールプレート周辺の鋼桁の端部に発生するき裂の補修方法や補強方法などが開示されている。
ここで、既設の橋梁においては、ソールプレートを取り外してき裂の補修を行う場合には、施工の制約条件が多い中でジャッキアップなどをして仮受けを行わなければならず、簡単に実施することが難しい。そこで、き裂の進展を抑えるためのいくつかの提案がされている。
例えば特許文献1では、ソールプレートと鋼桁の下フランジとを、溶接やボルト締結によって接合させることで、き裂の進展を抑える方法が開示されている。
また、特許文献2には、鋼桁の下フランジの上側に載せた添接板をタップボルトで下フランジに固定するとともに、ソールプレートから外れた位置において添接板と下フランジとを高力ボルトで固定する補強構造が開示されている。
さらに、特許文献3及び非特許文献1には、鋼桁の腹板と端補剛材と下フランジとの3面に対して当板を施す3面当板部材を使用した補修方法が開示されている。
特開2004−346518号公報 特開2000−288726号公報 特開2016−142034号公報
大谷将一朗、西田寿生、「支承部付近の疲労き裂に対する3面当板工法の改良について」、土木学会第66回年次学術講演会講演概要集、2011年9月、I-125,pp.249 - 250
しかしながら特許文献1,2のように鋼桁の下フランジに対してボルトを使用する場合は、ナット又はボルトヘッドが下フランジの下面側に配置されることになることから、鋼桁下の狭いスペースでの上向き作業を行わなければならなくなる。
一方、特許文献3及び非特許文献1に開示された3面当板部材を使用する方法では、下フランジの下面側に下フランジ補強板を取り付けたり、下フランジとボルト接合をしたりするなど、鋼桁下の狭いスペースでの上向き作業を行わなければならない。
そこで、本発明は、鋼桁の上方のみからの作業で支承部周辺のき裂の進展を抑えることが可能な鋼桁の支承部周辺の補強方法及び補強構造を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の鋼桁の支承部周辺の補強方法は、ウェブと下フランジとの間を前記ウェブの側面に対して略直交する鉛直面が形成されるように繋ぐ補剛材が設けられた箇所が、ソールプレート上に載置されて繰り返し荷重が載荷される鋼桁の支承部周辺の補強方法であって、前記補剛材の鉛直面に対して背部が対向されるとともに底部が前記下フランジに対向されるように側面視L字状のL形材を配置する工程と、前記L形材の前記背部と前記補剛材とを貫通するパイロットピンを挿入する工程と、前記L形材の前記底部と前記下フランジとを貫通させて前記ソールプレートにタップ穴を設ける工程と、前記タップ穴に対してタップボルトをねじ込むことで、前記下フランジの下面を前記ソールプレートの上面に密着させる工程と、前記背部と前記補剛材とをボルト接合する工程とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の鋼桁の支承部周辺の補強構造は、ウェブと下フランジとの間を前記ウェブの側面に対して略直交する鉛直面が形成されるように繋ぐ補剛材が設けられた箇所が、ソールプレート上に載置されて繰り返し荷重が載荷される鋼桁の支承部周辺の補強構造であって、前記補剛材の鉛直面に対して背部を対向させるとともに底部を前記下フランジに対向させて配置された側面視L字状のL形材と、前記L形材の前記底部と前記下フランジとを貫通して前記ソールプレートにねじ込まれたタップボルトと、前記背部と前記補剛材とを接合させるボルト接合部とを備えたことを特徴とする。
ここで、前記L形材の前記背部には、丸穴と長穴とが穿孔されている構成とすることができる。また、前記L形材は、前記補剛材を挟んだ両側及び前記ウェブを挟んだ両側にそれぞれ配置されている構成とすることができる。
このように構成された本発明の鋼桁の支承部周辺の補強方法及び補強構造では、ウェブと下フランジとを繋ぐ補剛材に対してL形材を配置し、補剛材とL形材とをパイロットピンで連結した後に、底部にタップボルトをねじ込むことで下フランジの下面をソールプレートの上面に密着させる。
このL形材を配置する工程、タップ穴を設けてタップボルトをねじ込む工程及びボルト接合する工程は、いずれも鋼桁の上方のみからの作業で実施することができる。
そして、下フランジの下面をソールプレートの上面に密着させることで、繰り返し荷重が載荷されても下フランジの独立した振幅が起きなくなって、支承部周辺のき裂の進展を抑えることができる。
さらに、補剛材及びL形材を介してウェブと下フランジとが連結されていれば、下フランジの下面とソールプレートの上面とが最も離隔しやすいウェブ周辺が密着されて、下フランジとソールプレートとを確実に一体化させることができる。また、鋼桁に作用した荷重が、L形材を介して下フランジ及びソールプレートに伝達される力の伝達経路が形成されることによって、き裂が発生又は発生しやすいウェブと下フランジとの隅角部に発生する応力を低減することができる。
また、パイロットピンを挿入する穴を丸穴として密着させれば、パイロットピンを介した応力の伝達を効率的に行わせることができる。また、それ以外の穴を長穴とすることで、パイロットピンを中心にL形材が回転して傾いたとしても、ボルト接合を行うことが容易にできる。
さらに、補剛材を挟んだ両側及びウェブを挟んだ両側の4箇所にL形材を配置することで、き裂が発生しやすい支承部周辺を確実に補強することができるようになる。
本実施の形態の鋼桁の支承部周辺の補強構造を説明するための説明図である。 リベット桁に支えられた橋梁の概略構成を説明する斜視図である。 ウェブの両側にき裂が発生したリベット桁に起き得る状況を説明する図であって、(a)は補修前の状態を示した断面図、(b)はタップボルトのみで補修した場合の状態を示した断面図である。 L形材にパイロットピンを挿入する工程を説明する斜視図である。 L形材と補剛材とがパイロットピンによって連結された状態を説明する断面図である。 本実施の形態の鋼桁の支承部周辺の補強構造を説明する断面図である。 本実施の形態の鋼桁の支承部周辺の補強構造を説明するための平面図である。 支承部周辺の構成及び効果確認試験の計測位置を示した説明図である。 補強前後の変位分布を比較した図である。 補強前後の主応力分布を比較した図である。 補強前後の応力分布を比較した図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の鋼桁の支承部周辺の補強方法及び補強構造を説明するための図であり、図2は、鋼桁によって支えられる橋梁1の概略構成を例示した説明図である。
まず、図2を参照しながら、橋梁1の構成の一例について説明する。この橋梁1は、例えば鋼桁の1種であるリベット桁3を備えている。リベット桁3は、橋台と橋脚11との間、又は橋脚11,11間に架け渡される。
また、平行に架け渡された複数のリベット桁3,・・・上には、プレストレストコンクリートや鉄筋コンクリートなどによって構築された床版12が敷設される。なお、床版12は鋼製であってもよい。
そして、リベット桁3の端部は、橋脚11の上端面111の上に設置された支承部2の上に載置される。
この支承部2は、例えば橋脚11の上端面111に載置される平板状の座部23と、その座部23の上に設置される沓部22と、沓部22とリベット桁3との間に介在されるソールプレート21とによって、主に構成される。
ここで、座部23は、ゴムなどによって成形されており、沓部22及びソールプレート21は、鋼材によって形成されている。そして、図1に示すように、平板状のソールプレート21の上面211にリベット桁3の端部が載せられる。
リベット桁3は、図1,2に示すように、上下に平行に配置される上フランジ33及び下フランジ31と、上フランジ33と下フランジ31との間を繋ぐウェブとなる腹板32とによって、主に構成される。
さらに詳細には、腹板32の両側に取り付けられる断面視略L字形の山形鋼310,310の下面311,311が形成される部分が、リベット桁3の下フランジ31,31となる。なお、上フランジ33の構成も下フランジ31と同様になるため、詳細な説明は省略する。
そして、ソールプレート21上に配置されるリベット桁3の端部には、腹板32の両側に補剛材34,34が配置される。この補剛材34は、例えば図7の平面図に示すように、一対の山形鋼の背面同士を重ね合わせて形成される。すなわち補剛材34には、腹板32の側面に略直交する鉛直面341が形成されて、下フランジ31と上フランジ33との間を連結させる。
リベット桁3においては、大部分の鋼材同士の接合がリベット35によって行われる。図2及び図8に示すように、リベット桁3,3間の接続も、ガセットプレート36にブレース材361や横材362などをリベット35で接合させることによって行われる。
このような構成となる橋梁1には、例えば鉄道橋であれば、列車の走行により繰り返し荷重が載荷される。また、道路橋であっても、自動車の走行により繰り返し荷重が載置される。
列車や自動車の走行により床版12に作用した力は、床版12の下に平行に配置された複数のリベット桁3,・・・に伝達される。そして、リベット桁3に作用した力は、下フランジ31からソールプレート21に伝達される。
この結果、ソールプレート21上では、力の作用と除荷の繰り返しにより下フランジ31の上下動が繰り返される。図3は、長年にわたって繰り返し荷重が載荷されたリベット桁3の下フランジ31,31周辺の状態を示した図である。
図3(a)に示すように、長期にわたって使用されたソールプレート21の上面211と下フランジ31,31の下面311,311との間には、繰り返し荷重による磨耗の繰り返しによって、隙間Sが生じることになる。ここで2点鎖線は、ソールプレート21の上面211の損耗前形状210を示している。
なお、本実施の形態ではソールプレート21のみが損耗しているとして説明するが、これに限らず、下フランジ31の下面311が損耗する場合もある。
ソールプレート21の上面211が損耗していても、列車走行などによる荷重がリベット桁3に作用していないときには、図3(a)に示すように、ソールプレート21の上面211と下フランジ31,31の下面311,311との間には隙間Sが空いた状態になる。
ここで、腹板32に対して鉛直方向に列車荷重T(図1参照)が載荷されると、腹板32とともに下フランジ31,31が隙間Sを塞ぐように下方に変動することになる。
通常は、腹板32の真下付近のソールプレート21の損耗が最も激しくなるため、下フランジ31を構成する山形鋼310は、内角側が鋭角となるように変形して応力集中が発生することになる。
そして、応力集中が何度も繰り返されると、下フランジ31や腹板32の応力集中箇所にき裂Rが生じることになる。例えば、腹板32の両側にき裂R,Rが発生した場合、き裂R,Rの進展を抑えるための補修や補強などの対策工が必要となる。
そこで、リベット桁3に対して、図3(b)に示すように、タップボルト4,4によって下フランジ31,31とソールプレート21とを接合させる補修を行ったとする。
このような補修の結果、き裂R,R位置などで段差箇所D,Dのような目違いが発生してしまうと、充分な補修や補強の効果が得られなくなるケースがある。
そこで、本実施の形態の鋼桁の支承部周辺の補強方法及び補強構造では、リベット桁3の支承部2上の下フランジ31にき裂Rが発生しても、効果的に補強してき裂Rの進展を抑えることができる方法について説明する。
本実施の形態の鋼桁の支承部周辺の補強方法及び補強構造では、補剛材34と下フランジ31とを連結するL形材5を配置する。L形材5は、図4に示すように、鉛直方向に起立する背部51と水平方向に延伸される底部52とによって、側面視L字状に形成される。
長方形板状の背部51は、補剛材34の鉛直面341に対向させる。また、長方形板状の底部52は、リベット桁3の下フランジ31の上面に対向させる。L形材5は、L形鋼の一部を切断したり、2枚の鋼板を略直交するように接合させたりするなどして製作することができる。
補剛材34に対向させる背部51には、例えば図5に示すように、補剛材34に予め取り付けられていたリベット35を挿通させたリベット穴351の位置に合わせて、複数の穴が穿孔される。そして、複数の穴の一つは、パイロットピン7を挿入するための丸穴54にする。
丸穴54は、図4に示すように、パイロットピン7の外径とほぼ同じ(又は僅かに大きい)内径に形成される。すなわち、パイロットピン7を丸穴54に密着させることで、補剛材34とL形材5との間の応力伝達が確実に行われるようになる。また、パイロットピン7を中心にした回転は許容されるので、底部52と下フランジ31とを一体化させる際に、L形材5を傾けることができる。
背部51に設けられる丸穴54以外の穴は、例えば長穴53にすることができる。本実施の形態では、最下段の穴を丸穴54とし、その上方に間隔を置いて2箇所に長穴53,53を設ける場合について説明する。
長穴53は、ボルト接合に使用されるボルト6の軸の直径よりも高い高さで、背部51の幅方向に長い穴に形成される。ボルト接合のための穴を長穴53にすることで、背部51が傾いたとしても、補剛材34のリベット穴351にボルト6を挿入することが可能になる。
一方、底部52には、タップボルト4を挿入するための先穴521が穿孔される。先穴521は、リベット桁3の腹板32側と下フランジ31の外縁側の例えば2箇所に設けることができる。
先穴521に挿入されるタップボルト4は、図6に示すように、下フランジ31とソールプレート21とを連通するように穿孔されたタップ穴41にねじ込まれることになる。すなわち、タップ穴41の内周には雌ネジが刻まれていて、タップボルト4をねじ込むことで、底部52と下フランジ31とソールプレート21とを一体化させることができる。
L形材5は、補剛材34,34を挟んだ両側及び腹板32を挟んだ両側にそれぞれ配置される。すなわち図7に示すように、平面視長方形のソールプレート21の上方は、橋軸方向に延びる腹板32とその両側に直交する補剛材34,34とによって、4つの区画に区切られる。そこで、各区画にL形材5をそれぞれ配置し、補剛材34と下フランジ31とを連結させる。
ここで図7において、き裂Rはすべての区画に生じている図としているため、L形材5を配置する補強によって、き裂Rのさらなる進展を抑えることができる。また、き裂Rが生じていない区画にL形材5を配置した場合は、き裂Rの発生を含めた進展を抑えることができる。
本実施の形態の鋼桁の支承部周辺の補強方法を工程の順に説明すると、まず、L形材5に接する範囲の補剛材34のリベット35を予め外し、リベット穴351を露出させておく。
続いて図4に示すように、補剛材34の鉛直面341に対して背部51が対向されるとともに、底部52が下フランジ31に対向されるようにL形材5を配置する。このL形材5は、補剛材34を挟んだ両側に配置される。
そして、L形材5の背部51と補剛材34と反対側の背部51とを貫通するように、パイロットピン7を挿入する。図5は、パイロットピン7が挿入された状態を示している。この段階では、L形材5は傾いていないので、長穴53を投影した略中央に補剛材34のリベット穴351が配置されている。
一方、腹板32に近接するソールプレート21の上面211は損耗しており、下フランジ31,31の下面311,311と上面211との間には、隙間Sが生じている。
このようにパイロットピン7によってL形材5を仮固定した後に、底部52の先穴521をガイドにして、下フランジ31とソールプレート21とを貫通するタップ穴41を設ける。
ここでは、下フランジ31とソールプレート21に連続して雌ネジを設けることとするが、必ずしもそれに限定されるものではない。例えば下フランジ31はネジ溝がない単なる穴とし、ソールプレート21にだけ雌ネジが刻まれたタップ穴41を設けることもできる。
続いて、図6に示すように、底部52の上方から、下フランジ31及びソールプレート21のタップ穴41に向けてタップボルト4をねじ込む。このタップボルト4のねじ込みは、下フランジ31の下方への変形が生じなくなるまで行う。下フランジ31の沈み込みが停止すれば、下フランジ31の下面311をソールプレート21の上面211に密着させることができたと言える。
タップボルト4,4によってL形材5がソールプレート21に固定された後に、パイロットピン7を背部51から引き抜く。パイロットピン7を撤去して開口された丸穴54には、ボルト6を挿入する。
ボルト6の軸部の外径が丸穴54の内径よりも遊びがある程度に細ければ、ボルト6を容易に挿し込むことができる。ボルト6は、図7に示すように、背部51と補剛材34と反対側の背部51とを通って、ナット61によって反対側の背部51に定着される。このボルト6には、例えば高力ボルトが使用できる。
また、丸穴54の上方の長穴53,53に対しても、それぞれボルト6,6を挿入してボルト接合を行う。ここで、タップボルト4のねじ込みによって背部51が傾いていたとしても、長穴53の投影範囲に補剛材34のリベット穴351が重なっていれば、容易にボルト6を挿し込むことができる。なお、背部51が傾く前に、予め長穴53にボルト6を挿し込んで仮締めしておくこともできる。こうすることで、背後のリベット穴351が長穴53の投影範囲から外れることを防ぐことができる。
そして、背部51の丸穴54及び長穴53,53に通されたボルト6を、先端側に装着されたナット61とともに締め付けることで、補剛材34とその両側に配置されたL形材5,5とをボルト接合によって一体化させる。
次に、本実施の形態の鋼桁の支承部周辺の補強方法及び補強構造の作用について、その効果を確認するために行った試験の結果を交えて説明する。
図8は、効果確認試験に使用したリベット桁3のソールプレート21周辺の構成を示した図である。ここで、M1−M4は、変位の計測点を示している。効果確認試験では、最大2.5mmとなる凹みが上面211に設けられたソールプレート21を使用し、P=420kNの下向きの荷重を腹板32に対して作用させた。
図9は、補強前後の変位分布を比較した図である。この図は、計測点M1−M4のプロット間を単純に繋いだだけの図であるが、補強前の計測点M1−M4のプロットの連結線(破線)は、ソールプレート21の上面211の損耗した形状に近い形状を示しているとも言える。
そして、補強によって下フランジ31の下面311をソールプレート21の上面211に密着させると、変位は補強前の約20%以下と大幅に減少された。変位の減少効果は、補強前の変位が大きくなっていた腹板32の近辺で顕著に現れる。このことは、腹板32自体で計測された変位の減少結果(補強前の変位2.1mm、補強後の変位0.5mm)によっても確認できる。
図10及び図11は、き裂Rの先端にストップホールを設けて、その周辺で応力を測定した結果を示している。き裂Rの先端付近の応力が補強によって減少すれば、き裂Rの進展を抑えることができると言える。
図10(a),(b)は、補剛材34を挟んだ両側に生じた2つのき裂R,Rの先端にそれぞれ設けられたストップホール周辺で測定された応力を、最大主応力と最小主応力で示している。いずれのき裂R,Rにおいても、補強前後で最大主応力及び最小主応力が減少していると言える。特に最小主応力は、補強前の10%以下と大幅に減少された。
一方、図11は、き裂Rの先端から離れた位置でそれぞれ測定された応力を示している。この図を見ても、補強前は負の応力が大きくなる箇所が現れていたのに対し、補強後は、いずれの位置においてもほとんど応力が発生していない(補強前の10%以下)ことが分かる。要するに、繰り返しの荷重が作用しても応力集中が発生しなくなり、き裂Rが進展しにくい状態になっていると言える。
このように構成された本実施の形態の鋼桁の支承部周辺の補強方法及び補強構造では、腹板32と下フランジ31とを繋ぐ補剛材34に対してL形材5を配置し、補剛材34とL形材5とをパイロットピン7で連結した後に、タップボルト4をねじ込むことで下フランジ31の下面311をソールプレート21の上面211に密着させる。
このL形材5を配置する工程、タップ穴41を設けてタップボルト4をねじ込む工程及びボルト接合する工程は、いずれもリベット桁3の上方のみからの作業で実施することができる。すなわち、橋脚11の上端面111と下フランジ31の下面311との間の狭いスペースに入り込んで、上向きの作業を行う必要がない。
そして、下フランジ31の下面311をソールプレート21の上面211に密着させて隙間Sを無くすことで、列車荷重Tなどの繰り返し荷重が載荷されても下フランジ31の独立した振幅が起きなくなって変動が減少し、支承部2周辺のリベット桁3の下フランジ31や腹板32などのき裂Rの進展を抑えることができる。
さらに、補剛材34及びL形材5を介して腹板32と下フランジ31とが連結されていれば、下フランジ31の下面311とソールプレート21の上面211とが最も離隔しやすい腹板32周辺が密着されて、下フランジ31とソールプレート21とを確実に一体化させることができる。
また図1に矢印で示すように、リベット桁3に作用した列車荷重Tが、L形材5を介して下フランジ31及びソールプレート21に伝達される力の伝達経路が形成されることによって、き裂Rが発生又は発生しやすい腹板32と下フランジ31との隅角部に発生する応力を低減することができる。
また、パイロットピン7を挿入する穴を丸穴54として密着させれば、パイロットピン7を介した応力の伝達を効率的に行わせることができる。また、それ以外の背部51に設けられる穴を長穴53とすることで、パイロットピン7を中心にL形材5が回転して傾いたとしても、ボルト接合を容易に行うことができる。
さらに、補剛材34を挟んだ両側及び腹板32を挟んだ両側の4箇所にL形材5,・・・を配置することで、き裂Rが発生しやすい支承部周辺を確実に補強することができるようになる。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば前記実施の形態では、断面視略I字形のリベット桁3を鋼桁として説明したが、これに限定されるものではなく、溶接によって接合が行われる鋼桁に対しても本実施の形態の鋼桁の支承部周辺の補強方法及び補強構造を適用することができる。要するに、下フランジを有する鋼桁であれば、どのような形態のものにも適用することができる。
また、前記実施の形態では、ボルト6とナット61によって補剛材34とその両側の背部51,51とを一体化させる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、補剛材34のリベット穴351の内周面に雌ネジを刻んでタップ穴とし、背部51側から高張力のタップボルトを補剛材34のタップ穴に向けてねじ込むことによって、補剛材34の鉛直面341ごとに背部51とボルト接合させることができる。
さらに、前記実施の形態では、補剛材34に予め設けられたリベット穴351を再利用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、補剛材34のボルト接合をさせやすい位置に、新たに穴を穿孔することもできる。
R き裂
T 列車荷重(繰り返し荷重)
2 支承部
21 ソールプレート
211 上面
3 リベット桁(鋼桁)
31 下フランジ
311 下面
32 腹板(ウェブ)
34 補剛材
341 鉛直面
4 タップボルト
41 タップ穴
5 L形材
51 背部
52 底部
53 長穴
54 丸穴
6 ボルト(ボルト接合)
7 パイロットピン

Claims (3)

  1. ウェブと下フランジとの間を前記ウェブの側面に対して略直交する鉛直面が形成されるように繋ぐ補剛材が設けられた箇所が、ソールプレート上に載置されて繰り返し荷重が載荷される鋼桁の支承部周辺の補強方法であって、
    前記補剛材の鉛直面に対して背部が対向されるとともに底部が前記下フランジに対向されるように側面視L字状のL形材を配置する工程と、
    前記L形材の前記背部と前記補剛材とを貫通するパイロットピンを挿入する工程と、
    前記L形材の前記底部と前記下フランジとを貫通させて前記ソールプレートにタップ穴を設ける工程と、
    前記タップ穴に対してタップボルトをねじ込むことで、前記下フランジの下面を前記ソールプレートの上面に密着させる工程と、
    前記背部と前記補剛材とをボルト接合する工程とを備えたことを特徴とする鋼桁の支承部周辺の補強方法。
  2. 前記L形材の前記背部には、前記パイロットピンを挿入する丸穴と、ボルトを挿入する長穴とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の鋼桁の支承部周辺の補強方法。
  3. 前記L形材は、前記補剛材を挟んだ両側及び前記ウェブを挟んだ両側にそれぞれ配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼桁の支承部周辺の補強方法。
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