(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図1は本実施形態の検査制御装置の構成の概要を示したものである。本実施形態の検査制御装置は、部品情報保存手段1と、設定算出手段2と、グループ生成手段3と、順番決定手段4と、撮像制御手段5を備えている。
部品情報保存手段1は、検査対象の基板の両面にそれぞれ搭載されている部品の大きさの情報および基板と部品との接続部の位置の情報を含む部品情報を保存している。設定算出手段2は、X線発生器から基板にX線を照射する際のX線の照射角度を、基板の両面に搭載された部品と基板とのそれぞれの接続部付近の所定の領域ごとに撮像条件として部品情報を基に算出する。グループ生成手段3は、設定算出手段2が算出した撮像条件が、ほぼ同一とみなせる所定の領域ごとにグループを形成する。順番決定手段4は、複数のグループの撮像に要する時間が短縮化されるように撮像するグループの順番を所定の基準により決定する。撮像制御手段5は、基板を透過したX線画像を撮像する際に、順番決定手段4が決定したグループの順番に基づいて、グループごとの撮像条件となるようにX線発生器およびX線検出器を制御する。
本実施形態の検査制御装置では、X線検出器からX線を照射する際のX線の照射角度を、設定算出手段2が部品情報を基に基板両面に搭載された部品と基板との接続部付近の所定の領域ごとに撮像条件として算出している。このように、基板と部品との接続部の位置の情報を含む部品情報を基に算出した撮像条件にX線発生器等を制御することで、基板と基板の両面の部品との接続部付近の画像が完全に重なる状態を避けることができる。そのため、本実施形態の検査制御装置では、X線画像を基にした、基板と部品の接続部付近の所定の領域ごとの異常の有無の確認を容易に行うことができるようになる。
また、本実施形態の検査制御装置では、グループ生成手段3が、撮像条件がほぼ同じ部品ごとにグループを形成し、順番決定手段4が、グループを単位として撮影の順番を撮像に要する時間が短縮化されるように決定している。撮像制御手段5が、順番決定手段4が決定した順番に従って撮像条件が同じグループごとに撮像を制御することで、所定の領域ごとに撮像を行うよりも、所定の領域の撮像を全て行うために要する時間を抑制することができる。以上より、本実施形態の検査制御装置では、基板の両面で部品が重なっているような基板であっても異常の有無の検出精度を維持しつつ、撮像に要する時間を抑制してX線画像を得ることができる。その結果、本実施形態の検査制御装置では、検査精度を維持しつつ、検査に要する時間を短縮化して基板の検査を行うことができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図2は、本実施形態のX線検査装置の構成の概要を示したものである。本実施形態のX線検査装置は、X線源11と、X線検出器12と、基板保持部13と、検査制御部14を備えている。
本実施形態のX線検査装置は、両面に半導体装置などの部品が搭載されたプリント基板などの基板15の透過のX線画像を撮像して検査する装置である。本実施形態のX線検査装置は、ラミノグラフィ方式に基づいて基板15のX線画像の撮像を行う。撮像方式は、ラミノグラフィ方式以外の他の方式で行ってもよい。他の撮像方式としては、例えば、CT(Computed Tomography)方式を用いることができる。
図3は、本実施形態のX線検査装置で基板の検査を行う際の装置の動作を模式的に示した図である。図3では基板15の両面のほぼ同じ位置に、部品Aと部品Bがはんだにより基板15に接続および固定化されて搭載されている。X線源11から検査対象となる基板15に向けて照射されたX線は、ディテクタであるX線検出器12で検出される。
図3の一番左側の図では部品Aおよび部品Bのほぼ真上からX線が照射されているため、X線検出器12の位置における部品Aの透過像と部品Bの透過像は重なっている。従って、X線検出器12で検出されたX線を基に生成されるX線画像は、部品Aと部品Bの透過像が重なった画像となる。そのため、図3の一番左側の図の状態では部品Aや部品Bと基板との接続部付近に異常があった場合でも、X線の透過画像から部品Aや部品Bと基板との接続部付近の異常の有無を判断することは困難である。
一方で、X線源11を回転させて図3の中央や右側の図のようにX線を照射すると、X線検出器12における部品Aと部品Bの透過像はそれぞれ別の位置に形成される。そのため、図3の中央や右側の図のようにX線を照射した際に、X線検出器12で検出したX線の強度を基にしたX線画像では部品Aと部品Bは別の位置に別れている。そのため、X線画像を基に部品Aや部品Bと基板との接続部付近の異常の有無を判断することが可能となる。
本実施形態のX線検査装置の構成について詳細に説明する。X線源11は、基板検査に必要なX線を照射する機能を有する。X線源11は、検査対象の基板に照射するX線の発生および出力を行うX線管をX線発生器として備えている。X線発生器であるX線源11のX線管は、検査制御部14からX線源制御信号S1として送られてくる制御信号に基づいて、検査対象となる基板等にX線を照射する。また、本実施形態のX線源11のX線管は、検査制御部14から送られてくるX線源制御信号S1に基づいて、回転して位置を変えることで検査対象に対するX線の照射角度を変更する。X線の照射角度や照射位置の変更は、回転だけでなくX軸やY軸方向、すなわち、検査対象面に対して水平方向に検査制御部14が可動な構成とすることで行われてもよい。また、X線源11を固定とし、基板保持部13およびX線検出器12を動かすことで、検査対象の基板15に対するX線の照射角度を変更する構成としてもよい。
X線検出器12は、X線源11から照射され基板を透過したX線を検出する機能を有する。X線検出器12は、X線源11から照射されて基板を透過したX線の強度を検出する。X線検出器12は、例えば、FPD(Flat Panel Detector)によりX線を検出して電気信号に変換する。X線検出器12は、検査制御部14から検出器制御信号S2として送られてくる制御信号に基づいて動作する。X線検出器12は、検出したX線の強度のデータを検出データ信号S3として検査制御部14に送る。本実施形態のX線検出器12は、基板水平方向への可動機構を備え、X線源11および検査対象の基板15との相対的な位置関係が検査制御部14によって制御される。X線検出器12は、垂直方向に可動としてもよく、また、固定されていてもよい。
基板保持部13は、検査対象となる基板を保持する機能を有する。基板保持部13は、X線源11とX線検出器12の間で検査対象の基板を保持する。例えば、FPDをX線検出器12として用いた場合には、基板保持部13は、X線検出器12の検出面に対して、基板が水平になるように基板を保持する。基板保持部13は、検査対象となる領域において基板を透過したX線を吸収しないように設計されている。また、検査保持部13は、搬送装置等によって自動的に検査対象の基板のセットや交換ができる構成としてもよい。また、検査保持部13が検査制御装置14からの制御信号に基づいて動く構成としてもよい。また、図2および図3の例では、基板15の水平面が図の横方向になるように保持されているが、基板15の水平面が縦方向など他の方向にセットされる装置構成としてもよい。
検査制御部14の構成について説明する。図4は、本実施形態の検査制御部14の構成の概要を示した図である。図4に示す通り、検査制御部14は、搭載干渉チェック部21と、搭載情報保存部22と、部品情報保存部23と、撮像条件判断部24と、撮像グループ生成部25と、撮像制御部26と、画像取得部27と、画像保存部28を備えている。
搭載干渉チェック部21は、検査対象の基板の部品の重なりなどの干渉の有無を判断する機能を有する。搭載干渉チェック部21は、撮像制御部26から部品の情報を要求する信号を情報要求信号S21として受け取ると、搭載情報保存部22を参照し検査対象の基板に搭載されている部品と部品の位置の情報を取得する。部品の位置の情報には、基板と部品の接続部付近の所定の領域の位置情報も含まれる。本実施形態において基板と部品の接続部付近の所定の領域とは、部品との接続部としてランドが形成されている箇所のことをいう。接続部付近の所定の領域は、基板のランド以外の他の箇所であってもよい。また、搭載干渉チェック部21は、部品情報保存部23を参照して各部品の大きさの情報を取得する。
搭載干渉チェック部21は、部品、部品の位置および部品の大きさの情報を基に、各部品について基板反対側の部品との重なりによる干渉の有無を確認し、重なりのある部品のリストを生成する。搭載干渉チェック部21は、重なりのある部品のリストを生成すると、確認結果の情報を部品情報信号S22として撮像条件判断部24に送る。確認結果の情報は、部品の位置と重なりの有無等によって構成されている。本実施形態の搭載干渉チェック部21の機能は、第1の実施形態の部品情報取得手段1に相当する。
搭載情報保存部22は、検査対象となる基板に搭載されている部品と部品の位置の情報を保存する機能を有する。搭載情報保存部22は、検査対象となる基板に使用されている部品と部品の位置の情報を保存している。搭載情報保存部22は、例えば、基板の設計に用いられたCAD(Computer Aided Design)のデータとして基板に搭載されている部品と部品の位置の情報を保存している。また、搭載情報保存部22は、検査対象となる基板の部品と部品の位置の情報を、ネットワークを介してデータサーバ等から受け取る構成としてもよい。
部品情報保存部23は、基板に搭載されている部品の情報を保存する機能を有する。部品情報保存部23は、検査対象となる各基板で使用されている部品および部品の大きさなどの情報を保存している。部品情報保存部23は、例えば、BOM(Bill of materials)として部品およびその大きさの情報を保存している。部品情報保存部23は、実際に検査する基板に搭載されている部品だけでなく、基板で使用される可能性のある部品の情報を含めて保存していてもよい。また、部品情報保存部23は、部品と部品の大きさの情報を、ネットワークを介してデータサーバ等から受け取る構成としてもよい。
撮像条件判断部24は、基板15を検査するためのX線の照射角度を算出して、X線源11およびX線検出器12の配置位置を算出する機能を有する。撮像条件判断部24は、搭載干渉チェック部21から部品情報信号S22として送られてくる部品の位置と大きさの情報を基に、基板と部品の接続部付近の所定の領域のX線画像を撮像する際のX線の照射角度を算出する。撮像条件判断部24は、算出したX線の照射角度を基にX線源11およびX線検出器12の配置位置の情報を算出する。撮像条件判断部24は、検査の対象となる所定の領域ごと、すなわち、ランドごとにX線源11およびX線検出器12の配置位置をそれぞれ算出する。所定の領域を撮像する際のX線の照射角度、X線源11およびX線検出器12の配置位置のことを、以下の説明では撮像条件とよぶ。撮像条件判断部24は、撮像条件を算出するとランドごとの撮像条件の情報を撮像条件信号S23として撮像グループ生成部25に送る。また、本実施形態の撮像条件判断部24の機能は、第1の実施形態の設定算出手段2に相当する。
撮像グループ生成部25は、基板と部品の接続部付近の所定の領域を撮像条件が同一のグループごとに分類する機能を有する。撮像グループ生成部25は、撮像条件判断部24から受け取った各ランドの撮像条件の情報を基に、同一の撮像条件で測定できるランドごとのグループを生成する。撮像グループ生成部25は、グループを生成すると、生成したグループとその撮像条件を撮像グループ信号S24として撮像制御部26に送る。また、本実施形態の撮像グループ生成部25の機能は、第1の実施形態のグループ生成手段3に相当する。
撮像制御部26は、撮像グループ生成部25から受け取ったグループごとの撮像条件を基に撮像を行う順番を判断する機能を有する。また、撮像制御部26は、X線源11およびX線検出器12を制御して、所定の領域ごとのX線画像の撮像を行う機能を有する。撮像制御部26は、撮像グループ生成部25から撮像グループ信号S24として受け取ったグループごとの撮像条件を基に、X線画像の撮像を行うグループの順番を決定する。撮像制御部26は、例えば、全てのグループの撮像を行う間のX線源11およびX線検出器12の動作が最小になるように撮像を行うグループの順番を決定する。撮像制御部26は、X線源11またはX線検出器12のいずれか一方の動作が最小になるように撮像を行うグループの順番を決定してもよい。また、撮像制御部26は、グループに含まれているランドの数が多いグループから撮像を行ってもよい。検査対象となるランドの数が多い場合には、検査結果の処理に時間を要する可能性が高いので、先に画像を取得することで全体の検査時間を短くすることが可能となる。
撮像制御部26は、撮像するグループの順番を決定すると、決定した順番に基づいて各撮像条件での撮像を要求する制御信号をX線源制御信号S1および検出器制御信号S2としてX線源11およびX線検出器12にそれぞれ送る。撮像制御部26は、撮像データの収集等を要求する信号を画像取得部27に画像取得信号S25として送る。また、撮像制御部26は、1つの撮像条件での画像を収集したことを示す情報を画像取得部27から受け取ると画像取得完了信号S26として受けとると、次の撮像条件での撮像を行うように各部位を制御する。また、本実施形態の撮像制御部26の機能は、第1の実施形態の順番決定手段4および撮像制御手段5に相当する。
画像取得部27は、X線検出器12から送られてき強度データを基に検査結果の処理を行う機能を有する。画像取得部25は、X線検出器12から検出データ信号S3として送られてくる強度データを基にX線画像のデータを生成する。画像取得部27は、X線画像のデータを生成すると生成したX線画像のデータを画像保存部28に保存する。画像取得部27は、撮像制御部26から画像取得要求信号S25として送られてくる制御信号を基にX線画像のデータの収集および保存を開始する。また、画像取得部27は、1つの撮像条件でのX線画像のデータを収集および保存が完了すると、X線画像のデータの取得を完了したことを示す画像取得完了信号S26を撮像制御部26に送る。
画像取得部27は、X線画像のデータを基に異常の有無の判断を行う機能を有していてもよい。例えば、正常な状態に比べ急峻な強度変化がある場合に画像取得部27は、ランド上に形成されているはんだにボイド等の不良が生じていると判断する。
画像保存部28は、X線で撮像された基板のX線画像のデータを保存する機能を有する。画像保存部28は、画像取得部27から送られてきたX線画像のデータを保存する。画像保存部28は、他の情報装置や生産管理システム等からの要求に基づいて、X線画像のデータや検査結果の情報を出力するようにしてもよい。
本実施形態のX線検査装置の動作について説明する。図5は、本実施形態のX線検査装置において基板検査を行う際のフローの概要を示したものである。
作業者または生産管理システムからの検査要求により、基板の検査が開始される。基板の検査の要求は、検査制御部14の撮像制御部26に入力される。基板の検査が開始されると、検査制御部14の撮像制御部26は、検査対象の基板の情報ともに部品情報を要求する信号を情報要求信号S21として搭載干渉チェック部21に送る。
搭載干渉チェック部21は、部品情報を要求する情報要求信号S21を受け取ると、搭載情報保存部22を参照して検査対象の基板に搭載されている部品と部品の位置の情報を取得する。部品と部品の位置の情報を取得すると、搭載干渉チェック部21は、部品情報保存部23を参照して検査対象の基板に使用されている部品の大きさの情報を取得する(ステップ101)。
搭載干渉チェック部21は、検査対象の基板に搭載されている部品の位置と大きさの情報を取得すると、部品の位置と大きさの情報を基に、基板の両面に実装されている部品の重なりによる干渉の有無を確認する(ステップ102)。
基板両面の部品に重なりがあるとき(ステップ103でYes)、搭載干渉チェック部21は、重なりのある部品のリストを生成する(ステップ104)。重なりのある部品のリストを生成すると、搭載干渉チェック部21は、重なりのある部品、部品の位置、大きさの情報を部品情報信号S22として撮像条件判断部24に送る。
撮像条件判断部24は、部品情報信号S22として部品の位置等の情報を受け取ると、重なりのある部品と基板の接続部付近の所定の領域ごとに、最適なX線源11とX線検出器12の配置を決定する(ステップ105)。
撮像条件判断部24によって算出されるX線源11とX線検出器12の配置を決定する際に用いるX線の照射角度である傾きθの算出方法について図6を参照して説明する。基板15よりもX線源11側に部品A、基板15よりもX線検出器12側に部品Bが搭載されているとする。このとき、部品Aの大きさは、幅W1、高さH1、奥行きD1であるとする。部品Bの大きさは、幅W2、高さH2、奥行きD2であるとする。部品Aおよび部品Bの大きさは、搭載情報保存部22および部品情報保存23に保存されているBOMやCADから得られる値である。また、基板の厚みはdであるとする。
このとき、部品Aの幅W1が部品Bの幅W2の大きさ以上、すなわちW1≧W2のとき傾きθは、θ=tan-1((W1/2)/(H1+d+H2))となる。また、部品Aの幅W1が部品Bの幅W2より小さいとき、すなわち、W1<W2のとき傾きθは、θ=tan-1((W2/2)/(H1+d+H2))となる。
撮像条件判断部24は、重なりのある部品について所定の領域、すなわちランドごとに撮像条件を算出すると、算出した撮像条件の情報を撮像条件信号S23として撮像グループ生成部25に送る。撮像グループ生成部25は、撮像条件信号S23として重なりのある部品の撮像条件の情報を受けると、同じ撮像条件のランドごとにグループ分けを行う(ステップ106)。本実施形態における同じ撮像条件とは、同一の撮像条件とみなすことができる略同じ条件ならばよく、同一の撮像条件と見なせる所定の範囲はあらかじめ設定されている。
撮像グループ生成部25は、同じ撮像条件のランドごとにグループ分けを行うと、グループごとの撮像条件の情報を、撮像グループ信号S24として撮像制御部26に送る。
撮像制御部26は、撮像グループ信号S24としてグループごとの撮像条件の情報を受け取ると、撮像を行うグループの順番を決定する。撮像制御部26は、全グループの撮像を完了するまでの間でX線源11およびX線検出器12の動きが最も小さくなるように撮影する順番を決定する。撮像制御部26は、撮像ごとのX線源11およびX線検出器12の動きが小さくなるように撮影する順番を決定してもよい。また、撮像制御部26は、順番を決定する際に、重なりが無い部品、すなわち、通常条件で撮像するグループも加えて順番を決定する。
撮像制御部26は、撮像を行う順番を決定すると、決定した順に従って各グループの撮像条件でX線画像の撮像を行う(ステップ107)。撮像制御部26は、順番が回ってきたグループの撮像条件となるようにX線源11およびX線検出器12に設定条件を示す制御信号をX線源制御信号S1および検出器制御信号S2としてそれぞれ送る。また、撮像制御部26は画像のデータの収集の開始を要求する信号を、画像取得部27に画像取得要求信号S25として送る。画像取得部27は、画像取得要求信号S25を受け取ると、X線検出器12から検出データ信号S3として送られてくるX線の検出強度のデータを受け取れる状態で待機する。
X線源11およびX線検出器12は、X線源制御信号S1および検出器制御信号S2にそれぞれ従った位置に移動し、X線源11から照射されて基板を透過したX線をX線検出器12が検出する。X線検出器12は、X線を検出するとX線の強度の情報を画像取得部27に検出データ信号S3として送る。画像取得部27は、X線の強度の情報を検出データ信号S3として受け取ると、撮像されたX線画像のデータを画像保存部28に保存する。
画像取得部27は、撮像されたX線画像のデータの出力または検査結果を基にした異常の有無の判断を行って検査結果を処理する(ステップ108)。撮像されたX線画像のデータの処理等を行うと、画像取得部27は、1条件分のX線画像のデータの取得が完了したことを示す信号を撮像制御部26に画像取得完了信号S26として送る。
撮像制御部26は、画像取得完了信号S26を受け取ると次の撮像条件のグループのX線画像の撮像を行う。撮像制御部26は、全てのグループの撮像を完了するまで、グループの撮像条件に応じたX線源11およびX線検出器12の制御を繰り返して撮像を継続する。
また、ステップ102で重なりのある部品がなかった場合には(ステップ103でNo)、通常条件のみで撮像が行われる(ステップ109)。その際、撮像条件判断部24および撮像グループ生成部25は、重なりのある部品が無い情報を次のユニットに送り、撮像制御部26が、通常条件での撮像を制御する。通常条件での撮像が行われると、画像取得部27によって検査結果の処理が行われる(ステップ108)。通常条件とは、X線が検査対象のほぼ真上から照射される条件である。
本実施形態のX線検査装置では、検査制御装置14の撮像条件判断部24が、基板15に搭載された部品がX線による検査の際に互いに影響を及ぼさない撮像条件を算出している。撮像条件判断部24は、X線源11からX線を照射した際に、基板に搭載された部品と基板との接続部付近の所定の領域の透過像が、X線検出器12において他の部品の透過像と重なる状態を避けるように撮像条件を設定する。すなわち、撮像条件判断部24は、基板の両面の部品の位置が重なっているときに、X線源11を制御してX線が照射される角度を変えた際に、複数の部品のX線検出器12における透過像が互いに重ならないようなX線の照射角度を算出する。そのような条件を算出してX線による透過画像を撮像することで、本実施形態のX線検査装置では、基板上で位置が重なっている部品があっても接続部付近のボイドの有無等を確認することができる。そのため、本実施形態のX線検査装置では、両面に部品が搭載されている基板の検査において、複数の部品がX線画像で完全に重なることはなく、接続部付近の所定の領域ごとの異常の有無をより正確に検出することができる。
また、本実施形態のX線検査装置では、検査制御装置14の撮像グループ生成部25が、撮像条件が同じ所定の領域ごとにグループを形成している。本実施形態のX線検査装置では、撮像グループ生成部25で形成した同じ撮像条件のグループごとに撮像を行うことで、所定の領域ごとに撮像を行う場合よりも、基板上の複数の部品を検査する際に要する時間を抑制することができる。また、撮像制御部26は、X線源11等の動きが最小化されるように撮像を行うグループの順番を決定している。そのため、本実施形態のX線検査装置では、基板と部品との接続部付近の検査するために要する時間を抑制する効果が高い。特に数の多いランドを接続部付近の所定の領域として検査の対象とする場合には、グループ化を行うことによる時間の短縮効果が高くなる。以上より、本実施形態のX線検査装置では、検査精度を維持しつつ、検査に要する時間を短縮化して基板の検査を行うことができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図7は、本実施形態のX線検査装置の構成の概要を示したものである。本実施形態のX線検査装置は、撮像条件判断部が算出した撮像条件が設定不能な条件であった際に、設定可能な撮像条件に補正して基板上の部品のX線画像の撮像を行うことを特徴としている。
本実施形態のX線検査装置は、X線源11と、X線検出器12と、基板保持部13と、検査制御部30を備えている。本実施形態のX線検査装置も、検査制御部30の制御に基づいて、X線源11からX線が照射され、基板15を透過したX線をX線検出器12で検出することによりX線画像の撮像を行う。X線源11、X線検出器12および基板保持部13の構成と機能は第2の実施形態と同様である。また、X線源制御信号S1、検出器制御信号S2および検出データ信号S3は、第2の実施形態の同名称の信号と同様の機能を有する。
検査制御部30の構成について説明する。図8は、本実施形態の検査制御部30の構成の概要を示した図である。検査制御部30は、搭載干渉チェック部31と、搭載情報保存部32と、部品情報保存部33と、撮像条件判断部34と、撮像グループ生成部35と、撮像制御部36と、画像取得部37と、画像保存部38と、画像取得判断部39を備えている。また、検査制御部30は、アラーム発生部40をさらに備えている。
搭載干渉チェック部31、搭載情報保存部32、部品情報保存部33、撮像制御部36、画像取得部37および画像保存部38の構成と機能は第2の実施形態の同名称の部位と同様である。また、情報要求信号S31、部品情報信号S32、撮像グループ信号S35、画像取得要求信号S36および画像取得完了信号S37は、第2の実施形態の同名称の信号と同様の機能を有する。
撮像条件判断部34は、第2の実施形態の撮像条件判断部24と同様の機能を有する。撮像条件判断部34は、算出した撮像条件を撮像条件信号S33として画像取得判断部39に送る。
撮像グループ生成部35は、第2の実施形態の撮像グループ生成部25と同様の機能を有する。本実施形態の撮像グループ生成部35は、基板と部品の接続部付近の所定の領域ごとの撮像条件の情報を画像取得判断部39から補正撮像条件信号S34として受け取る。
画像取得判断部39は、撮像条件判断部34が算出したX線源11およびX線検出器12の配置位置、すなわち撮像条件の補正を行う機能を有する。画像取得判断部39は、撮像条件信号S33として撮像条件判断部34から受け取る撮像条件に対応する配置位置に、X線源11およびX線検出器12を実際に設定することが可能であるかを判断する。設定可能なX線源11およびX線検出器12の配置位置の範囲については、X線検査装置の仕様等に基づいて画像取得判断部39にあらかじめ保存されている。
画像取得判断部39は、撮像条件に応じた配置位置にX線源11およびX線検出器12を実際に設定することができないと判断すると、撮像条件を設定可能な撮像条件に補正する。画像取得判断部39は、設定可能な撮像条件のうち撮像条件信号S33として受け取った撮像条件に最も近い撮像条件を補正後の撮像条件とする。画像取得判断部39は、撮像条件を補正すると補正後の撮像条件の情報を補正撮像条件信号S34として撮像グループ生成部35に送る。
また、撮像条件に応じた配置位置にX線源11およびX線検出器12を設定することが可能であるとき、画像取得判断部39は、撮像条件の補正を行わずに撮像条件の情報を撮像グループ生成部35に補正撮像条件信号S34として送る。
本実施形態のX線検査装置の動作について説明する。図9は、本実施形態のX線検査装置において基板検査を行う際のフローの概要を示したものである。
作業者または生産管理システムからの検査要求により、基板の検査が開始される。基板の検査の要求は、検査制御部30の撮像制御部36に入力される。検査が開始されると、検査制御部30の撮像制御部36は、部品情報を要求する信号を検査対象の基板の情報とともに搭載干渉チェック部31に情報要求信号S31として送る。
搭載干渉チェック部31は、部品情報を要求する情報要求信号S31を受け取ると、搭載情報保存部32を参照して検査対象の基板に搭載されている部品と部品の位置の情報を取得する。部品と部品の位置の情報を取得すると、搭載干渉チェック部21は、部品情報保存部33を参照して検査対象の基板に使用されている部品の大きさの情報を取得する(ステップ111)。
搭載干渉チェック部31は、検査対象の基板に搭載されている部品の位置と大きさの情報を取得すると、部品の位置と大きさの情報を基に、基板の両面に実装されている部品の重なりによる干渉の有無を確認する(ステップ112)。
基板両面の部品に重なりがあるとき(ステップ113でYes)、搭載干渉チェック部31は、重なりのある部品のリストを生成する(ステップ114)。重なりのある部品のリストを生成すると、搭載干渉チェック部31は、重なりのある部品、部品の位置および大きさの情報を撮像条件判断部34に部品情報信号S32として送る。
撮像条件判断部34は、部品の位置や大きさの情報を部品情報信号S32として受け取ると、基板と部品の接続部付近の所定の領域、すなわち、ランドごとに、最適なX線源11とX線検出器12の配置を決定する(ステップ115)。撮像条件判断部34は、X線源11とX線検出器12の配置を第2の実施形態と同様に算出する。
撮像条件判断部34は、所定の領域、すなわち、ランドごとに撮像条件を算出すると、算出した撮像条件の情報を画像取得判断部39に撮像条件信号S33として送る。画像取得判断部39は、部品ごとの撮像条件の情報を撮像条件信号S33受け取ると、撮像条件が設定可能であるかを判断する。
撮像条件に配置できない条件が含まれているとき(ステップ116でYes)、画像取得判断部39は、撮像条件の補正を行う。画像判断部39は、設定可能な配置位置のうち撮像条件判断部34から受け取った撮像条件と最も近い配置位置に撮像条件を補正する(ステップ120)。画像取得判断部39は、撮像条件の補正を行うと、補正した撮像条件を撮像グループ生成部35に補正撮像条件信号S34として送る。また、撮像条件に配置できない条件が含まれているとき画像取得判断部39は、アラーム発生部40に、配置できない条件が含まれていることを示す情報を送る。配置できない条件が含まれていることを示す情報を受け取ると、アラーム発生部40は、配置できない条件が含まれていたことを示すアラームの表示や生産管理システムへの出力を行う。
撮像グループ生成部35は、重なりのある部品の撮像条件の情報を補正撮像条件信号S34として受けると、同じ撮像条件のランドごとにグループ分けを行う(ステップ117)。撮像グループ生成部35は、同じ撮像条件のランドごとにグループ分けを行うと、グループごとの撮像条件の情報を撮像制御部36に撮像グループ信号S35として送る。
撮像制御部36は、グループごとの撮像条件の情報を撮像グループ信号S35として受け取ると、撮像を行うグループの順番を決定する。撮像制御部36は、全てのグループのX線画像の撮像を行う間のX線源11およびX線検出器12の動きが最も小さくなるように撮影する順番を決定する。また、撮像制御部36は、順番を決定する際に、重なりが無いランド、すなわち、通常条件で撮像するグループも加えて順番を決定する。
撮像制御部36は、撮像を行う順番を決定すると、決定した順に従って各グループの撮像条件でX線画像の撮像を行う(ステップ118)。撮像制御部36は、撮像の順番が回ってきたグループの撮像条件となるようにX線源11およびX線検出器12に設定条件を示す制御信号をX線源制御信号S1および検出器制御信号S2としてそれぞれ送る。また、撮像制御部36は画像データの収集の開始を要求する信号を、画像取得部37に画像取得要求信号S36として送る。画像取得部37は、画像取得要求信号S36を受け取ると、X線検出器12から検出データ信号S3として送られてくるX線の検出強度のデータを受け取れる状態で待機する。
X線源11およびX線検出器12は、制御信号に従った位置に移動しX線源11から照射されて基板を透過したX線をX線検出器12が検出する。X線検出器12は、X線を検出するとX線の強度の情報を画像取得部37に検出データ信号S3として送る。画像取得部37は、X線の強度の情報を検出データ信号S3として受け取ると、撮像されたX線画像のデータを画像保存部38に保存する。
画像取得部37は、撮像されたX線画像のデータの出力または検査結果を基にした異常の有無の判断を行って検査結果を処理する(ステップ119)。撮像されたX線画像のデータの処理等を行うと、画像取得部37は、1条件分のX線画像のデータの取得が完了したことを示す信号を撮像制御部36に画像取得完了信号S37として送る。
撮像制御部36は、画像取得完了信号S37を受け取ると次の撮像条件のグループの撮像を行う。撮像制御部36は、全てのグループの撮像を完了するまで、グループの撮像条件に応じたX線源11およびX線検出器12の制御を繰り返して撮像を継続する。
また、ステップ112で重なりのある部品がなかった場合には(ステップ113でNo)、通常条件のみで撮像が行われる(ステップ121)。その際、撮像条件判断部34、撮像グループ生成部35および画像取得判断部39は、重なりのある部品が無い情報を次のユニットに送り、撮像制御部36が、通常条件での撮像を制御する。通常条件での撮像が行われると、画像取得部37によって検査結果の処理が行われる(ステップ119)。
また、撮像条件に配置できない条件が含まれていないとき(ステップ116でNo)、画像取得判断部39は、撮像条件の補正等を行わずに受け取った撮像条件を撮像グループ生成部35に補正撮像条件信号S34として送る。画像取得判断部39が撮像条件を撮像グループ生成部35に補正撮像条件信号S34として送った後は、ステップ117からの動作が撮像条件を補正した場合と同様に行われる。
本実施形態のX線検査装置は、第2の実施形態のX線検査装置と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態のX線検査装置は、撮像条件判断部34が算出した撮像条件に対応する配置位置にX線源11等を設定することが可能であるかを画像取得判断部39が判断している。画像取得判断部39は、撮像条件判断部34が算出した撮像条件の配置位置には設定できないと判断した際に、撮像条件の補正を行っている。本実施形態のX線検査装置では、撮像条件の補正を行うことで、検査を行うことの出来ない箇所が生じる状態を抑制することが可能となる。そのため、本実施形態のX線検査装置では、重なりを有する部品であっても、異常の有無の検査を正確に行うことが可能である。その結果、本実施形態のX線検査装置では、検査精度を維持しつつ、検査に要する時間を短縮化して基板の検査を行うことができる。
第2および第3の実施形態では、基板と部品の接続部付近の所定の領域としてランドを単位に、撮像条件の設定およぶグループ分けを行っていた。撮像条件の設定およぶグループ分け等の単位は、ランド以外の他の単位で行ってもよい。例えば、複数の部品が基板上に搭載されているときに、部品を単位として撮像条件の算出およびグループ分けをおこなってもよい。また、設計や配置に統一性のあるいくつかのランドを1つの小グループとして設定し、小グループを単位として撮像条件の算出やグループ分けを行ってもよい。
第2および第3の実施形態のX線検査装置において基板の検査を行う際に、撮像条件の設定は1基板ごとに行われなくともよい。例えば、生産工程において同じ設計の基板を繰り返し検査する場合には、あらかじめ撮像条件が設定および保存され、保存された撮像条件のデータを読み出すことで基板検査が行われるようにしてもよい。また、同じ基板を複数、検査する際には、最初の1枚の基板で撮像条件の設定が行われ、後続の基板は最初の1枚の基板の撮像条件で検査されるようにしてもよい。
第2および第3の実施形態では、基板と部品の接続部付近の所定の領域全ての箇所のX線画像を撮像していた。そのような構成に代えて、あらかじめ設定された箇所のみの検査を行うようにしてもよい。そのような、構成とする場合には、例えば、部品情報保存部に検査を行う部品の重要性に関する情報を保存し、重要性の高い部品と基板との接続部の検査を行う。また、グループごとの撮像の順番を決定する際に、不良の出やすいグループから検査を開始して、異常が検出された段階で検査を停止するようにしてもよい。
また、同一の品種の基板を検査する場合に、基板ごとに検査対象となる所定の領域を変えてもよい。例えば、重要性の高い部品や異常の発生頻度の高い部品の箇所は全基板について検査を行い、重要性の低い部品や異常の発生頻度が極めて低い部品の箇所は、一部の基板のみで撮像の対象とするようにしてもよい。そのような検査方法で基板の検査を行うことで検査時間の短縮化が可能となる。
第1乃至第3の実施形態の検査制御装置の各機能に相当する処理は、コンピュータプログラムとしてコンピュータで実行されるようにしてもよい。また、第1乃至第3の実施形態に示した各処理をコンピュータに実行させることのできるプログラムは、記憶媒体格納して頒布することもできる。記憶媒体としては、例えば、データ記録用磁気テープや、ハードディスクなどの磁気ディスクを用いることができる。また、記憶媒体としては、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク、光磁気ディスク(MO:Magneto Optical disk)を用いることもできる。半導体メモリを記憶媒体として用いてもよい。