JP6432078B2 - モータ内蔵ローラ、動力伝達部材及びモータ内蔵ローラの製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら圧入固定式の動力伝達部材は、ローラ本体の製造上のばらつき、特にローラ本体の内径のばらつきにより、動力伝達部材がローラ本体に固定できない場合や、ローラ本体への動力伝達能力が不十分となることがある。
即ちローラ本体の内径が幾分大きい場合は、ローラ本体と動力伝達部材との接触力が不十分となり、動力伝達部材がローラ本体内で空回りしてしまう。
一方、ローラ本体の内径が幾分小さい場合は、動力伝達部材をローラ本体に圧入することができない。特に、ローラ本体の内径が幾分小さい場合は、取っ掛かりの部分が入り難く、無理に押し込むと動力伝達部材が傷つく。
いずれにしても、弾性リングの外接円は、ローラ本体の内径よりも小さく、弾性リングを自然状態等とするとローラ本体の中に容易に挿入することができる。
そして弾性リングの一部又は全部をローラ本体内に挿入した状態で、係合部材を弾性リングの開口に装着する。その結果、弾性リングが拡径し、ローラ本体に密接する。
そして必要に応じて動力伝達部材をローラ本体の所定の位置に移動させる。また係合部材の内側係合部に動力部を係合させる。
動力部のモータが回転すると、当該回転力が係合部材に伝動され、係合部材が回転する。また係合部材の外側係合部がリング側係合部と係合しているから、係合部材と共に弾性リングが回転する。さらに弾性リングはローラ本体の内周面に接しており、弾性リングの回転がローラ本体に伝動される。
本態様によると、ローラ本体の大きさに製造上のばらつきがあったとしても、動力伝達部材の取り付けを容易且つ確実に行うことができる。
弾性リングの外接円の直径がローラ本体の内径よりも小さい場合は、明らかに「容易に挿入できる」。また外接円の直径がローラ本体の内径と同一である場合や、外接円の直径がローラ本体の内径よりもわずかに大きくても、弾性リングが柔らかい場合には、「容易に挿入できる」と言える場合がある。
弾性リングの全体を予めローラ本体内に挿入する場合は、動力伝達部材を組み立てた後に、動力伝達部材を移動させる工程を省略することができる。その反面、弾性リングの開口に係合部材を挿入しにくいという欠点がある。
弾性リングの一部だけをローラ本体内に挿入する場合は、動力伝達部材を組み立てた後に、動力伝達部材を移動させる必要が生じる。その反面、弾性リングの開口に係合部材を挿入させやすいという利点がある。
また、弾性リングの一部を挿入することにより、ローラ本体に対する取っ掛かりができるから、係合部材を開口に挿入して弾性リングを拡径させた状態であっても、ローラ本体内で動力伝達部材を移動させることができる。
また弾性リングの全体をローラ本体内に挿入して動力伝達部材を組み立てる場合、弾性リングの位置は、完成品のモータ内蔵ローラにおける弾性リングの位置(最終位置)であってもよい。逆に弾性リングの位置は、最終位置でなくても良い。例えばローラ本体の開口近傍であってもよく、最終位置の近傍であってもよい。
本実施形態のモータ内蔵ローラ1は、モータ12の駆動力をローラ本体11に伝達する動力伝達部材2に特徴があり、その他の基本構造に関しては、従来公知のそれと同様である。最初にモータ内蔵ローラ1の基本構造について簡単に説明する。
一方(図2の左側)の蓋部材41は、図2に示すように、円筒状のローラ本体嵌合部材52と、軸受け54及び本体側軸部材53が一体化されたものである。また、他方(図2の右側)の蓋部材42は、ローラ本体嵌合部材55と、軸受け56が一体化されたものである。なお、本体側軸部材53は、一部又は全部の断面形状が円形ではない。本実施形態では、断面形状がほぼ六角形を呈している。
駆動側軸46は、モータユニット3をローラ本体11内に配置した状態で、後述する動力伝達部材2に接続される軸であり、動力部22の動力をローラ本体11に出力する回転軸である。
なお、固定側軸45及び駆動側軸46はいずれも、断面形状がほぼ六角形を呈している。
本実施形態の動力伝達部材2は、モータ内蔵ローラ1において、ローラ本体11内に配され、モータ12の動力をローラ本体11に伝達する部材である。そして、その機能を果たすべく、動力伝達部材2は、図5、6に示すように、弾性リング5と、係合部材6によって構成されている。
弾性リング5は、外力を与えて拡径することができる。また外力を取り除くと縮径する。
詳細に説明すると、係合部材6は、断面形状が星型をしている。即ち係合部材6の外郭形状は、複数の凹凸を有し、外側係合部15を構成している。係合部材6の外縁には、大きく面取りされ、傾斜面27が形成されている。
また係合部材6には、中心に貫通孔16が設けられている。貫通孔16の断面形状は、六角であり、当該六角形状によって内側係合部17が構成されている。
図7(a)に示す様に、自然状態における動力伝達部材2の弾性リング5の外接円の直径Aは、ローラ本体11の内径Bよりも小さい。なお弾性リング5の断面形状は円形であるから、弾性リング5の外接円の直径Aは、弾性リング5の外径Aそのものである。
即ち何らの外力を加えない状態にあっては、弾性リング5の外径Aは、ローラ本体11の内径Bよりも小さい。
また前記した様に係合部材6は、弾性リング5の開口7よりも大きいので、弾性リング5の開口7の外接円Cは、係合部材6の外接円Dよりも小さい。
前記した様に、自然状態の弾性リング5の外径Aは、ローラ本体11の内径Bよりも小さいので、何の抵抗もなく、弾性リング5をローラ本体11内に挿入し、弾性リング5を所定の位置に置くことができる。即ちローラ本体11内に弾性リング5を容易に挿入することができる。
その結果、動力伝達部材2は、実質的にローラ本体11と一体化する。
その後、図9の様に、ローラ本体11内にモータユニット3が挿入され、駆動側軸(出力軸)46が、係合部材6の貫通孔16に挿入され、六角形の駆動側軸46が、係合部材6の内側係合部17と係合される。
即ち図10(a)の様に、ローラ本体11の中に、円筒形の押さえ治具23を挿入する。そしてこの状態で図10(b)の様に、ローラ本体11の中に、自然状態の弾性リング5を挿入する。
続いて図10(c)の様な棒状の引っ張り治具18を使用して押さえ治具23の反対側から係合部材6を弾性リング5の開口7に引き入れる。
引っ張り治具18は、図10(c)の様に棒体部20の先端に拡径部21が設けられたものである。棒体部20の径は、係合部材6の貫通孔16の径よりも僅かに小さい。一方、拡径部21は、係合部材6の貫通孔16の径よりも大きい。
その結果、係合部材6が弾性リング5の開口7に装着された状態の動力伝達部材2だけが、ローラ本体11内の所定の位置に残る。
例えば、図12(b)の様に、弾性リング5の全体をローラ本体11内に挿入し、ローラ本体11の開口近傍に置く。続いてローラ本体11の開口近傍で弾性リング5の開口7に係合部材6を押し込んで動力伝達部材2を完成させる。
また押圧治具25には、押圧力を検知するセンサー26が設けられており、動力伝達部材2が直線移動する際、または移動を開始する際の押圧力が検知される。即ち動力伝達部材2の移動に要する力が測定される。この押圧力は、動力伝達部材2とローラ本体11との結合力や伝達可能トルクと相関するものである。押圧治具25で動力伝達部材2を移動させる際の押圧力が小さくて足る場合は、伝達可能トルクが小さく、不良品であるとして除去する。
本方法による場合は、弾性リング5をローラ本体11の開口近傍にある状態で弾性リング5の開口7に係合部材6を入れるので、作業性が高い。
即ち図13(b)の様に、弾性リング5の全体をローラ本体11内に挿入し、弾性リング5を最終位置の近傍に置く。具体的に説明すると、最終的には二点鎖線で記載されたモータユニット3に動力伝達部材2が装着されるから、その位置の近傍に弾性リング5を置く。続いて当該位置でローラ本体11内の弾性リング5に係合部材6を押し込んで動力伝達部材2を完成させる。
さらに突起に代わって係合部材6に凹部を設けてもよい。
また上記した実施形態では、弾性リング5の開口形状と、係合部材6の外形形状は相似形であるが、両者が異なる形であってもよい。
また例えば図18に示す弾性リング30の様に、外形形状が楕円等の円筒形以外の形状であっても、外力を加えてローラ本体11の内壁に沿わした状態や、係合部材6を装着した状態の際に円筒形になるものであってもよい。
2 動力伝達部材
3 モータユニット(動力部)
5,30,31 弾性リング
6 係合部材
7 開口
8 リング側係合部
11 ローラ本体
12 モータ(動力部)
13 減速機
15 外側係合部
17 内側係合部
Claims (9)
- 中空のローラ本体と、モータを含む動力部と、動力伝達部材とを有し、ローラ本体に動力部と動力伝達部材が内蔵され、動力部の回転力が動力伝達部材を介してローラ本体に伝達されるモータ内蔵ローラにおいて、
動力伝達部材は、弾性リングと、係合部材とを有し、
弾性リングは拡縮可能であって中央部に開口を有し、当該開口にはリング側係合部があり、自然状態又は円形に近似させた状態における弾性リングの外接円の直径は、前記ローラ本体の内径よりも小さく、
係合部材は、外側係合部と内側係合部を有し、
前記係合部材は弾性リングの開口に装着されていて外側係合部がリング側係合部と係合し、
前記係合部材が装着された状態における弾性リングの外接円の直径は、前記ローラ本体の内径よりも大きく、
前記ローラ本体の内部において動力部が係合部材の内側係合部と係合し、弾性リングの外周面がローラ本体の内周面と接しており、
前記開口は、第1凹凸を有し、前記第1凹凸によって前記リング側係合部が形成されており、
前記係合部材の外郭形状は、第2凹凸を有し、前記第2凹凸によって前記外側係合部が形成されており、
前記弾性リングの開口形状と前記係合部材の外郭形状は、相似形であることを特徴とするモータ内蔵ローラ。 - 中空のローラ本体と、モータを含む動力部と、動力伝達部材とを有し、ローラ本体に動力部と動力伝達部材が内蔵され、動力部の回転力が動力伝達部材を介してローラ本体に伝達されるモータ内蔵ローラにおいて、
動力伝達部材は、弾性リングと、係合部材とを有し、
弾性リングは拡縮可能であって中央部に開口を有し、当該開口にはリング側係合部があり、弾性リングの外接円の直径は、前記ローラ本体内に抵抗がなく挿入できる大きさであり、
係合部材は、外側係合部と内側係合部を有し、
前記係合部材は弾性リングの開口に装着されていて外側係合部がリング側係合部と係合し、
前記係合部材が装着された状態における弾性リングの外接円の直径は、前記ローラ本体の内径よりも大きく、
前記ローラ本体の内部において動力部が係合部材の内側係合部と係合し、弾性リングの外周面がローラ本体の内周面と接しており、
前記開口は、第1凹凸を有し、前記第1凹凸によって前記リング側係合部が形成されており、
前記係合部材の外郭形状は、第2凹凸を有し、前記第2凹凸によって前記外側係合部が形成されており、
前記弾性リングの開口形状と前記係合部材の外郭形状は、相似形であることを特徴とするモータ内蔵ローラ。 - 中空のローラ本体と、モータを含む動力部と、動力伝達部材とを有し、ローラ本体に動力部と動力伝達部材が内蔵され、動力部の回転力が動力伝達部材を介してローラ本体に伝達されるモータ内蔵ローラにおいて、
動力伝達部材は、弾性リングと、係合部材とを有し、
弾性リングは拡縮可能であって中央部に開口を有し、当該開口にはリング側係合部があり、自然状態又は円形に近似させた状態における弾性リングの外接円の直径は、前記ローラ本体の内径よりも小さく、
係合部材は、外側係合部と内側係合部を有し、
前記係合部材は、前記ローラ本体内に配された弾性リングの開口に、端部を押し当てられて弾性リングに装着するものであって、当該端部に傾斜面が形成されており、
前記係合部材は弾性リングの開口に装着されていて外側係合部がリング側係合部と係合し、
前記係合部材が装着された状態における弾性リングの外接円の直径は、前記ローラ本体の内径よりも大きく、
前記ローラ本体の内部において動力部が係合部材の内側係合部と係合し、弾性リングの外周面がローラ本体の内周面と接していることを特徴とするモータ内蔵ローラ。 - 中空のローラ本体と、モータを含む動力部と、動力伝達部材とを有し、ローラ本体に動力部と動力伝達部材が内蔵され、動力部の回転力が動力伝達部材を介してローラ本体に伝達されるモータ内蔵ローラにおいて、
動力伝達部材は、弾性リングと、係合部材とを有し、
弾性リングは拡縮可能であって中央部に開口を有し、当該開口にはリング側係合部があり、弾性リングの外接円の直径は、前記ローラ本体内に抵抗がなく挿入できる大きさであり、
係合部材は、外側係合部と内側係合部を有し、
前記係合部材は、前記ローラ本体内に配された弾性リングの開口に、端部を押し当てられて弾性リングに装着するものであって、当該端部に傾斜面が形成されており、
前記係合部材は弾性リングの開口に装着されていて外側係合部がリング側係合部と係合し、
前記係合部材が装着された状態における弾性リングの外接円の直径は、前記ローラ本体の内径よりも大きく、
前記ローラ本体の内部において動力部が係合部材の内側係合部と係合し、弾性リングの外周面がローラ本体の内周面と接していることを特徴とするモータ内蔵ローラ。 - 中空のローラ本体と、モータを含む動力部と、動力伝達部材とを有し、ローラ本体に動力部と動力伝達部材が内蔵され、動力部の回転力が動力伝達部材を介してローラ本体に伝達されるモータ内蔵ローラであって、
動力伝達部材は、弾性リングと、係合部材とを有し、
弾性リングは拡縮可能であって中央部に開口を有し、当該開口にはリング側係合部があり、自然状態又は円形に近似させた状態における弾性リングの外接円の直径は、前記ローラ本体の内径よりも小さく、
係合部材は、外側係合部と内側係合部を有し、
前記係合部材は弾性リングの開口に装着されていて外側係合部がリング側係合部と係合し、
前記係合部材が装着された状態における弾性リングの外接円の直径は、前記ローラ本体の内径よりも大きく、
前記ローラ本体の内部において動力部が係合部材の内側係合部と係合し、弾性リングの外周面がローラ本体の内周面と接しているモータ内蔵ローラを製造する方法において、
ローラ本体内に自然状態又は円形に近似させた弾性リングの一部または全部を挿入し、この状態において弾性リングの開口に係合部材を挿入して動力伝達部材を組み立てる工程を有することを特徴とするモータ内蔵ローラの製造方法。 - 中空のローラ本体と、モータを含む動力部と、動力伝達部材とを有し、ローラ本体に動力部と動力伝達部材が内蔵され、動力部の回転力が動力伝達部材を介してローラ本体に伝達されるモータ内蔵ローラであって、
動力伝達部材は、弾性リングと、係合部材とを有し、
弾性リングは拡縮可能であって中央部に開口を有し、当該開口にはリング側係合部があり、
係合部材は、外側係合部と内側係合部を有し、
前記係合部材は弾性リングの開口に装着されていて外側係合部がリング側係合部と係合し、
前記係合部材が装着された状態における弾性リングの外接円の直径は、前記ローラ本体の内径よりも大きく、
前記ローラ本体の内部において動力部が係合部材の内側係合部と係合し、弾性リングの外周面がローラ本体の内周面と接しているモータ内蔵ローラを製造する方法において、
ローラ本体内に自然状態又は円形に近似させた弾性リングの一部または全部を挿入し、この状態において弾性リングの開口に係合部材を挿入し、前記弾性リングを拡径させて動力伝達部材を組み立てる工程を有することを特徴とするモータ内蔵ローラの製造方法。 - 組み立てられた動力伝達部材に軸方向の外力を加えてローラ本体内で軸方向に移動させる工程を有することを特徴とする請求項5又は6に記載のモータ内蔵ローラの製造方法。
- 動力伝達部材を軸方向に移動させる際に、移動に要する力を測定することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のモータ内蔵ローラの製造方法。
- モータ内蔵ローラの中空のローラ本体に内蔵される動力伝達部材であって、当該動力伝達部材は、ローラ本体内に配されたモータを含む動力部の出力軸から出力される回転力を、ローラ本体に伝動するものであり、
弾性リングと、係合部材とを有し、
弾性リングは拡縮可能であって中央部に開口を有し、当該開口にはリング側係合部があり、自然状態又は円形に近似させた状態における弾性リングの外接円の直径は、前記ローラ本体の内径よりも小さく、
係合部材は、外側係合部と内側係合部を有し、
前記内側係合部は、前記係合部材の中心に設けられた貫通孔であり、
前記係合部材は弾性リングの開口に装着されていて外側係合部がリング側係合部と係合し、
前記係合部材が装着された状態における弾性リングの外接円の直径は、前記ローラ本体の内径よりも大きく、
前記ローラ本体の内部に配し、前記弾性リングの外周面がローラ本体の内周面と接した状態で前記出力軸を係合部材の内側係合部と直接係合可能であることを特徴とする動力伝達部材。
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