JP6431713B2 - 水性塗料組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
[1]
塗膜形成樹脂、硬化剤、鱗片状アルミニウム顔料および水溶性ガス抑制無機化合物を含む、水性塗料組成物であって、
上記鱗片状アルミニウム顔料は、アルミニウム以外の金属からなる金属被膜および有機高分子被膜のいずれも有しておらず、
上記水溶性ガス抑制無機化合物は、20℃の水に対する溶解度が10g/L以上であり、および
上記水性塗料組成物は、鱗片状アルミニウム顔料を含むアルミニウムペースト、塗膜形成樹脂、硬化剤、および、水溶性ガス抑制無機化合物、を混合することによって調製される、
水性塗料組成物。
[2]
上記水溶性ガス抑制無機化合物は、Ce、W、MoおよびSeからなる群から選択される金属を含む1種またはそれ以上の無機金属化合物である、上記水性塗料組成物。
[3]
上記鱗片状アルミニウム顔料は、炭素数7〜20の炭化水素、炭素数12〜20の飽和脂肪酸、炭素数12〜20の不飽和脂肪酸および上記脂肪酸の誘導体からなる群から選択される1種またはそれ以上によって被覆された顔料である、上記水性塗料組成物。
[4]
上記水溶性ガス抑制無機化合物の含有量は、上記鱗片状アルミニウム顔料に対して、0.01〜20質量%である、上記水性塗料組成物。
[5]
さらにリン酸基含有有機化合物を含む、上記水性塗料組成物。
[6]
上記リン酸基含有有機化合物は、炭素数4〜30のアルキル基を有するアルキルリン酸エステルおよび/またはリン酸基価が5〜300mgKOH/gであるリン酸基含有ポリマーを含む、上記水性塗料組成物。
[7]
鱗片状アルミニウム顔料を含むアルミニウムペースト、塗膜形成樹脂、硬化剤、および、水溶性ガス抑制無機化合物、を混合する、水性塗料組成物の製造方法であって、
上記鱗片状アルミニウム顔料は、アルミニウム以外の金属からなる金属被膜および有機高分子被膜のいずれも有しておらず、
上記水溶性ガス抑制無機化合物は、20℃の水に対する溶解度が10g/L以上である、
水性塗料組成物の製造方法。
[8]
鱗片状アルミニウム顔料およびリン酸基含有有機化合物を含むアルミニウムペースト、塗膜形成樹脂、硬化剤、および、水溶性ガス抑制無機化合物、を混合する、水性塗料組成物の製造方法であって、
上記鱗片状アルミニウム顔料は、アルミニウム以外の金属からなる金属被膜および有機高分子被膜のいずれも有しておらず、
上記水溶性ガス抑制無機化合物は、20℃の水に対する溶解度が10g/L以上である、
水性塗料組成物の製造方法。
[9]
上記リン酸基含有有機化合物は、炭素数4〜30のアルキル基を有するアルキルリン酸エステルおよび/またはリン酸基価が5〜300mgKOH/gであるリン酸基含有ポリマーを含む、上記製造方法。
[10]
上記水溶性ガス抑制無機化合物は、Ce、W、MoおよびSeからなる群から選択される金属を含む1種またはそれ以上の無機金属化合物である、上記製造方法。
[11]
上記鱗片状アルミニウム顔料は、炭素数7〜20の炭化水素、炭素数12〜20の飽和脂肪酸、炭素数12〜20の不飽和脂肪酸および上記脂肪酸の誘導体からなる群から選択される1種またはそれ以上によって被覆された顔料である、上記製造方法。
[12]
上記水溶性ガス抑制無機化合物の含有量は、上記鱗片状アルミニウム顔料に対して、0.01〜20質量%である、上記製造方法。
本発明の水性塗料組成物は、塗膜形成樹脂、硬化剤、鱗片状アルミニウム顔料および水溶性ガス抑制無機化合物を含む。本発明の水性塗料組成物は、上記構成を有することによって、アルミニウム以外の金属からなる金属被膜および有機高分子被膜のいずれも有していない鱗片状アルミニウム顔料を含む水性塗料組成物であるにも関わらず、優れたガス発生抑制効果が達成され、かつ光輝性に優れる塗膜を得ることができることを特徴とする。以下、水性塗料組成物中に含まれる各成分について順次説明する。
本発明の水性塗料組成物は塗膜形成樹脂を含む。塗膜形成樹脂として、従来公知のものを使用することができる。塗膜形成樹脂の具体例として、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。このような塗膜形成樹脂の形態としては、水溶性、水分散性またはエマルションであってよい。上記塗膜形成樹脂のなかでも、アクリル樹脂および/またはポリエステル樹脂を用いることが耐候性、耐水性などの塗膜性能面から好ましい。これらの塗膜形成樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の水性塗料組成物は、塗膜形成樹脂の有する硬化性官能基の種類に適宜対応した、硬化剤を含む。硬化剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的には、アミノ樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物などを好ましいものとして挙げることができる。これらの中でも、アミノ樹脂および/またはブロックイソシアネート樹脂が一般的に用いられる。上記硬化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の水性塗料組成物は、鱗片状アルミニウム顔料を含む。そして本発明の水性塗料組成物中に含まれる鱗片状アルミニウム顔料は、アルミニウム以外の金属からなる金属被膜および有機高分子被膜のいずれも有していないものであることを特徴とする。
炭素数12〜20の不飽和脂肪酸として、例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸などが挙げられる。
これら脂肪酸の誘導体として、例えば炭素数12〜20の飽和炭化水素基および/または炭素数12〜20の不飽和炭化水素基を有する、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族アルコールなどが挙げられる。
これらはいずれも、鱗片状アルミニウム顔料の製造において、粉砕助剤として用いられる。
本発明の水性塗料組成物は、水溶性ガス抑制無機化合物を含む。本発明の水性塗料組成物に水溶性ガス抑制無機化合物が含まれることによって、アルミニウム以外の金属からなる金属被膜または有機高分子被膜を設けて被覆するといった、アルミニウム顔料の安定化処理が行われていない鱗片状アルミニウム顔料が水性塗料組成物中に含まれているにも関わらず、優れたガス発生抑制効果が達成される。また、本発明の水性塗料組成物が水溶性ガス抑制無機化合物を含むことによって、水性塗料組成物におけるガスの発生を抑制しつつ、FF性の高い塗膜を得ることができる。
本発明の水性塗料組成物は、上記成分に加えて、さらにリン酸基含有有機化合物を含んでもよい。本発明の水性塗料組成物に、リン酸基含有有機化合物が含まれることによって、ミネラルスピリットなどの粉砕媒液およびオレイン酸などの粉砕助剤などが、アルミニウム顔料の表面から剥がれにくくなり、また、鱗片状アルミニウム顔料の分散性が向上し、得られる塗膜において密着性などの塗膜物性が向上などの利点がある。
本発明の水性塗料組成物は、上記鱗片状アルミニウム顔料に加えてその他の顔料を含んでもよい。その他の顔料として、着色顔料および体質顔料が挙げられる。着色顔料として、例えば、例えば、有機系のアゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料などが挙げられ、無機系では、黄色酸化鉄、ニッケルチタンイエロー、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタンなどが挙げられる。体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルクなどが挙げられる。
本発明の水性塗料組成物は、上記成分に加えて、当業者において通常用いられる添加剤、例えば、表面調整剤、粘性制御剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、消泡剤などを含んでもよい。例えば粘性制御剤を用いることによって、チクソトロピー性を付与することができ、塗装作業性を調整することができる。粘性制御剤として、例えば、架橋あるいは非架橋の樹脂粒子、脂肪酸アマイドの膨潤分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポリアミノアマイドのリン酸塩などのポリアマイド系のもの、酸化ポリエチレンのコロイド状膨潤分散体などのポリエチレン系などのもの、有機酸スメクタイト粘土、モンモリロナイトなどの有機ベントナイト系のものなどを挙げることができる。これらの添加剤を用いる場合は、当業者において通常用いられる量で用いることができる。
疎水部(A)を繰り返し単位として少なくとも1つと、親水部(B)を繰り返し単位として少なくとも1つと、を有する、化合物であって、ここで、
上記疎水部(A)は、プロピレンオキシド基、ブチレンオキシド基、直鎖状または分枝状の炭素数4〜40の飽和炭化水素基、直鎖状または分枝状の炭素数4〜40の不飽和炭化水素基、芳香族環を有する炭素数6〜40の芳香族環含有基および疎水性ポリマーセグメントからなる群から選択される基を少なくとも1つ有し、
上記親水部(B)は、エチレンオキシド基および酸基からなる群から選択される基を少なくとも1つ有する、数平均分子量が1500〜100000である化合物が挙げられる。
本発明の水性塗料組成物において、このような両親媒性化合物が含まれることによって、水性塗料組成物が例えば樹脂固形分濃度が高い塗料組成物である場合であっても、良好なFF性が達成されるという利点がある。このような水性塗料組成物においては、必要に応じて、さらに、陰イオン界面活性剤を含んでもよい。
本発明の水性塗料組成物の製造は、上記塗膜形成樹脂、硬化剤、鱗片状アルミニウム顔料、水溶性ガス抑制無機化合物、そして必要に応じたリン酸基含有有機化合物および添加剤などを、ディスパー、ホモジナイザー、ニーダーなどを用いて混練・分散するなどの当業者において通常用いられる方法で製造することができる。そして本発明の水性塗料組成物の製造方法として、例えば、鱗片状アルミニウム顔料および必要に応じたリン酸基含有有機化合物および/または顔料分散剤を含むアルミニウムペーストを予め調製し、そしてこのアルミニウムペースト、塗膜形成樹脂、硬化剤、および、水溶性ガス抑制無機化合物、を混合する製造方法が挙げられる。
本発明の水性塗料組成物は、例えば水性ベース塗料組成物として用いることができる。水性ベース塗料組成物として用いる場合における塗装方法として、例えば、
被塗装物上に水性ベース塗料組成物を塗装して、未硬化のベース塗膜を形成する工程、
得られた未硬化のベース塗膜上に、クリアー塗料組成物を塗装して、未硬化のクリアー塗膜を形成する工程、および
得られた未硬化のベース塗膜およびクリアー塗膜を同時に加熱して硬化させる工程、
を包含する方法が挙げられる。
上記塗装において用いることができる被塗物は、特に限定されず、例えば、金属基材、プラスチック基材およびその発泡体などが挙げられる。
水性塗料組成物の塗装において通常用いられる塗装方法として、エアー静電スプレー塗装による多ステージ塗装または1ステージ塗装、あるいは、エアー静電スプレー塗装と、メタリックベルと言われる回転霧化式の静電塗装機とを組み合わせた塗装方法などの、自動車車体の塗装分野において一般的に用いられる方法が挙げられる。これらの塗装方法は、得られる塗膜の塗膜外観が良好であるという利点がある。形成されるベース塗膜の膜厚は、乾燥膜厚として例えば3〜50μmであるのが好ましく、5〜30μmであるのがより好ましい。
反応容器に脱イオン水330gを加え、窒素気流中で混合攪拌しながら80℃に昇温した。ついで、アクリル酸11.25部、アクリル酸n−ブチル139部、メタクリル酸メチル75部、メタクリル酸n−ブチル187部、メタクリル酸2−エチルヘキシル75部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル150部、スチレン112部、チオカルコール20(n−ドデシルメルカプタン、花王社製、有効成分100%)11.2部、およびラテムルPD−104(乳化剤、花王社製、有効成分20%)74.3部、および脱イオン水300部からなるモノマー乳化物のうち3%分と、過硫酸アンモニウム2.63部、および脱イオン水90部からなる開始剤溶液の30%分とを15分間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、同温度で15分間熟成を行った。
さらに、残りのモノマー乳化物と開始剤溶液とを180分間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、1時間同温度で熟成を行った。
次いで、40℃まで冷却し、200メッシュフィルターで濾過し、平均粒子径200nm、不揮発分49%、固形分酸価15mgKOH/g、水酸基価85mgKOH/gのアクリル樹脂エマルションを得た。
攪拌機、温度調整器、冷却管を備えた1リットルの反応容器にエトキシプロパノール40部を仕込み、これにスチレン4部、n−ブチルアクリレート35.96部、エチルヘキシルメタアクリレート18.45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.92部、メタクリル酸7.67部、エトキシプロパノール20部に、ホスマーPP(ユニケミカル社製アシッドホスホオキシヘキサ(オキシプロピレン)モノメタクリレート)20部を溶解した溶液40部、およびアゾビスイソブチロニトリル1.7部からなるモノマー溶液121.7部を120℃で3時間滴下した後、1時間さらに攪拌を継続した。得られた樹脂は、酸価105mgKOH/g、うちリン酸基価55mgKOH/g、水酸基価60mgKOH/g、数平均分子量6000のアクリルワニスで、不揮発分が63%であった。
また本明細書実施例において、リン酸基含有ポリマーの酸価およびリン酸基価の算出は、JIS K5601 2−1の酸価の定義(試料(不揮発物)1g中の遊離酸を中和するのに要する、水酸化カリウム(KOH)のmg数)に基づいて計算を行って求めた。また水酸基価の算出は、JIS K0070の水酸基価の定義(試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数)に基づいて計算を行って求めた。
アルミニウム顔料としてアルミペーストMH−8801(アルミニウム製扁平顔料、旭化成ケミカルズ社製、アルミニウム含有率65%) 22部、ブチルセロソルブ50部を撹拌し、オイルスラリーを得た。
アルミニウム顔料としてアルミペーストMH−8801(アルミニウム製扁平顔料、旭化成ケミカルズ社製、アルミニウム含有率65%) 22部、製造例2のリン酸基含有アクリル樹脂 5部、ラウリルアシッドホスフェート0.4部、ブチルセロソルブ50部を撹拌し、オイルスラリーを得た。
製造例4のオイルスラリーに、アルミペースト中の含有アルミ量に対して1.5質量%の塩化セリウムを加えて撹拌し、水溶性ガス抑制無機化合物を含んだオイルスラリーを得た。
アルミペーストMH−8801 22部、ブチルセロソルブ 50部、モリブデン酸アンモニウム アルミペースト中の含有アルミ量に対して0.55部、製造例2のリン酸含有アクリル樹脂 5部、ラウリルアシッドホスフェート0.4部を撹拌し、アルミ表面がモリブデン酸処理されたオイルスラリーを得た。なお、このオイルスラリーは濾過等の精製は行わずに用いた。
水性塗料組成物の製造
製造例1のアクリル樹脂エマルション 130部、ジメチルアミノエタノール1.8部、サイメル327(混合アルキル化型メラミン樹脂、三井サイテック社製、固形分90%)を40部、製造例3のオイルスラリー 72部、ノイゲンEA−207D(両親媒性化合物、第一工業製薬社製、数平均分子量4200、固形分55%) 5.5部(固形分換算で3部)、水溶性ガス抑制無機化合物として塩化セリウム 8質量%(アルミペースト中の含有アルミ量に対して)を均一分散し、脱イオン水で希釈して、塗料温度20℃、60rpmにおけるB型粘度計の測定値が798mPa・s、樹脂固形分濃度33質量%である水性塗料組成物を得た。
また表中に記載した水性塗料組成物の樹脂固形分濃度は、水性塗料組成物の製造に用いた各成分および希釈に用いた脱イオン水の量より算出して求めた。
表中に記載した水性塗料組成物の塗料の固形分濃度もまた、水性塗料組成物の製造に用いた各成分および希釈に用いた脱イオン水の量より算出して求めた。
水溶性ガス抑制無機化合物としてモリブデン酸カリウムを用いたところ以外は、実施例1と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
水溶性ガス抑制無機化合物としてタングステン酸ナトリウムを用いたところ以外は、実施例1と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
水溶性ガス抑制無機化合物としてセレン酸アンモニウムを用いたところ以外は、実施例1と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
水溶性ガス抑制無機化合物としてセレン酸カリウムを用いたところ以外は、実施例1と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
水溶性ガス抑制無機化合物としてセレン化セリウムを用いたところ以外は、実施例1と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
製造例1のアクリル樹脂エマルション 130部、ジメチルアミノエタノール1.8部、サイメル327(混合アルキル化型メラミン樹脂、三井サイテック社製、固形分90%)を40部、製造例4のオイルスラリー 77.4部、ノイゲンEA−207D(両親媒性化合物、第一工業製薬社製、数平均分子量4200、固形分55%) 5.5部(固形分換算で3部)、水溶性ガス抑制無機化合物として塩化セリウム 0.4質量%(アルミペーストの有効成分に対して)を均一分散し、脱イオン水で希釈して、塗料温度20℃、60rpmにおけるB型粘度計の測定値が799mPa・s、樹脂固形分濃度33質量%である水性塗料組成物を得た。
塩化セリウムの量をアルミペーストの有効成分に対して1.5質量%に変更したこと以外は、実施例7と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
塩化セリウムの量をアルミペーストの有効成分に対して8質量%に変更したこと以外は、実施例7と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
塩化セリウムの量をアルミペーストの有効成分に対して15質量%に変更したこと以外は、実施例7と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
水溶性ガス抑制無機化合物としてモリブデン酸カリウムを用いたところ以外は、実施例9と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
水溶性ガス抑制無機化合物としてタングステン酸ナトリウムを用いたところ以外は、実施例9と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
水溶性ガス抑制無機化合物としてセレン酸アンモニウムを用いたところ以外は、実施例9と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
水溶性ガス抑制無機化合物としてセレン酸カリウムを用いたところ以外は、実施例9と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
水溶性ガス抑制無機化合物としてセレン化セリウムを用いたところ以外は、実施例9と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
SN シックナー N−1(サンノプコ社製、粘弾性調整剤、有効成分25%)を樹脂固形分に対して8質量%加えたこと以外は実施例8と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
水溶性ガス抑制無機化合物を用いないこと以外は、実施例1と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
水溶性ガス抑制無機化合物を用いないこと以外は、実施例7と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
比較製造例1のオイルスラリーを用いたところ以外は、実施例8と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
比較製造例2のオイルスラリーを用いたところ以外は、実施例8と同様にして、水性塗料組成物を調製した。
200mlビーカーに対し、水100gと、ガス抑制無機化合物1gとを入れ、スターラーで1時間20℃にて撹拌し、溶けたかどうか目視で確認した。この条件において、ガス抑制無機化合物が溶けた場合は、20℃における溶解度が10g/L以上であり、水溶性ガス抑制無機化合物であると判断した。
上記実施例および比較例で用いたガス抑制無機化合物は、全て、20℃における溶解度が10g/L以上であり、水溶性ガス抑制無機化合物であった。
上記実施例および比較例で得られた水性塗料組成物について、下記の要領にて促進試験を行い、ガス発生量を測定した。
(1)この評価実験においては、各実施例および比較例における、脱イオン水で希釈した水性塗料組成物として、脱イオン水希釈直後の塗料組成物(脱イオン水で希釈した後3時間以内である塗料組成物)を用いた。
(2)穴を開けたコルクに、長さ24cm、内径0.4cmのチューブをつないだ。このとき、コルクの穴とチューブとの間から、空気が抜けないように、しっかりとシールした。
(3)体積が18cm3の試験管内に、塗料組成物を、試験管内の空隙が約5mmとなるように満たし、(2)で作成したチューブ付きコルクを試験管に取り付けた。
(4)試験管から塗料組成物の一部がチューブ内へ移動してきたことを確認し、その液面の位置が分かるように、チューブに印をつけ、この位置をd0とした。
(5)得られた試験管を、試験管立てを用いて逆さまに固定した。
(6)試験管立てで固定した試験管を、50℃に設定したインキュベーター内に72時間保持した。
(7)保持後、室温で1時間放置し、チューブ内の塗料組成物の位置を確認し、その液面の位置が分かるように、チューブに印をつけ、この位置をdfとした。
(8)塗料組成物の単位重量あたりのガス発生量(ΔV)を、下記式によって算出した。
◎:50ml/kg未満
○:50〜80ml/kg
△:80〜100ml/kg
×:100ml/kg以上
複層塗膜形成
リン酸亜鉛処理した厚み0.8mm、縦30cm、横40cmのダル鋼板に、カチオン電着塗料「パワートップU−50」(日本ペイント社製)を、乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗装し、160℃で30分間焼き付けた塗板に、25秒(No.4フォードカップを使用し、20℃で測定)に、予め希釈されたグレー中塗り塗料「オルガOP−30」(日本ペイント社製ポリエステル・メラミン系塗料)を、アネスト岩田製エアスプレーガンW−101−132Gを用いて乾燥膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間、焼き付けた。
冷却後、実施例または比較例によって調製された水性塗料組成物を、室温23℃、湿度68%の条件下で乾燥膜厚15μmになるようにエアスプレー塗装した。4分間のセッティングを行った後、80℃で5分間のプレヒートを行った。
プレヒート後、塗装板を室温まで放冷し、クリアー塗料としてマックフロー−O−1810(日本ペイント社製溶剤型クリアー塗料)、乾燥膜厚35μmとなるようにエアスプレー塗装し、7分間セッティングした。ついで、塗装板を乾燥機で140℃で30分間焼き付けを行うことにより、複層塗膜を有する塗装試験板を得た。
レーザー式メタリック感測定装置(商品名:アルコープLMR−200、関西ペイント社製)を用いて測定されるFF値をフリップフロップ性の指標として用いた。FF値が大きいほど、フリップフロップ性が強いことを示す。フリップフロップ性の評価は下記基準に従い、1.41以上を合格とする。
○:フリップフロップ値1.51以上
△:フリップフロップ値1.41以上、1.51未満
×:フリップフロップ値1.41未満
なお、実施例1〜15の水性塗料組成物はいずれも、塗料の固形分濃度が40%を超える、いわゆる高固形分塗料組成物である。そしてこれら実施例1〜15の水性塗料組成物はいずれも、高固形分塗料組成物であっても、FF性が良好であり光輝感に優れており、そしてガスの発生が良好に抑制されたことが確認された。特に、リン酸基含有有機化合物を含む実施例7〜15においては、FF性が特に優れていることが確認された。
実施例16の水性塗料組成物は、塗料の固形分濃度が23%程であって、水性ベース塗料組成物において一般的に用いられる固形分濃度を有している。この場合においても同様に、高いFF性を有しており光輝感に優れていることが確認された。
比較例1、2の水性塗料組成物は、いずれも、水溶性ガス抑制無機化合物を含まない塗料組成物である。これらの塗料組成物を用いた例では、ガスの発生が生じた。
比較例3、4の水性塗料組成物は、鱗片状アルミニウム顔料および水溶性ガス抑制無機化合物を含むアルミニウムペーストを予め調製することによって調製した水性塗料組成物である。これらの塗料組成物を用いた例ではいずれも、FF性が低下し光輝感が劣った。さらにこれらの例では、塗膜の黄変が確認された。
Claims (10)
- 塗膜形成樹脂、硬化剤、鱗片状アルミニウム顔料および水溶性ガス抑制無機化合物を含む、水性塗料組成物であって、
前記鱗片状アルミニウム顔料は、アルミニウム以外の金属からなる金属被膜および有機高分子被膜のいずれも有しておらず、
前記水溶性ガス抑制無機化合物は、20℃の水に対する溶解度が10g/L以上である無機化合物であって、
前記水溶性ガス抑制無機化合物は、セレン酸カリウム、塩化セリウム、モリブデン酸カリウム、セレン酸アンモニウムおよびセレン化セリウムからなる群から選択される1種またはそれ以上であり、および
前記水性塗料組成物は、鱗片状アルミニウム顔料を含むアルミニウムペースト、塗膜形成樹脂、硬化剤、および、水溶性ガス抑制無機化合物、を混合することによって調製される、
水性塗料組成物。 - 前記鱗片状アルミニウム顔料は、炭素数7〜20の炭化水素、炭素数12〜20の飽和脂肪酸、炭素数12〜20の不飽和脂肪酸および前記脂肪酸の誘導体からなる群から選択される1種またはそれ以上によって被覆された顔料である、請求項1記載の水性塗料組成物。
- 前記水溶性ガス抑制無機化合物の含有量は、前記鱗片状アルミニウム顔料に対して、0.01〜20質量%である、請求項1または2に記載の水性塗料組成物。
- さらにリン酸基含有有機化合物を含む、請求項1〜3いずれかに記載の水性塗料組成物。
- 前記リン酸基含有有機化合物は、炭素数4〜30のアルキル基を有するアルキルリン酸エステルおよび/またはリン酸基価が5〜300mgKOH/gであるリン酸基含有ポリマーを含む、請求項4記載の水性塗料組成物。
- 鱗片状アルミニウム顔料を含むアルミニウムペースト、塗膜形成樹脂、硬化剤、および、水溶性ガス抑制無機化合物、を混合する、水性塗料組成物の製造方法であって、
前記製造方法は、前記水溶性ガス抑制無機化合物と前記鱗片状アルミニウム顔料とを予め混合することなく、水性塗料組成物を製造する方法であり、
前記水溶性ガス抑制無機化合物は、セレン酸カリウム、塩化セリウム、モリブデン酸カリウム、タングステン酸ナトリウム、セレン酸アンモニウムおよびセレン化セリウムからなる群から選択される1種またはそれ以上であり、
前記鱗片状アルミニウム顔料は、アルミニウム以外の金属からなる金属被膜および有機高分子被膜のいずれも有しておらず、
前記水溶性ガス抑制無機化合物は、20℃の水に対する溶解度が10g/L以上である、
水性塗料組成物の製造方法。 - 鱗片状アルミニウム顔料およびリン酸基含有有機化合物を含むアルミニウムペースト、塗膜形成樹脂、硬化剤、および、水溶性ガス抑制無機化合物、を混合する、水性塗料組成物の製造方法であって、
前記製造方法は、前記水溶性ガス抑制無機化合物と前記鱗片状アルミニウム顔料とを予め混合することなく、水性塗料組成物を製造する方法であり、
前記水溶性ガス抑制無機化合物は、セレン酸カリウム、塩化セリウム、モリブデン酸カリウム、タングステン酸ナトリウム、セレン酸アンモニウムおよびセレン化セリウムからなる群から選択される1種またはそれ以上であり、
前記鱗片状アルミニウム顔料は、アルミニウム以外の金属からなる金属被膜および有機高分子被膜のいずれも有しておらず、
前記水溶性ガス抑制無機化合物は、20℃の水に対する溶解度が10g/L以上である、
水性塗料組成物の製造方法。 - 前記リン酸基含有有機化合物は、炭素数4〜30のアルキル基を有するアルキルリン酸エステルおよび/またはリン酸基価が5〜300mgKOH/gであるリン酸基含有ポリマーを含む、請求項7記載の水性塗料組成物の製造方法。
- 前記鱗片状アルミニウム顔料は、炭素数7〜20の炭化水素、炭素数12〜20の飽和脂肪酸、炭素数12〜20の不飽和脂肪酸および前記脂肪酸の誘導体からなる群から選択される1種またはそれ以上によって被覆された顔料である、請求項6〜8いずれかに記載の水性塗料組成物の製造方法。
- 前記水溶性ガス抑制無機化合物の含有量は、前記鱗片状アルミニウム顔料に対して、0.01〜20質量%である、請求項6〜9いずれかに記載の水性塗料組成物の製造方法。
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