以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るヒューズユニットが適用されるバッテリーの概略構成を表す斜視図である。図2は、実施形態1に係るヒューズユニットの概略構成を表す分解斜視図である。図3は、実施形態1に係るヒューズユニットの概略構成を表す平面図である。図4は、実施形態1に係るヒューズユニットの部分断面斜視図である。図5は、実施形態1に係るヒューズユニットの規制機構を含む部分断面図である。図6は、実施形態1に係るヒューズユニットの連結バスバーの概略構成を表す斜視図である。図7は、実施形態1に係るヒューズユニットの組み付け方法の一例を表すフローチャートである。図8は、変形例に係るヒューズユニットの連結バスバーの概略構成を表す斜視図である。図9は、変形例に係るヒューズユニットの規制機構を含む部分断面図である。なお、図2は、説明をわかり易くするため、実際にはインサート成形によってハウジングの内部に埋設されるヒューズエレメント、スタッドボルトを分解して模式的に図示している。
なお、以下の説明では、バッテリーポスト102の中心軸線X1に沿った方向を軸方向という。典型的には、軸方向は、バッテリー100が車両等に搭載された状態で、鉛直方向に沿った方向となり、後述するバッテリー筐体101のポスト立設面105は、典型的には、バッテリー筐体101の鉛直方向上面に相当する。またここでは、以下の説明を分かり易くするために、便宜的に当該軸方向と直交する2つの直交方向のうち一方を長辺方向(第1の幅方向)、他方を短辺方向(第2の幅方向)という。これら第1方向としての軸方向(Z方向)、第2方向としての長辺方向(X方向)、及び、第3方向としての短辺方向(Y方向)は互いに直交する。
本実施形態に係るヒューズユニット1は、図1、図2、図3に示すように、車両等に搭載されるバッテリー100に接続されるバッテリー端子110に適用され、電装回路の過電流保護に用いられるものである。
ここでまず、図1、図2、図3を参照して、当該ヒューズユニット1が適用されるバッテリー100及びバッテリー端子110について説明する。
バッテリー100は、例えば、車両等に蓄電装置として搭載されるものである。バッテリー100は、バッテリー液や当該バッテリー100を構成する種々の部品を収容するバッテリー筐体101、当該バッテリー筐体101に設けられたバッテリーポスト102等を含んで構成される。バッテリー筐体101は、いずれか1つの面が開放された略矩形箱状の筐体本体103と、上記開放された面を閉塞させる蓋部材104とを含んで構成され、全体として略直方体形状に形成される。ここでは、バッテリー筐体101は、長辺方向に沿った方向が長辺、短辺方向に沿った方向が短辺となるがこれに限らない。バッテリーポスト102は、導電性を有する鉛等により構成され、蓋部材104のポスト立設面105に立設される。ポスト立設面105は、バッテリー筐体101においてバッテリーポスト102が立設される面である。ここでは、当該ポスト立設面105は、例えば、バッテリー100が車両等に搭載された状態で、バッテリー筐体101を構成する蓋部材104の鉛直方向上側の面(鉛直方向上面)である。このポスト立設面105は、後述の凹部106の底面も含む、蓋部材104の鉛直方向上面全体である。バッテリーポスト102は、略円柱形状であり、中心軸線X1がポスト立設面105と直交するような位置関係で当該ポスト立設面105上に突出するようにして立設される。より詳細には、本実施形態のバッテリーポスト102は、ポスト立設面105の角位置近傍に形成された凹部106内に立設される。当該凹部106は、ポスト立設面105の角位置近傍において略矩形状に陥没した部分である。バッテリーポスト102は、この凹部106内に立設されている。バッテリーポスト102は、典型的には、軸方向の先端側に進むにつれて径が小さくなるようテーパが付けられている。つまり、バッテリーポスト102は、先端の外径が基端の外径より小さいテーパ形状となる。
なお、バッテリーポスト102、凹部106は、長辺方向に対して、陽極、陰極で対となるように一対で設けられ、当該一対の凹部106は、連通凹部107を介して連通されている。連通凹部107は、蓋部材104の長辺方向の縁部に沿って形成される。以下の説明では、ヒューズユニット1が陽極側のバッテリーポスト102に設けられるバッテリー端子110に対して適用される場合を説明するがこれに限らない。なお、バッテリー100は、鉛直方向下側に設けられる据付トレイ108等を介して車両の所定の位置に据え付けられる。
バッテリー端子110は、バッテリーポスト102に取り付けられることにより、バッテリー100と、このバッテリー100が搭載される車両等の本体側の電線114の末端に設けられた端子115等の金具とを電気的に接続するための部品である。バッテリー端子110は、本体部111と、スタッドボルト112と、締付部113とを備える。本体部111は、例えば、導電性を有する金属板のプレス折り曲げ加工により、環状部111a、ボルト保持部111b等が一体で形成される。環状部111aは、バッテリーポスト102が挿入されるポスト挿入孔111cと、当該ポスト挿入孔111cと連続するスリット111dが形成される。ポスト挿入孔111cは、略円形状に形成され、バッテリーポスト102が挿入された状態で、各内周面がバッテリーポスト102と接触するように、内周壁面に上述したバッテリーポスト102のテーパに対応したテーパを有している。ボルト保持部111bは、例えば、ボルト挿入孔111eにスタッドボルト112が挿入された状態で折り曲げ加工されることで、当該スタッドボルト112を保持する部分である。スタッドボルト112は、導電性を有し、ボルト保持部111bに保持された状態で、ボルト挿入孔111eから露出した軸部に電線114の末端に設けられた端子115等の金具が電気的に接続される(図1、図3等参照)。締付部113は、ポスト挿入孔111c内にバッテリーポスト102が挿入された状態で、環状部111aを当該バッテリーポスト102に締結するものである。締付部113は、例えば、ボルトと、ナットとを含んで構成され、当該ボルトが上述のスリット111dを横断するような位置関係で本体部111に組み付けられる。そして、締付部113は、ボルトの先端部分にナットが螺合されることで、環状部111aを締め付けてバッテリー端子110をバッテリーポスト102に締結する。
そして、本実施形態のヒューズユニット1は、上記のようにしてバッテリー端子110がバッテリーポスト102に締結されるバッテリー100にあって、ベース部31と保持部32とが一体的に形成された保持機構としてのプロテクタ3によって、ヒュージブルリンク2をポスト立設面105、ここでは、バッテリー筐体101の鉛直方向上面に保持することで、バッテリーポスト102に作用する荷重を抑制している。
具体的には、ヒューズユニット1は、図1、図2、図3、図4、図5、図6に示すように、ヒュージブルリンク2と、保持機構としてのプロテクタ3とを備える。さらに、本実施形態のヒューズユニット1は、係止機構4と、接続部材としての連結バスバー5とを備える。
ヒュージブルリンク2は、バッテリー端子110と接続され過電流が流れたときに可溶体(ヒューズ)21cが溶断するものである。ヒュージブルリンク2は、可溶体21cが設けられたヒューズエレメント21と、ヒューズエレメント21に連接されるスタッドボルト22と、ヒューズエレメント21を支持する樹脂製のハウジング23とを含んで構成される。
ヒューズエレメント21は、導電性を有する板状の導体であり、金属バスバーによって構成される。ヒューズエレメント21は、連結バスバー5等を介してバッテリー端子110に接続される電源側端子21aと、負荷端子に接続される複数の負荷側端子21bと、電源側端子21aと各負荷側端子21bとに渡して設けられた各可溶体21cとが平板状に一体形成される。各負荷側端子21bは、負荷端子の形状等に応じて様々な形状を有している。各可溶体21cは、電源側端子21aと各負荷側端子21bとをそれぞれ導通接続している。各可溶体21cは、例えば、幅を狭めた帯状の導電部に低融点金属チップを溶着させた構成で、過電流が流れたときに溶断し該当する電流経路を遮断する。ここで、可溶体21cの過電流とは、例えば、予め設定された定格以上の電流である。つまり、各可溶体21cは、予め設定された定格以上の電流が流れたときに溶断する。各可溶体21cの定格電流は、保護する回路の電流に合わせてそれぞれ決められる。電源側端子21a、各負荷側端子21bは、それぞれボルト取付孔やコネクタ接続形状が設けられており、例えば、ボルト取付孔にはスタッドボルト22が接合される。ここでは、ヒューズエレメント21は、電源側端子21aを1つ、負荷側端子21bを5つ、可溶体21cを4つ含んで構成される。
各スタッドボルト22は、導電性を有し、外部回路の負荷端子や連結バスバー5等が電気的に接続される。
ハウジング23は、絶縁性の樹脂材によって形成され、ヒューズエレメント21及びスタッドボルト22を支持して覆うブロック状ボディである。本実施形態のヒュージブルリンク2は、例えば、インサート成形等によってハウジング23の内部にヒューズエレメント21、スタッドボルト22が埋設され一体化される。ヒュージブルリンク2は、全体として、略矩形箱状に形成される。
なお、ヒュージブルリンク2は、各可溶体21cの位置が樹脂製の透明カバー部材24によって覆われており、この透明カバー部材24を通して各可溶体21cを目視できるようになっている。
プロテクタ3は、ヒュージブルリンク2をポスト立設面105上に保持するものである。プロテクタ3は、ベース部31と、保持部32とを有し、これらが絶縁性の樹脂材によって一体形成される。
ベース部31は、バッテリー筐体101のポスト立設面105に設けられたバッテリーポスト102にバッテリー端子110が締結された状態でポスト立設面105とバッテリー端子110との間に介在する部分である。ベース部31は、バッテリーポスト102の周りに設けられる。ここでは、ベース部31は、略矩形板状に形成され、バッテリーポスト102が挿入されるポスト挿入孔31aが形成される。ポスト挿入孔31aは、バッテリー100等で許容される公差等を踏まえてバッテリーポスト102よりも十分に大きく形成される。ベース部31は、ポスト挿入孔31aにバッテリーポスト102が挿入された状態でポスト立設面105の凹部106内に配置可能な大きさ、形状で形成される。なお、ベース部31は、ポスト挿入孔31aにかえて、バッテリーポスト102が貫通可能なポスト挿入切り欠きを備える構成であってもよい。
保持部32は、ベース部31と連接されヒュージブルリンク2をポスト立設面105に保持するものである。保持部32は、略矩形板状に形成された底面32aと、この底面32aの周縁を囲うように立設される側壁32bとを有し、これらが一体となってトレイ状(皿状)に形成される。側壁32bは、軸方向一方側、ここでは、プロテクタ3がバッテリー100のポスト立設面105上に組み付けられた状態(以下、単に「組み付け状態」という場合がある。)で鉛直方向上側に向けて突出するようにして立設される。側壁32bは、底面32aの4辺のうちの3辺に設けられ、当該底面32aの3方を囲うように設けられる。ここでは、側壁32bは、底面32aの短辺方向に沿った2辺、及び、長辺方向に沿った2辺のうちの一方(ここではバッテリー100の側面に対して奥側に位置する辺)に、それぞれ軸方向と直交する直交方向(短辺方向、あるいは、長辺方向)に沿って形成される。なお、各側壁32bは、例えば、ヒュージブルリンク2に接続される端子やコネクタの形状等に応じて所定の箇所が切り欠かれていてもよい。
保持部32は、底面32aと側壁32bとによってヒュージブルリンク2を収容し保持するための収容空間部32cが区画される。収容空間部32cは、プロテクタ3がバッテリー100のポスト立設面105上に組み付けられた状態で、鉛直方向上側に開口する。収容空間部32cは、ヒュージブルリンク2が嵌合する大きさ、形状に形成される。また、収容空間部32cは、側壁32bが設けられていない面、すなわち、短辺方向の一方側の面にスライド開口32dが形成される。スライド開口32dは、ヒュージブルリンク2を収容空間部32cに直交方向(ここでは短辺方向)に沿ってスライド挿入するための開口である。各側壁32bは、ヒュージブルリンク2を、スライド開口32dを介して収容空間部32cにスライド挿入する際に、当該ヒュージブルリンク2を直交方向(ここでは短辺方向)に沿って当該収容空間部32cに案内可能な壁面として機能する。
さらに、保持部32は、収容空間部32cに収容されたヒュージブルリンク2に当接して当該ヒュージブルリンク2の軸方向に沿った移動を規制する規制爪部32eを有する。規制爪部32eは、側壁32bの軸方向の端部に形成される。規制爪部32eは、少なくとも1つ設けられればよいが、ここでは、長辺方向に沿った側壁32bと、短辺方向に沿った側壁32bとにそれぞれ1つずつ、合計2つが設けられる。各規制爪部32eは、各側壁32bの軸方向先端部(組み付け状態で鉛直方向上側の端部)に形成される。各規制爪部32eは、各側壁32bの軸方向先端部がそれぞれ直交方向(短辺方向、あるいは、長辺方向)に沿って収容空間部32c側に屈曲したような形状に形成される。
上記で説明したヒュージブルリンク2は、図2、図4等に示すように、スライド開口32dを介して直交方向(短辺方向)に沿って各側壁32bに案内されながら、保持部32の収容空間部32cにスライド挿入されることで当該収容空間部32cに組み付けられる。そして、保持部32は、ヒュージブルリンク2が収容空間部32cに収容、嵌合された状態で、各規制爪部32eがヒュージブルリンク2のハウジング23の外縁部における所定の位置に当接することで、当該ヒュージブルリンク2を収容空間部32cに保持することができる。
ここでさらに、本実施形態のヒューズユニット1は、図4、図5に示すように、収容空間部32cに収容されたヒュージブルリンク2の直交方向(ここでは短辺方向)に沿った移動を規制する規制機構6を備える。ここでは、規制機構6は、保持部32の底面32a側に2つ、短辺方向に沿った規制爪部32e側に1つ、合計3つ設けられているが、少なくとも1つ設けられていればよい。本実施形態の各規制機構6は、保持部32、又は、ヒュージブルリンク2の一方側に設けられる規制凹部6aと、保持部32、又は、ヒュージブルリンク2の他方側に設けられる規制凸部6bとを有する。ここでは、各規制機構6は、各規制凹部6aが保持部32に設けられ、各規制凸部6bがヒュージブルリンク2に設けられる。
具体的には、各規制凹部6aは、それぞれ底面32a、規制爪部32eにおいて、収容空間部32cに面する側の面であってスライド開口32dの近傍に窪み状に形成される。底面32aに形成された2つの規制凹部6aは、それぞれ短辺方向に沿った各側壁32bに隣接する位置に形成され、規制爪部32eに形成された規制凹部6aは、底面32aに形成された2つの規制凹部6aのうちの一方(ベース部31側の規制凹部6a)と軸方向に対向する位置に形成される。各規制凸部6bは、ヒュージブルリンク2が収容空間部32cに収容された状態で、ヒュージブルリンク2のハウジング23においてそれぞれ各規制凹部6aと対向する位置に突起状に形成される。各規制凸部6bは、傾斜面6cと当接面6dとを含んで形成される。傾斜面6cは、規制凹部6aにおいて、ヒュージブルリンク2のスライド挿入方向の前方側に形成され、当接面6dは、規制凹部6aにおいて、スライド挿入方向の後方側に形成される。
上記のように構成される各規制機構6は、ヒュージブルリンク2を、スライド開口32dを介して直交方向(短辺方向)に沿って収容空間部32cにスライド挿入する際に、各規制凸部6bの傾斜面6cが保持部32の底面32a、規制爪部32eの所定の部位に当接し当該部位を撓ませながらスライドすることで、各規制凸部6bが各規制凹部6a内に移動する。そして、各規制機構6は、各規制凸部6bが各規制凹部6a内に移動し、嵌合した状態で、各規制凸部6bの当接面6dが各規制凹部6aの内壁面と当接することで、収容空間部32cに収容されたヒュージブルリンク2の直交方向(短辺方向)に沿った移動、典型的には、スライド挿入する側とは反対側への移動を規制することができる。
再び、プロテクタ3の説明に戻る。上記のように構成される本実施形態の保持部32は、長辺方向に対してベース部31と隣接するようにして、当該ベース部31と一体で形成される。保持部32は、ベース部31側の側壁32bがポスト立設面105上の凹部106による段差に対応するように鉛直方向下側に延在し、当該側壁32bの下端部でベース部31と連続する。保持部32は、このプロテクタ3が、ベース部31のポスト挿入孔31a内にバッテリーポスト102が挿入され、当該ベース部31が凹部106内に位置するような位置関係でバッテリー100に組み付けられた状態で、少なくとも一部がポスト立設面105上に位置し、当該ポスト立設面105上にヒュージブルリンク2を載置し、保持する。保持部32は、組み付け状態で、底面32aの背面側(収容空間部32cとは反対側の面)がポスト立設面105に当接して載置される。したがって、プロテクタ3は、ヒュージブルリンク2の荷重を、当該保持部32を介してポスト立設面105上で受けることとなる。
係止機構4は、上記のように構成されるプロテクタ3をポスト立設面105上に係止するものである。本実施形態の係止機構4は、バッテリー筐体101と係合することでプロテクタ3をポスト立設面105上に係止する係止爪部41、42を含んで構成される。係止爪部41、42は、複数、ここでは2つが設けられ、バッテリー筐体101の複数の面、ここでは、バッテリー筐体101において互いに直交する2面に係合する。係止爪部41、42は、それぞれ組み付け状態で鉛直方向に沿って延在する板状部(アーム部)41a、42aを介してプロテクタ3のベース部31、及び、保持部32と一体で形成される。板状部41a、42aは、組み付け状態においてベース部31、保持部32から鉛直方向下側に向けて延在し、ベース部31、保持部32と一体で形成される。
係止爪部41及び板状部41aは、組み付け状態でバッテリー筐体101の蓋部材104の長辺方向に沿った側面、ここでは、蓋部材104のポスト立設面105に形成された凹部106近傍の長辺方向に沿った側面と対向する位置に形成される。係止爪部41及び板状部41aは、ベース部31と保持部32とに渡って長辺方向に沿って延在して形成される。係止爪部42及び板状部42aは、組み付け状態でバッテリー筐体101の蓋部材104の短辺方向に沿った側面、ここでは、蓋部材104のポスト立設面105に形成された凹部106近傍の短辺方向に沿った側面と対向する位置に形成される。係止爪部42及び板状部42aは、ベース部31において短辺方向に沿って延在して形成される。
係止爪部41、42は、それぞれ板状部41a、42aの先端部(プロテクタ3がバッテリー100のポスト立設面105上に組み付けられた状態で鉛直方向下側の端部)が曲がったようなフック状、あるいは、鉤状に形成される。ここでは、係止爪部41、42は、バッテリー筐体101において、蓋部材104の縁部の鉛直方向下端面と係合する。係止機構4は、プロテクタ3がバッテリー100のポスト立設面105上に組み付けられた状態でこの係止爪部41、42が蓋部材104の鉛直方向下端面の所定の位置に係合することで、プロテクタ3をポスト立設面105上に係止しロックすることができる。
連結バスバー5は、図1、図2、図6等に示すように、導電性を有する板状の導体であり、ヒュージブルリンク2のヒューズエレメント21とバッテリー端子110とを電気的に接続するものである。ここでは、連結バスバー5は、1枚の板状の導体で構成される。連結バスバー5は、板状の金属バスバーであり、ポスト立設面105上の凹部106による段差に対応するように段差部5aが形成される。連結バスバー5は、この段差部5aの両端部にヒュージブルリンク側接続部としての平板部5bと、端子側接続部としての平板部5cとが形成されている。連結バスバー5は、ヒュージブルリンク2、及び、バッテリー端子110に組み付けられた状態で、平板部5bが段差部5aの鉛直方向上側の端部から長辺方向に沿ってヒュージブルリンク2側に延在し、平板部5cが段差部5aの鉛直方向下側の端部から長辺方向に沿ってバッテリー端子110側に延在する。言い換えれば、連結バスバー5は、段差部5aが平板部5bと平板部5cとを接続する。平板部5bと平板部5cとは、ともにポスト立設面105と対向するように配置される。平板部5bは、ボルト孔5dが形成され、ヒュージブルリンク2と接続される。平板部5cは、ボルト孔5eが形成され、バッテリー端子110と接続される。連結バスバー5は、ボルト孔5dに電源側端子21aのスタッドボルト22が挿入されてナット5fが締結され、ボルト孔5eにバッテリー端子110のスタッドボルト112が挿入されてナット5gが締結されることで、電源側端子21aのスタッドボルト22とバッテリー端子110のスタッドボルト112とを電気的に接続する。
ここでさらに、本実施形態の連結バスバー5は、ヒュージブルリンク2との接続位置と、バッテリー端子110との接続位置との間の寸法上のズレ量(以下、単に「寸法上のズレ量」という場合がある。)を吸収する接続部材側ズレ量吸収構造としてのズレ量吸収構造5hを有する。当該「寸法上のズレ量」とは、連結バスバー5のヒュージブルリンク2との接続位置の位置公差、連結バスバー5のバッテリー端子110との接続位置の位置公差、または両接続位置間の寸法公差の範囲内であることが好ましいが、これらの公差より大きい場合も含めることができる。ズレ量吸収構造5hは、典型的には、バッテリー100、バッテリー端子110、ヒュージブルリンク2、プロテクタ3等の公差に応じてあらわれる上記寸法上のズレ量を吸収するための構造である。ここでは、連結バスバー5は、長孔としてのボルト孔5dと、撓み許容部としての段差部5aがそれぞれズレ量吸収構造5hを構成する。
ボルト孔5dは、軸方向と直交する直交方向、ここでは、ヒュージブルリンク2とバッテリー端子110とが並ぶ長辺方向に沿った長い孔(例えば、長円形状や楕円形状の孔)として形成されることでズレ量吸収構造5hを構成する。連結バスバー5は、長孔として形成されるボルト孔5dに、上述のようにヒュージブルリンク2側に形成された突起部としての電源側端子21aのスタッドボルト22が挿入されることでヒュージブルリンク2のヒューズエレメント21と接続される。これにより、当該ボルト孔5dは、長辺方向に対する寸法上のズレ量を吸収するためのズレ量吸収構造5hとして機能する。つまり、連結バスバー5は、ヒュージブルリンク2、及び、バッテリー端子110の両方と接続された状態において、ヒュージブルリンク2との接続位置と、バッテリー端子110との接続位置との間の長辺方向の寸法上のズレ量を、ズレ量吸収構造5hを構成する当該ボルト孔5dで吸収できるよう構成されている。
段差部5aは、軸方向に沿って延在して平板部5bと平板部5cとを接続し軸方向に沿った撓みを許容するものである。ここでは、連結バスバー5は、段差部5aが軸方向に対して交差するようにして形成され、当該段差部5aが平板部5b、5cに対して鋭角に屈曲するよう形成される。つまり、連結バスバー5は、側方(短辺方向)に沿って視たときに略Z字形状となるよう形成されている。連結バスバー5は、このように段差部5aを形成し当該段差部5aが軸方向に沿って撓むことで、軸方向(鉛直方向)に撓み変形可能とされる。言い換えると、連結バスバー5は、段差部5aと平板部5b、5cとのなす角度が縮小する方向に屈曲することで、当該連結バスバー5の軸方向の幅(平板部5b、5c間の距離)を縮小させることができるように構成されている。また、連結バスバー5は、段差部5aと平板部5b、5cとのなす角度が拡大する方向に屈曲することで、連結バスバー5の軸方向の幅(平板部5b、5c間の距離)を拡大させることができるように構成されている。これにより、当該段差部5aは、軸方向に対する寸法上のズレ量を吸収するためのズレ量吸収構造5hとして機能する。つまり、連結バスバー5は、ヒュージブルリンク2、及び、バッテリー端子110の両方と接続された状態において、ヒュージブルリンク2との接続位置と、バッテリー端子110との接続位置との間の軸方向の寸法上のズレ量を、ズレ量吸収構造5hを構成する当該段差部5aで吸収できるよう構成されている。
また、本実施形態のヒュージブルリンク2は、図1、図2、図3に示すように、連結バスバー5とヒュージブルリンク2との接続位置と、バッテリー端子110との接続位置との間の寸法上のズレ量を吸収するヒュージブルリンク側ズレ量吸収構造としてのズレ量吸収構造2aを有する。つまり、ヒューズユニット1は、ヒュージブルリンク2側にもズレ量吸収構造2aを有する。ここでは、ヒュージブルリンク2は、回転許容支持部23aを有し、当該回転許容支持部23aがズレ量吸収構造2aを構成する。回転許容支持部23aは、ヒュージブルリンク2のハウジング23に形成され、軸方向に沿った回転軸線を回転中心として連結バスバー5を回転可能に支持する部分である。回転許容支持部23aは、ハウジング23において、突起部としての電源側端子21aのスタッドボルト22の近傍に凹部状に形成される。電源側端子21aのスタッドボルト22は、当該回転許容支持部23aを構成する凹部状の領域内に立設されている。回転許容支持部23aは、ハウジング23において、長辺方向の一方側、ここでは、バッテリー端子110が位置する側に開口部23bが形成されると共に、当該開口部23bに向かって徐々に短辺方向に沿った幅が広がる広がり部23cを含んで構成される。連結バスバー5は、平板部5bが回転許容支持部23a内に収容されるような位置関係で電源側端子21aのスタッドボルト22に組み付けられる。そして、回転許容支持部23aは、連結バスバー5がスタッドボルト22の軸線を回転軸線として回転した際に、広がり部23cの領域の範囲内で当該連結バスバー5の回転を許容することができる。これにより、当該回転許容支持部23aは、短辺方向に対する寸法上のズレ量を吸収するためのズレ量吸収構造2aとして機能する。つまり、ヒュージブルリンク2は、連結バスバー5がヒュージブルリンク2、及び、バッテリー端子110の両方と接続された状態において、連結バスバー5とヒュージブルリンク2との接続位置と、連結バスバー5とバッテリー端子110との接続位置との間の短辺方向の寸法上のズレ量を、ズレ量吸収構造2aを構成する当該回転許容支持部23aで吸収できるよう構成されている。
ここで、上記のように構成される連結バスバー5の組み付けについて説明する。連結バスバー5は、ヒュージブルリンク2、プロテクタ3、バッテリー端子110がバッテリー100に組み付けられた状態で、ヒュージブルリンク2とバッテリー端子110とに接続され、ナット5f、ナット5gによって固定される。このヒューズユニット1は、ヒュージブルリンク側締結具としてのナット5f、又は、端子側締結具としてのナット5gの一方が仮締め兼用締結具とされる。ここでは、ヒューズユニット1は、ナット5fが、連結バスバー5のヒュージブルリンク2側の平板部5bを当該ヒュージブルリンク2に仮締め、及び、本締めするためのヒュージブルリンク側仮締め兼用締結具であり、例えば、ナイロンナットによって構成される一方、ナット5gが連結バスバー5のバッテリー端子110側の平板部5cを当該バッテリー端子110に本締めするための通常のナットによって構成される。以下、図7のフローチャートを参照して、ヒューズユニット1の組み付け方法、特に、連結バスバー5の組み付け方法について説明する。
まず、作業者は、ヒュージブルリンク2、プロテクタ3、バッテリー端子110がバッテリー100に組み付けられた状態で、連結バスバー設置工程(FL側)として、連結バスバー5のヒュージブルリンク2側の平板部5bに形成されているボルト孔5dに電源側端子21aのスタッドボルト22を挿入するようにして、当該連結バスバー5をヒュージブルリンク2側に組み付ける(ステップST1)。
次に、作業者は、FL側仮締め工程として、ナイロンナットによって構成されるナット5fによって連結バスバー5のヒュージブルリンク2側の平板部5bをヒュージブルリンク2に仮締めする(ステップST2)。
次に、作業者は、連結バスバー組付工程(端子側)として、連結バスバー5のヒュージブルリンク2側の平板部5bをヒュージブルリンク2に仮締めした状態で連結バスバー5のバッテリー端子110側の平板部5cに形成されているボルト孔5eにバッテリー端子110のスタッドボルト112を挿入するようにして、当該連結バスバー5をバッテリー端子110側に組み付ける(ステップST3)。
次に、作業者は、端子組付工程として、電線114の末端に設けられた端子115が連結バスバー5の平板部5c上に位置するように、当該端子115をスタッドボルト112に組み付ける(ステップST4)。
そして、作業者は、本締め工程として、ナット5f、及び、ナット5gを本締めして(ステップST5)、連結バスバー5の組み付け方法を終了する。
上記のようにして構成されるヒューズユニット1は、ヒュージブルリンク2がプロテクタ3の保持部32の収容空間部32c内に短辺方向に沿ってスライド挿入され、各規制爪部32eがヒュージブルリンク2に当接すると共に、各規制機構6が当該ヒュージブルリンク2の逆側への移動を規制することで、当該ヒュージブルリンク2が収容空間部32cに係止され保持される。そして、ヒューズユニット1は、プロテクタ3のベース部31のポスト挿入孔31a内にバッテリーポスト102が挿入され、当該ベース部31が凹部106内に位置するような位置関係で、プロテクタ3がヒュージブルリンク2と共にバッテリー100のポスト立設面105上に組み付けられる。このとき、ヒューズユニット1は、係止機構4の係止爪部41、42が蓋部材104の鉛直方向下端面に係合することで、ヒュージブルリンク2と共にプロテクタ3をポスト立設面105上に係止しロックすることができる。
このようにして、ヒューズユニット1は、少なくともプロテクタ3の一部がバッテリー100のポスト立設面105上に位置し、当該ポスト立設面105上にヒュージブルリンク2を載置し、保持することができる。そして、ヒューズユニット1は、バッテリー端子110がバッテリーポスト102に組み付けられた後、ヒューズエレメント21とバッテリー端子110とを接続するようにして連結バスバー5が設けられ、各部のボルト、ナット等が締め付けられる。この結果、バッテリー端子110は、バッテリーポスト102に締結されると共に、当該バッテリー端子110とヒュージブルリンク2とが接続される。このとき、連結バスバー5は、バッテリーポスト102に対するバッテリー端子110の組み付け角度を規制する規制部材としても機能する。
なおここでは、ヒュージブルリンク2をプロテクタ3に組み付けた後にヒュージブルリンク2と共にプロテクタ3をポスト立設面105上に組み付けるものとして説明したが、これに限らず、プロテクタ3をポスト立設面105上に組み付けた後に、プロテクタ3にヒュージブルリンク2を組み付けてもよい。また、バッテリー端子110のスタッドボルト112には、連結バスバー5と共に上述の電線114の末端に設けられた端子115等も接続される。
以上で説明したヒューズユニット1によれば、バッテリー端子110と接続され過電流が流れたときに可溶体21cが溶断するヒュージブルリンク2と、プロテクタ3と、連結バスバー5を備える。プロテクタ3は、バッテリー筐体101のポスト立設面105に設けられたバッテリーポスト102にバッテリー端子110が締結された状態でポスト立設面105とバッテリー端子110との間に介在するベース部31と、ベース部31と連接されヒュージブルリンク2をポスト立設面105に保持する保持部32とを有する。連結バスバー5は、ヒュージブルリンク2とバッテリー端子110とを電気的に接続すると共に、ヒュージブルリンク2との接続位置と、バッテリー端子110との接続位置との間の寸法上のズレ量を吸収するズレ量吸収構造5hを有する。
したがって、ヒューズユニット1は、プロテクタ3のベース部31と連接された保持部32によってヒュージブルリンク2をバッテリー筐体101のポスト立設面105に保持し、当該ポスト立設面105でヒュージブルリンク2の荷重を受けることで、ヒューズユニット1からバッテリー端子110に作用する荷重を抑制することができる。またさらに、ヒューズユニット1は、連結バスバー5がズレ量吸収構造5hを有するので、当該連結バスバー5によってヒュージブルリンク2とバッテリー端子110とを接続した状態で、ズレ量に応じて連結バスバー5からバッテリー端子110に作用する荷重を抑制することができる。この結果、このヒューズユニット1は、バッテリーポスト102に作用する荷重を抑制することができる。
また、ヒューズユニット1は、バッテリー筐体101の側面側の周囲に当該ヒューズユニット1を設置するためのスペースが確保できないような場合に、バッテリー筐体101のポスト立設面105(鉛直方向上面)上に設置スペースを確保しヒュージブルリンク2を配置することができるので、適切にヒュージブルリンク2を設けることができる。
さらに、ヒューズユニット1は、連結バスバー5がズレ量吸収構造5hを有するので、連結バスバー5をヒュージブルリンク2とバッテリー端子110とに接続する際の作業性を向上することもできる。
より詳細には、以上で説明したヒューズユニット1によれば、連結バスバー5は、バッテリーポスト102の軸方向と直交する直交方向、ここでは、長辺方向に沿って形成される長孔としてのボルト孔5dを有し、当該ボルト孔5dにヒュージブルリンク2側に形成されたスタッドボルト22が挿入されることでヒュージブルリンク2と接続される。そして、ズレ量吸収構造5hは、ボルト孔5dによって構成される。したがって、ヒューズユニット1は、連結バスバー5がヒュージブルリンク2、及び、バッテリー端子110の両方と接続された状態において、ヒュージブルリンク2との接続位置と、バッテリー端子110との接続位置との間の長辺方向の寸法上のズレ量を、ズレ量吸収構造5hを構成するボルト孔5dで吸収することができる。この結果、ヒューズユニット1は、ズレ量に応じて連結バスバー5からバッテリー端子110に作用する荷重を抑制することができ、バッテリーポスト102に作用する荷重を抑制することができる。
また、以上で説明したヒューズユニット1によれば、ヒュージブルリンク2は、バッテリーポスト102の軸方向に沿った回転軸線を回転中心として連結バスバー5を回転可能に支持する回転許容支持部23aを有し、当該回転許容支持部23aが、連結バスバー5とヒュージブルリンク2との接続位置と、連結バスバー5とバッテリー端子110との接続位置との間の寸法上のズレ量を吸収するズレ量吸収構造2aを構成する。したがって、ヒューズユニット1は、連結バスバー5がヒュージブルリンク2、及び、バッテリー端子110の両方と接続された状態において、連結バスバー5とヒュージブルリンク2との接続位置と、連結バスバー5とバッテリー端子110との接続位置との間の短辺方向の寸法上のズレ量を、ズレ量吸収構造2aを構成する当該回転許容支持部23aで吸収することができる。この結果、ヒューズユニット1は、ズレ量に応じて連結バスバー5からバッテリー端子110に作用する荷重を抑制することができ、バッテリーポスト102に作用する荷重を抑制することができる。
さらに、以上で説明したヒューズユニット1によれば、連結バスバー5は、ヒュージブルリンク2と接続される平板部5bと、バッテリー端子110と接続される平板部5cと、バッテリーポスト102の軸方向に沿って延在して平板部5bと平板部5cとを接続し軸方向に沿った撓みを許容する段差部5aとを有する。そして、ズレ量吸収構造5hは、段差部5aによって構成される。したがって、ヒューズユニット1は、連結バスバー5がヒュージブルリンク2、及び、バッテリー端子110の両方と接続された状態において、連結バスバー5とヒュージブルリンク2との接続位置と、連結バスバー5とバッテリー端子110との接続位置との間の軸方向の寸法上のズレ量を、ズレ量吸収構造2aを構成する当該回転許容支持部23aで吸収することができる。この結果、ヒューズユニット1は、ズレ量に応じて連結バスバー5からバッテリー端子110に作用する荷重を抑制することができ、バッテリーポスト102に作用する荷重を抑制することができる。
また、以上で説明したヒューズユニット1によれば、保持部32は、バッテリーポスト102の軸方向と直交する直交方向に沿って形成されヒュージブルリンク2を収容する収容空間部32cを区画すると共に、ヒュージブルリンク2を直交方向に沿って収容空間部32cに案内可能である側壁32bと、側壁32bの軸方向の端部に形成され、収容空間部32cに収容されたヒュージブルリンク2に当接して当該ヒュージブルリンク2の軸方向に沿った移動を規制する規制爪部32eとを有する。したがって、ヒューズユニット1は、収容空間部32cに対してヒュージブルリンク2を、各側壁32bに沿って直交方向(短辺方向)にスライド挿入して組み付けることができると共に各規制爪部32eがヒュージブルリンク2に当接することで、当該ヒュージブルリンク2を収容空間部32cに保持することができる。そして、ヒューズユニット1は、ヒュージブルリンク2を直交方向にスライド挿入して組み付ける構成であることから、上記のようにバッテリーポスト102に作用する荷重を抑制することができる構造にあって、当該直交方向と直交する軸方向(鉛直方向)に対するガタツキも低減することができる。この結果、ヒューズユニット1は、ヒュージブルリンク2が保持部32に保持された状態で軸方向に振動することを抑制することができるので、例えば、保持部32がヒュージブルリンク2の振動によって変形するような事態が発生することを抑制することができる。特に、このヒューズユニット1は、例えば、バッテリー100を車両に搭載した場合、鉛直方向(軸方向)に沿った振動が相対的に大きくなる傾向にあるが、この場合であっても上記のように鉛直方向(軸方向)に対するガタツキを低減しやすい構造とすることができるので、例えば、ヒュージブルリンク2を保持部32に適正に保持しておくことができる。またこれにより、ヒューズユニット1は、ヒュージブルリンク2側から連結バスバー5を介してバッテリーポスト102側に伝わる振動を低減することもできるので、この点からもバッテリーポスト102に作用する荷重を抑制することができる。
さらに、以上で説明したヒューズユニット1によれば、収容空間部32cに収容されたヒュージブルリンク2の直交方向に沿った移動を規制する規制機構6を備える。したがって、ヒューズユニット1は、規制機構6によって、収容空間部32cに収容されたヒュージブルリンク2の直交方向(短辺方向)に沿った移動、典型的には、スライド挿入する側とは反対側への移動を規制することができるので、ヒュージブルリンク2が保持部32から外れてしまうことを規制することができる。
なお、以上の説明では、連結バスバー5は、1枚の板状の導体で構成されるものとして説明したがこれに限らない。図8に示す変形例に係る連結バスバー5Aは、バッテリーポスト102の軸方向に複数積層される。ここでは、連結バスバー5Aは、3枚の板状の導体が積層されている。連結バスバー5Aは、要求される通電電流に応じて規定される厚みを満たす範囲で複数枚、ここでは3枚を積層させて構成することができる。ヒューズユニット1は、連結バスバー5Aを複数積層させて構成することで、軸方向(鉛直方向)にさらに撓み変形しやすい構成とすることができる。よってこの場合、ヒューズユニット1は、バッテリーポスト102に作用する荷重をさらに抑制することができる。
また、以上で説明した連結バスバー5は、段差部5aが軸方向に対して交差するようにして形成され、当該段差部5aが平板部5b、5cに対して鋭角に屈曲するよう、言い換えれば、側方(短辺方向)に沿って視たときに略Z字形状となるよう形成されるものとして説明したがこれに限らない。連結バスバー5は、軸方向に沿った撓みを許容する撓み許容部(上記の説明では段差部5aに相当)を有する構成であればよく、例えば、段差部5aが軸方向に対して交差するようにして形成され、当該段差部5aが平板部5b、5cに対して鈍角に屈曲するよう形成され、これにより、軸方向に沿った撓みを許容する撓み許容部を構成してもよい。また、連結バスバー5は、撓み許容部を螺旋形状やベローズ形状(蛇腹形状)によって構成されてもよい。
以上で説明した連結バスバー5は、長孔としてのボルト孔5dは、直交方向としての長辺方向に沿って形成されるものとして説明したがこれに限らず、直交方向としての短辺方向に沿って形成されてもよい。この場合、ヒューズユニット1は、連結バスバー5がヒュージブルリンク2、及び、バッテリー端子110の両方と接続された状態において、ヒュージブルリンク2との接続位置と、バッテリー端子110との接続位置との間の短辺方向の寸法上のズレ量を、ズレ量吸収構造5hを構成するボルト孔5dで吸収することができる。
また、以上で説明した連結バスバー5は、ボルト孔5dが長孔として形成されるものとして説明したが、ボルト孔5eが長孔として形成されてもよい。この場合、連結バスバー5は、バッテリーポスト102の軸方向と直交する直交方向、ここでは、長辺方向に沿って形成される長孔としてのボルト孔5eを有し、当該ボルト孔5eにバッテリー端子110側に形成された突起部としてのスタッドボルト112が挿入されることでバッテリー端子110と接続される。そして、ズレ量吸収構造5hは、ボルト孔5eによって構成される。この場合であっても、ヒューズユニット1は、連結バスバー5がヒュージブルリンク2、及び、バッテリー端子110の両方と接続された状態において、ヒュージブルリンク2との接続位置と、バッテリー端子110との接続位置との間の長辺方向の寸法上のズレ量を、ズレ量吸収構造5hを構成するボルト孔5eで吸収することができる。
以上で説明した規制機構6は、規制凹部6aと、規制凸部6bとを有するものとして説明したがこれに限らない。図9に示す変形例に係る規制機構6Aは、規制凹部6aにかえて板バネ部材6eを有する。板バネ部材6eは、所定の形状に屈曲させて形成され、保持部32に形成された収容溝部6f内に設置される。この場合、各規制機構6Aは、ヒュージブルリンク2を、スライド開口32dを介して直交方向(短辺方向)に沿って収容空間部32cにスライド挿入する際に、各規制凸部6bの傾斜面6cが板バネ部材6eに当接し変形させながらスライドすることで、各規制凸部6bが各板バネ部材6eの奥側の空間内に移動する。このとき、各規制機構6Aは、保持部32の所定の部位を撓ませなくても規制凸部6bを各板バネ部材6eの奥側の空間内に移動させることができるので、より簡単にヒュージブルリンク2を保持部32の収容空間部32cにスライド挿入することができる。そして、各規制機構6Aは、各規制凸部6bが各板バネ部材6eの奥側の空間内に移動し、嵌合した状態で、各規制凸部6bの当接面6dが各板バネ部材6eの端面と当接することで、収容空間部32cに収容されたヒュージブルリンク2の直交方向(短辺方向)に沿った移動、典型的には、スライド挿入する側とは反対側への移動を規制することができる。
[実施形態2]
図10は、実施形態2に係るヒューズユニットが適用されるバッテリーの概略構成を表す斜視図である。図11は、実施形態2に係るヒューズユニットの連結バスバーの概略構成を表す斜視図である。実施形態2に係るヒューズユニットは、接続部材の構成が実施形態1とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する。
本実施形態に係るヒューズユニット201は、図10、図11に示すように、連結バスバー5にかえて、接続部材としての連結バスバー205を備える。なお、ヒューズユニット201は、連結バスバー205以外の構成はプロテクタ3の保持部32の形状が連結バスバー205の形状に応じて若干異なることを除いて上述のヒューズユニット1の構成とほぼ同様の構成であるのでその説明を省略する。
連結バスバー205は、ヒュージブルリンク側接続部としての平板部205aと、端子側接続部としての平板部205bと、第1撓み許容部としての直交方向延在部205cと、第2撓み許容部としての連結部205dと、第3撓み許容部としての連結部205eとを有する。連結バスバー205は、板状の金属バスバーであり、ポスト立設面105上の凹部106による段差に対応するように直交方向延在部205c、連結部205d、連結部205eが形成される。平板部205aは、ボルト孔205fが形成されヒュージブルリンク2と接続される。平板部205bは、ボルト孔205gが形成されバッテリー端子110と接続される。ここでは、ボルト孔205fとボルト孔205gとは共に正円状に形成される。直交方向延在部205cは、バッテリーポスト102の軸方向と直交する直交方向、ここでは短辺方向に沿って延在し短辺方向に沿った撓みを許容する部分である。連結部205dは、平板部205aと直交方向延在部205cの一端とを接続し軸方向に沿った撓みを許容する部分である。連結部205eは、平板部205bと直交方向延在部205cの他端とを接続し軸方向に沿った撓みを許容する部分である。平板部205a、連結部205dと平板部205b、連結部205eとは、ともにポスト立設面105と対向するように配置される。直交方向延在部205cは、凹部106を区画する短辺方向に沿った壁面と対向するように配置される。連結バスバー205は、ヒュージブルリンク2、及び、バッテリー端子110に組み付けられた状態で、平板部205a、連結部205dが直交方向延在部205cの短辺方向一方側でかつ鉛直方向(軸方向)上側の端部から長辺方向に沿ってヒュージブルリンク2側に延在し、平板部205b、連結部205eが直交方向延在部205cの短辺方向他方側でかつ鉛直方向(軸方向)下側の端部から長辺方向に沿ってバッテリー端子110側に延在する。言い換えれば、連結バスバー205は、直交方向延在部205cが平板部205a、連結部205dと平板部205b、連結部205eとを接続する。連結部205dは、平板部205aと直交方向延在部205cの一端とを屈曲させつつ接続する。連結部205eは、平板部205bと直交方向延在部205cの他端とを屈曲させつつ接続する。連結バスバー205は、ボルト孔205fに電源側端子21aのスタッドボルト22が挿入されてナット5fが締結され、ボルト孔205gにバッテリー端子110のスタッドボルト112が挿入されてナット5gが締結されることで、電源側端子21aのスタッドボルト22とバッテリー端子110のスタッドボルト112とを電気的に接続する。
そして、本実施形態の接続部材側ズレ量吸収構造としてのズレ量吸収構造205hは、直交方向延在部205c、連結部205d、及び、連結部205eによって構成される。連結バスバー205は、ズレ量吸収構造205hを構成する直交方向延在部205c、連結部205d、及び、連結部205eが各方向に対して撓むことで軸方向(鉛直方向)、短辺方向、及び、長辺方向に撓み変形可能とされる。つまり、連結バスバー205は、ヒュージブルリンク2、及び、バッテリー端子110の両方と接続された状態において、ヒュージブルリンク2との接続位置と、バッテリー端子110との接続位置との間の軸方向、短辺方向、及び、長辺方向の各方向の寸法上のズレ量を、ズレ量吸収構造205hを構成する直交方向延在部205c、連結部205d、及び、連結部205eで吸収できるよう構成されている。
以上で説明したヒューズユニット201は、プロテクタ3のベース部31と連接された保持部32によってヒュージブルリンク2をバッテリー筐体101のポスト立設面105に保持し、当該ポスト立設面105でヒュージブルリンク2の荷重を受けることで、ヒューズユニット1からバッテリー端子110に作用する荷重を抑制することができる。またさらに、ヒューズユニット201は、連結バスバー205がズレ量吸収構造205hを有するので、当該連結バスバー205によってヒュージブルリンク2とバッテリー端子110とを接続した状態で、ズレ量に応じて連結バスバー205からバッテリー端子110に作用する荷重を抑制することができる。この結果、このヒューズユニット201は、バッテリーポスト102に作用する荷重を抑制することができる。
さらに、以上で説明したヒューズユニット201によれば、連結バスバー205は、ヒュージブルリンク2と接続される平板部205aと、バッテリー端子110と接続される平板部205bと、バッテリーポスト102の軸方向と直交する直交方向に沿って延在し直交方向に沿った撓みを許容する直交方向延在部205cと、平板部205aと直交方向延在部205cの一端とを接続し軸方向に沿った撓みを許容する連結部205dと、平板部205bと直交方向延在部205cの他端とを接続し軸方向に沿った撓みを許容する連結部205eとを有し、ズレ量吸収構造は、直交方向延在部205c、連結部205d、及び、連結部205eによって構成される。したがって、ヒューズユニット201は、連結バスバー205がヒュージブルリンク2、及び、バッテリー端子110の両方と接続された状態において、連結バスバー205とヒュージブルリンク2との接続位置と、連結バスバー5とバッテリー端子110との接続位置との間の各方向の寸法上のズレ量を、ズレ量吸収構造205hを構成する直交方向延在部205c、連結部205d、及び、連結部205eで吸収することができる。この結果、ヒューズユニット201は、ズレ量に応じて連結バスバー205からバッテリー端子110に作用する荷重を抑制することができ、バッテリーポスト102に作用する荷重を抑制することができる。
[実施形態3]
図12は、実施形態3に係るヒューズユニットが適用されるバッテリーの概略構成を表す斜視図である。図13は、実施形態3に係るヒューズユニットの組み付け方法の一例を表すフローチャートである。実施形態3に係るヒューズユニット、及び、ヒューズユニット組み付け方法は、仮締め兼用締結具の配置が実施形態1とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する。
本実施形態に係るヒューズユニット301は、図12に示すように、ナット5f、5gにかえて、連結バスバー5のヒュージブルリンク2側の平板部5bを当該ヒュージブルリンク2に本締めするためのヒュージブルリンク側締結具としてのナット305fと、連結バスバー5のバッテリー端子110側の平板部5cを当該バッテリー端子110に仮締め、及び、本締めするための端子側仮締め兼用締結具としてのナット305gとを備える。ここでは、ナット305gは、ナイロンナットによって構成される一方、ナット305fは、通常のナットによって構成される。なお、ヒューズユニット301は、その他の構成は上述のヒューズユニット1の構成とほぼ同様の構成であるのでその説明を省略する。以下、図13のフローチャートを参照して、ヒューズユニット301の組み付け方法、特に、連結バスバー5の組み付け方法について説明する。
まず、作業者は、ヒュージブルリンク2、プロテクタ3、バッテリー端子110がバッテリー100に組み付けられた状態で、連結バスバー設置工程(端子側)として、連結バスバー5のヒュージブルリンク2側の平板部5cに形成されているボルト孔5eにバッテリー端子110のスタッドボルト112を挿入するようにして、当該連結バスバー5をバッテリー端子110側に組み付ける(ステップST201)。
次に、作業者は、端子側仮締め工程として、ナイロンナットによって構成されるナット305gによって連結バスバー5のバッテリー端子110側の平板部5cをヒュージブルリンク2に仮締めする(ステップST202)。
次に、作業者は、接続部材組付工程としての連結バスバー組付工程(FL側)として、連結バスバー5のバッテリー端子110側の平板部5cをバッテリー端子110に仮締めした状態で連結バスバー5のヒュージブルリンク2側の平板部5bに形成されているボルト孔5dに電源側端子21aのスタッドボルト22を挿入するようにして、当該連結バスバー5をヒュージブルリンク2側に組み付ける(ステップST203)。
次に、作業者は、端子組付工程として、電線114の末端に設けられた端子315が連結バスバー5の平板部5cと仮締め兼用のナット305gとの間に介在して位置するように、当該端子315をスタッドボルト112に組み付ける(ステップST204)。ここで、本実施形態の端子315は、ナット305gが仮締めされている状態であっても連結バスバー5とナット305gとの間に組み付けることができる形状に形成されている。ここでは、端子315は、ナット305gを直交方向、ここでは、短辺方向に沿って投影した投影領域より若干大きい孔部315aが形成されており、仮締めされた状態のナット305gを当該孔部315aに通すようにしながら連結バスバー5とスタッドボルト112との間に組み付け可能な構成となっている。
そして、作業者は、本締め工程として、ナット305f、及び、ナット305gを本締めして(ステップST205)、連結バスバー5の組み付け方法を終了する。
以上で説明したヒューズユニット301は、プロテクタ3のベース部31と連接された保持部32によってヒュージブルリンク2をバッテリー筐体101のポスト立設面105に保持し、当該ポスト立設面105でヒュージブルリンク2の荷重を受けることで、ヒューズユニット1からバッテリー端子110に作用する荷重を抑制することができる。またさらに、ヒューズユニット301は、連結バスバー5がズレ量吸収構造5hを有するので、当該連結バスバー5によってヒュージブルリンク2とバッテリー端子110とを接続した状態で、ズレ量に応じて連結バスバー5からバッテリー端子110に作用する荷重を抑制することができる。この結果、このヒューズユニット301は、バッテリーポスト102に作用する荷重を抑制することができる。
さらに、以上で説明したヒューズユニット301は、連結バスバー5のバッテリー端子110側を当該バッテリー端子110に仮締め、及び、本締めするためのナット305gと、連結バスバー5のヒュージブルリンク2側を当該ヒュージブルリンク2に本締めするためのナット305fとを備える。
そして、以上で説明したヒューズユニット301の組み付け方法によれば、連結バスバー5のバッテリー端子110側をナット305gによって当該バッテリー端子110に仮締めする端子側仮締め工程(ST202)と、端子側仮締め工程(ST202)の後に、連結バスバー5のバッテリー端子110側をナット305gによって当該バッテリー端子110に仮締めした状態で連結バスバー5のヒュージブルリンク2側を当該ヒュージブルリンク2に組み付ける連結バスバー組付工程(FL側)(ST203)と、連結バスバー組付工程(FL側)(ST203)の後に、連結バスバー5とナット305gとの間に他の端子315を介在させる端子組付工程(ST204)と、端子組付工程(ST204)の後に、ナット305g、及び、連結バスバー5のヒュージブルリンク2側を当該ヒュージブルリンク2に本締めするためのナット305fを本締めするためのナット305fを本締めする本締め工程(ST205)とを含む。
したがって、ヒューズユニット301は、連結バスバー5のヒュージブルリンク2側を当該ヒュージブルリンク2に固定するナット305fを、一旦仮締めの状態とする工程を経ないで最初から本締めすることができるので、当該ナット305fを仮締めのまま本締めし忘れるという事態が発生することを抑制することができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係るヒューズユニット、及び、ヒューズユニット組み付け方法は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係るヒューズユニット、及び、ヒューズユニット組み付け方法は、以上で説明した各実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。例えば、実施形態2に記載のボルト孔205f、又は、ボルト孔205gを直交方向に沿った長孔としてもよい。
以上の説明では、ヒュージブルリンク2は、ヒューズエレメント21、スタッドボルト22がインサート成形等によってハウジング23内に埋設され一体化されるものとして説明したがこれに限らない。
以上の説明では、プロテクタ3の保持部32は、長辺方向に対してベース部31と隣接するようにして当該ベース部31と一体で形成されるものとして説明したが、これに限らず、短辺方向に対してベース部31と隣接するようにして当該ベース部31と一体で形成されてもよい。
また、以上で説明したヒューズユニットは、係止機構を備えない構成であってもよい。
また、以上で説明したヒューズユニットは、ポスト立設面105に凹部106が形成されたバッテリー100に適用するものとして説明したが、これに限らず、凹部106を有さないポスト立設面105が平面状のバッテリーに適用してもよい。この場合、ヒューズユニットは、上述したベース部31、保持部32、連結バスバー5等は略平面状に形成されることとなる。