JP6425937B2 - 車両のロール制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、車両のロール挙動を制御するロール制御装置に関し、特に、インホイールモータ方式等の車両の車両姿勢制御に適用される技術に関する。
車両が旋回する際には、旋回外側に向けて旋回慣性力が車体に働き、車体がロールする。また、路面にうねりがあるような場合も車体にロールが生じ得る。従来、車両のロール制御装置として、以下の技術が提案されている。
1.ロール角が大きくなったときに、サスペンションのショックアブソーバの減衰力をハード側に制御し、ロール角の増大を抑制する(特許文献1)。
2.アクティブスタビライザ装置の如きロール剛性可変手段を備えた自動車において、前輪および後輪の横力発生の余裕度合を推定し、この余裕度合に応じて前後輪ロール剛性配分比を制御する。これにより、従来に比して車輌の旋回限界を向上させている(特許文献2)。
3.また、近年、電気自動車の一形態として、車輪のホイールにモータを組み込み、車輪をモータで直接駆動する、いわゆるインホイールモータ方式の車両が開発されている。このインホイールモータ方式の各車輪に付与する駆動トルクもしくは制動トルクを個別に制御できる点を利用し、左右それぞれの前輪と後輪との間の駆動トルク(もしくは制動トルク)の大きさに差を設けて、車体に上下方向の力を生じさせることによって、旋回時などに生じる車体のロールを抑制する車両駆動力制御装置が提案されている(例えば、特許文献3)。
特開平9−109641号公報 特開2006−21594号公報 特許第4321339号公報
旋回走行時には、旋回慣性力によるロールモーメントと、車体の傾きで生じる重力によるロールモーメントが発生し、これらのモーメントにより旋回内輪と外輪間で荷重移動が生じる。荷重移動によって、旋回外輪は輪荷重が増加することにより、単位輪荷重当たりのコーナリングパワーが減少する。
一方、旋回内輪は輪荷重が減少することにより、単位輪荷重当たりのコーナリングパワーが増加する。タイヤのコーナリングパワーは一般に荷重に対して飽和曲線的であるため,旋回外輪のコーナリングパワーの増加量は、旋回内輪のコーナリングパワーの減少量より少なく、4輪のコーナリングパワーの和は荷重が移動することによって減少する。
その結果、横滑りが小さい領域では、荷重が移動しない場合と比較して横滑り角が大きくなる。また、ある横滑り角の大きさにおけるコーナリングフォースは輪荷重の増加と共に増加するが、輪荷重が大きい領域では飽和する。これは横滑り角が大きい領域でも同様の傾向である。よって、横滑りが大きい領域でも荷重移動が生じることにより、発生できる4輪のコーナリングフォースの和が減少する。その結果、車両の旋回限界が低下する。
特許文献1は、操舵時における車両のロール角の増大を抑制し、車両のヨー方向の安定性を確保することを目的にショックアブソーバを制御するものであるので、乗り心地が改善し安定性が向上するが、状況によっては左右輪の荷重移動が生じるため、4輪のコーナリングフォースの和が減少する場合がある。この場合、車両の旋回限界が低下する。
特許文献2は、前輪の横力発生の余裕度合と後輪の横力発生の余裕度合との偏差の大きさが低減されるよう前後輪ロール剛性配分比可変手段が制御されるので、前輪の横力発生の余裕度合と後輪の横力発生の余裕度合との偏差の大きさが低減されない場合に比して、車輌全体の横力を高くして車輌の旋回限界を向上させることができるが、やはり荷重移動量によって4輪のコーナリングパワーの和は減少する。この場合、車両の旋回限界が低下する。
また特許文献1,2は、ロール制御を行うための各アクチュエータが必要であり、コストがかかる。
特許文献3の方法は、左右それぞれの前輪と後輪との間の駆動トルク(もしくは制動トルク)の大きさに差を設けて、車体に上下方向の力を生じさせることによって、車体のロールを抑制することができるが、タイヤに作用させる前後力によってスリップ率が増加すると、発生できる横力が減少し、旋回走行時において旋回限界が低下するおそれがある。
この発明の目的は、旋回限界を向上し、またコスト低減を図ることができる車両のロール制御装置を提供することである。
この発明の車両のロール制御装置は、左右の駆動輪1,1、(2,2)を個別に駆動する左右のモータ3,3を備えた車両のロール制御装置であって、
前記車両の横加速度を検出する横加速度検出手段11と、
この横加速度検出手段11により横加速度を検出し、左右の車輪1,1、(2,2)の荷重移動量を求める荷重移動量算出手段12と、
この荷重移動量算出手段12で求めた荷重移動量を計算に用いて、全ての車輪1,1、2,2のコーナリングフォースの和を算出するコーナリングフォース和算出手段13と、
このコーナリングフォース和算出手段13で算出されるコーナリングフォースの和が最大となる値を基準として定められた値以上となるように、前記左右の駆動輪1,1、(2,2)のいずれか一方,または左右の駆動輪1,1のいずれか一方と車両において前記の駆動輪1と対角位置にある駆動輪2の一輪に駆動力を付加すると共に、この駆動力を付加する前記駆動輪1,1、(2,2)と互いに同じ左右方向にある前方または後方の車輪1,2に制動力を与える制駆動力制御手段14とを備えたことを特徴とする。
前記「荷重移動量」について、
車体にロールが生じたときに、前後輪とも左右輪の一方(旋回外輪)は荷重が増し、他方(旋回内輪)は荷重が減少する。ロールによる各車輪の荷重の増加量または減少量を「荷重移動量」と言う。
前記「コーナリングフォース」とは、車輪の横滑りに伴い発生する横力の進行方向に直角な方向の成分である。
前記「定められた値」は、例えば、コーナリングフォースの和が最大となる値を基準として試験やシミュレーション等の結果により定められる。
この構成によると、横加速度検出手段11は、車両の横加速度を検出する。荷重移動量算出手段12は、ある横加速度が生じているときに各車輪1,2に作用する前後力によって生じる左右の車輪1,1、(2,2)の荷重移動量を求める。コーナリングフォース和算出手段13は、求めた荷重移動量を計算に用いて、全ての車輪1,2のコーナリングフォースの和を算出する。
ところで、横滑りが小さい領域では、荷重が移動しない場合と比較して横滑り角が大きくなる。また、ある横滑り角の大きさにおけるコーナリングフォースは輪荷重の増加と共に増加するが、輪荷重が大きい領域では飽和する。これは横滑り角が大きい領域でも同様の傾向である。よって、横滑りが大きい領域でも荷重移動が生じることにより、発生できる4輪のコーナリングフォースの和が減少する。その結果、車両の旋回限界が低下する。よって、各車輪の前後力によってロールを抑制または旋回内側へ発生させ,車体の傾きで生じる重力によるロールモーメントによる荷重移動を抑えることで、コーナリングフォースの和の減少量を小さくすることが有効である。
制駆動力制御手段14は、算出されるコーナリングフォースの和が定められた値以上となるように、左右の駆動輪1,1、(2,2)のいずれか一方,または左右の駆動輪1,1のいずれか一方と車両において前記の駆動輪1と対角位置にある駆動輪2の一輪に駆動力を付加する。アクセル操作手段9からの加速指令に応じた駆動力に対して、制駆動力制御手段14による駆動力が付加される。これと共に制駆動力制御手段14は、前記駆動力を与える駆動輪1,2と互いに同じ左右方向にある前方または後方の車輪1,2に制動力を与える。制駆動力制御手段14は、例えば、車両の横加速度が大きくなればなる程、付加すべき駆動力および制動力を大きくする。また、付加すべき駆動力および制動力は車両特性にも依存し,ロールセンタ軸からの車体重心までの高さが高く,ロール剛性が低い車両ほど付加すべき駆動力および制動力は大きくなる。要求されるコーナリングフォースに対し、本制御を適用した場合、適用しない場合と比較して小さな横滑り角となる。また、全ての車輪1,2のコーナリングフォースの和の荷重移動による減少量を抑えることができるため、旋回限界が向上する。この場合、従来例のようなロール制御を行うための各アクチュエータが不要となるため、前記従来例よりもコスト低減を図れる。
前記制駆動力制御手段14は、車輪1,2の横滑り角、スリップ率、および垂直荷重から、前記車輪1,2の前後力および横力が算出されるタイヤモデルを用いて各車輪1,2の制駆動力を算出しても良い。
前記タイヤモデルとして、例えば、ブラッシュ(Brush)タイヤモデルが適用される。車輪において弾性変形する部分は、剛なリムやトレッドベースに対応する円環に取り付けられたトレッドラバーのみとし、このトレッドラバーが横方向および前後方向に弾性変形するモデルを考える。このトレッドラバーは、環状の連続体ではなく、車輪の円周方向に独立した無数の弾性体とする。このようなタイヤモデルをブラッシュタイヤモデルと呼ぶ。
このようなタイヤモデルを用いて、駆動時、制動時のそれぞれについて、各車輪1,2に作用する横力、前後力をそれぞれ式で表す。前記前後力の式をスリップ率について解き、これを横力の式に代入した後、全ての車輪1,2のコーナリングフォースの和を算出する。制駆動力制御手段14は、算出したコーナリングフォースの和を、例えば、最大とする前後力を求める。これにより、その横滑り角において、最大のコーナリングフォースとなるようにロールが制御される。
前記車両は、各車輪1,2に対して摩擦による制動力を与える摩擦式ブレーキ4を備え、前記制駆動力制御手段14は、車輪1,2に制動力を与えるとき、この車輪1,2に対応するモータ3の回生ブレーキおよび前記摩擦式ブレーキ4のいずれか一方または両方により制動力を与えるようにしても良い。この場合に、モータ3の回生ブレーキを用いて制動力を付加する場合には、車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して利用することができるため、摩擦式ブレーキ4のみを用いて制動力を付加する場合と比較して、電費の悪化を低減することができる。
前記モータ3は、一部または全体が駆動輪内に配置されて前記モータ3と車輪用軸受16と減速機とを含むインホイールモータ駆動装置IWMを構成しても良い。
この発明の車両のロール制御装置は、左右の駆動輪を個別に駆動する左右のモータを備えた車両のロール制御装置であって、前記車両の横加速度を検出する横加速度検出手段と、
この横加速度検出手段により横加速度を検出し、左右の車輪の荷重移動量を求める荷重移動量算出手段と、この荷重移動量算出手段で求めた荷重移動量を計算に用いて、全ての車輪のコーナリングフォースの和を算出するコーナリングフォース和算出手段と、このコーナリングフォース和算出手段で算出されるコーナリングフォースの和が最大となる値を基準として定められた値以上となるように、前記左右の駆動輪のいずれか一方、または左右の駆動輪のいずれか一方と車両において前記の駆動輪と対角位置にある駆動輪の一輪に駆動力を付加すると共に、この駆動力を付加する前記駆動輪と互いに同じ左右方向にある前方または後方の車輪に制動力を与える制駆動力制御手段とを備えたため、旋回限界を向上し、またコスト低減を図ることができる。
この発明の実施形態に係る車両のロール制御装置のシステム構成を平面視で概略示す図である。 同車両のインホイールモータ駆動装置の断面図である。 同ロール制御装置の制御系のブロック図である。 同ロール制御装置の原理を説明する図である。 同ロール制御装置で用いるタイヤモデルの前後力・横力特性を示す図である。 同車両および車輪に生じる力の概念図である。
この発明の実施形態に係る車両のロール制御装置を図1ないし図6と共に説明する。
図1は、この車両のロール制御装置のシステム構成を平面視で概略示す図である。ロール制御装置は車両の車体に作用するロールを制御する装置である。この実施形態では、ロール制御装置が搭載される車両として、左右の前輪1,1および後輪2,2が、それぞれモータ3によって独立して駆動される4輪独立駆動車が適用される。
各モータ3は、後述のインホイールモータ駆動装置IWMを構成する。左右の前輪1,1は、図示外の転舵機構により転舵可能であり、ハンドルにより前記転舵機構を介して操舵される。この車両は、各輪1,2に対して摩擦による制動力を与える摩擦式ブレーキ4を備えている。この摩擦式ブレーキ4として、例えば、油圧式や電動式の機械式ブレーキが採用される。
車両の制御系は、ロール制御器5を含むECU6と、このECU6よりも上位の制御手段である上位ECU7と、インバータ装置8とを有する。ECU6および上位ECU7は、それぞれコンピュータとこれに実行されるプログラム、並びに各種の電子回路等で構成される。上位ECU7は、例えば、車両全体の協調制御、統括制御を行う電気制御ユニットであり、トルク分配手段7aが設けられている。このトルク分配手段7aは、アクセル操作手段9からの加速指令、およびブレーキ操作手段10からの減速指令が入力され、前記加速指令と減速指令の差に応じた制駆動指令を、ECU6および各インバータ装置8を介して各モータ3に分配する。前記制駆動指令は、例えば、トルク指令である。
インバータ装置8は、各モータ3に対して設けられたパワー回路部8aと、このパワー回路部8aを制御するモータコントロール部8bとを有する。各パワー回路部8aは、互いにモータトルクが異なるように独立して制御可能なものとされる。モータコントロール部8bは、例えば、インホイールモータ駆動装置IWMに関する各検出値や制御値等の各情報をECU6に出力する機能を有する。モータコントロール部8bは、ECU6から与えられる制駆動トルク指令値に従い、電流指令に変換して、パワー回路部8aのPWMドライバに電流指令を与える。
この車両は、車両の横加速度を計測する横加速度検出手段として横加速度センサ11を備える。
図2は、インホイールモータ駆動装置IWMの断面図である。各インホイールモータ駆動装置IWMは、それぞれ、モータ3、減速機15、および車輪用軸受16を有し、これらの一部または全体が車輪内に配置される。モータ3の回転は、減速機15および車輪用軸受16を介して駆動輪1,(2)に伝達される。車輪用軸受16のハブ輪16aのフランジ部には摩擦式ブレーキ4を構成するブレーキロータ17が固定され、同ブレーキロータ17は駆動輪1,(2)と一体に回転する。モータ3は、例えば、ロータ3aのコア部に永久磁石が内蔵された埋込磁石型同期モータである。このモータ3は、ハウジング18に固定したステータ3bと、回転出力軸19に取り付けたロータ3aとの間にラジアルギャップを設けたモータである。
図3は、このロール制御装置の制御系のブロック図である。以後、図1も適宜参照しつつ説明する。このロール制御装置は、横加速度センサ11と、荷重移動量算出手段12と、コーナリングフォース和算出手段13と、制駆動力制御手段14とを有する。横加速度センサ11は車両に搭載され、荷重移動量算出手段12、コーナリングフォース和算出手段13、および制駆動力制御手段14は、ロール制御器5に設けられている。制駆動力制御手段14は、アクセル操作手段9からの加速指令に応じた駆動力指令値に対して、トルク指令からなる駆動力を付加する。
ここで図4は、ロール制御装置の原理を説明する図であり、前後力によりロールを制御するために車体に働く上下力の概念図である。各車輪1,2を車体に支持する各サスペンション20の車両側面視における各瞬間回転中心P1が、常に車両前後方向における前輪1と後輪2との間に位置するように構成されている。
図4(a)に示すように、車両の進行方向に対して、車両を減速する方向の制動力Xが前輪1に付与されると、前輪1のサスペンション20の瞬間回転中心P1には、鉛直方向上向きの力Xtanθが作用する。言い換えると、車体には、前輪1のサスペンション20を介して車体を持ち上げる方向、すなわちロール時の車体の沈み込みを抑える方向の力Xtanθが作用する。
また、図4(b)に示すように、車両の進行方向に対して、車両を加速する方向の駆動力Xが前輪1に付与されると、前輪1のサスペンション20の瞬間回転中心P1には、鉛直方向下向きの力Xtanθが作用する。言い換えると、車体には、前輪1のサスペンション20を介して車体を下げる方向、すなわちロール時の車体の浮き上がりを抑える方向の力Xtanθが作用する。
同様に、車両の進行方向に対して、車両を加速する方向の駆動力Xを後輪2の接地点に作用させることができるトルクが後輪2に付与されると、後輪2のサスペンション20の瞬間回転中心P1には、鉛直方向上向きの力Xtanθが作用する。言い換えると、車体には、後輪2のサスペンション20を介して車体を持ち上げる方向、すなわちロール時の車体の沈み込みを抑える方向の力Xtanθが作用する。
また、車両の進行方向に対して、車両を減速する方向の制動力Xを後輪2の接地点に作用させることができるトルクが後輪2に付与されると、後輪2のサスペンション20の瞬間回転中心P1には、鉛直方向下向きの力Xtanθが作用する。言い換えると、車体には、後輪2のサスペンション20を介して車体を下げる方向、すなわちロール時の車体の浮き上がりを抑える方向の力Xtanθが作用する。
したがって、ロール制御装置は、車両の車体にロールが生じた際に、車体が沈み込む側の前後輪1,2にそれぞれ制動力と駆動力(前後力),車体が浮き上がる側の前後輪1,2にそれぞれ駆動力と制動力(前後力)を作用させるように、前輪1のモータ3または摩擦式ブレーキ4と、後輪2のモータ3または摩擦式ブレーキ4をそれぞれ制御する。
図3に示すように、荷重移動量算出手段12は、横加速度センサ11により車両の横加速度を検出し、左右の車輪の荷重移動量を以下のように求める。前後力X(i=1〜4,1=左前輪,2=右前輪,3=左後輪,4=右後輪)によって発生する上下力は、前述のように前輪1後輪2に制動力および駆動力を与えたときに働く。前後力によって次式のロールモーメントを発生させることができる。
Figure 0006425937
Figure 0006425937
コーナリングフォース和算出手段13は、前記のように求めた荷重移動量を計算に用いて、全ての車輪1,2のコーナリングフォースの和を算出する。単位横滑り角当たりのコーナリングフォースであるコーナリングパワーK(コーナリング剛性)は、輪荷重依存性を持つ。ここで、コーナリングフォースとは、車輪1,2に横滑りが伴うときに発生する横力の進行方向に直角な方向の成分である。単位輪荷重当たりのコーナリングパワーは、輪荷重がある程度の範囲内では輪荷重に対して線形とみなせるので、次式で表す。
/F=−AF+B …(8)
ただし、Fは1輪あたりの輪荷重、A,Bは係数(A>0,B>0)である(例:A=3.46×10−5,B=0.33)
よって、コーナリングパワーK
=−AF +BF …(9)
となる。
ここで、左右輪で荷重移動ΔFが生じたとすると、左右輪のコーナリングパワーはそれぞれ以下のように表される。
増加輪:−A(F+ΔF+B(F+ΔF) …(10)
減少輪:−A(F−ΔF+B(F−ΔF) …(11)
ただし、Fは荷重移動がないときの1輪当たりの輪荷重である。
よって、左右輪のコーナリングパワーの和は、次式のように表される。
−A(F+ΔF+B(F+ΔF)−A(F−ΔF+B(F−ΔF
=2(−AF +BF)−2AΔF …(12)
(12)式の第1項は、荷重移動がないときの荷重Fによるコーナリングパワーであり、荷重移動ΔFにより2AΔF だけコーナリングパワーの和が減少する。その結果、横滑りが小さい領域では、荷重が移動しない場合と比較して横滑り角が大きくなる。また、ある横滑り角の大きさにおけるコーナリングフォースは輪荷重の増加と共に増加するが、輪荷重が大きい領域では飽和する。これは横滑り角が大きい領域でも同様の傾向である。
横滑りが大きい領域でも荷重移動が生じることにより、発生できる4輪のコーナリングフォースの和が減少する。その結果、車両の旋回限界が低下する。よって、各輪の前後力によって、ロールを発生させ荷重移動を抑えることで、コーナリングフォースの和の減少量を小さくすることが有効である。しかし、車輪の横力はスリップ率(s=(V−rω)/max(V,rω),V:車速,r:車輪半径,ω:車輪速)にも依存しており、スリップ率が増加すると横力が減少する。すなわち、ロール制御のための前後力によって横力が減少する。
制駆動力制御手段14は、タイヤモデルTmに、(7)式の荷重移動量を計算に用いて、4輪のコーナリングフォースの和が最大となる最適な各輪の前後力Xを算出し、ロール制御を行う。
タイヤモデルとして、例えば、ブラッシュタイヤモデルが適用される。この場合、横力は次式で表される。
Figure 0006425937
Figure 0006425937
図5は、ブラッシュタイヤモデルの前後力・横力特性を示す図である。車輪において弾性変形する部分は、剛なリムやトレッドベースに対応する円環に取り付けられたトレッドラバーのみとし、このトレッドラバーが横方向および前後方向に弾性変形するモデルを考える。このトレッドラバーは、環状の連続体ではなく、車輪の円周方向に独立した無数の弾性体とする。このようなタイヤモデルをブラッシュタイヤモデルと呼ぶ。ブラッシュタイヤモデルにおいて、それぞれスリップ率sに対して、定められた滑り角毎に前後力X,横力Yが規定される。
各車輪の横力と前後力は、スリップ率sと垂直荷重FZiの関数であるので、次式で表す。
Figure 0006425937
となる。これを(19)式へ代入して
Figure 0006425937
Figure 0006425937
このように制駆動力制御手段14は、ブラッシュタイヤモデルに、荷重移動量を計算に用いて、4輪のコーナリングフォースの和が最大となる最適な各輪1,2の前後力Xを算出する。したがって、制駆動力制御手段14は、各車輪1,2への制駆動トルク指令値TIWMを各インバータ装置8を介して各モータ3に分配する。これにより、その横滑り角において、最大のコーナリングフォースとなるようにロールが制御される。
図6は、この車両および車輪に生じる力の概念図(右旋回走行時)である。要求されるコーナリングフォースに対し、図6(a)に示すように本願のロール制御を適用した場合、図6(b)に示すようにロール制御を適用しない場合と比較して、小さな横滑り角となる。また、全ての車輪1,2のコーナリングフォースの和の荷重移動による減少量を抑えることができるため、旋回限界が向上する。この場合、従来例のようなロール制御を行うための各アクチュエータが不要となるため、前記従来例よりもコスト低減を図れる。
なお、ヨーモーメント制御等の他の制御と組み合わせる場合、前後力Xに関する条件式を(27)式へ導入しても良い。また本ロール制御によりロールステアの手段によるステア特性を利用できない場合は、ステア特性を可変にすることができるアクティブステアリングと組み合わせると良い。
制駆動力制御手段14がモータ3の回生ブレーキを用いて制動力を付加する場合には、車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して利用することができるため、摩擦式ブレーキ4のみを用いて制動力を付加する場合と比較して、電費の悪化を低減することができる。
車両として、左右の前輪2輪または後輪2輪を独立して駆動する2輪独立駆動車を適用しても良い。
各駆動輪をそれぞれ駆動するモータを車体に設けたオンボード式の車両に、このロール制御装置を適用しても良い。
インホイールモータ駆動装置においては、サイクロイド式の減速機、遊星減速機、2軸並行減速機、その他の減速機を適用可能であり、また、減速機を採用しない、所謂ダイレクトモータタイプであってもよい。
1,2…駆動輪
3…モータ
4…摩擦式ブレーキ
11…横加速度センサ(横加速度検出手段)
12…荷重移動量算出手段
13…コーナリングフォース和算出手段
14…制駆動力制御手段
15…減速機
16…車輪用軸受
IWM…インホイールモータ駆動装置

Claims (4)

  1. 左右の駆動輪を個別に駆動する左右のモータを備えた車両のロール制御装置であって、
    前記車両の横加速度を検出する横加速度検出手段と、
    この横加速度検出手段により横加速度を検出し、左右の車輪の荷重移動量を求める荷重移動量算出手段と、
    この荷重移動量算出手段で求めた荷重移動量を計算に用いて、全ての車輪のコーナリングフォースの和を算出するコーナリングフォース和算出手段と、
    このコーナリングフォース和算出手段で算出されるコーナリングフォースの和が最大となる値を基準として定められた値以上となるように、前記左右の駆動輪のいずれか一方,または前記左右の駆動輪のいずれか一方と車両において前記の駆動輪と対角位置にある駆動輪に駆動力を付加すると共に、この駆動力を付加する前記駆動輪と互いに同じ左右方向にある前方または後方の車輪に制動力を与える制駆動力制御手段と、
    備えたことを特徴とする車両のロール制御装置。
  2. 請求項1記載の車両のロール制御装置において、前記制駆動力制御手段は、車輪の横滑り角、スリップ率、垂直荷重,および路面摩擦係数から、前記車輪の前後力および横力が算出されるタイヤモデルを用いて各車輪の制駆動力を算出する車両のロール制御装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の車両のロール制御装置において、前記車両は、各車輪に対して摩擦による制動力を与える摩擦式ブレーキを備え、前記制駆動力制御手段は、車輪に制動力を与えるとき、この車輪に対応するモータの回生ブレーキおよび前記摩擦式ブレーキのいずれか一方または両方により制動力を与える車両のロール制御装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両のロール制御装置において、前記モータは、一部または全体が駆動輪内に配置されて前記モータと車輪用軸受と減速機とを含むインホイールモータ駆動装置を構成する車両のロール制御装置。
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