JP6424101B2 - Fc結合ドメインとカルシウム結合発光蛋白質との融合蛋白質、それをコードする遺伝子およびそれらの用途 - Google Patents

Fc結合ドメインとカルシウム結合発光蛋白質との融合蛋白質、それをコードする遺伝子およびそれらの用途 Download PDF

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Description

本発明は、抗体結合ドメインとカルシウム結合発光蛋白質との融合蛋白質、それをコー
ドする遺伝子およびそれらの用途に関する。より具体的には、IgGのFc領域に対する
結合能を有するZZドメインと、カルシウム結合発光蛋白質であるアポイクオリンとの融
合蛋白質、それをコードする遺伝子およびそれらの用途に関する。
カルシウム結合発光蛋白質は、アポ蛋白質と、発光基質のペルオキシドとが複合体を形
成した状態で存在する発光蛋白質である。カルシウム結合発光蛋白質は、カルシウムイオ
ンと結合すると瞬間的に発光するという性質を有している。
カルシウム結合発光蛋白質としては、イクオリン、オべリン、クライチィン、マイトロ
コミン、ミネオプシンおよびベルボインなどが知られている。なかでもイクオリンはカル
シウム結合発光蛋白質の代表的なものであり、その高次構造および発光メカニズムなどが
詳細に報告されている(例えば、非特許文献1:Inouye et al. (1985) Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA 82, 3154-3158、非特許文献2:Head et al. (2000) Nature 405, 372-376
など参照)。イクオリンのカルシウムイオンに対する感受性は非常に高いので、微量カル
シウムイオンの検出・定量や細胞内カルシウムイオンの濃度変化の測定などに利用されて
いる。
イクオリンは、アポイクオリンと、発光基質セレンテラジンのペルオキシドとが複合体
を形成した状態で存在している。イクオリンにカルシウムイオンが結合すると、瞬間的な
発光を示し、セレンテラジンの酸化物であるセレンテラミドと二酸化炭素を生成する。
プロテインAは、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)細胞壁由来の蛋白質であ
り、免疫グロブリンG(IgG)のFc領域と特異的に結合することが知られている。プ
ロテインAとイクオリンの融合蛋白質はイムノアッセイ法に使用できることが報告されて
いる。プロテインAとイクオリンの融合蛋白質を用いたIgGの測定可能な最低濃度は、ア
ッセイ当たり20 ng/mlである(例えば、非特許文献3:Biochem. Biophys. Res. Commun.
(1990) 171: 169-174など参照)。
ZZドメインは、プロテインAのIgG結合領域を基に開発された合成のIgG結合領
域である(例えば、非特許文献4:Nilsson B. et al., Protein Eng. (1987) 1: 107-11
3など参照)。ZZドメインと、カルシウム結合発光蛋白質であるオベリンとの融合蛋白
質が、イムノアッセイに使用できることが報告されている。ZZドメインとオベリンとの
融合蛋白質を用いた、IgGの測定可能な最低濃度は10 ng/mlである(例えば、非特許文献
5:Biochem. Biophys. Res. Commun. (1996) 219: 475-479など参照)。

Inouye, S. et al. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82, 3154-3158 Head, J. F. et al. (2000) Nature 405, 372-376 Zenno, S and Inouye, S. Biochem. Biophys. Res. Commun. (1990) 171: 169-174 Nilsson B. et al, Protein Eng. (1987) 1: 107-113 Frank, L. A. et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. (1996) 219: 475-479
上記状況において、従来の融合蛋白質よりIgGとの結合能力が高く、より感度よくI
gGを検出することができるカルシウム結合発光蛋白質が望まれていた。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、IgGのFc領域に対
する結合能を有するZZドメインと、カルシウム結合発光蛋白質であるイクオリンとの融
合蛋白質を効率良く作成し、従来の融合蛋白質より感度よくIgGを検出することができ
る(すなわち、IgGの検出限界が低い)ことを見出した。これらの知見に基づいてさら
に検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕 (1)以下の(a)〜(d)からなる群から選択される第1の領域:
(a)配列番号:1のアミノ酸配列からなる領域、
(b)配列番号:1のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入お
よび/または付加したアミノ酸配列からなり、かつIgGのFc領域と結合することがで
きる機能を有する領域、
(c)配列番号:1のアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列か
らなり、かつIgGのFc領域と結合することができる機能を有する領域、および
(d)配列番号:2の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸
配列からなり、かつIgGのFc領域と結合することができる機能を有する領域;と、
(2)以下の(e)〜(h)からなる群から選択される第2の領域:
(e)配列番号:3のアミノ酸配列からなる領域、
(f)配列番号:3のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入お
よび/または付加したアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしく
はセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光
するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する領域、
(g)配列番号:3のアミノ酸配列に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列か
らなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシ
ドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができ
る機能を有する領域、および
(h)配列番号:4の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸
配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペル
オキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成すること
ができる機能を有する領域;と、
を含有する融合蛋白質、
〔2〕 (1)第1の領域が、以下の(a)〜(d)からなる群:
(a)配列番号:1のアミノ酸配列からなる領域、
(b)配列番号:1のアミノ酸配列において1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入お
よび/または付加したアミノ酸配列からなり、かつIgGのFc領域と結合することがで
きる機能を有する領域、
(c)配列番号:1のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列か
らなり、かつIgGのFc領域と結合することができる機能を有する領域、および
(d)配列番号:2の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸
配列からなり、かつIgGのFc領域と結合することができる機能を有する領域;
から選択され、
(2)第2の領域が、以下の(e)〜(h)からなる群:
(e)配列番号:3のアミノ酸配列からなる領域、
(f)配列番号:3のアミノ酸配列において1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入お
よび/または付加したアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしく
はセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光
するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する領域、
(g)配列番号:3のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列か
らなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシ
ドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができ
る機能を有する領域、および
(h)配列番号:4の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸
配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペル
オキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成すること
ができる機能を有する領域;
から選択される、上記〔1〕記載の融合蛋白質、
〔3〕(1)配列番号:1で表される第1のアミノ酸配列からなる領域と、
(2)配列番号:3で表される第2のアミノ酸配列からなる領域
とを含有する融合蛋白質、
〔4〕 さらに、翻訳促進のためのアミノ酸配列および/または精製のためのアミノ酸配
列を含有する、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の融合蛋白質、
〔5〕 配列番号:5のアミノ酸配列からなる融合蛋白質、
〔6〕 上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の融合蛋白質と、セレンテラジンのペルオ
キシドまたはセレンテラジン誘導体のペルオキシドとからなるホロ蛋白質、
〔7〕 上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の融合蛋白質をコードするポリヌクレオチ
ドを含有するポリヌクレオチド、
〔8〕 (1)以下の(a)〜(d)からなる群から選択される第1のコード配列:
(a)配列番号:2の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(b)配列番号:2の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズし、かつIgGのFc領域と結合することができる機
能を有する領域をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(c)配列番号:1のアミノ酸配列からなる領域をコードするポリヌクレオチドを含有す
るポリヌクレオチド、および
(d)配列番号:1のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入お
よび/または付加したアミノ酸配列からなり、かつIgGのFc領域と結合することがで
きる機能を有する領域をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;と、
(2)以下の(e)〜(h)からなる群から選択される第2のコード配列:
(e)配列番号:4の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(f)配列番号:4の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズし、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレ
ンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホ
ロ蛋白質を形成することができる機能を有する領域をコードするポリヌクレオチドを含有
するポリヌクレオチド、
(g)配列番号:3のアミノ酸配列からなる領域をコードするポリヌクレオチドを含有す
るポリヌクレオチド、および
(h)配列番号:3のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入お
よび/または付加したアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしく
はセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光
するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する領域をコードするポリヌクレオチド
を含有するポリヌクレオチド;
とを含有するポリヌクレオチド、
〔9〕 (1)第1のコード配列が、以下の(a)〜(d)からなる群:
(a)配列番号:2の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(b)配列番号:2の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイスト
リンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつIgGのFc領域と結合することができ
る機能を有する領域をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(c)配列番号:1のアミノ酸配列からなる領域をコードするポリヌクレオチドを含有す
るポリヌクレオチド、および
(d)配列番号:1のアミノ酸配列において1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入お
よび/または付加したアミノ酸配列からなり、かつIgGのFc領域と結合することがで
きる機能を有する領域をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;から
選択され、
(2)第2のコード配列が、以下の(e)〜(h)からなる群:
(e)配列番号:4の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(f)配列番号:4の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズし、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレ
ンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホ
ロ蛋白質を形成することができる機能を有する領域をコードするポリヌクレオチドを含有
するポリヌクレオチド、
(g)配列番号:3のアミノ酸配列からなる領域をコードするポリヌクレオチドを含有す
るポリヌクレオチド、および
(h)配列番号:3のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入お
よび/または付加したアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしく
はセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光
するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する領域をコードするポリヌクレオチド
を含有するポリヌクレオチド;
から選択される、上記〔8〕に記載のポリヌクレオチド、
〔10〕 配列番号:6の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチ
ド、
〔11〕 上記〔7〕〜〔10〕のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含有する組換え
ベクター、
〔12〕 上記〔10〕記載の組換えベクターが導入された形質転換体、
〔13〕 上記〔12〕記載の形質転換体を培養し、上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記
載の融合蛋白質を生成させる工程を含む、上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の融合蛋
白質の製造方法、
〔14〕 上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の融合蛋白質または上記〔6〕に記載の
ホロ蛋白質を含むキット、
〔15〕 上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の融合蛋白質または上記〔6〕に記載の
ホロ蛋白質を含むイムノアッセイ用キット。
〔16〕 上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の融合蛋白質または上記〔6〕に記載の
ホロ蛋白質を使用してカルシウムイオンを検出または定量する方法
〔17〕 上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の融合蛋白質または上記〔6〕に記載の
ホロ蛋白質を用いたイムノアッセイ法
などを提供する。
本発明の融合蛋白質は、発光基質であるセレンテラジンと接触させることによって、容
易に本発明の融合蛋白質とセレンテラジンのペルオキシドを含有するホロ蛋白質を形成す
ることができる。本発明のホロ蛋白質は、セレンテラジンと酸素の存在下において、本発
明の融合蛋白質と、セレンテラジンのペルオキシドとが複合体を形成した状態で存在する
。前記複合体にカルシウムイオンが結合すると、瞬間的な発光を示す。したがって、本発
明の融合蛋白質、本発明のホロ蛋白質などは、カルシウムイオンの検出または測定に好適
に利用することができる。
また、本発明の融合蛋白質は、IgGとの高い結合能力を有している。そして、上述の
ように、本発明の融合蛋白質と発光基質であるセレンテラジンのペルオキシドとからなる
ホロ蛋白質は、カルシウムイオンによって発光させることができる。したがって、本発明
の融合蛋白質、本発明のホロ蛋白質などは、IgGの検出に好適に利用することができる

さらに、本発明の融合蛋白質は、組換え蛋白質の発現系として広く用いられている原核
細胞を宿主として用いることによって、細胞質中に可溶性タンパク質として発現させるこ
とができるので、効率的に製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
1.本発明の融合蛋白質
本発明の融合蛋白質とは、配列番号:1のアミノ酸配列からなる領域および配列番号:
1のアミノ酸配列からなる領域と実質的に同一の活性もしくは機能を有する領域から選択
される第1の領域と、配列番号:3のアミノ酸配列からなる領域および配列番号:3のア
ミノ酸配列からなる領域と実質的に同一の活性もしくは機能を有する領域から選択される
第2の領域とを含有する融合蛋白質を意味する。
本明細書中、配列番号:1のアミノ酸配列からなる領域および配列番号:1のアミノ酸
配列からなる領域と実質的に同一の活性もしくは機能を有する領域から選択される第1の
領域を、「ZZドメイン」と称することがある。配列番号:3のアミノ酸配列からなる領
域および配列番号:3のアミノ酸配列からなる領域と実質的に同一の活性もしくは機能を
有する領域から選択される第2の領域を、「アポイクオリン」または「アポAQ」と称す
ることがある。
本発明の融合蛋白質はさらに翻訳促進のためのアミノ酸配列および/または精製のため
のペプチド配列を含んでいてもよい。翻訳促進のためのアミノ酸配列としては、当技術分
野において用いられているペプチド配列を使用することができる。翻訳促進のためのアミ
ノ酸配列としては、例えば、TEE配列などが挙げられる。精製のためのペプチド配列と
しては、当技術分野において用いられているペプチド配列を使用することができる。精製
のためのペプチド配列としては、例えば、ヒスチジン残基が4残基以上、好ましくは6残
基以上連続したアミノ酸配列を有するヒスチジンタグ配列、グルタチオン S−トランス
トランスフェラーゼのグルタチオンへの結合ドメインのアミノ酸配列などが挙げられる。
本発明の融合蛋白質の取得方法については特に制限はない。本発明の融合蛋白質として
は、化学合成により合成した融合蛋白質でもよいし、遺伝子組換え技術により作製した組
換え融合蛋白質であってもよい。本発明の融合蛋白質を化学合成する場合には、例えば、
Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t-ブチルオキシカルボニル
法)等により合成することができる。また、アドバンスドケムテック社製、パーキンエル
マー社製、ファルマシア社製、プロテインテクノロジーインストゥルメント社製、シンセ
セルーベガ社製、パーセプティブ社製、島津製作所社製等のペプチド合成機を利用して化
学合成することもできる。本発明の融合蛋白質を遺伝子組換え技術により作製する場合に
は、通常の遺伝子組換え手法により作製することができる。より具体的には、本発明の融
合蛋白質をコードするポリヌクレオチド(例えば、DNA)を適当な発現系に導入するこ
とにより、本発明の融合蛋白質を作製することができる。本発明の融合蛋白質をコードす
るポリヌクレオチド、本発明の融合蛋白質の発現系での発現などについては、後記する。
本発明の融合蛋白質を、発光基質であるセレンテラジンまたはその誘導体(例えば、h-
セレンテラジン、e-セレンテラジン、cl-セレンテラジン、ch-セレンテラジン、hcp-セレ
ンテラジンなど)と、酸素存在下に接触させることにより、本発明の融合蛋白質とセレン
テラジンのペルオキシドまたはセレンテラジン誘導体のペルオキシドとからなるホロ蛋白
質を得ることができる。以下、「セレンテラジンまたはその誘導体」を、単に「セレンテ
ラジン」と称することがある。本明細書中、本発明の融合蛋白質と、セレンテラジンのペ
ルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドとからなるホロ蛋白質を、「本
発明のホロ蛋白質」または「ZZ−イクオリン」もしくは「ZZ−AQ」と称することが
ある。また、本発明の融合蛋白質と、セレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラ
ジン誘導体のペルオキシドとからなるホロ蛋白質を、「本発明の発光蛋白質」と称するこ
ともある。
本発明のホロ蛋白質としては、(1)本発明の融合蛋白質とセレンテラジンのペルオキ
シドとからなるホロ蛋白質、(2)本発明の融合蛋白質とセレンテラジン誘導体のペルオ
キシドとからなるホロ蛋白質などが挙げられる。本発明の融合蛋白質とセレンテラジン誘
導体のペルオキシドとからなるホロ蛋白質としては、例えば、本発明の融合蛋白質とh-セ
レンテラジンのペルオキシドとからなるホロ蛋白質、本発明の融合蛋白質とe-セレンテラ
ジンのペルオキシドとからなるホロ蛋白質、本発明の融合蛋白質とcl-セレンテラジンの
ペルオキシドとからなるホロ蛋白質、本発明の融合蛋白質とch-セレンテラジンのペルオ
キシドとからなるホロ蛋白質、本発明の融合蛋白質とhcp-セレンテラジンのペルオキシド
とからなるホロ蛋白質などが挙げられる。本発明のホロ蛋白質は、本発明の融合蛋白質と
セレンテラジンとから、公知のカルシウム結合発光蛋白質(例えば、イクオリンなど)と
同様にして製造することができる。より具体的には、本発明のホロ蛋白質は、例えば、Bi
ochem. J. 261, 913-920 (1989)などに記載の製造方法に準じる方法によって製造するこ
とができる。本発明のホロ蛋白質は、本発明の融合蛋白質と、セレンテラジンのペルオキ
シドとが複合体(本発明の発光蛋白質)を形成した状態で存在する。前記複合体(本発明
の発光蛋白質)にカルシウムイオンが結合すると、瞬間的な発光を示し、セレンテラジン
の酸化物であるセレンテラミドと二酸化炭素を生成する。
(第1の領域)
第1の領域とは、配列番号:1のアミノ酸配列からなる領域または配列番号:1のアミ
ノ酸配列からなる領域と実質的に同一の活性もしくは機能を有する領域を意味する。
配列番号:1のアミノ酸配列からなる領域と実質的に同一の活性もしくは機能とは、例
えば、IgGのFc領域に結合することができる活性もしくは機能を意味する。IgGの
Fc領域に結合することができる活性もしくは機能は、例えば、ウエスタンブロティング
法、後述の実施例に記載の方法などに従って測定することができる。
第1の領域としては、より具体的には、例えば(a)配列番号:1のアミノ酸配列から
なる領域;(b)配列番号:1のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置
換、挿入もしくは付加したアミノ酸配列からなり、かつ配列番号:1に記載のアミノ酸配
列からなる領域と実質的に同質の活性もしくは機能を有する領域などが挙げられる。
本明細書において、「1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加し
たアミノ酸配列」における「1〜複数個」の範囲は、例えば、1〜20個、1〜15個、
1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個(1〜数個)、1〜5個、1〜4
個、1〜3個、1〜2個、1個である。欠失、置換、挿入もしくは付加したアミノ酸の数
は、一般的に少ないほど好ましい。上記アミノ酸残基の欠失、置換、挿入および付加のう
ち2種以上が同時に生じてもよい。このような領域は、「モレキュラークローニング第3
版」、「カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー」、“Nuc. Aci
ds. Res., 10, 6487 (1982)”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409 (1982)”、“
Gene, 34, 315 (1985)”、“Nuc. Acids. Res., 13, 4431 (1985)”、“Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, 82, 488 (1985)”等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、取得するこ
とができる。
また、第1の領域としては、例えば、(c)配列番号:1のアミノ酸配列と約70%以
上、75%以上、80%以上、85%以上、88%以上、90%以上、91%以上、92
%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、
99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ配列番号:1のアミノ酸配列か
らなる領域と実質的に同質の活性もしくは機能を有する領域も挙げられる。さらに、第1
の領域としては、より具体的には、例えば、配列番号:1のアミノ酸配列と約70%以上
、75%以上、80%以上、85%以上、88%以上、90%以上、91%以上、92%
以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、9
9%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつIgGのFc領域と結合すること
ができる活性もしくは機能を有する領域が挙げられる。上記同一性の数値は、一般的に大
きいほど好ましい。なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、BLAST(例えば、Al
tzshul S. F. et al., J. Mol. Biol. 215, 403 (1990)、など参照)やFASTA(Pear
son W. R., Methods in Enzymology 183, 63 (1990)、など参照)等の解析プログラムを
用いて決定できる。BLASTまたはFASTAを用いる場合は、各プログラムのデフォ
ルトパラメーターを用いる。
さらに、第1の領域には、(d)配列番号:2の塩基配列に相補的な塩基配列からなる
ポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに
よってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ配列番号:1のアミノ酸配列からなる領
域と実質的に同質の活性もしくは機能を有する領域も含まれる。ストリンジェントな条件
下でハイブリダイズするポリヌクレオチドについては、後記する。
(第2の領域)
第2の領域とは、配列番号:3のアミノ酸配列からなる領域または配列番号:3のアミ
ノ酸配列からなる領域と実質的に同一の活性もしくは機能を有する領域を意味する。
配列番号:3のアミノ酸配列からなる領域と実質的に同一の活性もしくは機能とは、例
えば、(i)前記領域がセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体の
ペルオキシドと結合することができる機能、(ii)前記領域がセレンテラジンのペルオキ
シドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合して、カルシウムイオンの作用
によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を意味する。なお、発光の測定
は、例えば、Shimomura 0.et al (1988) Biochem. J.251,405-410 およびShimomura 0.et
al. Biochem. J. (1989)261, 913-920などに記載の方法によって測定することができる
。 具体的には、例えば、酸素存在下、前記領域にセレンテラジンもしくはセレンテラジ
ン誘導体を結合させ、カルシウム溶液を加えることにより発光反応を開始させることがで
きる。さらに、発光測定装置を用いて発光活性または発光パターンを測定することができ
る。発光測定装置としては、市販されている装置、例えば、AB-2200(アトー社製)、Be
rthold960(ベルトール社製)などを使用することができる。
第2の領域としては、より具体的には、例えば(e)配列番号:3のアミノ酸配列から
なる領域;(f)配列番号:3のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置
換、挿入もしくは付加したアミノ酸配列からなり、かつ配列番号:3に記載のアミノ酸配
列からなる領域と実質的に同質の活性もしくは機能を有する領域などが挙げられる。ここ
で、「1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列」
における「1〜複数個」の範囲は、例えば、1〜20個、1〜15個、1〜10個、1〜
9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個(1〜数個)、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1
〜2個、1個である。欠失、置換、挿入もしくは付加したアミノ酸の数は、一般的に少な
いほど好ましい。
また、第2の領域としては、例えば、(g)配列番号:3のアミノ酸配列と約70%以
上、75%以上、80%以上、85%以上、88%以上、90%以上、91%以上、92
%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、
99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ配列番号:3のアミノ酸配列か
らなる領域と実質的に同質の活性もしくは機能を有する領域も挙げられる。さらに、第2
の領域としては、より具体的には、例えば、配列番号:3のアミノ酸配列と約70%以上
、75%以上、80%以上、85%以上、88%以上、90%以上、91%以上、92%
以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、9
9%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ(i)セレンテラジンのペルオキ
シドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合することができる機能、または
(ii)セレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結
合して、カルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機
能を有する領域が挙げられる。上記同一性の数値は、一般的に大きいほど好ましい。
さらに、第2の領域には、(h)配列番号:4の塩基配列に相補的な塩基配列からなる
ポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに
よってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ配列番号:3のアミノ酸配列からなる領
域と実質的に同質の活性もしくは機能を有する領域も含まれる。ストリンジェントな条件
下でハイブリダイズするポリヌクレオチドについては、後記する。
2.本発明のポリヌクレオチド
本発明は、前述した本発明の融合蛋白質をコードするポリヌクレオチドも提供する。本
発明のポリヌクレオチドとしては、本発明の融合蛋白質をコードする塩基配列を含有する
ものであればいかなるものであってもよいが、好ましくはDNAである。DNAとしては
、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、細胞・組織由来のcDNA、細胞・組織由
来のcDNAライブラリー、合成DNAなどが挙げられる。ライブラリーに使用するベク
ターは、特に制限はなく、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドな
どいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織からtotalRNAまたはmRNA画
分を調製したものを用いて直接 Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction(以
下、RT-PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
本発明のポリヌクレオチドには、(1)以下の(a)〜(d)からなる群から選択され
る第1のコード配列:
(a)配列番号:2の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(b)配列番号:2の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズし、かつIgGのFc領域と結合することができる機
能を有する領域をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(c)配列番号:1のアミノ酸配列からなる領域をコードするポリヌクレオチドを含有す
るポリヌクレオチド、および
(d)配列番号:1のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入お
よび/または付加したアミノ酸配列からなり、かつIgGのFc領域と結合することがで
きる機能を有する領域をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;と、
(2)以下の(e)〜(h)からなる群から選択される第2のコード配列:
(e)配列番号:4の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(f)配列番号:4の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズし、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレ
ンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホ
ロ蛋白質を形成することができる機能を有する領域をコードするポリヌクレオチドを含有
するポリヌクレオチド、
(g)配列番号:3のアミノ酸配列からなる領域をコードするポリヌクレオチドを含有す
るポリヌクレオチド、および
(h)配列番号:3のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入お
よび/または付加したアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしく
はセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光
するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する領域をコードするポリヌクレオチド
を含有するポリヌクレオチド;
とを含有するポリヌクレオチドなどが含まれる。
ここで、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド(例えば
、DNA)」とは、配列番号:2または4の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌ
クレオチドまたは配列番号:1または3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの
全部または一部をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブ
リダイゼーション法またはサザンハイブリダイゼーション法などを用いることにより得ら
れるポリヌクレオチド(例えば、DNA)をいう。具体的には、コロニーあるいはプラー
ク由来のポリヌクレオチドを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0mol/L
のNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のS
SC(Saline-sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mmol
/L塩化ナトリウム、15mmol/Lクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃条
件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドをあげることができ
る。
ハイブリダイゼーションは、Sambrook J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory
Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)(以下、モレキ
ュラー・クローニング第3版と略す)、Ausbel F. M. et al., Current Protocols in Mo
lecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley and Sons (1987-1997)、Glover D. M.
and Hames B. D., DNA Cloning 1: Core Techniques, A practical Approach, Second E
dition, Oxford University Press (1995)等の実験書に記載されている方法に準じて行う
ことができる。
本明細書でいう「ストリンジェントな条件」は、低ストリンジェントな条件、中ストリ
ンジェントな条件及び高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェン
トな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%(w/v)SDS、50%(v/v)ホルム
アミド、32℃の条件である。また、「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、
5×デンハルト溶液、0.5%(w/v)SDS、50%(v/v)ホルムアミド、42℃の条件である。「高
ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5(w/v)%SDS、50
%(v/v)ホルムアミド、50℃の条件である。条件を厳しくするほど、二本鎖形成に必要と
する相補性が高くなる。具体的には、例えば、これらの条件において、温度を上げるほど
高い相同性を有するポリヌクレオチド(例えば、DNA)が効率的に得られることが期待
できる。ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては
温度、プローブ濃度、プローブの長さ、イオン強度、時間、塩濃度など複数の要素が考え
られ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現
することが可能である。
なお、ハイブリダイゼーションに市販のキットを用いる場合は、例えばAlkphos Direct
Labelling Reagents(アマシャムファルマシア社製)を用いることができる。この場合
は、キットに添付のプロトコールにしたがい、標識したプローブとのインキュベーション
を一晩行った後、メンブレンを55℃の条件下で0.1% (w/v) SDSを含む1次洗浄バッファー
で洗浄後、ハイブリダイズしたDNAを検出することができる。
これ以外にハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとしては、FASTA、BLAST等の解析プ
ログラムにより、デフォルトのパラメータを用いて計算したときに、配列番号:1または
3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドと約60%以上、65%以上、70%以上、75
%以上、80%以上、85%以上、88%以上、90%以上、92%以上、95%以上、97%以上、98
%以上、99%以上、99.3%以上、99.5%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上の同
一性を有するDNAをあげることができる。なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、前
述した方法を用いて決定できる。
あるアミノ酸配列に対して、1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/
または付加したアミノ酸配列を有する領域をコードするポリヌクレオチドは、部位特異的
変異導入法(例えば、Gotoh, T. et al., Gene 152, 271-275 (1995)、Zoller, M.J., an
d Smith, M., Methods Enzymol. 100, 468-500 (1983)、Kramer, W. et al., Nucleic Ac
ids Res. 12, 9441-9456 (1984)、Kramer W, and Fritz H.J., Methods. Enzymol. 154,
350-367 (1987)、Kunkel,T.A., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 82, 488-492 (1985)、Kun
kel, Methods Enzymol. 85, 2763-2766 (1988)、など参照)、アンバー変異を利用する方
法(例えば、Gapped duplex法、Nucleic Acids Res. 12, 9441-9456 (1984)、など参照)
などを用いることにより得ることができる。
また目的の変異(欠失、付加、置換および/または挿入)を導入した配列をそれぞれの
5’端に持つ1組のプライマーを用いたPCR(例えば、Ho S. N. et al., Gene 77, 51
(1989)、など参照)によっても、ポリヌクレオチドに変異を導入することができる。
また欠失変異体の一種である蛋白質の部分断片をコードするポリヌクレオチドは、その
蛋白質をコードするポリヌクレオチド中の作製したい部分断片をコードする領域の5’端
の塩基配列と一致する配列を有するオリゴヌクレオチドおよび3’端の塩基配列と相補的
な配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、その蛋白質をコードする
ポリヌクレオチドを鋳型にしたPCRを行うことにより取得できる。
本発明のポリヌクレオチドの具体例としては、例えば、配列番号:5のアミノ酸配列か
らなる融合蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドなどがあげ
られる。配列番号:5に記載のアミノ酸配列からなる融合蛋白質をコードするポリヌクレ
オチドを含有するポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号:6に記載の塩基配列か
らなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドなどが挙げられる。
本発明のポリヌクレオチドは、翻訳促進のためのアミノ酸配列をコードする塩基配列を
含有するポリヌクレオチドおよび/または精製のためのペプチド配列をコードする塩基配
列を含有するポリヌクレオチドを含んでいてもよい。翻訳促進のためのアミノ酸配列をコ
ードする塩基配列を含有するポリヌクレオチドとしては、当技術分野において用いられて
いる翻訳促進のためのアミノ酸配列をコードする塩基配列を含有するポリヌクレオチドを
使用することができる。翻訳促進のためのアミノ酸配列としては、前記したものなどが挙
げられる。精製のためのペプチド配列をコードするポリヌクレオチドとしては、当技術分
野において用いられている精製のためのペプチド配列をコードする塩基配列を含有するポ
リヌクレオチドを使用することができる。精製のためのペプチド配列としては、前記した
ものなどが挙げられる。
3.本発明の組換えベクターおよび形質転換体
さらに、本発明は、上述した本発明のポリヌクレオチドを含有する組換えベクターおよ
び形質転換体を提供する。
(1)組換えベクターの作製
本発明の組換えベクターは、適当なベクターに本発明のポリヌクレオチド(DNA)を
連結(挿入)することにより得ることができる。より具体的には、精製されたポリヌクレオ
チド(DNA)を適当な制限酵素で切断し、適当なベクターの制限酵素部位またはマルチ
クローニングサイトに挿入して、ベクターに連結することにより得ることができる。本発
明のポリヌクレオチドを挿入するためのベクターは、宿主中で複製可能なものであれば特
に限定されず、例えば、プラスミド、バクテリオファージ、動物ウイルス等が挙げられる
。プラスミドとしては、例えば、大腸菌由来のプラスミド(例えばpBR322, pBR325, pUC1
18, pUC119等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110, pTP5等)、酵母由来のプラス
ミド(例えばYEp13, YEp24, YCp50等)などがあげられる。バクテリオファージとしては、
例えば、λファージなどがあげられる。動物ウイルスとしては、例えば、レトロウイルス
、ワクシニアウイルス、昆虫ウイルス(例えば、バキュロウイルスなど)などがあげられ
る。
また、本発明においては、pCold Iベクター、pCold IIベクター、pCold IIIベクター、
pCold IVベクター(以上、タカラバイオ社製)なども好適に使用することができる。後述
の実施例などに具体的に示されているように、これらのベクターを使用して、原核細胞を
宿主として発現させた場合、本発明の融合蛋白質を宿主細胞の細胞質中に可溶性タンパク
質として産生させることができる。
本発明のポリヌクレオチドは、通常、適当なベクター中のプロモーターの下流に、発現
可能なように連結される。用いられるプロモーターとしては、形質転換する際の宿主が動
物細胞である場合には、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、
メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、サイトメガロウイルスプ
ロモーター、SRαプロモーターなどが好ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合は
、Trpプロモーター、T7プロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター
、λPLプロモーター、lppプロモーターなどが好ましい。宿主がバチルス属菌である
場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなどが好
ましい。宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAP
プロモーター、ADH1プロモーター、GALプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫
細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。
本発明の組換えベクターには、以上の他に、所望によりエンハンサー、スプライシング
シグナル、ポリA付加シグナル、リボソーム結合配列(SD配列)、選択マーカーなどを含
有しているものを用いることができる。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還
元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子などがあげられる。
また、本発明の組換えベクターは、翻訳促進のためのアミノ酸配列をコードする塩基配
列を含有するポリヌクレオチドおよび/または精製のためのペプチド配列をコードする塩
基配列を含有するポリヌクレオチドを含んでいてもよい。翻訳促進のためのアミノ酸配列
をコードする塩基配列を含有するポリヌクレオチドとしては、当技術分野において用いら
れている翻訳促進のためのアミノ酸配列をコードする塩基配列を含有するポリヌクレオチ
ドを使用することができる。翻訳促進のためのアミノ酸配列としては、前記したものなど
が挙げられる。精製のためのペプチド配列をコードするポリヌクレオチドとしては、当技
術分野において用いられている精製のためのペプチド配列をコードする塩基配列を含有す
るポリヌクレオチドを使用することができる。精製のためのペプチド配列としては、前記
したものなどが挙げられる。
(2)形質転換体の作成
このようにして得られた、本発明のポリヌクレオチド(すなわち、本発明の融合蛋白質
をコードするポリヌクレオチド)を含有する組換えベクターを、適当な宿主中に導入する
ことによって、形質転換体を作成することができる。宿主としては、本発明のポリヌクレ
オチド(DNA)を発現できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、エシ
ェリヒア属菌、バチルス属菌、シュードモナス属菌、リゾビウム属菌、酵母、動物細胞ま
たは昆虫細胞などがあげられる。エシェリヒア属菌としては、例えば、エシェリヒア・コ
リ(Escherichia coli)などがあげられる。バチルス属菌としては、例えば、バチルス・
ズブチリス(Bacillus subtilis)などがあげられる。シュードモナス属菌としては、例え
ば、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)などがあげられる。リゾビウム属菌と
しては、例えば、リゾビウム・メリロティ(Rhizobium meliloti)などがあげられる。酵母
としては、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッ
カロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)などがあげられる。動物細胞としては
、例えば、COS細胞、CHO細胞などがあげられる。昆虫細胞としては、例えば、Sf9、Sf21
などがあげられる。
組換えベクターの宿主への導入方法およびこれによる形質転換方法は、一般的な各種方
法によって行うことができる。組換えベクターの宿主細胞への導入方法としては、例えば
、例えばリン酸カルシウム法(Virology, 52, 456-457 (1973))、リポフェクション法(
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 7413 (1987))、エレクトロポレーション法(EMBO J.
, 1, 841-845 (1982))などがあげられる。エシェリヒア属菌の形質転換方法としては、
例えば、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69, 2110 (1972)、Gene, 17, 107 (1982)などに
記載の方法などがあげられる。バチルス属菌の形質転換方法としては、例えば、Molecula
r & General Genetics,168, 111 (1979)に記載の方法などがあげられる。酵母の形質転
換方法としては、例えば、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,75,1929 (1978)に記載の方法
などがあげられる。動物細胞の形質転換方法としては、例えば、Virology,52, 456 (1973
)に記載の方法などがあげられる。昆虫細胞の形質転換方法としては、例えば、Bio/Techn
ology, 6, 47-55 (1988)に記載の方法などがあげられる。このようにして、本発明の融合
蛋白質をコードするポリヌクレオチド(本発明のポリヌクレオチド)を含有する組換えベ
クターで形質転換された形質転換体を得ることができる。
4.本発明の融合蛋白質の製造
また、本発明は、前記形質転換体を培養し、本発明の融合蛋白質を生成させる工程を含
む、本発明の融合蛋白質の製造方法を提供する。本発明の融合蛋白質は、前記形質転換体
を本発明の融合蛋白質をコードするポリヌクレオチド(DNA)が発現可能な条件下で培
養し、本発明の融合蛋白質を生成・蓄積させ、分離・精製することによって製造すること
ができる。
(形質転換体の培養)
本発明の形質転換体の培養は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うことが
できる。該培養によって、形質転換体によって本発明の融合蛋白質が生成され、形質転換
体内または培養液中などに本発明の融合蛋白質が蓄積される。
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する培地としては、該
形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効
率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭
素源としては、グルコース、フラクトース、スクロース、デンプンなどの炭水化物、酢酸
、プロピオン酸などの有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が用いられる
。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウ
ム、リン酸アンモニウムなどの無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩またはその他の含
窒素化合物のほか、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカーなどが用いられる。無
機塩類としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸
マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウムな
どが用いられる。培養中は必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を
培地に添加してもよい。プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクター
で形質転換した形質転換体を培養する場合は、必要に応じてインデューサーを培地に添加
してもよい。例えば、Lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体
を培養するときにはイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)などを、trpプロ
モーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養するときにはインドール
アクリル酸(IAA)などを培地に添加してもよい。
宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行い、必
要により、通気や撹拌を加える。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃
で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加える。
宿主が酵母である形質転換体を培養する培地としては、たとえばバークホールダー(Bu
rkholder)最小培地(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77, 4505 (1980))や0.5%(w/v)
カザミノ酸を含有するSD培地(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, 5330 (1984))があ
げられる。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃
で約24〜72時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する培地としては、たとえば約5〜20%(v/v
)の胎児牛血清を含むMEM培地(Science, 122, 501 (1952)),DMEM培地(Virolog
y, 8, 396 (1959))などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常
約30℃〜40℃で約15〜60時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞である形質転換体を培養する培地としては、Grace's Insect Medium(Na
ture,195,788(1962))に非働化した10%(v/v)ウシ血清等の添加物を適宜加えたものな
どが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約
27℃で約3〜5日間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
(本発明の融合蛋白質の分離・精製)
上記培養物から、本発明の融合蛋白質を分離・精製することによって、本発明の融合蛋
白質を得ることができる。ここで、培養物とは、培養液、培養菌体もしくは培養細胞、ま
たは培養菌体もしくは培養細胞の破砕物のいずれをも意味する。本発明の融合蛋白質の分
離・精製は、通常の方法に従って行うことができる。
具体的には、本発明の融合蛋白質が培養菌体内もしくは培養細胞内に蓄積される場合に
は、培養後、通常の方法(例えば、超音波、リゾチーム、凍結融解など)で菌体もしくは
細胞を破砕した後、通常の方法(例えば、遠心分離、ろ過など)により本発明の融合蛋白
質の粗抽出液を得ることができる。本発明の融合蛋白質がペリプラズムスペース中に蓄積
される場合には、培養終了後、通常の方法(例えば浸透圧ショック法など)により目的蛋
白質を含む抽出液を得ることができる。本発明の融合蛋白質が培養液中に蓄積される場合
には、培養終了後、通常の方法(例えば、遠心分離、ろ過など)により菌体もしくは細胞
と培養上清とを分離することにより、本発明の融合蛋白質を含む培養上清を得ることがで
きる。
このようにして得られた抽出液もしくは培養上清中に含まれる本発明の融合蛋白質の精
製は、通常の分離・精製方法に従って行うことができる。分離・精製方法としては、例え
ば、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィ
ー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、透析法、限
外ろ過法などを単独で、または適宜組み合わせて用いることができる。本発明の融合蛋白
質が上述した精製のためのペプチド配列を含有する場合、これを用いて精製するのが好ま
しい。具体的には、本発明の融合蛋白質がヒスチジンタグ配列を含有する場合にはニッケ
ルキレートアフィニティークロマト法、S−トランストランスフェラーゼのグルタチオン
への結合ドメインを含有する場合にはグルタチオン結合ゲルによるアフィニティークロマ
ト法、プロテインAのアミノ酸の配列を含有する場合には抗体アフィニティークロマト法
を用いることができる。
精製した本発明のアポ蛋白質を、還元剤(たとえばメルカプトエタノール、ジチオスレ
イトールなど)および酸素の存在下、発光基質であるセレンテラジンもしくはその誘導体
と低温でインキュベーションすることにより、カルシウムイオン濃度依存的に発光する本
発明のホロ蛋白質(発光蛋白質)を調製することができる。
5.本発明の融合蛋白質などの利用
(カルシウムイオンの検出または定量)
上述したように、本発明の融合蛋白質(アポ蛋白質)は、セレンテラジンのペルオキシ
ドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合して、カルシウムイオンの作用に
よって発光しうるホロ蛋白質(発光蛋白質)を形成することができる。また、本発明のホ
ロ蛋白質は、酸素存在下、カルシウムイオンの作用によって発光しうる複合体(本発明の
発光蛋白質)として存在する。よって、本発明の融合蛋白質および本発明のホロ蛋白質は
、カルシウムイオンの検出または定量に使用することができる。カルシウムイオンの検出
または定量は、カルシウムイオンによる本発明の発光蛋白質の発光を、発光測定装置を用
いて測定することにより行うことができる。発光測定装置としては、市販されている装置
、例えば、Centro LB960(ベルトール社製)などを使用することができる。カルシウ
ムイオン濃度の定量は、ホロ蛋白質を用いて、既知のカルシウムイオン濃度に対する発光
標準曲線を作成することにより、測定可能である。
(発光による検出マーカーとしての利用)
本発明の融合蛋白質は、上述のように、カルシウムイオンの作用によって発光しうるホ
ロ蛋白質(発光蛋白質)を形成することができ、かつ、IgGに結合する機能を有するの
で、例えば、イムノアッセイにおけるIgGの検出に利用することができる。このような
IgGの検出は、通常の方法によって行うことができる。具体的には、本発明の融合蛋白
質をIgGに結合させ、カルシウムイオンによって発光させることによりIgGを検出す
ることができる。また、本発明の融合蛋白質をIgGに結合させた後、酸素存在下、本発
明の融合蛋白質をセレンテラジンまたはセレンテラジン誘導体と接触させることにより、
本発明の発光蛋白質を形成させ、カルシウムイオンによって発光させてもよい。
6.本発明のキット
本発明は、本発明の融合蛋白質、本発明のホロ蛋白質、本発明のポリヌクレオチド、本
発明の組換えベクターおよび本発明の形質転換体から選択されるいずれかを含むキットも
提供する。本発明のキットには、さらにセレンテラジンもしくはその誘導体を含んでいて
もよい。本発明のキットは、通常用いられる材料および方法で製造することができる。本
発明のキットは、例えば、サンプルチューブ、プレート、キット使用者に対する指示書、
溶液、バッファー、試薬、標準化のために好適なサンプルまたは対照サンプルを含んでも
よい。
本発明のキットは、上述したカルシウムイオンの検出または定量、IgGの検出または
定量などに利用することができる。
発明を実施するための最良の形態及び実施例に特に説明がない場合には、J. Sambrook,
E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (3rd
edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2001); F. M. A
usubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Str
uhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.などの
標準的なプロトコール集に記載の方法、あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用い
る。また、市販の試薬キットや測定装置を用いる場合には、特に説明が無い場合、それら
に添付のプロトコールを用いる。
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業
者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を実施できる
。発明を実施するための最良の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態
様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに
限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図ならびに範囲内で、本明
細書の記載に基づき、様々に修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
参考例1
プロテインA−アポイクオリン融合蛋白質の調製は、以下に記載の方法により行った。
まず、プロテインA−アポイクオリン(以下、アポイクオリンを「アポAQ」と略記する
ことがある。)融合蛋白質の発現は、本発明者らが以前に出願した特開平2−15468
8号公報(特願昭63−308424)記載の発現ベクターおよび発現法を用いて行った
。プロテインA−アポAQ融合蛋白質の精製は、本発明者らの報告論文 Biochem. Bioph
ys. Res. Commun. 171:169-174 (1990) 記載の方法により行った。具体的には、プ
ロテインA−アポAQ融合蛋白質発現ベクターpAAQ-1は、36残基からなるプロテインAの
分泌シグナル、271残基よりなるプロテインAのIgG 結合ドメインを含む領域と、アポイ
クオリン(188残基)からなる融合蛋白質を発現する。大腸菌でのプロテインA−アポA
Q融合蛋白質の発現量は、発光活性から算出したところ、200 ml培養菌体では約8 mgで
あった。この菌体の粗抽出液からIgG セファロース カラムクロマトグラフ法、セファロ
ース12ゲルクロマトグラフ法、逆相クロマトグラフ法の組み合わせにより精製したプロ
テインA−アポAQ融合蛋白質は、分子量42 Kと 43Kのヘテロな蛋白であった。得られた
精製プロテインA−アポAQ融合蛋白質の純度は95%以上であり、収量は約30マイクログ
ラムであった。実施例3と同様の方法に従い、還元剤存在下に、発光基質セレンテラジン
と、4℃で、一昼夜インキュベーションすることにより、プロテインA−アポAQからプ
ロテインA−AQへ再生した。再生効率は95%以上であった。
実施例1 ZZ−アポAQ融合遺伝子発現ベクターの構築
大腸菌において組換えZZ−アポAQ融合蛋白質を発現させるために、ZZ遺伝子およ
びイクオリン遺伝子を以下に記載する方法に従って調製した。IgG結合ドメインであるZ
Zドメインをコードする ZZ遺伝子はpEZZ18(アマシャムバイオサイエンス社)から、P
CR法により調製した。アポイクオリンをコードするイクオリン遺伝子はpAQ440(特開昭6
1-135586号公報参照)のコーディング領域であるHindIII-EcoRI フラグメントを含むpAM-H
EよりPCR法により調製した。発現ベクターとしてpCold II ベクター(タカラバイオ社)を
使用した。ZZ−アポAQ融合蛋白質発現ベクターの構築法は以下の通りである。
まず、pAM-HEを鋳型として2種のPCRプライマー:
AQ-EcoRI-Met(5' CCGGAATTC-ATG-AAA-CTT-ACA-TCA-GAC-TTC-GAC-AAC 3'(配列番号:7
);EcoRI制限酵素部位はアンダーライン)および
AQ-C-SalI(5' CGCGTCGAC-TTA-GGG-GAC-AGC-TCC-ACC-GTA-GAG-CTT 3'(配列番号:8);
SalI制限酵素部位はアンダーライン)を用いて、PCRキット(タカラバイオ社製)にてPCR
(サイクル条件25サイクル;1分/94℃、1分/50℃、1分/72℃)を実施して、所望のイ
クオリン遺伝子領域を増幅した。得られたDNA断片をPCR精製キット(キアゲン社製)で精
製した。前記の精製されたDNA断片を常法により制限酵素EcoRI/SalIにて消化した後、pC
oldIIの制限酵素EcoRI/SalI部位に連結することによって、発現ベクターpCold-AQを構築
した。
一方、pEZZ18を鋳型として2種のPCRプライマー:
6ZZ-N-NdeI(5' CCG CAT ATG GCG CAA CAC GAT GAA GCC GTG 3'(配列番号:9);NdeI
制限酵素部位はアンダーライン)および
7ZZ-C-BamHI(5' GGC GGA TCC CGA GCT CGA ATT TGC GTC TAC 3'(配列番号:10);Ba
mHI制限酵素部位はアンダーライン)を用いて、PCRキット(タカラバイオ社製)にてPCR
(サイクル条件25サイクル;1分/94℃、1分/50℃、1分/72℃)を実施して、所望のDNA
領域を増幅した。得られたDNA断片をPCR精製キット(キアゲン社製)で精製した。前記の
精製されたDNA断片を常法により制限酵素NdeI/BamHIにて消化した後、pCold-AQの制限酵
素NdeI/BamHI部位に連結することによって、図1に示す発現ベクターpCold-ZZ-AQを構築
した。本発現ベクターは、低温で誘導可能なであり、発現したZZ-apoAQは、アミノ末端に
ヒスチジンダグを有する。
実施例2 組換えZZ−アポAQ融合蛋白質の調製法
組換えZZ−アポAQ融合蛋白質の調製は、以下に記載するように、組換えZZ−アポ
AQ融合蛋白質を大腸菌で発現させた後、発現された該融合蛋白質を抽出し、抽出した該
融合蛋白質を各種クロマトグラフ法を用いて精製することによって行った。
なお、精製過程における融合蛋白質の発光活性の測定は、以下のようにして行った。ま
ず、50mM Tris-HCl (pH7.6)の緩衝液1ml 中で、粗ZZ−アポAQ融合蛋白質溶液、2-メ
ルカプトエタノール(1μl)、エタノールに溶解した基質セレンテラジン(1μg/μl)を
混合した後、氷上(4℃)で2時間放置することにより発光活性を持つZZ−AQ融合蛋白質
を調製した。得られたZZ−AQ融合蛋白質溶液に50mM CaCl2 100μlを加えることによ
り発光反応を開始させ、発光測定装置PSN AB2200(アトー社製)で10秒間発光活性の測定
を行った。発光活性(最大値(Imax)など)は、相対発光強度(rlu)で評価した。
1) 組換えZZ−アポAQ融合蛋白質の大腸菌での発現
実施例1で得た発現ベクターpCold-ZZ-AQをポリエチレングリコール法により大腸菌BL2
1株に導入し、形質転換株を得た。得られた形質転換株を37℃で18時間培養した。培養後
、その形質転換株をアンピシリン(100μg/ml)を含有する10mlのLB液体培地(水1リッ
トルあたり、バクトトリプトン10g、イーストエクストラクト5g、塩化ナトリウム5g、pH7
.2)に植菌し、さらに37℃で18時間培養を行った。次いで、その培養菌体液を新たなLB液
体培地2リットル(400mlx5本)に添加して、37℃で4.5時間培養した。培養後、その培
養菌体液を氷水上で冷却して、イソプロピル-β-D(−)−チオガラクトピラノシド(IP
TG、和光純薬工業社製)を最終濃度0.1mMになるように培養液に添加し、15℃にて17時間
培養を行った。培養菌体を、冷却遠心機により5分間、5,000rpm(6000×g)で集菌した
2) 培養菌体からのZZ−アポAQ融合蛋白質の抽出
上記1)で集菌した菌体を200 ml(40mlx5本)の50mM Tris-HCl (pH7.6)で懸濁し、氷
冷下で超音波破砕処理(ブランソン社製、ソニファイアーモデル250)を各2分間、3回行
った。その菌体破砕液を10,000rpm(12,000×g)で20分間遠心分離後、得られた溶解性画
分をZZ−アポAQ融合蛋白質精製の出発材料とした。
3) Q-セファロースカラムクロマトグラフ法によるZZ−アポAQ融合蛋白質の精製
上記2)で得られた溶解性画分(200 ml)を、50mM Tris-HCl (pH7.6)で平衡化したQ-
セファロースカラム(アマシャムバイオサイエンス社、カラムサイズ:直径2.5×6cm)
に添加して吸着させた後、カラムを250 mlの50mM Tris-HCl (pH7.6)で洗浄した。カラム
に吸着した蛋白質を全量100mlで、塩化ナトリウム濃度0〜1.0Mの直線濃度勾配により溶出
した。塩化ナトリウム濃度0.45〜0.65Mにて発光活性を有するZZ−アポAQ融合蛋白質
の溶出が確認された(25 ml;ZZ−アポAQ活性画分)。
4) ニッケルキレートカラムクロマトグラフ法によるZZ−アポAQ融合蛋白質の精製
Q-セファロースカラムから溶出したZZ−アポAQ活性画分を、50mM Tris-HCl (pH7.6
)で平衡化したニッケルキレートカラム(アマシャムバイオサイエンス社、カラムサイズ
:直径1.5×5cm)に添加してZZ−アポAQ融合蛋白質を吸着させた。吸着したZZ−ア
ポAQ融合蛋白質を、全量100mlで、イミダゾール濃度0〜0.3M(和光純薬工業社製)の直
線濃度勾配により溶出した。イミダゾール濃度0.06〜0.12Mにて、発光活性を有するZZ
−アポAQ融合蛋白質の溶出が確認された(26 ml;ZZ−アポAQ活性画分)。
5) IgG-セファロースカラムクロマトグラフ法によるZZ−アポAQ融合蛋白質の精製
ニッケルキレートカラムから溶出したZZ−アポAQ活性画分の一部を、アミコンウル
トラ-4 遠心フィルターデバイス(分子量10,000カット;ミリポア社製)を用いて
濃縮した。濃縮した溶液4mlを、IgG-セファロース 6FastFlowカラム(アマシャムバイオ
サイエンス社、カラムサイズ:直径1.5×4cm)に添加して、ZZ−アポAQ融合蛋白質を
吸着させた。吸着したZZ−アポAQ融合蛋白質を、0.5Mの酢酸アンモニウム(pH3.4)
(和光純薬工業社製)にて溶出した。
12%SDS-ポリアクリルアミド電気泳動法により、図2に示すように純度は95%以上である
ことを確認した。
精製の収率を、表1にまとめた。IgG-セファロースクロマトグラフ法により、純度95%
以上で7.8mgの精製ZZ−アポAQを得た。
Figure 0006424101
実施例3 ZZ−AQ融合蛋白質の調製法
ZZ−アポAQ融合蛋白質からZZ−AQ融合蛋白質への変換は、以下の条件で行った

実施例2で得た精製ZZ−アポAQ融合蛋白質(1mg)を10mM DTTおよび、10mM EDTAを
含む50mM Tris-HCl (pH7.6) 5mlに溶解し、エタノールに溶解した1.2倍当量のセレンテラ
ジン 24μgを加え、4℃で一昼夜放置し、ZZ−AQ融合蛋白質へと変換した。得られた
ZZ−AQ融合蛋白質は、アミコンウルトラ‐4(分子量10,000カット)で濃縮後、10mM
EDTAを含む50mM Tris-HCl (pH7.6) 8ml(2mlで4回)で洗浄し、余剰のセレンテラジン
を除いた。活性の回収率95%でZZ−AQ融合蛋白質を得た。
実施例4 ZZ−AQ融合蛋白質と天然型イクオリンの発光活性の比較
ZZ−AQ融合蛋白質とイクオリンの発光性能を比較するために、カルシウム添加によ
る発光パターンを比較した。図3に示すように、ZZ−AQ融合蛋白質と、天然型イクオ
リンの発光パターンを、時間に対する相対発光活性値で比較したところ、同様のパターン
を示した。すなわち、ZZ−AQ融合蛋白質において、ZZドメインを融合したイクオリ
ン部分は、天然型イクオリンと同様のS/N比を示すことが明らかとなった。
実施例5 ZZ−AQ融合蛋白質の、蛋白質量と発光量との直線性
ZZ−AQ融合蛋白質を検出用プローブとして使用するためには、蛋白量と発光量とが
直線性を示すことが必要である。ZZ−AQ融合蛋白質の濃度を1ピコグラムから1ナノ
グラムとして、50mM CaCl2 100μlを注入し、発光測定装置PSN AB2200(アトー社製)で
発光を測定した。発光活性の最大値(Imax)と蛋白質濃度の相関を図4に示した。発光強
度とZZ−AQ融合蛋白質との間に直線性の相関が認められた。この結果から、ZZ−A
Q融合蛋白質の蛋白質量を、発光によって定量することが可能であることが示された。
実施例6 ZZ−AQ融合蛋白質およびプロテインA−AQ融合蛋白質を用いたヒト I
gGの検出法
1) ZZ−AQ融合蛋白質を用いたヒト IgGの検出法
ヒト IgG(Experimental immunology社製)を50mM 炭
酸緩衝液(pH9.6)にて希釈し、5μg/mlに調製した。得られた5μg/mlの
ヒトIgG溶液を、96マイクロウェルプレート(Nunc製、#437796)に10
0μl/ウェル分注し、4℃にて一晩静置して、プレートをヒトIgGでコートした。静
置後、プレートからヒトIgG溶液を除去した。次に、15mM NaClを含む2mM
Tris−HCl(pH7.6)(以下TBSと記載)を340μl/ウェル分注し、前
記プレートを洗浄した後、TBSを除去した。前記洗浄操作を更に2回繰り返して前記プ
レートを洗浄した。洗浄後、1%牛血清アルブミン(生化学工業社製、以下BSAと記載
)を含有したTBSを300μl/ウェル分注し、37℃で1時間静置した。前記1%B
SA含有TBSを除去後、0.05% Tween20(バイオラッド社製)、2mM E
DTA(和光純薬社製)含有TBS(以下TBST−Eと記載)を340μl/ウェル分
注して前記プレートを洗浄した後、前記TBST−Eを除去した。前記洗浄操作を更に2
回繰り返してプレートを洗浄した。洗浄後、0.1%BSA、2mM EDTAを含有す
るTBSにて0.2、2、20、200ng/mlに希釈調製したZZ−AQ融合蛋白質
(実施例3で得られたもの)を100μl/ウェル分注し、37℃で30分静置した。静
置後、ZZ−AQ融合蛋白質溶液を除去した。次に、プレートにTBST−Eを 340
μl/ウェル分注して洗浄した後、前記TBST−Eを除去した。前記洗浄操作を更に2
回繰り返してプレートを洗浄した。洗浄後、96マイクロウェルプレートに50mM C
aCl2を含有する50mM Tris−HCl(pH7.6)を100μl/ウェル 注
入して、発光プレートリーダーCentro LB960(Berthold社製)を用
いて発光強度を5秒間測定した。発光強度は、最大発光強度値(Imax)で評価した。
2) プロテインA−AQ融合蛋白質を用いたヒトIgGの検出法
ヒト IgGを50mM 炭酸緩衝液(pH9.6)にて希釈し、5μg/mlに調製し
た。得られた5μg/mlのヒトIgG溶液を、96マイクロウェルプレート(Nunc
製、#437796)に100μl/ウェル分注し、4℃にて一晩静置して、プレートを
ヒトIgGでコートした。静置後、プレートからヒトIgG溶液を除去した。次に、TB
Sを340μl/ウェル分注し、前記プレートを洗浄した後、TBSを除去した。前記洗
浄操作を更に2回繰り返して前記プレートを洗浄した。洗浄後、前記プレートに、1%B
SAを含有したTBSを300μl/ウェル分注し、37℃で1時間静置した。前記1%
BSA含有TBSを除去後、TBST−Eを 340μl/ウェル分注して前記プレート
を洗浄した後、前記TBST−Eを除去した。前記洗浄操作を更に2回繰り返してプレー
トを洗浄した。洗浄後、0.1%BSA、2mM EDTAを含有するTBSにて0.2
、2、20、200ng/mlに希釈調製したプロテインA−AQ融合蛋白質(参考例1
で得られたもの)を100μl/ウェル分注し、37℃で30分静置した。静置後、プロ
テインA−AQ融合蛋白質溶液を除去した。次に、プレートにTBST−Eを 340μ
l/ウェル分注して洗浄した後、前記TBST−Eを除去した。前記洗浄操作を更に2回
繰り返してプレートを洗浄した。洗浄後、前記プレートに50mM CaCl2を含有する
50mM Tris−HCl(pH7.6)を100μl/ウェル注入して、発光プレー
トリーダーCentro LB960を用いて発光強度を5秒間測定した。発光強度は、
最大発光強度値(Imax)で評価した。
ZZ−AQ融合蛋白質とプロテインA−AQ融合蛋白質の測定結果を図5に示した。プ
ロテインA−AQ融合蛋白質は10ng/mlで発光強度が一定に達したのに対し、ZZ
−AQ融合蛋白質は200ng/mlまで発光強度の上昇が確認された。これはZZ−A
Q融合蛋白質のIgGへの結合がProtein A−AQ融合蛋白質の場合より強いこ
とを示唆している。さらに、発光強度の比較からZZ−AQ融合蛋白質によるIgGの結
合力はProtein A−AQの約5倍であることも明らかとなった。以上の結果から
、ZZ−AQ融合蛋白質を使用した場合の方が、プロテインA−AQ融合蛋白質を使用し
た場合よりも、IgGの検出感度が高いことが明らかとなった。
実施例7 ZZ−AQ融合蛋白質を使用した場合のIgGの検出限界
実施例6のZZ−AQ融合蛋白質を用いたIgG検出法において、0.1ng/mlから100 ng
/mlのIgG溶液を用いてその検出限界を測定した。その結果、直線性から判断して、I
gGの検出限界は、0.1ng/ml以下であることが明らかとなった (図6)。この結果は、Z
Z−AQ融合蛋白質のIgG測定可能な最低濃度は、アッセイ当たり1ng/ml以下であること
を示している。以上の結果から、ZZ−AQ融合蛋白質を使用した場合には、プロテイン
Aとイクオリンの融合蛋白質を用いた場合(IgGの測定可能な最低濃度は20 ng/ml;Bi
ochem. Biophys. Res. Commun. (1990) 171: 169-174)、およびZZドメインとオベリン
との融合蛋白質を用いた場合(IgGの測定可能な最低濃度は10 ng/ml;Biochem. Biop
hys. Res. Commun. (1996) 219: 475-479)に比べて、10〜20倍以上の感度でIgG
を検出できることが明らかとなった。
実施例8 ZZ−AQ融合蛋白質を用いた競合法によるビオチンの定量法
ビオチン化BSA(シグマ社製)を50mM 炭酸緩衝液(pH9.6)にて希釈し、5μ
g/mlに調製した。得られた5μg/mlのビオチン化BSA溶液を、96マイクロウェ
ルプレート(Nunc製、#437796)に100μl/ウェル分注し、4℃にて一晩
静置して、プレートをビオチン化BSAでコートした。静置後、前記プレートからビオチン
化BSA溶液を除去した。次に、前記プレートにTBSを340μl/ウェル分注し、プレ
ートを洗浄した後、前記プレートからTBSを除去した。前記洗浄操作を更に2回繰り返
した。洗浄後、前記プレートに、1%BSAを含有するTBSを300μl/ウェル分注
し、37℃で1時間静置した。前記プレートから1%BSA含有TBSを除去した後、T
BST−Eを 340μl/ウェル分注してプレートを洗浄した後、TBST−Eを除去
した。前記洗浄操作を更に2回繰り返した。洗浄後、0.1%BSA、2mM EDTAを
含有したTBSにて、8ng/mlから1000ng/mlに希釈調製したビオチン溶液
50μl、または、10ng/mlから10000ng/mlに希釈調製したビオシチン
(ビオチンのアナログの一種)溶液50μlと抗ビオチンモノクローナル抗体溶液(シグ
マ社製、12000倍希釈溶液を使用)50μlを順次添加し、25℃で2時間静置した
。静置後、反応液を除去し、TBST−Eを 340μl/ウェル分注してプレートを洗
浄した後、TBST−Eを除去した。前記洗浄操作を更に2回繰り返した。次に、前記プ
レートにZZ−AQ融合蛋白質(250ng/ml)100μlを加え、25℃で1時間
静置した。静置後、反応液を除去し、TBST−Eを 340μl/ウェル分注してプレ
ートを洗浄した後、TBST−Eを除去した。前記洗浄操作を更に2回繰り返してプレー
トを洗浄した。洗浄したプレートに、50mM CaCl2を含有する50mM Tris
−HCl(pH7.6)を100μl/ウェル注入して、発光プレートリーダーCent
ro LB960にて発光強度を5秒間測定した。発光強度は、最大発光強度値(Ima
x)で評価した。その結果を図7に示した。この結果は、ZZ−AQ融合タンパク質によ
って、ビオチンまたはビオシチンに結合している抗ビオチンモノクローナル抗体が定量的
に検出されたことを示している。すなわち、遊離ビオチン(または遊離ビオシチン)と固
定化したビオチンとの間の、抗ビオチンモノクローナル抗体への結合の競合反応を利用す
ることにより、遊離ビオチンまたは遊離ビオシチンの定量が可能であることが明らかとな
った。
本発明の融合蛋白質は、発光基質であるセレンテラジンと接触させることによって、容
易に本発明の融合蛋白質とセレンテラジンのペルオキシドを含有するホロ蛋白質を形成す
ることができる。本発明のホロ蛋白質は、セレンテラジンと酸素の存在下において、本発
明の融合蛋白質と、セレンテラジンのペルオキシドとが複合体を形成した状態で存在する
。前記複合体にカルシウムイオンが結合すると、瞬間的な発光を示す。したがって、本発
明の融合蛋白質、本発明のホロ蛋白質などは、カルシウムイオンの検出または測定に好適
に利用することができる。
また、本発明の融合蛋白質は、IgGとの高い結合能力を有している。そして、上述の
ように、本発明の融合蛋白質と発光基質であるセレンテラジンのペルオキシドとからなる
ホロ蛋白質は、カルシウムイオンによって発光させることができる。したがって、本発明
の融合蛋白質、本発明のホロ蛋白質などは、IgGの検出に好適に利用することができる
図1は、本発明で用いられるZZ−アポイクオリン発現ベクターpCold-ZZ-AQを示す概略図である。 図2は、ZZ−アポイクオリンの精製過程におけるSDS−PAGE分析の結果を示す図である。SDS−PAGE分析は、12%分離ゲル、94℃、3各レーンの試料は次の通りである。レーン1:蛋白質分子量マーカー(テフコ社):β−ガラクトシダーゼ(116,000)、ホスホリパーゼB(97,400)、ウシ血清アルブミン(69,000)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(55,000)、乳酸デヒドロゲナーゼ(36,500)、炭酸脱水素酵素(29,000)、トリプシンインヒビター(20,100)、レーン2:組換えZZ−アポAQを発現させた大腸菌の形質転換株の超音波破砕物を12,000gで遠心して得られた上清(蛋白質5.4μg)、レーン3:Q−セファロースカラムからの溶出画分(蛋白質16μg)、レーン4:ニッケルキレートカラムからの溶出画分(蛋白質4.8μg)、レーン5:IgGセファロースカラムからの溶出画分(蛋白質1.3μg)。 図3は、ZZ−イクオリン融合蛋白質およびイクオリンの、カルシウム添加による発光のパターンを示す図である。 ZZ−イクオリン融合蛋白質の、蛋白質量と最大発光強度との相関関係を示す図である。 ZZ−イクオリン融合蛋白質およびプロテインA−イクオリン融合蛋白質を用いたヒトIgGの検出法における、蛋白質量と最大発光強度との相関関係を示す図である。ZZAQはZZ−イクオリン融合蛋白質を示す。pAAQはプロテインA−イクオリン融合蛋白質を示す。 ZZ−イクオリン融合蛋白質を使用したIgG検出法における、IgGの検出試験の結果を示す図である。 ZZ−イクオリン融合蛋白質を用いた、競合法によるビオチンまたはビオシチンの定量試験の結果を示す図である。
[配列番号:1]ZZドメインのアミノ酸配列を示す。
[配列番号:2]配列番号:1で表されるアミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列を
示す。
[配列番号:3]アポイクオリンのアミノ酸配列を示す。
[配列番号:4]配列番号:3で表されるアミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列を
示す。
[配列番号:5]実施例1で作製した発現ベクターpCold−ZZ−AQに挿入された
、ZZ−アポイクオリン融合蛋白質をコードするDNAにコードされている、ZZ−アポ
イクオリン融合蛋白質のアミノ酸配列を示す。
[配列番号:6]実施例1で作製した発現ベクターpCold−ZZ−AQに挿入された
、ZZ−アポイクオリン融合蛋白質をコードするDNAの塩基配列を示す。
[配列番号:7]実施例1で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
[配列番号:8]実施例1で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
[配列番号:9]実施例1で用いられたプライマーの塩基配列を示す。
[配列番号:10]実施例1で用いられたプライマーの塩基配列を示す。

Claims (14)

  1. (1)配列番号:1のアミノ酸配列からなる第1の領域と、
    (2)以下の()〜()からなる群から選択される第2の領域:
    )配列番号:3のアミノ酸配列からなる領域、
    )配列番号:3のアミノ酸配列において1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する領域、および
    )配列番号:3のアミノ酸配列に対して95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する領域;と、
    を含有する融合蛋白質。
  2. 2の領域が、以下の()〜()からなる群:
    )配列番号:3のアミノ酸配列からなる領域、
    )配列番号:3のアミノ酸配列において1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する領域、および
    )配列番号:3のアミノ酸配列に対して98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する領域;
    から選択される、請求項1記載の融合蛋白質。
  3. (1)配列番号:1で表される第1のアミノ酸配列からなる領域と、
    (2)配列番号:3で表される第2のアミノ酸配列からなる領域
    とを含有する融合蛋白質。
  4. さらに、翻訳促進のためのアミノ酸配列および/または精製のためのアミノ酸配列を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の融合蛋白質。
  5. 配列番号:5のアミノ酸配列からなる融合蛋白質。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の融合蛋白質と、セレンテラジンのペルオキシドまたはセレンテラジン誘導体のペルオキシドとからなるホロ蛋白質。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の融合蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  8. 配列番号:6の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  9. 請求項7または8に記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
  10. 請求項9記載の組換えベクターが導入された形質転換体。
  11. 請求項10記載の形質転換体を培養し、請求項1〜5のいずれかに記載の融合蛋白質を生成させる工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の融合蛋白質の製造方法。
  12. 請求項1〜5のいずれかに記載の融合蛋白質または請求項6に記載のホロ蛋白質を含むイムノアッセイ用キット。
  13. 請求項1〜5のいずれかに記載の融合蛋白質または請求項6に記載のホロ蛋白質を使用してカルシウムイオンを検出または定量する方法。
  14. 請求項1〜5のいずれかに記載の融合蛋白質または請求項6に記載のホロ蛋白質を用いたイムノアッセイ法。
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