以下、一実施形態について、図1〜図20に基づいて、説明する。
図1には、一実施形態に係る露光装置100の構成が概略的に示され、図2には、露光装置100の概略平面図が示されている。露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。後述するように、本実施形態では、投影光学系PLが設けられており、以下においては、この投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向(Z方向)、これに直交する面内でレチクルとウエハとが相対走査される方向をY軸方向(Y方向)、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向(X方向)とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
露光装置100は、図1に示されるように、ベース盤12上の+Y側端部近傍に配置された露光部200と、ベース盤12上の−Y側端部近傍に配置された計測部300と、ベース盤12上で互いに独立してXY平面内で2次元移動する2つのウエハステージWST1、WST2及び1つの計測ステージMSTと、これらの制御系等とを備えている。以下においては、説明の便宜上、露光部200、計測部300のそれぞれの場所を示す用語として、露光部、計測部と同一の符号を用いて、露光ステーション200、計測ステーション300と称するものとする。
ベース盤12は、床面上に防振機構(図示省略)によってほぼ水平に(XY平面に平行に)支持されている。ベース盤12は、平板状の外形を有する部材から成る。なお、図1において、露光ステーション200にウエハステージWST1が位置するとともに、計測ステーション300にウエハステージWST2が位置しており、ウエハステージWST1、WST2(より詳細には後述するウエハテーブル)上にウエハWがそれぞれ保持されている。また、露光ステーション200内、あるいはその近傍に計測ステージMSTが位置している。計測ステージMSTは、ウエハステージWST1、WST2をそれぞれ用いるウエハWの露光動作中、投影光学系PLの下方で移動されるウエハステージWST1、WST2と接触しないように投影光学系PLの下方から離れた所定位置(退避位置又は待機位置)に位置付けられる。また、ウエハWの露光動作の終了に先立ち、計測ステージMSTは投影光学系PLの下方で移動されるウエハステージWST1、WST2の一方に対して接近するように相対移動されるとともに、遅くとも露光動作の終了時点で、一方のウエハステージと計測ステージMSTとは互いに近接(又は接触)して位置付けられる。さらに、互いに近接した一方のウエハステージと計測ステージMSTとは投影光学系PLに対して移動され、一方のウエハステージの代わりに計測ステージMSTが投影光学系PLと対向して配置される。なお、一方のウエハステージと計測ステージMSTとを近接して位置付けるための相対移動はその少なくとも一部がウエハWの露光動作後に行われても良い。
露光部200は、照明系10、レチクルステージRST、投影ユニットPU及び局所液浸装置8等を備えている。
照明系10は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、光源と、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、及びレチクルブラインド等(いずれも不図示)を有する照明光学系と、を含む。照明系10は、レチクルブラインド(マスキングシステムとも呼ばれる)で設定(制限)されたレチクルR上のスリット状の照明領域IARを、照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとして、一例として、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。
レチクルステージRST上には、そのパターン面(図1における下面)に回路パターンなどが形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系11(図1では不図示、図6参照)によって、XY平面内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(図1における紙面内左右方向であるY軸方向)に所定の走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)13によって、レチクルステージRSTに固定された移動鏡15(実際には、Y軸方向に直交する反射面を有するY移動鏡(あるいは、レトロリフレクタ)とX軸方向に直交する反射面を有するX移動鏡とが設けられている)を介して、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計13の計測値は、主制御装置20(図1では不図示、図6参照)に送られる。なお、レチクル干渉計13の代わりに、例えば米国特許第7,839,485号などに開示されるエンコーダシステムを用いて、レチクルステージRSTの位置情報を計測しても良い。この場合、格子が形成される格子部材(スケール板、又はグリッド板)とエンコーダヘッドとの一方をレチクルステージRSTの下面側に設け、他方をレチクルステージRSTの下方に配置しても良いし、あるいは格子部とエンコーダヘッドとの一方をレチクルステージRSTの上面側に設け、他方をレチクルステージRSTの上方に配置しても良い。また、レチクルステージRSTは、後述のウエハステージWSTと同様に粗微動構造としても良い。
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、不図示の支持部材によって水平に支持されたメインフレーム(メトロロジーフレーム)BDによってその外周部に設けられたフランジ部FLGを介して支持されている。メインフレームBDは、照明光学系の少なくとも一部やレチクルステージRSTが搭載される、露光装置100の本体フレームの一部を構成し、本実施形態では、それぞれ防振機構を介して設置面(例えば、床面など)に配置される複数(例えば3つ又は4つ)の支持部材(不図示)によって支持される。なお、設置面には後述のベース盤12なども配置される。また、防振機構は各支持部材とメインフレームBDとの間に配置しても良い。さらに、例えば国際公開第2006/038952号に開示されているように、投影ユニットPUの上方に配置される本体フレームの一部に対して投影ユニットPUを吊り下げ支持しても良い。
投影ユニットPUは、鏡筒40と、鏡筒40内に保持された投影光学系PLと、を含む。投影光学系PLとしては、例えば、Z軸と平行な光軸AXに沿って配列される複数の光学素子(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられている。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで、所定の投影倍率(例えば1/4倍、1/5倍又は1/8倍など)を有する。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルR上の照明領域IARが照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PL(投影ユニットPU)を介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、投影光学系PLの第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域IARに共役な領域(以下、露光領域とも呼ぶ)IAに形成される。そして、レチクルステージRSTとウエハステージWST1又はWST2(より正しくは、ウエハWを保持する後述する微動ステージWFS)との同期駆動によって、照明領域IAR(照明光IL)に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域IA(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動させることで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルRのパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系10、及び投影光学系PLによってウエハW上にレチクルRのパターンが生成され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。
局所液浸装置8は、露光装置100が、液浸方式の露光を行うことに対応して設けられている。局所液浸装置8は、液体供給装置5、液体回収装置6(いずれも図1では不図示、図6参照)、及びノズルユニット32等を含む。ノズルユニット32は、図1に示されるように、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子、ここではレンズ(「先端レンズ」又は「最終レンズ」ともいう)191を保持する鏡筒40の下端部周囲を取り囲むように不図示の支持部材を介して、投影ユニットPU等を支持するメインフレームBDに吊り下げ支持されている。ノズルユニット32は、液体Lqの供給口及び回収口と、ウエハWが対向して配置され、かつ回収口が設けられる下面と、液体供給管31A及び液体回収管31B(いずれも図1では不図示、図2参照)とそれぞれ接続される供給流路及び回収流路とを備えている。液体供給管31Aには、その一端が液体供給装置5(図1では不図示、図6参照)に接続された不図示の供給管の他端が接続されており、液体回収管31Bには、その一端が液体回収装置6(図1では不図示、図6参照)に接続された不図示の回収管の他端が接続されている。また、ノズルユニット32はその内部に供給流路と回収流路とを有し、液体供給管31Aと液体回収管31Bとはそれぞれ供給流路と回収流路とを介して供給口と回収口に接続される。さらに、ノズルユニット32はその下面に、投影光学系PLから射出される照明光ILが通る開口部を有し、回収口はその開口部の周囲に配置される。本実施形態では、先端レンズを取り囲む、ノズルユニット32の内側面に供給口が設けられるが、ノズルユニット32の下面側で開口部に対して回収口よりも内側に、その供給口とは別の供給口を設けても良い。
本実施形態では、主制御装置20が液体供給装置5(図6参照)を制御して、液体供給管31A及びノズルユニット32を介して先端レンズ191とウエハWとの間に液体を供給するとともに、液体回収装置6(図6参照)を制御して、ノズルユニット32及び液体回収管31Bを介して先端レンズ191とウエハWとの間から液体を回収する。このとき、主制御装置20は、供給される液体の量と回収される液体の量とが常に等しくなるように、液体供給装置5と液体回収装置6を制御する。従って、先端レンズ191とウエハWとの間には、一定量の液体Lq(図1参照)が常に入れ替わって保持される。局所液浸装置8は、ノズルユニット32を介して供給する液体Lqによって投影光学系PLの下に液浸領域を形成するとともに、ノズルユニット32を介して液浸領域から液体を回収して、ウエハWの一部のみに液体Lqを保持する、すなわち投影光学系PLと対向して配置されるウエハステージWST1又はWST2(微動ステージWFS)の上面、ひいてはウエハWの表面よりも小さい局所領域内に液体Lqを閉じ込めて液浸領域を形成することが可能である。このため、ノズルユニット32は液浸部材、液浸空間形成部材、liquid confinement member、あるいはliquid containment memberなどとも呼ぶことができる。本実施形態では、上記の液体として、ArFエキシマレーザ光(波長193nmの光)が透過する純水を用いるものとする。なお、ArFエキシマレーザ光に対する純水の屈折率nは、ほぼ1.44であり、純水の中では、照明光ILの波長は、193nm×1/n=約134nmに短波長化される。
本実施形態では、ノズルユニット32をメインフレームBDに吊り下げ支持するものとしたが、メインフレームBDと異なるフレーム部材、例えばメインフレームBDとは別に前述の設置面に配置されるフレーム部材にノズルユニット32を設けても良い。これにより、ノズルユニット32から投影光学系PLに伝達する振動を抑制又は防止できる。また、ノズルユニット32の下面側で液体Lq(液浸領域の界面)と接する、ノズルユニット32の一部を可動とし、ウエハステージWST1又はWST2の移動時に、ウエハステージWST1又はWST2とノズルユニット32との相対速度が小さくなるようにノズルユニット32の一部を移動しても良い。これにより、特にウエハWの露光動作中、液浸領域から液体Lqの一部が分離して、ウエハステージWST1又はWST2の上面あるいはウエハWの表面に液体が残留するのを抑制又は防止できる。この場合、ウエハステージWST1又はWST2の移動中、常にノズルユニット32の一部を移動しても良いが、露光動作の一部、例えばウエハステージWST1又はWST2のステッピング動作のみでノズルユニット32の一部を移動することとしても良い。また、ノズルユニット32の一部は、例えば回収口と、下面の少なくとも一部とを有する可動ユニット、あるいはノズルユニット32に対して相対移動可能で、液体と接する下面を有するプレートなどで良い。
この他、露光部200は、メインフレームBDから支持部材72Aを介してほぼ片持ち状態で支持された(一端部近傍が支持された)計測アーム71Aを有する第1バックサイドエンコーダシステム70Aと、後述する第1トップサイドエンコーダシステム80A(図1では不図示、図6等参照)とを含む第1微動ステージ位置計測系110Aと、を備えている。ただし、第1微動ステージ位置計測系110Aについては、説明の便宜上、後述する微動ステージについての説明の後に、説明する。
計測部300は、メインフレームBDに設けられたアライメント検出系ALGと、メインフレームBDに設けられた焦点位置検出系(以下、AF系と略述する)(90a,90b)(図1では不図示、図6等参照)と、メインフレームBDから支持部材72Bを介して片持ち状態で支持された(一端部近傍が支持された)計測アーム71Bを有する第2バックサイドエンコーダシステム70Bと後述する第2トップサイドエンコーダシステム80B(図1では不図示、図6等参照)とを含む第2微動ステージ位置計測系110Bと、を備えている。なお、第2微動ステージ位置計測系110Bについては、説明の便宜上、後述する微動ステージについての説明の後に、説明する。また、アライメント検出系ALGはマーク検出系あるいはアライメント装置などとも呼ぶ。
アライメント検出系ALGは、図2及び図5等に示されるように、投影ユニットPUの中心(投影光学系PLの光軸AX、本実施形態では前述の露光領域IAの中心とも一致)を通りかつY軸と平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LV上で、光軸AXから−Y側に所定距離隔てた位置に、検出中心が位置する状態で配置されている。アライメント検出系ALGとして、例えば、ウエハ上のレジストを感光させないブロードバンドな検出光束を対象マークに照射し、その対象マークからの反射光により受光面に結像された対象マークの像と不図示の指標(アライメント検出系ALG内に設けられた指標板上の指標パターン)の像とを撮像素子(CCD等)を用いて撮像し、それらの撮像信号を出力する画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。アライメント検出系ALGからの撮像信号は、主制御装置20に供給されるようになっている(図6参照)。なお、例えば米国特許出願公開第2009/0233234号明細書に開示されるように、X方向に関して異なる位置に検出領域が設定される複数のマーク検出系を、アライメント検出系ALGとして用いても良い。また、アライメント検出系ALGは撮像方式に限られるものでなく、例えばコヒーレントな計測光をアライメントマーク(回折格子)に照射し、当該マークから発生する回折光を検出する方式などでも良い。
AF系としては、図2及び図5に示されるように、送光系90a及び受光系90bから成る斜入射方式の焦点位置検出系が用いられている。AF系(90a、90b)と同様の焦点位置検出系(焦点位置検出機構)の構成は、例えば米国特許第4,558,949号明細書中の第3実施形態中に開示されている。このAF系(90a、90b)は、被検面の光軸AX方向の位置(すなわち、最良結像面からのデフォーカス量)を求めるようになっている。本実施形態では、一例として、送光系90aと受光系90bとは、アライメント検出系ALGの検出中心を通るX軸に平行な直線(基準軸)LA上に、基準軸LVに関して対称に配置されている。送光系90aと受光系90bとのX軸方向の間隔は、ウエハWの直径より小さな間隔で設定されている。
AF系(90a,90b)からの検出ビームの照射点、すなわちAF系(90a,90b)の検出点は、アライメント検出系ALGからの検出光束の照射点、すなわちアライメント検出系ALGの検出中心に一致している。このため、本実施形態では、AF系(90a,90b)とアライメント検出系ALGとでその検出動作を並行して行うことが可能となっている。なお、AF系(90a,90b)に代えて、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示されている多点焦点位置検出系を用いても良い。多点焦点位置検出系を用いる場合、その複数の検出点が、例えば、被検面上でショット領域のX軸方向のサイズと同じ範囲内で所定間隔で配置される。本実施形態では、この複数の検出点のうち、X軸方向に関して中心に配置される検出点は、アライメント検出系ALGの検出中心と実質的に同一位置に配置される。
ウエハステージWST1及びWST2のそれぞれは、図1及び図3(B)等からわかるように、粗動ステージWCSと、アクチュエータ(例えば、ボイスコイルモータとEIコアの少なくとも一方を含む)を介して粗動ステージWCSに非接触状態で支持され、粗動ステージWCSに対して相対移動可能な微動ステージWFSとを有している。ここで、ウエハステージWST1及びWST2(粗動ステージWCS)は、後述の平面モータを含む粗動ステージ駆動系51A、51B(図6参照)により、X軸及びY軸方向に所定ストロークで駆動されるとともにθz方向に微小駆動される。また、ウエハステージWST1及びWST2がそれぞれ備える微動ステージWFSは、前述のアクチュエータを含む微動ステージ駆動系52A、52B(図6参照)によって、それぞれ粗動ステージWCSに対して6自由度方向(X軸、Y軸、Z軸、θx、θy及びθzの各方向)に駆動される。なお、後述の平面モータによって粗動ステージWCSを6自由度方向に駆動しても良い。
露光ステーション200にあるウエハステージWST1又はWST2が備える粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFSの6自由度方向の位置情報は第1微動ステージ位置計測系110A(図1、図6参照)によって計測される。
また、計測ステーション300にあるウエハステージWST2又はWST1が備える粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFSの6自由度方向の位置情報は第2微動ステージ位置計測系110B(図1、図6参照)によって計測される。
さらに、露光ステーション200と計測ステーション300との間、すなわち第1微動ステージ位置計測系110Aの計測範囲と第2微動ステージ位置計測系110Bの計測範囲との間におけるウエハステージWST1又はWST2の位置情報は、後述する計測系80D(図6参照)によって計測される。
また、計測ステージMSTのXY平面内の位置情報は、後述する計測テーブル位置計測系16(図6参照)によって計測される。
第1微動ステージ位置計測系110A、第2微動ステージ位置計測系110B、計測系80Dの計測値(位置情報)は、それぞれウエハステージWST1、WST2の位置制御のために主制御装置20に供給される(図6参照)。特に、第1微動ステージ位置計測系110A及び第2微動ステージ位置計測系110Bの計測値は、ウエハステージWST1、WST2の微動ステージWFSの位置制御に用いられる。また、計測テーブル位置計測系16の計測値は、計測テーブルMTBの位置制御のために主制御装置20に供給される(図6参照)。
ここで、ステージ系の構成等について詳述する。まず、ウエハステージWST1、WST2について説明する。ウエハステージWST1、WST2は、図1及び図2からわかるように、左右対称であるが同様に構成されているので、ここでは、ウエハステージWST1を代表的に取り上げて説明する。
ウエハステージWST1が備える粗動ステージWCSは、図3(B)に示されるように、粗動スライダ部91と、一対の側壁部92a,92bと、一対の固定子部93a、93bと、を備えている。粗動スライダ部91は、平面視で(+Z方向から見て)X軸方向の長さがY軸方向の長さより幾分長い長方形板状の部材から成る。一対の側壁部92a,92bのそれぞれは、Y軸方向を長手方向とする長方形板状の部材から成り、粗動スライダ部91の長手方向の一端部と他端部の上面にYZ平面に平行な状態でそれぞれ固定されている。一対の固定子部93a、93bは、側壁部92a,92bそれぞれの上面のY軸方向の中央部に内側に向けて固定されている。粗動ステージWCSは、全体として、上面のX軸方向中央部及びY軸方向の両側面が開口した高さの低い直方体形状を有している。すなわち、粗動ステージWCSには、その内部にY軸方向に貫通した空間部が形成されている。この空間部内に後述する露光時、アライメント時などに計測アーム71A、71Bが挿入される。なお、側壁部92a,92bは、固定子部93a、93bとY軸方向の長さをほぼ同じにしても良い。すなわち、側壁部92a,92bは、粗動スライダ部91の長手方向の一端部と他端部の上面のY軸方向の中央部のみに設けても良い。また、粗動ステージWCSは、微動ステージWFSを支持して可動であれば良く、ウエハステージWST1の本体部、あるいは可動体や移動体などと呼ぶことができる。
ベース盤12の内部には、図1に示されるように、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数のコイル17を含むコイルユニットが収容されている。なお、ベース盤12は、その表面がXY平面とほぼ平行となるように、投影光学系PLの下方に配置される。
コイルユニットに対応して、粗動ステージWCSの底面、すなわち粗動スライダ部91の底面には、図3(B)に示されるように、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数の永久磁石18から成る磁石ユニットが設けられている。磁石ユニットは、ベース盤12のコイルユニットと共に、例えば米国特許第5,196,745号明細書などに開示される電磁力(ローレンツ力)駆動方式の平面モータから成る粗動ステージ駆動系51A(図6参照)を構成している。コイルユニットを構成する各コイル17に供給される電流の大きさ及び方向は、主制御装置20によって制御される。
粗動スライダ部91の底面には、上記磁石ユニットの周囲に複数のエアベアリング94が固定されている。粗動ステージWCSは、複数のエアベアリング94によって、ベース盤12の上方に所定の隙間(クリアランス、ギャップ)、例えば数μm程度の隙間を介して浮上支持され、粗動ステージ駆動系51Aによって、X軸方向、Y軸方向及びθz方向に駆動される。
なお、粗動ステージ駆動系51Aとしては、電磁力(ローレンツ力)駆動方式の平面モータに限らず、例えば可変磁気抵抗駆動方式の平面モータを用いることもできる。この他、粗動ステージ駆動系51Aを、磁気浮上型の平面モータによって構成し、該平面モータによって粗動ステージWCSを6自由度方向に駆動できるようにしても良い。この場合、粗動スライダ部91の底面にエアベアリングを設けなくても良くなる。
一対の固定子部93a、93bそれぞれは、外形が板状の部材から成り、その内部に微動ステージWFSを駆動するための複数のコイルから成るコイルユニットCUa、CUbが収容されている。コイルユニットCUa、CUbを構成する各コイルに供給される電流の大きさ及び方向は、主制御装置20によって制御される。
微動ステージWFSは、図3(B)に示されるように、本体部81と、本体部81の長手方向の一端部と他端部にそれぞれ固定された一対の可動子部82a、82bと、本体部81の上面に一体的に固定された平面視矩形の板状部材から成るウエハテーブルWTBと、を備えている。
本体部81は、平面視でX軸方向を長手方向とする八角形板状の部材から成る。本体部81の下面には、所定厚さの所定形状、例えば平面視が矩形又は本体部81より一回り大きい八角形状の板状部材から成るスケール板83が、水平(ウエハW表面と平行)に配置されて固定されている。スケール板83の下面の少なくともウエハWよりも一回り大きい領域には、2次元グレーティング(以下、単にグレーティングと呼ぶ)RGが設けられている。グレーティングRGは、X軸方向を周期方向とする反射型回折格子(X回折格子)と、Y軸方向を周期方向とする反射型回折格子(Y回折格子)と、を含む。X回折格子及びY回折格子の格子線のピッチは、例えば1μmと設定されている。
本体部81とスケール板83とは、例えば熱膨張率が同じ又は同程度の素材で形成されることが望ましく、その素材は低熱膨張率であることが望ましい。また、グレーティングRGの表面は、保護部材、例えば光が透過可能な透明な素材で、低熱膨張率なカバーガラスによって覆われて、保護されていても良い。なお、グレーティングRGは異なる2方向に関して周期的に配列されていれば、その構成などは任意で良いし、周期方向もX、Y方向と一致していなくても良い、例えば周期方向がX、Y方向に対して45度回転しても良い。
本実施形態では、微動ステージWFSが本体部81とウエハテーブルWTBとを有するものとしたが、例えば、本体部81を設けずに、前述のアクチュエータによってウエハテーブルWTBを駆動しても良い。また、微動ステージWFSは、その上面の一部にウエハWの載置領域を有していれば良く、ウエハステージWST1の保持部、あるいはテーブル、可動部などと呼ぶことができる。
一対の可動子部82a、82bは、本体部81のX軸方向の一端面と他端面とにそれぞれ固定されたYZ断面が矩形枠状の筐体を有する。以下では、便宜上、これらの筐体を可動子部82a、82bと同一の符号を用いて、筐体82a、82bと表記する。
筐体82aは、Y軸方向寸法(長さ)及びZ軸方向寸法(高さ)が、共に固定子部93aよりも幾分大きいY軸方向に細長いYZ断面が矩形の空間(開口部)を有する。筐体82aの空間内に粗動ステージWCSの固定子部93aの−X側の端部が非接触で挿入されている。筐体82aの上壁部82a1及び底壁部82a2の内部には、磁石ユニットMUa1、MUa2が、設けられている。
可動子部82bは、可動子部82aと左右対称ではあるが同様に構成されている。筐体(可動子部)82bの空間内に粗動ステージWCSの固定子部93bの+X側の端部が非接触で挿入されている。筐体82bの上壁部82b1及び底壁部82b2の内部には、磁石ユニットMUa1、MUa2と同様に構成された磁石ユニットMUb1、MUb2が、設けられている。
上述のコイルユニットCUa、CUbは、磁石ユニットMUa1、MUa2及びMUb1、MUb2にそれぞれ対応するように固定子部93a及び93bの内部にそれぞれ収容されている。
磁石ユニットMUa1、MUa2及びMUb1、MUb2、並びにコイルユニットCUa、CUbの構成は、例えば米国特許出願公開第2010/0073652号明細書及び米国特許出願公開第2010/0073653号明細書等に詳細に開示されている。
本実施形態では、前述した可動子部82aが有する一対の磁石ユニットMUa1、MUa2及び固定子部93aが有するコイルユニットCUaと、可動子部82bが有する一対の磁石ユニットMUb1、MUb2及び固定子部93bが有するコイルユニットCUbと、を含んで、上記米国特許出願公開第2010/0073652号明細書及び米国特許出願公開第2010/0073653号明細書と同様に、微動ステージWFSを粗動ステージWCSに対して非接触状態で浮上支持するとともに、非接触で6自由度方向へ駆動する微動ステージ駆動系52A(図6参照)が構成されている。
なお、粗動ステージ駆動系51A(図6参照)として、磁気浮上型の平面モータを用いる場合、該平面モータによって粗動ステージWCSと一体で微動ステージWFSを、Z軸、θx及びθyの各方向に微小駆動可能となるので、微動ステージ駆動系52Aは、X軸、Y軸及びθzの各方向、すなわちXY平面内の3自由度方向に微動ステージWFSを駆動可能な構成にしても良い。この他、例えば粗動ステージWCSの一対の側壁部92a,92bのそれぞれに、各一対の電磁石を、微動ステージWFSの八角形の斜辺部に対向して設け、各電磁石に対向して微動ステージWFSに磁性体部材を設けても良い。このようにすると、電磁石の磁力により、微動ステージWFSをXY平面内で駆動できるので、可動子部82a,82bと、固定子部93a,93bとによって一対のY軸リニアモータを構成しても良い。
ウエハテーブルWTBの上面の中央には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。ウエハホルダは、ウエハテーブルWTBと一体に形成されていても良いし、ウエハテーブルWTBに対して、例えば静電チャック機構あるいはクランプ機構等を介して、又は接着等により固定されていても良い。ここで、図示は省略されているが、本体部81には、ウエハホルダに設けられた孔を介して上下動可能な上下動ピンが設けられている。この上下動ピンは、上面がウエハホルダの上面の上方に位置する第1位置とウエハホルダの上面の下方に位置する第2位置との間で上下方向に移動可能である。
ウエハテーブルWTBの上面のウエハホルダ(ウエハの載置領域)の外側には、図3(A)に示されるように、ウエハホルダよりも一回り大きな円形の開口が中央に形成され、かつ矩形状の外形(輪郭)を有するプレート(撥液板)28が設けられている。プレート28は、低熱膨張率の材料、例えばガラス又はセラミックス(例えばショット社のゼロデュア(商品名)、Al2O3あるいはTiCなど)から成り、その表面には、液体Lqに対する撥液化処理が施されている。具体的には、例えばフッ素樹脂材料、ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂材料、アクリル系樹脂材料あるいはシリコン系樹脂材料などにより撥液膜が形成されている。なお、プレート28は、その表面の全部(あるいは一部)がウエハWの表面と実質的に同一面となるようにウエハテーブルWTBの上面に固定されている。
プレート28は、ウエハテーブルWTBのX軸方向の中央に位置し、その中央に上述の円形の開口が形成された矩形の外形(輪郭)を有する第1撥液領域28aと、該第1撥液領域28aをX軸方向に挟んでウエハテーブルWTBの+X側端部、−X側端部に位置する長方形の一対の第2撥液領域28bと、を有する。なお、本実施形態では、前述の如く液体Lqとして水を用いるので、以下では第1撥液領域28a及び第2撥液領域28bをそれぞれ第1撥水板28a及び第2撥水板28bとも呼ぶ。
第1撥水板28aの+Y側の端部近傍には、計測プレート30が設けられている。この計測プレート30には、中央に基準マークFMが設けられ、該基準マークFMを挟むように一対の空間像計測スリットパターン(スリット状の計測用パターン)SLが、設けられている。そして、各空間像計測スリットパターンSLに対応して、それらを透過する照明光ILを、ウエハステージWST外部(後述する計測ステージMSTに設けられる受光系)に導く送光系(不図示)が設けられている。また、計測プレート30の上面には、前述したAF系(90a、90b)からの検出ビームを反射する反射面が少なくとも中央部の領域(又は全域)に形成されている。計測プレート30は、例えば、ウエハホルダが配置される開口と異なる、プレート28の開口内に配置され、計測プレート30とプレート28とのギャップは、ウエハテーブルWTB内に液体が流入しないように、シール部材などによって塞がれる。また、計測プレート30はその表面がプレート28の表面と実質的に同一面となるようにウエハテーブルWTBに設けられる。なお、スリットパターンSLと異なる少なくとも1つの開口部(光透過部)を計測プレート30に形成するとともに、投影光学系PLと液体とを介して開口部を透過する照明光ILをセンサで検出し、例えば、投影光学系PLの光学特性(波面収差などを含む)及び/又は照明光ILの特性(光量、前述の露光領域IA内での照度分布などを含む)などを計測可能としても良い。
一対の第2撥水板28bには、それぞれ、第1、第2トップサイドエンコーダシステム80A、80Bのためのスケール391,392が形成されている。詳述すると、スケール391,392はそれぞれ、例えばY軸方向を周期方向とする回折格子とX軸方向を周期方向とする回折格子とが組み合わされた、反射型の二次元回折格子によって構成されている。二次元回折格子の格子線のピッチは、Y軸方向及びX軸方向のいずれの方向についても、例えば1μmと設定されている。また、一対の第2撥水板28bはそれぞれ、スケール(二次元格子)391,392を有するので、格子部材、スケール板、あるいはグリッド板などと呼ばれ、本実施形態では、例えば低熱膨張率のガラスプレート表面に二次元格子が形成され、その二次元格子を覆うように撥液膜が形成される。なお、図3(A)では、図示の便宜のため、格子のピッチは、実際のピッチよりも大きく図示されている。また、二次元格子は異なる2方向に関して周期的に配列されていれば、その構成などは任意で良いし、周期方向もX、Y方向と一致していなくても良い、例えば周期方向がX、Y方向に対して45度回転しても良い。また、スケール391、392のエッジ部の所定の位置には、不図示ではあるが、ウエハテーブルWTB1が、所定位置(後述するスクラム開始位置)に位置した時、後述する露光座標復帰用位置計測系の一対の画像センサの撮像対象であるマークがそれぞれ形成されている。
なお、一対の第2撥水板28bの回折格子等を保護するために、撥水性をそなえた低熱膨張率のガラス板でカバーすることも有効である。ここで、ガラス板としては、厚さがウエハと同程度、例えば厚さ1mmのものを用いることができ、一例としては、そのガラス板の表面がウエハ面と実質的に同じ高さ(同一面)になるよう、ウエハテーブルWTB上面に設置される。また、少なくともウエハWの露光動作中、前述の液浸領域の液体と接しない程度に一対の第2撥水板28bがウエハWから離れて配置される場合、一対の撥水板28bはその表面が撥液性でなくても良い。すなわち、一対の第2撥水板28bはそれぞれ、スケール(二次元格子)が形成される、単なる格子部材で構わない。
本実施形態では、ウエハテーブルWTBにプレート28を設けるものとしたが、プレート28は設けなくても良い。この場合、ウエハテーブルWTBの上面に、ウエハホルダが配置される凹部を設け、例えば、前述した、表面が撥液性でない一対の格子部材を、ウエハテーブルWTB上でX方向に関して凹部を挟んで配置すれば良い。前述の通り、この一対の格子部材は、液浸領域の液体と接しない程度に凹部から離して配置すると良い。また、凹部内でウエハホルダに保持されるウエハWの表面がウエハテーブルWTBの上面と実質的に同一面となるように、凹部を形成しても良い。なお、ウエハテーブルWTBの上面の全部又は一部(少なくとも凹部を囲む周囲領域を含む)を撥液性としても良い。また、スケール(二次元格子)391,392が形成される一対の格子部材を凹部に近接して配置する場合、表面が撥液性でない一対の格子部材の代わりに、前述した一対の第2撥水板28bを用いても良い。
なお、各第2撥水板28bのスケールの端付近には、後述するエンコーダヘッドとスケール間の相対位置を決めるための、不図示の位置出しパターンがそれぞれ設けられている。この位置出しパターンは例えば反射率の異なる格子線から構成され、この位置出しパターン上をエンコーダヘッドが走査すると、エンコーダの出力信号の強度が変化する。そこで、予め閾値を定めておき、出力信号の強度がその閾値を超える位置を検出する。この検出された位置を基準に、エンコーダヘッドとスケール間の相対位置を設定する。
ウエハステージWST1の粗動ステージWCSには、図2に示されるように、配管、配線が一体化されたチューブ22Aの一端が接続され、チューブ22Aの他端は、チューブキャリアTC1に接続されている。チューブキャリアTC1は、電力(電流)、冷媒、圧縮空気及び真空などの用力をチューブ22Aを介してウエハステージWST1(粗動ステージWCS)に供給するものである。また、粗動ステージWCSに供給された用力の一部(例えば真空など)は、微動ステージWFSに供給される。チューブキャリアTC1は、例えばリニアモータから成るキャリア駆動系24A(図6参照)によりY軸方向に駆動される。ここで、キャリア駆動系24Aの固定子は、ベース盤12の−X端部の一部に、図2に示されるように、一体的に設けられていても良いし、チューブキャリアTC1の駆動により発生する反力がウエハステージWST1に及ぼす影響を少なくするため、ベース盤12とは分離してベース盤12の−X側に、Y軸方向を長手方向として設置しても良い。また、チューブキャリアはベース盤12上に配置しても良く、この場合、粗動ステージWCSを駆動する後述の平面モータによってチューブキャリアを駆動可能である。なお、チューブキャリアはケーブルキャリア、あるいはフォロワーなどとも呼ぶことができる。また、ウエハステージWSTは必ずしも粗微動構造でなくても良い。
チューブキャリアTC1は、主制御装置20によって、キャリア駆動系24Aを介してウエハステージWST1に追従してY軸方向へ駆動されるが、チューブキャリアTC1のY軸方向への駆動は、ウエハステージWST1のY軸方向の駆動に厳密に追従する必要はなく、ある許容範囲内で追従していれば良い。
ウエハステージWST2は、上述したウエハステージWST1と左右対称であるが同様に構成されている。従って、ウエハステージWST2(粗動ステージWCS)は、粗動ステージ駆動系51Aと同様に構成された平面モータから成る粗動ステージ駆動系51B(図6参照)によって、X軸方向、Y軸方向及びθz方向に駆動される。また、ウエハステージWST2が備える粗動ステージWCSによって、微動ステージWFSが非接触状態で支持されるとともに、微動ステージ駆動系52Aと同様に構成された微動ステージ駆動系52B(図6参照)によって非接触で6自由度方向へ駆動される。また、ウエハステージWST2には、図2に示されるように、チューブ22Bを介してチューブキャリアTC2が接続されており、チューブキャリアTC2が、主制御装置20によって、リニアモータから成るキャリア駆動系24B(図6参照)を介して、ウエハステージWST2に追従してY軸方向へ駆動される。
また、上述の如く、本実施形態では、ウエハステージWST1、WST2をそれぞれ構成する微動ステージWFSがウエハテーブルWTBを備えているので、以下では、便宜上、ウエハステージWST1を構成するウエハテーブルWTBを含む微動ステージWFSを、ウエハテーブルWTB1とも表記し、ウエハステージWST2を構成するウエハテーブルWTBを含む微動ステージWFSを、ウエハテーブルWTB2とも表記するものとする(例えば、図1、図2等参照)。また、ウエハテーブルWTB1、WTB2を、適宜、ウエハテーブルWTBとも総称する。
次に、計測ステージMSTについて説明する。図4(A)及び図4(B)には、計測ステージMSTの正面図(−Y方向から見た図)及び平面図(+Z方向から見た図)が、それぞれ示されている。これら図4(A)及び図4(B)に示されるように、計測ステージMSTは、スライダ部60と支持部62と計測テーブルMTBとを備えている。スライダ部60は、平面視で(+Z方向から見て)X軸方向を長手方向とする長方形板状の部材からなる。支持部62は、直方体部材から成り、スライダ部60上面の−X側の端部に固定されている。計測テーブルMTBは、長方形板状の部材から成り、支持部62上に片持ち支持され、計測テーブル駆動系52C(図6参照)を介して例えば6自由度方向(又はXY平面内の3自由度方向)に微小駆動される。
スライダ部60の底面には、不図示ではあるが、ベース盤12のコイルユニット(コイル17)と共に、電磁力(ローレンツ力)駆動方式の平面モータから成る計測ステージ駆動系51C(図6参照)を構成する、複数の永久磁石から成る磁石ユニットが設けられている。スライダ部60の底面には、上記磁石ユニットの周囲に複数のエアベアリング(不図示)が固定されている。計測ステージMSTは、前述のエアベアリングによって、ベース盤12の上方に所定の隙間(ギャップ、クリアランス)、例えば数μm程度の隙間を介して浮上支持され、計測ステージ駆動系51Cによって、X軸方向及びY軸方向に駆動される。なお、計測ステージMSTはエア浮上方式としたが、例えば平面モータによる磁気浮上方式でも良い。
計測テーブルMTBには、その−Y側端部の帯状部分(以下、適宜、受け渡し部とも称する)を除く部分の+X側の半部に、各種計測用部材が設けられている。この計測用部材としては、例えば、図4(B)に示されるように、投影光学系PLの像面上で照明光ILを受光するピンホール状の受光部を有する照度むらセンサ95、投影光学系PLにより投影されるパターンの空間像(投影像)を計測する空間像計測器96、及び例えば国際公開第03/065428号などに開示されているシャック−ハルトマン(Shack-Hartman)方式の波面収差計測器97、並びに投影光学系PLの像面上で照明光ILを受光する所定面積の受光部を有する照度モニタ98などが設けられている。
照度むらセンサ95としては、例えば米国特許第4,465,368号明細書などに開示されるものと同様の構成のものを用いることができる。また、空間像計測器96としては、例えば米国特許出願公開第2002/0041377号明細書などに開示されるものと同様の構成のものを用いることができる。波面収差計測器97としては、例えば国際公開第99/60361号(対応欧州特許第1079223号明細書)に開示されるものも用いることができる。照度モニタ98としては、例えば米国特許出願公開第2002/0061469号明細書などに開示されるものと同様の構成のものを用いることができる。
また、計測テーブルMTBには、前述の一対の送光系(不図示)に対向し得る配置で、一対の受光系(不図示)が、受け渡し部に設けられている。本実施形態では、ウエハステージWST1又はWST2と計測ステージMSTとがY軸方向に関して所定距離以内に近接した状態(接触状態を含む)において、ウエハステージWST1又はWST2上の計測プレート30の各空間像計測スリットパターンSLを透過した照明光ILを各送光系(不図示)で案内し、計測ステージMST内の各受光系(不図示)の受光素子で受光する、空間像計測装置451、452(図6参照)が構成される。
なお、本実施形態では4つの計測用部材(95,96、97、98)を計測テーブルMTBに設けるものとしたが、計測用部材の種類、及び/又は数などはこれに限られない。計測用部材として、例えば投影光学系PLの透過率を計測する透過率計測器、及び/又は、前述の局所液浸装置8、例えばノズルユニット32(あるいは先端レンズ191)などを観察する計測器などを用いても良い。さらに、計測用部材と異なる部材、例えばノズルユニット32、先端レンズ191などを清掃する清掃部材などを計測ステージMSTに搭載しても良い。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと液体(水)Lqとを介して露光光(照明光)ILによりウエハWを露光する液浸露光が行われるのに対応して、照明光ILを用いる計測に使用される上記の照度むらセンサ95、空間像計測器96、波面収差計測器97、及び照度モニタ98では、投影光学系PL及び水を介して照明光ILを受光することとなる。また、各センサは、例えば光学系及び水を介して照明光ILを受光する受光面(受光部)、及び光学系などの一部だけが計測テーブルMTBに配置されていても良いし、センサ全体を計測テーブルMTBに配置されていても良い。
計測テーブルMTBの受け渡し部を除く部分の−X側の半部にX軸方向及びY軸方向を周期方向とする2次元グレーティング69が設けられている。計測テーブルMTBの上面には、2次元グレーティング69及び各種計測用部材を覆う状態で、その表面が撥液膜(撥水膜)で覆われた透明部材から成るプレート63が、固定されている。プレート63は、前述のプレート28と同様の素材によって形成されている。計測テーブルMTBの下面(−Z側の面)には、前述のグレーティングRGと同様のグレーティングRGaが設けられている。
なお、計測ステージ駆動系51Cを、磁気浮上型の平面モータで構成する場合には、例えば計測ステージを6自由度方向に可動な単体のステージにしても良い。また、計測テーブルMTBにプレート63を設けなくても良い。この場合、計測テーブルMTBの上面に、前述した複数のセンサの受光面(光透過部)がそれぞれ配置される複数の開口を形成し、例えば、開口内で受光面が計測テーブルMTBの上面と実質的に同一面となるように、受光面を含む、センサの少なくとも一部を計測テーブルMTBに設ければ良い。
計測ステージMSTは、計測アーム71Aに対して−X側から係合可能で、その係合状態では、計測テーブルMTBが計測アーム71Aの真上に位置する。このとき、計測テーブルMTBの6自由度方向の位置情報は、グレーティングRGaに計測ビームを照射する計測アーム71Aが有する後述する複数のエンコーダヘッドによって計測される。
また、計測テーブルMTBは、粗動ステージWCSに支持されている微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB1又はWTB2)に+Y側から例えば300μm程度以下の距離まで近接又は接触可能であり、その近接又は接触状態では、ウエハテーブルWTB1又はWTB2の上面とともに、見かけ上一体のフルフラットな面を形成する(例えば図10参照)。計測テーブルMTB(計測ステージMST)は、主制御装置20により、計測ステージ駆動系51Cを介して駆動され、ウエハテーブルWTB1又はWTB2との間で液浸領域(液体Lq)の受け渡しを行う。すなわち、投影光学系PLの下に形成される液浸領域を規定する境界(boundary)の一部が、ウエハテーブルWTB1又はWTB2の上面と計測テーブルMTBの上面との一方から他方に置き換えられる。なお、計測テーブルMTBとウエハテーブルWTB1又はWTB2との間の液浸領域(液体Lq)の受け渡しについてはさらに後述する。
次に、露光ステーション200にあるウエハステージWST1又はWST2が備える粗動ステージWCSに移動可能に保持される微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB1又はWTB2)の位置情報の計測に用いられる第1微動ステージ位置計測系110A(図6参照)の構成について説明する。ここでは、一例として、ウエハステージWST1が備えるウエハテーブルWTB1の位置情報を計測する場合を例として、第1微動ステージ位置計測系110Aについて説明する。
第1微動ステージ位置計測系110Aの第1バックサイドエンコーダシステム70Aは、図1に示されるように、ウエハステージWST1が投影光学系PLの下方に配置された状態で、粗動ステージWCSの内部に設けられた空間部内に挿入される計測アーム71Aを備えている。
計測アーム71Aは、図1に示されるように、メインフレームBDに支持部材72Aを介して片持ち状態で支持されたアーム部材711と、アーム部材711の内部に配置された後述するエンコーダヘッド(光学系の少なくとも一部)とを備えている。すなわち、第1バックサイドエンコーダシステム70Aのヘッド部(光学系の少なくとも一部を含む)がウエハテーブルWTB1のグレーティングRGよりも低く配置されるように、計測アーム71Aのアーム部材711と支持部材72Aとを含む計測部材(支持部材、又はメトロロジーアームとも呼ぶ)によってそのヘッド部を支持する。これにより、グレーティングRGに対して下方から、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの計測ビームが照射される。アーム部材711は、Y軸方向を長手方向とする長方形断面を有する中空の柱状の部材から成る。アーム部材711は、例えば図2に示されるように、幅方向(X軸方向)の寸法が基端部近傍が最も広く、基端部から長手方向の中央より幾分基端部寄りの位置にかけて先端側に行くにつれて徐々に細くなり、長手方向の中央より幾分基端部寄りの位置から先端まではほぼ一定になっている。本実施形態では、第1バックサイドエンコーダシステム70Aのヘッド部を、ウエハテーブルWTB1のグレーティングRGとベース盤12の表面との間に配置するものとしたが、例えばベース盤12の下方にヘッド部を配置しても良い。
アーム部材711は、低熱膨張率の素材、望ましくは0膨張の素材(例えばショット社のゼロデュア(商品名)など)から成る。アーム部材711は、中空でかつ基端部が幅広になっているので、剛性が高くなっており、その平面視における形状が上述のように設定されているので、ウエハステージWST1が投影光学系PLの下方に配置された状態では、アーム部材711の先端部が粗動ステージWCSの空間部内に挿入された状態で、ウエハステージWST1が移動するが、その際にウエハステージWST1の移動の妨げとなることを防止できる。また、アーム部材711の中空部内に後述するエンコーダヘッドとの間で光(計測ビーム)を伝送する送光側(光源側)及び受光側(ディテクタ側)の光ファイバなどが通されている。なお、アーム部材711は、例えば、光ファイバなどが通される部分のみが、中空であり、他の部分は中実な部材によって形成されていても良い。なお、アーム部材711の特定の周波数の振動を小さく抑えるため、その先端部に、その特定の周波数を固有の共振周波数として有するマスダンパー(ダイナミックダンパとも呼ばれる)を設けても良い。なお、マスダンパー以外の振動抑制部材によってアーム部材711の振動を抑制又は防止しても良い。また、この振動抑制部材は、アーム部材711の振動に起因して生じる第1バックサイドエンコーダシステム70Aの計測誤差を補償する補償装置の1つであり、後述の第1トップサイドエンコーダシステム80Aも補償装置の1つである。
ウエハステージWST1が投影光学系PLの下方に配置された状態では、計測アーム71Aのアーム部材711は、先端部が粗動ステージWCSの空間部内に挿入され、図1に示されるように、その上面が微動ステージWFSの下面(より正確には、本体部81の下面)に設けられたグレーティングRG(図1不図示、図3(B)等参照)に対向している。アーム部材711の上面は、微動ステージWFSの下面との間に所定の隙間(ギャップ、クリアランス)、例えば数mm程度の隙間が形成された状態で、微動ステージWFS下面とほぼ平行に配置される。なお、アーム部材711の上面と微動ステージWFSの下面との間の隙間は、数mm以上でも以下でも良い。
第1バックサイドエンコーダシステム70Aは、図7に示されるように、露光ステーション200にある微動ステージWFSのX軸、Y軸及びZ軸方向の位置を計測する3次元エンコーダ73aと、微動ステージWFSのX軸及びZ軸方向の位置を計測するXZエンコーダ73bと、微動ステージWFSのY軸及びZ軸方向の位置を計測するYZエンコーダ73cとを含む。
XZエンコーダ73b及びYZエンコーダ73cのそれぞれは、計測アーム71Aのアーム部材711の内部にそれぞれ収納された、X軸及びZ軸方向を計測方向とする2次元ヘッド、及びY軸及びZ軸方向を計測方向とする2次元ヘッドを備えている。以下では、便宜上、XZエンコーダ73b及びYZエンコーダ73cのそれぞれが備える2次元ヘッドを、それぞれのエンコーダと同一の符号を用いてXZヘッド73b、YZヘッド73cと表記する。これらXZヘッド73b及びYZヘッド73cのそれぞれとしては、例えば米国特許第7,561,280号明細書に開示される変位計測センサヘッドと同様の構成のエンコーダヘッド(以下、適宜、ヘッドと略記する)を用いることができる。また、3次元エンコーダ73aは、計測アーム71Aのアーム部材711の内部に収納されたX軸、Y軸及びZ軸方向を計測方向とする3次元ヘッドを備えている。以下では、便宜上、3次元エンコーダ73aが備える3次元ヘッドを、そのエンコーダと同一の符号を用いて3次元ヘッド73aと表記する。3次元ヘッド73aとしては、例えばXZヘッド73bとYZヘッド73cとを、それぞれの計測点(検出点)が同一点となり、かつX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の計測が可能となるように組み合わせて構成した3次元ヘッドを用いることができる。
図8(A)には、アーム部材711の先端部が斜視図にて示されており、図8(B)には、アーム部材711の先端部の上面を+Z方向から見た平面図が示されている。図8(A)及び図8(B)に示されるように、3次元ヘッド73aは、X軸に平行な直線LX1上でアーム部材711のセンターラインCLから所定距離にあるY軸に平行な直線LY1から等距離(距離aとする)の位置にある2点(図8(B)の白丸参照)から、グレーティングRG上に計測ビームLBxa1、LBxa2(図8(A)参照)を照射する。また、3次元ヘッド73aは、直線LY1上で直線LX1からともに距離aの位置にある2点から、グレーティングRG上に計測ビームLBya1、LBya2を照射する。計測ビームLBxa1、LBxa2は、グレーティングRG上の同一の照射点に照射され、また、その照射点に計測ビームLBya1、LBya2も照射される。本実施形態では、計測ビームLBxa1、LBxa2及び計測ビームLBya1、LBya2の照射点、すなわち3次元ヘッド73aの検出点(図8(B)中の符号DP1参照)は、ウエハWに照射される照明光ILの照射領域(露光領域)IAの中心である露光位置の真下に位置している(図1参照)。ここで、直線LY1は、前述の基準軸LVに一致している。
XZヘッド73bは、3次元ヘッド73aの+Y側に所定距離離れた位置に配置されている。XZヘッド73bは、図8(B)に示されるように、直線LX1から所定距離+Y側に位置するX軸に平行な直線LX2上で直線LY1からともに距離aの位置にある2点(図8(B)の白丸参照)から、グレーティングRG上の共通の照射点に図8(A)においてそれぞれ破線で示される計測ビームLBxc1,LBxc2を照射する。計測ビームLBxc1,LBxc2の照射点、すなわちXZヘッド73bの検出点が、図8(B)に符号DP3で示されている。
YZヘッド73cは、3次元ヘッド73aの−X側に所定距離離れた位置に配置されている。YZヘッド73cは、センターラインCLに関して直線LY1と対称な直線LY2上で直線LX1からともに距離aの位置にある2点(図8(B)の白丸参照)から、グレーティングRG上に計測ビームLByb1、LByb2を照射する。計測ビームLByb1、LByb2は、グレーティングRG上の同一の照射点に照射される。計測ビームLByb1、LByb2の照射点、すなわちYZヘッド73cの検出点(図8(B)中の符号DP2参照)は、露光位置の直下の点から−X側に所定距離離れた点である。
第1バックサイドエンコーダシステム70Aでは、グレーティングRGのX回折格子及びY回折格子を用いて微動ステージWFSのX軸、Y軸及びZ軸方向の位置を計測する3次元ヘッド73aによって、3次元エンコーダが構成され、グレーティングRGのX回折格子を用いて微動ステージWFSのX軸及びZ軸方向の位置を計測するXZヘッド73bによって、XZエンコーダが構成され、グレーティングRGのY回折格子を用いて微動ステージWFSのY軸及びZ軸方向の位置を計測するYZヘッド73cによって、YZエンコーダが構成されている。以下、便宜上、上記の各エンコーダを、それぞれのヘッドと同一の符号を用いて、3次元エンコーダ73a(エンコーダ73a)、XZエンコーダ73b(エンコーダ73b)、YZエンコーダ73c(エンコーダ73c)と表記する。
第1バックサイドエンコーダシステム70Aのエンコーダ73a,73b,73cの出力は、主制御装置20に供給される(図7参照)。
主制御装置20は、エンコーダ73aの3軸方向(X、Y、Z)の計測値を用いて、微動ステージWFSのX軸、Y軸、Z軸方向の位置を演算し、エンコーダ73a、73cのY軸方向の計測値を用いて微動ステージWFSのθz方向の位置を演算し、エンコーダ73a、73cのZ軸方向の計測値を用いて微動ステージWFSのθy方向の位置を演算し、エンコーダ73a、73bのZ軸方向の計測値を用いて微動ステージWFSのθx方向の位置を演算する。なお、エンコーダ73a、73bのX軸方向の計測値を用いて微動ステージWFSのθz方向の位置を演算することも可能である。
ここで、本実施形態では、3次元ヘッド73aの検出点DP1が、露光位置に平面視で一致しており、その検出点DP1で微動ステージWFSのX軸、Y軸、Z軸方向の位置を計測する。
上述のヘッド73a〜73cでは、計測ビームの空気中での光路長が極短くかつほぼ等しいため、空気揺らぎの影響が殆ど無視できる。従って、第1バックサイドエンコーダシステム70Aにより、微動ステージWFSの6自由度方向の位置情報を高精度に計測できる。また、第1バックサイドエンコーダシステム70AによるX軸、Y軸及びZ軸方向の実質的なグレーティング上の検出点は、それぞれ露光領域IAの中心(露光位置)真下に位置する(平面視で露光領域IAの中心に一致する)ので、いわゆるアッベ誤差の発生が実質的に無視できる程度に抑制される。従って、主制御装置20は、第1バックサイドエンコーダシステム70Aを用いることで、アッベ誤差なく、微動ステージWFSのX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置を高精度に計測できる。なお、第1バックサイドエンコーダシステム70Aは、ウエハテーブルWTB1(又はウエハステージWST1)の6自由度方向の位置情報を計測するだけでも良いが、本実施形態のように、6自由度方向の位置情報の計測に必要な複数の計測ビームとは別に少なくとも1つの計測ビームを用いてウエハテーブルWTB1(又はウエハステージWST1)の位置情報を計測可能とすることが好ましい。かかる場合には、主制御装置20が、6自由度方向の位置情報の計測に必要な複数の計測ビームとは別に少なくとも1つの計測ビームによって第1バックサイドエンコーダシステム70Aで計測されるウエハテーブルWTB1(又はウエハステージWST1)の位置情報を用いて、グレーティングRGに起因して生じる第1バックサイドエンコーダシステム70Aの計測誤差を補償する情報を更新することなどが可能となる。
次に、第1微動ステージ位置計測系110Aの一部を構成する、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの構成等について説明する。第1トップサイドエンコーダシステム80Aは、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと並行してウエハテーブルWTB1(微動ステージWFS)の6自由度方向の位置情報を計測することが可能である。
露光装置100では、例えば図2に示されるように、投影ユニットPU(ノズルユニット32)の+X側、−X側に、一対のヘッド部62A、62Cが、それぞれ配置されている。ヘッド部62A,62Cは、後述するように、それぞれ複数のヘッドを含み、これらのヘッドが、支持部材を介して、メインフレームBD(図2では不図示、図1等参照)に吊り下げ状態で固定されている。
ヘッド部62A、62Cは、図5に示されるように、各5つの4軸ヘッド651〜655,641〜645を備えている。4軸ヘッド651〜655の筐体の内部には、X軸及びZ軸方向を計測方向とするXZヘッド65X1〜65X5と、Y軸及びZ軸方向を計測方向とするYZヘッド65Y1〜65Y5とが収容されている。同様に、4軸ヘッド641〜645の筐体の内部には、XZヘッド64X1〜64X5と、YZヘッド64Y1〜64Y5とが収容されている。XZヘッド65X1〜65X5及び64X1〜64X5、並びにYZヘッド65Y1〜65Y5及び64Y1〜64Y5のそれぞれとしては、例えば米国特許第7,561,280号明細書に開示される変位計測センサヘッドと同様の構成のエンコーダヘッドを用いることができる。
XZヘッド65X1〜65X5,64X1〜64X5(より正確には、XZヘッド65X1〜65X5,64X1〜64X5が発する計測ビームのスケール391、392上の照射点)は、投影光学系PLの光軸AX(本実施形態では前述の露光領域IAの中心とも一致)を通りかつX軸と平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LH上に、所定間隔WD(図2参照)で配置されている。また、YZヘッド65Y1〜65Y5,64Y1〜64Y5(より正確には、YZヘッド65Y1〜65Y5,64Y1〜64Y5が発する計測ビームのスケール391、392上の照射点)は、基準軸LHに平行であり且つ基準軸LHから−Y側に所定距離離間する直線LH1上に、対応するXZヘッド65X1〜65X5,64X1〜64X5と同じX位置に、配置されている。以下では、必要に応じて、XZヘッド65X1〜65X5,64X1〜64X5、及びYZヘッド65Y1〜65Y5,64Y1〜64Y5を、それぞれ、XZヘッド65X,64X、及びYZヘッド65Y,64Yとも表記する。なお、基準軸LHは、前述の直線LX1に一致している。
ヘッド部62A,62Cは、それぞれスケール391,392を用いて、ウエハテーブルWTB1のX軸方向の位置(X位置)及びZ軸方向の位置(Z位置)を計測する多眼(ここでは5眼)のXZリニアエンコーダ、及びY軸方向の位置(Y位置)及びZ位置を計測する多眼(ここでは5眼)のYZリニアエンコーダを構成する。以下では、便宜上、これらのエンコーダを、XZヘッド65X、64X、YZヘッド65Y、64Yとそれぞれ同一の符号を用いて、XZリニアエンコーダ65X、64X、及びYZリニアエンコーダ65Y、64Yと表記する(図7参照)。
本実施形態では、XZリニアエンコーダ65XとYZリニアエンコーダ65Yとによって、ウエハテーブルWTB1のX軸、Y軸、Z軸、及びθxの各方向に関する位置情報を計測する多眼(ここでは5眼)の4軸エンコーダ65が構成される(図7参照)。同様に、XZリニアエンコーダ64XとYZリニアエンコーダ64Yとによって、ウエハテーブルWTB1のX軸、Y軸、Z軸、及びθxの各方向に関する位置情報を計測する多眼(ここでは5眼)の4軸エンコーダ64が構成される(図7参照)。
ここで、ヘッド部62A,62Cがそれぞれ備える5つのXZヘッド65X,64X(より正確には、XZヘッド65X,64Xが発する計測ビームのスケール391、392上の照射点)及び5つのYZヘッド65Y,64Y(より正確には、YZヘッド65Y,64Yが発する計測ビームのスケール上の照射点)のX軸方向の間隔WDは、スケール391,392のX軸方向の幅より狭く設定されている。従って、露光の際などには、それぞれ5つのXZヘッド65X,64X,YZヘッド65Y,64Yのうち、少なくとも各1つのヘッドが、常に、対応するスケール391,392に対向する(計測ビームを照射する)。ここで、スケールの幅とは、回折格子(又はこの形成領域)の幅、より正確にはヘッドによる位置計測が可能な範囲を指す。
従って、4軸エンコーダ65と4軸エンコーダ64とによって、ウエハステージWST1が露光ステーション200にある場合、粗動ステージWCSに支持されたウエハテーブルWTB1(微動ステージWFS)の6自由度方向の位置情報を計測する第1トップサイドエンコーダシステム80Aが構成される。ここで、ウエハテーブルWTB1(微動ステージWFS)のθy方向の位置は、4軸エンコーダ65及び4軸エンコーダ64のそれぞれによって計測されるZ軸方向に関する位置の差を用いて求められ、ウエハテーブルWTB1(微動ステージWFS)のθz方向の位置は、4軸エンコーダ65及び4軸エンコーダ64のそれぞれによって計測されるY軸方向に関する位置の差を用いて求められる。
本実施形態では、さらに、ヘッド部62A、62Cそれぞれの−Y側に、4軸ヘッド651〜655および641〜645と同様に構成された一対の4軸ヘッド656、646が、基準軸LVに関して対称に配置されている。4軸ヘッド656を構成するXZヘッド65X6及びYZヘッド65Y6は、XZヘッド65X3と同じX位置に、配置されている。4軸ヘッド646を構成するXZヘッド64X6及びYZヘッド64Y6は、XZヘッド64X3と同じX位置に、配置されている。
一対の4軸ヘッド656、646は、後述する計測テーブルMTBとウエハテーブルWTB1又はWTB2との近接又は接触状態(スクラム)の開始時から第1微動ステージ位置計測系110AによるウエハテーブルWTB1又はWTB2の位置計測が開始されるまでの間、一対のスケール391、392を用いてウエハテーブルWTB1又はWTB2の6自由度方向に関する位置情報を計測する一対のエンコーダを構成し、この一対のエンコーダによって第3微動ステージ位置計測系110C(図6参照)が構成される。
第1トップサイドエンコーダシステム80A、第3微動ステージ位置計測系110Cを構成する、各エンコーダの計測値は、主制御装置20に供給される(図6、図7等参照)。
また、図示は省略されているが、主制御装置20は、ウエハステージWST1をX軸方向に駆動する際、ウエハテーブルWTB1の位置情報を計測するXZヘッド65X、64X及びYZヘッド65Y、64Yを、隣のXZヘッド65X、64X及びYZヘッド65Y、64Yに順次切り換える。すなわち、このXZヘッド及びYZヘッドの切り換え(つなぎ)を円滑に行うために、前述の如く、ヘッド部62A,62Cに含まれる隣接するXZヘッド及びYZヘッドの間隔WDが、スケール391,392のX軸方向の幅よりも狭く設定されている。
これまでの説明からわかるように、本実施形態では、ウエハステージWST1が露光ステーション200にある場合、粗動ステージWCSに支持されたウエハテーブルWTB1(微動ステージWFS)の6自由度方向の位置情報は、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと、第1トップサイドエンコーダシステム80Aとによって並行して計測が可能である。
ウエハステージWST2が、露光ステーション200にある場合、ウエハテーブルWTB2裏面のグレーティングRGにそれぞれ計測ビームを照射する3次元ヘッド73a、XZヘッド73b及びYZヘッド73cによって、ウエハテーブルWTB2の6自由度方向の位置情報を計測する第1バックサイドエンコーダシステム70Aが前述と同様に構成される、また、この場合、ウエハテーブルWTB2上面の一対のスケール391,392にそれぞれ計測ビームを照射するヘッド部62A,62Cが有する各5つの4軸ヘッドによってそれぞれ構成される5眼の4軸エンコーダ65と4軸エンコーダ64とによって、粗動ステージWCSに支持されたウエハテーブルWTB2(微動ステージWFS)の6自由度方向の位置情報を計測する第1トップサイドエンコーダシステム80Aが前述と同様に構成される。
すなわち、本実施形態では、ウエハステージWST1、WST2のいずれが露光ステーション200にあるかに拘わらず、露光ステーション200にある粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFSが備えるグレーティングRGに対向するアーム部材711に内蔵されたヘッド73a〜73cによって、微動ステージWFSの6自由度方向の位置情報を計測する第1バックサイドエンコーダシステム70Aが構成され、露光ステーション200にある粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFSが備える一対のスケール391,392にそれぞれ対向するヘッド部62A,62Cによって微動ステージWFSの6自由度方向の位置情報を計測する第1トップサイドエンコーダシステム80Aが構成される。
しかるに、第1トップサイドエンコーダシステム80Aと第1バックサイドエンコーダシステム70Aには、それぞれ次のような長所がある。
第1トップサイドエンコーダシステム80Aは、例えばθx、θy、θz方向の位置計測に用いられる複数ヘッドの検出点同士の間隔が、第1バックサイドエンコーダシステム70Aに比べて広い等の理由から、少なくともθx、θy、θz方向の位置計測に関しては、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの座標系の方が、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系より信頼できる。
一方、第1バックサイドエンコーダシステム70Aは、グレーティングRGの変形及びヘッド73a〜73cのドリフト等の長期変動が少なく、計測信号の静的な成分の信頼性が高いなどの長所を有する。
そこで、本実施形態では、主制御装置20は、後述する露光時を含み、露光ステーション200にウエハステージWST1又はWST2が位置する際、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと第1トップサイドエンコーダシステム80Aとにより並行して、微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB1又はWTB2)の位置情報の計測を行い、より信頼性の高い方の位置情報に基づいて、ウエハテーブルWTB1又はWTB2の位置制御を行う。以下では、一例として、X軸、Y軸及びZ軸方向に関しては、第1バックサイドエンコーダシステム70Aによって計測される位置情報に基づいて、θx、θy、θz方向に関しては、第1トップサイドエンコーダシステム80Aによって計測される位置情報に基づいて、ウエハテーブルWTB1又はWTB2の位置制御が行われるものとする。
次に、計測ステーション300にある粗動ステージWCSに移動可能に保持される微動ステージWFSの位置情報の計測に用いられる第2微動ステージ位置計測系110B(図6参照)の構成について説明する。ここでは、一例として、ウエハステージWST2が備えるウエハテーブルWTB2の位置情報を計測する場合を例として、第2微動ステージ位置計測系110Bについて説明する。
第2微動ステージ位置計測系110Bの第2バックサイドエンコーダシステム70Bは、ウエハステージWST2がアライメント検出系ALGの下方に配置された状態で、粗動ステージWCSの内部に設けられた空間部内に挿入される計測アーム71B(図1参照)を備えている。
計測アーム71Bは、図1に示されるように、メインフレームBDに支持部材72Bを介して片持ち状態で支持されたアーム部材712と、アーム部材712の内部に収容された後述するエンコーダヘッド(光学系)とを有する。計測アーム71Bは、アーム部材712の長さが前述したアーム部材711と比べて長いが、全体的には前述の計測アーム71Aとほぼ同様に構成されている。
前述したようにウエハステージWST2がアライメント検出系ALGの下方に配置された状態では、図1に示されるように、計測アーム71Bのアーム部材712は、先端部が粗動ステージWCSの空間部内に挿入され、その上面が微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB2)の下面(より正確には、本体部81の下面)に設けられたグレーティングRG(図1では不図示、図3(B)等参照)に対向する。アーム部材712の上面は、微動ステージWFSの下面との間に所定の隙間(ギャップ、クリアランス)、例えば数mm程度の隙間が形成された状態で、微動ステージWFS下面とほぼ平行に配置される。
第2バックサイドエンコーダシステム70Bは、図7に示されるように、前述した第1バックサイドエンコーダシステム70Aと同様、微動ステージWFSのX軸、Y軸及びZ軸方向の位置をそれぞれ計測する3次元エンコーダ75aと、微動ステージWFSのX軸及びZ軸方向の位置を計測するXZエンコーダ75bと、微動ステージWFSのY軸及びZ軸方向の位置を計測するYZエンコーダ75cとを含む。
XZエンコーダ75b及びYZエンコーダ75cのそれぞれは、アーム部材712の内部にそれぞれ収納された、X軸及びZ軸方向を計測方向とする2次元ヘッド、及びY軸及びZ軸方向を計測方向とする2次元ヘッドを備えている。以下では、便宜上、XZエンコーダ75b及びYZエンコーダ75cのそれぞれが備える2次元ヘッドを、それぞれのエンコーダと同一の符号を用いてXZヘッド75b、YZヘッド75cと表記する。3次元エンコーダ75aは、X軸、Y軸及びZ軸方向を計測方向とする3次元ヘッドを備えている。以下では、便宜上、3次元エンコーダ75aが備える3次元ヘッドを、そのエンコーダと同一の符号を用いて3次元ヘッド75aと表記する。上記の2次元ヘッド75b、75c、3次元ヘッド75aとして、前述の2次元ヘッド73b、73c、3次元ヘッド73aと同様の構成のヘッドを用いることができる。
3次元ヘッド75a、及び2次元ヘッド75b及び75cは、前述の3次元ヘッド73a及び2次元ヘッド73b及び73cと左右対称ではあるが同様の位置関係で、アーム部材712の内部に配置されている。3次元ヘッド75aの検出中心が、アライメント位置の真下に位置する、すなわちアライメント検出系ALGの検出中心と平面視で一致している。
第2バックサイドエンコーダシステム70Bのエンコーダ75a,75b,75cの出力は、主制御装置20に供給される(図6、図7等参照)。
主制御装置20では、第2バックサイドエンコーダシステム70Bのヘッド75a〜75cの計測値に基づいて、計測ステーション300にウエハステージWST2が位置しているとき、例えば後述するウエハアライメント時などに、前述と同様のウエハテーブルWTB2の6自由度方向の位置計測を行う。この場合の位置計測は、前述の露光位置を、アライメント位置に置き換えれば、前述の説明がそのまま当てはまる。
なお、本実施形態では、3次元ヘッド75aの検出点が、アライメント位置の直下にあり、その検出点で微動ステージWFSのX軸、Y軸、Z軸方向の位置を計測する。
また、第2バックサイドエンコーダシステム70BによるX軸、Y軸及びZ軸方向の実質的なグレーティングRG上の検出点は、それぞれアライメント検出系ALGの検出中心(アライメント位置)に平面視で一致するので、いわゆるアッベ誤差の発生が実質的に無視できる程度に抑制される。従って、主制御装置20は、第2バックサイドエンコーダシステム70Bを用いることで、アッベ誤差なく、微動ステージWFSのX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置を高精度に計測できる。
次に、微動ステージ位置計測系110Bの一部を構成する、第2トップサイドエンコーダシステム80Bの構成等について説明する。第2トップサイドエンコーダシステム80Bは、第2バックサイドエンコーダシステム70Bと並行してウエハテーブルWTB2(微動ステージWFS)の6自由度方向の位置情報を計測可能である。
露光装置100では、例えば図2に示されるように、ヘッド部62C、62Aそれぞれの−Y側でかつアライメント検出系ALGとほぼ同一のY位置に、ヘッド部62E、62Fが、それぞれ配置されている。ヘッド部62E,62Fは、後述するように、それぞれ複数のヘッドを含み、これらのヘッドが、支持部材を介して、メインフレームBDに吊り下げ状態で固定されている。
ヘッド部62F、62Eは、図5に示されるように、各5つの4軸ヘッド681〜685,671〜675を備えている。4軸ヘッド681〜685の筐体の内部には、前述の4軸ヘッド651〜654等と同様に、XZヘッド68X1〜68X5と、YZヘッド68Y1〜68Y5とが収容されている。同様に、4軸ヘッド671〜675の筐体の内部には、XZヘッド67X1〜67X5と、YZヘッド67Y1〜67Y5とが収容されている。XZヘッド68X1〜68X5、及び67X1〜67X5、並びにYZヘッド68Y1〜68Y5及び67Y1〜67Y5のそれぞれとしては、例えば米国特許第7,561,280号明細書に開示される変位計測センサヘッドと同様の構成のエンコーダヘッドを用いることができる。
XZヘッド67X1〜67X5,68X1〜68X5(より正確には、XZヘッド67X1〜67X5,68X1〜68X5が発する計測ビームのスケール391、392上の照射点)は、前述の基準軸LAに沿って、XZヘッド64X1〜64X5、65X1〜65X5のそれぞれとほぼ同じX位置に、配置されている。
YZヘッド67Y1〜67Y5,68Y1〜68Y5(より正確には、YZヘッド67Y1〜67Y5,68Y1〜68Y5が発する計測ビームのスケール391、392上の照射点)は、基準軸LAに平行であり且つ基準軸LAから−Y側に離間する直線LA1上に、対応するXZヘッド67X1〜67X5,68X1〜68X5と同じX位置に、配置されている。以下では、必要に応じて、XZヘッド68X1〜68X5,67X1〜67X5、及びYZヘッド68Y1〜68Y5,67Y1〜67Y5を、それぞれ、XZヘッド68X,67X、及びYZヘッド68Y,67Yとも表記する。
ヘッド部62F、62Eは、それぞれスケール391,392を用いて、ウエハテーブルWTB2のX位置及びZ位置を計測する多眼(ここでは5眼)のXZリニアエンコーダ、及びY位置及びZ位置を計測する多眼(ここでは5眼)のYZリニアエンコーダを構成する。以下では、便宜上、これらのエンコーダを、XZヘッド68X、67X、YZヘッド68Y、67Yとそれぞれ同一の符号を用いて、XZリニアエンコーダ68X、67X、及びYZリニアエンコーダ68Y、67Yと表記する(図7参照)。
本実施形態では、XZリニアエンコーダ68XとYZリニアエンコーダ68Yとによって、ウエハテーブルWTB2のX軸、Y軸、Z軸及びθxの各方向に関する位置情報を計測する多眼(ここでは5眼)の4軸エンコーダ68が構成される(図7参照)。同様に、XZリニアエンコーダ67XとYZリニアエンコーダ67Yとによって、ウエハテーブルWTB2のX軸、Y軸、Z軸及びθxの各方向に関する位置情報を計測する多眼(ここでは5眼)の4軸エンコーダ67が構成される(図7参照)。
ここで、前述と同様の理由により、アライメント計測の際などには、それぞれ5つのXZヘッド68X,67X,YZヘッド68Y,67Yのうち、少なくとも各1つのヘッドが、常に、対応するスケール391,392に対向する(計測ビームを照射する)。従って、4軸エンコーダ68と4軸エンコーダ67とによって、ウエハステージWST2が計測ステーション300にある場合、粗動ステージWCSに支持されたウエハテーブルWTB2(微動ステージWFS)の6自由度方向の位置情報を計測する第2トップサイドエンコーダシステム80Bが構成される。
第2トップサイドエンコーダシステム80Bを構成する、各エンコーダの計測値は、主制御装置20に供給される(図6、図7等参照)。
これまでの説明からわかるように、本実施形態では、ウエハステージWST2が計測ステーション300にある場合、粗動ステージWCSに支持されたウエハテーブルWTB2(微動ステージWFS)の6自由度方向の位置情報は、第2バックサイドエンコーダシステム70Bと、第2トップサイドエンコーダシステム80Bとによって並行して計測が可能である。
ウエハステージWST1が、計測ステーション300にある場合、ウエハテーブルWTB1裏面のグレーティングRGにそれぞれ計測ビームを照射する3次元ヘッド75a、XZヘッド75b及びYZヘッド75cによって、ウエハテーブルWTB1の6自由度方向の位置情報を計測する第2バックサイドエンコーダシステム70Bが前述と同様に構成される。また、この場合、ウエハテーブルWTB1上面の一対のスケール391,392にそれぞれ計測ビームを照射するヘッド部62F,62Eが有する各5つの4軸ヘッドによってそれぞれ構成される5眼の4軸エンコーダ68と4軸エンコーダ67とによって、粗動ステージWCSに支持されたウエハテーブルWTB1(微動ステージWFS)の6自由度方向の位置情報を計測する第2トップサイドエンコーダシステム80Bが前述と同様に構成される。
すなわち、本実施形態では、ウエハステージWST1、WST2のいずれが計測ステーション300にあるかに拘わらず、計測ステーション300にある粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFSが備えるグレーティングRGに対向するアーム部材712に内蔵されたヘッド75a〜75cによって、微動ステージWFSの6自由度方向の位置情報を計測する第2バックサイドエンコーダシステム70Bが構成され、計測ステーション300にある粗動ステージWCSに支持された微動ステージWFSが備える一対のスケール391,392にそれぞれ対向するヘッド部62A,62Cによって微動ステージWFSの6自由度方向の位置情報を計測する第2トップサイドエンコーダシステム80Bが構成される。
しかるに、第2トップサイドエンコーダシステム80B及び第2バックサイドエンコーダシステム70Bには、それぞれ前述した第1トップサイドエンコーダシステム80A、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと同様の長所、短所がある。
そこで、本実施形態では、主制御装置20は、後述するアライメント時等を含み、計測ステーション300にウエハステージWST1又はWST2が位置する際、第2バックサイドエンコーダシステム70Bと第2トップサイドエンコーダシステム80Bとにより並行して、微動ステージWFS(ウエハテーブルWTB1又はWTB2)の位置情報の計測を行い、より信頼性の高い方の位置情報に基づいて、ウエハテーブルWTB1又はWTB2の位置制御を行うようになっている。以下では、一例として、X軸、Y軸及びZ軸方向に関しては、第2バックサイドエンコーダシステム70Bによって計測される位置情報に基づいて、θx、θy、θz方向に関しては、第2トップサイドエンコーダシステム80Bによって計測される位置情報に基づいて、ウエハテーブルWTB1又はWTB2の位置制御が行われるものとする。
なお、第2微動ステージ位置計測系110Bの第2バックサイドエンコーダシステム70B、第2トップサイドエンコーダシステム80Bについては、これまでに説明した内容の他、先の第1バックサイドエンコーダシステム70A、第1トップサイドエンコーダシステム80Aの説明をそのまま適用することができる。
本実施形態では、計測テーブルMTB(計測ステージMST)が図2に示される待機位置から後述するスクラム位置まで移動する際、又はその反対にスクラム位置から待機位置まで戻る際の計測テーブルMTBの6自由度方向の位置情報を計測する第3トップサイドエンコーダシステム80Cも設けられている(図6参照)。第3トップサイドエンコーダシステム80Cは、図2に示されるように、待機位置にある計測ステージMSTの計測テーブルMTBに設けられた2次元グレーティング69(図4(B)参照)に対向し得る位置にX軸方向に隣接して配置された一対の4軸ヘッド661、662、該一対の4軸ヘッド661、662の−Y方向に所定距離隔てて配置された一対の4軸ヘッド663、664、及び該一対の4軸ヘッド663、664と前述したヘッド部62Cの2つの4軸ヘッド644、645との中間の位置に、X軸方向に隣接して配置された一対の4軸ヘッド665、666とを含む。
一対の4軸ヘッド661、662、一対の4軸ヘッド663、664、及び一対の4軸ヘッド665、666は、それぞれ支持部材を介して、メインフレームBDに吊り下げ状態で固定されている。
4軸ヘッド661、662、663、664、665、666のそれぞれは、前述の4軸ヘッド64、65、67、68と同様に、Y軸方向に沿ってそれぞれの検出点が配置された各1つのXZヘッドとYZヘッドとを含む。一対の4軸ヘッド661、662、一対の4軸ヘッド663、664、及び一対の4軸ヘッド665、666は、それぞれ、計測テーブルMTBに設けられた2次元グレーティング69を用いて、計測テーブルMTBの6自由度方向の位置情報を計測する一対の4軸エンコーダを構成する。これらの3対の4軸エンコーダによって、第3トップサイドエンコーダシステム80Cが構成される。第3トップサイドエンコーダシステム80Cを構成する、各エンコーダの計測値は、主制御装置20に供給される(図6等参照)。
第3トップサイドエンコーダシステム80Cと、前述した計測テーブルMTB裏面のグレーティングRGaに計測ビームを照射する計測アーム71Aが有する前述のヘッド73a〜73cによって構成される複数のエンコーダシステムとによって、計測テーブル位置計測系16(図6参照)が構成されている。なお、計測テーブル位置計測系16は必ずしも前述のヘッド73a〜73cを有していなくても良く、例えば、第3トップサイドエンコーダシステム80Cのみでも良い。この場合、図2に示したヘッドの配置(位置)を変更する、あるいは少なくとも1つのヘッドを追加することによって、前述のスクラム動作中にも、第3トップサイドエンコーダシステムによって計測ステージMSTの位置情報を計測可能としても良い。
本実施形態では、さらに、ウエハステージWST1又はWST2が、計測ステーション300と露光ステーション200との間を移動する際に、その移動中のウエハステージWST1又はWST2のXY平面内の位置を計測するための計測系80Dが設けられている(図6参照)。この計測系80Dは、ベース盤12の内部の基準軸LHと基準軸LAとの間の領域内に所定間隔で配置された複数のホール素子を有する。計測系80Dは、ウエハステージWST1又はWST2がXY平面内で移動すると、それぞれの粗動ステージWCSの底面に設けられた磁石によって生じる磁界が変化することを利用してウエハステージWST1又はWST2のXY平面内の凡その位置を計測するものである。この計測系80Dの計測情報は、主制御装置20に供給されるようになっている(図6参照)。なお、第1、第2微動ステージ位置計測系110A、110BによるウエハステージWST1又はWST2の位置情報の計測が不能となる範囲内、すなわち前述の計測範囲外において、ウエハステージWST1又はWST2の位置情報を計測する計測装置は計測系80Dに限られるものでなく、例えば干渉計システム、あるいは前述の第1、第2トップサイドエンコーダシステムと検出方式及び/又は構成が同一又は異なるエンコーダシステムなど、他の計測装置を用いても良い。
露光装置100では、この他、露光ステーション200近傍の位置に配置され、ウエハステージWST1又はWST2が、計測ステーション300側から露光ステーション200側に移動し、後述するようにウエハテーブルWTB1又はWTB2が計測テーブルMTBに近接又は接触した時点で、第3微動ステージ位置計測系110Cの原点復帰のため、ウエハテーブルWTB1又はWTB2の絶対座標を計測する、露光座標セット用計測系34(図6参照)が設けられている。後述するように、原点復帰(リセット)がなされた第3微動ステージ位置計測系110Cの計測値を用いて、第1微動ステージ位置計測系110Aの第1バックサイドエンコーダシステム70A及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aの原点復帰が行われる。
露光座標セット用計測系34は、図2に示されるように、ヘッド部62A、62Cの−Y側に所定距離(例えば、ウエハテーブルWTB1のY軸方向長さの1/3程度の距離)離れた位置に基準軸LVの+X側及び−X側に、基準軸LVからウエハテーブルWTB1のX軸方向の長さの1/2より幾分狭い同一距離だけ離れて配置された一対の画像センサ36a、36bと、該一対の画像センサ36a、36bそれぞれの+Y側に隣接して配置された一対のZセンサ38a、38bと、Zセンサ38aの−Y側に例えばウエハテーブルWTB1のY軸方向長さの1/2程度の距離離れて配置されたZセンサ38cと、を含む。これらの画像センサ36a、36b及びZセンサ38a〜38cは、それぞれ支持部材を介して、メインフレームBDに吊り下げ状態で固定されている。
一対の画像センサ36a、36bは、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)が所定位置、ここでは、後述する計測テーブルMTBに対して近接又は接触する状態(スクラム)が開始される位置(スクラム開始位置)にあるとき、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)のX軸方向両側のエッジ部にそれぞれ設けられた前述のマークを撮像し、その撮像対象のマークのX,Y位置をその検出中心を基準として計測する。Zセンサ38a〜38cは、例えば、CDドライブ装置などで用いられる光ピックアップと同様の光学式変位センサのヘッドから成り、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)上面のZ位置をそれぞれ計測する。これら画像センサ36a、36b及びZセンサ38a〜38cの計測値は、主制御装置20に供給される。
従って、主制御装置20では、露光座標セット用計測系34と第3微動ステージ位置計測系110Cとで、ウエハテーブルWTB1又はWTB2の6自由度方向の位置を同時に計測し、画像センサ36a、36b及びZセンサ38a〜38cの計測値(絶対位置)を用いて、第3微動ステージ位置計測系110Cを構成する一対の4軸ヘッド656、646から成る一対のエンコーダの計測値をリセットすることで、第3微動ステージ位置計測系110Cの原点復帰を行う。そして、その後に、原点復帰後の第3微動ステージ位置計測系110Cの計測値を基準として、露光ステーション200にあるウエハテーブルWTB1(又はWTB2)の6自由度方向の位置を計測する、第1微動ステージ位置計測系110Aの第1バックサイドエンコーダシステム70A及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aの原点を復帰させることで、露光時にウエハテーブルWTB1(又はWTB2)の位置を管理する座標系(露光時座標系)の復帰が可能になる。
露光装置100は、さらに、計測ステーション300近傍の位置に配置され、第2微動ステージ位置計測系110Bの第2バックサイドエンコーダシステム70B及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bの原点復帰のため、ウエハステージWST2又はWST1が、後述するローディングポジションに移動した際に、ウエハテーブルWTB2又はWTB1の絶対座標を計測する、計測座標セット用計測系35(図6参照)が設けられている。
計測座標セット用計測系35は、図2に示されるように、ヘッド部62F、62Eの−Y側に所定距離隔てて、かつ基準軸LVからウエハテーブルWTB2のX軸方向の長さの1/2より幾分短い同一距離だけ離れて配置された一対の画像センサ36c、36dと、該一対の画像センサ36c、36dそれぞれの+Y側に隣接しかつヘッド部62F、62Eの−Y側に近接して配置された一対のZセンサ38d、38eと、Zセンサ38dの−Y側に例えばウエハテーブルWTB2のY軸方向長さの1/2程度の距離離れて配置されたZセンサ38fとを含む。これらの画像センサ36c、36d及びZセンサ38d〜38fは、それぞれ支持部材を介して、メインフレームBDに吊り下げ状態で固定されている。
一対の画像センサ36c、36dは、ウエハテーブルWTB2(又はWTB1)のX軸方向両側のエッジ部にそれぞれ設けられた前述のマークを撮像し、その撮像対象のマークのX,Y位置をその検出中心を基準として計測する。Zセンサ38d〜38fは、例えば前述のZセンサ38a〜38cと同様の光学式変位センサのヘッドから成り、ウエハテーブルWTB2(又はWTB1)上面のZ位置をそれぞれ計測する。これら画像センサ36c、36d及びZセンサ38d〜38fの計測値は、主制御装置20に供給される。
従って、主制御装置20では、ウエハステージWST2又はWST1が、後述するローディングポジションに移動した際に、計測座標セット用計測系35と第2微動ステージ位置計測系110Bとを用いてウエハテーブルWTB2又はWTB1の位置を同時に計測し、画像センサ36c、36d及びZセンサ38d〜38fの計測値(絶対位置)を用いて、第2微動ステージ位置計測系110Bの第2バックサイドエンコーダシステム70B及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bの原点を復帰させることで、アライメント計測等を含む後述する一連の計測時に計測ステーション300にあるウエハテーブルWTB2(又はWTB1)の位置を管理する座標系(計測時座標系)の復帰が可能になる。
本実施形態の露光装置100では、図5に示されるように、基準軸LV上で露光位置とアライメント位置との間の所定位置、一例として基準軸LV上でアライメント検出系ALGから所定距離、例えばウエハテーブルWTB2のY軸方向長さの2/3程度の距離だけ+Y方向に離れた位置に、アンローディングポジションUP1が設定され、アンローディングポジションUP1から+X側、−X側にそれぞれ同一の所定距離隔てた位置に、待機ポジションUP2、UP3が設定されている。
アンローディングポジションUP1には、前述の上下動ピンによってウエハホルダの上方で支持された露光済みのウエハWに上方から接近してその側面を複数ヶ所で挟持して上方に持ち上げるアーム部材から成る第1アンロードスライダ(不図示)が設けられている。第1アンロードスライダは、ウエハの表面には非接触な状態でウエハを保持可能である。第1アンロードスライダは、不図示の防振部材を介してメインフレームBDに取り付けられている。
ウエハ待機ポジションUP2には、第1アンロードスライダに保持されたウエハWを下方から受け取って保持し、上下動可能で外部装置とのウエハの受け渡し位置にベース盤12上方の+X側端部の経路を通ってそのウエハを搬送可能な第2アンロードスライダ(不図示)が設けられている。同様に、ウエハ待機ポジションUP3には、第1アンロードスライダに保持されたウエハWを下方から受け取って保持し、上下動可能で外部装置とのウエハの受け渡し位置にベース盤12上方の−X側端部の経路を通ってそのウエハを搬送可能な第3アンロードスライダ(不図示)が設けられている。第2、第3アンロードスライダは、メインフレームBDとは振動的に分離された別のフレームに支持されている。なお、ウエハをアンロードするための装置は上述の構成に限られるものでなく、ウエハWを保持して移動可能であれば良い。また、ウエハWのアンローディングポジションも投影光学系PLとアライメント検出系ALGとの間に限られものではなく、例えば、後述の変形例のようにアライメント検出系ALGに関して投影光学系PLと反対側でアンロードを行っても良い。
また、本実施形態では、図2に示されるように、ローディングポジションLPは、計測プレート30上の基準マークFMがアライメント検出系ALGの視野(検出領域)内に位置決めされる位置(すなわち、アライメント検出系ALGのベースライン計測(BCHK)前半の処理を行う位置)に設定されている。
図6には、露光装置100の制御系を中心的に構成し、構成各部を統括制御する主制御装置20の入出力関係を示すブロック図が示されている。主制御装置20は、ワークステーション(又はマイクロコンピュータ)等を含み、露光装置100の構成各部を統括制御する。図7には、図6の第1、第2微動ステージ位置計測系110A、110Bの具体的構成の一例が示されている。
次に、本実施形態に係る露光装置100における、ウエハステージWST1、WST2と計測ステージMSTとを用いた並行処理動作について、図9〜図20に基づいて説明する。なお、以下の動作中、主制御装置20によって、局所液浸装置8の液体供給装置5及び液体回収装置6の制御が前述したようにして行われ、投影光学系PLの先端レンズ191の直下には常時水が満たされている。しかし、以下では、説明を分かり易くするため、液体供給装置5及び液体回収装置6の制御に関する説明は省略する。また、図9〜図20では、ベース盤12、チューブキャリアTC1、TC2等の図示は省略されている。また、以後の動作説明は、多数の図面を用いて行うが、図面毎に同一の部材に符号が付されていたり、付されていなかったりしている。すなわち、図面毎に、記載している符号が異なっているが、それら図面は符号の有無に関わらず、同一構成である。これまでに説明に用いた、各図面についても同様である。また、図9以降において、計測ステージMSTは簡略化して示されている。
また、第1ないし第2バックサイドエンコーダシステム70A、70B及び第1ないし第3トップサイドエンコーダシステム80A〜80Cの各ヘッド、AF系、アライメント検出系などは、それらを使用するとき、又はその使用の少し前にオフ状態からオン状態に設定されるが、以後の動作説明においては、この点に関する説明は省略する。
図9には、後述するウエハアライメント計測及びフォーカスマッピングが終了した露光前のウエハ(W2とする)を保持するウエハステージWST2が、所定の待機位置で待機されるとともに、主制御装置20により、同図中に黒矢印で示されるような経路に沿って、ウエハステージWST1を移動しながらウエハテーブルWTB1上に保持されたウエハ(W1とする)の+X側半部の領域が露光されている様子が示されている。このウエハW1の+X側半部の領域の露光は、−Y側のショット領域から+Y側のショット領域の順で行われる。これに先立って、ウエハW1は、図16中にウエハステージWST2について示されるような黒矢印で示される経路に沿って移動しながらその−X側半部の領域が、+Y側のショット領域から−Y側のショット領域の順で露光が終了している。これにより、ウエハW1上の全てのショット領域の露光が終わった時点では、ウエハステージWST1は、露光開始前の位置とほぼ同一位置に戻っている。なお、このとき、ウエハステージWST2の位置は、前述の計測系80Dの計測値に基づいて、主制御装置20により管理されている。
本実施形態では、上述したショット領域の露光順序を採用しているが、その露光のためにウエハステージWST1が移動する経路の全体長さは、同じ大きさのウエハを同一のショットマップに従って露光するとした場合、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示される従来の液浸スキャナなどと大差ない。
上記の露光中、第1微動ステージ位置計測系110Aの計測値、すなわちスケール391,392にそれぞれ対向する4軸ヘッド65、64の計測値、すなわち前述の第1トップサイドエンコーダシステム80Aによって計測されたウエハテーブルWTB1の6自由度方向の位置情報(位置の計測値)及び第1バックサイドエンコーダシステム70Aによって計測されたウエハテーブルWTB1の6自由度方向の位置情報(位置の計測値)が、主制御装置20に供給され、そのうち信頼性の高い方の計測値に基づいて、主制御装置20によってウエハテーブルWTB1の位置のサーボ制御が行われる。また、この露光中のウエハテーブルWTB1のZ軸方向の位置,θy回転及びθx回転の制御(ウエハWのフォーカス・レベリング制御)は、事前に行われたフォーカスマッピング(これについては後述する)の結果に基づいて行われる。
上記のステップ・アンド・スキャン方式の露光動作中、ウエハステージWST1がX軸方向に移動すると、その移動に伴って、第1トップサイドエンコーダシステム80Aのヘッドの切り換え(複数のヘッド間における計測値の引き継ぎ)が行なわれる。このように、主制御装置20は、ウエハステージWST1の位置座標に応じて、使用する第1トップサイドエンコーダシステム80Aのエンコーダを適宜切り換えて、ウエハステージWST1の駆動を行なっている。
上述したウエハの+X側半部のショット領域の露光と並行して、その露光に先立って待機ポジションUL3から受け渡し位置に搬送された露光済みのウエハ(W0とする)は、不図示の搬送ロボットによって、装置外への搬出のためウエハ搬送系(不図示)に渡される。
主制御装置20は、さらに、上記のウエハW1の+X側半部のショット領域の露光と並行して、第3トップサイドエンコーダシステム80Cの計測値に基づいて、計測ステージMSTを、図9に仮想線で示される待機位置から実線で示されるスクラムポジションまでXY平面内で駆動する。主制御装置20は、第3トップサイドエンコーダシステム80Cの4軸ヘッドを切り換えて計測ステージMSTの駆動を行う。これにより、露光中には互いに離れていたウエハステージWST1と計測ステージMSTとが、ウエハテーブルWTB1と計測テーブルMTBとが接触又は近接する状態(スクラム状態とも呼ばれる)に移行する。この接触又は近接する状態への移行に際し、計測ステージMSTは、横側(側方)から計測アーム71Aに係合する。この計測ステージMSTの横側からの計測アーム71Aに対する係合を可能にするため、計測ステージMSTの計測テーブルMTBは、スライダ部60上で支持部62を介して片持ち支持されている。
そして、主制御装置20は、上記のウエハテーブルWTB1と計測テーブルMTBとの接触又は近接する状態を保って、図10中に2つの白抜き矢印で示されるように、計測ステージMSTを−Y方向に移動させるとともに、ウエハステージWST1を−Y方向に加えて−X方向にも移動させる。これにより、投影ユニットPUの下に形成される液浸領域14(液体Lq)が、ウエハテーブルWTB1上から計測テーブルMTB上に移動し(受け渡され)、投影光学系PLと計測テーブルMTBとによって液浸領域14(液体Lq)が保持される。また、このとき、ウエハステージWST1を−X方向にも移動させるのは、次の動作、すなわちウエハステージWST1とウエハステージWST2との交換動作を、露光終了後より短時間に開始できるようにするためである。
上記の液浸領域14(液体Lq)のウエハテーブルWTB1上から計測テーブルMTB上への受け渡しが終了した段階では、主制御装置20は、計測テーブルMTBの位置を、計測テーブルMTBの裏面に設けられたグレーティングRGaを用いる第1バックサイドエンコーダシステム70Aの計測値に基づいて、計測テーブル駆動系52C(図6参照)を介して制御することが可能である。従って、主制御装置20は、必要な露光に関連する計測動作を、計測テーブルMTBの6自由度方向の位置を制御しつつ行うことができる。
上記の接触又は近接する状態に移行後、液浸領域14(液体Lq)のウエハテーブルWTB1上から計測テーブルMTB上への移動が完了する直前に、ウエハステージWST1が、第1微動ステージ位置計測系110Aの計測範囲から外れ、第1トップサイドエンコーダシステム80A及び第1バックサイドエンコーダシステム70AによるウエハテーブルWTB1の位置計測ができなくなる。その直前に、主制御装置20は、ウエハステージWST1(ウエハテーブルWTB1)の位置制御に用いる位置計測系を、第1微動ステージ位置計測系110Aから前述の計測系80Dに切り換える。
その後、主制御装置20は、図11中に白抜き矢印で示されるように、この時点でも前述の待機位置に待機しているウエハステージWST2と対向しなくなる位置(図12参照)までウエハステージWST1を−X方向に駆動する。
次に、主制御装置20は、図12中にそれぞれ白抜き矢印で示されるように、ウエハステージWST1を−Y方向に駆動するのと並行してウエハステージWST2を+Y方向に駆動する。これにより、前述の接触又は近接する状態が解除された後、ウエハステージWST1は、前述の待機ポジションUP3の下方に移動する。これと並行して、ウエハステージWST2は、液浸領域14(液体Lq)を投影光学系PLとともに保持している計測テーブルMTBの−Y側の面の+X側の端部に、ウエハテーブルWTB2の+Y側の面の−X側の端部が、Y軸方向に関して接触又は近接する位置に移動する(図13参照)。
次いで、主制御装置20は、図13中にそれぞれ白抜き矢印で示されるように、ウエハステージWST1を+X方向に駆動するのと並行してウエハステージWST2を−X方向に駆動する。これにより、ウエハステージWST2は、露光座標セット用計測系34の画像センサ36a、36b及びZセンサ38a〜38cが同時に、ウエハテーブルWTB2に対向する位置に移動するとともに、ウエハステージWST1は、待機ポジションUP3の下方からアンローディングポジションUP1に移動する(図14参照)。
図14に示される位置までウエハステージWST2が移動すると、主制御装置20は、ウエハテーブルWTB2(ウエハステージWST2)の位置制御に用いる位置計測系を、前述の計測系80Dから一時的に第3微動ステージ位置計測系110Cに切り換える。すなわち、主制御装置20は、露光座標セット用計測系34と第3微動ステージ位置計測系110Cとで、ウエハテーブルWTB2の6自由度方向の位置を同時に計測し、露光座標セット用計測系34(画像センサ36a、36b及びZセンサ38a〜38c)の計測値(絶対位置)を用いて、第3微動ステージ位置計測系110Cを構成する一対の4軸ヘッド656、646から成る一対のエンコーダの計測値をリセットすることで、第3微動ステージ位置計測系110Cの原点復帰を行う。以後、ウエハテーブルWTB2の位置の制御は、第3微動ステージ位置計測系110Cによる計測値に基づいて行われる。また、図14に示される位置までウエハステージWST2が移動した状態では、ウエハテーブルWTB2は、液浸領域の受け渡しのため、計測テーブルMTBに対してY軸方向に関して接触又は近接する状態(スクラム状態)となっている。すなわち、本実施形態では、ウエハテーブルWTB2の計測テーブルMTBに対するスクラム開始位置で、第3微動ステージ位置計測系110Cの原点復帰(計測値のリセット)が行われるように定められており、このスクラム開始位置での第3微動ステージ位置計測系110Cの原点復帰が可能となるように、ウエハテーブルWTB2上の所定の位置に前述のマークが設けられている。
本実施形態では、主制御装置20は、前述した投影光学系PLと計測テーブルMTBとによる液浸領域14(液体Lq)の保持を開始した後、ウエハテーブルWTB2の計測テーブルMTBに対するスクラムが開始されるまでの間の少なくとも一部の期間で、計測テーブルMTBが有する計測用部材、すなわち前述の照度むらセンサ95、空間像計測器96、波面収差計測器97及び照度モニタ98の少なくとも1つを用いて、照明光ILを投影光学系PL及び液体Lqを介してそれぞれの計測器の受光面を介して受光する露光に関連する計測、すなわち照度むら計測、空間像計測、波面収差計測及びドーズ計測の少なくとも1つを、必要に応じて行なっても良い。
一方、アンローディングポジションUP1にウエハステージWST1が到達すると、主制御装置20は、ウエハホルダによる露光済みのウエハWの吸着を解除し、不図示の上下動ピンを所定量上昇駆動してウエハW1を持ち上げる。このときの上下動ピンの位置は、ローディングポジションLPにウエハステージWST1が到達し、次のウエハのロードが開始されるまで維持される。
そして、主制御装置20は、第1アンロードスライダによりそのウエハW1を前述のようにして上方から保持して上に持ち上げ、ウエハステージWST1上からアンロードする。ウエハW1は、その後、アンローディングポジションUP1の上方の位置に、ウエハステージWST1がローディングポジションLPに近づくまで維持される。
次いで、主制御装置20は、図14中に2つの上向きの白抜き矢印でそれぞれ示されるように、ウエハテーブルWTB2と計測テーブルMTBとの接触又は近接する状態を維持したまま、ウエハステージWST2と計測ステージMSTとを、+Y方向に駆動する。これにより、投影ユニットPUの下に形成される液浸領域14(液体Lq)が、計測テーブルMTB上からウエハテーブルWTB2上に移動し(受け渡され)、投影光学系PLとウエハテーブルWTB2とによって液浸領域14(液体Lq)が保持されるようになる(図15参照)。
上記の液浸領域14の受け渡しが終了した時点では、ウエハステージWST2の空間部内に計測アーム71Aが挿入され、ウエハテーブルWTB2の裏面(グレーティングRG)が計測アーム71Aのヘッド73a〜73cに対向するとともに、ヘッド部62A、62Cが、スケール391、392に対向する状態になっている(図15参照)。すなわち、ウエハテーブルWTB2の位置が、第3微動ステージ位置計測系110Cとともに第1微動ステージ位置計測系110Aによっても計測可能となる。そこで、主制御装置20は、第1微動ステージ位置計測系110Aの第1バックサイドエンコーダシステム70A及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aの計測値を、第3微動ステージ位置計測系110Cで計測されるウエハテーブルWTB2の6自由度方向の位置座標に基づいて、再設定することで、第1バックサイドエンコーダシステム70A及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aの原点を復帰する。このようにして、露光ステーション200内で移動するウエハテーブルWTB2の位置を管理する露光時座標系の復帰が行われる。なお、第1微動ステージ位置計測系110Aと露光座標セット用計測系34とによるウエハテーブルWTB2の6自由度方向の位置の同時計測が可能であれば、前述した第3微動ステージ位置計測系110Cの原点復帰と同様の手法により、第1バックサイドエンコーダシステム70A及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aの原点を復帰しても良い。
主制御装置20は、上述の露光時座標系の復帰後、ウエハテーブルWTB2の位置を、第1バックサイドエンコーダシステム70A及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aのうち信頼性の高い方の位置情報に基づいて管理する。
上述した液浸領域14の受け渡しのためのウエハステージWST2と計測ステージMSTとの+Y方向の駆動と並行して、主制御装置20は、ウエハステージWST1を、ローディングポジションLPに向け駆動する。この駆動の途中で、計測系80DによるウエハステージWST1(ウエハテーブルWTB1)の位置計測ができなくなる。そこで、ウエハステージWST1が計測系80Dによる計測範囲から外れる前に、例えばウエハステージWST1が図15中に仮想線(二点鎖線)で示される位置に到達した時点で、主制御装置20は、ウエハテーブルWTB1(ウエハステージWST1)の位置制御に用いる位置計測系を、前述の計測系80Dから第2微動ステージ位置計測系110Bに切り換える。すなわち、ウエハステージWST1が図15中に仮想線(二点鎖線)で示される位置に到達した時点では、ウエハステージWST1の空間部内に計測アーム71Bが挿入され、ウエハテーブルWTB1の裏面(グレーティングRG)が計測アーム71Bのヘッド75a〜75cに対向するとともに、ヘッド部62F、62Eが、スケール391、392に対向している。また、このとき、計測座標セット用計測系35によるウエハテーブルWTB1の6自由度方向の絶対位置の計測が可能になっている。そこで、主制御装置20は、計測座標セット用計測系35と第2微動ステージ位置計測系110Bとを用いて、ウエハテーブルWTB1の6自由度方向の位置の同時計測を行う。そして、前述と同様、主制御装置20は、第2微動ステージ位置計測系110Bの第2バックサイドエンコーダシステム70B及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bの計測値を、計測座標セット用計測系35で計測されるウエハテーブルWTB1の絶対位置に基づいて、再設定することで、第2バックサイドエンコーダシステム70B及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bの原点を復帰する。このようにして、計測ステーション300内で移動するウエハテーブルWTB1の位置を管理する計測時座標系の復帰が行われる。
計測座標セット用計測系35は、ウエハテーブルWTB1の6自由度方向の絶対位置の計測が可能なので、上記の計測系80Dから第2微動ステージ位置計測系110Bへの切り換え、すなわち計測時座標系の復帰は、短時間で行うことができる。
主制御装置20は、上述の計測時座標系の復帰後、ウエハテーブルWTB1の位置を、第2バックサイドエンコーダシステム70B及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bのうち信頼性の高い方の位置情報に基づいて管理しつつ、ウエハステージWST1をローディングポジションLPに位置決めする(図15参照)。
ウエハステージWST1がローディングポジションLPに向けて駆動され、アンローディングポジションUP1から離れると、図15中に黒塗り矢印で模式的に示されるように、アンローディングポジションUP1の上方にあるウエハW1が待機ポジションUP2へ移動される。この移動は、主制御装置20によって次の手順で行われる。
すなわち、第2アンロードスライダをアンローディングポジションUP1の上方にあるウエハW1の下方に移動し、そのウエハW1を第1アンロードスライダから第2アンロードスライダへ受け渡した後、ウエハW1を保持した第2アンロードスライダを待機ポジションUP2に移動する。このウエハW1は、次のウエハに対する一連の計測動作、すなわちアライメント計測及びフォーカスマッピング等が終了し、ウエハステージWST2が、所定の待機位置に移動するまで、待機ポジションUP2の所定の高さの位置に、第2アンロードスライダに保持された状態が維持される。
ローディングポジションLPで、新たな露光前のウエハW3(ここでは、一例として、あるロット(1ロットは25枚又は50枚)の中間のウエハとする)が、以下の手順でウエハステージWST1上にロードされる。すなわち、不図示のロードアームに保持されたウエハWがロードアームから所定量上昇した状態を維持している上下動ピンに渡され、ロードアームが退避した後、上下動ピンが下降することで、ウエハWがウエハホルダ上に載置され、不図示のバキュームチャックにより吸着される。この場合、上下動ピンが所定量上昇した状態を維持しているので、上下動ピンがウエハホルダの内部に収納されている場合に比べてウエハロードを短時間で行うことができる。図15には、新たな露光前のウエハ(W3とする)がウエハテーブルWTB1上にロードされた状態が示されている。
一方、ウエハステージWST1のローディングポジションLPへの移動及びウエハW3のロードと並行して、ウエハステージWST2は、計測テーブルMTBとウエハテーブルWTB2との接近又は接触状態を維持したまま、図15中に2つの白抜き矢印で示されるように、ウエハW2の露光開始位置、すなわち第1ショット領域の露光のための加速開始位置へ向かって移動する。この移動開始に先立って、図15に示されるように、ウエハステージWST2の計測プレート30が投影光学系PLの直下に配置される位置にある状態で、主制御装置20は、必要に応じ、両ステージWST2,MSTを停止し、BCHK後半の処理及びフォーカスキャリブレーション後半の処理を行う。
ここで、BCHK後半の処理とは、投影光学系PLによって投影されたレチクルR(又はレチクルステージRST上の不図示のマーク板)上の一対の計測マークの投影像(空間像)を、計測プレート30を含む前述した空間像計測装置451、452を用いて計測する処理を意味する。この場合、例えば米国特許出願公開第2002/0041377号明細書などに開示される方法と同様に、一対の空間像計測スリットパターンSLを用いたスリットスキャン方式の空間像計測動作にて、一対の計測マークの空間像をそれぞれ計測し、その計測結果(ウエハテーブルWTB2のXY位置に応じた空間像強度)をメモリに記憶する。
また、フォーカスキャリブレーション後半の処理とは、ウエハテーブルWTB2のX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報を計測する一対のXZヘッド65X3、64X3によって計測される面位置情報を基準として、計測プレート30(ウエハテーブルWTB2)の投影光学系PLの光軸方向に関する位置(Z位置)を制御しつつ、空間像計測装置451、452を用いて、レチクルR上の計測マークの空間像をスリットスキャン方式で計測し、その計測結果に基づいて投影光学系PLのベストフォーカス位置を測定する処理を意味する。
このとき、液浸領域14が投影光学系PLと計測プレート30(ウエハテーブルWTB)との間に形成されているので、上記の空間像の計測は、投影光学系PL及び液体Lqを介して行われる。また、空間像計測装置451、452の計測プレート30などはウエハステージWST2(ウエハテーブルWTB2)に搭載され、受光素子などは計測ステージMSTに搭載されているので、上記の空間像の計測は、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとが、接触又は近接状態を保ったままで行われる。
上記の測定により、基準軸LVに、ウエハテーブルWTB2のセンターラインが一致した状態における一対のXZヘッド65X3、64X3の計測値(すなわち、ウエハテーブルWTB2のX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)が求まる。この計測値は、投影光学系PLのベストフォーカス位置に対応している。
上述のBCHK後半の処理及びフォーカスキャリブレーション後半の処理を行なった後、主制御装置20は、BCHKの前半の処理(これについては後述する)の結果とBCHKの後半の処理の結果とに基づいて、アライメント検出系ALGのベースラインを算出する。また、これとともに、主制御装置20は、フォーカスキャリブレーション前半の処理(これについては後述する)で得られた基準軸LVにウエハテーブルWTB2のセンターラインが一致した状態における一対のXZヘッド68X3、67X3の計測値(ウエハテーブルWTB2のX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)と、AF系(90a,90b)の計測プレート30表面の検出点における検出結果(面位置情報)との関係と、上述のフォーカスキャリブレーション後半の処理で得られた投影光学系PLのベストフォーカス位置に対応するウエハテーブルWTB2のセンターラインが基準軸LVに一致した状態における一対のXZヘッド65X3、64X3の計測値(すなわち、ウエハテーブルWTB2のX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)とに基づいて、AF系(90a,90b)の検出点におけるオフセットを求め、そのオフセットが零になるように例えば光学的手法によりAF系の検出原点を調整する。
この場合において、スループット向上の観点から、上述のBCHKの後半の処理及びフォーカスキャリブレーション後半の処理の一方のみを行っても良いし、両方の処理を行うことなく、次の処理に移行しても良い。勿論、BCHKの後半の処理を行わない場合には、BCHKの前半の処理を行う必要もない。
以上の作業が終了すると、主制御装置20は、図16に示されるように、計測ステージMSTを、−X方向かつ+Y方向に駆動して、両ステージWST2,MSTの接触又は近接状態を解除する。
そして、主制御装置20は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光を行い、新しいウエハW2上にレチクルパターンを転写する。この露光動作は、主制御装置20により、事前に行われたウエハアライメント(EGA)の結果(ウエハ上のすべてのショット領域の配列座標)及びアライメント検出系ALGの最新のベースライン等に基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)へウエハステージWSTを移動するショット間移動と、各ショット領域に対してレチクルRに形成されたパターンを走査露光方式で転写する走査露光と、を繰り返すことにより行われる。なお、上記の露光動作は、先端レンズ191とウエハWとの間に液体(水)Lqを保持した状態で行われる。
また、本実施形態では、一例として最初に露光される第1ショット領域が、ウエハW2の−X側半分の+Y端部に位置するショット領域に定められているため、まず、その加速開始位置へ移動するため、ウエハステージWSTが、+X方向かつ+Y方向に移動される。
そして、図16に黒矢印で示されるような経路に沿って、ウエハステージWST2を移動しながらウエハW2の−X側半部の領域を+Y側のショット領域から−Y側のショット領域の順で露光する。
上述のウエハW2の−X側半部の領域の露光と並行して、ウエハステージWST1側では、前述のウエハW3のロード動作に続いて、以下の一連の計測動作が行われる。
まず、ウエハステージWST1がローディングポジションLPにあるときに、アライメント検出系ALGのベースライン計測(BCHK)の前半の処理が行われる。ここで、BCHKの前半の処理とは、以下のような処理を意味する。すなわち、主制御装置20は、前述した計測プレート30の中央に位置する基準マークFMを、アライメント検出系ALGで検出(観察)し、そのアライメント検出系ALGの検出結果とその検出時における微動ステージ位置計測系110Bの計測値とを対応付けてメモリに記憶する。本実施形態では、前述のウエハWのロード動作と少なくとも一部並行してBCHKの前半の処理を行うこととしても良い。
BCHKの前半の処理に引き続き、ウエハステージWST1がローディングポジションLPにあるときに、フォーカスキャリブレーション前半の処理が行われる。
すなわち、主制御装置20は、第2トップサイドエンコーダシステム80Bの一対のXZヘッド68X3、67X3によって検出されるウエハテーブルWTB1のX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報(スケール391、392のZ位置情報)を検出しつつ、それらの情報から得られる基準平面を基準として、AF系(90a,90b)を用いて前述の計測プレート30表面の面位置情報を検出する。これにより、前述の基準軸LVにウエハテーブルWTB1のセンターラインが一致した状態における一対のXZヘッド68X3、67X3の計測値(ウエハテーブルWTB1のX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)と、AF系(90a,90b)の計測プレート30表面の検出点における検出結果(面位置情報)との関係が求まる。
次に、主制御装置20は、第2トップサイドエンコーダシステム80Bの4軸ヘッド67、68、並びにAF系(90a,90b)を用いたフォーカスマッピングを開始する。
ここで、本実施形態に係る露光装置100で行われるフォーカスマッピングについて説明する。このフォーカスマッピングに際しては、主制御装置20は、スケール391,392にそれぞれ対向する第2トップサイドエンコーダシステム80Bの2つの4軸ヘッド67、68の計測値に基づいてウエハテーブルWTB1のXY平面内の位置を管理している。
そして、この状態で、主制御装置20は、ウエハステージWST1を、図16中に白抜き矢印で示されるように、X軸方向のステップ移動を挟んで、−Y方向及び+Y方向の高速スキャンを交互に繰り返し、その高速スキャン中に2つの4軸ヘッド67、68のそれぞれで計測されるウエハテーブルWTB1表面(プレート28表面)のX軸方向両端部(一対の第2撥水板28b)のX軸、Y軸及びZ軸方向に関する位置情報と、AF系(90a,90b)で検出される検出点におけるウエハW表面のZ軸方向に関する位置情報(面位置情報)とを、所定のサンプリング間隔で取り込み、その取り込んだ各情報を相互に対応付けて不図示のメモリに逐次格納する。
そして、主制御装置20は、上記のサンプリングを終了し、AF系(90a,90b)の検出点についての面位置情報を、同時に取り込んだ2つの4軸ヘッド67、68それぞれで計測されたZ軸方向に関する位置情報を基準とするデータに換算する。
これをさらに詳述すると、一方の4軸ヘッド67によるZ位置の計測値に基づいて、プレート28の−X側端部近傍の領域(スケール392が形成された第2撥水板28b)上の所定の点(AF系(90a,90b)の検出点とほぼ同一のX軸上の点に相当:以下、この点を左計測点と呼ぶ)における面位置情報が得られる。また、他方の4軸ヘッド68によるZ位置の計測値に基づいて、プレート28の+X側端部近傍の領域(スケール391が形成された第2撥水板28b)上の所定の点(AF系(90a,90b)の検出点とほぼ同一のX軸上の点に相当:以下、この点を右計測点と呼ぶ)における面位置情報が得られる。そこで、主制御装置20は、AF系(90a,90b)の各検出点における面位置情報を、左計測点の面位置と右計測点の面位置とを結ぶ直線(以下、便宜上、テーブル面基準線と呼ぶ)を基準とする面位置データに換算する。このような換算を、主制御装置20は、全てのサンプリング時に取り込んだ情報について行う。
ここで、本実施形態に係る露光装置100では、上記の第2トップサイドエンコーダシステム80Bによる計測と並行して、第2バックサイドエンコーダシステム70BによるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びθy方向(並びにθz方向)に関するウエハテーブルWTB1(微動ステージWFS)の位置情報の計測が可能になっている。そこで、主制御装置20は、上記の2つの4軸ヘッド68、67のそれぞれで計測されるウエハテーブルWTB1表面(プレート28の表面)のX軸方向両端部のX軸、Y軸及びZ軸方向に関する位置情報と、AF系(90a,90b)で検出される検出点におけるウエハW表面のZ軸方向に関する位置情報(面位置情報)との取り込みと同じタイミングで、第2バックサイドエンコーダシステム70Bによる上記各方向(X,Y、Z、θy(及びθz))に関する位置の計測値をも取り込んでいる。そして、主制御装置20は、同時に取り込んだ第2トップサイドエンコーダシステム80Bの計測情報から得られるテーブル面基準線のデータ(Z、θy)と、第2バックサイドエンコーダシステム70Bの計測情報(Z、θy)との関係を求めている。これにより、上述のテーブル面基準線を基準とする面位置データを、裏面計測により得られるウエハテーブルWTB1のZ位置及びθy回転で定まる、上述のテーブル面基準線に対応する基準線(以下、便宜上、裏面計測基準線と呼ぶ)を基準とする面位置データに換算することができる。
このようにして、予め上記の換算データを取得しておくことで、例えば、露光の際などには、前述のXZヘッド64X及び65XでウエハテーブルWTB1(又はWTB2)表面(スケール392が形成された第2撥水板28b上の点、及びスケール391が形成された第2撥水板28b上の点)を計測して、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)のZ位置とXY平面に対する傾斜(主としてθy回転)を算出する。この算出したウエハテーブルWTB1(又はWTB2)のZ位置とXY平面に対する傾斜と前述の面位置データ(テーブル面基準線を基準とする面位置データ)とを用いることで、ウエハW表面の面位置情報を実際に取得することなく、ウエハWの面位置制御が可能になる。従って、多点AF系を投影光学系PLから離れた位置に配置しても何ら支障がないので、ワーキングディスタンス(露光時における投影光学系PLとウエハWとの間隔)が狭い露光装置などであっても、本実施形態のフォーカスマッピングは好適に適用できる。
上述のフォーカスマッピングの終了後、例えばEGA方式のウエハアライメントが行われる。具体的には、主制御装置20は、第2微動ステージ位置計測系110Bの計測値に基づいて、ウエハテーブルWTB1の位置をサーボ制御しつつ、図17中に白抜き矢印で示されるように、ウエハステージWST1を、XY2次元方向にステップ駆動しつつ、各ステップ位置で、ウエハ上の各ショット領域に付設されたアライメントマークを、アライメント検出系ALGを用いて検出し、アライメント検出系ALGの検出結果とその検出時の第2微動ステージ位置計測系110Bの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。
そして、主制御装置20は、このようにして得た複数のアライメントマークの検出結果と対応する第2微動ステージ位置計測系110Bの計測値とを用いて、例えば米国特許第4,780,617号明細書に開示されているEGA方式にて統計演算を行って、EGAパラメータ(Xオフセット、Yオフセット、直交度、ウエハ回転、ウエハXスケーリング、ウエハYスケーリングなど)を算出し、その算出結果に基づいて、ウエハW2の全てのショット領域の配列座標を求める。そして、主制御装置20は、その配列座標を、基準マークFMの位置を基準とする座標に換算する。この時点でもまだ、ウエハW2の−X側半部の領域の露光が続行されている。
なお、上記の説明では、フォーカスマッピングの終了後にウエハアライメントが行われるものとしたが、これに限らず、ウエハアライメントの終了後にフォーカスマッピングが行われても良いし、あるいはフォーカスマッピングとウエハアライメントとが少なくも一部並行して行われても良い。
そして、一連の計測作業が終了すると、主制御装置20は、ウエハW3を保持したウエハステージWST1を、図18中に白抜き矢印で示されるように、図9に示されるウエハステージWST2の待機位置と基準軸LVに関して対称な待機位置に向かって、−X方向かつ+Y方向に駆動する。図19には、ウエハステージWST1が待機位置へ移動し、その位置で待機している状態が示されている。この待機位置は、前述のウエハの待機ポジションUP3のほぼ直下であり、この待機位置への移動の途中で、ウエハステージWST1の位置を計測する計測系が、第2微動ステージ位置計測系110Bから計測系80Dに切り換えられる。
上記のウエハステージWST1の待機位置への移動及びその後の待機位置での待機と並行して、主制御装置20により、図18及び図19中にそれぞれ黒矢印で示されるような経路に沿って、ウエハステージWST2を移動しながらウエハテーブルWTB2上に保持されたウエハW2の+X側半部の領域の露光が行われる。
ウエハステージWST1が、待機位置に移動すると、主制御装置20は、待機ポジションUP2の上方で露光済みのウエハW1を保持している第2アンロードスライダを所定量下降駆動した後、図20中に黒塗り矢印で示されるように、−Y方向に駆動して、ウエハW1をウエハ搬送系との受け渡し位置まで搬送する。
図20と図9とを比較すると明らかなように、図20の状態は、ウエハステージWST1とウエハステージWST2とが入れ替わるとともに、ウエハステージWST1の待機位置が、ウエハステージWST2の待機位置と、基準軸LVに関して左右対称の位置に設定されているが、2つのウエハステージWST1、WST2上に保持された2枚のウエハWの処理の進捗状況は同じである。
以後上述と同様の動作が、ウエハステージWST1、WST2を交互に用いながら、主制御装置20によって、繰り返される。
ただし、この繰り返しに際し、ウエハステージWST2は、保持するウエハWの露光が終了すると、+X方向に駆動された後、ウエハステージWST1との入れ替えのため、−Y方向に駆動される。この場合、ウエハステージWST1は、ウエハステージWST2との入れ替えのため、+Y方向に駆動される。
そして、ウエハステージWST2は、入れ替え後、アンローディングポジションUP1に移動した後、そのウエハステージWST2からアンロードされた露光済みのウエハが、アンローディングポジションUP1の−X側の待機ポジションUP3で待機される。そして、ウエハステージWST2上への新たなウエハのロード、前述した一連の計測動作が終了して、ウエハステージWST2が、待機ポジションUP2直下の待機位置に移動した時点で、待機ポジションUP3で待機していた露光済みのウエハが−Y方向の経路沿って、ウエハ搬送系との受け渡し位置まで搬送される。
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る露光装置100によると、例えば露光ステーション200に一方のウエハステージWST1(又はWST2)があり、計測ステーション300に他方のウエハステージWST2(又はWST1)がある場合、露光ステーション200において、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)に保持されたウエハWが、照明光ILにより投影光学系PL及び液体Lqを介して露光されるのと並行して、計測ステーション300においてウエハテーブルWTB2(又はWTB1)に保持されたウエハWに対する前述した一連の計測を行うことが可能になる。また、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)に保持されたウエハWに対する露光が終了すると、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)と計測テーブルMTBとの間で、投影光学系PL直下の液体Lq(液浸領域14)の受け渡しが行われ、投影光学系PLと計測テーブルMTBとによってその液体が保持される。この液体Lqの受け渡しは、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)に保持されたウエハWに対する露光が終了した直後に行うことが可能になる。これにより、投影光学系PLの直下に供給された液体LqをウエハテーブルWTB1及びWTB2の一方から他方に受け渡す必要がなくなる。これにより、例えばウエハ交換等のため、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)を計測ステーション300側に戻す際に、投影光学系PLの直下に供給された液体LqをウエハテーブルWTB1及びWTB2の一方から他方に受け渡す場合のように、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)を大回りさせる必要がなくなる。また、本実施形態に係る露光装置100によると、主制御装置20は、投影光学系PLと計測テーブルMTBとの間に液体Lqが保持されている状態で、露光済みのウエハWを保持するウエハテーブルWTB1(又はWTB2)を含むウエハステージWST1(又はWST2)と、前述の一連の計測が終了したウエハWを保持するウエハテーブルWTB2(又はWTB1)を含むウエハステージWST2(又はWST1)とが、Y軸方向に関して位置が入れ替わるように、ウエハステージWST1及びWST2を、粗動ステージ駆動系51A、51Bを介して駆動する。この場合、主制御装置20は、Y軸方向に関して位置が入れ替わるように、ウエハテーブルWTB1を含むウエハステージWST1とウエハテーブルWTB2を含むウエハステージWST2とを、Y軸方向に平行な互いに逆向きの経路を含むそれぞれの移動経路に沿って並行して駆動する(図12参照)。本実施形態では、かかるY軸方向に平行な互いに逆向きの経路を含むそれぞれの移動経路が採用されており、この移動経路をウエハステージWST1、WST2が通過する前後で、主制御装置20は、粗動ステージ駆動系51A、51Bによって、ウエハステージWST1、WST2を、それぞれ、粗動ステージWCSの空間内に配置されるアーム部材711、712(すなわち、ヘッド73a〜73c、75a〜75c)の一方の代わりにアーム部材711、712(すなわち、ヘッド73a〜73c、75a〜75c)の他方が配置されるように露光ステーション200と計測ステーション300との一方から他方に移動するようになっている(例えば、図9及び図18参照)。この場合において、ウエハステージWST1又はWST2の露光ステーション200と計測ステーション300との間の領域(中間領域)から露光ステーション200(又は計測ステーション300)へ移動するために、主制御装置20により、計測系80Dで計測されるウエハステージWST1又はWST2の位置情報に基づいて、粗動ステージ駆動系51A、51BによるウエハステージWST1又はWST2の駆動が制御される。また、ウエハステージWST1とウエハステージWST2とは、前述の中間領域内で互いに異なる移動経路を通って露光ステーション200と計測ステーション300との一方から他方に移動され、本実施形態ではその異なる移動経路がX方向に関して位置が異なる、すなわちベース盤12上でX方向の一端側と他端側とに離れて設定される。本実施形態では、チューブキャリアが、ウエハステージWST1に対しては−X方向から接続され、ウエハステージWST2に対しては+X方向から接続されるため、ウエハステージWST1はX方向に関して投影光学系PLの−X側に移動経路が設定され、ウエハステージWST2はX方向に関して投影光学系PLの+X側に移動経路が設定される。
また、主制御装置20は、例えば上記の露光済みのウエハWを保持するウエハステージWST1及びWST2の一方と、前述の一連の計測が終了したウエハWを保持するウエハステージWST1及びWST2の他方とのY軸方向に関する位置の入れ替え時を含み、ウエハステージWST1及びWST2の一方に保持されたウエハWの露光終了後ウエハステージWST1及びWST1の他方に保持されたウエハWの露光が開始されるまでの一部の期間で、計測テーブルMTBが有する計測用部材、すなわち前述の照度むらセンサ95、空間像計測器96、波面収差計測器97及び照度モニタ98の少なくとも1つを用いて、照度むら計測、空間像計測、波面収差計測及びドーズ計測の少なくとも1つを行うことができる。これにより、スループットを低下させることなく、必要に応じて露光に関連する計測を行うことが可能になる。
本実施形態では、ウエハステージWST1及びWST2の移動経路は、X軸方向にウエハステージWST1及びWST2を互いに逆向きに駆動する経路を、さらに含む(図13参照)。
従って、スループットの向上が可能となるとともに、装置の小型化も可能になる。
本実施形態に係る露光装置100は、露光ステーション200にウエハステージWST1(又はWST2)があるときに、粗動ステージWCSに6自由度方向に移動可能に保持されるウエハテーブルWTB1(又はWTB2)、すなわち微動ステージWFSの6自由度方向の位置を計測する第1微動ステージ位置計測系110Aが、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)の裏面(−Z側の面)に設けられたグレーティングRGに計測ビームを下方から照射し、該計測ビームのグレーティングRGからの光(反射回折光)を受光して、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)が露光ステーション200内の所定の範囲(ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)に保持されたウエハWの露光のためウエハテーブルWTB1(又はWTB2)が移動する範囲を少なくとも含む露光ステーション200内の範囲)で移動する際に、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)の6自由度方向の位置情報を計測する第1バックサイドエンコーダシステム70Aと、メインフレームBDに設けられたヘッド部62A、62Cを有し、ヘッド部62A、62CからウエハテーブルWTB1(又はWTB2)に設けられた一対のスケール391、392(2次元グレーティング)に計測ビームを照射し、該計測ビームのスケール391、392(2次元グレーティング)からの光(反射回折光)を受光して、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)が露光ステーション200内の上記所定の範囲を移動する際に、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)の6自由度方向の位置情報を、第1バックサイドエンコーダシステム70Aによる前記位置情報の計測と並行して計測可能な第1トップサイドエンコーダシステム80Aと、を備えている。そして、主制御装置20は、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)が露光ステーション200内の上記所定の範囲を移動する際、例えば露光時に、第1バックサイドエンコーダシステム70Aによる位置情報及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aによる位置情報のうち、信頼性の高い方の位置情報に基づいて、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)を駆動する。
また、本実施形態に係る露光装置100は、計測ステーション300にウエハステージWST1(又はWST2)があるときに、粗動ステージWCSに6自由度方向に移動可能に保持されるウエハテーブルWTB1(又はWTB2)、すなわち微動ステージWFSの6自由度方向の位置を計測する第2微動ステージ位置計測系110Bが、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)の裏面(−Z側の面)に設けられたグレーティングRGに計測ビームを下方から照射し、該計測ビームのグレーティングRGからの光(反射回折光)を受光して、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)が計測ステーション300内の所定の範囲(前述した一連の計測処理のため、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)が移動する範囲を少なくとも含む計測ステーション300内の範囲、例えば露光ステーション200における前述の所定の範囲に対応する計測ステーション300における範囲)で移動する際に、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)の6自由度方向の位置情報を計測する第2バックサイドエンコーダシステム70Bと、メインフレームBDに設けられたヘッド部62F、62Eを有し、ヘッド部62F、62EからウエハテーブルWTB1(又はWTB2)上の一対のスケール391、392(2次元グレーティング)に計測ビームを照射し、該計測ビームのスケール391、392(2次元グレーティング)からの光(反射回折光)を受光して、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)が計測ステーション300内の上記所定の範囲を移動する際に、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)の6自由度方向の位置情報を、第2バックサイドエンコーダシステム70Bによる前記位置情報の計測と並行して計測可能な第2トップサイドエンコーダシステム80Bと、を備えている。そして、主制御装置20は、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)が計測ステーション300内の上記所定の範囲を移動する際、例えばアライメント時に、第2バックサイドエンコーダシステム70Bによる位置情報及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bによる位置情報のうち、信頼性の高い方の位置情報に基づいて、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)をサーボ駆動する。
さらに、アンローディングポジションLP1が、露光位置とアライメント位置との間、より具体的には、露光済みのウエハWを保持するウエハステージWST1又はWST2が、その移動経路に沿って−Y方向に駆動された後X軸方向に駆動された位置に設定されているので、露光済みのウエハをその露光終了後の短時間後にウエハテーブルWTB1(又はWTB2)上からアンロードした後、ローディングポジションLPに戻ることができる。また、露光終了後、計測テーブルMTBに液浸領域14(液体Lq)を渡した後、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)は、液体に触れること無く、アンローディングポジションLP1へ、さらにはローディングポジションLPに戻る。従って、この時のウエハテーブルWTB1(又はWTB2)の移動を、高速かつ高加速で行うことができる。さらに、ローディングポジションLPが、アライメント検出系ALGのBCHKの前半の処理が行われる位置に設定されているので、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)上へのウエハのロードと少なくとも一部並行して、又はロード後、直ちにアライメント検出系ALGのBCHKの前半の処理を含む一連の計測処理を開始することができる。また、この計測処理は、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)に液体が触れることなく行われるので、高速かつ高加速でウエハテーブルWTB1(又はWTB2)を移動させつつ、行うことができる。
さらに、ウエハW上の複数のショット領域の露光順序は、−X側半部(又は+X側半部)における+Y側から−Y側のショット領域の順に露光した後、+X側半部(又は−X側半部)における−Y側から+Y側のショット領域の順に露光するので、露光が終了した時点で、アンローディングポジションLP1に最も近い位置にウエハテーブルWTB1(又はWTB2)が位置している。従って、露光終了後、最短時間でアンローディングポジションLP1へのウエハテーブルWTB1(又はWTB2)の移動が可能である。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る露光装置100によると、高精度なアライメント結果、及びフォーカスマッピングの結果に基づいて、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハWに対する液浸露光による高解像度な露光が、重ねあわせ精度良く行われる。また、露光対象のウエハWが、例えば450mmウエハなどであっても、スループットを高く維持することができる。具体的には、露光装置100では、450mmウエハに対する露光処理を、前述した米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示される液浸スキャナで300mmウエハに対する露光処理と、同等あるいはそれ以上の高スループットで実現することが可能である。
なお、上記実施形態では、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと第1トップサイドエンコーダシステム80Aとを併用して、両者の計測情報のうち、信頼性の高い方の計測情報を用いて、露光ステーション200におけるウエハテーブルWTB1(又はWTB2)の位置を制御する一例として、θx、θy、及びθz方向に関しては、第1トップサイドエンコーダシステム80Aによる計測情報を用い、残りのX軸、Y軸、及びZ軸方向に関しては第1バックサイドエンコーダシステム70Aによる計測情報を用いるものとしたが、これは一例に過ぎない。
例えば、450ミリウエハ対応の露光装置では、ウエハテーブルの大きさから考えて、第1バックサイドエンコーダシステム70Aの計測アーム71A(アーム部材711)が片持ち支持構造でその長さが500mm、あるいはそれ以上となるため、例えば100Hz〜400Hz位の帯域の暗振動(ボディの振動)の影響が大きくなる。これに対して、第1トップサイドエンコーダシステム80Aは、ボディの振動による影響は小さく、極低周波の帯域を除けば計測騙されは小さいと考えられる。そこで、これらの点に着目して、第1バックサイドエンコーダシステム70A及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aによる計測情報のうち、信頼性の高い方の計測情報を出力信号の周波数帯域で選択的に用いるようにしても良い。この場合、例えば同一のカットオフ周波数を有するローパスフィルタ及びハイパスフィルタを用いて、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと第1トップサイドエンコーダシステム80Aとの出力を選択的に用いる(切り換える)こともできるし、これに限らず、例えば、フィルタを用いることなく、トップサイドエンコーダシステムの出力信号とバックサイドエンコーダシステムの出力信号とを重み付けして加算したハイブリッド位置信号を用いても良い。また、振動以外の要因によってトップサイドエンコーダシステムとバックサイドエンコーダシステムとを使い分ける、あるいは併用しても良い。この他、ウエハテーブルWTB1又はWTB2の移動を伴う所定の動作について、第1バックサイドエンコーダシステム70A又は第1トップサイドエンコーダシステム80Aによる計測情報(位置情報)の方が信頼性が高いことが明らかである場合には、その動作の間は、その信頼性が高い方の位置情報が、ウエハテーブルWTB1又はWTB2の位置制御に用いられることとしても良い。例えば、第1微動ステージ位置計測系110Aでは、例えば走査露光中はバックサイドエンコーダシステム70Aのみを用いるようにしても良い。
いずれにしても、本実施形態によると、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと第1トップサイドエンコーダシステム80Aとによる並行したウエハテーブルWTB1又はWTB2の位置計測が可能であるので、一方のエンコーダシステムの単独使用、両者のシステムの併用など、両者の長所、短所に応じた種々の使用方法が可能になる。
また、上記実施形態では、第2微動ステージ位置計測系110Bにおいて、第2バックサイドエンコーダシステム70B及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bによる計測情報(位置情報)のうち、信頼性の高い方の位置情報を選択する方法は、上記と同様の方法を採用することができる。
また、上記実施形態では、第1微動ステージ位置計測系110Aが、第1バックサイドエンコーダシステム70Aに加えて第1トップサイドエンコーダシステム80Aを備えているものとしたが、これに限らず、露光ステーション200におけるウエハテーブルWTB1又はWTB2の位置を計測する計測系は、第1バックサイドエンコーダシステム70Aのみであっても良いし、第1トップサイドエンコーダシステム80Aに代えて、別の構成のエンコーダシステム、あるいは干渉計システムなどを、第1バックサイドエンコーダシステム70Aと組み合わせて用いても良い。第1バックサイドエンコーダシステム70Aのみを用いる場合、バックサイドエンコーダシステム70Aの座標系のθx、θy、及びθz方向、又は6自由度方向の長期的な安定性を確保するため必要なキャリブレーションを行うようにすることが望ましい。
また、上記実施形態では、第2微動ステージ位置計測系110Bが、第2バックサイドエンコーダシステム70Bと第2トップサイドエンコーダシステム80Bとを備えるものとしたが、これに限らず、計測ステーション300におけるウエハテーブルWTB1又はWTB2の位置を計測する計測系は、第2バックサイドエンコーダシステム70Bのみであっても良いし、第2トップサイドエンコーダシステム80Bに代えて、別の構成のエンコーダシステム、あるいは干渉計システムなどを、第2バックサイドエンコーダシステム70Bと組み合わせて用いても良い。第2バックサイドエンコーダシステム70Bのみを用いる場合、バックサイドエンコーダシステム70Bの座標系のθx、θy、及びθz方向、又は6自由度方向の長期的な安定性を確保するため必要なキャリブレーションを行うようにすることが望ましい。
また、上記実施形態では、露光座標セット用計測系34、及び計測座標セット用計測系35が、それぞれZセンサとともにウエハテーブル上のマークのX,Y2次元方向の位置を検出する一対の画像センサを備えているものとしたが、これに限らず、例えば画像センサに代えて、ウエハテーブルのXY2次元方向の絶対位置の計測が可能なアブソリュートエンコーダを設けても良い。
また、上記実施形態では、アンローディングポジションUP1が、露光ステーション200と計測ステーション300との間に設定されるものとしたが、これに限らず、次の変形例に係る露光装置のように、アンローディングポジションをローディングポジションLPの近傍に設定しても良い。
《変形例》
図21には、変形例に係る露光装置の並行処理動作中の一瞬の状態が示されている。この図21は、前述した実施形態に係る図14の状態に対応する。この図21からわかるように、この変形例に係る露光装置では、アンローディングポジションUPが、ローディングポジションLPとともに、計測アームの近傍に設定されている。より具体的には、前述した実施形態に係る露光装置のローディングポジションLPを基準として、ローディングポジションLPが+X側に所定距離ずれた位置に設定され、アンローディングポジションUPが−X側に所定距離ずれた位置に設定されている。また、前述の待機ポジションUP2、UP3のようなウエハの待機ポジションは設けられていない。また、本変形例に係る露光装置では、計測座標セット用計測系35(画像センサ36c、36d及びZセンサ38d〜38f)が、ヘッド部62F,62Eの+Y側に配置されている。その他の部分の構成等は、前述の実施形態に係る露光装置100と同様になっている。
ここで、図21〜図24に基づいて、この変形例に係る露光装置で、ウエハステージWST1、WST2と計測ステージMSTとを用いた一連の並行処理動作のうち、ウエハ交換動作を含む一部の動作を説明する。
前述した実施形態と同様の手順で、ウエハステージWST1、WST2と計測ステージMSTとを用いた並行処理が行われ、図21に示される位置までウエハステージWST2が移動すると、主制御装置20は、ウエハテーブルWTB2(ウエハステージWST2)の位置制御に用いる位置計測系を、前述と同様にして、計測系80Dから一時的に第3微動ステージ位置計測系110Cに切り換える。以後、ウエハテーブルWTB2の位置の制御は、第3微動ステージ位置計測系110Cによる計測値に基づいて行われる。また、図21に示される位置までウエハステージWST2が移動した状態では、ウエハテーブルWTB2は、液浸領域の受け渡しのため、計測テーブルMTBに対してY軸方向に関して接触又は近接する状態(スクラム状態)となっている。
次いで、主制御装置20は、図21中に2つの上向きの白抜き矢印でそれぞれ示されるように、ウエハテーブルWTB2と計測テーブルMTBとの接触又は近接する状態を維持したまま、ウエハステージWST2と計測ステージMSTとを、+Y方向に駆動する。これにより、投影ユニットPUの下に形成される液浸領域14(液体Lq)が、計測テーブルMTB上からウエハテーブルWTB2上に移動し(受け渡され)、投影光学系PLとウエハテーブルWTB2とによって液浸領域14(液体Lq)が保持されるようになる(図23参照)。
上記の液浸領域14の受け渡しが終了した時点では、ウエハステージWST2の空間部内に計測アーム71Aが挿入され、ウエハテーブルWTB2の裏面(グレーティングRG)が計測アーム71Aのヘッド73a〜73cに対向するとともに、ヘッド部62A、62Cが、スケール391、392に対向する状態になっている(図23参照)。すなわち、ウエハテーブルWTB2の位置が、第3微動ステージ位置計測系110Cとともに第1微動ステージ位置計測系110Aによっても計測可能となる。そこで、主制御装置20は、前述と同様、第3微動ステージ位置計測系110Cで計測されるウエハテーブルWTB2の6自由度方向の位置座標に基づいて、第1バックサイドエンコーダシステム70A及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aの原点を復帰する。このようにして、露光ステーション200内で移動するウエハテーブルWTB2の位置を管理する露光時座標系の復帰が行われる。
主制御装置20は、上述の露光時座標系の復帰後、ウエハテーブルWTB2の位置を、第1バックサイドエンコーダシステム70A及び第1トップサイドエンコーダシステム80Aのうち信頼性の高い方の位置情報に基づいて管理する。
上述した液浸領域14の受け渡しのためのウエハステージWST2と計測ステージMSTとの+Y方向の駆動と並行して、主制御装置20は、ウエハステージWST1を、図21中に下向きの白抜き矢印で示されるように、アンローディングポジションUP(及びローディングポジションLP)に向けて駆動する。この駆動の途中で、計測系80DによるウエハステージWST1(ウエハテーブルWTB1)の位置計測ができなくなる。そこで、ウエハステージWST1が計測系80Dによる計測範囲から外れる前に、例えばウエハステージWST1が図22に示される位置に到達した時点で、主制御装置20は、ウエハテーブルWTB1(ウエハステージWST1)の位置制御に用いる位置計測系を、前述の計測系80Dから第2微動ステージ位置計測系110Bに切り換える。すなわち、ウエハステージWST1が図22に示される位置に到達した時点では、ウエハステージWST1の空間部内に計測アーム71Bが挿入され、ウエハテーブルWTB1の裏面(グレーティングRG)が計測アーム71Bのヘッド75a〜75cに対向するとともに、ヘッド部62F、62Eが、スケール391、392に対向している。また、このとき、計測座標セット用計測系35によるウエハテーブルWTB1の6自由度方向の絶対位置の計測が可能になっている。そこで、主制御装置20は、計測座標セット用計測系35と第2微動ステージ位置計測系110Bとを用いて、ウエハテーブルWTB1の6自由度方向の位置の同時計測を行う。そして、前述と同様、主制御装置20は、第2微動ステージ位置計測系110Bの第2バックサイドエンコーダシステム70B及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bの計測値を、計測座標セット用計測系35で計測されるウエハテーブルWTB1の絶対位置に基づいて、再設定することで、第2バックサイドエンコーダシステム70B及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bの原点を復帰する。このようにして、計測ステーション300内で移動するウエハテーブルWTB1の位置を管理する計測時座標系の復帰が行われる。
計測座標セット用計測系35は、ウエハテーブルWTB1の6自由度方向の絶対位置の計測が可能なので、上記の計測系80Dから第2微動ステージ位置計測系110Bへの切り換え、すなわち計測時座標系の復帰は、短時間で行うことができる。
主制御装置20は、上述の計測時座標系の復帰後、ウエハテーブルWTB1の位置を、第2バックサイドエンコーダシステム70B及び第2トップサイドエンコーダシステム80Bのうち信頼性の高い方の位置情報に基づいて管理しつつ、ウエハステージWST1を図22中に白抜き矢印で示されるように、−Y方向かつ−X方向に駆動してアンローディングポジションUPに位置決めする(図23参照)。
アンローディングポジションLPでは、露光済みのウエハW1が、以下の手順でウエハステージWST1上からアンロードされる。すなわち、不図示のバキュームチャックによるウエハW1の吸着が解除された後、上下動ピンが上昇することで、ウエハW1がウエハホルダ上から持ち上げられる。そして、ロボットアームなどから成る不図示のアンロードアームがウエハW1とホルダとの間に差し込まれ、アンロードアームが所定量上昇することで、ウエハW1が上下動ピンからアンロードアームに渡される。そして、アンロードアームによって図23中に黒塗り矢印で示されるように、外部搬送系との受け渡し位置まで搬出される。この場合、上下動ピンは、次のウエハのロードに備えて所定量上昇した状態を維持している。
次に、主制御装置20は、ウエハステージWST1を、図24に白抜き矢印で示されるように、+X方向に所定量駆動して、ローディングポジションLPに位置決めする。ローディングポジションLPでは、新たな露光前のウエハW3(ここでは、一例として、あるロット(1ロットは25枚又は50枚)の中間のウエハとする)が、前述と同様にしてウエハテーブルWTB1上にロードされる。図24には、新たな露光前のウエハW3がウエハテーブルWTB1上にロードされた状態が示されている。
一方、ウエハステージWST1のアンローディングポジションUPへの移動、ウエハW1のアンロード、ウエハステージWST1のローディングポジションLPへの移動、及びウエハW3のロードと並行して、ウエハステージWST2は、計測テーブルMTBとウエハテーブルWTB2との接近又は接触状態を維持したまま、図23及び図24中に2つの白抜き矢印で示されるように、ウエハW2の露光開始位置、すなわち第1ショット領域の露光のための加速開始位置へ向かって移動する。これに先立って、図23に示されるように、ウエハステージWST2の計測プレート30が投影光学系PLの直下に配置される位置にある状態で、主制御装置20は、必要に応じ、両ステージWST2,MSTを停止し、BCHK後半の処理及びフォーカスキャリブレーション後半の処理を行う。
以上の作業が終了すると、主制御装置20は、計測ステージMSTを、−X方向かつ+Y方向に駆動して、両ステージWST2,MSTの接触又は近接状態を解除した後、前述と同様のウエハW2の露光を開始する。
上記のウエハW2の露光と並行して、主制御装置20は、一連の計測処理を行う。すなわち、主制御装置20は、ウエハW3がロードされたウエハステージWST1を、−X方向に所定量駆動して、計測プレート30上の基準マークFMがアライメント検出系ALGの視野(検出領域)内に位置決めされる位置に位置決めする。そして、アライメント検出系ALGのベースライン計測(BCHK)の前半の処理を行った後、主制御装置20は、フォーカスキャリブレーション前半の処理を行う。その後、上記実施形態と同様フォーカスマッピング及びEGA方式のウエハアライメントを行う。
詳細は省略するが、以後前述した実施形態と同様のウエハステージWST1、WST2及び計測ステージMSTを用いる並行処理動作が、主制御装置20によって、行われる。
以上説明した変形例に係る露光装置では、2つのウエハステージWST1、WST2を用いるにも拘わらず、待機ポジションUP2、UP3を設けなくても良くなるとともに、ウエハのアンロード系を単一のロボットアームによって構成することも可能になる。従って、特にウエハのアンロード系の構成を簡単にすることができる。なお、変形例に係る露光装置において、アンローディングポジションとローディングポジションとを同一位置に設定しても良く、この場合、計測プレート30上の基準マークFMがアライメント検出系ALGの視野(検出領域)内に位置決めされる位置にアンローディングポジション兼ローディングポジションを設定することが好ましい。
また、上記実施形態及び変形例(以下、上記実施形態と称する)において、ウエハステージWST1、WST2がそれぞれ備える粗動ステージWCSの位置情報を計測する計測系、及び/又は計測ステージMSTのスライダ部60及び支持部62の位置情報を計測する計測系、例えば干渉計システムなどを別途設けても良い。この場合において、粗動ステージWCSと微動ステージWFSとの相対位置情報を計測する計測系、及び/又は計測ステージMSTのスライダ部60及び支持部62と計測テーブルMTBとの相対位置情報を計測する計測系を設けても良い。
また、上記実施形態では、露光ステーション200と計測ステーション300との間の領域(中間領域)におけるウエハステージWST1又はWST2の位置情報は、複数のホール素子を有する計測系80D(図6参照)によって計測されるものとしたが、これにかぎらず、計測系80Dを、干渉計システム又はエンコーダシステムによって構成しても良い。あるいは、計測系80Dとは別に、例えばトップサイドエンコーダシステム80A、80B、あるいは第3微動ステージ位置計測系110Cなどと同様に、ウエハステージWST1、WST2の外部に設けられる複数のヘッドを有し、ウエハステージWST1又はWST2が、前記中間領域に位置する際に、前記複数のヘッドを介して、ウエハテーブルWTB1、WTB2上のスケール391、392に対して、それぞれ計測ビームを照射して、ウエハステージWST1又はWST2の位置情報を計測する中間領域位置計測用のエンコーダシステムを設けても良い。このエンコーダシステムの複数のヘッドは、先に説明したウエハステージWST1、WST2の中間領域における移動経路をカバーするように配置される。この場合において、主制御装置20は、ウエハステージWST1又はWST2を、前記中間領域から露光ステーション200又は計測ステーション300に移動するために、計測系80Dで計測されるウエハステージWST1又はWST2の位置情報と上記の中間領域位置計測用のエンコーダシステムで計測されるウエハステージWST1又はWST2の位置情報とに基づいて、粗動ステージ駆動系51A、51BによるウエハステージWST1又はWST2の駆動を制御することとしても良い。
なお、上記実施形態では、第1、第2バックサイドエンコーダシステム70A,70Bが、エンコーダヘッドの光学系の少なくとも一部のみが内蔵されたアーム部材711、712をそれぞれ有する計測アーム71A,71Bを備える場合を説明したが、これに限らず、例えば、計測アームとしては、グレーティングRGに対向する部分から計測ビームを照射できれば、例えばアーム部材の先端部に光源や光検出器等を内蔵していても良い。この場合、アーム部材の内部に前述の光ファイバを通す必要がなくなる。さらに、アーム部材は、その外形及び断面の形状は特に問わないし、あるいはその自由端に特定の振動数の振動を抑制するダンピング部材が設けられていても良い。また、第1、第2バックサイドエンコーダシステム70A,70Bは、アーム部材711、712に光源及び/又は検出器が設けられていない場合であっても、アーム部材711、712の内部を利用しなくても良い。
また、上記実施形態では、第1、第2バックサイドエンコーダシステム70A,70Bが、それぞれ、1つの3次元ヘッドと、XZヘッド及びYZヘッドを備える場合について例示したが、ヘッドの組み合わせ配置は、これに限られないことは勿論である。また、第1、第2バックサイドエンコーダシステム70A,70Bは、Xヘッド及び/又はYヘッドとは別にZヘッドを備えるヘッド部(光学系)を採用しても良い。
上記実施形態では、微動ステージWFSの下面(裏面)にグレーティングRGが配置されているので、微動ステージWFSを中空構造にして軽量化を図るとともに、その内部に配管、配線等を配置することとしても良い。その理由は、エンコーダヘッドから照射される計測ビームが微動ステージWFSの内部を進行しないので、微動ステージWFSを光が透過可能な中実部材とする必要がないからである。しかしながら、これに限らず、微動ステージWFSを光が透過可能な中実部材とする場合には、微動ステージの上面、すなわちウエハに対向する面にグレーティングが配置されても良いし、グレーティングは、ウエハを保持するウエハホルダに形成されていても良い。後者の場合、露光中にウエハホルダが膨張したり、微動ステージに対する装着位置がずれたりした場合であっても、これに追従してウエハホルダ(ウエハ)の位置を計測することができる。
また、上記実施形態における第1ないし第3トップサイドエンコーダシステム80A〜80Cの構成は、上記実施形態で説明したものに限られない。例えば、第1ないし第3トップサイドエンコーダシステム80A〜80Cの少なくとも一部は、例えば米国特許出願公開第2006/0227309号明細書などに開示されているように、ウエハテーブルWTBに複数のエンコーダヘッド部(各エンコーダヘッド部は、例えば前述した4軸ヘッドと同様に構成することができる)を設け、これに対向してウエハテーブルWTBの外部に格子部(例えば2次元格子又は2次元に配置された1次元の格子部)を配置する構成のエンコーダシステムを採用しても良い。この場合、複数のエンコーダヘッド部はそれぞれウエハテーブルWTBの4隅(コーナー)に配置しても良いし、あるいは、ウエハテーブルWTBの外側でその中心(ウエハホルダの中心)で交差する2つの対角線上にそれぞれ、ウエハテーブルWTBを挟んで一対のエンコーダヘッド部を配置してもよい。また、格子部は、例えば、それぞれ2次元格子が形成される4つの格子板を、1つの固定部材(プレートなど)に取り付けるとともに、その4つの格子板が投影光学系PL(あるいはノズルユニット32)の周囲に配置されるように、フレクチャーを含む支持部材によって固定部材をメインフレームBDに吊り下げ支持しても良い。
なお、上記実施形態において、各バックサイドエンコーダシステムは、ヘッド部の構成などは前述したものに限らず任意で構わない。また、各トップサイドエンコーダシステムは、ヘッドの配置や数などが任意で構わない。
なお、第3トップサイドエンコーダシステム80Cのヘッドの配置(位置)を変更する、あるいは少なくとも1つのヘッドを追加することによって、前述のスクラム動作中に、第3トップサイドエンコーダシステム80Cによって計測ステージMSTの位置情報を計測可能としても良い。
なお、上記実施形態では、微動ステージWFSは、全6自由度方向に駆動可能であったが、これに限らず少なくともXY平面に平行な二次元平面内を移動できれば良い。また、微動ステージ駆動系52A、52Bは、上述したムービングマグネット式のものに限らず、ムービングコイル式のものであっても良い。さらに微動ステージWFSは、粗動ステージWCSに接触支持されていても良い。従って、微動ステージWFSを粗動ステージWCSに対して駆動する微動ステージ駆動系は、例えばロータリモータとボールねじ(又は送りねじ)とを組み合わせたものであっても良い。
なお、上記実施形態において、計測ステージMSTの複数の計測用部材(センサ)を使う計測動作はその全てを、ウエハステージWST1とウエハステージWST2との一方から他方への置換中に行なう必要はなく、例えば、複数の計測の一部を、ウエハステージWST1からウエハステージWST2への置換中に行ない、残りの計測を、ウエハステージWST2からウエハステージWST1への置換中に行なっても良い。
また、上記実施形態において、計測ステージMSTは必ずしも前述の各種計測用部材(センサ)を有していなくても良く、単にウエハステージの代わりに投影光学系PLの下に液浸領域を維持するためだけに使用しても良いこと、この場合、ウエハステージに前述の各種計測用部材(センサ)の少なくとも一部を設けても良い。
また、上記実施形態において、露光前のウエハを、ウエハテーブルWTB上にロードするのに先立ってローディングポジションの上方で非接触支持するとともに、ウエハテーブルWTB1又はWTB2上にロードするための装置(チャックユニットとも呼ばれる)を設けても良い。チャックユニットは、ウエハを上方から非接触で支持する支持部材として、例えばベルヌーイ・チャック(又はフロートチャックとも呼ばれる)を備えることができる。チャックユニット(ベルヌーイ・チャック)は、例えば搬送機能のみ、あるいは、搬送機能に加えて、温調機能、プリアライメント機能、及び撓み補正機能(平坦化機能)の少なくとも1つを有することとしても良く、チャックユニット(ベルヌーイ・チャック)に付加する機能の種類や数などによってその構成を決定すれば良いし、搬送機能を含む4つの機能を実現する構成は各機能を実現できればその構成は特に問わない。なお、ベルヌーイ・チャックのようなベルヌーイ効果を利用するものに限らず、非接触でウエハを指示可能なチャックを使用しても良い。
また、上記実施形態では、露光装置が、それぞれ、微動ステージWFSと、該微動ステージWFSを支持した粗動ステージWCSとを備えるウエハステージWST1とウエハステージWST2とを、計測ステーション300と露光ステーション200との間で往復移動させる構成である場合について説明したが、これに限らず、2つの微動ステージの2つの粗動ステージ間での持ち替えが可能となる構成を付加し、その2つの微動ステージを、交互に、計測ステーション300と露光ステーション200との間で往復移動させても良い。あるいは、3つ以上の微動ステージを用いても良い。一方の微動ステージWFS上のウエハに対する露光処理と、他方の微動ステージWFSを用いた上述の計測処理との並行処理が可能となる。この場合、2つの粗動ステージの一方は露光ステーション200内でのみ、2つの粗動ステージの他方は計測ステーション300内でのみ移動可能としても良い。
なお、上記実施形態では、液浸型の露光装置について説明したが、これに限らず、露光装置は、液体(水)を介さずにウエハWの露光を行うドライタイプであっても良い。かかる場合であっても、主制御装置20は、例えば一方のウエハステージ(WST1又はWST2)に保持されたウエハWの露光終了後、その一方のウエハステージが投影光学系PLの下方から離れ、他方のウエハステージ(WST2又はWST1)に保持されたウエハWの露光が開始されるまでの間に、計測テーブルMTBが有する計測用部材(すなわち前述の照度むらセンサ95、空間像計測器96、波面収差計測器97及び照度モニタ98の少なくとも1つ)を用いて、照明光ILを投影光学系PLを介してそれぞれの計測器の受光面を介して受光する露光に関連する計測、すなわち照度むら計測、空間像計測、波面収差計測及びドーズ計測の少なくとも1つを行うことができる。これにより、スループットを低下させることなく、必要に応じて露光に関連する計測を行うことが可能になる。
なお、上記実施形態では、露光装置が、スキャニング・ステッパである場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に上記実施形態を適用しても良い。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置にも上記実施形態は適用することができる。
また、上記実施形態の露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、この投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。
また、照明光ILは、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)に限らず、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。例えば米国特許第7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
また、上記実施形態では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を用いるEUV露光装置にも上記実施形態を適用することができる。その他、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、上記実施形態は適用できる。
また、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。かかる可変成形マスクを用いる場合には、ウエハ又はガラスプレート等が搭載されるステージが、可変成形マスクに対して走査されるので、このステージの位置を前述の第1、第2微動ステージ位置計測系110A、110Bを用いて計測することで、上記実施形態と同等の効果を得ることができる。
また、例えば国際公開第2001/035168号に開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも上記実施形態を適用することができる。
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを、投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも上記実施形態を適用することができる。
なお、上記実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものでなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど他の物体でも良い。
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも上記実施形態を適用できる。
半導体素子などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態に係る露光装置(パターン形成装置)及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをウエハに転写するリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
また、上記実施形態の露光装置(パターン形成装置)は、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
なお、これまでの説明で引用した露光装置などに関する全ての公報、国際公開公報、米国特許出願公開明細書及び米国特許明細書の開示を援用して本明細書の記載の一部とする。