以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、複合機(MFP:Multi Function Peripheral)としての画像形成装置を例として説明する。特に、本実施形態においては、画像形成装置にて画像形成出力の対象となる記録媒体である用紙の搬送制御を特徴として説明する。なお、記録媒体としては、上述した用紙の他、フィルム、プラスチック等のシート状の材料で、画像形成出力の対象物となるものであれば採用可能である。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成に加えて、画像形成を実行するエンジンを有する。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)11、ROM(Read Only Memory)12、エンジン13、HDD(Hard Disk Drive)14及びI/F15がバス18を介して接続されている。また、I/F15にはLCD(Liquid Crystal Display)16及び操作部17が接続されている。
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM11は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM12は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。エンジン13は、画像形成装置1において実際に画像形成を実行する機構である。
HDD14は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。I/F15は、バス18と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD16は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部17は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
このようなハードウェア構成において、ROM12やHDD14若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM11に読み出され、CPU10がそれらのプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ20、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)110、スキャナユニット22、排紙トレイ23、ディスプレイパネル24、給紙テーブル25、プリントエンジン26、排紙トレイ27及びネットワークI/F28を有する。
また、コントローラ20は、主制御部30、エンジン制御部31、入出力制御部32、画像処理部33及び操作表示制御部34を有する。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット22、プリントエンジン26を有する複合機として構成されている。尚、図2においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
ディスプレイパネル24は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F28は、画像形成装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
コントローラ20は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM12や不揮発性メモリ並びにHDD14や光学ディスク等の不揮発性記録媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM11等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされる。そして、それらのプログラムに従ったCPU10の演算によって構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ20が構成される。コントローラ20は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
主制御部30は、コントローラ20に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ20の各部に命令を与える。エンジン制御部31は、プリントエンジン26やスキャナユニット22等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。入出力制御部32は、ネットワークI/F28を介して入力される信号や命令を主制御部30に入力する。また、主制御部30は、入出力制御部32を制御し、ネットワークI/F28を介して他の機器にアクセスする。
画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン26が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、印刷ジョブに含まれる印刷情報とは、PC等の情報処理装置にインストールされたプリンタドライバによって画像形成装置1が認識可能な形式に変換された画像情報である。操作表示制御部34は、ディスプレイパネル24に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル24を介して入力された情報を主制御部30に通知する。
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部32がネットワークI/F28を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部32は、受信した印刷ジョブを主制御部30に転送する。主制御部30は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部33を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
画像処理部33によって描画情報が生成されると、エンジン制御部31は、生成された描画情報に基づいてプリントエンジン26を制御し、給紙テーブル25から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。プリントエンジン26によって画像形成が施された文書は排紙トレイ27に排紙される。
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル24の操作若しくはネットワークI/F28を介して外部のPC等から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部34若しくは入出力制御部32が主制御部30にスキャン実行信号を転送する。主制御部30は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部31を制御する。
エンジン制御部31は、ADF21を駆動し、ADF21にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット22に搬送する。また、エンジン制御部31は、スキャナユニット22を駆動し、ADF21から搬送される原稿を撮像する。また、ADF21に原稿がセットされておらず、スキャナユニット22に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット22は、エンジン制御部31の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット22が撮像部として動作する。
撮像動作においては、スキャナユニット22に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部31は、スキャナユニット22が生成した撮像情報を画像処理部33に転送する。画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、エンジン制御部31から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部33が生成した画像情報はHDD14等の画像形成装置1に装着された記憶媒体に保存される。即ち、スキャナユニット22、エンジン制御部31及び画像処理部33が連動して、原稿読み取り部として機能する。
画像処理部33によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD14等に格納され若しくは入出力制御部32及びネットワークI/F28を介して外部の装置に送信される。即ち、ADF21及びエンジン制御部31が画像入力部として機能する。
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部31がスキャナユニット22から受信した撮像情報若しくは画像処理部33が生成した画像情報に基づき、画像処理部33が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部31がプリントエンジン26を駆動する。
次に、本実施形態に係るプリントエンジン26の構成について、図3を参照して説明する。図3に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン26は、無端状移動手段である搬送ベルト105に沿って各色の画像形成部106が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。
搬送ベルト105は、給紙トレイ101から給紙ローラ102及びフリクションパッド118により分離給紙される用紙104に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである。この搬送ベルト105に沿って、搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部106Y、106M、106C、106K(以降、総じて画像形成部106とする)が配列されている。
また、給紙トレイ101から給紙された用紙104は、レジストローラ103によって一度止められ、画像形成部106における画像形成のタイミングに応じて搬送ベルト105からの画像の転写位置に送り出される。すなわち、レジストローラ103は、給紙ローラ102から搬送されて供給された記録媒体をさらに下流側に搬送する記録媒体搬送部として機能する。
複数の画像形成部106Y、106M、106C、106Kは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部106Kはブラックの画像を、画像形成部106Mはマゼンタの画像を、画像形成部106Cはシアンの画像を、画像形成部106Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。尚、以下の説明においては、画像形成部106Yについて具体的に説明するが、他の画像形成部106M、106C、106Kは画像形成部106Yと同様であるので、その画像形成部106M、106C、106Kの各構成要素については、画像形成部106Yの各構成要素に付したYに替えて、M、C、Kによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
搬送ベルト105は、回転駆動される駆動ローラ107と従動ローラ108とに架け渡されたエンドレスのベルト、即ち無端状ベルトである。この駆動ローラ107は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ107と、従動ローラ108とが、無端状移動手段である搬送ベルト105を移動させる駆動手段として機能する。
画像形成に際しては、回転駆動される搬送ベルト105に対して、最初の画像形成部106Yが、ブラックのトナー画像を転写する。画像形成部106Yは、感光体としての感光体ドラム109Y、この感光体ドラム109Yの周囲に配置された帯電器110Y、光書き込み部111、現像器112Y、感光体クリーナ(図示せず)、除電器113Y等から構成されている。光書き込み部111は、夫々の感光体ドラム109Y、109M、109C、109K(以降、総じて「感光体ドラム109」という)に対して光を照射するように構成されている。
画像形成に際し、感光体ドラム109Yの外周面は、暗中にて帯電器110Yにより一様に帯電された後、光書き込み部111からのブラック画像に対応した光源からの光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。現像器112Yは、この静電潜像をイエロートナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム109Y上にイエローのトナー画像が形成される。
このトナー画像は、感光体ドラム109Yと搬送ベルト105とが当接若しくは最も接近する位置(転写位置)で、転写器115Yの働きにより搬送ベルト105上に転写される。この転写により、搬送ベルト105上にイエローのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム109Yは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナにより払拭された後、除電器113Yにより除電され、次の画像形成のために待機する。
以上のようにして、画像形成部106Yにより搬送ベルト105上に転写されたイエローのトナー画像は、搬送ベルト105のローラ駆動により次の画像形成部106Mに搬送される。画像形成部106Mでは、画像形成部106Yでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム109M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が既に形成されたイエローの画像に重畳されて転写される。
搬送ベルト105上に転写されたイエロー、マゼンタのトナー画像は、さらに次の画像形成部106C、106Kに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム109C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム109K上に形成されたブラックのトナー画像とが、既に転写されている画像上に重畳されて転写される。こうして、搬送ベルト105上にフルカラーの中間転写画像が形成される。
給紙トレイ101に収納された用紙104は最も上のものから順に送り出され、その搬送経路が搬送ベルト105と接触する位置若しくは最も接近する位置において、転写ローラ117により搬送ベルト105上に形成された中間転写画像がその紙面上に転写される。これにより、用紙104の紙面上に画像が形成される。紙面上に画像が形成された用紙104は更に搬送され、定着器116にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
次に、用紙の搬送に関連する構成について、図4を参照してさらに説明する。図4は、プリントエンジン26及びエンジン制御部31の用紙の搬送に関する構成を例示するブロック図である。図3に示した構成のうちの用紙の搬送に関する構成及び図4に示した構成を含む構成が、用紙等の画像形成出力の対象となる記録媒体を搬送する記録媒体搬送装置として機能する。図4に示すように、プリントエンジン26は、給紙クラッチ121、給紙モータ122を含む。また、図4に示すように、エンジン制御部31は、給紙制御部131を含む。
給紙モータ122は、給紙クラッチ121からの制御に従って、給紙ローラ102の回転を駆動する。具体的には、例えば、給紙クラッチ121のON制御により、給紙モータ122は、給紙ローラ102を回転駆動し、給紙クラッチ121のOFF制御により、給紙モータ122は、給紙ローラ102の回転を停止する。
給紙制御部131は、用紙の搬送状態に応じて、給紙クラッチ121のON/OFFを制御する。すなわち、給紙制御部131は、記録媒体が収容されている記録媒体収容部である給紙トレイ101から記録媒体を搬送して供給する供給搬送部である給紙ローラ102の搬送動作を制御する搬送制御部として機能する。
本実施形態に係る給紙制御部131は、先に搬送される用紙(以降、「先行紙」とする)と先行紙の次に搬送される用紙(以降、「後行紙」とする)との紙間をあけることなく搬送するよう給紙クラッチ121を制御する。また、給紙制御部131は、後行紙(後行記録媒体)を給紙トレイ101から一定距離まで予め給紙し、一定距離まで給紙すると後行紙の給紙動作を一旦停止させ、先行紙との間隔が一定距離以上になると後行紙の給紙動作を再開させよう給紙クラッチ121を制御する。以降、給紙制御部131によるこの一連の搬送動作制御を「先出し制御」とする。
さらに、本実施形態に係る給紙制御部131は、先出し制御により後行紙の先端が搬送途中に折れてしまう(以降、「先端折れ」とする)ことを防止するために、給紙ローラ102の搬送動作を制御する。給紙制御部131によるこのような搬送動作制御が本実施形態に係る要旨であり、詳細は後述する。
ここで、本実施形態に係る給紙制御部131の詳細な説明に先立ち、先出し制御を行う理由及び従来の先出し制御における問題を説明する。画像形成装置1において、用紙の給紙制御の状態により、画像形成出力の際に不具合が発生する場合がある。具体的には、例えば、用紙が連続して給紙される場合に、先に給紙される先行紙と次に給紙される後行紙との間隔が短い場合、後行紙の搬送制御タイミングよりも給紙トレイの用紙切れの検知が遅れる場合がある。図5及び図6は、2枚目として給紙される用紙が給紙トレイ101にない場合(用紙切れの場合)の給紙クラッチ121及び各種センサの動作状態を例示する図である。図5は、先行紙と後行紙との給紙間隔がある程度長い場合の動作状態を示し、図6は、先行紙と後行紙との給紙間隔が短い場合の動作状態を示す。なお、図5及び図6においては、先行紙を「1枚目の用紙」とし、後行紙を「2枚目の用紙」とする。
図5及び図6に示した用紙検知センサは、給紙トレイ101に収容されている用紙を検知する。すなわち、用紙検知センサが用紙を検知しない場合、給紙トレイ101で用紙切れが発生していることを意味する。例えば、用紙検知センサは、給紙トレイ101に用紙がある場合ON信号を出力し、用紙が無い場合OFF信号を出力する。
用紙検知センサには、例えば、フィラー型センサが用いられる。そのため、給紙トレイ101に収容されている残り1枚の用紙が給紙された後も、用紙検知センサは、フィラーのばたつきが落ち着くまでしばらくの間ON信号を出力するので、実際に用紙切れしてから用紙切れを検知するまでにラグ(以降、「用紙切れ検知ラグ」とする)が生じる。
給紙間隔が用紙切れ検知ラグよりも長い場合、図5に示すように、給紙クラッチ121による2枚目の給紙制御よりも用紙検知センサによる用紙切れ検知のほうが早いので、給紙クラッチ121が2枚目の給紙制御を行うことはない。一方、給紙間隔が用紙切れ検知ラグよりも短い場合、図6に示すように、用紙検知センサが用紙切れを検知する前に、給紙クラッチ121が実際には存在しない2枚目の給紙制御を開始してしまう。そのため、実際には存在しない2枚目の用紙の搬送制御が開始したにも関わらず、レジストローラ103まで用紙が正しく搬送されたかを検知するレジストセンサがONにならないので、ジャム検知センサがジャムの発生を誤検知する場合がある。
また、例えば、用紙の後端が給紙ローラ102に残った状態で給紙ローラ102の回転が停止すると、給紙ローラ102と転写ローラ117との間で用紙に張りが生じて、転写ローラ117において振動が発生する。このような転写ローラ117における振動の発生により、用紙にジターと呼ばれる黒帯が発生する場合がある。
このような画像形成装置1の給紙制御の状態による画像形成出力の不具合を防止するために、先出し制御が行われる。図7は、従来の先出し制御が行われる場合の給紙クラッチ121の動作状態を例示する図である。図7に示すように、先出し制御により1枚目の用紙に対するON信号の出力時間が図5及び図6の場合に比べて「先出し分」だけ長くなっている。
図8は、本実施形態に係る用紙の先端折れを考慮した先出し制御との比較のために従来の先出し制御による用紙の搬送態様を例示する図である。なお、図8においては、実線で示す用紙を先行紙(1枚目)とし、1点鎖線で示す用紙を後行紙(2枚目)とする。図8(a)に示すように、先行紙及び後行紙は、両者の紙間がない状態で給紙ローラ102により搬送される。
図8(b)に示すように、先行紙及び後行紙がさらに下流側へ搬送されていき、図8(c)に示すように、後行紙が給紙トレイ101から一定距離離れた位置まで搬送されると、給紙ローラ102の回転が停止する。給紙ローラ102の回転が停止すると、後行紙は搬送されず、先行紙のみがレジストローラ103によりさらに下流側へ搬送されるので、先行紙と後行紙との間に間隔があいていく。先行紙と後行紙との間の間隔が一定量離れると、図8(d)に示すように、給紙ローラ102の回転が再開し、後行紙もさらに下流側へ搬送される。
すなわち、先出し制御においては、後行紙が図8(c)に示した位置に搬送されるまで、図7に示したように給紙クラッチ121による1枚目の用紙の給紙制御が続くことになる。このような給紙制御により、画像形成出力の際の不具合を防止することができる。具体的には、例えば、先出し制御により、図7に示したように、給紙クラッチ121による1枚目の給紙制御の時間が先出し分だけ長くなるので、2枚目の給紙制御の開始タイミングも図6の場合に比べて遅くなる。そのため、2枚目の給紙制御の開始タイミングよりも前に、用紙検知センサが用紙切れを検知するので、給紙クラッチ121が2枚目の給紙制御を開始せず、ジャム検知センサによるジャムの誤検知を防止することができる。
また、例えば、先出し制御により、後行紙が給紙トレイ101から一定距離まで予め給紙されるまで給紙ローラ102が回転し続けるので、転写ローラ117まで搬送される用紙の後端が給紙ローラ102に残った状態で給紙ローラ102の回転が停止することはない。そのため、上述したジターのような印刷状態の不具合を防止することができる。
しかしながら、従来の先出し制御では次のような問題が発生する。図9は、本実施形態に係る用紙の先端折れを考慮した先出し制御との比較のために従来の先出し制御により用紙が搬送されている際の給紙ローラ102及びフリクションパッド118の部分を拡大して例示した図である。フリクションパッド118は、用紙を給紙ローラ102とで挟み込んで給紙ローラ102による用紙の搬送を補助する搬送補助部の役割を担っている。例えば、給紙ローラ102及びフリクションパッド118により、給紙トレイ101に収容されている最上位の用紙から1枚ずつ用紙が分離されて給紙されることが可能になる。
このような構成において、従来の先出し制御によれば、搬送方向に対して後行紙の先端(以降、単に「後行紙先端」とする)が先行紙後端の下側に重なった状態で搬送されるので、後行紙先端が、給紙ローラ102及び先行紙によりフリクションパッド118に突き当てられる。そのため、図9の点線の円で示した部分において、後端紙先端に折れが発生している。
本実施形態に係る給紙制御部131は、上述した先出し制御を行いつつ、先出し制御により発生する用紙の先端折れを防止するよう給紙ローラ102による用紙の搬送動作を制御する。これが本実施形態に係る要旨の1つである。以下、本実施形態に係る給紙制御部131の動作の詳細を説明する。
図10は、本実施形態に係る給紙制御部131による給紙クラッチ121の制御動作を例示するフローチャートである。図10に示すように、給紙制御部131は、給紙クラッチ121をONに制御する(S1001)。これにより、給紙ローラ102が回転を開始し、給紙トレイ101から最上位の用紙が先行紙として給紙ローラ102に向かって送られ、先行紙と紙間なく次の用紙が後行紙として給紙ローラ102に向かって送られる。すなわち、給紙ローラ102の回転開始時においては、後行紙先端が先行紙後端の下側に重なった状態である。
給紙クラッチ121をONに制御した給紙制御部131は、先行紙後端が給紙トレイ101を抜けた位置にあるか否かを判定する(S1002)。先行紙後端が給紙トレイ101を抜けた位置は、先行紙後端が給紙ローラ102とフリクションパッド118とで挟み込まれる前の位置である。具体的には、例えば、給紙制御部131は、搬送されている用紙の搬送方向の長さ及び搬送速度に基づいて、用紙後端が給紙トレイ101から給紙トレイ101を抜けた位置まで搬送されるための所要時間を予め算出しておく。そして、給紙制御部131は、給紙クラッチ121をONに制御したタイミングから算出した所要時間が経過したタイミングで、先行紙後端が給紙トレイ101を抜けた位置にあると判定する。
なお、用紙の搬送方向の長さは、例えば、画像形成装置1の利用者等によるディスプレイパネル24の操作を介して予め設定されて、給紙制御部131が参照可能な記憶媒体等に記憶されているものとする。また、搬送速度は、例えば、画像形成装置1の設定情報として、給紙制御部131が参照可能な記憶媒体等に予め記憶されているものとする。
給紙制御部131は、先行紙後端が給紙トレイ101を抜けた位置にあると判定した場合(S1002/YES)、給紙クラッチ121をOFFに制御する(S1003)。これにより、給紙ローラ102が回転を停止し、給紙ローラ102による先行紙及び後行紙の搬送が停止する。一方で、搬送動作中であるレジストローラ103の回転は継続しているので、先行紙はレジストローラ103によりさらに下流側に搬送される。
このように先行紙のみが下流側に搬送されることにより、あるタイミングで先行紙後端と後端紙先端との重なりが解消される。給紙クラッチ121をOFFに制御した給紙制御部131は、先行紙後端と後行紙先端との重なりが解消されたか否かを判定する(S1004)。具体的には、例えば、給紙制御部131は、給紙クラッチ121をOFFに制御したタイミングから所定時間が経過したタイミングで、重なりが解消されたと判定する。
なお、所定時間が長すぎると、給紙ローラ102による搬送が停止した状態でレジストローラ103により用紙が搬送される時間が長くなり、給紙ローラ102と転写ローラ117との間で用紙の張りが生じて、上述したジター等の不具合が発生する場合がある。そのため、所定時間は、ジター等の不具合が発生しない程度の長さに設定される必要がある。なお、所定時間は、例えば、画像形成装置1の管理者等により予め設定されて、給紙制御部131が参照可能な記憶媒体等に記憶されているものとする。
給紙制御部131は、重なりが解消されたと判定した場合(S1004/YES)、給紙クラッチ121をONに制御する(S1005)。これにより、給紙ローラ102の回転が再開し、先行紙と後行紙との重なりがない状態で両紙が給紙ローラ102により搬送される。
給紙クラッチ121をONに制御した給紙制御部131は、後行紙先端が給紙トレイ101から一定距離離れた位置にあるか否かを判定する(S1006)。具体的には、例えば、給紙制御部131は、搬送速度に基づいて、用紙先端が給紙トレイ101から一定距離離れた位置まで搬送されるための所要時間を予め算出しておく。そして、給紙制御部131は、給紙クラッチ121をONにしていた合計時間が所要時間を超えたタイミングで、後行紙先端が給紙トレイ101から一定距離離れた位置にあると判定する。
給紙制御部131は、後行紙先端が給紙トレイ101から一定距離離れた位置にあると判定した場合(S1006/YES)、給紙クラッチ121をOFFに制御する(S1007)。これにより、給紙ローラ102が回転を停止し後行紙の搬送が停止する。一方で、先行紙はレジストローラ103によりさらに下流側に搬送される。以降の処理については、従来の先出し制御と同様である。
図11は、本実施形態に係る給紙制御部131の制御による給紙クラッチ121の動作状態を例示する図である。図12は、本実施形態に係る給紙制御部131の制御による用紙の搬送態様を例示する図である。図12においては、図8と同様に、実線で示す用紙を先行紙(1枚目)とし、1点鎖線で示す用紙を後行紙(2枚目)とする。
図11に示すように、給紙制御部131は、給紙クラッチ121をONにして、給紙ローラ102による先行紙(1枚目)の給紙制御を開始する。その際、先出し制御により後行紙(2枚目)も給紙トレイ101から給紙ローラ102に向かって送られている。図12(a)に示すように、先行紙後端が給紙ローラ102とフリクションパッド118とで挟み込まれる前の位置まで搬送されたタイミングで、給紙制御部131は、図11に示すように、一旦、給紙クラッチ121をOFFに制御する。これにより、図12(a)に示すように、給紙ローラ102の回転が停止する。
給紙ローラ102の回転が停止したので、後行紙の搬送は停止し、先行紙のみがレジストローラ103によりさらに下流側へ搬送される。その結果、図12(b)に示すように、先行紙後端と後行紙先端との重なりが解消される。図13は、両紙の重なりが解消されたタイミングにおける給紙ローラ102及びフリクションパッド118の部分を拡大して例示した図である。
図13に示すように、先行紙と後行紙との重なりが解消されることで、図9を示して説明したように後行紙先端が給紙ローラ及び先行紙によりフリクションパッド118に突き当てられることがないので、用紙の先端折れが発生しなくなる。両紙の重なりが解消されたタイミングで、給紙制御部131は、図11に示すように給紙クラッチ121を再度ONに制御する。これにより、図12(b)に示すように、給紙ローラ102の回転が再開し、先行紙及び後行紙がさらに下流側へ搬送される。これが、図11に斜線で示す先出し分の制御である。
図12(c)に示すように、後行紙が給紙トレイ101から一定距離離れた位置まで搬送されたタイミングで、給紙制御部131は、図11に示すように、給紙クラッチ121を再度OFFに制御する。これにより、給紙ローラ102の回転が再度停止すると、後行紙は搬送されず、先行紙のみがレジストローラ103によりさらに下流側へ搬送されるので、先行紙と後行紙との間に間隔があいていく。
先行紙と後行紙との間の間隔が一定量離れたタイミングで、給紙制御部131は、図11に示すように、給紙クラッチ121を再度ONに制御する。これにより、図12(d)に示すように、給紙ローラ102の回転が再開し、後行紙もさらに下流側へ搬送される。これが、図11に示す2枚目の用紙の給紙制御である。
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置1は、先出し制御において、先行紙後端が給紙ローラ102とフリクションパッド118との間に挟み込まれる前に、一旦、給紙ローラ102の回転を停止するよう制御する。そして、画像形成装置1は、先行紙と後行紙との重なり状態が解消されたタイミングで、給紙ローラ102の回転を再開させる。このようなタイミングで、給紙ローラ102の回転を停止及び再開させることにより、両紙の重なりを解消させることができるので、用紙の先端折れを防止することが可能になる。したがって、本実施形態によれば、用紙の給紙制御の状態により発生する画像形成出力の際の不具合を、用紙の先送り制御により防止するとともに、用紙の先送り制御による用紙の先端折れを防止することが可能になる。
なお、上記実施形態に係る給紙制御部131は、すべての場合において、一旦給紙クラッチ121をOFFに制御して、先行紙と後行紙との重なりを解消させる先端折れ防止制御を行う場合を例として説明した。しかしながら、用紙の種類や使用する給紙トレイ101の種類等を示す記録媒体に関する情報によっては、必ずしもこのような先端折れ防止制御を行う必要がない場合もある。以下、本実施形態に係る変形例として、用紙の種類や給紙トレイ101の種類等に応じて先端折れ防止制御を行う場合について、図14及び図15を参照して説明する。
図14は、変形例におけるプリントエンジン26及びエンジン制御部31の構成を例示するブロック図である。図14に示すように、プリントエンジン26は、図4に示したプリントエンジン26の構成に加えて、用紙枚数検知センサ123を含む。また、エンジン制御部31は、図4に示した給紙制御部131に加えて、給紙トレイ情報記憶部132及び用紙情報記憶部133を含む。
用紙枚数検知センサ123は、給紙トレイ101に収容されている用紙枚数を検知する。給紙トレイ情報記憶部132は、使用する用紙を収容する給紙トレイ101の特徴情報(以降、「給紙トレイ情報」とする)を格納する記憶媒体である。給紙トレイ情報は、例えば、給紙トレイ101に収容されている用紙とフリクションパッド118とがなす角度(以降、「給紙トレイ設置角度」とする)を含む。
用紙情報記憶部133は、使用する用紙に関する情報(以降、「用紙情報」とする)を格納する記憶媒体である。用紙情報は、例えば、用紙のサイズや用紙の厚さを含む。なお、給紙トレイ情報及び用紙情報は、例えば、画像形成装置1の管理者や利用者等によるディスプレイパネル24の操作を介して予め設定されているものとする。また、給紙トレイ情報記憶部132及び用紙情報記憶部133は、エンジン制御部31に含まれる場合を例として説明しているが、給紙制御部131が参照可能であれば、エンジン制御部31の外部にある記録媒体等であってもよい。
図15は、変形例における給紙制御部131の動作を例示するフローチャートである。なお、図15に示したフローチャートは、図10に示したフローチャートのS1001とS1002との間に行われる動作を示す。図15に示すように、給紙クラッチ121をONに制御した給紙制御部131は、用紙情報記憶部133に格納されている用紙情報に含まれる用紙厚さを取得する(S1501)。
用紙厚さを取得した給紙制御部131は、取得した用紙厚さが所定の厚さ以下であるか否かを判定する(S1502)。用紙の厚さがある程度厚い場合、先行紙と重なった状態であっても、搬送方向へ引っ張られて先端折れの発生が少ないが、用紙の厚さが薄い場合、先端折れの発生が多くなる傾向にある。なお、所定の厚さは、例えば、画像形成装置1の管理者等によるディスプレイパネル24の操作を介して予め設定されているものとする。
給紙制御部131は、取得した用紙厚さが所定の厚さ以下である場合(S1502/YES)、用紙情報記憶部133に格納されている用紙情報に含まれる用紙長さを取得する(S1503)。用紙長さを取得した給紙制御部131は、用紙長さが給紙ローラ102から転写ローラ117までの距離(以降、「ローラ距離」とする)以上であるか否かを判定する(S1504)。
用紙長さがローラ距離よりも短い場合、給紙ローラ102と転写ローラ117との間で用紙の張りが発生することがないので、先出し制御を行う必要がないことから、先端折れ防止制御も行う必要がないためである。給紙制御部131は、用紙長さがローラ距離以上である場合(S1504/YES)、給紙トレイ情報記憶部132に格納されている給紙トレイ情報を取得する(S1505)。
給紙トレイ情報を取得した給紙制御部131は、取得した給紙トレイ情報に基づいて、使用する給紙トレイ101が用紙の先端折れが発生しやすい設置状態であるか否かを判定する(S1506)。例えば、給紙トレイ情報に含まれる給紙トレイ角度が大きくなるほど、用紙の先端折れが発生しやすい傾向にある。そこで、給紙制御部131は、取得した給紙トレイ情報に含まれる給紙トレイ角度が所定の大きさよりも大きい場合、給紙トレイ101が用紙の先端折れが発生しやすい設置状態であると判定する。
給紙制御部131は、先端折れが発生しやすい設置状態であると判定した場合(S1506/YES)、用紙枚数検知センサ123により検知された用紙枚数を取得する(S1507)。用紙枚数を取得した給紙制御部131は、取得した用紙枚数が所定枚数以上であるか否かを判定する(S1508)。例えば、給紙トレイ101に収容されている用紙枚数が多いほど、用紙とフリクションパッド118とのなす角度が大きくなり、用紙の先端折れが発生しやすい傾向にある。
給紙制御部131は、用紙枚数が所定枚数以上である場合(S1508/YES)、先端折れ防止制御を行うと判定し、図10に示したS1002の処理に進む。一方、給紙制御部131は、用紙厚さが所定の厚さよりも厚い場合(S1502/NO)又は用紙長さがローラ距離よりも短い場合(S1504/NO)又は先端折れが発生しにくい設置状態であると判定した場合(S1506/NO)又は用紙枚数が所定枚数未満である場合(S1508/NO)、先端折れ防止制御を行う必要がないと判定し、S1006の処理に進む。
このような構成により、先端折れ防止制御が不要である場合は、先端折れ防止制御のために給紙クラッチをONにする必要がなくなり、給紙クラッチをONにすることにより生じ得る振動を回避して必要なタイミングでのみ給紙クラッチを制御することが可能になる。なお、図15を示して説明した変形例においては、給紙制御部131は、用紙厚さ、用紙長さ、給紙トレイ情報及び用紙枚数のすべての情報に基づいて、先端折れ防止制御を行うか否かを判定する場合を例として説明した。しかしながら、これは一例であり、給紙制御部131は、これらの情報のいずれか1つ又はこれらの情報のいくつかの組み合わせに基づいて、先端折れ防止制御を行うか否かを判定してもよい。図14に示した構成部についても、先端折れ防止制御を行うために使用する情報に応じて適宜変更されてもよい。また、各情報に基づく判定順序についても、これに限らず、異なる順序で判定するようにしてもよい。
また、上記変形例においては、用紙厚さ及び用紙サイズ等の用紙情報が用紙情報記憶部133に予め格納されている場合を例として説明した。しかしながら、これは一例であり、給紙トレイ101に設置されている用紙厚さ検知センサや用紙サイズ検知センサを用いる等、用紙情報が何らかの方法により取得される構成であればよい。また、給紙トレイ情報も同様に、給紙トレイ角度を検知するセンサを用いる等、給紙トレイ情報が何らかの方法により取得される構成であればよい。このようにセンサを用いて各情報を取得する構成によれば、画像形成装置1の管理者や利用者等による情報の入力ミスにより正しい制御ができなくなることを回避することができる。
また、上記変形例においては、用紙枚数が用紙枚数検知センサ123により検知される場合を例として説明した。しかしながら、これは一例であり、画像形成出力された用紙の枚数をカウントして、給紙トレイ101に収容されている残り用紙枚数を計算する等、用紙枚数が何らかの方法により取得される構成であればよい。
また、上記変形例において、給紙制御部131は、用紙長さがローラ距離未満である場合に、先端折れ防止制御を行わず図10に示したS1006の処理に進む場合を例として説明した。上述したように、用紙長さがローラ距離未満である場合、ジターが発生することもないので、給紙制御部131は、先出し制御自体も行わず、そのまま処理を終了するようにしてもよい。
なお、上記実施形態においては、図10に示したS1002の処理において使用される用紙の搬送方向の長さは、画像形成装置1の利用者等により予め設定される場合を例として説明した。その他、用紙の長さは、給紙トレイ101に設置されている用紙サイズ検知センサにより検知されるようにしてもよい。搬送速度も同様に、例えば画像形成装置1内に設置されている速度検知センサにより予め検知されて取得されるようにしてもよい。このような構成によれば、画像形成装置1の管理者や利用者等による情報の入力ミスにより正しい制御ができなくなることを回避することができる。
また、用紙サイズ検知センサが設置されていない場合、例えば、画像形成装置1内に設置された用紙の位置を検知する用紙位置検知センサにより用紙の長さが取得されるようにしてもよい。具体的には、例えば、用紙位置検知センサにより用紙の先端位置及び後端位置が検知され、先端位置情報及び後端位置情報から用紙の長さが算出される。この場合、給紙制御部131は、例えば、画像形成出力の開始時には予め設定された用紙長さを用いて判定を行い、用紙が実際に画像形成装置1内を搬送された後は、用紙位置検知センサを用いて算出された用紙長さを用いて判定を行う。
また、図10に示したS1002の処理においては、用紙の長さ及び搬送速度に基づいて算出された所要時間に基づいて判定が行われる場合を例として説明した。その他、画像形成装置1内に設置された用紙の位置を検知する用紙位置検知センサにより用紙の位置が検知されるようにしてもよい。この場合、給紙制御部131は、用紙位置検知センサにより検知された先行紙の位置情報に基づいて、先行紙後端が給紙トレイ101を抜けた位置にあるか否かを判定する。このような構成によれば、用紙の位置情報を直接的に取得することができるので、より精度良く給紙制御を行うことが可能になる。また、図10に示したS1006の処理についても同様に、所要時間ではなく用紙位置検知センサにより検知された後行紙先端の位置情報が用いられてもよい。
また、上記実施形態において、図10に示したS1004の処理において使用される所定時間は、用紙の種類に関わらず一定である場合を例として説明した。用紙の厚さが厚いほど用紙の伸びが少なく、給紙ローラ102と転写ローラ117との間での用紙の張りも少ないことから、ジター等の不具合が発生しにくい傾向にある。そこで、用紙の厚さに応じて所定時間を変更するようにしてもよい。例えば、用紙の厚さが厚いほど、所定時間が短くなるよう変更される。このような構成によれば、ジター等の不具合が発生しにくい用紙の場合には重なりを解消するための時間を短縮することができ、より効率よく制御することが可能になる。
また、上記実施形態の図10に示したS1004の処理において、給紙制御部131は、給紙クラッチ121をOFFに制御したタイミングから所定時間が経過したタイミングで、重なりが解消されたと判定する場合を例として説明した。その他、給紙ローラ102に付近に設置された用紙重なり検知センサにより用紙が重なっているか否かが検知されるようにしてもよい。この場合、給紙制御部131は、用紙重なり検知センサにより用紙重なりが検知されなくなった場合に、重なりが解消されたと判定する。このような構成によれば、用紙の重なりを直接的に取得することができるので、より精度よく重なりが解消されたか否かを判定することが可能になる。