JP6415848B2 - 変換器用変圧器 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、直流送電に使用する変換器用変圧器に関する。
近年、大容量送電、長距離送電および異なる周波数の電力系統の連係などに、系統運用上多くのメリットを有する直流送電が使用されている。日本国内の一部地域においては、交流系統を連係する±250kVの直流送電が実施されている。また、±800kVの直流送電が実施されている国もある。
この様な直流送電においては、交流を直流に、あるいは直流を交流に変換するための交直変換所が設置される。この交直変換所において、交流線路から入力した交流電圧は、変換用変圧器を介して交直変換器であるサイリスタバルブにより直流電圧に変換され、直流線路に送電される。
変換器用変圧器は油絶縁方式が主流となっている。油絶縁方式の変換器用変圧器は、絶縁油が充填されたタンク容器の内部に、交流巻線と直流巻線を同心円状に収納した構成となっている。絶縁油は、絶縁のためだけではなく、巻線を冷却するための冷却媒体としても利用される。交流巻線は交流線路に、直流巻線はサイリスタバルブに、それぞれリードを介して接続する。
変換用変圧器の運転時には、サイリスタバルブに接続する直流巻線には、変圧された交流電圧以外に直流電圧も印加されるため、変換器用変圧器とサイリスタバルブとの接続部には、直流電圧に対する絶縁設計が必要である。
そのための構成として、例えば、直流リードを接続ターミナルを介して油中でブッシングに接続し、ブッシングから気中に引き出して、サイリスタバルブに接続する。
また、例えば、直流リードを、ガス絶縁母線等の別のガス絶縁機器を介してサイリスタバルブに接続することが考えられる。ガス絶縁母線等のガス絶縁機器の主たる絶縁媒体はSFガスであるため、ガス絶縁機器と変換器用変圧器の接続部に絶縁スペーサを設け、SFガスと絶縁油を区分する。変換器用変圧器の直流リードとガス絶縁機器の導体とは、絶縁スペーサにおいて接続導体を介して接続される。
直流リードと接続ターミナル、あるいは直流リードと接続導体の周囲には、絶縁強化のための接続シールドが配置されている。
接続シールドは、同軸円筒状のシールド電極の外表面を紙材のモールド絶縁物で被覆して構成されており、その外側には接続シールドとリードダクト容器間の絶縁強化のためプレスボード製の絶縁バリアが配置されている。
直流リードに直流電圧が印加されると、接続導体周辺に高電界が発生するが、集中した直流等電位線は、絶縁油を介して接続シールドのモールド絶縁物や絶縁バリアに移行し、電界集中が緩和される。
特開平8−124440号公報 特開平9−9623号公報
直流リードに直流電圧が印加されると、絶縁スペーサの沿面には、沿面と平行方向に電界が発生する。絶縁スペーサは絶縁被覆されていない電極である接続導体に接続しているため、絶縁油単体に比べて破壊電界が低下することがある。
そこで、接続導体を絶縁紙で被覆することも考えられる。しかしながら、絶縁紙は絶縁油より体積抵抗率が高いため、その被覆絶縁紙に高電界が加わり、直流等電位線が被覆絶縁紙内を通って接続シールドの内側に入りこんでしまうことがある。接続シールドの内側には、接続導体の表面や、接続シールドの内面等、金属部が露出した部位がある。接続シールドの内側に直流等電位線が入り込むと、金属部が直流電圧で充電されることになり、シールドとしての絶縁性能を低下される虞がある。
また、絶縁スペーサ、絶縁油、絶縁紙の3重接触点の付近では、絶縁スペーサから絶縁油を介してリード接続導体を被覆する絶縁紙に直流等電位線が乗り移るため、絶縁油の電界が上昇したり、絶縁スペーサと被覆絶縁紙の異種絶縁物間の新たな沿面電界が発生したりする。結果として、被覆絶縁紙に高電界が加わり、絶縁性能が低下する可能性がある。
本発明の実施形態は、上記の問題点を解決するために、変換器用変圧器の直流リードをガス絶縁機器等の他の機器に接続する場合において、接続部の直流絶縁性能を高め、信頼性の高い変換器用変圧器を提供することを目的とする。
実施形態の変換器用変圧器は、絶縁油が充填された容器と、前記容器内部に収納された直流巻線と、前記直流巻線と導通する直流リードと、前記直流リードを前記容器外部の機器と接続する接続部と、を備え、前記接続部は、前記絶縁油中に露出して前記接続部周囲の直流電圧で充電される金属部を含む導体を備え、当該導体の表面を前記絶縁油よりも体積抵抗率が小さい絶縁材料で被覆し、前記導体は、前記直流リードと前記容器外部のガス絶縁機器とを絶縁スペーサを介して接続する接続導体であり、当該接続導体の表面を前記絶縁材料で被覆し、前記接続部は、前記接続導体と前記直流リードを覆うように配置される接続シールドとを更に備え、前記接続シールドの内面を前記絶縁材料で被覆することを特徴とする。
一般的な交直変換所の構成例を示す配線図である。 変換器用変圧器の内部の構成例を示す図である。 第1の実施形態に係る変換器用変圧器の接続部の構成例を示す図である。 接続部における直流等電位線分布を示す図である。 沿面破壊電界の検証結果を示す図である。 絶縁ワニスと絶縁油の体積抵抗率の電界依存性を示すグラフである。 絶縁ワニスと絶縁油の体積抵抗率の温度依存性を示すグラフである。 第2の実施形態に係る変換器用変圧器の接続部の構成例を示す図である。
以下、実施形態に係る変換器用変圧器について、図面を参照して説明する。
[1.第1の実施形態]
(構成)
まず、変換器用変圧器が備えられる交直変換所の一般的な例を、図1及び図2を用いて説明する。交直変換所は、図1に示すように、変換器用変圧器200、サイリスタバルブ300、及び直流リアクトル400が設けられている。また、各機器には避雷器が備えられている。交流線路100から入力した交流電圧は、変換器用変圧器200で適当な電圧に調整され、サイリスタバルブ300において交流から直流に変換される。変換された直流電圧は直流リアクトル400を介して直流線路500に送電される。
次に、変換器用変圧器200の全体構成を説明する。変換器用変圧器200は、図2に示すように、絶縁油3が充填された容器の内部に、交流巻線250と直流巻線260が収納されている。図示していないが、交流巻線250及び直流巻線260はそれぞれリードを介して容器外部に引き出され、交流巻線250は交流線路100に接続し、直流巻線260はサイリスタバルブ300に接続する。
本実施形態では、ガス絶縁母線を介して直流巻線260とサイリスタバルブ300とを接続する構成について説明する。図3に、変換器用変圧器200の、ガス絶縁母線30と接続する接続部210の構成を示している。接続部210は、絶縁油3が充填されたダクト容器2と、SFガス10が充填されたガス容器11とを同軸上に配置し、絶縁スペーサ8を介して接続した構成となっている。別々の機器を構成するダクト容器2とガス容器11が同軸上に設置されることで、設置スペースを削減することができる。絶縁スペーサ8は、例えばエポキシ樹脂製のものを用いることができる。
変換器用変圧器200の接続部210において、直流リード1は、接地された金属製のダクト容器2内に同軸設置されている。直流リード1の周囲は絶縁油3で満たされている。不図示ではあるが、直流リード1は変換器用変圧器200の直流巻線260に接続している。また、直流リード1は、リード導体5を絶縁紙4で被覆して構成されている。直流リード1は、絶縁スペーサ8近傍でリード接続導体7に接続し、リード接続導体7は絶縁スペーサ8の中心部に配置されたスペーサ接続金具9に接続している。
ガス容器11側において、スペーサ接続金具9は、ガス容器11内に同軸に設置された中心導体12に接続している。中心導体12は、不図示のガスブッシングやガス絶縁機器に接続する。すなわち、直流リード1に接続されたリード接続導体7は、スペーサ接続金具9を介してガス容器11内の中心導体12と導通しており、変換器用変圧器200の直流巻線260の電位をガス絶縁機器側に伝達する。
リード接続導体7とこれに接続する直流リード1の一部を覆うように、接続シールド6が設置されている。接続シールド6は、円筒状のシールド電極13の外表面を紙材のモールド絶縁物14で被覆したものである。接続シールド6の更に外側には、接続シールド6とリードダクト容器2間の絶縁強化のため、プレスボード製の絶縁バリア15が配置されている。
絶縁スペーサ8の、スペーサ接続金具9近傍には高圧埋込電極16が埋め込まれている。また、絶縁スペーサ8のダクト容器2及びガス容器11との接続箇所近傍にも、接地埋込電極17が埋め込まれている。これらの埋込電極は、絶縁スペーサ8表面の電界緩和のために配置されており、主として交流電圧に対して電界緩和効果がある。
この接続部210において、絶縁油3中に露出して周囲の直流電圧で充電される金属部が、絶縁材料である絶縁ワニスでコーティングされている。具体的には、リード接続導体7の表面とシールド電極13の内面に絶縁ワニス19a,19bがそれぞれコーティングされている。絶縁ワニス19a,19bは、ダクト容器2に充填される絶縁油3よりも体積抵抗率が小さいものを用いる。
本実施形態では、コーティング材としてセラック系の絶縁ワニス19a,19bを用いているが、これに限られない。コーティング材は、その体積抵抗率が、絶縁油3よりも小さい絶縁材料であり、耐油性や変圧器に適合する耐熱性を有するものであれば、材質は限定されない。
適用可能なコーティング材としては、絶縁ワニスであれば、アルキッド系、ポリエステル系、キシレン系ワニスが考えられる。また、通常エポキシ系ワニスの体積抵抗率は1015Ωcm以上で絶縁油よりも抵抗率が高いが、その様な単体では体積抵抗率が高いワニスであっても、金属や半導体粒のフィラーを混ぜることにより、体積抵抗率を絶縁油以下になるように制御し、適用することは可能である。絶縁ワニス以外のコーティング材としては、アルミナ等のセラミックコーティング、ダイヤモンドカーボン(DLC)コーティングが適用可能である。
(作用)
直流リード1及び中心導体12に直流電圧が印加された場合、ガス容器11内において絶縁スペーサ8と中心導体12の接続箇所周囲のガス中電界が高くなる。そして、その高電界の影響により、絶縁スペーサ8を介して、絶縁スペーサ8とリード接続導体7の接続箇所付近の絶縁油3中において高電界を発生させる。
ここで、図4の直流等電位線分布図を用いて、電界発生の様子をより具体的に説明する。なお、図4は、リード接続導体7の表面とシールド電極13の内面の金属露出部に絶縁ワニス19a,19bが被覆されていない場合の直流等電位線を示している。
直流等電位線18は、ガス容器11内において絶縁スペーサ8に近づくにつれて、中心導体12周囲に集中し、その領域のガス空間の電界が高くなる。体積抵抗率が高い絶縁物ほど直流等電位線18が集中し易いが、SFガス10の体積抵抗率は絶縁スペーサ8を構成するエポキシや絶縁油3に比べて桁違いに高い。そのため、体積抵抗率の高いSFガス10に直流等電位線18が集中する。なお、ガス絶縁母線30及び変換器用変圧器200の接続部210に含まれる絶縁物の体積抵抗率の大小関係を記載すると以下の通りである。
SFガス>スペーサ(エポキシ樹脂)>紙材(プレスボード、モールド絶縁物、絶縁紙)>絶縁油
絶縁スペーサ8内においては、直流等電位線18は中心部のスペーサ接続金具9付近に集中する。これは、絶縁スペーサ8を構成するエポキシ樹脂が絶縁油3の体積抵抗率よりも、数桁高く、直流等電位線18が絶縁油3中に広がりにくい為である。絶縁スペーサ8内においてスペーサ接続金具9付近に集中した直流等電位線18は、絶縁油3を介して接続シールド6のモールド絶縁物14や絶縁バリア15に移行することで、電界の集中が緩和される。
一方、図4の点線部19に示すように、リード接続導体7近傍の絶縁スペーサ8の沿面には、高い直流電界が発生している。ここで、リード接続導体7は絶縁被覆されていない電極である。沿面電界が形成されている個体絶縁物である絶縁スペーサ8が絶縁被覆されていない電極に接続している場合、破壊電界が低下してしまう虞がある。
ここで、本実施形態の構成では、図3に示すように、リード接続導体7の表面を絶縁ワニス19aでコーティングしているため、破壊電界の低下を防ぐことができる。さらに、本実施形態では、絶縁ワニス19a,19bは、絶縁油3よりも体積抵抗率が低いものを用いている。絶縁紙4のように、絶縁油3より体積抵抗率が高いものでリード接続導体7を被覆した場合は、図4に示したように、絶縁紙4自体に高電界が加わり、接続シールド6の内側に直流等電位線18が入り込んでしまう虞があるが、絶縁油3よりも体積抵抗率が低い絶縁ワニス19bを用いることで、接続シールド6の内側に直流等電位線18が入り込むことを防止される。
本実施形態では、接続シールド6を構成するシールド電極13の内面も絶縁ワニス19bでコーティングしている。上述したように、リード接続導体7に絶縁ワニス19aをコーティングすることで、リード接続導体7を介して接続シールド6の内側に直流等電位線18が入り込むことが防止される。一方、直流リード1もその表面を絶縁紙4で被覆されているため、図4で示すように、絶縁紙4内部を通る直流等電位線18の一部が、接続シールド6の内に入り込み、直流電界が発生して接続シールド6の絶縁性能を低下させる虞がある。これに対して、接続シールド6のシールド電極13の内面を絶縁ワニス19bでコーティングすることで、接続シールド6の内部に存在している絶縁油3の直流耐圧が向上するので、接続シールド6に覆われている直流リード1とリード接続導体7の接続箇所の直流絶縁性能を向上させる。
(実施例)
上記で述べた、絶縁油3よりも体積抵抗率が小さい絶縁ワニス19a,19bを用いることでスペーサ沿面の直流絶縁性能の向上することを実証するため、モデル試験で検証した結果を図5に示す。
モデル試験では、厚さ25mmの絶縁スペーサ8と同じ材質のエポキシ試料を、平板電極間に挟み込んで絶縁油3中に設置した。常温下において、平板電極間に対して、直流電圧を予想破壊電圧の50%から段階的に30分間昇圧印加してスペーサを絶縁破壊させ、スペーサ沿面の破壊電界を測定した。
条件1は、平板電極を絶縁ワニスでコーティングした場合であり、条件2は平板電極に絶縁ワニスでコーティングしなかった場合である。絶縁ワニスには、セラック系の絶縁ワニスを使用した。ここで、使用した絶縁ワニス及び絶縁油の体積抵抗率の電界依存性及び温度依存性の実測値を図6及び図7に示す。絶縁ワニスの体積抵抗率は、絶縁油3よりも小さいことが分かる。
なお、条件3は参考比較用として、条件2からエポキシ試料を除き、絶縁油単体の直流破壊電界を測定したものである。このとき、平板電極間の油隙長は25mmである。図5のグラフの縦軸は、条件3で測定した絶縁油の直流破壊電界の平均値で規格化して示している。
条件1と条件2の結果を比較すると、電極に絶縁ワニスをコーティングすることにより、エポキシ沿面の破壊電界が1.6倍に増加しており、直流絶縁性能が向上していることがわかる。
条件3は、電極に絶縁ワニスをコーティングしない電極で絶縁油の破壊電界を測定したものであり、すなわち金属露出部を有する電極を用いた場合の絶縁油の破壊電界である。条件1と条件3の結果を比較すると、条件1の破壊電界は、条件3のそれに対して約30%高くなっている。このことから、電極に絶縁ワニスをコーティングすると電極間の絶縁油3の破壊電界も増加することが分かった。
すなわち、電極に絶縁油よりも体積抵抗率の小さい絶縁ワニスをコーティングすると、エポキシ沿面の直流絶縁性能の向上とともに、絶縁油3自体の直流絶縁性能を向上させる効果が得られる。
上記の説明では、絶縁ワニス19a,19b、すなわちリード接続導体7の表面及びシールド電極13の内面の金属露出部をコーティングする絶縁材料の体積抵抗率について、絶縁油3の体積抵抗率より小さいものとすることを述べているが、その体積抵抗率の具体的な管理値について述べる。
変換器用変圧器200等の電力機器は20年以上の機器寿命が期待される。その間、絶縁油3は経年劣化し、絶縁油3の体積抵抗率は低下する。よって、絶縁油3の経年劣化の影響を考慮した上で、絶縁油3より小さい体積抵抗率を維持する絶縁材料を選定する必要がある。
運転中の500kV級電力用変圧器の絶縁油3抵抗率の管理値として、例えば、1×1012Ωcm〜5×1012Ωcmが設定されている。この絶縁油3の体積抵抗率は、JIS(日本工業規格)C 2101にて測定法が規定されているが、80℃条件において電圧印加1分後の電流値で評価している。図4に示した様な直流電界の解析を行うには、絶縁物の抵抗率の定常値が必要である。定常値の絶縁油3の体積抵抗率は、電流1分値で評価した体積抵抗率よりも約1桁程度高い値となることを考慮する必要がある。
また、図7に示したように、絶縁油3の体積抵抗率は、温度が80℃から20℃に変化すると約1桁増加することから、温度依存性についても考慮する必要がある。
以上より、絶縁材料を常温値で管理するのであれば、その体積抵抗率を1×1014Ωcm以下にすれば、絶縁油3の定常値の体積抵抗率を上回ることはない。なお、絶縁材料の体積抵抗率の測定方法は、IEC標準規格60093による方法を用いて、定常値の電流で抵抗率を評価すれば良い。また、その測定時の印加電界条件の目安としては1kV/mmとし、可能であれば体積抵抗率の電界依存性のデータを取得することが好ましい。目安を「1kV/mm」とする理由については、その電界以下では絶縁油3や絶縁材料が破壊することは無い為である。
(効果)
(1)本実施形態の変換器用変圧器200は、絶縁油3が充填されたダクト容器2と、ダクト容器2内部に収納された直流巻線260と、直流巻線260と導通する直流リード1と、直流リード1を容器外部の機器であるガス絶縁母線30と接続する接続部210と、を備えている。接続部210は、絶縁油3中に露出して接続部210周囲の直流電圧で充電される金属部を含む導体を備えており、この金属部の表面を絶縁油3よりも体積抵抗率が小さい絶縁材料である絶縁ワニス19a,19bで被覆する。本実施形態において、導体は、直流リード1とガス絶縁母線30とを絶縁スペーサ8を介して接続するリード接続導体7であり、リード接続導体7の表面を絶縁ワニス19a,19bで被覆する。
直流電流が印加された際に、絶縁油3中に金属部が露出しているリード接続導体7は、接続部210周囲の直流電圧で充電されてしまうため、破壊電界が低下してしまう虞がある。リード接続導体7を絶縁ワニス19a,19bで被覆することで、破壊電界の低下を防ぐことができる。また、絶縁ワニス19a,19bの体積抵抗率を絶縁油3の体積抵抗率より低くすることで、新たな沿面電界の発生を防止することができる。例えば、リード接続導体7を覆う接続シールド6の内側に直流等電位線18が入り込んで絶縁性能が低下することを防ぐことができる。結果として、直流絶縁性能が高く信頼性の高い変換器用変圧器200を提供することができる。
(2)接続部210は、リード接続導体7と直流リード1を覆うように配置される接続シールド6を更に備える。この接続シールド6の内面を絶縁ワニス19a,19bで被覆する。
接続シールド6の内面を絶縁ワニス19a,19bで被覆することによって接続シールド6の内部に存在している絶縁油3の直流耐圧が向上するため、直流リード1を介して接続シールド6内部に直流等電位線18が入り込んでも、絶縁性能の低下を防止することができる。
(3)絶縁材料は、体積抵抗率が常温において定常値が1014Ωcm以下のものを用いると良い。そのような絶縁材料として、セラック系の絶縁ワニス19a,19bを用いると良い。
絶縁材料の体積抵抗率は、絶縁油3の経年劣化の影響を考慮して決定する必要があるが、定常値が1014Ωcm以下の絶縁材料、例えばセラック系の絶縁ワニス19,19bを使用することで、絶縁油3の定常値の体積抵抗率を上回らないようにすることができる。
[2.第2の実施形態]
次に、第2実施形態ついて説明する。前述した実施形態とは異なる点のみを説明し、同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
(構成)
第1の実施形態では、ガス絶縁母線を介して直流巻線260とサイリスタバルブ300とを接続していたが、第2の実施形態では、ブッシングを介して直流巻線260とサイリスタバルブ300を接続する構成について説明する。
図8は、変換器用変圧器200の直流リード1とブッシング本体20を油中で接続する接続部220を示している。なお、図示していないが、ブッシング本体20は気中に引き出され、サイリスタバルブ300に接続する。
ブッシング本体20の内部には、外周が油浸紙やエポキシ等の絶縁物で覆われた中心導体12が挿通されている。変換器用変圧器200の直流リード1は、接続導体である接続ターミナル21においてリード取付ボルト22により固定され、ブッシング本体20に接続している。
接続ターミナル21と、この接続ターミナル21に接続される直流リード1及びブッシング本体20の一部を覆うように、ブッシング接続シールド23が取り付けられている。ブッシング接続シールド23は、円筒状で、軸方向断面C字形状のシールド電極25の外表面を紙材のモールド絶縁物26で被覆したものである。ブッシング接続シールド23は、その内壁から延びる支持部28によって接続ターミナル21に取り付けられ、シールド取付ボルト24により固定されている。
ブッシング接続シールド23の内部は、絶縁油3が充填されている。ブッシング接続シールド23の内部の、絶縁油3中に金属部が露出している部位である金属露出部には、絶縁ワニス27がコーティングされている。具体的には、ブッシング接続シールド23の内面及び接続ターミナル21の表面は、ブッシング接続シールド23と接続ターミナル21を接続する支持部28が絶縁ワニス27によってコーティングされている。絶縁ワニス27は、第1の実施形態と同様に、絶縁油3よりも体積抵抗率が小さいものを用いる。
(作用効果)
第2の実施形態において、直流リード1は絶縁油3中から気中に引きだされるブッシング本体20を介して外部ガス絶縁機器と接続されている。本実施形態において、絶縁油3中に露出して接続部220の周囲の直流電圧で充電される金属部を含む導体である接続ターミナル21の表面を絶縁ワニス27でコーティングする。また、接続ターミナル21とブッシング本体20を覆うようにブッシング接続シールド23が設けられており、この接続シールド23の内面も絶縁ワニス27で被覆する。
第1の実施形態と同様に、絶縁油3に露出する金属部を、絶縁油3よりも体積抵抗率が小さい絶縁材料でコーティングすることにより、絶縁油3の直流耐圧が増加する。よって、接続ターミナル21の表面とブッシング接続シールド23の内面を絶縁ワニス27でコーティングすることにより、絶縁油3中における接続部220の直流耐圧を向上させることができる。また、絶縁ワニス27の体積抵抗率は絶縁油3よりも小さいため、絶縁ワニス27を被覆してもブッシング接続シールド23内部の直流等電位線の分布が変化しない。そのため、絶縁設計の再検討が不要となる。
[3.その他の実施形態]
上述の実施形態では、直流リード1と外部のガス絶縁機器とを接続する接続部210,220の金属部に絶縁ワニス19a,19b,27をコーティングする態様を説明したが、コーティングが適用できる箇所は上述の例に限られない。変換器用変圧器200内において、絶縁部3中に露出する金属露出部に絶縁材料を被覆することで、上述の実施形態と同様の効果を得られる。例えば、直流リード1と直流巻線260を接続する部位として、直流リード1の周囲に配置されたパイプ状のシールド電極13がある。このシールド電極13内面は金属部が露出しているので、この部位に絶縁ワニスをコーティングすれば、上述の実施形態と同様に、直流耐圧を向上させることができる。
他にも、絶縁油3中における変換器用変圧器200の直流リード1と他の機器との接続部分に配置されるシールドに対しても、金属露出部分に絶縁ワニスをコーティングすることによって直流耐圧を向上させることができる。結果として、絶縁寸法を縮小し小形で信頼性の高い変換器用変圧器200を実現することができる。
以上のように、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や用紙に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 直流リード
2 ダクト容器
3 絶縁油
4 絶縁紙
5 リード導体
6 接続シールド
7 リード接続導体
8 絶縁スペーサ
9 スペーサ接続金具
10 SFガス
11 ガス容器
12 中心導体
13 シールド電極
14 モールド絶縁物
15 絶縁バリア
16 高圧埋込電極
17 接地埋込電極
18 直流等電位線
19 点線部
19a,19b 絶縁ワニス
20 ブッシング本体
21 接続ターミナル
22 リード取付ボルト
23 ブッシング接続シールド
24 シールド取付ボルト
25 シールド電極
26 モールド絶縁物
27 絶縁ワニス
28 支持部
30 ガス絶縁母線
100 交流線路
200 変換器用変圧器
300 サイリスタバルブ
400 直流リアクトル
500 直流線路
210,220 接続部
250 交流巻線
260 直流巻線

Claims (6)

  1. 絶縁油が充填された容器と、
    前記容器内部に収納された直流巻線と、
    前記直流巻線と導通する直流リードと、
    前記直流リードを前記容器外部の機器と接続する接続部と、を備え、
    前記接続部は、前記絶縁油中に露出して前記接続部周囲の直流電圧で充電される金属部を含む導体を備え、当該導体の表面を前記絶縁油よりも体積抵抗率が小さい絶縁材料で被覆し、
    前記導体は、前記直流リードと前記容器外部のガス絶縁機器とを絶縁スペーサを介して接続する接続導体であり、当該接続導体の表面を前記絶縁材料で被覆し、
    前記接続部は、前記接続導体と前記直流リードを覆うように配置される接続シールドとを更に備え、前記接続シールドの内面を前記絶縁材料で被覆することを特徴とする変換器用変圧器。
  2. 前記絶縁材料は、体積抵抗率が常温において定常値が10 14 Ωcm以下であることを特徴とする請求項1に記載の変換器用変圧器。
  3. 前記絶縁材料は、セラック系の絶縁ワニスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の変換器用変圧器。
  4. 絶縁油が充填された容器と、
    前記容器内部に収納された直流巻線と、
    前記直流巻線と導通する直流リードと、
    前記直流リードを前記容器外部の機器と接続する接続部と、を備え、
    前記接続部は、前記絶縁油中に露出して前記接続部周囲の直流電圧で充電される金属部を含む導体を備え、当該導体の表面を前記絶縁油よりも体積抵抗率が小さい絶縁材料で被覆し、
    前記直流リードは、前記絶縁油中から気中に引き出されるブッシングを介して前記容器外部のガス絶縁機器に接続し、
    前記導体は、前記直流リードと前記ブッシングとを接続する接続する接続ターミナルであり、前記接続ターミナルの表面を前記絶縁材料で被覆し、
    前記接続部は、前記接続ターミナルと前記ブッシングを覆うように配置される接続シールドと、を更に備え、前記接続シールドの内面を前記絶縁材料で被覆することを特徴とする変換器用変圧器。
  5. 前記絶縁材料は、体積抵抗率が常温において定常値が10 14 Ωcm以下であることを特徴とする請求項4に記載の変換器用変圧器。
  6. 前記絶縁材料は、セラック系の絶縁ワニスであることを特徴とする請求項4又は5に記載の変換器用変圧器。
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