[第1実施形態]
以下、本発明の好適な第1実施形態について説明する。
本実施の形態に係るプリンタ1(本発明の液体吐出装置)は、図1に示すように、キャリッジ2、インクジェットヘッド3、搬送ローラ4などを備えている。キャリッジ2は、プリンタ本体1a(本発明の装置本体)に設けられた2本のガイドレール11に沿って所定の移動範囲Rで走査方向に往復移動する。インクジェットヘッド3(本発明の液体吐出ヘッド)は、キャリッジ2に搭載され、その下面に形成された複数のノズル10からインクを吐出する。搬送ローラ4は、記録用紙P(本発明の被吐出体)を走査方向と直交する搬送方向に搬送する。そして、プリンタ1では、搬送ローラ4によって記録用紙Pを搬送方向に搬送しつつ、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド3からインクを吐出することにより、記録用紙Pに印刷を行う。
プリンタ1の動作は、制御基板30(本発明の共通基板)によって制御される。制御基板30は、プリンタ本体1aの搬送方向下流側の端部に配置されている。制御基板30は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)34などからなり、CPU31とASIC34とが協働して、プリンタ1の動作に必要な制御を行う。なお、図2では、CPU31を1つだけ図示しているが、制御装置30がCPU31を1つだけ備え、この1つのCPU31が処理を一括して行ってもよいし、制御装置30がCPU31を複数備え、これら複数のCPU31が処理を分担して行ってもよい。また、図2では、ASIC34を1つだけ図示しているが、制御装置30がASIC34を1つだけ備え、この1つのASIC34が処理を一括して行ってもよいし、制御装置30がASIC34を複数備え、これら複数のASIC34が処理を分担して行ってもよい。なお、第1実施形態では、ASIC34に、本発明に係るデータ生成回路が組み込まれている。ここで、制御基板30は、後述のFFC13を介してインクジェットヘッド3と接続される第1基板30aや、後述のFFC14を介してインクジェットヘッド3と接続される第2基板30bなどの複数の基板が一体的に構成された基板である。
次に、インクジェットヘッド3にインクを供給するための構成と、インクジェットヘッド3に制御信号の送信や電源の供給などを行うための構成について説明する。図1、図3に示すように、インクジェットヘッド3には、4本のチューブ12と2枚のFFC13、14とが接続されている。なお、図3では、プリンタ本体1aの図示を省略している。
4本のチューブ12(本発明の液体供給チューブ)は、上下方向に配列されており、キャリッジ2の走査方向左側の側面における搬送方向下流側の端部から、走査方向の左側に引き出されている。また、4本のチューブ12は、途中で搬送方向下流側に約180°屈曲され、プリンタ1aの搬送方向下流側の端1a1(本発明の走査方向と直交する方向における一方の端)とキャリッジ2との間を走査方向に延びている。4本のチューブ12のインクジェットヘッド3と反対側の端部は、プリンタ本体1aの、走査方向における右端部に設けられた4つのカートリッジ装着部15(本発明の貯留体装着部)に接続されている。4つのカートリッジ装着部15は、走査方向に配列されている。4つのカートリッジ装着部15には、それぞれインクカートリッジ16(本発明の液体貯留体)が装着されている。インクカートリッジ16には、走査方向の右側のカートリッジ装着部15に装着されたものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが貯留されている。これにより、インクカートリッジ16内のインクが、チューブ12を介してインクジェットヘッド3に供給され、インクジェットヘッド3は、複数のノズル10からこれら4色のインクを吐出する。
FFC13(本発明の第1配線部材)は、合成樹脂材料などからなるシート状の基材の内部に配線が形成された、可撓性を有する帯状の部材である。FFC13は、水平な平面T1上に、その長手方向と直交する幅方向が上下方向と平行となるように配置されている。これにより、FFC13は、幅方向の縁13aが水平な平面T1と平行な状態で、平面T1に沿って屈曲可能となっている(以下、単に「平面T1に沿って屈曲可能となっている」のように記載することがある)。FFC13は、キャリッジ2の走査方向左側の側面における、チューブ12が引き出されている部分よりも搬送方向下流側の部分から走査方向左側に引き出されている。また、FFC13は、途中で搬送方向の下流側に約180°屈曲され、プリンタ1aの搬送方向下流側の端1a1とキャリッジ2との間を走査方向に延びている。
また、FFC13は、インクジェットヘッド3と反対側の端部近傍の部分において搬送方向下流側に折り曲げられ、その先端部が制御基板30に接続されている。また、FFC13には、複数の吐出データ送信配線21が形成されている。吐出データ送信配線21は、制御基板30からインクジェットヘッド3に、各ノズル10からインクを吐出させることを指示する吐出制御データを送信するための配線である。より詳細に説明すると、吐出データ送信配線21は、上記吐出制御データの信号を、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)で送信するための2本1組の複数の信号伝送用の配線と、複数の信号伝送用の配線の間に配置され、信号伝送用の配線を送信される信号の電位の基準となるグランド電位に保持された複数のグランド配線とからなる。例えば、FFC13には、12本(6組)程度の信号伝送用の配線と、これら12の本の信号伝送用の配線の間に配置された11本程度のグランド配線の、合計23本程度の吐出データ送信配線21が、0.5mm程度の間隔で形成されている。
FFC14(本発明の第2配線部材)は、FFC13と同様の、可撓性を有する帯状の部材である。FFC14は、平面T1上に、その幅方向が上下方向と平行となるように配置されている。これにより、FFC14は、幅方向の縁14aが平面T1と平行な状態で、平面T1に沿って屈曲可能となっている(以下、単に「平面T1に沿って屈曲可能となっている」のように記載することがある)。FFC14は、キャリッジ2の走査方向左側の側面における、チューブ12が引き出されている部分よりも搬送方向上流側の部分から走査方向左側に引き出されている。また、FFC14は、途中で搬送方向下流側に約180°屈曲され、プリンタ1aの搬送方向下流側の端1a1とキャリッジ2との間を走査方向に延びている。そして、第1実施形態では、4本のチューブ12とFFC13とFFC14とが、上述したように配置されることにより、4本のチューブ12及びFFC13、14が、いずれも、プリンタ本体1aの搬送方向における下流側の端1a1キャリッジ2との間に配置され、さらに、4本のチューブ12がFFC13とFFC14との間に位置している。
また、FFC14は、インクジェットヘッド3と反対側の端部近傍の部分において搬送方向の下流側に折り曲げられ、その先端部が制御基板30に接続されている。また、FFC14には、複数の配線22が形成されている。配線22は、インクジェットヘッド3に電源を供給するための配線や、センサからの信号を送信するための配線など、インクジェットヘッド3に接続される配線のうち、吐出データ送信配線21以外の配線である。例えば、FFC14には、5〜6本程度の電源供給用の配線と、センサからの信号を伝送するための配線と、グランド電位に保持されるグランド配線とを合計した5〜6本程度の配線の、合計10〜12本程度の配線22が、1mm程度の間隔で配列されている。
また、FFC13とFFC14の長さを比較すると、FFC13とFFC14とは、幅(上下方向の長さ)がほぼ同じであり、FFC13の長さが、FFC14の長さよりも短くなっている。
また、制御基板30には、FFC13、14の他、ハーネス23、ケーブル24などが接続されている。ハーネス23及びケーブル24は、制御基板30から走査方向の右側に引き出され、キャリッジ2が走査方向に移動したときに、平面視で、FFC13、14と重ならないように引き回されている。ハーネス23は、例えば、プリンタ1が、印刷の他、画像の読取等を行うことも可能な複合機である場合に、制御基板30と図示しないスキャナとを接続するためのものである。また、ケーブル24は、例えば、プリンタ1にLANポートやUSBポートが設けられている場合に、制御基板30とLANポートとを接続するためのLANケーブルや、制御装置30とUSBポートとを接続するためのUSBケーブルである。
以上に説明した第1実施形態では、制御基板30からインクジェットヘッド3にLVDSにより比較的高い周波数で吐出制御データの信号が送信される。そのため、吐出制御データの信号が送信される吐出データ送信配線21の周囲には比較的強い磁界が発生する。このとき、本実施の形態とは異なり、FFC13に、吐出データ送信配線21と、電源供給用の配線等、それ以外の配線とが混在していると、吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響により、それ以外の配線の周囲に強い磁界が発生し、その結果、FFC13における放射ノイズが飛躍的に増大してしまう虞がある。
第1実施形態では、上述したように、全ての吐出データ送信配線21がFFC13にまとめて形成されているのに対して、吐出データ送信配線21以外の全ての配線22がFFC14にまとめて形成されている。これにより、吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響によって、配線22の周囲に強い磁界が発生するのを抑制することができる。その結果、FFC13、14からの放射ノイズを抑えることができる。
また、第1実施形態では、上述のように吐出データ送信配線21と、それ以外の配線22とが、別々のFFC13、14に設けられているが、このような場合であっても、FFC13とFFC14とが近接して配置されていると、吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響によって、配線22の周囲に強い磁界が発生してしまう虞がある。また、第1実施形態では、FFC13、14が、いずれも同じ平面T1に沿って屈曲可能なものとなっており、FFC13の配線形成面13bと、FFC14の配線形成面14bとが重なっている。そのため、FFC13とFFC14とが近接して配置された場合に、特に、吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響によって、配線22の周囲に強い磁界が発生しやすい。
しかしながら、第1実施形態では、FFC13とFFC14との間にチューブ12が配置されているため、チューブ12がスペーサの役割を果たし、FFC13とFFC14とが近づくのが防止される。これにより、吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響によって、配線22の周囲に強い磁界が発生するのをより確実に防止することができる。
また、第1実施形態では、吐出制御データの信号が高周波でされる吐出データ送信配線21の周囲には、それ以外の配線22の周囲よりも強い磁界が発生しやすい。そこで、第1実施形態では、吐出データ送信配線21が形成されたFFC13の長さを、吐出データ送信配線21以外の配線22が形成されたFFC14の長さよりも短くしている。これにより、FFC13、14からのノイズの発生をより効果的に抑えることができる。
また、第1実施形態では、FFC13、14が、搬送方向の下流側の端1a1とキャリッジ2との間に配置されているため、FFC13とFFC14とが、搬送方向にキャリッジ22を挟むように配置されている場合よりも、プリンタ1を小型化することができる。
また、第1実施形態では、FFC13、14が、搬送方向の下流側の端1a1とキャリッジ2との間に配置されているため、FFC13と接続される第1基板30aと、FFC14と接続される第2基板30bとを別々に設ける代わりに、第1基板30aと第2基板30bとが一体的に構成された制御基板30を設けることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の好適な第2実施形態について説明する。ただし、以下では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。
第2実施形態では、図4に示すように、プリンタ1が、キャップ41、吸引ポンプ42及び廃液タンク43をさらに備えている。なお、第2実施形態でも、第1実施形態と同様、インクジェットヘッド3とカートリッジ装着部15とがチューブ12によって接続されているが、図4では、便宜上、チューブ12及びカートリッジ装着部15の図示を省略している。
キャップ41(本発明の液受け部材)は、キャリッジ2を移動範囲Rの右端部(本発明の移動範囲の一方の端部)に位置している状態で、インクジェットヘッド3と対向するように配置されている。また、キャップ41は、図示しない昇降機構により昇降可能に構成され、キャリッジ2を移動範囲Rの右端部近傍まで移動させたときに、上昇して複数のノズル10を覆う。吸引ポンプ42は、チューブポンプなどであり、チューブ45aを介してキャップ41と接続されている。廃液タンク43はチューブ45bを介して吸引ポンプ42と接続されている。
プリンタ1では、複数のノズル10がキャップ41に覆われた状態で、吸引ポンプ42を駆動させると、ノズル10からインクジェットヘッド3内のインクとともにインク中の空気や異物を排出させる吸引パージを行うことができる。排出されたインクなどは廃液タンク43に貯留される。
また、プリンタ1では、複数のノズル10がキャップ41に覆われた状態でノズル10からインクを吐出させることにより、ノズル10内の増粘したインクなどを排出するフラッシングを行うことができる。ここで、フラッシング時にも、制御基板30からインクジェットヘッド3に吐出制御データを送信する必要があるが、フラッシング時には、印刷時よりも吐出制御データの送信周波数を低くする。また、フラッシングの後、複数のノズル10がキャップ41に覆われていない状態で吸引ポンプ42を駆動させることにより、フラッシングによりキャップ41に溜まったインクを吸引することができる。
また、第2実施形態では、図4、図5に示すように、制御基板30が、プリンタ本体1aの、走査方向における、キャリッジ2の移動範囲Rの右端よりもさらに右側に配置されている。これにより、制御基板30は、プリンタ本体1aの走査方向における右側の端1a2(本発明の走査方向における一方の端)とキャリッジ2の移動範囲Rとの間に配置されている。また、キャリッジ2には、搬送方向の下流側の端面に、搬送方向下流側に突出した引出部46が設けられている。引出部46は、キャリッジ2よりも上下方向の長さが短くなっており、FFC14よりも下側の位置に配置されている。
FFC13は、搬送方向と直交する平面T2上に、その幅方向が搬送方向とほぼ平行となるように配置されている。これにより、FFC13は、平面T2に沿って屈曲可能となっている。FFC13は、引出部46から走査方向の左側に引き出されている。また、FFC13は、途中で約180°屈曲されることにより、引出部46のすぐ下側の領域を走査方向に延びて、制御基板30に接続されている。
FFC14は、上述の実施の形態と同様、平面T1に沿って屈曲可能となっている。FFC14は、キャリッジ2の搬送方向における下流側の端部から左側に引き出されているとともに、途中で約180°屈曲され、プリンタ本体1aの搬送方向における下流側の端1a1とキャリッジ2との間を走査方向に延びて制御基板30に接続されている。
また、第2実施形態では、プリンタ本体1aのキャリッジ2の移動範囲Rの左端部(本発明の移動範囲の他方の端部)に、記録用紙Pの位置決めを行うための位置決め部材47が配置されている。記録用紙Pは、走査方向の左側の縁Paが位置決め部材47に接触する位置まで走査方向の左側、つまり、制御基板30から離れた側に寄せられた状態で、搬送ローラ4によって搬送される。これにより、記録用紙Pは、そのサイズによらず、走査方向の左側の縁Paが図4に示す直線L上に位置するようにその位置が定められる。なお、第2実施形態では、搬送方向縁Paが直線L上に位置しているときの記録用紙Pの位置が、本発明に係る基準位置に相当する。
ここで、FFC13の配線形成面13bとFFC14の配線形成面14bとが重なっていると、吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響によって、配線22の周囲に強い磁界が発生しやすい。一方で、第2実施形態では、上述したように、FFC13が平面T2に沿って屈曲可能であるのに対して、FFC14が平面T2とは異なる平面T1に沿って屈曲可能であるため、配線形成面13bと配線形成面14bとが重なりにくい。したがって、吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響によって、配線22の周囲に強い磁界が発生するのを抑制することができる。さらに、第2実施形態では、FFC13の配置面である平面T2とFFC14の配置面である平面T1とが直交している。したがって、吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響によって、配線22の周囲に強い磁界が発生するのをさらに効果的に抑制することができる。
また、第2実施形態では、上述したようにFFC13の配置面である平面T2とFFC14の配置面である平面T1とが直交しているとともに、FFC13及びFFC14が、走査方向におけるキャリッジ2の移動範囲Rの右端よりもさらに右側に配置された制御基板30に接続されている。この場合、図5(a)に示すように、キャリッジ2が移動範囲Rの左端部近傍に位置し、制御基板30から離れているときには、FFC13とFFC14とは、搬送方向に重ならない。これに対して、図5(b)に示すように、キャリッジ2が移動範囲の右端部近傍に位置し、制御基板30に近づいているときには、屈曲したFFC13が上方にせり上がることにより、FFC13とFFC14とが搬送方向に重なる。
そこで、第2実施形態では、上述したように、記録用紙Pを極力走査方向の左側に寄せた状態で印刷を行う。これにより、第2実施形態では、印刷時のキャリッジ2の移動範囲を、移動範囲Rのうち極力左側の範囲にすることができる。これにより、印刷中にFFC13とFFC14とが重なりにくくなり、吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響により、配線22の周囲に強い磁界が発生するのを抑制することができる。
一方で、このように、記録用紙Pを極力走査方向の左側に寄せた状態で印刷を行おうとした場合、キャップ41は、上述したように、移動範囲Rの右端部近傍に配置されることになる。そのため、フラッシング時には、FFC13とFFC14とが搬送方向に重なっており、吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響により、配線22の周囲に強い磁界が発生しやすい。
そこで、第2実施形態では、フラッシング時に、印刷時よりも吐出制御データの送信周波数を低くする。これにより、吐出データ送信配線21の周囲に発生する磁界が弱くなる。その結果、吐出データ送信配線21の周囲に発生する磁界の影響により、配線22の周囲に強い磁界が発生するのを抑制することができる。
次に、第1、第2実施形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、第1、第2実施の形態と同様の構成を有するものについては、適宜その説明を省略する。
第1実施形態では、インクジェットヘッド3とカートリッジ装着部15とを接続するチューブ12が、FFC13とFFC14との間に配置され、FFC13とFFC14とを隔てるスペーサとして機能していたが、これには限られない。一変形例(変形例1)では、図6に示すように、チューブ12が、キャリッジ2の走査方向左側の側面における、FFC13、14よりも搬送方向の下流側の部分から引き出されている。一方、FFC13とFFC14との間には、スポンジなどからなる複数のスペーサ51が、FFC13、14の長手方向に沿って間隔をあけて配置され、FFC13、14にそれぞれ接合されている。この場合でも、スペーサ51により、FFC13とFFC14とが近づいてしまうのを防止することができる。
さらには、FFC13とFFC14との間に、スペーサとなる部材が設けられていなくてもよい。この場合でも、全ての吐出データ送信配線21がFFC13に形成され、それ以外の配線22が全てFFC14に形成されているため、吐出データ送信配線21と配線22とが同一のFFCに混在している場合に比べれば、吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響により、配線22の周囲に強い磁界が発生するのを抑制することができる。
また、キャリッジ2、FFC13、14及び制御基板の位置関係は、第1、第2実施形態のものには限られない。
別の一変形例(変形例2)では、図7に示すように、第1実施形態において、FFC13がキャリッジ2の走査方向左側の側面における、搬送方向下流側の端部から走査方向の左側に引き出されているのに対して、FFC14がキャリッジ2の走査方向左側の側面における搬送方向上流側の端部から左側に引き出されている。この場合には、FFC13とFFC14とが、キャリッジ2の大きく離れた部分から引き出されているため、FFC13とFFC14との距離を大きくすることができる。
また、別の一変形例(変形例3)では、図8に示すように、制御基板30が、プリンタ本体1aのキャリッジ2の移動範囲Rよりも走査方向の右側に位置する部分に配置されている。これにより、制御基板30が、プリンタ本体1aの走査方向の右側の端1a2とキャリッジ2の移動範囲との間に配置されている。
FFC13は、キャリッジ2の走査方向左側の側面における、搬送方向下流側の端部から走査方向の左側に引き出されている。そして、FFC13は、途中でキャリッジ2の搬送方向の下流側に約180°屈曲され、プリンタ本体1aの搬送方向における下流側の端1a1(図4参照)とキャリッジ2との間を走査方向に延びて制御基板30に接続されている。
一方、FFC14は、キャリッジ2の走査方向左側の側面における、搬送方向上流側の端部から左側に引き出されている。そして、FFC14は、途中でキャリッジ2の搬送方向の上流側に約180°屈曲され、プリンタ本体1aの搬送方向における上流側の端1a3(本発明の走査方向と直交する方向における他方の端)(図2参照)とキャリッジ2との間を走査方向に延びて制御基板30に接続されている。
この場合にも、変形例2と同様、FFC13とFFC14とが、キャリッジ2の大きく離れた部分から引き出されている。さらに変形例3では、FFC13とFFC14とが、搬送方向においてキャリッジ2を挟むように配置されている。以上のことから、FFC13とFFC14との距離を大きくすることができる。
また、別の一変形例(変形例4)では、図9、図10(a)に示すように、プリンタ本体1aの走査方向における右側の端1a2と、走査方向におけるキャリッジ2の移動範囲Rとの間に、吐出制御データを出力する制御基板61(本発明の第1基板)が配置されている。一方、プリンタ本体1aの走査方向における左側の端1a4(本発明の走査方向における他方の端)と、キャリッジ2の移動範囲Rとの間に、電源の供給やグランド電位の付与を行うための制御基板62(本発明の第2基板)が配置されている。
FFC13は、キャリッジ2の走査方向左側の側面における、搬送方向下流側の端部から左側に引き出されている。また、FFC13は、途中で搬送方向下流側に約180°屈曲され、プリンタ本体1aの搬送方向の下流側の端1a1とキャリッジ2との間を走査方向に延びて制御基板61に接続されている。一方、FFC14は、キャリッジ2の走査方向右側の側面における、搬送方向の上流側の端部から右側に引き出されている。また、FFC14は、途中で搬送方向の上流側に約180°屈曲され、プリンタ本体1aの搬送方向における上流側の端1a3とキャリッジ2との間を走査方向に延びて制御基板62に接続されている。
この場合には、FFC13とFFC14とが、キャリッジ2の走査方向における反対側の側面から引き出されている。さらに、FFC13とFFC14とが、搬送方向においてキャリッジ2を挟むように配置されている。以上のことから、FFC13とFFC14との距離を大きくすることができる。
また、この場合には、FFC13が接続された制御基板61と、FFC14が接続された制御基板62とが、走査方向においてキャリッジ2を挟むように配置されている。そのため、キャリッジ2は、走査方向の右側に移動するほど、制御基板61に近づき、制御基板62から遠ざかる。したがって、キャリッジ2が走査方向の右側に移動するほど、FFC13の屈曲が大きくなり、FFC14の屈曲が小さくなる。一方、キャリッジ2が走査方向の左側に移動するほど、制御基板61から遠ざかり、制御基板62に近づく。したがって、キャリッジ2が走査方向の左側に移動するほど、FFC13の屈曲が小さくなり、FFC14の屈曲が大きくなる。すなわち、変形例4では、FFC13とFFC14とが同時に大きく屈曲することがない。これにより、屈曲したFFC13が元に戻ろうとする力と、屈曲したFFC13が元に戻ろうとする力とが同時に大きくなることがない。したがって、キャリッジ2がFFC13、14から受ける力が大きくなることがなく、キャリッジ2に大きな負担がかかるのを防止することができる。また、キャリッジ2がFFC13、14から受ける力によって回転してしまうことを抑制することもできる。
また、別の一変形例(変形例5)では、変形例4において、図10(b)に示すように、FFC13の片側の表面に、FFC13の長手方向に沿って延びたシールド部材66が貼り付けられ、吐出データ送信配線21がシールド部材66に覆われている。シールド部材66は、アルミテープ、銅箔テープなど、金属材料からなるテープである。
ここで、一般に、吐出制御データの信号の電圧は、インクジェットヘッド3に供給される電源の電圧等に比べて低い。また、吐出制御データを送信するための吐出データ送信配線21の数は、それ以外の配線22の数よりも多い。そのため、吐出データ送信配線21は、配線22に比べて幅が狭いことが多い。その結果、FFC13は、FFC14に比べて曲げ剛性が低いことがある。FFC13とFFC14の曲げ剛性に差がある場合、FFC13、14が同じだけ屈曲しているときの、屈曲したFFC13が元に戻ろうとする力の大きさと、屈曲したFFC14が元に戻ろうとする力の大きさとに差が生じる。その結果、キャリッジ2が走査方向の右側に移動するときと左側に移動するときとで、キャリッジ2がFFC13、14から受ける力に差が生じ、キャリッジ2の走行が不安定になってしまう虞がある。
変形例5では、曲げ剛性の低いFFC13にシールド部材66が貼り付けられているため、FFC13、14が同じだけ屈曲しているときの、屈曲したFFC13が元に戻ろうとする力の大きさと、屈曲したFFC14が元に戻ろうとする力の大きさとの差を小さくすることができる。これにより、キャリッジ2が走査方向の右側に移動するときと左側に移動するときとで、キャリッジ2がFFC13、14から受ける力の差が小さくなり、キャリッジ2の走行が安定する。また、高い周波数で吐出制御データが送信される吐出データ送信配線21が形成されたFFC13の表面にシールド部材66が貼り付けられているので、FFC13からの放射ノイズを抑えることができる。
なお、FFC13からの放射ノイズを抑える観点から、変形例5において、FFC13の両面にシールド部材66を貼り付けることも考えられる。しかしながら、この場合には、金属材料からなる2枚のシールド部材66が互いに対向して配置されることとなり、FFC13が不必要な容量を持ってしまう。変形例4では、FFC13が不必要な容量を持ってしまうことのないように、FFC13の片面にのみシールド部材66を貼り付けている。
また、変形例3〜5では、FFC13、14のいずれもが平面T1に沿って屈曲可能となっていたが、これには限られない。
別の一変形例(変形例6)では、図11(a)に示すように、変形例3において、キャリッジ2の搬送方向上流側の端部に、キャリッジ2から搬送方向上流側に突出した引出部71が設けられている。引出部71は、引出部46と同様、キャリッジ2よりも上下方向の長さが短くなっている。そして、FFC14は、搬送方向と直交する平面T3上に、その幅方向が搬送方向と平行となるように配置されている。これにより、FFC14は、平面T3に沿って屈曲可能となっている。FFC14は、引出部71から走査方向の左側に引き出されている。また、FFC14は、途中で約180°屈曲され、引出部71のすぐ下側の領域を通るように走査方向に延びて、制御基板30に接続されている。
変形例6では、FFC13が平面T1に沿って屈曲可能であるのに対して、FFC14が、平面T1と異なる平面T3に沿って屈曲可能となっている。これにより、配線形成面13bと配線形成面14bとが重なりにくい。さらに、変形例6では、FFC13の配置面である平面T1と、FFC14の配置面である平面T3とが直交している。また、変形例6でも、変形例4と同様、FFC13とFFC14とが、キャリッジ2の離れた部分から引き出されているとともに、搬送方向においてキャリッジ2を挟むように配置されているため、FFC13とFFC14との距離が大きい。以上のことから、吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響によって、配線22の周囲に強い磁界が発生するのを抑制することができる。
また、別の一変形例(変形例7)では、図11(b)に示すように、変形例6において、キャリッジ2の搬送方向下流側の端部に、さらに引出部72が設けられている。引出部72も、引出部71と同様キャリッジ2よりも上下方向の長さ短くなっている。そして、FFC13は、平面T2上に、その幅方向が搬送方向とほぼ平行となるように配置されている。これにより、FFC13は、平面T2に沿って屈曲可能となっている。FFC13は、引出部46から走査方向の左側に引き出されている。また、FFC13、途中で約180°屈曲され、引出部46のすぐ下側の領域を通るように走査方向に延びて、制御基板30に接続されている。
変形例7では、FFC13が平面T2に沿って屈曲可能であるのに対して、FFC14が、平面T2と異なる平面T3に沿って屈曲可能となっているため、配線形成面13bと配線形成面14bとが重なりにくい。また、変形例7でも、変形例6と同様、FFC13とFFC14とが、キャリッジ2の離れた部分から引き出されているとともに、搬送方向においてキャリッジ2を挟むように配置されているため、FFC13とFFC14との距離が大きい。以上のことから、吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響によって、配線22の周囲に強い磁界が発生するのを抑制することができる。
また、別の一変形例(変形例8)では、図12(a)に示すように、変形例4において、キャリッジ2に変形例6と同様の引出部71が設けられている。そして、FFC14は、変形例6と同様、平面T3に沿って屈曲可能となっている。FFC14は、引出部71から走査方向の右側に引き出されている。また、FFC14は、途中で約180°屈曲されることにより、引出部71のすぐ下側の領域を通るように走査方向に延び、制御基板62に接続されている。
変形例8でも、変形例6と同様、FFC13が平面T1に沿って屈曲可能であるのに対して、FFC14が平面T1と異なる平面T3に沿って屈曲可能となっている。したがって、FFC13の配線形成面13bとFFC14の配線形成面14bとが重なりにくい。さらに、FFC13の配置面である平面T1と、FFC14の配置面である平面T3とが直交している。また、変形例8でも、変形例4と同様、FFC13とFFC14とが、キャリッジ2の離れた部分から引き出されているとともに、搬送方向においてキャリッジ2を挟むように配置されているため、FFC13とFFC14との距離が大きい。以上のことから、吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響によって、配線22の周囲に強い磁界が発生するのを抑制することができる。また、変形例8でも、変形例4と同様、FFC13とFFC14とが同時に大きく屈曲することがないため、キャリッジ2に大きな負担がかかったり、キャリッジ2が回転したりしてしまうことを抑制することができる。
なお、変形例8や上述の変形例6では、FFC13が、その幅方向が上下方向と平行になるように配置され、FFC14が、その幅方向が搬送方向と平行になるように配置されていていたが、これには限られない。変形例6、8では、上述したのとは逆に、FFC13が、その幅方向が搬送方向と平行になるように配置され、FFC14が、その幅方向が上下方向と平行になるように配置されていてもよい。この場合には、FFC13が、搬送方向と平行な平面に沿って屈曲可能となり、FFC14が、水平な平面に沿って屈曲可能となる。
また、別の一変形例(変形例9)では、図12(b)に示すように、変形例8において、キャリッジ2に、変形例7と同様の引出部72がさらに設けられている。そして、FFC13は、変形例7と同様、平面T2に沿って屈曲可能となっている。FFC13は、引出部46から走査方向の左側に引き出されている。また、FFC13、途中で約180°屈曲されることにより、引出部46のすぐ下側の領域を通るように走査方向に延び、制御基板61に接続されている。
変形例9でも、変形例7と同様、FFC13が平面T2に沿って屈曲可能となっているのに対して、FFC14が平面T2と異なる平面T3に沿って屈曲可能となっているため、FFC13の配線形成面13bとFFC14の配線形成面14bとが重なりにくい。また、変形例9でも、変形例7と同様、FFC13とFFC14とが、キャリッジ2の離れた部分から引き出されているとともに、搬送方向においてキャリッジ2を挟むように配置されているため、FFC13とFFC14との距離が大きい。以上のことから、FFC13の吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響によって、FFC14の配線22の周囲に強い磁界が発生するのが抑制される。また、変形例9でも、変形例4と同様、FFC13とFFC14とが同時に大きく屈曲することがないため、キャリッジ2に大きな負担がかかったり、キャリッジ2が回転したりしてしまうことを抑制することができる。
また、FFC13、14の屈曲のさせ方は、以上に説明したものには限られない。別の一変形例(変形例10)では、図13に示すように、変形例3において、FFC14が、搬送方向と直交する平面T4上に、その幅方向が搬送方向と平行となるように配置されている。これにより、FFC14は、平面T4に沿って屈曲可能となっている。そして、FFC14は、キャリッジ2の走査方向右側の側面における、搬送方向上流側の端部から、走査方向の右側に引き出されている。また、FFC14は、その途中部分において、搬送方向から見て渦状に屈曲されている。また、図示は省略するが、渦状に屈曲されたFFC14の渦の内側に位置する部分が、折り曲げられることによって搬送方向に引き出され、引き出された部分の先端部が制御基板30に接続されている。
この場合には、キャリッジ2が走査方向の左側に移動して制御基板30から離れると、FFC14の渦状に屈曲された部分が走査方向の左側に引き出される。キャリッジ2が走査方向の左側に移動して制御基板30に近づくと、渦状に屈曲された状態に戻る。
この場合でも、FFC13が平面T1に沿って屈曲可能となっているのに対して、FFC14が平面T1と異なる平面T4に沿って屈曲可能となっている。したがって、変形例3と同様、FFC13とFFC14とが近づきにくい。さらに、FFC13の配置目である平面T1と、FFC14の配置面である平面T4とが直交している。したがって、吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響によって、配線22の周囲に強い磁界が発生するのを抑制することができる。
また、以上の例では、平面T1と、平面T2〜T4とが直交していたが、平面T1と平面T2〜T4とが、90°と異なる角度で交差していてもよい。この場合でも、FFC13の配置面と、FFC14の配置面とが交差するため、吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響によって、配線22の周囲に強い磁界が発生するのを効果的に抑制することができる。
また、第1実施形態では、FFC13の長さがFFC14の長さよりも短くなっていたが、これには限られない。FFC13の長さは、FFC14同じ長さであってもよいし、FFC14の長さよりも長くてもよい。
また、第2実施形態では、吸引パージを行う際にノズル10を覆うキャップ41にインクを吐出することによってフラッシングを行ったが、これには限られない。キャップ41が設けられていた位置に、キャップ41の代わりに、スポンジなどからなるインクを吸収可能なフラッシングフォームが設けられ、フラッシングフォームにインクを吐出することによってフラッシングを行ってもよい。なお、この場合には、フラッシングフォームが、本発明に係る液受け部材に相当する。
また、上述の第2実施形態では、FFC14が、引出部46の下側を通過するように屈曲されていたが、FFC14は、引出部46の上側を通過するように屈曲されていてもよい。
また、上述の第1、第2実施形態、及び、変形例1〜3、6、7、10では、FFC13とFFC14との位置を入れ替えてもよい。また、変形例4、5、8、9では、FFC13とFFC14の位置、及び、制御基板61と制御基板62の位置とを入れ替えてもよい。
さらには、FFC13、14、及び、FFC13、14と接続される基板は、以上に説明したのとは異なる位置や向きで配置されていてもよい。
また、以上の例では、FFC13に全ての吐出データ送信配線21が形成され、吐出データ送信配線21以外の配線22が全てFFC14に形成されていたが、これには限られない。配線22のうちの一部は、FFC13に形成されていてもよい。この場合には、吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響によって、FFC13に形成された上記一部の配線22の周囲には強い磁界が発生しやすくなる。しかしながら、この場合でも、FFC13に全ての吐出データ送信配線21がまとめて形成されているため、吐出データ送信配線21の周囲に発生した磁界の影響によって、FFC14に形成された配線22の周囲に強い磁界が発生するのを抑制することはできる。
また、以上では、キャリッジとともに走査方向に往復移動しつつ、ノズルからインクを吐出する、いわゆるシリアル式のインクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。走査方向に記録用紙Pの全長にまたがるように延びた、いわゆるラインヘッドを備えたインクジェットプリンタに本発明を適用することも可能である。さらには、インク以外の液体を吐出するインクジェットプリンタ以外の液体吐出装置に本発明を適用することも可能である。