JP6413377B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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Description
トロイダル型無段変速機が変速動作を行わない状態でトルクを伝達している通常運転時には、前記各パワーローラ7、7に、前記トラクション力2Ft(各トラクション部毎ではFt)が、図4に矢印aで示す様に、前記各ディスク2a、2b、6の回転方向に加わる。これら各ディスク2a、2b、6同士の間で伝達すべき伝達トラクション力2Ftの大きさは、これら各ディスク2a、2b、6同士の間で伝達するトルクが大きい程大きく(前記矢印aが長く)なる。前記通常運転時の、これら各トラクション部で伝達可能なトラクション力の最大値(限界トラクション力)Fmaxは、前記法線力Fcと、これら各トラクション部のトラクション係数μt(接線力/法線力)とから求める事ができる。このトラクション係数μtは、トラクションオイルの種類等、トラクションオイルの性能に基づいて予め設定される。
このうちのディスクは、それぞれが断面円弧形のトロイド曲面である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、且つ、相対回転を自在に支持されている。
又、前記各支持部材は、軸方向に関して前記各ディスクの軸方向片側面同士の間位置にそれぞれ複数個ずつ、これら各ディスクの中心軸に対し捩れの位置にある傾転軸を中心とする揺動変位を自在に設けられている。
又、前記各パワーローラは、前記各支持部材に回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を前記各ディスクの軸方向片側面にそれぞれ当接させている。
又、前記潤滑装置は、これら各ディスクの軸方向片側面と前記各パワーローラの周面との転がり接触部であるトラクション部にトラクションオイルを供給する。
或いは、前記各ディスクの回転速度を検出する為の回転速度センサの出力信号の値や、前記各支持部材に取り付けた角度センサにより検出した前記各傾転軸を中心とするこれら各支持部材の揺動角度に基づいて算出した、前記各ディスク同士の間の変速比の変化速度(変速速度)に応じて、前記各トラクション部に供給するトラクションオイルの量を調節する様に構成しても良い。
尚、請求項1、2に記載した発明と、請求項3に記載した発明とを同時に実施する事もできる。
即ち、本発明によれば、各ディスク同士の間の変速比を変化させている間に、各トラクション部に向けて吐出するトラクションオイルの量を増大させられる。この為、前記トロイダル型無段変速機の変速比が急変動した場合にも、前記各トラクション部に存在するトラクションオイルの温度上昇を抑えられ、このトラクションオイルのトラクション係数μtが低下する(限界トラクション力が小さくなる)事を抑える事ができる。この結果、前記変速動作の際に、前記各トラクション部でのグロススリップの発生を防止できて、前記トロイダル型無段変速機の耐久性を確保できる。又、変速動作を行わない通常運転時に、前記各トラクション部に供給されるトラクションオイルが過剰になる事を防止できて、前記トロイダル型無段変速機の伝達効率が低下する事を防止できる。
又、請求項3に記載した発明によれば、前記トロイダル型無段変速機の変速動作の開始直後から、前記各トラクション部に前記トラクションオイルを十分に供給する事ができる。
請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第1例に就いて説明する。本例のトロイダル型無段変速機の場合も、前述の特許文献2に記載された構造と同様に、トラクションオイルを送り出す為の給油ポンプと、このトラクションオイルを、各パワーローラ7、7の周面と各ディスク2a、2b、6の転がり接触部(トラクション部)に吐出する為のノズル孔とを結ぶ給油通路の途中に流量調整弁を設け、これら各トラクション部に向けて吐出するトラクションオイルの量を調節可能としている。そして、本例の場合、前記ノズル孔から吐出するトラクションオイルの量を、前記各ディスク2a、2b、6同士の間で伝達する動力(∝トルク×回転速度)の大きさに加え、これら各ディスク2a、2b、6同士の間の変速比(トロイダル型無段変速機の変速比)の変化速度(変速速度)に応じて調節可能としている。即ち、前記ノズル孔からのトラクションオイルの吐出量(≒各トラクション部へのトラクションオイルの供給量)Qは、前記各ディスク2a、2b、6同士の間で伝達する動力をPとし、変速速度をvとすると、次の(1)式で表される。
又、本例の場合、前記変速速度vは、前記各トラニオン8、8が中立位置に向けて変位する(戻る)際の、これら各トラニオン8、8のうち、何れか1つのトラニオン8の傾転軸10、10の軸方向に関する変位速度(単位時間当たりの変位量)を測定する事で求めている。尚、この変位速度は、前記何れか1つのトラニオン8の軸方向端面に検出部を対向させた非接触式の変位センサ等により測定する事ができる。
但し、前記変速速度vは、前記各ディスク2a、2b、6の回転数に基づいて算出したり、前記各トラニオン8、8のロッド22、22に取り付けた角度センサによって、前記各傾転軸10、10の中心軸を中心とする前記各トラニオン8、8の揺動角度を検出する事により求めても良い。
即ち、前記各トラクション部に向けて吐出するトラクションオイルの量を、前記トロイダル型無段変速機の運転状況(このトロイダル型無段変速機が伝達する動力、変速速度)に応じて調節できる為、前記各トラクション部に十分量のトラクションオイルを供給して、これら各トラクション部でのグロススリップの発生を防止しつつ、過剰なトラクションオイルの供給に伴う前記トロイダル型無段変速機の伝達効率の低下を防止する事ができる。
請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第2例に就いて説明する。本例のトロイダル型無段変速機は、各トラクション部に向けて吐出するトラクションオイルの量を、各ディスク2a、2b、6同士の間で伝達する動力の大きさに加え、それぞれの両端部に設けた傾転軸10、10の軸方向に関する各トラニオン8、8の変位量に応じて調節可能としている。即ち、これら各トラニオン8、8の変位量を大きくする程、これら各トラニオン8、8を前記各傾転軸10、10を中心に揺動させる方向のサイドスリップ力Fsが大きくなり、前記トロイダル型無段変速機の変速速度が速くなる。そこで、本例の場合には、前記各トラニオン8、8の変位量が大きくなる程前記各トラクション部に向けて吐出するトラクションオイルの量が多くなる様にしている。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例と同様である。
請求項3に対応する、本発明の実施の形態の第3例に就いて説明する。本例のトロイダル型無段変速機は、ステッピングモータ15を制御する為の制御器からこのステッピングモータ15に対し変速指令が出された場合に、各トラクション部に向けて吐出するトラクションオイルの量を増やす様にしている。即ち、これら各トラクション部に加わるサイドスリップ力は、変速動作の開始直後に最も大きくなる。そして、このサイドスリップ力の増大に伴い前記各トラクション部での発熱量も相当に大きくなって、これら各トラクション部でグロススリップが発生し易くなる。この様な傾向は、手動による変速比切換スイッチの操作に基づいて、各ディスク2a、2b、6同士の間の変速比を予め設定した値に調節できる手動変速モード(所謂マニュアルモード)を備えるトロイダル型無段変速機に於いて、前記変速比切換スイッチを操作した場合や、キックダウンに基づき急加速したり、ブレーキペダルを強く踏み込む事で急減速したりした場合に、特に顕著になる。そこで、本例の場合には、変速指令が出された場合に、前記各トラクション部に向けて吐出するトラクションオイルの量を、予め設定した所定時間だけ(変速動作が完了するまで)増大させる。
尚、本例は、上述した実施の形態の第1例又は第2例と組み合わせて実施する事もできる。その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様である。
2a、2b 入力側ディスク
3 ボールスプライン
4 筒部材
5 歯車
6 出力側ディスク
7 パワーローラ
8 トラニオン
9 支持軸
10 傾転軸
11 駆動軸
12 押圧装置
13 アクチュエータ
14 変速比制御弁
15 ステッピングモータ
16 プリセスカム
17 スプール
18 スリーブ
19 油圧源
20a、20b 油圧室
21 リンク腕
22 ロッド
Claims (3)
- それぞれが断面円弧形のトロイド曲面である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、且つ、相対回転を自在に支持された少なくとも1対のディスクと、
軸方向に関してこれら各ディスクの軸方向片側面同士の間位置にそれぞれ複数個ずつ、これら各ディスクの中心軸に対し捩れの位置にある傾転軸を中心とする揺動変位を自在に設けられた支持部材と、
これら各支持部材に回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を前記各ディスクの軸方向片側面にそれぞれ当接させた、前記各支持部材と同数のパワーローラと、
これら各ディスクの軸方向片側面とこれら各パワーローラの周面との転がり接触部であるトラクション部にトラクションオイルを供給する潤滑装置と
を備えるトロイダル型無段変速機に於いて、
前記潤滑装置は、前記各ディスク同士の間の変速比を変化させている間に、これら各ディスク同士の間の変速比の変化速度に応じて、前記各トラクション部に向けて吐出するトラクションオイルの量を調節する機能を有するものである事を特徴とするトロイダル型無段変速機。 - 前記各支持部材毎に設けられたアクチュエータによりこれら各支持部材を前記各傾転軸の軸方向に変位させ、これら各支持部材をこれら各傾転軸を中心に揺動変位させる事により、前記各ディスク同士の間の変速比の調節を行うものであり、
前記潤滑装置は、これら各ディスク同士の間の変速比を変化させている間に、前記各支持部材のうち少なくとも何れか1つの支持部材の、前記各傾転軸の軸方向に関する変位速度に応じて、前記各トラクション部に向けて吐出するトラクションオイルの量を調節するものである、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機。 - それぞれが断面円弧形のトロイド曲面である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、且つ、相対回転を自在に支持された少なくとも1対のディスクと、
軸方向に関してこれら各ディスクの軸方向片側面同士の間位置にそれぞれ複数個ずつ、これら各ディスクの中心軸に対し捩れの位置にある傾転軸を中心とする揺動変位を自在に設けられた支持部材と、
これら各支持部材に回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を前記各ディスクの軸方向片側面にそれぞれ当接させた、前記各支持部材と同数のパワーローラと、
これら各ディスクの軸方向片側面とこれら各パワーローラの周面との転がり接触部であるトラクション部にトラクションオイルを供給する潤滑装置と
を備えるトロイダル型無段変速機に於いて、
前記潤滑装置は、変速指令が出された事のみを条件に、この変速指令が出された直後に、前記各トラクション部に向けて吐出するトラクションオイルの量を増大させる機能を有するものである事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
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