以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態による放射線画像撮影装置の概略図である。図1に示すように、本実施形態による放射線画像撮影装置1は、可搬型の放射線照射装置10、放射線検出器30、およびコンソール50を備える。そして、ベッド2に寝ている被検体Hの放射線画像を取得するために、放射線検出器30を被検体Hとベッド2との間に挿入し、可搬型の放射線照射装置10から被検体Hに向けて放射線を照射して、放射線検出器30により被検体Hの放射線画像を取得するものである。また、コンソール50は、ネットワークを介して医師等の端末80と接続されている。
図2は放射線照射装置の前面側斜視図、図3は放射線照射装置の後面側斜視図、図4は放射線照射装置の内部構成を示す概略ブロック図である。図示のように、放射線照射装置10は、直方体状の筐体11の前面に、放射線が出射される出射窓12と、被検体Hの表面を撮影するカメラ13と、距離センサ27とが設けられている。なお、出射窓12からは、放射線の照射範囲を絞るためのコリメータ14が見えている。また、筐体11の後面には液晶等からなるモニタ15が設けられている。モニタ15には、カメラ13が被検体Hの表面を撮影することにより取得した撮影画像、被検体Hの放射線画像、および放射線照射装置10を設定するための各種情報等が表示される。距離センサ27は、レーザまたは超音波により、装置10と対象物との距離を計測する。なお、カメラ13およびモニタ15が、撮影手段および表示手段にそれぞれ対応する。
筐体11の両側面には、把持部16,17がそれぞれ取り付けられている。把持部16は、筐体11の側面の上部および下部から側方に突出する2つの突出部16Aと、2つの突出部16Aを接続する接続部16Bとからなる。把持部17は、筐体11の側面の上部および下部から側方に突出する2つの突出部17Aと、2つの突出部17Aを接続する接続部17Bとからなる。突出部16A,17Aは突出位置11A,11Bから筐体11の後面に向かって湾曲している。なお、湾曲させることに代えて、突出部16A,17Aを突出位置11A,11Bから筐体11の後面に向かって傾斜させてもよい。操作者は把持部16,17を持つことにより、放射線照射装置10を被検体Hを撮影可能な位置に移動させることができる。なお、操作者が撮影を行う際に右手で持つこととなる把持部17の上側の突出部17Aには、放射線を出射させて被検体Hの撮影を行うための撮影ボタン18が設けられている。
筐体11には、モニタ15、放射線源19、照射制御部20、コリメータ制御部21、撮影制御部22、駆動制御部23、入力部24、通信部25、バッテリ26、距離センサ27、モーションセンサ28および照射野ランプ29が収容されている。これにより、放射線源19と撮影手段であるカメラ13とが一体的に設けられている。なお、照射制御部20、コリメータ制御部21、撮影制御部22、駆動制御部23および通信部25は、コンピュータ上で動作するプログラム(ソフトウェア)、専用のハードウェア、あるいは両者を組み合わせて構成される。なお、プログラムは、DVD(Digital Versatile Disc)あるいはCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)等の記録媒体に記録されて配布され、その記録媒体から放射線照射装置10にインストールされる。もしくは、ネットワークに接続されたサーバコンピュータの記憶装置、あるいはネットワークストレージに、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じて放射線照射装置10にダウンロードされ、インストールされる。
放射線源19は、例えばX線管球、昇圧回路およびX線管球を冷却する冷却手段等から構成されている。
照射制御部20は、放射線源19を駆動して、あらかじめ設定された撮影条件に応じた強度の放射線が設定された時間だけ被検体Hに照射されるように、被検体Hへの放射線の照射量を制御する。撮影条件とは、被検体Hの体厚に応じた管電圧(kV値)およびmAs値(管電流×照射時間)である。なお、被検体Hの体厚は、距離センサ27により、装置10と放射線検出器30の表面との距離であるSID(Source Image receptor Distance)および装置10と被検体Hの表面との距離であるSOD(Source Object Distance)を計測し、SIDからSODを減算することにより求めることができる。なお、操作者が体厚を測定し、測定した体厚を含む、撮影条件を設定するための情報を入力部24から装置10に入力するようにしてもよい。本実施形態においては、このような体厚等の撮影条件を設定するための情報がコンソール50に送信され、コンソール50において撮影条件が設定され、設定された撮影条件が放射線照射装置10に送信される。照射制御部20はコンソール50から送信された撮影条件を用いて、被検体Hへの放射線の照射を制御する。
コリメータ制御部21は、コリメータ14を駆動して放射線源19から被検体Hに照射される放射線の照射野を変更するための、モータ等の駆動機構および駆動機構を制御する電気回路等から構成されている。コリメータ制御部21は、駆動制御部23からの指示に応じてコリメータ14の駆動を制御する。
撮影制御部22は、カメラ13を駆動して、被検体Hの表面を撮影して、撮影画像G1を取得する。また、撮影制御部22は、カメラ13が取得した撮影画像G1に対して、画質を向上させるための画像処理を施すものであってもよい。なお、カメラ13が取得する撮影画像G1は、あらかじめ定められた例えば30fpsのフレームレートからなる動画像となる。
駆動制御部23は、放射線照射装置10の駆動全体を制御する。すなわち、駆動制御部23は、照射制御部20に指示を行って放射線源19を駆動する処理、コリメータ制御部21に指示を行ってコリメータ14を駆動する処理、撮影制御部22に指示を行ってカメラ13を駆動して撮影画像G1を取得する処理、撮影画像G1を含む各種情報をモニタ15に表示する処理、通信部25に指示を行って各種情報をコンソール50とやり取りする処理、バッテリ26の状態を監視する処理、入力部24からの指示を受け付ける処理、距離センサ27により放射線照射装置10と対象物との距離を測定する処理、およびモーションセンサ28による放射線照射装置10の動きを検出する処理等を行う。なお、上記の各処理は入力部24からの指示あるいはコンソール50から送信されて通信部25が受信した指示により行われる。
入力部24は、モニタ15と一体となったタッチパネル方式の入力部であり、操作者の指示を受け付けてその指示を表す情報を駆動制御部23に出力する。なお、撮影ボタン18も入力部24に含むものとする。
通信部25は、無線によりコンソール50と通信を行って、情報のやり取りを行う。なお、無線に代えて、ケーブルにより放射線照射装置10とコンソール50とを接続して、有線にて情報のやり取りを行ってもよい。後者の場合、通信部25はケーブルが接続されるコネクタを有するものとなる。
モーションセンサ28は、3軸の加速度、3軸の角速度および3軸の傾きを検出する9軸のモーションセンサである。モーションセンサ28が検出した加速度、角速度および傾きは動き情報として駆動制御部23に出力され、撮影時における放射線照射装置10の制御に用いられ、かつ通信部25からコンソール50に送信される。なお、傾きは放射線照射装置10を、放射線の照射方向と一致する軸である放射線照射軸を重力が作用する方向と一致させた状態で、水平に保持した位置を基準とした傾きとする。
照射野ランプ29は、電球またはLED(Light Emitting Diode)等の可視光を発光する発光素子からなり、駆動制御部23によりオンおよびオフが制御される。照射野ランプ29がオンとされると、被検体H上の放射線が照射される照射野に可視光が照射されることとなる。
次いで、放射線検出器30の構成について説明する。図5は放射線検出器を放射線照射側である前面から見た外観斜視図、図6は放射線検出器の内部構成を示す概略ブロック図である。
図5に示すように放射線検出器30は、画像検出部31を収容する筐体32を備えた矩形のカセッテ型の放射線検出器である。画像検出部31は、周知のように、入射した放射線を可視光に変換するシンチレータ(蛍光体)、およびTFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板を備える。TFTアクティブマトリクス基板上には、シンチレータからの可視光に応じた電荷を蓄積する複数の画素が配列された矩形状の撮像領域が形成される。筐体32には、画像検出部31の他に、TFTのゲートにゲートパルスを与えてTFTをスイッチングさせるゲートドライバ、および画素に蓄積された電荷を、X線画像を表すアナログの電気信号に変換して出力する信号処理回路等を備えた撮影制御部35等が内蔵されている。
筐体32は、放射線が入射する検出面側の前面32A、前面32Aと対向する背面32B、および4つの側面32C,32D,32E,32Fから構成される直方体形状を有する。筐体32は例えば導電性樹脂で形成され、放射線検出器30内への電磁ノイズの侵入、および放射線検出器30内から外部への電磁ノイズの放射を防止する電磁シールドとしても機能する。筐体32は、例えば、フイルムカセッテ、IP(Imaging Plate)カセッテ、あるいはCR(Computed Radiography)カセッテとほぼ同様の、国際規格ISO(International Organization for Standardization)4090:2001に準拠した大きさである。
筐体32の前面32Aには、放射線を透過させる透過板33が取り付けられている。透過板33は、放射線検出器30における放射線を検出する検出領域とほぼ一致するサイズであり、軽量で剛性が高く、かつ放射線透過性が高いカーボン材料から形成されている。
筐体32の前面32Aの四隅には、放射線検出器30を識別するための識別情報を表すマーカ34A〜34Dが付与されている。ここで、識別情報としては、放射線検出器30の個体を識別するID番号、製造番号、および放射線検出器30のサイズもしくは種別等の少なくとも1つを表す情報を用いることができる。本実施形態においては、マーカ34A〜34Dは、それぞれ直交する2つの1次元のバーコードからなる。2つのバーコードは、放射線検出器30における放射線の検出領域の四隅を規定するように、放射線検出器30の前面32Aにおける検出領域以外の部分に付与されている。これにより、マーカ34A〜34Dのそれぞれが、放射線検出器30の検出領域を含む面における異なる角の近傍に付与されてなる。なお、放射線検出器30を識別することができれば、放射線検出器の種類ごとに異なる色情報を識別情報として表すマーカを用いてもよい。例えば、放射線検出器30に固有の色が付与されたテープ等をマーカとして用いてもよい。この場合、マーカの色により放射線検出器30を識別することができる。
ここで、マーカ34A〜34Dは2つのバーコードが対となって構成されているが、本実施形態においては、2つのバーコードのうちの一方のバーコードに、放射線検出器30に収容されている画像検出部31の天地方向を表す情報を含ませる。本実施形態においては、マーカ34A,34Bが付与されている側を上、すなわち天側とする。したがって、本実施形態においては、放射線検出器30において、マーカ34A,34Bが付与されている側の辺およびマーカ34C,34Dが付与されている側の辺を規定した場合、これら2つの辺に直交する直線に沿って、マーカ34C,34Dが付与されている側の辺からマーカ34A,34Bが付与されている側の辺に向かう方向が天地方向となる。なお、天地方向は、放射線検出器30上における方向を意味し、重力が作用する方向における方向を意味するものではない。
なお、放射線検出器30に固有の色を発光するLED等の発光素子をマーカとして用いてもよい。この場合、発光素子の色により放射線検出器30を識別することができる。また、図7に示すように、放射線検出器30の検出領域の四隅にそれぞれ複数の発光素子からなるマーカ40A〜40Dを付与することにより、発光素子の点灯パターン、点滅パターンおよび発光する光の色の少なくとも1つにより放射線検出器30を識別することができる。なお、発光素子が発光装置に対応する。
また、マーカは、バーコードまたは発光素子に限定されるものではなく、少なくとも撮影画像G1におけるマーカの位置を検出可能であればよく、例えば記号または文字等をマーカとして用いるようにしてもよい。
筐体32には、画像検出部31、撮影制御部35、駆動制御部36、通信部37、モーションセンサ38およびバッテリ39が収容されている。なお、撮影制御部35、駆動制御部36および通信部37は、コンピュータ上で動作するプログラム(ソフトウェア)、専用のハードウェア、あるいは両者を組み合わせて構成される。なお、プログラムは、上記放射線照射装置10と同様に放射線検出器30にインストールされる。
撮影制御部35は、上述したようにゲートドライバおよび信号処理回路等を備え、これらの駆動を制御して、放射線画像G2を表すアナログの画像信号を生成して駆動制御部36に出力する。
駆動制御部36は、放射線検出器30の駆動全体を制御する。すなわち、駆動制御部36は、撮影制御部35に指示を行って放射線画像G2を表す画像信号を生成する処理、通信部37に指示を行って放射線画像G2を表す画像信号および各種情報をコンソール50とやり取りする処理、モーションセンサ38による放射線検出器30の動きの検出処理、並びにバッテリ39の状態を監視する処理等を行う。
通信部37は、無線によりコンソール50と通信を行って、情報のやり取りを行う。なお、無線に代えて、ケーブルにより放射線検出器30とコンソール50とを接続して、有線にて情報のやり取りを行ってもよい。後者の場合、通信部37はケーブルが接続されるコネクタを有するものとなる。
モーションセンサ38は、3軸の加速度、3軸の角速度および3軸の傾きを検出する9軸のモーションセンサである。モーションセンサ38が検出した加速度、角速度および傾きは動き情報として駆動制御部36に出力され、通信部37からコンソール50に送信される。なお、傾きは放射線検出器30を水平に保持した位置を基準とした傾きとする。
図8はコンソールの内部構成を示す概略ブロック図である。図8に示すようにコンソール50は、放射線撮影データ処理部51、画像処理部52、出力部54、記憶部55、入力部56、通信部57、モニタ58および制御部59を備える。なお、放射線撮影データ処理部51、画像処理部52、通信部57および制御部59は、コンピュータ上で動作するプログラム(ソフトウェア)、専用のハードウェア、あるいは両者を組み合わせて構成される。なお、プログラムは、上記放射線照射装置10と同様にコンソール50にインストールされる。
放射線撮影データ処理部51は、放射線検出器30から入力された被検体Hの放射線画像G2を表す画像信号に対して、A/D変換等のデータ処理を行う。放射線撮影データ処理部51からは、データ処理後のデジタルの放射線画像G2を表す放射線画像データが出力される。
画像処理部52は、放射線撮影データ処理部51が出力した放射線画像データに対して、記憶部55に記憶されている画像処理パラメータを用いて所定の画像処理を施す。画像処理部52が実施する画像処理としては、例えば、画素欠陥補正やこれを行うための欠陥マップの作成、オフセット補正や所定の均一露光画像を用いるゲイン補正およびシェーディング補正を含む画像の較正(キャリブレーションデータによる放射線画像データの補正)、さらには階調補正処理、濃度補正処理、被検体Hを透過した放射線に起因する散乱線を除去する処理、並びにモニタ表示用およびプリント出力用のデータに画像データを変換するデータ変換等、各種の画像処理が実施可能である。画像処理部52からは、画像処理済みの放射線画像データが出力される。
出力部54は、画像処理部52から入力された画像処理済みの放射線画像データを出力する。出力部54は、例えば、放射線画像をプリント出力するプリンタ、あるいは放射線画像データを記憶する記憶装置等である。
記憶部55は、放射線検出器30の検出領域のサイズ、画像処理部52において行う画像処理のための画像処理パラメータ、撮影条件を設定するための放射線検出器30の種類および被検体Hの体厚等に応じたパラメータ、並びにコンソール50における処理に必要な各種情報等を記憶し、かつ画像処理部52から出力された放射線画像G2および放射線照射装置10から送信された撮影画像G1等を記憶する。記憶部55は、半導体メモリであってもよく、ハードディスク等の記録媒体であってもよい。また、コンソール50に内蔵されるものであってもよく、外部に配置されてコンソール50と接続して用いられるものであってもよい。
入力部56は、コンソール50に各種入力を行うためのキーボード等からなる。なお、入力部56はタッチパネルであってもよい。
通信部57は、無線により放射線照射装置10および放射線検出器30と通信を行って、情報のやり取りを行う。なお、無線に代えて、ケーブルによりコンソール50と放射線照射装置10および放射線検出器30とを接続して、有線にて情報のやり取りを行ってもよい。後者の場合、通信部57はケーブルが接続されるコネクタを有するものとなる。
モニタ58は液晶パネル等からなり、コンソール50に関する各種情報、放射線検出器30から送信された放射線画像G2、および必要であれば撮影画像G1等を表示する。
制御部59は、コンソール50の駆動全体を制御する。すなわち、制御部59は、放射線撮影データ処理部51に指示を行って放射線画像G2を取得する処理、画像処理部52に指示を行って放射線画像G2に画像処理を施す処理、検出したマーカ34A〜34Dのいずれかから、放射線検出器30の識別情報を取得する処理、識別情報に基づいて放射線検出器30を識別する処理、撮影画像G1における放射線検出器の位置を検出する処理、出力部54に放射線画像G2を出力する処理、通信部57に指示を行って各種情報を放射線照射装置10および放射線検出器30とやり取りする処理、入力部56からの指示を受け付ける処理、並びにモニタ58に各種情報を表示する処理等を行う。なお、制御部59が、識別情報取得手段および識別手段に対応する。
以下、撮影画像G1における放射線検出器30の検出について説明する。被検体Hの放射線画像を取得する際には、操作者が放射線照射装置10を被検体Hに向け、カメラ13により被検体Hを撮影する。本実施形態においては、被検体Hの胸部の撮影を行うものとする。このため、撮影前においては、撮影画像G1には、図9に示すように被検体Hの胸部が含まれる。そして、被検体Hの放射線画像G2を取得するために、放射線検出器30をベッド2と被検体Hとの間に挿入する作業を行うと、図10に示すように、撮影画像G1には、放射線検出器30の一部が含まれるようになる。ここで、放射線検出器30には四隅にマーカ34A〜34Dが付与されている。制御部59は、撮影画像G1からマーカ34A〜34Dのいずれかを検出し、撮影画像G1からマーカ34A〜34Dのいずれかが検出されると、撮影画像G1に放射線検出器30が含まれると判定する。
一方、制御部59は、通信部57から放射線照射装置10に、撮影画像G1における放射線検出器30の位置を表す放射線検出器位置情報を送信する。放射線検出器位置情報は、撮影画像G1上における放射線検出器30の検出領域の角部の位置を表す座標位置である。本実施形態においては、記憶部55には、放射線検出器30の検出領域のサイズがあらかじめ記憶されている。制御部59は、撮影画像G1から検出したマーカ34A〜34Dのいずれかの位置と検出領域のサイズとから、放射線検出器位置情報を求める。また、放射線検出器位置情報が分かれば、放射線検出器30の検出領域のサイズから放射線検出器30の中心位置の情報を算出することができる。このため、制御部59は、放射線検出器30の中心位置を表す中心位置情報も放射線照射装置10に送信する。また、マーカ34A〜34Dのいずれかから、放射線検出器30の天地方向を認識し、天地方向の情報も放射線照射装置10に送信する。
また、制御部59は、撮影画像G1からマーカ34A〜34Dのいずれかが検出された場合、マーカ34A〜34Dのいずれかから放射線検出器30の識別情報を取得する。また、制御部59は、識別情報を用いて、放射線検出器を識別する。具体的には、放射線検出器30が使用すべき放射線検出器であるか否かを判別する。ここで、コンソール50にはあらかじめ使用すべき放射線検出器の種類が登録されている。すなわち、使用すべき放射線検出器の識別情報が、登録識別情報として記憶部55に記憶されている。制御部59は、放射線検出器30の識別情報と記憶部55に記憶された登録識別情報とを比較し、取得した識別情報が登録識別情報であるか否かを判定する。この判定が肯定されると、制御部59は識別情報を放射線照射装置10に送信する。放射線照射装置10においては、後述するように識別情報がモニタ15に表示される。一方、判定が否定されると、制御部59は放射線検出器30が使用すべき放射線検出器でない旨の情報を放射線照射装置10に送信する。放射線照射装置10は、放射線検出器30が使用すべき放射線検出器でない旨の警告を行う。具体的には、放射線検出器30が使用すべき放射線検出器でないことを表すテキスト等をモニタ15に表示する。これにより、操作者は、放射線検出器を交換する等の措置を執ることができる。また、コンソール50において、現在使用している放射線検出器30の識別情報を登録し直してもよい。これにより、放射線検出器30を交換する作業を省略することができる。
次いで、本実施形態において行われる処理について説明する。図11および図12は本実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、本実施形態の放射線画像撮影装置においては、二人の操作者がそれぞれ放射線照射装置10および放射線検出器30を扱って、被検体Hの背後に放射線検出器30を位置決めしたり、照射野を設定したりするための撮影前作業を行い、撮影前作業の完了後に撮影を行うものとする。まず、放射線照射装置10が被検体Hの上方に構えられ、カメラ13により被検体Hが撮影されて被検体Hの撮影画像G1が取得される(ステップST1)。放射線照射装置10は、撮影画像G1、SID、SODおよびコリメータ14により規定される照射野の情報をコンソール50に送信する(撮影画像等送信:ステップST2)。また、コンソール50には、放射線検出器30から、放射線検出器30の駆動状況を表す情報、放射線検出器30のバッテリの残量を表す情報、およびモーションセンサ38が検出した動き情報等が送信される(検出器情報送信:ステップST3)。
コンソール50の制御部59は、撮影画像G1からマーカ34A〜34Dのいずれかを検出することにより、撮影画像G1に放射線検出器30が含まれるか否かを判定する(ステップST4)。図9に示すように撮影画像G1からマーカ34A〜34Dのいずれも検出されず、その結果、撮影画像G1に放射線検出器30が含まれない場合には、ステップST4が否定されてステップST1に戻る。図10に示すように撮影画像G1からマーカ34A〜34Dのいずれかが検出され、その結果、撮影画像G1に放射線検出器30が含まれる場合には、ステップST4が肯定され、制御部59は、撮影画像G1に含まれる放射線検出器30のマーカ34A〜34Dのいずれかに基づいて、放射線検出器30の識別情報を含む、撮影画像G1上の放射線検出器30の位置を表す放射線検出器位置情報、放射線検出器30の天地方向を表す情報、および放射線検出器30の中心位置情報からなる検出器に関連する情報を取得する(ステップST5)。
制御部59は、取得した識別情報が使用すべき放射線検出器の識別情報であるか否かを判定することにより、放射線検出器30を識別する(ステップST6)。取得した識別情報が使用すべき放射線検出器の識別情報でない場合(ステップST6:否定)、制御部59は放射線検出器30が使用すべき放射線検出器でない旨の情報を放射線照射装置10に送信する。放射線照射装置10は、放射線検出器30が使用すべき放射線検出器でない旨の警告を行う(ステップST7)。取得した識別情報が使用すべき放射線検出器の識別情報である場合(ステップST6:肯定)、ステップST8に進む。
一方、制御部59は、SIDからSODを減算することにより、被検体Hの体厚を算出し、体厚から撮影条件を設定する。なお、撮影条件を撮影画像G1に含まれる被検体Hの部位に応じて設定してもよい。被検体Hの部位の情報は、放射線照射装置10において操作者による入力を受け付けることにより取得してもよく、コンソール50の入力部56からの入力を受け付けることにより取得してもよい。また、放射線検出器30に収容された画像検出部31に使用されるシンチレータは、その種類に応じて適した放射線の線質(高圧であるか低圧であるか)がある。このため、撮影条件を、体厚に加えて放射線検出器30に収容された画像検出部31に使用されるシンチレータの材質に応じて設定してもよい。この場合、放射線検出器30の識別情報に応じた、画像検出部31に使用されるシンチレータの情報と撮影条件とを対応づけたテーブルを記憶部55に記憶しておけばよい。これにより、テーブルを参照して撮影画像G1から取得した放射線検出器30の識別情報に応じた撮影条件を設定することができる。また、同一の放射線照射装置10および放射線検出器30を用いて、同一の被検体Hを撮影した際の撮影情報が保存されている場合には、それを考慮した撮影条件を設定してもよい。
ここで、図13に示すように被検体Hの体厚が大きい場合と小さい場合とでは、放射線照射装置10から照射される放射線の照射野のサイズが異なる。具体的には、体厚が小さい方が照射野が大きくなる。このため、制御部59は、SIDおよびSODから被検体Hの体厚を算出し、さらに放射線照射装置10から送信されたコリメータ14により規定される範囲の情報に基づいて、照射野領域の中心位置およびサイズの情報からなる照射野に関連する情報を取得する。そして、制御部59は、検出器情報、検出器関連情報、照射野関連情報および撮影条件を放射線照射装置10に送信する(情報送信:ステップST8)。なお、識別情報は、上述したように、取得した識別情報が使用すべき放射線検出器の識別情報である場合に送信される。
放射線照射装置10の駆動制御部23は、コンソール50から送信された情報に基づいて、モニタ15に表示されている撮影画像G1に、放射線検出器30の識別情報、放射線検出器30の駆動状況、放射線検出器30の天地方向、放射線検出器30のバッテリ残量、放射線検出器30に対応する領域、放射線検出器30の中心位置、およびコリメータ14により規制される放射線の照射野を重畳表示する(情報表示:ステップST9)。
図14は各種情報が重畳された撮影画像G1を示す図である。図14に示すように、モニタ15に表示された撮影画像G1には、放射線検出器30の駆動状況を表すテキスト(ここでは「待機」)60、放射線検出器30の天地方向を表す矢印61、放射線検出器30のバッテリ残量を表すアイコン62、放射線検出器30の検出領域に対応する検出領域63、放射線検出器30の中心位置64、照射野領域65、照射野領域65の中心位置66、および放射線検出器30の識別情報であるDetector1のテキスト70が重畳表示されている。なお、照射野領域65には照射野の中心位置66も表示されている。なお、検出領域63と照射野領域65とを識別可能に表示することが好ましい。例えば、検出領域63の色と照射野領域65の色とを異なるものとすることが好ましい。色の指定は、コンソール50からの指示により行えばよい。
ここで、本実施形態においては、放射線検出器30の四隅にマーカが付与されているため、図14に示すように、放射線検出器30の一部が被検体Hに隠れてしまっても、撮影画像G1にはマーカのいずれかが含まれることとなる。
また、コンソール50において、制御部59が撮影画像G1から被検体Hの着衣の色を検出し、着衣の色と異なる色となるように、検出領域63および照射野領域65の色を指定することが好ましい。これにより、撮影画像G1に重畳される検出領域63および照射野領域65が被検体Hの着衣に紛れてしまうことを防止できる。
そして、引き続き放射線照射装置10のカメラ13により被検体Hが撮影されて被検体Hの撮影画像G1が取得され、放射線照射装置10が、撮影画像G1をコンソール50に送信する(撮影画像送信:ステップST10)。なお、放射線検出器30からは、引き続き放射線検出器30の駆動状況を表す情報、放射線検出器30のバッテリの残量を表す情報、およびモーションセンサ38が検出した動き情報等が送信される。
コンソール50の制御部59は、撮影画像G1にマーカ34A〜34Dのいずれかが含まれるか否かを判定することにより、撮影画像G1に放射線検出器30が含まれるか否かを引き続き判定する(ステップST11)。ステップST11が肯定されると、制御部59は、撮影画像G1に含まれる放射線検出器30に付与されたマーカ34A〜34Dのいずれかに基づいて、引き続き撮影画像G1における放射線検出器30の位置を表す放射線検出器位置情報を送信する(ステップST12)。放射線照射装置10の駆動制御部23は、コンソール50から送信された放射線検出器位置情報に基づいて、放射線検出器30の検出領域63を撮影画像G1に重畳表示する(情報表示:ステップST13)。
一方、放射線検出器30が撮影画像G1に含まれた後に、放射線検出器30を移動させると、放射線検出器30がカメラ13の画角から外れた位置に移動して、撮影画像G1に放射線検出器30が含まれなくなる場合がある。また、放射線検出器30が被検体Hに完全に隠れてしまうと、撮影画像G1には放射線検出器が含まれなくなる。このような場合、撮影画像G1にマーカ34A〜34Dが含まれなくなるため、撮影画像G1のみからは放射線検出器30の位置を特定することができない。この場合、ステップST11が否定される。ステップST11が否定されると、コンソール50の制御部59は、放射線検出器30から送信される、モーションセンサ38が検出した放射線検出器30の動き情報に基づいて、放射線検出器位置情報を取得し、放射線照射装置10に送信する(ステップST14)。
図15は動き情報に基づく放射線検出器位置情報の取得を説明するための図である。図15において、撮影画像G1に放射線検出器30のマーカ34A〜34Dのいずれかが含まれていたときの放射線検出器30におけるマーカ34A〜34Dのいずれかの位置を基準位置P1に設定する。そして、動き情報と放射線検出器30の検出領域のサイズとを用いて、放射線検出器30の基準位置P1からの移動量M1を算出する。そして算出した移動量M1に基づいて、放射線検出器位置情報を取得する。これにより、撮影画像G1に放射線検出器30が含まれなくなっても、放射線検出器30の位置を追跡することができる。したがって、図15に示すように、放射線検出器30の検出領域63および中心位置64を撮影画像G1に重畳表示することができる。
なお、撮影画像G1にマーカ34A〜34Dのいずれかが含まれると判定された後に、撮影画像G1にマーカ34A〜34Dのいずれかが含まれないと判定された場合、すなわち、撮影画像G1に放射線検出器30が含まれた後に、撮影画像G1に放射線検出器30が含まれなくなった場合、放射線検出器30の動き情報に基づいて求められた放射線検出器位置情報を用いて、放射線検出器30が存在する方向を表す情報を撮影画像G1に表示してもよい。図16は各種情報に加えて、放射線検出器30が存在する方向を表す情報が重畳された撮影画像を示す図である。図16においては、放射線検出器30が存在する位置を仮想線にて示している。図16に示すように、モニタ15に表示された撮影画像G1には、図14に示す撮影画像G1に重畳される情報に加えて、放射線検出器30が存在する方向を表す情報として矢印67が表示されている。なお、矢印67に代えて、上、下、左および右等の文字を、放射線検出器30が存在する方向を表す情報としてもよい。
放射線照射装置10および放射線検出器30の操作者は、連携して撮影前作業を行う。すなわち、放射線検出器30の操作者は、放射線検出器30を被検体Hの背後の適切な位置に移動し、放射線照射装置10の操作者はモニタ15に表示された画像を見ながら、適切な位置に放射線検出器30が移動したか否かを確認する。また、必要であれば放射線照射装置10の位置を移動させる。この作業により、図17に示すように、照射野領域65の中心位置66と検出領域63の中心位置64とを一致させることができる。
また、制御部59において、放射線検出器30の中心位置が照射野領域65の中心位置66と一致したか否かを判定し、一致した場合には、一致したことを表す情報を放射線照射装置10に送信するようにしてもよい。放射線照射装置10は、一致したことを表す情報を受信すると、例えば「中心位置が一致しました」というテキスト、または中心位置が一致したことを表すマーク等、中心位置が一致したことをモニタ15に表示する。図17には中心位置が一致したことを星形のマーク68により示している。なお、モニタ15への表示に代えて、音声による出力、またはモニタ15を点滅させる等、放射線検出器30の中心位置が照射野領域65の中心位置66と一致したことを操作者に知らせることができれば、どのような手法を用いてもよい。
また、放射線検出器30の中心位置と照射野領域65の中心位置66とが一致した場合、放射線検出器30の動き情報に含まれる放射線検出器30の傾きの情報に基づいて、放射線照射装置10に対する放射線検出器30の傾きの情報を撮影画像G1に重畳して表示してもよい。ここで、放射線照射装置10に対する放射線検出器30の傾きとは、放射線照射軸と垂直に交わる平面を基準とした2次元の傾きである。なお、放射線検出器30の平面上にx軸およびy軸を設定した場合、傾きはx軸およびy軸のそれぞれの軸の周りの傾き角度となる。コンソール50の制御部59において、放射線検出器30の中心位置が放射線照射軸と一致した場合に、放射線検出器30の傾きの情報を取得して放射線照射装置10に送信する。放射線照射装置10は、放射線検出器30の傾きの情報を受信した場合、x軸およびy軸の周りの角度をモニタ15に表示する。図17にはx軸およびy軸の周りの角度を表す角度情報69を表示している。これにより、操作者は放射線検出器30の傾きを調整して放射線検出器30のx軸およびy軸の周りの角度を0として、放射線照射軸と放射線検出器30とが垂直に交わるようにすることができる。
なお、制御部59において、放射線照射装置10の動き情報を用いて、放射線照射装置10と放射線検出器30との相対的な傾きを算出し、算出した相対的な傾きを放射線照射装置10に送信するようにしてもよい。この場合、放射線検出器30を固定した後、放射線照射装置10の傾きを調整することにより、放射線照射装置10に対する放射線検出器30の相対的な傾きを調整することができる。なお、放射線照射軸と放射線検出器30とが垂直になった場合に、撮影画像G1に重畳された検出領域63の色を変更したり、検出領域63を点滅させたりしてもよい。これにより、操作者は、放射線照射軸と放射線検出器30とが垂直になったことを容易に認識することができる。
ここで、図17に示す状態においては、検出領域63よりも照射野領域65の方が大きいため、被検体Hを透過した放射線のうち、放射線検出器30に照射されない放射線は画像化することができず、無駄なものとなる。また、このような無駄な放射線を被検体Hに照射することは、被検体Hの被曝量が大きくなる。
このため、放射線照射装置10の操作者は入力部24を用いて、照射野領域65と検出領域63とを一致させる指示を行う。このため、放射線照射装置10の駆動制御部23は、領域一致指示があったか否かを判定する(ステップST15)。なお、領域一致指示はモニタ15に表示された照射野領域65を、操作者が指等で操作して、図18に示すように照射野領域65と検出領域63とを一致させる指示である。
ステップST15が否定されるとステップST10に戻る。これにより、引き続き撮影画像G1がコンソール50に送信され、コンソール50において、放射線検出器位置情報の取得が行われる。なお、放射線検出器30の移動を継続すると、撮影画像G1にマーカ34A〜34Dのいずれか、すなわち放射線検出器30が含まれないと判定された後に、再度撮影画像G1にマーカ34A〜34Dのいずれか、すなわち放射線検出器30が含まれると判定される場合がある。この場合、ステップST11が肯定され、撮影画像G1に含まれる放射線検出器30のマーカ34A〜34Dのいずれかに基づく、放射線検出器位置情報の取得が行われることとなる。
ここで、領域一致指示と連動させて、コリメータ制御部21によりコリメータ14を駆動してもよいが、照射野領域65と検出領域63とを一致させる指示があるごとにコリメータ14を駆動させると、電力の消費量が大きくなる。このため、本実施形態においては、入力部24を用いての照射野領域65と検出領域63とを一致させる指示が終了して、撮影準備が完了したことの入力を入力部24が受け付けた場合に、コリメータ制御部21によりコリメータ14を駆動するようにしてもよい。
さらに、放射線照射装置10の駆動制御部23は、ステップST15が肯定されると、撮影準備が完了したか否かを判定する(ステップST16)。撮影準備が完了したことは、上述したように入力部24からの入力により受け付ければよい。ステップST16が否定されるとステップST10に戻る。
ステップST16が肯定されると、駆動制御部23は照射野ランプ29をオンとし、コリメータ制御部21によりコリメータ14を駆動して、照射野を設定する(ステップST17)。この際、モニタ15に表示されている照射野領域65を点滅させる等して、コリメータ14が駆動中であることを操作者に通知することが好ましい。なお、放射線照射装置10の駆動制御部23は、コリメータ14の駆動中は撮影ボタン18の操作を受け付けないようにする。そして、コリメータ14の駆動が完了すると、駆動制御部23は、モーションセンサ28により、放射線照射装置10の動きを検出し、放射線照射装置10の単位時間当たりの動き量を算出する(ステップST18)。放射線照射装置10の単位時間当たりの動き量は、操作者の手ぶれに相当するものである。駆動制御部23は、単位時間当たりの動き量がしきい値Th1未満であるか否かを判定する(ステップST19)。ステップST19が否定されると、駆動制御部23はモニタ15に警告表示を行い(ステップST20)、ステップST18に戻る。操作者は警告表示により、放射線照射装置10をしっかり構える等の処置を執ることができる。
なお、ステップST19が否定された場合、駆動制御部23は、撮影ボタン18が操作されても放射線を出射しないよう放射線源19を制御する。これに代えて、撮影ボタン18をロックする等して撮影ボタン18の操作ができないようにしてもよい。また、しきい値Th1を、撮影条件に含まれる放射線の照射時間に応じて変更してもよい。例えば、放射線の照射時間が長い場合には手ぶれの影響が大きくなるため、しきい値Th1を放射線の照射時間が長いほど短くなるように変更してもよい。
ステップST19が肯定されると、駆動制御部23は、入力部24から撮影の指示がなされたか否かを判定する(ステップST21)。ステップST21が否定されるとステップST18に戻る。ステップST21が肯定されると、駆動制御部23は、放射線源19を駆動して放射線を被検体Hに向けて出射することにより、被検体Hに放射線を照射する(ステップST22)。なお、ステップST19が肯定された場合、駆動制御部23は、モニタ15に撮影可能である旨の表示を行うようにしてもよい。なお、ステップST19が否定された後に肯定された場合は、駆動制御部23は、モニタ15への警告表示を停止し、撮影ボタン18の操作により放射線源19を駆動可能とする。また、撮影ボタン18を操作できないようにしていた場合には、撮影ボタン18のロックを解除する等して、撮影ボタン18を操作可能とする。
放射線検出器30は、被検体Hを透過した放射線を検出し、被検体Hの放射線画像G2を取得する(ステップST23)。取得された放射線画像G2はコンソール50に送信され、画像処理部52において画質を向上させるための画像処理が施され、出力部54に出力される。また、制御部59は、画像処理済みの放射線画像G2を放射線照射装置10に送信する(ステップST24)。
放射線照射装置10の駆動制御部23は、モニタ15に放射線画像G2を表示し(ステップST25)、処理を終了する。この場合、モニタ15に撮影画像G1と放射線画像G2とを重畳表示させたり、放射線画像G2のみを表示させたりしてもよい。これにより、適切に放射線画像G2が取得されたか否かを判定することができる。
このように、本実施形態においては、撮影画像G1から放射線検出器30のマーカ34A〜34Dのいずれかを検出し、マーカ34A〜34Dのいずれかが検出された場合、マーカ34A〜34Dから放射線検出器30の識別情報を取得するようにしたものである。このため、カメラ13により放射線検出器30を撮影するのみで放射線検出器の識別情報をコンソール50に入力することができる。したがって、操作者による放射線検出器30の識別情報をコンソール50へ入力する作業の負担を軽減することができる。
なお、上記実施形態においては、複数のマーカのそれぞれを、放射線検出器30における異なる角の近傍に付与しているが、複数のマーカのそれぞれを、放射線検出器30における異なる辺の近傍に付与してもよい。また、複数のマーカのそれぞれを、放射線検出器30における異なる角の近傍および異なる辺の近傍に付与してもよい。
また、上記実施形態においては、マーカ34A〜34Dとして1次元のバーコードを用いているが、2次元のバーコードを用いてもよい。
また、上記実施形態においては、コンソール50の制御部59において、放射線検出器30の識別情報を取得する処理、および識別情報に基づいて放射線検出器30を識別する処理を行っているが、これらの処理を放射線照射装置10において行うようにしてもよい。この場合、駆動制御部23においてこれらの処理を行うようにしてもよく、これらの処理を行う専用の手段を放射線照射装置10に設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、距離センサ27によりSIDおよびSODを検出し、SIDおよびSODから被検体Hの体厚を算出しているが、放射線照射装置10において、入力部24を用いて操作者が被検体Hの体厚を入力するようにしてもよい。この場合、計測した被検体Hの体厚を入力してもよいが、図19に示すように痩せた人、通常の体型の人、太った人等のアイコン90をモニタ15に表示し、表示したアイコン90のうちのいずれかを操作者に選択させることにより、体厚の入力を受け付けるようにすればよい。
また、本実施形態による放射線照射装置10は可搬型であるため、被検体Hがいない方向に向けて放射線を射出することができてしまう。このようなことを防止するために、撮影画像G1に放射線検出器30等の撮影に必要な物体が含まれていない状態においては、放射線が出射できないように駆動制御部23において放射線源19を制御することが好ましい。
また、上記実施形態においては、撮影前作業の開始前に距離センサ27によりSIDおよびSODを計測しているが、撮影前作業中に距離センサ27によりSIDおよびSODを計測するようにしてもよい。また、この場合、SIDおよびSODを測定する位置をモニタ15上で指定し、その位置の情報をコンソール50に送信するようにしてもよい。これにより、コンソール50においては、被検体Hにおけるいずれの位置の体厚を取得しているかを認識することができる。
また、上記実施形態において、コンソール50の制御部59において撮影条件を設定しているが、放射線照射装置10のバッテリ26の残量の情報に基づいて、設定した撮影条件による放射線の照射が可能であるか否かを判定してもよい。そして、設定した撮影条件による放射線の照射が不可能である場合には、その旨の情報を放射線照射装置10に送信してもよい。放射線照射装置10においては、撮影ができない旨の情報をモニタ15に表示することにより、操作者はバッテリ26の残量が足りないことを認識することができる。したがって、操作者はバッテリ26を交換する、あるいは他の放射線照射装置10を用意する等の処置を執ることができる。
また、上記実施形態において、コンソール50から、撮影画像G1、放射線検出器30の識別情報、放射線検出器位置情報、天地方向を表す情報および中心位置情報、並びに放射線検出器30の駆動状況を表す情報およびバッテリ残量情報等を端末80に送信し、端末80において、モニタ15に表示されるものと同様に撮影画像G1に各種情報を重畳させて表示するようにしてもよい。これにより、医師等は自身の端末80において、被検体Hの撮影前作業の状況を監視することができる。
また、上記実施形態において、放射線検出器30の天地方向が、撮影画像G1の左右方向となる場合がある。また、放射線検出器30の天地が撮影画像G1の天地と逆になる場合もある。このような場合、取得される放射線画像G2は、撮影画像G1の天地と一致しないため、取得された放射線画像G2をそのまま表示したのでは、放射線画像G2が見にくくなる。本実施形態においては、コンソール50において、放射線検出器30の天地方向を検出しているため、表示される放射線画像G2の天地が正しくなるように、放射線画像G2を回転させることができる。このように、天地が正しくなるように放射線画像G2を回転することにより、撮影画像G1の天地と放射線画像G2の天地とを一致させることができるため、表示された放射線画像G2を見やすくすることができる。
また、上記実施形態においては、放射線の照射中に、放射線照射装置10の単位時間当たりの動きがしきい値Th1以上となる場合がある。このような場合、放射線の出射を一時的に停止し、放射線照射装置10の単位時間当たりの動きがしきい値Th1未満となった場合にさらに残りの放射線照射時間、放射線を出射するようにしてもよい。この場合、放射線の出射の停止の前後で2つの放射線画像が取得されるが、コンソール50において2つの放射線画像を加算等して合成することにより、最終的な放射線画像G2を生成すればよい。
また、上記実施形態においては、撮影準備が完了した際に照射野ランプ29をオンとしているが、照射野ランプ29をオンとするかオフとするかを切り替えるようにしてもよい。例えば、動物の顔の放射線画像G2を取得する場合、動物の顔に放射線を照射する必要がある。このような場合に、照射野ランプ29がオンとされると動物の顔に光が照射されるため、動物が暴れてしまう可能性がある。このため、コンソール50の制御部59において、撮影画像G1に含まれる被検体Hの部位を判定し、部位が動物の顔である場合には、撮影準備の完了の指示によっても照射野ランプ29をオンとしないようにしてもよい。これにより、照射野ランプ29から発せられる可視光により、動物が驚いて暴れてしまうことを防止することができる。なお、操作者は被検体Hの部位が分かるため、操作者による入力部24からの指示により、照射野ランプ29をオンとするかオフかを切り替えるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、モーションセンサ28により検出された動き量を用いて、放射線照射装置10の単位時間当たりの動き量を算出している。ここで、本実施形態においてはあらかじめ定められたフレームレートにより撮影画像G1を取得している。このため、異なる撮影タイミングで取得された2つの撮影画像および2つの撮影画像の撮影時間差から、放射線照射装置10の単位時間当たりの動き量を算出してもよい。
また、上記実施形態においては、放射線検出器30の検出領域に対応する検出領域63を撮影画像G1に重畳することにより、放射線検出器に対応する領域を識別可能に撮影画像G1を表示しているが、放射線検出器30の筐体32の4つの側面32C,32D,32E,32Fにより囲まれる領域を撮影画像G1に重畳することにより、放射線検出器に対応する領域を識別可能に撮影画像G1を表示してもよい。
また、上記実施形態においては、カメラ13を赤外線を用いて撮影範囲の温度分布を測定可能な赤外線カメラとし、撮影範囲の温度分布を表す赤外線画像を撮影画像G1として用いてもよい。この場合、カメラ13が取得する撮影画像G1は、被検体Hの表面およびその周囲にある物体の表面の温度分布を表すものとなる。このような赤外線画像を撮影画像G1として取得可能なカメラ13を用いることにより、災害現場等において被検体Hがシート等に覆われている場合であっても、撮影画像G1が表す温度分布により、被検体Hの位置を撮影画像G1上において特定することができる。
このような赤外線カメラを用いる場合、マーカは赤外線を反射する材料からなるものとすることが好ましい。例えば、マーカがバーコードの場合、赤外線を反射する材料に赤外線を吸収する材料を用いてバーコードを印刷してマーカを構成すればよい。また、LED等の発光装置をマーカとして用いる場合、赤外線を発光する発光装置を用いればよい。
なお、カメラ13を可視光による撮影および赤外線による撮影を切り替え可能なカメラとすることが好ましい。このような可視光による撮影および赤外線による撮影を切り替え可能なカメラ13を用いた場合、まず、被検体Hを赤外線により撮影して温度分布を表す撮影画像G1を取得し、温度分布を表す撮影画像G1を用いて先に照射野の位置決めを行う。その後、カメラ13を可視光による撮影に切り替え、上記実施形態と同様に放射線検出器30の検出器領域および照射野領域を撮影画像G1に重畳表示し、撮影画像G1を用いて放射線検出器30の検出領域と照射野領域とが一致するように放射線検出器30の位置決めを行えばよい。これにより、被検体Hがシート等に覆われている場合であっても、照射野領域と放射線検出器30の検出領域とを一致させて、放射線画像G2を取得することができる。
なお、このように赤外線画像である撮影画像G1をモニタ15に表示することにより、例えば、熱中症および偶発性低体温症等の被検体Hの体温の異常を認識することができる。また、撮影により取得した放射線画像G2と赤外線画像である撮影画像G1とを、モニタ15に並べて表示するようにしてもよい。これにより、赤外線画像と放射線画像G2とを対比することができる。とくに、放射線画像の撮影前に体温の異常の治療を行う場合には、赤外線画像を表示し続けることにより、治療の経過を確認し続けることができる。
また、上記実施形態において、撮影画像G1から検出したマーカ34A〜34Dのいずれかについて、その大きさおよび形状の少なくとも一方から、放射線検出器30とカメラ13との相対的な位置関係を取得するようにしてもよい。この場合、図20に示すように、放射線照射装置10は、撮影画像G1から検出したマーカ34A〜34Dのいずれかの大きさおよび形状の少なくとも一方から、放射線検出器30とカメラ13との相対的な位置関係を取得する位置関係取得部42をさらに備える。なお、ここでは、撮影画像G1から検出したマーカ34A〜34Dのいずれかの大きさおよび形状の双方を用いて、放射線検出器30とカメラ13、すなわち放射線照射装置10との距離、および放射線検出器30の検出面に垂直な軸に対する、放射線照射装置10における放射線照射軸の傾きを、位置関係として取得するものとする。
ここで、撮影画像G1に含まれるマーカ34A〜34Dの大きさは、放射線検出器30とカメラ13との距離が近いほど大きくなる。このため、位置関係取得部42は、撮影画像G1からマーカ34A〜34Dを検出し、検出されたマーカの大きさから、放射線検出器30とカメラ13との相対的な距離を算出する。具体的には、あらかじめ定められた距離において撮影された基準となるマーカと、撮影画像G1から検出したマーカとの大きさの相違に基づいて、放射線検出器30とカメラ13との相対的な距離を算出する。
一方、放射線検出器30の検出面に垂直な軸に対して、放射線照射装置10における放射線照射軸が傾いていると、図21に示すように、撮影画像G1に含まれるマーカ34A〜34Dのバーコードの形状が歪む。このため、位置関係取得部42は、撮影画像G1からマーカ34A〜34Dを検出し、検出されたマーカの形状の歪みから、放射線検出器30の検出面に垂直な軸に対する放射線照射軸の傾きを算出する。具体的には、放射線検出器30に対して放射線照射軸が垂直な状態において撮影された基準となるマーカに対する、撮影画像G1から検出したマーカとの形状の歪みに基づいて、放射線検出器30の検出面に垂直な軸に対する放射線照射軸の傾きを算出する。なお、この際、検出したマーカを拡大することが好ましい。
検出された位置関係は、モニタ15に表示される。操作者は、モニタ15に表示された位置関係を見て、放射線検出器30と放射線照射装置10との距離を変更することができる。また、放射線検出器30の検出面に垂直な軸に対する放射線照射軸の傾きを調整することもできる。
なお、検出された位置関係に含まれる距離が、あらかじめ定められたしきい値よりも大きくなった場合、または上記2つの軸の傾きがあらかじめ定められたしきい値よりも大きくなった場合、警告を行ってもよい。具体的には、位置関係に含まれる距離がしきい値よりも大きくなったこと、または上記2つの軸の傾きがあらかじめ定められたしきい値よりも大きくなったことを表すテキスト等をモニタ15に表示すればよい。
また、上記実施形態において、放射線検出器30の背面32Bに、背面であることを表すマーカを付与してもよい。図22は、放射線検出器を背面から見た外観斜視図である。図22に示すように、放射線検出器30の筐体32の背面32Bには、4つの側面32C,32D,32E,32Fの近傍に、マーカ34A〜34Dとは異なるマーカ43A〜43Dが付与されている。マーカ43A〜43Dは、放射線検出器30の背面32Bであることを表す情報を含む。なお、図22においては、マーカ43A〜43Dは1次元のバーコードからなるが、背面32Bであることが分かれば、前面32Aには含まれない記号、単純な線分、または色等であってもよい。また、背面32Bであることを表す発光素子であってもよい。発光素子を用いる場合、発光素子の配置の仕方を前面32Aと背面32Bとで異なるものとしてもよく、発光する色を前面32Aと背面32Bとで異なるものとしてもよい。
そして、撮影画像G1からマーカを検出した際に、検出したマーカがマーカ43A〜43Dのいずれかであった場合、放射線照射装置10に背面32Bを向けて放射線検出器30が配置されていることが分かることとなる。したがって、その旨をモニタ15に表示すれば、操作者は、放射線検出器30の向きの相違と認識することができるため、放射線検出器30の前面32Aが放射線照射装置10の方を向くように、放射線検出器30を設置し直すことができる。
また、上記実施形態において、発光素子をマーカとして用いた場合、放射線検出器30の検出器情報を発光素子の点灯パターン、点滅パターンおよび発光する光の色の少なくとも1つにより表すようにしてもよい。ここで、検出器情報は、上述したように、放射線検出器30の駆動状況を表す情報、放射線検出器30のバッテリの残量を表す情報、およびモーションセンサ38が検出した動き情報等を含む。放射線照射装置10においては、撮影画像G1から検出した発光素子の点灯パターン、点滅パターンおよび発光する光の色の少なくとも1つに応じて、各種制御を行うことができる。
例えば、発光素子の色が、放射線検出器30の駆動状況を表すものである場合、撮影画像G1に含まれる発光素子の色を検出することにより、放射線検出器30の駆動状況を識別できる。ここで、放射線検出器30の駆動状況が「電源オン」の状態であった場合、放射線照射装置10における動作の状態に応じて、放射線検出器30の駆動状況を変更する指示を放射線照射装置10から放射線検出器30に対して行うことができる。例えば、放射線検出器30の駆動状況が「電源オン」の状態であった場合において、図12に示すステップST19が肯定された場合に、放射線検出器30の駆動状況を「放射線画像の検出準備が完了した状態である「レディ状態」に変更する指示を放射線照射装置10から放射線検出器30に対して行うことができる。これにより、放射線検出器30の駆動状況を、直ちに撮影を行うことが可能なレディ状態に変更することができる。
また、上記実施形態においては、可搬型の放射線照射装置10を使用しているが、撮影時の手振れおよび操作者の手等への被曝を防止し、かつ救急現場および集中治療室等の煩雑な場所で移動させることを目的とした、走行可能とされた放射線照射装置を用いてもよい。図23は走行可能とされた放射線照射装置の全体形状を示す斜視図、図24は走行可能とされた放射線照射装置の使用時の状態を示す図である。走行可能とされた放射線照射装置100は、装置載置面上を走行可能とされた脚部110と、脚部110の上に保持された本体部120と、本体部120に連結されたアーム部130と、アーム部130の先端部に取り付けられた線源部140とを有している。
脚部110は、4本の脚111と、各脚111の先端部下面に取り付けられた車輪部112とを有している。なお、車輪部112には、不図示のブレーキ手段が設けられている。
本体部120は、基部121の上に固定された筐体122内に、上記実施形態における放射線照射装置10と同様の照射制御部20、コリメータ制御部21、撮影制御部22、駆動制御部23、通信部25、およびバッテリ26を収容して構成されている。筐体122の上端には、放射線照射装置100を押したり引いたりするための取っ手123が取り付けられている。また基部121の上部には操作部125が取り付けられている。
操作部125は、放射線照射装置100の各種動作を指示する信号等を入力するための操作ボタンやスイッチ等の入力部126、および各種情報を表示するためのモニタ127等を備えている。なお、上記実施形態に示す放射線照射装置10と同様に、入力部126をタッチパネルから構成してもよい。
アーム部130は、入れ子構造をなす複数の部材131,132,133からなる。部材132と部材133とは回旋保持機構134により接続され、部材133は部材132に対して角度が変わる向きに旋回するようになっている。
線源部140には、アーム部130の部材133の先端に揺動自在に取り付けられている。線源部140は、上記実施形態における放射線照射装置10と同様のカメラ13、コリメータ14、放射線源19、距離センサ27、モーションセンサ28および照射野ランプ29が収容されている。揺動可能とされた線源部140は、ロックレバー141を操作することにより、揺動位置が固定され得るようになっている。
このような走行可能とされた放射線照射装置100においては、カメラ13により取得された被検体の撮影画像G1は、操作部125のモニタ127に表示される。
撮影前作業を行う場合、操作者はアーム部130を伸長させ、被検体Hの上方において線源部140が被検体Hの直上に位置するように、アーム部130の長さおよび線源部140の揺動位置を設定する。この状態においてカメラ13により被検体Hを撮影することにより、上記実施形態と同様に、撮影画像G1に含まれる放射線検出器30のマーカ34A〜34Dに基づいて、撮影画像G1における放射線検出器30の位置を特定することができる。
また、走行可能とされた放射線照射装置100を用いた場合、放射線画像G2に重畳される検出領域と照射野領域とが一致するように、アーム部130の伸縮、線源部140の揺動、およびコリメータ14の駆動を制御するようにしてもよい。
以下、本発明の実施形態の作用効果について説明する。
放射線検出器における面であって、検出領域を含む面が矩形をなし、複数のマーカのそれぞれが、検出領域を含む面における異なる辺の近傍および異なる角の近傍の少なくとも一方に付与されてなるものとすることにより、被検体により複数のマーカの全てが隠されてしまう可能性を低減することができる。したがって、撮影画像にマーカが含まれる可能性を高めることができ、その結果、識別情報を確実に取得できることとなる。
識別情報に基づいて放射線検出器を識別することにより、使用すべき放射線検出器の取り違えを防止することができる。