JP6411049B2 - ゼリー剤 - Google Patents
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Description
項1. (A)チアミン、その誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種のチアミン類、並びに(B)25℃の水に対する溶解度が50%以下の甘味料を含有し、水分含量が35重量%以下であることを特徴とする、ゼリー剤。
項2. 前記(A)チアミン類が、チアミン硫酸塩及び/又はチアミン塩酸塩である、項1に記載のゼリー剤。
項3. 前記(B)甘味料が、スクラロース、ソーマチン、アスパルテーム、及びアセスルファムKよりなる群から選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載のゼリー剤。
項4. ゼリー状素錠である、項1〜3のいずれかに記載のゼリー剤。
項5. 項4に記載のゼリー剤を含む、ゼリー状ドロップ剤。
本発明のゼリー剤は、チアミン類として、チアミン、その誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
本発明のゼリー剤は、25℃の水に対する溶解度が50%以下の甘味料を含有する。本発明において、「25℃の水に対する溶解度(%)」とは、25℃の水に甘味料が溶解できる最大濃度(重量%)である。以下、本明細書において、「25℃の水に対する溶解度(%)」を単に「溶解度」と表記することもある。
本発明のゼリー剤は、水分含量が35重量%以下である。このような低水分含量のゼリー剤において、前述する溶解度が低い甘味料を配合することによって、チアミン類特有の苦味の低減が可能になる。限定的な解釈を望むものではないが、本発明のゼリー剤では、溶解度が低い甘味料が低濃度になる環境に拡散し易い性質を利用して、チアミン類の苦味を低減していると考えられる。即ち、水分含量が低いゼリー剤中で、溶解度が高いチアミン類と溶解度が低い甘味料が含まれることにより、服用時に口内のゼリー剤が唾液と接触すると、溶解度が低い甘味料の方が、チアミン類よりも唾液に拡散し易く拡散速度が高まるため、チアミン類の苦味よりも、溶解度が低い甘味料の呈味が感じられ易くなると考えられる。勿論、前記メカニズムに基づいて、本発明が限定的に解釈されるものではない。
本発明のゼリー剤は、ゲル化剤を使用してゲル状に成形される。本発明のゼリー剤に使用されるゲル化剤としては、生理学的に許容されることを限度として、特に制限されないが、例えば、寒天、ペクチン、ゼラチン、カラギーナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸及びその塩、ジェランガム、ネイティブジェランガム、カードラン、タマリンドガム、グルコマンナン等が挙げられる。これらのゲル化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの観点の中でも、好ましくは寒天及び/又はペクチン、更に好ましくは寒天とペクチンの組み合わせが挙げられる。
本発明のゼリー剤には、前記成分の他に、必要に応じて、溶解度が50%超の甘味料を含んでいてもよい。溶解度が50%超の甘味料は、ゼリー剤の基剤として有用であると共に、ゼリー剤の良好な呈味を更に補強させることもできる。
更に、本発明のゼリー剤は、前述する成分の他に、必要に応じて、各種添加成分を含有することができる。このような添加成分としては、医薬品や食品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、リコペン等のビタミン類;塩酸ベタイン、塩化カルニチン、塩化ベタネコール等の健胃剤;ニンジン、ヨクイニン、加工大蒜、麻黄、南天実、桂皮、ゲンチアナ、陳皮、センブリ、ゴシュウ、ソウジュツ、チョウジ、アロエ、ホップ、葛根湯、桂枝湯、柴胡桂枝湯、麻黄湯、小柴胡湯、小青竜湯等の生薬エキス又は漢方薬;アスピリン、アセトアミノフェン、エテンザミド、イブプロフェン、サリチルアミド等の解熱鎮痛剤;塩酸ノスカピン、ノスカピン等の去痰剤;アクリノール、塩化ベルベリン、クレオソート、タンニン酸、臭化水素酸スコポラミン、臭化メチルアトロピン、塩酸パパベリン、アミノ安息香酸エチル等の止瀉剤;臭化水素酸デキストロメトルファン、ヒベンズ酸チペピジン、リン酸ジヒドロコデイン等の血管拡張剤;塩酸イソチベンジル、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、酒石酸アリメマジン等の抗ヒスタミン剤;臭化水素酸デキストロメトルファン、ヒベンズ酸チペピジン、リン酸ジヒドロコデイン等の鎮咳剤;カルシウム、イオウ、マグネシウム、亜鉛、セレン、鉄等のミネラル類;大豆タンパク、卵白粉末、乳清タンパク等のタンパク質;グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、フェニルアラニン、タウリン、トリプトファン等のアミノ酸;EPA、DHA、リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸等の脂肪酸類;コーンスターチ、バレイショデンプン、小麦デンプン、米デンプン、タピオカデンプン等のデンプン;カラメル色素、クチナシ色素、アントシアニン色素、アナトー色素、パプリカ色素、紅花色素、紅麹色素、フラボノイド色素、コチニール色素、アマランス、エリスロシン、アルラレッドAC、ニューコクシン、フロキシン、ローズベンガル、アシッドレッド、タートラジン、サンセットイエローFCF、ファストグリーンFCF、ブリリアントブルーFCF、インジゴカルミン等の色素;各種フルーツのフレーバーやエッセンス等の香料;クエン酸及びその塩、リンゴ酸及びその塩、酒石酸及びその塩、酢酸及びその塩、乳酸及びその塩、食塩、グルタミン酸及びその塩、みりん、食酢、天然果汁、野菜・果実・海産物等の裁断物又は粉末化物等の調味剤;アガリクス、シイタケエキス、レイシ、ヤマブシタケ等のキノコ類又はそのエキス;防腐剤;pH調整剤;食物繊維、ローヤルゼリー、プロポリス、ハチミツ、コンドロイチン硫酸、グルコサミン、セラミド、ヒアルロン酸等のその他機能性素材等が挙げられる。これらの添加成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの添加成分の含有量については、使用する添加成分の種類やゼリー剤の用途等に応じて適宜設定される。
本発明のゼリー剤は、一般的なゼリー剤の製法に従って製造することができる。具体的には、所定量の各含有成分を加熱した所定量の水に添加して、ゲル化剤を可溶化させて、原料液を調製する。次いで、この原料液を所定の容器又は型に注入した後に、静置して常温に冷却してゲル化させ、必要に応じて所定の水分含量になるまで乾燥させることによって本発明のゼリー剤が製造される。
本発明のゼリー剤は、ゼリー状ドロップ剤、経口ゼリー剤等として提供されるが、ゼリー状ドロップ剤が好適である。本明細書において、「ゼリー状ドロップ剤」とは、ゲル化剤によってゲル化した組成物を乾燥させることにより錠剤状に成型したゼリー状素錠、又は当該ゼリー状素錠にコーティングを施したコーティング錠である。また、「経口ゼリー剤」とは、ゲル化剤によってゲル化した組成物を乾燥させずに、流動性のないゲル状に成形した製剤である。
表1〜6に示す組成のゼリー状素錠を製造した。具体的には、水を90℃に加熱しながら、所定量の寒天、精製白糖、及び水アメを添加して溶解させた。次いで、80℃に加熱した状態で、ペクチン、チアミン硝酸塩又はチアミン塩酸塩、及び甘味料を加熱溶解させた水溶液を加えて、原料液を調製した。なお、当該原料液には、含有成分の総固形分量に対して重量比で約0.1〜2倍量程度の水が含まれている。得られた原料液を円盤状のスターチモールドに分注し、静置して常温に冷却し、水分含量が表1〜6に示す所定値になるまで乾燥してゲル化させた。なお、水分量の変化による重量の変動は、添加する水アメの添加量で調整した。その後、スターチモールドを取り除くことにより、ゼリー状素錠(1個当たりの重量0.56g)を製した。
口内での咀嚼条件を再現するために、各ゼリー状素錠を4分割したもの9個を40℃の水50mlに投入し、1分間放置した後に、分割されているゼリー状素錠を取り出して、滲出液を作製した。得られた滲出液の呈味について、評価モニター10名によって評価した。具体的には、1mlの滲出液を舌にのせて、苦味を判定した。苦味の判定は、苦いを「1」、苦くないを「10」としたVisual Analogue Scaleによるアンケートを実施することにより評価した。アンケート結果を平均し、小数点第一位を四捨五入することにより、評価結果をまとめた。
得られた結果を表1〜6に示す。表1に示されるように、水分含量が40又は50重量%のゼリー状素錠では、溶解度50%以下の甘味料(スクラロース、ソーマチン、アスパルテーム、アセスルファムK)が含まれていても、強い苦みが感じられた。また、水分含量が35重量%以下であっても、甘味料として、白糖および水アメのみを含む場合や、更にサッカリン(溶解度66%)を含む場合では、甘味は殆ど感じられず、チアミン類由来の強い苦みを呈し、服用し難かった。これに対して、水分含量が35重量%以下であり、且つ溶解度50%以下の甘味料(スクラロース、ソーマチン、アスパルテーム、アセスルファムK)が含まれている場合には、苦味が格段に軽減されており、服用し易い呈味を示した。とりわけ、水分含量が10〜25重量%の場合には、苦味の低減効果が非常に高く、極めて服用し易い呈味を示した。
Claims (3)
- (A)チアミン、その誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種のチアミン類、並びに(B)ソーマチン、アスパルテーム、及びアセスルファムKよりなる群から選択される少なくとも1種の甘味料を含有し、水分含量が35重量%以下であることを特徴とする、ゼリー剤。
- (A)チアミン、その誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種のチアミン類、並びに(B)スクラロースを含有し、水分含量が10〜35重量%であることを特徴とする、ゼリー剤。
- 前記(A)チアミン類が、チアミン硫酸塩及び/又はチアミン塩酸塩である、請求項1又は2に記載のゼリー剤。
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