JP6538336B2 - 固体状組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、水などの溶媒に添加し、撹拌するのみで、増粘又はゲル化した飲食品を簡便に調製できる、固体状組成物に関する。
利便性の観点から、水や牛乳などの溶媒に添加することで、加熱工程を経ずに、増粘又はゲル化した飲食品を簡便に調製できる固体状組成物(例えば、固体状ミックス)の需要が伸びている。現在、市場で流通している固体状組成物は、カラギナン、ペクチン等の多糖類と牛乳が相互作用し、増粘又はゲル化する現象を利用したものが主流である。これら従来品は、液体を簡便に増粘又はゲル化できるという利点を有するが、一方で牛乳を用いる必要があるため、牛乳に由来する呈味が、飲食品の味に大きな影響を与えるという問題を有する。
溶媒として水を用いた場合であっても、増粘又はゲル化した飲食品を簡便に調製できる固体状組成物を提供できれば、牛乳の呈味に影響を受けることなく、様々な味の飲食品を提供することが可能である。また、固体状組成物の利用現場(例えば、店舗、家庭、病院等)では、水を用意するのみで、増粘又はゲル化した飲食品を簡便に調製できるため、時や場所を選ばずに、増粘又はゲル化した飲食品を調製できるという利点を有する。
しかし、呈味や栄養付与を目的として、固体状組成物にタンパク質、糖質、油脂等の成分を含有させると、増粘多糖類の増粘又はゲル化機能を発揮させることが非常に難しい。これは、対象溶媒に固体状組成物を添加することで、タンパク質、糖質、油脂等の成分、及び増粘多糖類が同時に溶媒に添加されるところ、これらの溶解速度が互いに異なるため、増粘多糖類の増粘又はゲル化機能が十分に発揮され難いものと推測される。そのため、タンパク質、糖質、油脂等の成分を含有する固体状組成物は、水などの溶媒に添加してから溶媒を増粘又はゲル化させるまでに時間がかかり、目的とする飲食品を迅速に調製できるという固体状組成物の利便性が損なわれる。
タンパク質、糖質、油脂等の栄養成分を含有する固体状組成物としては、Na型カラギナン、タンパク質、糖質、及び特定量のカルシウム化合物を含有する固体状組成物(特許文献1)や、植物性たんぱく素材及び動物性たんぱく素材と、増粘多糖類として、発酵多糖類と種子多糖類とを必須成分として含有する、粉体状の栄養補助食品(特許文献2)が知られている。
特開2006−129868号公報 特開2008−154527号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、カルシウム濃度を特定濃度に調整することを特徴とする技術であるため、固体状組成物と溶媒を混合した溶液における、タンパク質の存在量と依存カルシウム濃度との比を、一定値以下に抑える必要があり、汎用性がない。
特許文献2に開示された技術は、植物性たんぱく素材と動物性たんぱく素材とを必須成分とするものであり、固体状組成物の処方が制限される。また、固体状組成物を熱湯に溶解後、冷却してゲルを形成させる必要があり、ゲル化飲食品の調製に手間と時間を要する。更に、特許文献1及び2に開示された技術を用いた場合は、迅速に増粘又はゲル化機能を発揮せず、また、経時安定性に優れる固体状組成物を提供できない。
例えば、前述のとおり、タンパク質、糖質、油脂等の成分を含有する固体状組成物は、水などの溶媒に添加した際に、増粘多糖類の増粘又はゲル化機能を発揮させることが難しく、対象溶媒を増粘又はゲル化させるのに時間がかかる。また、増粘又はゲル化機能を迅速に発現させるために、固体状組成物における増粘多糖類含量を増加させた場合であっても、十分な粘度やゲル強度(例えば、かたさ)を有する組成物に調製できないことが多い。更には、固体状組成物を溶媒に添加した後、時間と共に溶媒の粘度又はゲル強度が増加し、安定した物性を有する飲食品を提供できないという問題を抱える。
本発明では上記問題点に鑑み、水などの溶媒に添加し、撹拌するのみで、迅速に増粘又はゲル化機能を発揮し、増粘又はゲル化した飲食品を簡便に調製できる固体状組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、増粘又はゲル化後には、物性が安定した経時安定性に優れる飲食品を調製可能な、固体状組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、タンパク質、糖質及び油脂からなる群から選択される2種以上を含有する固体状組成物において、(a)カラギナンと、(b)アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、及びプルランからなる群から選択される1種以上を併用することで、上記課題を解決できることを見出した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の実施態様を包含する。
項1.タンパク質、糖質及び油脂からなる群から選択される2種以上と、
(a)カラギナン、並びに
(b)アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、及びプルランからなる群から選択される1種以上を含有することを特徴とする、固体状組成物。
項2.前記カラギナンが、λカラギナン及び/又はκ2カラギナンである、項1に記載の固体状組成物。
項3.(a)カラギナン1質量部に対して、(b)1.6質量部以上のアラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、及びプルランからなる群から選択される1種以上を含有する、項1又は2に記載の固体状組成物。
項4.タンパク質含量が2質量%未満の溶媒に添加して使用されるものである、項1〜3のいずれかに記載の固体状組成物。
本発明の固体状組成物は、タンパク質、糖質及び油脂からなる群から選択される2種以上を含有しつつも、水などの溶媒に添加し、撹拌するのみで、迅速に増粘又はゲル化機能を発揮し、経時安定性に優れた飲食品を提供することができる。また、本発明の固体状組成物は加熱工程を経ずとも、増粘又はゲル化した飲食品を簡便に調製できるため、利便性に優れるという利点を有する。
実験例1で調製したゲル状飲食品のかたさの経時変化を示したグラフである。 実験例2で調製したゲル状飲食品のかたさの経時変化を示したグラフである。 実験例3で調製したゲル状飲食品の、相対的なかたさの経時変化を示したグラフである。 実験例4において、実施例4−1及び比較例4−1の固体状組成物を用いて調製したゲル状飲食品のかたさの経時変化を示したグラフである。 実験例4において、実施例4−2及び比較例4−2の固体状組成物を用いて調製したゲル状飲食品のかさたの経時変化を示したグラフである。
本発明の固体状組成物は、タンパク質、糖質及び油脂からなる群から選択される2種以上を含有する。なお、本発明において「固体状」の形状は特に問わず、粉末状、顆粒状、及び錠剤状等の各種形状が挙げられる。
タンパク質
本発明で用いるタンパク質は、飲食品に利用可能なものであれば特に制限されず、各種タンパク質を使用できる。具体的には、動物性タンパク質(例えば、全脂粉乳、脱脂粉乳、カゼイン、ホエイタンパク質、全乳タンパク質、コラーゲン等)、植物性タンパク質(例えば、豆乳粉末、脱脂豆乳粉末、大豆タンパク質、小麦タンパク質等)、又はこれらの分解物(例えば、ペプチド等)などを例示できる。固体状組成物におけるタンパク質含量は特に制限されないが、好ましいタンパク質含量は1〜30質量%であり、より好ましくは2〜20質量%である。
糖質
本発明で用いる糖質は、飲食品に利用可能なものであれば特に制限されず、各種糖質を使用できる。具体的には単糖類(例えば、グルコース、フルクトース等)、二糖類(例えば、マルトース、蔗糖等)、糖アルコール(例えば、キシリトール、ソルビトール、グリセリン、エリスリトール等)、澱粉分解物(例えば、粉あめ、デキストリン等)、オリゴ糖(例えば、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ラクトスクロース等)などが挙げられる。固体状組成物における糖質含量は特に制限されないが、好ましい糖質含量は10〜80質量%であり、より好ましくは15〜75質量%、更に好ましくは20〜70質量%である。
油脂
本発明で用いる油脂は、飲食品に利用可能なものであれば特に制限されず、各種油脂を使用できる。具体的には、植物油(例えば、大豆油、綿実油、菜種油、サフラワー油、サラダ油、コーン油、米油、ヤシ油、パーム油、シソ油、ゴマ油、アマニ油等)、動物油(例えば、イワシ油、タラ肝油等)、必須脂肪酸(例えば、長鎖脂肪酸トリグリセリド(LCT)、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等)などを例示できる。固体状組成物における油脂含量は特に制限されないが、好ましい油脂含量は2〜25質量%であり、より好ましくは5〜20質量%である。
本発明の固体状組成物は、上記タンパク質、糖質及び油脂からなる群から選択される2種以上、更にはタンパク質、糖質及び油脂の3種を併用した場合においても、水などの溶媒に添加し、撹拌するのみで、迅速に増粘又はゲル化機能を発揮し、経時安定性に優れた飲食品を提供することができる。かかる点、本発明の固体状組成物は、栄養摂取を目的とする、栄養補助用の固体状組成物として特に好適に使用できる。
例えば、近年の高齢者人口の増加に伴い、食べ物を噛み砕き・飲み込む能力が低下した、咀嚼・嚥下機能低下者が増えている。咀嚼・嚥下機能低下者は、加齢や疾病、筋肉の衰えなどから食塊を咽頭から食道へ送り込む機能が低下するため、飲食品をスムースに飲み込むことが難しく、十分な栄養摂取が難しい。従って、咀嚼・嚥下機能低下者向けの飲食品には、飲み込みやすいまとまり感を有することや、付着性が小さいことが求められる。かかるところ、本発明の固体状組成物によって提供される飲食品は、まとまり感を有し、さらには付着性が小さいため飲みこみやすく、咀嚼・嚥下機能低下者用の飲食品として好適である。この場合、本発明の固体状組成物は、1gあたり2〜6kcalの熱量を有していることが好ましい。
本発明の固体状組成物は、咀嚼・嚥下機能低下者用の飲食品として提供する場合など、必要に応じてミネラル、ビタミン等の栄養成分を含有してもよい。例えば、ミネラルであれば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄等を、ビタミンであれば、ビタミンB1、B2、B6、B12、C、D、K、ナイアシン、ニコチン酸アミド、パントテン酸、又は葉酸等を例示できる。ミネラル、ビタミンの量は「日本人の食事摂取基準[2010年度版]」に記載の推奨量、目安量、目標量又は上限量に従い適宜設定することが可能である。
本発明の固体状組成物は、水などの溶媒に添加し、撹拌するのみで、迅速に増粘又はゲル化機能を発揮し、また、増粘/ゲル化した飲食品の物性の経時安定性に優れた飲食品を提供するという観点から、以下の(a)及び(b)を併用することを特徴とする;
(a)カラギナン、
(b)アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、及びプルランからなる群から選択される1種以上。
本発明で用いる(a)カラギナンは、紅藻類から抽出、精製される天然高分子で、平均分子量は通常、100,000〜500,000である。D−ガラクトースと、3,6アンヒドロ−D−ガラクトースから構成される多糖類であり、硫酸基の位置やアンヒドロ糖の有無によって、κ(カッパ)カラギナン、ι(イオタ)カラギナン、λ(ラムダ)カラギナン等の各種カラギナンが存在する。
本発明で用いるカラギナンの種類は特に制限されないが、好ましいカラギナンは、λ(ラムダ)カラギナン及び/又はκ2(カッパツー)カラギナンである。
κ2カラギナンは、分子の一部がι成分で置換されたκカラギナンをいう。具体的には、κカラギナンの分子構造中にιカラギナンの構造を一部有する、すなわちκカラギナンとιカラギナンがハイブリッド化していることを特徴とするカラギナンである。ιカラギナンによるκカラギナンの置換率は特に制限されないが、置換率として1〜49%程度、好ましくは10〜40%を例示できる。前記条件を満たす、商業上入手可能なκ2カラギナン製剤としては、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「サンサポート[登録商標]P−40」が挙げられる。
固体状組成物におけるカラギナンの含量は特に制限されないが、好ましいカラギナン含量は0.2〜2.5質量%であり、より好ましくは0.3〜2質量%、更に好ましくは0.5〜1.8質量%である。
本発明では、上記(a)カラギナンに加えて、(b)アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、及びプルランからなる群から選択される1種以上を併用することを特徴とする。(a)カラギナンを単独で使用した場合は、水などの溶媒に固体状組成物を添加した場合に、時間の経過と共に物性が大きく変化(例えば、経時的に粘度やゲル強度が増加し続けるなど)し、安定した物性を有する飲食品を提供できない。しかし、本発明では、(a)カラギナンに加えて、(b)アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、及びプルランからなる群から選択される1種以上を併用することで、経時安定性に優れる飲食品を提供することができる。
特に、咀嚼・嚥下機能低下者は、喫食に長時間を要するため、食べ始めから食べ終わりまで飲食品の物性が安定していることが望まれることから、本発明の固体状組成物によって調製される飲食品は、咀嚼・嚥下機能低下者用の飲食品としても適している。
本発明ではまた、上記(b)アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、及びプルランからなる群から選択される1種以上を併用することで、付着性の小さい飲食品を提供できるという利点を有する。通常、固体状組成物の成分として、タンパク質、糖質及び油脂からなる群から選択される2種以上を含有すると、得られる飲食品のべたつき(付着性)が大きくなってしまう。これは、得られる飲食品の固形分の多さと、複数の成分が飲食品中に存在することに起因するものと考えられる。しかし、本発明の固体状組成物によれば、タンパク質、糖質及び油脂からなる群から選択される2種以上を含有しつつも、付着性の小さい飲食品を提供できる。これは咀嚼・嚥下機能低下者用の飲食品として重要な要素である。
固体状組成物における、(b)アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、及びプルランからなる群から選択される1種以上の含量は特に制限されないが、好ましい含量は0.5〜7質量%であり、より好ましくは1〜5質量%である。また、本発明では、(a)カラギナン1質量部に対して、(b)アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、及びプルランからなる群から選択される1種以上の含量が1.6質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましく、2.5質量部以上であることが更に好ましく、2.8質量部以上であることが更により好ましい。上限は特に制限されないが、例えば、10質量部を例示できる。当該配合割合で(a)及び(b)を併用することで、迅速な増粘、ゲル化機能の発揮と、増粘/ゲル化した飲食品の物性の優れた経時安定性の両面を兼ね備える、固体状組成物を提供することができる。
本発明の固体状組成物は、対象溶媒に添加し、撹拌するのみで、加熱工程を経ずとも迅速に増粘、ゲル化機能を発揮し、増粘又はゲル化した飲食品を簡便に調製することができる。例えば、本発明の固体状組成物は、溶媒の液温が35℃以下、更には30℃以下、特には室温以下であっても、加熱工程を経ることなく迅速に増粘又はゲル化機能を発揮することができる。
本発明の固体状組成物の添加対象となる溶媒は特に制限されないが、好ましい溶媒はタンパク質含有が2質量%未満である水性溶媒であり、より好ましい溶媒は水である。
また、本発明の固体状組成物は手撹拌(例えば、180〜300rpm)のような緩い撹拌条件でも、溶媒に添加し、撹拌するのみで、容易に溶媒を増粘又はゲル化させることができ、店舗や家庭、病院などにおいても取扱いやすいという利点を有する。
対象溶媒に対する本発明の固体状組成物の添加量は特に制限されないが、最終飲食品(増粘、ゲル化した飲食品)における(a)カラギナンの濃度が、通常、0.1〜1.2質量%、好ましくは0.2〜1質量%、より好ましくは0.25〜0.9質量%となるように、本発明の固形状組成物を添加することが望ましい。同様にして、(b)アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、及びプルランからなる群から選択される1種以上の添加量も特に制限されないが、最終飲食品における(b)の濃度が、通常、0.25〜2.5質量%、好ましくは0.3〜2.2質量%、より好ましくは0.5〜2質量%となるように、本発明の固形状組成物を添加することが望ましい。
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を限定するものではない。なお、実施例中の「部」「%」は、それぞれ「質量部」「質量%」を意味する。
(かたさの測定方法)
実験例において、ゲル化飲食品の「かたさ」は以下の方法に従って測定した;
試料(ゲル化飲食品)を直径40mm、高さ15mmのステンレスシャーレに満量充填し、テクスチャーアナライザーを用いて、直径20mm、高さ8mmの樹脂製のプランジャーを用い、圧縮速度10mm/sec、クリアランス5mmで一軸圧縮測定した。圧縮時の最大応力をかたさとした。
実験例1 固体状組成物及びゲル化飲食品の調製(1)
表1に示す原料を粉体混合し、固体状組成物を調製した。
200mLビーカーに20℃の水を75g添加し、そこへ、固体状組成物50gを添加し、スパーテルを用いて60秒間撹拌した。撹拌は、1秒間にビーカー内を4回撹拌する速度で行った(240rpmの手撹拌)。60秒撹拌後を0分として、1分、5分、10分、15分、30分及び60分経過時の飲食品のかたさを測定した。結果を表2及び図1に示す。
注1)油脂含量が70質量%、糖質含量が25質量%の粉末油脂を用いた。
固体状組成物の栄養組成は、タンパク質 約14質量%、糖質 62〜65質量%、油脂 約14質量%、1gあたりのカロリー4.3〜4.4kcalである。
カラギナン及びアラビアガムを併用した実施例1−1は、固体状組成物を溶媒(水)に添加後、1分後には自重で崩れない程度の保形性を有していた。更には、5分経過以降、かたさの増加は緩やかとなり、経時変化が少なく、物性が安定した飲食品(ゲル状栄養組成物)であった。更に、実施例1−1のゲル状飲食品を喫食したところ、飲み込みやすいまとまり感を有し、また、付着性が小さかった。
アラビアガムを併用することなく、λカラギナンを単独使用した比較例1−1は、実施例1−1に比べてゲル化機能の発揮が遅く、また、図1に示すように、時間と共にかたさが増加し続け、60分経過時には5分経過時の約2倍のかたさを有していた。このように、経時的に飲食品のかたさが増加することは、飲食品の物性の安定性の観点から望ましくない。例えば、咀嚼・嚥下機能低下者は、喫食に長時間を要するため、食べ始めから食べ終わりまで飲食品の物性が安定していることが望まれる。かかる点、比較例1−1は本発明が目的とする飲食品を提供することができなかった。
λカラギナンの代わりに、キサンタンガム、グァーガム、及びタマリンドシードガムを各々使用した比較例1−2〜1−4は、λカラギナンの2倍量を用いた場合であっても、溶媒(水)を迅速にゲル化することができなかった。更に、キサンタンガムを用いた比較例1−2について、60分経過時の飲食品を喫食したところ、当該飲食品は付着性が非常に大きく、飲み込みにくい物性を有していた。
実験例2 固体状組成物及びゲル化飲食品の調製(2)
表3に示す原料を粉体混合し、固体状組成物を調製した。
200mLビーカーに20℃の水を75g添加し、そこへ、固体状組成物50gを添加し、スパーテルを用いて60秒間撹拌した(240rpmの手撹拌)。60秒撹拌後を0分として、1分、5分、10分、15分、30分、60分及び90分経過時の飲食品のかたさを測定した。結果を表4及び図2に示す。
固体状組成物の栄養組成は、タンパク質 約14質量%、糖質 62〜65質量%、油脂 14質量%、1gあたりのカロリー4.3〜4.4kcalである。
λカラギナンに加えて、ガティガム、大豆多糖類、プルラン又はアラビアガムを各々併用した実施例2−1〜2−4の固体状組成物を添加した水は、5分後にはかたさが940N/m以上となり、迅速にゲル化した。また、その後のかたさの変化は緩やかとなり、図2に示すように、経時安定性に優れていた。更に、実施例2−1〜2−4について、90分経過時のゲル状飲食品(ゲル状栄養組成物)を喫食したところ、いずれも飲み込みやすいまとまり感を有し、また、付着性が小さかった。
一方、λカラギナンを単独使用した比較例2は、5分後のかたさは823N/mと、実施例2−1〜2−4に比べて最も小さい値を示したが、90分後のかたさは2067N/mと、実施例2−1〜2−4に比べて最も大きい値を示し、かたさの経時変化が大きかった。また、比較例2のゲル状飲食品は、実施例2−1〜2−4のゲル状飲食品に比べ、付着性が大きかった。
実験例3 固体状組成物及びゲル化飲食品の調製(3)
表5に示す原料を粉体混合し、固体状組成物を調製した。
200mLビーカーに20℃の水を75g添加し、そこへ、固体状組成物50gを添加し、スパーテルを用いて60秒間撹拌した(240rpmの手撹拌)。60秒撹拌後を0分として、1分、5分、10分、15分、30分、60分及び90分経過時の飲食品のかたさを測定した。
固体状組成物の栄養組成は、タンパク質 約14質量%、糖質 62〜65質量%、油脂 14質量%、1gあたりのカロリー4.3〜4.4kcalである。
90分後のかたさを100%としたときの、1分、5分、10分、15分、30分、60分及び90分経過時のゲル化飲食品の相対的なかたさ(%)を図3に示した。
図3に示すように、実施例3−1〜3−3の固体状組成物を添加した溶媒(水)は、30分経過時には約80%のかたさが発現し、迅速なゲル化が確認できた。また、その後のかたさの変化は緩やかとなり、図3に示すように、経時安定性に優れていた。更に、実施例3−1〜3−3について、90分経過時のゲル状飲食品(ゲル状栄養組成物)を喫食したところ、いずれも飲み込みやすいまとまり感を有し、また、付着性が小さかった。
実験例4 固体状組成物及びゲル化飲食品の調製(4)
表6に示す原料を粉体混合し、固体状組成物を調製した。
200mLビーカーに25℃の水を75g添加し、そこへ、固体状組成物50gを添加し、スパーテルを用いて60秒間撹拌した(240rpmの手撹拌)。60秒撹拌後を0分として、1分、5分、10分、15分、30分、60分及び90分経過時の飲食品のかたさを測定した。結果を表7、図4及び図5に示す。
注2)三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「サンサポート[登録商標]P−40」を用いた。
固体状組成物の栄養組成は、タンパク質 約15質量%、糖質 63〜67質量%、油脂 11質量%、1gあたりのカロリー4.1〜4.2kcalである。
κ2カラギナン及びアラビアガムを併用した実施例4−1及び4−2の固体状組成物を添加した水は、10分後には、90分経過時の半分以上のかたさが発現し、迅速にゲル化した。また、その後のかたさの変化は緩やかとなり、図4及び図5に示すように、経時安定性に優れていた。更に、実施例4−1及び4−2について、90分経過時のゲル状飲食品を喫食したところ、いずれも飲み込みやすいまとまり感を有し、また、付着性が小さかった。
一方、アラビアガムを用いなかった比較例4−1及び4−2の固体状組成物を添加した水は、かたさの発現が遅く、また、その後もかたさが増加し続け、経時安定性がなかった。


Claims (3)

  1. タンパク質、糖質及び油脂からなる群から選択される2種以上と、
    (a)カラギナン、並びに
    (b)アラビアガム、ガティガム、大豆多糖類、及びプルランからなる群から選択される1種以上
    を含有する固体状組成物を、
    水性溶媒に添加し、加熱工程を経ることなく撹拌することを特徴とする、
    飲食品の製造方法であって、
    前記固体状組成物におけるタンパク質含量が2〜20質量%であり、
    前記固体状組成物における糖質含量が20〜70質量%であり、
    前記固体状組成物における油脂含量が5〜20質量%であり、
    前記固体状組成物における(a)含量が0.5〜2.5質量%であり、
    前記固体状組成物における(b)含量が0.5〜7質量%であり、
    前記固体状組成物における(a)1質量部に対する、(b)含量が1.6質量部以上である、
    飲食品の製造方法。
  2. 前記カラギナンが、λカラギナン及び/又はκ2カラギナンである、請求項1に記載の飲食品の製造方法。
  3. 前記水性溶媒のタンパク質含量が2質量%未満である、請求項1又は2のいずれかに記載
    の飲食品の製造方法。
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