本発明の現像装置は、図1に示されるような上下二分割するセル内に収容されたトナーに対して、78.5N(A)および157.0N(B)[nN]の荷重を加えた後、セルを破断させたときの最大引張り破断力から算出される二粒子間力FpをそれぞれFp(A)[nN]およびFp(B)としたとき、
Fp(A)≦30.0
(Fp(B)−Fp(A))/Fp(A)≦1.00
であり、さらに、トナー担持体は導電性の軸芯体と導電層と有し、導電層がイオン導電剤と該イオン導電剤と反応可能な化合物とから合成される樹脂を含有しており、該イオン導電剤は、少なくとも3個以上の水酸基を有するカチオンを有しており、該化合物は、該水酸基と反応可能な化合物であることが特徴である。
ここで、78.5Nおよび157.0Nといったトナー圧縮条件は、現像装置内のトナーの圧密状態と近い状態を得るために設定した値である。現像装置内のトナー担持体下部では、静電潜像担持体へ現像されずにトナー容器内へ戻ってきたトナーが滞留し、トナーがパッキングされた状態になりやすい。このようにパッキングされたトナーは、規制部では瞬時にほぐれることができない為にトナー担持体上のトナー量が不均一になり、結果として帯電量分布がブロードになる傾向がある。
78.5Nの荷重がかかったセル内のトナーは、プリンターを停止後、翌日に再起動させる際の現像装置内のトナーのパッキング状態に近い状態である。また、157.0Nの荷重がかかったセル内のトナーは、プリンターを停止後に長期保管された後の現像装置内のトナーのパッキング状態に近い。
荷重を加えた後にセルを上下に破断させ、その時の引張り破断力からトナーの粒子間付着力Fpを算出することができる。Fpが小さいほど粒子間付着力が小さく、トナーがパッキングされづらく、またパッキングされても少ないエネルギーでトナーをほぐすことができる。
また、本発明のトナー担持体は導電性の軸芯体と導電層と有し、導電層はイオン導電剤と、イオン導電剤と反応可能な化合物とから合成される樹脂を含有している。イオン導電剤を用いて導電化した導電層は、イオン導電剤が分子レベルで導電層中に分散されるため、カーボンブラックなどの導電性の粒子を用いた導電層と比較して、添加量の変動や加工履歴が、電気抵抗値に与える影響は少ない。そのため、導電層の電気抵抗が全体にわたって均一になり、規制部においてトナー担持体上のトナーを均一に帯電させることができる。
さらに、本発明に用いるイオン導電剤は、少なくとも3個以上の水酸基を有するカチオンを有しており、前記イオン導電剤と反応可能な化合物は、カチオンの水酸基と反応可能な化合物であることが特徴である。
イオン導電剤は移行性があるため、長期の使用によってイオン導電剤が導電層中を移動して表面に偏在しやすい。このようにイオン導電剤が導電層中を移動することにより、トナー担持体の電気抵抗値が経時で変化してしまうことがある。イオン導電剤を構成するカチオンの水酸基数が3個以上であると、イオン導電剤が導電層に固定化され、高温高湿環境に長期保管された場合でも経時変化が少ない。
従来、トナーを消費した直後の状態(以降、“黒後”と称することもある。)は、トナー担持体上にトナーが載っていない。このため、次に静電潜像担持体へ現像されるトナーについては、トナー担持体や規制部材によって摺擦される回数が少ない。このためトナーの帯電量は低く、不均一な帯電になりやすいため、黒後の非画像域ではカブリが発生し易い(以下、この現象を「黒後カブリ」と呼ぶ)。
黒後カブリは、トナーが静電的な引力で凝集し流動性が低下しやすい低温低湿環境において顕著である。さらに長期使用後はトナー表面の外添剤が埋没あるいは凹部に転動し流動性が低下するうえ、その後低温低湿環境に放置すると、トナーがパッキングされるため、より顕著に発生する。
トナーの粒子間付着力Fp(A)を30nN以下、かつ(Fp(B)−Fp(A))/Fp(A)を1.00以下に制御し、上記のようなイオン導電剤を含有するトナー担持体を用いると、長期の使用にわたって黒後カブリが抑制されることを見いだした。
黒後カブリの抑制には、トナーの迅速な帯電が重要である。トナー粒子間付着力が低く流動性が高いトナーを用いると迅速に帯電する一方で、トナーがチャージアップしやすい。このためトナーの粒子間付着力が低くても、長期にわたって使用するうちに、過度に電荷を帯びたトナーが規制部に多く存在し、他のトナーの摺擦を阻害することで黒後カブリが発生しやすい。
このとき、トナー担持体の導電層中のイオン導電剤を構成するカチオンの水酸基数が3個以上であると、長期の使用にわたって規制部で均一な帯電が行われ、過帯電あるいは帯電不足のトナーを抑制することができる。これにより、長期の使用にわたって、黒後カブリの発生しない安定した画像を得ることが可能となる。
トナーの粒子間付着力Fp(A)は30nN以下にするこが好ましく、25nN以下であると、より黒後カブリが抑制されるため好ましい。また、(Fp(B)−Fp(A))/Fp(A)の値は、1.00以下が好ましく、0.60以下であるとより長期にわたって安定して黒後カブリの良い画像が得られるため、好ましい。
一方、高温高湿環境では、湿度の影響によりトナーの帯電量が低くなりやすい。さらにトナー担持体においては、イオン導電剤に移行性があるため、長期の使用によってイオン導電剤が導電層の表面に偏在する。その結果、長期使用後にはトナーの帯電量がより低下する傾向がある。
帯電量の低いトナーは、トナー担持体と静電潜像担持体との当接部を通過する際に、ほとんど電荷をもたない、あるいは反転し、カブリ(以下、反転カブリという)が悪化する傾向がある。この現象の原因については明らかになっていないが、おそらく静電潜像担持体とトナー担持体の間に電位差があるために、トナーから電荷がリークし、トナー担持体の軸芯へ流れているものと推察される。
これに対しても本発明は非常に有効である。トナー粒子間付着力Fp(A)が3.0nNであり、トナー担持体がイオン導電剤を含有する導電層を有していると、規制部にてトナーが瞬時にほぐれ、電気抵抗が均一なトナー担持体とトナーが良好に摺擦されるため、帯電量が均一なトナーが得られる。
また、(Fp(B)−Fp(A))/Fp(A)が1.00以下であり、トナー担持体の導電層中のイオン導電剤を構成するカチオンの水酸基数が3個以上であると、長期の使用にわたって規制部で均一な帯電が行わる。よって帯電量が低く、トナー担持体と静電潜像担持体との当接部を通過する際に電荷を失うトナーの発生を抑制でき、反転カブリを抑制することができる。
次に、本発明に用いるトナーに含有されるシリカ微粒子について説明する。
本発明に用いるトナーの第一のシリカ微粒子は、一次粒子の数平均径(D1)が5nm以上20nm以下であることが好ましい。第一のシリカ微粒子の一次粒子の数平均粒径(D1)が上記の範囲内である場合、トナーに良好な流動性/帯電性を付与することができ、黒後カブリおよび反転カブリを抑制することができる。
また、第二のシリカ微粒子としては、ゾルゲル法により製造されることが好ましい。ゾルゲル法により得られたシリカ微粒子は、適度な粒径と狭い粒度分布を有し、単分散かつ球形であるため、トナー粒子表面に均一に分散させやすい。このため、シリカ微粒子がトナー粒子間のスペーサーとなって、トナー粒子間の物理的な付着力を小さくすることができる。ゾルゲル法によって得られたシリカ微粒子の代わりにヒュームドシリカを用いると、トナー粒子間付着力が増大するほか、帯電量も増加してしまい、低温低湿環境においてトナーがチャージアップしやすいため好ましくない。
第二のシリカ微粒子は、一次粒子の数平均粒径(D1)が80nm以上200nm以下であることが好ましい。第二のシリカ微粒子の一次粒子の数平均粒径(D1)が上記の範囲内である場合、スペーサーとして良好に作用することができ、長期の使用を通しても、トナー粒子間付着力が増大を抑制することができ、トナーの流動性の変動を良好に抑制することができる。
さらに、第二のシリカ微粒子は、個数基準の粒度分布における最大ピークの半値幅が、25nm以下であることが好ましい。ゾルゲル法により得られるシリカの中には、2個以上の粒子が合一してなるものが存在する。このような合一粒子が多いと、トナー粒子表面に均一に分散されず、トナー粒子間付着力が増大するため好ましくない。個数基準の粒度分布における最大ピークの半値幅が25nm以下であると、こうした合一粒子が少なく、トナー粒子間付着力が低下し流動性が上がるため、より良好な帯電性能が得られる。
また、第二のシリカ微粒子の温度32.5℃、相対湿度80.0%での飽和水分吸着量が0.4質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。シリカ微粒子の水分吸着量は、トナーの帯電性に大きく影響している。飽和水分吸着量が大きいシリカ微粒子は親水性が高く、空気中の水分を介して電荷をリークしやすく、トナーの帯電量が低下する。逆に、飽和水分吸着量が小さいシリカ微粒子は疎水性が高く、トナーがチャージアップしやすい。飽和水分吸着量を0.4質量%以上、3.0質量%以下に制御することで、適度な帯電性を維持し、長期の使用を通じて、黒後カブリや反転カブリの少ない画像を得ることができる。
次に、第一のシリカ微粒子について詳細に説明する。
第一のシリカ微粒子は、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粒子であり、乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものが好ましく用いられる。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸素、水素中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
SiCl4+2H2+02→SiO2+4HCl
この製造工程において、例えば塩化アルミニウム又は塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粒子を得ることも可能であり、それらも包含する。
また、乾式法シリカ又はヒュームドシリカ微粒子は、表面を疎水化処理することが好ましい。疎水化処理の方法としては、シリカ微粒子と反応あるいは物理吸着する、有機ケイ素化合物及び/又はシリコーンオイルで化学的に処理する方法が挙げられる。
上記有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、αクロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカブタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し、末端に位置する単位のSiに水酸基を1つずつ有するジメチルポリシロキサンが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
上記シリコーンオイルとしては、25℃における粘度が0.5〜10000mm2/Sのものが好ましく、より好ましくは1〜1000mm2/S、さらに好ましくは10〜200mm2/Sである。具体的には、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが挙げられる。
シリコーンオイル処理の方法としては、例えば、シランカップリング剤で処理されたシリカ微粒子とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合する方法;ベースとなるシリカ微粒子にシリコーンオイルを噴霧する方法;あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粒子を加え混合し溶剤を除去する方法;が挙げられる。
シリコーンオイルで処理されたシリカ微粒子は、シリコーンオイルの処理後にシリカを不活性ガス中で200℃以上(より好ましくは250℃以上〉に加熱し表面のコートを固定化させることがより好ましい。シリコーンオイルの炭素基準の固定化率は90%以上であることが好ましい。ここで、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率は、シリカ原体表面に化学的に結合しているシリコーンオイル分子の量に対応する。
本発明において第一のシリカ微粒子の添加量は、トナー粒子100質量部に対して0.2質量部以上3.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.2質量部以上2.0質量部以下である。第一のシリカ微粒子の添加量が上記範囲であると、トナーに良好な流動性を与えることができるため好ましい。
次に、第二のシリカ微粒子について詳細に説明する。
第二のシリカ微粒子は、ゾルゲル法により製造されるシリカ微粒子であることが好ましい。ゾルゲル法とは、水が存在する有機溶媒中において、アルコキシシランを触媒により加水分解、縮合反応させてシリカゾル懸濁液を得て、シリカゾル懸濁液から溶媒を除去、乾燥して、シリカ微粒子を得る方法である。
このようにして得られるシリカ微粒子は通常親水性であり、表面シラノール基が多い。そのため、トナーの外添剤として使用する場合、シリカ微粒子は表面を疎水化処理させることが好ましい。
疎水化処理の方法としては、シリカゾル懸濁液から溶媒を除去し、乾燥させた後に、疎水化処理剤で処理する方法と、シリカゾル懸濁液に、直接的に疎水化処理剤を添加して乾燥と同時に処理する方法が挙げられる。粒度分布半値幅の制御、および飽和水分吸着量の制御という観点で、シリカゾル懸濁液に直接疎水化処理剤を添加する手法が好ましい。
疎水化処理剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、o−メチルフェニルトリエトキシシラン、p−メチルフェニルトリエトキシシラン。
さらに、シリカ微粒子をトナー粒子表面に単分散させやすくしたり、安定したスペーサー効果を発揮させたりするために、シリカ微粒子が解砕処理をされたものであってもよい。
また、本発明に用いられる第二のシリカ微粒子は、見掛け密度が150g/L以上300g/L以下であることが好ましい。見掛け密度が上記範囲にあることは、第二のシリカ微粒子が密に詰まり難く、微粒子間に空気を多く介在しながら存在しており、見掛け密度が非常に低いことを示している。このため、外添工程時にトナー粒子と第二のシリカ微粒子の混合性が向上し、均一な被覆状態が得られやすい。
第二のシリカ微粒子の見掛け密度を上記範囲に制御する手段としては、シリカゾル懸濁液中での疎水化処理、または疎水化処理後の解砕処理の強度の調節、及び疎水化処理量等を調整することが挙げられる。均一な疎水化処理を施すことで、比較的大きな凝集体を減らすことができる。あるいは、解砕処理の強度を調節することで、乾燥後のシリカ微粒子に含有される比較的大きな凝集体を、小さな粒子へとほぐすことができ、見掛け密度を低下させることが可能である。
ここで、第二のシリカ微粒子の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上、2.0質量部以下であることが好ましい。
第一のシリカ微粒子及び第二のシリカ微粒子を、トナー粒子に外添混合する処理装置としては、ヘンシェルミキサーのごとき、公知の混合処理装置を用いることができる。
また、小粒径である第一のシリカ微粒子に関しては、シリカ微粒子の被覆率及び拡散状態を高度に制御できるという点で図2に示すような装置での外添混合が好ましい。
図2の混合処理装置は、トナー粒子とシリカ微粒子に対して、狭いクリアランス部において、シェアがかかる構成になっているために、シリカ微粒子を二次粒子から一次粒子へとほぐしながら、トナー粒子の表面に付着することができる。
さらに、回転体の軸方向において、トナー粒子とシリカ微粒子が循環しやすく、固着が進む前に十分に均一混合されやすい点で、被覆率及び拡散状態を制御しやすく、トナートナー間付着力を本発明の領域に制御しやすい。
また、外添方法としては、まず1段目として第二のシリカ微粒子をヘンシェルミキサーにて混合処理し、その後、2段目として、第一のシリカ微粒子を図2に示す構成の処理装置で混合処理する二段外添法が好ましい。このような過程を経ることで、スペーサー粒子である第二のシリカ微粒子を、トナー粒子表面に均一に拡散させ且つ高固着率で付着させることができる。さらに第一のシリカ微粒子は、図2に示す構成の処理装置により、シリカ微粒子同士の凝集をほぐしながら均一に処理することができる。この結果、第一のシリカ微粒子、第二のシリカ微粒子ともにトナー粒子表面に均一に拡散し、トナー粒子の表面の露出を抑えることができるために、トナー粒子間付着力が低減する。
次に本発明に用いるトナー粒子について説明する。
本発明に用いるトナー粒子は、公知のいずれの方法によっても製造することが可能である。まず、粉砕法により製造する場合は、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤等のトナーとして必要な成分及びその他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により十分混合する。その後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練してトナー材料を分散又は溶解させ、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行ってトナー粒子を得ることができる。
本発明に用いるトナー粒子は、上述のように粉砕法によって製造することも可能であるが、この粉砕法で得られるトナー粒子は一般に不定形のものであり、トナーの流動性が低くなる傾向がある。そこで、本発明に用いるトナーは分散重合法、会合凝集法、溶解懸濁法、懸濁重合法等、水系媒体中でトナーを製造することが好ましく、特に懸濁重合法は本発明の好適な物性を満たしやすく非常に好ましい。
懸濁重合法とは、重合性単量体及び着色剤(更に必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、重合開始剤、その他の添加剤)を均一に溶解又は分散させて重合性単量体組成物を得る溶解工程を有する。さらに、この重合性単量体組成物を分散安定剤が含有されている水系媒体中に適当な撹拌器を用いて懸濁させる造粒工程、重合反応を行なわせ重合工程、を少なくとも経てトナー粒子を得るものである。重合開始剤の添加時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に加えることもできる。
この懸濁重合法で得られるトナー(以後「重合トナー」ともいう)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っており、トナーの流動性が高くなりやすく好ましい。更にこういったトナーは帯電量の分布も比較的均一となるためにカブリ等の抑制も期待できる。
よりトナーの粒子形状を球形に近く、かつ粒度分布をシャープにするためには、造粒工程において、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうがよい。
また、重合工程の初期(造粒工程の直後)において、分散安定剤を含有する水系媒体を懸濁液中に追加で添加することも、トナー粒子形状を球形に近づけるために効果的である。分散安定剤を重合初期に追加することで、重合性単量体組成物の液滴の分散安定性が増し、液滴同士の合一が抑制される。このため、単一分散したトナー粒子が多く得られる。
分散安定剤としては、公知の界面活性剤や有機分散剤・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸三カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛、ヒドロキシアパタイト等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上20.0質量部以下を用いることが望ましい。また、上記分散安定剤は単独で用いても良いし、複数種を併用してもよい。
重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系モノマーが用いられる。前記ビニル系モノマーとしては、単官能性モノマー或いは多官能性モノマーを使用することが出来る。
単官能性モノマーとしては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンのようなビニルケトンが挙げられる。
重合性単量体は、上記の中でも、スチレン又はスチレン誘導体を含むことが好ましい。
多官能性モノマーとしては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
前記した単官能性モノマーを単独で或いは2種以上組み合わせて、又は前記した単官能性モノマーと多官能性モノマーを組み合わせて使用してもよい。多官能性モノマーは架橋剤として使用することも可能である。
本発明においては、重合性単量体組成物には、ポリエステル樹脂が含有される。
本発明に用いられるポリエステル樹脂には以下のようなものが上げられる。
酸成分としては、以下のジカルボン酸又はその誘導体が上げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸の如きアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物又はその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル。
アルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、水素化ビスフェノールA、式(19)で表されるビスフェノール及びその誘導体:
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x、yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0乃至10である。)
本発明で用いることができるポリエステル樹脂は、上述の2価のカルボン酸化合物および2価のアルコール化合物以外に、1価のカルボン酸化合物、1価のアルコール化合物、3価以上のカルボン酸化合物、3価以上のアルコール化合物を構成成分として含有してもよい。
1価のカルボン酸化合物としては、安息香酸、p−メチル安息香酸等の炭素数30以下の芳香族カルボン酸や、ステアリン酸、ベヘン酸等の炭素数30以下の脂肪族カルボン酸等が挙げられる。
また、1価のアルコール化合物としては、ベンジルアルコール等の炭素数30以下の芳香族アルコールや、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベへニルアルコール等の炭素数30以下の脂肪族アルコール等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸化合物としては、特に制限されないが、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
また、3価以上のアルコール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等が挙げられる。
ポリエステル樹脂の酸価は0.3mgKOH/g以上8.0mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは0.3mgKOH/g以上1.5mgKOH/g以下である。
ポリエステル樹脂の酸価が低酸価であること、且つ重合性単量体組成物を基準として含有量が5.0質量%以上20質量%以下であると、トナー粒子の形状が球形に近くなる。この理由は定かではないが、低酸価のポリエステル樹脂を多量に含有させることで、造粒工程及び重合工程における重合性単量体組成物中の着色剤の分散性が向上し、重合性単量体組成物の粒子が水系媒体中で安定化するものと考える。これにより、粒子同士の合一が抑制され、より球形に近いトナー粒子が得られるものと考える。
一方、高酸価のポリエステル樹脂を多量に含有させると、粒度分布がブロードとなってしまう。従来、重合性単量体に含まれる樹脂は高酸価であることで、水相と油相の界面に配向しやすくなり、粒子を安定化させると考えてきた。しかし、あまりに多量に添加してしまうと、重合性単量体組成物中の着色剤の分散性を低下させ、液滴の安定性を損なってしまう場合がある。
次に、本発明に用いるトナー担持体について説明する。
本発明に係るトナー担持体の一実施形態を図3に示す。トナー担持体1は図3(a)に示すように、導電性の軸芯体2と、その外周に設けられた弾性層3とからなることができる。この場合、弾性層3は、イオン導電剤と、イオン導電剤と反応可能な化合物とから合成される樹脂からなる導電層である。また、図3(b)に示すように、弾性層3の表面に表面層4を形成してもよい。この場合、導電層は、弾性層3、表面層4のいずれにも適用可能である。
更に図3(c)に示すように、弾性層3と表面層4の間に中間層5を配置した3層構造、又は、中間層5を複数配置した多層構成であってもよい。この場合、導電層は弾性層3、中間層5、表面層4のいずれにも適用可能である。
<軸芯体>
軸芯体2は、トナー担持体1の電極及び支持部材として機能するもので、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼の如き金属又は合金;クロム又はニッケルで鍍金処理を施した鉄;導電性を有する合成樹脂の如き導電性の材質で構成され、中実であってもよく、中空であってもよい。
<導電層>
本発明において、カチオンとは、導電層に含まれる樹脂を合成するための、イオン導電剤に含まれるカチオンを指し、水酸基と反応可能な化合物と反応する前の状態のものを言う。
また、カチオン性有機基とは、イオン導電剤と、該イオン導電剤と反応可能な化合物から合成された、導電層に含まれる樹脂の一部分を指す。カチオン性有機基はイオン導電剤に由来する残基であって、樹脂の他の部分と複数の箇所で結合している。
本発明の導電層は、イオン導電剤と、イオン導電剤と反応可能な化合物とから合成された樹脂を含有している。イオン導電剤は、少なくとも3個以上の水酸基を有するカチオンを有している。また、イオン導電剤と反応可能な化合物は、イオン導電剤のカチオンが有する水酸基と反応するものである。
本発明に係るイオン導電剤及びイオン導電剤と反応可能な化合物は、ポリマー鎖の分岐構造中にカチオン性有機基を有する樹脂を得るための、必須の材料である。
少なくとも3個以上の水酸基を有するカチオンと反応可能な化合物とは、水酸基と反応する官能基を1分子中に2個以上含む化合物をいう。反応可能な化合物は、イオン導電剤が有する水酸基だけでなく、後述するポリオール、又はその他の導電層に含まれる化合物が有する水酸基と反応してもよい。反応可能な化合物としては、例えば、イソシアネート化合物、カルボン酸化合物、エポキシド化合物及びメラミン樹脂化合物等が挙げられる。イソシアネート化合物の例としては、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の如き脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネートの如き脂環式ポリイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートの如き芳香族イソシアネート及びこれらの共重合物やイソシアヌレート体、TMPアダクト体、ビウレット体、そのブロック体等のイソシアネート化合物が挙げられる。カルボン酸化合物の例としては、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂肪族ジカルボン酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。エポキシド化合物の例としては、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族ジエポキシド、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等の芳香族ジエポキシドが挙げられる。メラミン化合物の例としては、例えばメチル化型メラミン、ブチル化型メラミン、イミノ型メラミン、メチルブチル混合型メラミン、メチロール型メラミンを用いることができる。
導電層はイオン導電剤と、イオン導電剤と反応可能な化合物の他に、ポリオールを含んでいてもよい。ポリオールは複数の水酸基を分子内に有しており、水酸基は前記水酸基と反応可能な化合物と反応する。ポリオールとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールが挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが挙げられる。またポリエステルポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,4−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールの如きジオール成分や、トリメチロールプロパンの如きトリオール成分と、アジピン酸、無水フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロキシフタル酸等とのジカルボン酸との縮合反応により得られるポリエステルポリオールが挙げられる。該ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールは必要に応じてあらかじめ2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、1,4ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)の如きイソシアネートにより鎖延長したプレポリマーとしてもよい。
導電層は、本発明の効果が損なわれない程度に、必要によって本発明に係る樹脂以外の一般的な樹脂、ゴム材料、配合剤、導電性付与剤、非導電性充填剤、架橋剤、触媒を添加しても良い。添加する樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、アミドイミド樹脂、フェノール樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。ゴム材料としてはエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。配合剤としては、樹脂に対して一般的に用いられる充填剤、軟化剤、加工助剤、粘着付与剤、粘着防止剤、発泡剤等が挙げられる。導電性付与剤としては、カーボンブラック;アルミニウム、銅の如き導電性金属;導電性酸化亜鉛、導電性酸化錫、導電性酸化チタンの如き導電性金属酸化物の微粒子を用いることができる。非導電性充填剤としては、シリカ、石英粉末、酸化チタン、又は炭酸カルシウムが挙げられる。架橋剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、テトラエトキシシラン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン又はジクミルパーオキサイドが挙げられる。
導電層がトナー担持体の表面層として用いられ、表面層として表面粗度が必要な場合は、導電層に粗さ制御のための微粒子を添加しても良い。特に、導電層がトナー担持体の表面層に用いられる場合、粗さ制御用微粒子としては、体積平均粒径が3〜20μmであることが、トナーを搬送する能力に優れるトナー担持体が得られるため好ましい。また、導電層に添加する微粒子の添加量は、導電層の樹脂固形分100質量部に対し、1〜50部であることが、本発明の効果を損なわないため好ましい。粗さ制御用微粒子には、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂及びフェノール樹脂の微粒子を用いることができる。
導電層の形成方法としては特に限定されるものではないが、塗料によるスプレー、浸漬、又はロールコートが挙げられる。特開昭57−5047号公報に記載されているような浸漬槽上端から塗料をオーバーフローさせる浸漬塗工方法は、導電層を形成する方法として、簡便で生産安定性に優れている。また図3(a)に示す弾性層3として本発明に係る導電層を適用する際の導電層の形成方法としては、トナー担持体において公知の方法を用いることができる。例えば、軸芯体と、導電層用の材料とを共に押出して成型する方法が挙げられる。また、導電層形成用材料が液状であれば、円筒状のパイプと、このパイプの両端に配設された軸芯体を保持するための駒と、軸芯体とを配設した金型にこの材料を注入し、加熱硬化する方法等もある。
<イオン導電剤>
導電層に用いられるイオン導電剤は、カチオンを有している。カチオンは、一つの分子内に3個以上の水酸基を有している。カチオンは、カチオン骨格と、水酸基を有する置換基を含んでいる。カチオンは、更に水酸基を有しない置換基を有していてもよい。水酸基を有する置換基と、水酸基を有しない置換基は、それぞれカチオン骨格に結合している。
カチオン骨格としては、四級アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等の非環状のカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、モルホリニウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、ヒドロイミダゾリウムカチオン、トリアゾリウムカチオン、ピリダジニウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピラジニウムカチオン、チアゾリウムカチオン、オキサゾリウムカチオン、インドリウムカチオン、キノリニウムカチオン、イソキノリニウムカチオン、キノキサリニウムカチオン等の含窒素複素環カチオンが挙げられる。
その中でも、四級アンモニウムカチオン及び含窒素複素環カチオンのように、カチオン骨格に窒素原子を有するイオン導電剤を用いた導電層は、カチオン骨格に窒素原子を有しないイオン導電剤(スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等)を用いた導電層と比べて、比較的高い導電性が得られる点で好ましい。また、その中でも、四級アンモニウムカチオン及びイミダゾリウムカチオンを有するイオン導電剤は、少量の添加量でも導電性に優れる導電層が得られ点で、特に好ましい。
このように、本発明では、イオン導電剤のカチオンは、少なくとも3個以上の水酸基を有する四級アンモニウムカチオン、少なくとも3個以上の水酸基を有する含窒素複素環カチオン、又は少なくとも3個以上の水酸基を有するイミダゾリウムカチオンであることが好ましい。
カチオンは水酸基を有する置換基を二つ以上含む。ここで、水酸基を有する置換基とは、一つの置換基が一つ又は複数の水酸基を有するものである。一つのカチオン骨格に対して、少なくとも3個以上の水酸基が結合するように、水酸基を有する置換基が選ばれる。カチオンが有する水酸基の数は多いほど好ましい。水酸基を有する置換基としては、ヒドロキシピリジニウムやヒドロキシイミダゾリウムのように、水酸基が直接カチオン骨格に結合していてもよく、炭化水素基やアルコキシ基等の連結基を介してカチオン骨格に結合していてもよい。
水酸基の反応性が比較的高い点で、水酸基は連結基を介してカチオン骨格に結合しているものが好ましい。水酸基をカチオン骨格に結合するための連結基としては、炭化水素基、アルキレンエーテル基を有する置換基、又は分岐構造を有する置換基が挙げられる。
炭化水素基は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、フェニレン基等の炭素数1〜30の炭化水素基であって、ヘテロ原子を有していてもよく、その他の水酸基を有さない官能基(例えば、炭素数1〜30の炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、アミド基、シアノ基などのヘテロ原子を含む置換基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基等)を有していてもよい。
アルキレンエーテル基を有する置換基としては、オリゴ(エチレングリコール)、オリゴ(プロピレングリコール)、オリゴ(テトラメチレングリコール)等の、重合度が1〜10のアルキレンエーテルが挙げられる。
分岐構造を有する置換基は、炭素原子又は窒素原子を分岐点として、一つのカチオン骨格に対して、複数の上述の連結基を介して複数の水酸基を結合した置換基であって、1,2−プロパンジオール基、[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エチレン基、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
イオン導電剤のカチオンは、水酸基を有する置換基の他に、水酸基を有さない置換基(例えば、炭素数1〜30の炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、アミド基、シアノ基などのヘテロ原子を含む置換基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基等)を一つ又は複数有していてもよい。
また、イオン導電剤は、カチオンに加えて、アニオンを含有することが好ましい。アニオンは、フッ化スルホン酸アニオン、フッ化カルボン酸アニオン、フッ化スルホニルイミドアニオン、フッ化スルホニルメチドアニオン、フッ化アルキルフルオロホウ酸アニオン、フッ化リン酸アニオン、フッ化アンチモン酸アニオン、フッ化ヒ酸アニオン、ジシアンアミドアニオン、ビス(オキサラト)ホウ酸アニオンから選ばれる。
フッ化スルホン酸アニオンとしては、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、フルオロメタンスルホン酸アニオン、パーフルオロエチルスルホン酸アニオン、パーフルオロプロピルスルホン酸アニオン、パーフルオロブチルスルホン酸アニオン、パーフルオロペンチルスルホン酸アニオン、パーフルオロヘキシルスルホン酸アニオン、パーフルオロオクチルスルホン酸アニオンが挙げられる。
フッ化カルボン酸アニオンとしては、トリフルオロ酢酸アニオン、パーフルオロプロピオン酸アニオン、パーフルオロ酪酸アニオン、パーフルオロ吉草酸アニオン、パーフルオロカプロン酸アニオンが挙げられる。
フッ化スルホニルイミドアニオンとしては、トリフルオロメタンスルホニルイミドアニオン、パーフルオロエチルスルホニルイミドアニオン、パーフルオロプロピルスルホニルイミドアニオン、パーフルオロブチルスルホニルイミドアニオン、パーフルオロペンチルスルホルイミドアニオン、パーフルオロヘキシルスルホニルイミドアニオン、パーフルオロオクチルスルホニルイミドアニオン、フルオロスルホニルイミドアニオン、及びシクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドの如き環状アニオンが挙げられる。
フッ化スルホニルメチドアニオンとしては、トリフルオロメタンスルホニルメチドアニオン、パーフルオロエチルスルホニルメチドアニオン、パーフルオロプロピルスルホニルメチドアニオン、パーフルオロブチルスルホニルメチドアニオン、パーフルオロペンチルスルホニルメチドアニオン、パーフルオロヘキシルスルホニルメチドアニオン、パーフルオロオクチルスルホニルメチドアニオンが挙げられる。
フッ化アルキルフルオロホウ酸アニオンとしては、トリフルオロメチルトリフルオロホウ酸アニオン、パーフルオロエチルトリフルオロホウ酸アニオンが挙げられる。
フッ化リン酸アニオンとしては、ヘキサフルオロリン酸アニオン、トリス−トリフルオロメチル−トリフルオロリン酸アニオン、トリス−パーフルオロエチル−トリフルオロリン酸アニオンが挙げられる。
フッ化アンチモン酸アニオンとしては、ヘキサフルオロアンチモン酸アニオン、トリフルオロメチル−ペンタフルオロアンチモン酸アニオンが挙げられる。
フッ化ヒ酸アニオンとしては、ヘキサフルオロヒ酸アニオン、トリフルオロメチル−ペンタフルオロヒ酸アニオンが挙げられる。
その他のアニオンとしては、ジシアンアミドアニオン、ビス(オキサラト)ホウ酸アニオンが挙げられる。
その中でも、イオン導電剤のアニオンとしては、フッ化スルホン酸アニオン、フッ化スルホニルイミドアニオン、フッ化スルホニルメチドアニオン等の電子求引性のフッ化スルホニル基を有するものが、比較的少量を導電層に含有するだけで所望の導電性を得られる点で、好ましい。
イオン導電剤は、例えばメンシュトキン反応等の、公知の求核置換反応を一段階又は複数の段階用いて前駆体を合成した後、公知のイオン交換反応を行うことによって得ることができる。
従って、求核剤には、例えば一級から三級までのアミン化合物、イミダゾール化合物、ピリジン化合物、ピペリジン化合物、ピロリジン化合物、モルホリン化合物、ピラゾール化合物、スルフィド化合物、ホスフィン化合物等の、求核性のヘテロ原子を有する化合物を用いることができる。
また、求電子剤には、例えば水酸基を置換したハロゲン化アルキル化合物等を用いることができる。
更に、イオン交換反応に用いるアルカリ金属塩には、例えばフッ化アルキルスルホン酸リチウム塩や、フッ化アルキルスルホニルイミドカリウム塩などの、本発明のアニオンを含むアルカリ金属塩を用いることができる。
求核置換反応に用いる求核剤、求電子剤及び、イオン交換反応に用いるアルカリ金属塩を所望の組み合わせに変更することで、目的のイオン導電剤を公知の方法の組み合わせによって合成することができる。
イオン導電剤の配合量は、導電層を構成する成分100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましい。0.01質量部以上であると導電性の高い導電層が得られ、20質量部以下であると、長期の使用によってイオン導電剤が導電層中を移動しづらく、長期使用にわたって電気抵抗値が安定した導電層が得られる。
本発明に係る導電層は、イオン導電剤と、イオン導電剤と反応可能な化合物を含有しており、イオン導電剤は、アニオンと少なくとも3個以上の水酸基を有するカチオンとを有しており、イオン導電剤と反応可能な化合物は、イオン導電剤のカチオンが有する水酸基と反応可能な化合物である。
本発明に係る導電層は、少なくとも3個以上の水酸基を有するイオン導電剤と、イオン導電剤と反応可能な化合物との反応によって得られる。従って本発明の導電層には、例えば下記式(1)〜(13)から選ばれる少なくとも一つの構造を有する。
式(1)、(2)、(6)、(10)、(11)および(12)中、X1〜X14は各々独立に水酸基と、イソシアネート化合物、カルボン酸化合物、メラミン化合物から選ばれる一つとが反応した残基を一つ含む構造を有し、式(A)〜(C)中のDa〜Dcから選ばれる一つである。
式(A)〜(C)中、Ta〜Tcは、炭化水素基又はアルキレンエーテル基を有する置換基である。炭化水素基は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、フェニレン基等の炭素数1〜20の炭化水素基であって、ヘテロ原子を有していてもよく、その他の水酸基を有さない官能基(例えば、炭素数1〜30の炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、アミド基、シアノ基などのヘテロ原子を含む置換基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基等)を有していてもよい。アルキレンエーテル基を有する置換基としては、オリゴ(エチレングリコール)、オリゴ(プロピレングリコール)、オリゴ(テトラメチレングリコール)等の、重合度が1〜10のアルキレンエーテルが挙げられる。
Ua〜Ucは、イオン導電剤と反応可能な化合物の残基である。
式(2)、(3)、(4)、(7)、(8)、(11)および(13)中、Y1〜Y9は各々独立にYa又はYbから選ばれる構造であって、Ya、Ybはそれぞれ式(14)、(15)で表わされる。
式(14)
式(15)
式(14)、(15)中、A1、A2は、炭化水素基又はアルキレンエーテル基である。炭化水素基は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、フェニレン基等の炭素数1〜30の炭化水素基であって、ヘテロ原子を有していてもよく、その他の水酸基を有さない官能基(例えば、炭素数1〜30の炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、アミド基、シアノ基などのヘテロ原子を含む置換基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基等)を有していてもよい。アルキレンエーテル基としては、オリゴ(エチレングリコール)、オリゴ(プロピレングリコール)、オリゴ(テトラメチレングリコール)等の、重合度が1〜10のアルキレンエーテルが挙げられる。
X17〜X20は各々独立に水酸基と、イソシアネート化合物、カルボン酸化合物、メラミン化合物から選ばれる一つとが反応した残基を一つ含む構造を有し、式(A)〜(C)中のDa〜Dcから選ばれる一つである。
式(4)および(9)中、Z1、Z2は、各々独立に下記(a)又は(b)から選ばれる。
式(1)〜(11)および(13)中、R1〜R5、R7、R18、R21、R23〜R25は各々独立に下記(a)〜(c)から選ばれる。
(a)水素原子、
(b)炭素数1〜30の炭化水素基、
(c)式(A)〜(C)中の、Da〜Dcから選ばれる一つ。
R6、R8は炭素数1〜3のヒドロカルビレン基又は置換ヒドロカルビレン基であって、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
R9、R10は各々独立に(c)、Ya、Ybから選ばれる。
R11、R12は各々独立に(a)〜(c)から選ばれる。但し、少なくとも一つは(c)である。
R13、R14、R17は炭素数3〜5のヒドロカルビレン基又は置換ヒドロカルビレン基であって、酸素原子又は硫黄原子を含んでいてもよい。
R15、R16は各々独立に(a)〜(c)から選ばれる。但し、少なくとも一つは(c)である。
R19は炭素数1〜3のヒドロカルビレン基又は置換ヒドロカルビレン基であって、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
R20、R22は各々独立に(c)、Ya、Ybから選ばれ、少なくとも一つはYa又はYbである。
R26、R27は各々独立(a)〜(c)、Ya、Ybから選ばれ、少なくとも一つは(c)、Ya、Ybから選ばれる一つである。
尚、式(7)中、窒素原子が二重結合を含む場合、R16はない。
導電層には、例えば下記式(16)〜(18)から選択される少なくとも一つで表されるカチオン性有機基を含んでもよい。
式(17)中、Z3〜Z5は各々独立に上記(a)又は(b)から選ばれる。
式(15)中、X15、X16は、それぞれ水酸基と、イソシアネート化合物、カルボン酸化合物、メラミン化合物から選ばれる一つとが反応した残基を一つ含む構造を表す。
式(17)(18)中、Y10、Y11は、各々独立に上記Ya又はYbから選ばれる。
式(16)〜(18)中、R28〜R30は各々独立に上記(a)、(b)、又は(c)から選ばれる一つであって、少なくとも一つは(c)である。
R31は上記(c)又はYa、Ybから選ばれる。
R32は上記(a)、(b)、(c)、Ya、Ybから選ばれる一つである。
R33〜R35は各々独立に上記(a)、(b)、(c)から選ばれる一つであって、少なくとも一つは(c)である。
本発明に係るカチオン及びアニオンを用いることによって、導電層の電気抵抗値の経時安定性の向上に顕著な効果が見られる理由について、本発明者らは以下のように推測している。
まず、導電層に含まれる樹脂がカルボキシ基、ウレタン基、エステル基、水酸基、アミノ基などの極性官能基を有していると、極性官能基同士が、水素結合などの相互作用により擬似的な架橋点を形成し、樹脂構造を保つ元となる。
しかし、イオン導電剤を樹脂に用いると、イオン導電剤と、極性官能基の間に相互作用が生じて、擬似的な架橋点の元になる極性官能基間の相互作用が減り、樹脂の構造安定性が低下する場合があると考えている。
以降、カチオン、アニオンの種類の違いによる本発明の効果の発現メカニズムについて、順に説明する。
カチオンに水酸基を2個有するイオン導電剤と、該イオン導電剤と反応可能な化合物から合成された樹脂において、該樹脂に含まれるカチオン性有機基はポリマー鎖と2箇所で結合し、ポリマーの主鎖に取り込まれている。主鎖に取り込まれると、カチオン性有機基の運動の自由度はある程度制限されるが、ポリマー鎖と結合している箇所は2点のみなので、ある程度の運動性は保たれたままである。
この状態で、カチオン性有機基が、樹脂中の極性官能基(カルボキシ基、ウレタン基、エステル基、水酸基、アミノ基等)と近づくと、極性官能基の負に分極した部分と、正の電荷をもったカチオン性有機基が引き合う。その結果、極性官能基間の相互作用が減って、擬似的な架橋点の数が減るため、樹脂の構造安定性を保つことが困難になると考えている。
これに対して、本発明のように、カチオンに水酸基を3個以上有するイオン導電剤と、該イオン導電剤と反応可能な化合物とから合成された樹脂においては、樹脂に含まれるカチオン性有機基は、ポリマー鎖に対して3箇所以上で結合する。そのため、先の場合と比較して、カチオン性有機基の運動の自由度が更に制限され、樹脂中の極性官能基と近づきにくくなる。また、カチオン性有機基が嵩高いことも、該カチオン性有機基の運動を妨げるため、極性官能基と近づきにくくなる。
このため、先の場合のように、カチオン性有機基と極性官能基が引き合うことができなくなる。従って、極性官能基間の相互作用(擬似的な架橋点)がほとんど減ることがなく、イオン導電剤の移行を抑えることができると考えられる。
また、アニオンの種類も、極性官能基間の相互作用に影響を与えると考えられる。
本発明においてもカチオンと併用することができる、上記したようなアニオンは、化学的に非常に安定であり、極性官能基の有するプロトン(エステル基中のカルボニル基に対してα位に位置するプロトン、及びウレタン基、アミノ基、水酸基の有するプロトン)との親和性が低く、プロトンによる還元を受けにくいという特徴をもつ。
そのため、アニオンと、極性官能基のプロトンとが相互作用しにくく、極性官能基間の相互作用(擬似的な架橋点)をほとんど失うことがないため、イオン導電剤の移行を長期にわたって抑制できるのではないかと考えている。
以上に述べたように、本発明に係るカチオン、アニオンの両方が、導電層の樹脂の極性官能基間の相互作用(擬似的な架橋点)を減らすことがないものである。そのため、本発明に係るイオン導電剤を用いると、長期にわたって導電層の電気抵抗値を安定して維持することができると考えられる。
次に本発明の現像装置について図面を用いて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
図4は、本発明の現像装置の一例を示す模式的断面図である。また、図5は、本発明の現像装置が組み込まれた画像形成装置の一例を示す模式的断面図である。
図4又は図5において、静電潜像が形成された像担持体である静電潜像担持体5は、矢印R1方向に回転される。トナー担持体7は矢印R2方向に回転することによって、トナー担持体7と静電潜像担持体5とが対向している現像領域にトナー19を搬送する。また、トナー担持体にはトナー供給部材8が接しており、矢印R3方向に回転することによって、トナー担持体表面にトナー19を供給している。
静電潜像担持体5の周囲には帯電ローラー6、転写部材(転写ローラー)10、クリーナー容器11、クリーニングブレード12、定着器13、ピックアップローラー14等が設けられている。静電潜像担持体5は、帯電手段である帯電ローラー6によって帯電される。そして、レーザー発生装置16により、像露光光であるレーザー光を静電潜像担持体5に照射することによって露光が行われ、目的の画像に対応した静電潜像が形成される。静電潜像担持体5上の静電潜像は現像器9内のトナーで現像されてトナー画像を得る。トナー画像は転写材を介して静電潜像担持体5に当接された転写部材(転写ローラー)10により転写材(紙)15上へ転写される。トナー画像の転写部材への転写は、中間転写体を介して行われても良い。トナー画像を載せた転写材(紙)15は定着器13へ運ばれ転写材(紙)15上に定着される。また、一部静電潜像担持体5上に残されたトナー19はクリーニングブレード12によりかき落とされ、クリーナー容器11に収納される。
本発明の現像装置における帯電工程において、静電潜像担持体と帯電ローラーとが当接部を形成して接触し、帯電ローラーに所定の帯電バイアスを印加して静電潜像担持体面を所定の極性・電位に帯電させる接触帯電装置を用いることが好ましい。このように接触帯電を行うことで、安定した均一な帯電を行うことができ、さらに、オゾンの発生が低減することが可能である。また、静電潜像担持体との接触を均一に保ち、均一な帯電を行う為に、静電潜像担持体と同方向に回転する帯電ローラーを用いることがより好ましい。
帯電ローラーを用いたときの好ましいプロセス条件として、帯電ローラーの当接圧が4.9乃至490.0N/mで、直流電圧もしくは、直流電圧に交流電圧を重畳したものが例示できる。
交流電圧は0.5乃至5.0kVpp、交流周波数は50乃至5kHz、直流電圧としては電圧の絶対値が400乃至1700Vであることが好ましい。
帯電ローラーの材質としては、弾性体の材料として、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ウレタン、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材、またこれらを発泡させたものがあげられるが、これらに限定されるものでは無い。また、導電性物質を分散せずに、或いは導電性物質と併用してイオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。
また、帯電ローラーに用いられる芯金としては、アルミニウム、SUS等が挙げられる。帯電ローラーは、静電潜像担持体としての被帯電体に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設し、帯電ローラーと静電潜像担持体の当接部である帯電当接部を形成させる。
次に、本発明の現像装置において好ましく適用される接触転写工程について具体的に説明する。接触転写工程とは、静電潜像担持体が記録媒体を介してトナーと逆極性の電圧が印加された転写部材と当接しながらトナー像を記録媒体に静電転写するものである。転写部材の当接圧力としては線圧2.9N/m以上であることが好ましく、より好ましくは19.6N/m以上である。当接圧力が上記の範囲であれば、記録媒体の搬送ずれや転写不良の発生を良好に抑制できる。
本発明において、トナー規制部材がトナーを介してトナー担持体に当接することによってトナー担持体上のトナー層厚を規制することが好ましい。このようにすることでカブリの無い高画質を得ることが出来る。トナー担持体に当接するトナー規制部材としては、規制ブレードが一般的であり、本発明においても好適に使用できる。
上記規制ブレードとしては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBRの如きゴム弾性体;ポリエチレンテレフタレートの如き合成樹脂弾性体、リン青銅板、SUS板等の金属弾性体が使用でき、さらに、それらの複合体であっても良い。更に、ゴム、合成樹脂、金属弾性体の如き弾性支持体に、トナーの帯電性をコントロールする目的で、樹脂、ゴム、金属酸化物、金属の如き帯電コントロール物質をトナー担持体当接部分に当たるようにつけたものを用いても良い。この中でも、金属弾性体に樹脂、ゴムをトナー担持体当接部に当たるように貼り合わせるものが特に好ましい。
金属弾性体に貼り合わせる部材の材質としては、ウレタンゴム、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂の如き正極性に帯電しやすいものが好ましい。
上記規制ブレード上辺部側である基部は現像器側に固定保持され、下辺部側をブレードの弾性力に抗してトナー担持体の順方向或いは逆方向にたわめ状態にしてトナー担持体表面に適度の弾性押圧力をもって当接させる。
規制ブレードとトナー担持体との当接圧力は、トナー担持体母線方向の線圧として、好ましくは、1.30乃至245.0N/m、更に好ましくは4.9乃至118.0N/mが有効である。当接圧力が上記の範囲内である場合、トナーに対する劣化の発生を抑制しつつ、トナー担持体への均一塗布をより良好に達成できる。
トナー担持体上のトナー層の量は、2.0g/m2以上15.0g/m2以下であることが好ましく、より好ましくは、3.0g/m2以上14.0g/m2以下である。
トナー担持体上のトナー量が上記の範囲内であれば、十分な画像濃度を得ることと、規制不良の発生の抑制とを旅行に両立できる。
一方、トナー担持体上のトナー量が15.0g/m2よりも多くなると規制不良が発生し易くなり、また、均一帯電性が損なわれやすいことからカブリの増大を招く傾向にある。
なお、本発明において、トナー担持体上のトナー量はトナー担持体の表面粗さ(Ra)、規制ブレードの自由長、規制ブレードの当接圧を変えることにより任意に変えることが可能である。
トナー担持体上のトナー量の測定であるが、外径が6.5mmの吸い口に円筒ろ紙を装着する。これを掃除機に取り付け、吸引しながらトナー担持体上のトナーを吸い取り、吸い取ったトナー量(g)を吸い取った面積(m2)で割った値をもってトナー担持体上のトナー量とする。
本発明において、トナーを担持するトナー担持体の外径は8.0mm以上14.0mm以下であることが好ましい。現像装置のコンパクト化と言う意味ではトナー担持体の外径は小さいほど良いが、外径が小さくなればなるほど現像性が低下し易く、カブリも悪化傾向にある。このため、本発明に用いるトナー担持体とトナーにおいては、コンパクト化とカブリの両立のためにトナー担持体の外径は8.0mm以上14.0mm以下であることが好ましい。
本発明に用いるトナー担持体の表面粗さは、JIS B 0601:1994表面粗さの規格における中心線平均粗さRaで、0.3μm以上5.0μm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.5μm以上4.5μm以下である。
Raが0.3μm以上5.0μm以下であると、トナーの搬送量が充分に得られる上、トナー担持体上のトナー量を規制し易くなり規制不良が生じ難くなると共に、トナーの帯電量が均一になりやすい。
トナー担持体表面のJIS B 0601:1994表面粗さの規格における中心線平均粗さRaの測定は、小坂研究所製サーフコーダーSE−3500を用いて行う。測定条件としてはカットオフ0.8mm、評価長さ4mm、送り速度0.5mm/sにて、9点(軸方向に等間隔に取った3点の各点について周方向に3点)について測定し、その平均値をとった。
本発明におけるトナー担持体の表面粗さを上記範囲にするには、例えば、トナー担持体の表層の研磨状態を変える、あるいは球状炭素粒子、カーボン微粒子、グラファイト、樹脂微粒子等を添加することにより可能となる。
本発明において、現像工程はトナー担持体に現像バイアスを印加し静電潜像担持体上の静電潜像にトナーを転移させてトナー像を形成する工程であることが好ましく、印加する現像バイアスは直流電圧や直流電圧に交番電界を重畳した電圧でもよい。
交番電界の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交番電界の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
本発明においてトナー供給部材を用いず磁性によりトナーを搬送する方式を用いた場合、トナー担持体の内部にマグネットを配置する必要がある(図6の符号21)。この場合、トナー担持体は内部に多極を有する固定されたマグネットを有していることが好ましく、磁極は3乃至10極であることが好ましい。
尚、本発明の現像装置は、画像形成装置本体に着脱可能な構成として、プロセスカートリッジとすることもできる。
次に、本発明に用いるトナーに係る各物性の測定方法に関して記載する。
<トナーの二粒子間付着力の測定方法>
トナーの二粒子間付着力の測定は、ホソカワミクロン社製Aggrobotを用いる。具体的な測定方法は、以下の通りである。
(1)磁性トナーの場合
25℃/50%環境下において、図1(A)記載の上下2分割の円筒セル内にトナー9.2gを充填する。次に、0.1mm/secで圧縮棒を下ろしていき、78.5N、あるいは157.0Nの垂直荷重がかかった時点で圧縮棒を上げて圧密トナー層を形成する。その後、図1(B)記載の通り、上部セルをバネで0.4mm/secの速度で持ち上げてトナー層を引っ張り、トナー層が破断されたときの最大引張破断力から粒子間力を算出する。
なお、円筒セルの内径は25mmであり、高さは37.5mmである。
(2)非磁性トナーの場合
25℃/50%環境下において、図1(A)記載の上下2分割の円筒セル内にトナー7.7gを充填する。その後、0.1mm/secで圧縮棒を下ろすことで、78.5N、あるいは157.0Nの垂直荷重をかけて、圧密トナー層を形成する。その後、図1(B)記載の通り、上部セルをバネで0.4mm/secの速度で持ち上げてトナー層を引っ張り、トナー層が破断されたときの最大引張破断力から粒子間力を算出する。
なお、円筒セルの内径は25mmであり、高さは37.5mmである。
<シリカ微粒子の一次粒子の数平均粒径(D1)の測定方法>
シリカ微粒子の一次粒子の数平均粒径(D1)は、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影されるトナー表面のシリカ微粒子画像から算出される。S−4800の画像撮影条件は以下の通りである。
(1)測定試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S−4800観察条件設定
シリカ微粒子の一次粒子の数平均粒径の算出は、S−4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。反射電子像は二次電子像と比べてシリカ微粒子のチャージアップが少ないため、シリカ微粒子の粒径を精度良く測定することができる。
S−4800の鏡体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S−4800の「PCSTEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20〜40μAであることを確認する。試料ホルダをS−4800鏡体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[0.8kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]および[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)シリカ微粒子の数平均粒径(D1)の算出
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を100000(100k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作を更に2度繰り返し、ピントを合わせる。
その後、トナー表面上の少なくとも300個のシリカ微粒子について粒径を測定して、平均粒径を求める。ここで、シリカ微粒子は凝集塊として存在するものもあるため、一次粒子と確認できるものの最大径を求め、得られた最大径を算術平均することによって、シリカ微粒子の一次粒子の数平均粒径(D1)を得る。
<シリカ微粒子の個数基準の粒度分布における最大ピークの半値幅の測定方法>
シリカ微粒子の個数基準の粒度分布における最大ピークの半値幅は、CPS Instruments Inc.製ディスク遠心式粒度分布測定装置DC24000を用いて測定する。測定方法を以下に示す。
(I)磁性トナーの場合
まず、イオン交換水100gに、Triton−X100(キシダ化学(株)製)を0.5mg入れて分散媒を作製する。この分散媒9gに、トナー1gを添加し、超音波分散機で5分間分散させる。その後、ネオジム磁石を用いてトナー粒子を拘束し、上澄み液を作製する。次に、シリンジフィルター(直径:13mm/孔径0.45μm)(アドバンテック東洋(株)製)を取り付けたオールプラスティックディスポシリンジ(東京硝子器械(株))の先に、CPS社製の測定装置専用シリンジ針を取り付けて、上澄み液を0.1mL採取する。シリンジで採取した上澄み液をディスク遠心式粒度分布測定装置DC24000に注入し、シリカ微粒子の個数基準の粒度分布における最大ピークの半値幅を測定する。
測定方法の詳細は以下の通りである。
まず、CPSソフト上のMotor Controlで、ディスクを24000rpmで回転させる。その後、Procedure Definitionsから、下記条件を設定する。
(1)Sample parameter
・Maximum Diameter:0.5μm
・Minimum Diameter:0.05μm
・Particle Density:2.0−2.2g/mL(サンプルによって適宜調整する)
・Particle Refractive Index:1.43
・Particle Absorption:0K
・Non−Sphericity Factor:1.1
(2)Calibration Standard Parameters
・Peak Diameter:0.226μm
・Half Height Peak Width:0.1μm
・Particle Density:1.389g/mL
・Fluid Density:1.059g/mL
・Fluid Refractive Index:1.369
・Fluid Viscosity:1.1cps
上記条件を設定後、CPS Instruments Inc.製オートグラジェントメーカーAG300を使用し、8wt%ショ糖水溶液と24wt%ショ糖水溶液による密度勾配溶液を作製し、測定容器内に15mL注入する。
注入後、密度勾配溶液の蒸発を防ぐため、1.0mLのドデカン(キシダ化学(株)製)を注入して油膜を形成し、装置安定の為、30分以上待機する。
待機後、校正用標準粒子(重量基準中心粒径:0.226μm)を0.1mLシリンジで測定装置内に注入し、キャリブレーションを行う。その後、上記採取した上澄み液を装置に注入し、個数基準の粒度分布における最大ピークの半値幅を測定する。
(II)非磁性トナーの場合
まず、イオン交換水100gに、Triton−X100(キシダ化学(株)製)を0.5mg入れて分散媒を作製する。この分散媒9.4gに、トナー0.6gを添加し、超音波分散機で5分間分散させる。その後、シリンジフィルター(直径:13mm/孔径0.45μm)(アドバンテック東洋(株)製)を取り付けたオールプラスティックディスポシリンジ(東京硝子器械(株))の先に、CPS社製の測定装置専用シリンジ針を取り付けて、上澄み液を0.1mL採取する。シリンジで採取した上澄み液をディスク遠心式粒度分布測定装置DC24000に注入し、シリカ微粒子の個数基準の粒度分布における最大ピークの半値幅を測定する。
<シリカ微粒子の飽和水分吸着量の測定>
シリカ微粒子の飽和水分吸着量の測定はTGA Q5000SA(TAインスツルメント社製)を用いて測定を行う。測定は以下の手順で行う。
シリカ微粒子をサンプルパンに5〜20mg秤量したのち本体にセットする。測定条件は温度32.5℃湿度0%で2時間、その後温度32.5℃湿度80%で2時間その後に再び温度32.5℃湿度0%で2時間測定を行う。測定開始から温度32.5℃湿度0%で2時間放置した後の水分量と32.5℃湿度80%で2時間放置した後の水分量の差を飽和水分吸着量とする。
<トナーの平均粒径及び粒度分布>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)と数平均径(D1)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が数平均粒径(D1)である。
以下、本発明を製造例及び実施例により更に具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の配合における部数は全て質量部を示す。
(弾性ローラーD−1の作成)
SUS304製の直径6mm、全長278.9mmの芯金に、プライマー(商品名、DY35−051;東レダウコーニング社製)を塗布し、温度180℃に加熱したオーブンで20分間焼きつけ軸芯体とした。
上記軸芯体を金型に配置し、以下の材料を混合した付加型シリコーンゴム組成物を金型内に形成されたキャビティに注入した。
・液状シリコーンゴム材料(商品名、SE6724A/B;東レ・ダウコーニング社製)
100質量部
・カーボンブラック(商品名、トーカブラック#4300;東海カーボン社製)
15質量部
・耐熱性付与剤としてのシリカ粉体 0.2質量部
・白金触媒 0.1質量部
続いて、金型を15分間150度に加熱して、シリコーンゴムを加硫して硬化させた。周面に硬化したシリコーンゴム層が形成された軸芯体を金型から脱型した後、当該軸芯体を、さらに温度180℃で1時間加熱して、シリコーンゴム層の硬化反応を完了させた。こうして、軸芯体の外周に直径12mmのシリコーンゴム弾性層が形成された弾性ローラーD−1を作成した。
(弾性ローラーD−2の作製)
外径10mmφ(直径)で算術平均粗さRa0.2μmの研削加工したアルミニウム製円筒管にプライマー(商品名、DY35−051;東レダウコーニング社製)を塗布、焼き付けし、基体とした。
上記基体を金型に配置し、以下の材料を混合した付加型シリコーンゴム組成物を金型内に形成されたキャビティに注入した。
・液状シリコーンゴム材料(商品名、SE6724A/B;東レ・ダウコーニング社製)
100質量部
・カーボンブラック(商品名、トーカブラック#4300;東海カーボン社製)
15質量部
・耐熱性付与剤としてのシリカ粉体 0.2質量部
・白金触媒 0.1質量部
続いて、金型を加熱してシリコーンゴムを温度150℃で15分間加硫して硬化させた。周面に硬化したシリコーンゴム層が形成された基体を金型から脱型した後、当該基体を、さらに温度180℃で1時間加熱して、シリコーンゴム層の硬化反応を完了させた。こうして、基体の外周に膜厚0.5mm、直径11mmのシリコーンゴム弾性層が形成された弾性ローラーD−2を作製した。
(表面層の調製)
以下に本発明の表面層を得るためのイオン導電剤の合成例を示す。
(イオン導電剤1−6の合成)
求核剤であるN−1(ジブチルアミン)(東京化成工業社製)24.2gをアセトニトリル50mlに溶解し、室温で求電子剤であるQ−1(4−ブロモ−1−ブタノール)68.3gを加えた後、90℃で72時間加熱還流した。その後溶媒を減圧留去した。得られた濃縮物をジエチルエーテルにて洗浄し、上澄み液をデカンテーションにて除去した。洗浄とデカンテーションの操作を3回繰り返し、残留物を得た。得られた残留物は、臭化物イオンを有する化合物である。
臭化物イオンを目的のアニオンに交換するため、得られた残留物をジクロロメタン30mLに溶解させた後、水30mLに溶解させたアニオン交換塩A−2(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)(関東化学社製)57.5gを加え、24時間室温で攪拌した。得られた溶液を分液し、有機層を得た。この有機層を水にて2回分液後、ジクロロメタンを減圧留去し、アニオンがビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンであるイオン導電剤1−6を得た。
(イオン導電剤1−1、1−2、2−1、2−3、3−1、3−2の合成)
原料となる求核剤、求電子剤、アニオン交換塩の種類及び配合量を、表1〜表4に記載の通り変更した以外は、イオン導電剤1−6の合成と同様にして、イオン導電剤1−1、1−2、2−1、2−3、3−1、3−2を得た。
(イオン導電剤1−3の合成)
求核剤であるN−5(ブチルアミン)5.9gをベンゼン(関東化学株式会社製)200mLに溶解させ、ベンゼン200mLに溶解させた三級化させるための求電子剤Q−5(テトラエチレングリコール パラトルエンスルホネート)(Sigma Aldrich社製)83.9gを添加し、42時間85℃で加熱還流した。反応終了後炭酸ナトリウム5質量%水溶液800mLを加えて抽出し、ベンゼン層を水洗、乾燥後ベンゼンを留去して黄色粘性液体として3級アミン化合物を得た。続いて得られた3級アミン化合物をアセトニトリルmLに溶解し、室温で四級化のための求電子剤Q−4(3−クロロ−1,2−プロパンジオール)(東京化成工業社製)20.4gを加えた後、90℃で72時間加熱還流した。その後溶媒を減圧留去した。得られた濃縮物をジエチルエーテルにて洗浄し、上澄み液をデカンテーションにて除去した。この操作を3回繰り返し、残留物を得た。得られた残留物は、塩化物イオンを有する化合物である。
塩化物イオンを目的のアニオンに交換するため、得られた残留物をジクロロメタン20mLに溶解させた後、水20mLに溶解させたアニオン交換塩A−3(カリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド)(商品名K−TFSM,セントラル硝子社製)30.2gを加え、24時間室温で攪拌した。得られた溶液を分液し、有機層を得た。この有機層を水にて2回分液後、ジクロロメタンを減圧留去し、アニオンがトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオンであるイオン導電剤1−3を得た。
(イオン導電剤2−2の合成)
原料となる求核剤、求電子剤、アニオン交換塩の種類及び配合量を表5に記載の通り変更した以外は、イオン導電剤1−3の合成と同様にして、イオン導電剤2−2を得た。
(イオン導電剤1−4の合成)
求核剤N−6(3−アミノ−1,2−プロパンジオール)2.02gをベンゼン(関東化学株式会社製)20mLに溶解させ、ベンゼン10mLに溶解させた求電子剤Q−5(テトラエチレングリコールパラトルエンスルホネート)11.6gを滴下し、85℃で42時間加熱還流した。反応終了後5質量%炭酸ナトリウム水溶液80mLを加えて抽出し、ベンゼン層を水洗、乾燥後ベンゼンを留去して黄色粘性液体として二級アミン化合物を得た。次に撹拌装置、温度計、還流管、滴下装置及び温度調整装置を取り付けた反応容器中で、攪拌しながら二級アミン化合物に、純水100質量部を加え40℃まで加温した。次に、反応温度を40℃以下に保持しつつ、エチレンオキシド29.3gを30分かけて徐々に滴下した。さらに2時間攪拌して反応を行い、反応混合物を得た。得られた反応混合物にジエチルエーテルを加えて希釈し、塩化アンモニウム水溶液を加え抽出し、三級アンモニウム塩化物を得た。
三級アンモニウム塩化物の塩化物イオンを目的のアニオンに交換するために、得られた三級アンモニウム塩化物をジクロロメタン5mLに溶解させた後、水5mLに溶解させたアニオン交換塩A−10(ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム)(商品名:LiBOB;BOCSciences社製)10.5gを加え、24時間室温で攪拌した。得られた溶液を分液し、有機層を得た。この有機層を水にて2回分液後、ジクロロメタンを減圧留去し、アニオンがビス(オキサラト)ホウ酸アニオンであるイオン導電剤1−4を得た。
(イオン導電剤1−5の合成)
撹拌装置、温度計、還流管、滴下装置及び温度調整装置を取り付けた反応容器中で、攪拌しながら求核剤N−4(4−アミノ−1−ブタノール)1.56gに、純水100質量部を加え40℃まで加温した。次に、反応温度を40℃以下に保持しつつ、エチレンオキシド46.1gを30分かけて徐々に滴下した。さらに2時間攪拌して反応を行い、反応物を減圧乾燥し、4級アンモニウム水酸化物を得た。
水酸化物イオンを目的のアニオンに交換するため、4級アンモニウム水酸化物をジクロロメタン5mLに溶解させた後、水5mLに溶解させたアニオン交換塩A−4(トリフルオロ酢酸リチウム)2.2gを加え、24時間室温で攪拌した。得られた溶液を分液し、有機層を得た。この有機層を水にて2回分液後、ジクロロメタンを減圧留去し、アニオンがトリフルオロ酢酸アニオンであるイオン導電剤1−5を得た。
得られたイオン導電剤1−1〜3−1に対応する構造式を(1)〜(3)に、構造式中の置換基を表6に示す。
(イソシアネート基末端プレポリマーB−1の合成)
窒素雰囲気下、反応容器中でポリメリックMDI(商品名:ミリオネートMR200 日本ポリウレタン工業社製)19.7質量部に対し、ポリ(テトラメチレングリコール−3−メチルテトラメチレングリコール)(商品名:PTG−L2000;保土谷化学工業社製)100質量部を反応容器内の温度を65℃に保持しつつ、徐々に滴下した。
滴下終了後、温度65℃で2時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イソシアネート基含有量4.2%のイソシアネート基末端プレポリマーB−1を得た。
(イソシアネート基末端プレポリマーB−2の合成)
窒素雰囲気下、反応容器中でトリレンジイソシアネート(TDI)(商品名:コスモネートT80;三井化学社製)25質量部に対し、ポリプロピレングリコール系ポリオール(PPG)(商品名:サンニックスPP−1000;三洋化成工業社製)100質量部を反応容器内の温度を65℃に保持しつつ、徐々に滴下した。
滴下終了後、温度65℃で2時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イソシアネート基含有量4.2%のイソシアネート基末端プレポリマーB−2を得た。
<トナー担持体1の作製>
表面層として用いる導電層の材料として、以下の材料を撹拌混合した。
・イソシアネート基末端プレポリマー B−1 44.2質量部
・ポリオール O−3(PTG−L2000、保土谷化学工業社製) 79.4質量部
・イオン導電剤1−1 1.0質量部
・ウレタン樹脂微粒子(商品名、アートパールC−400;根上工業社製)
90.0質量部
次に、総固形分比が30質量%となるようにメチルエチルケトン(以下MEK)を加えた後、サンドミルにて混合した。ついで、更に、MEKで粘度10〜13cpsに調整して表面層形成用塗料を調製した。
先に作成した弾性ローラーD−1を、表面層形成用塗料に浸漬して、弾性ローラーD−1の弾性層の表面に当該塗料の塗膜を形成し、乾燥させた。さらに温度160℃にて1時間加熱処理することで弾性層の外周に膜厚約15μmの表面層を設け、トナー担持体1を作製した。
<トナー担持体2〜11の作製>
表面層の材料として、原料となるイソシアネート末端プレポリマー、ポリオール、イオン導電剤の種類及び配合量を、表7、8に記載の通り変更した以外は、実施例1の場合と同様に表面層形成用塗料を調製した。そして、各塗料を弾性ローラーD−1に対して、トナー担持体1の作製と同様にして塗布、乾燥および加熱を行ってトナー担持体2〜11を作製した。
<トナー担持体12の作製>
表面層の材料として、イソシアネート基末端プレポリマーB−1 62.8質量部に対し、イオン導電剤 1質量部、ポリオールO−2 55.9質量部、およびウレタン樹脂微粒子(商品名、アートパールC−400;根上工業社製)130.4質量部、を撹拌混合した。
次に、総固形分比が30質量%となるようにMEKを加え表面層形成用塗料を調製した。次に、先に作製した弾性ローラーD−2のゴムの無い部分をマスキングして垂直に立て、1500rpmで回転させ、スプレーガンを30mm/sで下降させながら前記塗料を塗布した。続いて、熱風乾燥炉中で温度180℃、20分間加熱して塗布層を硬化・乾燥することで弾性層外周に膜厚約8μmの表面層を設けトナー担持体12を作製した。
<トナー担持体13〜21の作製>
表面層の材料として、原料となるイソシアネート末端プレポリマー、ポリオール、イオン導電剤の種類及び配合量を、表8に記載の通り変更した以外は、実施例11の場合と同様に表面層形成用塗料を調製した。そして、各塗料を弾性ローラーD−2に対して、トナー担持体12の作製と同様にして塗布、乾燥および加熱を行ってトナー担持体13〜21を作製した。
表面層中のカチオン性有機基が、樹脂のポリマー鎖の分岐構造中に含まれていることは、例えば熱分解GC/MS、発生ガス分析(EGA−MS)、FT−IR又はNMRによる分析等により確認することが可能である。
本実施例で得られた表面層については、熱分解装置(商品名:パイロホイルサンプラーJPS−700、日本分析工業社製)及びGC/MS装置(商品名:Focus GC/ISQ、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用い、熱分解温度を590℃、キャリアガスとしてヘリウムを使用し、分析を行った。その結果、得られたフラグメントピークから、カチオン性有機基が、樹脂のポリマー鎖の分岐構造中に含まれていることが確認された。
(磁性体1の製造)
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.1当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対しリン元素換算で0.15質量%となる量のP2O5、鉄元素に対して珪素元素換算で0.50質量%となる量のSiO2を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを7.5とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し1.1当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH7.4に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。濾過、洗浄した後、この含水スラリー液を一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に投入し、撹拌すると共にスラリーを循環させながらピンミルにて再分散させ、再分散液のpHを約5.0に調整する。そして、撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランを磁性酸化鉄100質量部に対し1.5質量部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、加水分解を行った。その後、撹拌を十分行うと共にスラリーを循環させながらピンミルにて分散を行い、分散液のpHを8.6にして疎水化処理を行った。得られた疎水性磁性体をフィルタープレスにてろ過し、多量の水で洗浄した後に100℃で15分、90℃で30分乾燥し、得られた粒子を解砕処理して体積平均粒径(Dv)が0.22μmの磁性体1を得た。
(シリカ微粒子1−1の製造)
撹拌機付きオートクレーブに、シリカ原体(一次粒子の個数平均粒径=10nmのヒュームドシリカ微粒子)を投入し、撹拌による流動化状態において、200℃に加熱する。
反応器内部を窒素ガスで置換して反応器を密閉し、シリカ原体100部に対し、25部のヘキサメチルジシラザンを内部に噴霧し、シリカ微粒子の流動化状態でシラン化合物処理を行う。この反応を60分間継続した後、反応を終了する。反応終了後、オートクレーブを脱圧し、窒素ガス気流による洗浄を行い、疎水性シリカ微粒子から過剰のヘキサメチルジシラザン及び副生物を除去する。
さらに、反応槽内の疎水性シリカ微粒子を撹拌しながら、シリカ原体100部に対し、10部のジメチルシリコーンオイル(粘度=100mm2/秒)を噴霧し、30分間攪拌を続ける。その後、攪拌しながら300℃まで昇温させてさらに2時間攪拌する。その後、取り出し解砕処理を実施し、シリカ微粒子1−1を得た。
(シリカ微粒子1−2製造例)
シリカ微粒子1−1の製造例において、使用するシリカ原体の一次粒子の個数平均粒径を5nmに変更し、表面処理剤量をシリカ微粒子のBETに合わせて調整した以外は同様にして、シリカ微粒子1−2を得た。
(シリカ微粒子1−3製造例)
シリカ微粒子1−1の製造例において、使用するシリカ原体の一次粒子の個数平均粒径を20nmに変更し、表面処理剤量をシリカ微粒子のBETに合わせて調整した以外は同様にして、シリカ微粒子1−3を得た。
(シリカ微粒子1−4製造例)
シリカ微粒子1−1の製造例において、使用するシリカ原体の一次粒子の個数平均粒径を25nmに変更し、表面処理剤量をシリカ微粒子のBETに合わせて調整した以外は同様にして、シリカ微粒子1−4を得た。
(シリカ微粒子1−5製造例)
シリカ微粒子1−1の製造例において、使用するシリカ原体の一次粒子の個数平均粒径を220nmに変更し、表面処理剤量をシリカ微粒子のBETに合わせて調整した以外は同様にして、シリカ微粒子1−5を得た。
(シリカ微粒子2−1の製造)
攪拌機、滴下ろうと及び温度計を備えた3Lのガラス製反応器に、メタノール687.9g、純水42.0g及び28質量%アンモニア水47.1gを入れて混合した。得られた溶液を35℃となるように調整し、攪拌しながらテトラメトキシシラン1100.0g(7.23mol)および5.4質量%アンモニア水395.2gを同時に添加する。テトラメトキシシランは5時間かけて、アンモニア水は4時間かけて、それぞれを滴下する。
滴下が終了した後も、さらに0.2時間攪拌を継続して加水分解を行うことにより、親水性ゾルゲルシリカ微粒子のメタノール−水分散液を得た。
その後、作製した分散液のpHを約9.5に調整する。調整後、反応器を75℃に加熱し、イソプロピルアルコール220mLに8.8gのオクチルトリエトキシシランを溶解した溶液を、反応器内を撹拌させながら滴下する。滴下した後、5時間撹拌を続ける。
撹拌終了後、室温まで冷却、濾過する。ろ物をイオン交換水にて洗浄した後、120℃で一晩加熱乾燥する。その後、パルベライザー(ホソカワミクロン(株)製)にて解砕処理を行い、シリカ微粒子2−1を得た。シリカ微粒子2−1の物性を表9に示す。
(シリカ微粒子2−2〜2−10の製造)
シリカ微粒子2−1の製造において、メタノール量、テトラメトキシシランおよびアンモニア水の滴下時間、撹拌時間、オクチルトリエトキシシラン量を変更し、シリカ微粒子の疎水性を調整した。それ以外はシリカ微粒子2−1と同様にして、シリカ微粒子2−2〜2−10を得た。シリカ微粒子2−2〜2−10の物性を表9に示す。
<トナー粒子1の製造>
(第一水系媒体の調製)
イオン交換水720質量部に0.1M−Na3PO4水溶液450質量部を投入して60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7質量部を添加して、分散剤安定剤を含む第一水系媒体を得た。
(重合性単量体組成物の調製)
・スチレン 78.0質量部
・n−ブチルアクリレート 22.0質量部
・ジビニルベンゼン 0.48質量部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土ヶ谷化学社製) 1.5質量部
・磁性体1 70.0質量部
・ポリエステル樹脂 10.0質量部
(ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とテレフタル酸との縮合反応により得られる飽和ポリエステル樹脂 Mn=5000、酸価=1.0mgKOH/g、Tg=68℃)
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合して単量体組成物を得た。この単量体組成物を60℃に加温し、そこにパラフィンワックス(融点72℃)を10質量部添加混合した。
(第二水系媒体の調製)
イオン交換水240質量部に0.1M−Na3PO4水溶液150質量部を投入して60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液22.6質量部を添加して、分散剤安定剤を含む第二水系媒体を得た。
(造粒)
上記第一水系媒体中に上記重合性単量体組成物と重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート7.0質量部を投入した。60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて12000rpmで10分間撹拌しながら造粒し、重合性単量体組成物の液滴を含む造粒液を得た。
(重合/蒸留/乾燥/外添)
上記第二水系媒体中に上記造粒液を投入し、パドル撹拌翼で撹拌しながら74℃で3時間反応させた。反応終了後、98℃で3時間蒸留した後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて洗浄し、濾過・乾燥して、トナー粒子1を得た。トナー粒子1の重量平均粒径(D4)は8.0μmであり、平均円形度は0.985であった。
<トナー粒子2の製造>
トナー粒子1の製造において、第二水系媒体を調製せず、造粒液をそのままパドル撹拌翼で撹拌して重合反応をさせた以外は同様の方法で、トナー粒子2を得た。
トナー粒子2の重量平均粒径(D4)は8.0μmであり、平均円形度は0.976であった。
<トナー1の製造>
トナー粒子1 100質量部に対し、0.5質量部シリカ微粒子2−1をヘンシェルミキサーFM10C(三井三池化工機(株))に投入し、4000rpmで5分間混合処理し、一段目の外添混合を行った。
その後、ヘンシェルミキサーからシリカ微粒子2−1が外添されたトナー粒子1を排出し、図2(A)で示す装置に、0.9質量部のシリカ微粒子1−1とともに投入し、二段目の外添混合を行った。二段目の外添混合処理条件は、駆動部8の動力を0.30W/g(駆動部8の回転数1300rpm)で一定となるように、攪拌部材3の最外端部周速を調整し、処理時間を5分間とした。このとき装置の構成は、本体ケーシング31の内周部の径が130mmであり、処理空間39の容積が2.0×10−3m3の装置を用い、駆動部38の定格動力を5.5kWとし、攪拌部材33の形状を図2(B)のものとした。そして、図2(B)における攪拌部材33aと攪拌部材33bの重なり幅dを攪拌部材33の最大幅Dに対して0.25Dとし、攪拌部材33と本体ケーシング31内周とのクリアランスを3.0mmとした。
外添混合処理後、直径500mm、目開き75μmのスクリーンを設置した円形振動篩機で粗粒等を除去し、トナー1を得た。トナー1の外添条件を表10に示す。また物性を表11に示す。
<トナー2〜19の製造>
トナー1の製造において、表10に示すように第一および第二のシリカ微粒子、外添条件を変更して、トナー2〜19を得た。トナー2〜19の物性を表11に示す。
<実施例1>
(画像形成装置)
キヤノン製プリンターLBP7700Cを改造して画出し評価に用いた。改造点としては、現像装置のトナー供給部材を図2に示すように、トナー担持体と逆回転するようにすると共に、トナー供給部材への電圧印加をオフにした。なお、トナー担持体と静電潜像担持体の当接部が1.1mmとなるように当接圧を調整した。このようにすることで、トナーの帯電に不利となりカブリを厳しく評価することが可能となる。また、規制部材(ブレード)への電圧印加もオフとし、さらにカブリを厳しく評価するように改造を施した。
このように改造した現像装置にトナー1を100g充填し、トナー担持体1を用いて現像装置を作製した。作製した現像装置をブラックステーションにセットし、低温低湿環境(15℃/10%RH)にて3000枚の画出しを行った。なお、画像としては印字率が2%となるような横線を用い、5秒毎に2枚通紙する間欠耐久試験を行った。また、3000枚の画出し後、1晩放置し、翌日に再度画出し評価を行った。
その結果、黒後カブリは良好であった。評価結果を表12に示す。
また、同様の改造を加えた現像装置に、トナー1を100gを新たに充填しなおし、新たなトナー担持体1を用いて、高温高湿環境(32.5℃/80%RH)にて3000枚の画出しを行った。なお、画像としては印字率が2%となるような横線を用い、5秒毎に2枚通紙する間欠耐久試験を行った。その後、1カ月間現像装置を放置した後、再度画出し評価を行った。その結果、反転カブリは良好であった。評価結果を表12に示す。
本発明の実施例及び比較例で行った各評価の評価方法とその判断基準について以下に述べる。
<黒後カブリ>
低温低湿環境(15℃/10%RH)において、画出し初期と、3000枚画出ししたのち1晩放置した後に、黒画像を出力した直後の白画像について、その反射率を東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。一方、白画像形成前の転写紙(標準紙)についても同様に反射率を測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。白画像出力前後の反射率から、下記式を用いてカブリを算出した。
カブリ(反射率)(%)=標準紙の反射率(%)−白画像サンプルの反射率(%)
なお、カブリの判断基準は以下の通りである。
A:カブリ1.5%未満
B:カブリ1.5%以上2.5%未満以下
C:カブリ2.5%以上3.5%未満以下
D:カブリ3.5%以上
<反転カブリ>
高温高湿環境(32.5℃/80%RH)において、画出し初期と、3000枚画出ししたのち1カ月放置した後に、白画像について、その反射率を東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。一方、白画像形成前の転写紙(標準紙)についても同様に反射率を測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。白画像出力前後の反射率から、下記式を用いてカブリを算出した。
カブリ(反射率)(%)=標準紙の反射率(%)−白画像サンプルの反射率(%)
なお、カブリの判断基準は以下の通りである。
A:カブリ1.5%未満
B:カブリ1.5%以上2.5%未満以下
C:カブリ2.5%以上3.5%未満以下
D:カブリ3.5%以上
<実施例2〜24>
トナーとトナー担持体を表12に示したような組合せで現像装置を作製し、各現像装置を実施例1と同様に画出し評価を行った。その結果全ての現像装置で、低温低湿環境下における黒後カブリ、高温高湿環境下における反転カブリのいずれも良好な結果が得られた。評価結果を表12に示す。
<参考例1〜4>
トナーとトナー担持体を表12に示したような組合せで現像装置を作製し、各現像装置を実施例1と同様に画出し評価を行った。その結果全ての現像装置で、低温低湿環境下における黒後カブリ、高温高湿環境下における反転カブリのいずれも実用的には問題の無い結果が得られた。評価結果を表12に示す。
<比較例1>
トナーとトナー担持体を表12に示したような組合せで現像装置を作製し、各現像装置を実施例1と同様に画出し評価を行った。その結果全ての現像装置で、低温低湿環境下における黒後カブリ、高温高湿環境下における反転カブリともに悪い結果となった。評価結果を表12に示す。
<実施例25>
(画像形成装置)
キヤノン製プリンターLBP3100用を改造して画出し評価に用いた。改造点としては、図4に示すようにトナー担持体(符号7)が静電潜像担持体を接触するように改造した。なお、トナー担持体と静電潜像担持体の当接部が1.0mmとなるように当接圧を調整した。このように改造することで、トナー供給部材が無いことから規制部前にてトナーをほぐすことができず、カブリとしては非常に厳しい評価条件である。また、トナー供給部材が無いことでトナーの帯電量も低くなるため、さらに厳しい条件である。
このように改造した現像装置にトナー1を50g充填し、トナー担持体12を用いて現像装置を作製した。作製した現像装置をブラックステーションにセットし、低温低湿環境(15℃/10%RH)にて3000枚の画出しを行った。なお、画像としては印字率が2%となるような横線を用い、5秒毎に2枚通紙する間欠耐久試験を行った。また、3000枚の画出し後、1晩放置し、翌日に再度画出し評価を行った。
その結果、黒後カブリは良好であった。評価結果を表13に示す。
また、同様の改造を加えた現像装置に、トナー1を50gを新たに充填しなおし、新たなトナー担持体12を用いて、高温高湿環境(32.5℃/80%RH)にて3000枚の画出しを行った。なお、画像としては印字率が2%となるような横線を用い、5秒毎に2枚通紙する間欠耐久試験を行った。その後、1カ月間現像装置を放置した後、再度画出し評価を行った。その結果、反転カブリは良好であった。評価結果を表13に示す。
<実施例26〜34>
トナーとトナー担持体を表13に示したような組合せで現像装置を作製し、各現像装置を実施例1と同様に画出し評価を行った。その結果全ての現像装置で、低温低湿環境下における黒後カブリ、高温高湿環境下における反転カブリのいずれも良好な結果が得られた。評価結果を表13に示す。