JP6406119B2 - 合わせガラスの製造方法 - Google Patents
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Description
合わせガラスは、一般的に、積層工程、仮圧着工程、および本圧着工程などからなるACV法(オートクレーブ法)によって製造される。
具体的には、樹脂製中間膜を介在させつつ少なくとも二枚の板ガラスを積層して製造ラインに投入し(積層工程)、投入した板ガラスを加熱して樹脂製中間膜を軟化させて、板ガラスを仮圧着し(仮圧着工程)、仮圧着した板ガラスをオートクレーブによって加熱・加圧処理することで(本圧着工程)、合わせガラスは製造される。
ここで、特許文献1には、板ガラスの積層界面を真空引きする際の技術として、合わせガラス製造用の空気吸引除去装置に関する技術が開示されている。
具体的には、特許文献1においては、少なくとも二枚の板ガラスの間に熱可塑性の樹脂製中間膜を挟んだ積層体を製造する際に、該積層体の周縁部に長手方向に切開し周方向に開口する耐熱樹脂チューブの開口部を挿入し、該チューブと前記板ガラスとの当接部を粘着テープで封着して減圧室を設けたことを特徴とする合わせガラス製造用の空気吸引除去装置に関する技術が開示されている。
しかしながら、板ガラスの周縁部に耐熱樹脂チューブを用いて減圧する際、耐熱樹脂チューブにより樹脂製中間膜の外周端部を覆うように減圧通路(脱気通路)である減圧室が形成されているため、加熱、加圧工程によって、樹脂製中間膜が軟化した際に減圧室に流出して、合わせガラスの周縁部において樹脂製中間膜の厚さが不均一になることや、合わせガラスの周囲に偏肉が生じることが考えられる。
従って、樹脂製中間膜により減圧通路内が封鎖されず、減圧通路により安定して真空引きすることができる。
よって、例えば、粘着テープなどを用いて、各板ガラスと密接部材との当接部を封着する必要もなく、積層体の周縁部を容易に密閉することができる。また、粘着テープを用いる場合よりも、気密信頼性を向上させることができる。
従って、積層体に対する密封部材の密封作業を容易に行うことができ、積層体の真空引き作業の密封信頼性の向上を図ることができる。
即ち、本発明における合わせガラスの製造方法によれば、加熱・加圧処理時において、樹脂製中間膜が軟化して減圧通路に流出し、合わせガラスの周縁部に偏肉が生じることを抑えることができる。
先ず、本実施形態によって具現化される合わせガラスの製造方法について、図1および図2を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図1および図2の上下方向を密封部材1の上下方向と規定して記述する。
合わせガラス50は、樹脂製中間膜51と、樹脂製中間膜51を介在させて積層される一対の板ガラス52・52とを備える積層体50Aからなる。
この合わせガラス50は、積層工程、仮圧着工程、および本圧着工程などを有するオートクレーブ法によって製造されるが、本実施形態における合わせガラスの製造方法は、本圧着工程において、オートクレーブ(図示せず)の炉内を加熱・加圧処理して一対の板ガラス52・52を互いに圧着させるのと同時に、炉内に投入された一対の、仮圧着工程後の板ガラス52・52の積層界面53・53に対して真空引きして製造する方法である。
密封部材1は、詳細は後述するが、内周側が開口した断面視略「コ」字状の枠体形状に形成される。そして、開口部を介して密封部材1が一対の板ガラス52・52の周縁部に沿って嵌装された状態において、一対の板ガラス52・52と樹脂製中間膜51との境界部(積層体50Aの積層界面53)の周縁部は、後述するリブ部11cの下端面と積層体50Aの上端面との間に形成される当接界面54を介して密封部材1の減圧通路11b・11bと連通される。
その後、図1に示すように、密封部材1の減圧通路11bは、配管部材21を介して真空ポンプ22などと連結される。
これにより、一対の板ガラス52・52と樹脂製中間膜51との積層界面53・53は、当接界面54、減圧通路11b・11bおよび配管部材21を介して、真空ポンプ22と連結される。
その後、炉内温度が所定の温度以下にまで低下したのを確認し、オートクレーブの炉内より積層体50Aが取出され、真空ポンプ22による真空引きが停止される。
こうして、合わせガラスの製造工程は終了し、完成した合わせガラス50が得られる。
次に、密封部材1の構成について、図1乃至図3を用いて詳述する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図3の上下方向を密封部材1の上下方向と規定して記述する。
また、密封部材1は、一対の板ガラス52・52の周縁部に沿った枠体形状に形成され、例えば、図1に示すように、本実施形態においては、矩形状の枠体形状に形成される。
即ち、一対の板ガラス52・52の周縁部に沿った形状である限り、例えば、円形状や、矩形状以外の多角形状からなる枠体形状であってもよい。
具体的には、図2に示すように、密封部材1は、各々の板ガラス52・52の端面52a・52a(図2においては、上端面)と当接しつつ端面52a・52aに沿って延設される基部11と、基部11における板ガラス52・52との当接面11aから密封部材1の内周側(図2における下側)へ延出し、板ガラス52・52の厚み方向に所定の間隔を有して対向配置される一対の支持部12・12とを備えている。
基部11の当接面11aの、積層体50Aの厚み方向における中央部には、断面視矩形状(凸形状)のリブ部11cが、基部11の延設方向に沿って形成される。リブ部11cは、積層体50Aの端面に当接する当接面11dを有する。この当接面11dは、気体のみが通気できる表面性状を有し、基部11の当接面11aと略面一である。
リブ部11cは、減圧通路11b・11bの間に介装される。具体的には、対向する減圧通路11b・11bの各内側端から連続して形成される肉厚部分である。リブ部11cは、積層体50Aの厚み方向において、少なくとも板ガラス52・52の積層界面53・53間よりも幅広の幅寸法を有する。リブ部11cと板ガラス52・52の端面52a・52aとの当接界面54は、リブ部11cの当接面11d表面の気体のみが通気できる微小な凹凸及び板ガラス52・52の各端面52a・52aの微小な凹凸により通気可能になっている。
そして、一対の板ガラス52・52の周縁部に沿って密封部材1が嵌装された状態において、基部11の当接面11aが板ガラス52・52の端面52aに、リブ部11cが樹脂製中間膜51が介在する板ガラス52・52の間を塞ぐように当接することにより、減圧通路11bは、リブ部11cと積層体50Aの端面との間に形成される当接界面54を介して、一対の板ガラス52・52と樹脂製中間膜51との積層界面53・53と連通する。
これにより、本圧着工程において、オートクレーブの炉内に投入された積層体50Aの真空引きを行う際に、樹脂製中間膜51が積層体50Aの端面52aから突出しないようにすることが可能となり、合わせガラス50の品質向上を図ることができる。
この際、一対の板ガラス52・52の端面52a近傍の樹脂製中間膜51は、リブ部11cの当接面11dに到達した時点で塞き止められ、気泡のみが真空引きされる。
なお、本実施形態の合わせガラス50において、樹脂製中間膜51(図2を参照)は、PVB、EVAなどにより形成されるが、特に限定するものではない。例えば、樹脂製中間膜51をPVB、EVAなどで形成する代わりに、フッ素樹脂で形成することもできる。耐熱性や耐燃性などに優れたフッ素樹脂で樹脂製中間膜51を形成することで、耐熱性や耐燃性などに優れた合わせガラス50を形成することができる。
突出部12aは、支持部12の延設方向に沿って延設される。
また、突出部12aの突出端面は、基部11の当接面11aに対して直交し、且つ支持部12の延設方向に対して平行な平面形状に形成される。
このように、支持部12・12の突出部12a・12aは、密封部材1を一対の板ガラス52・52の周縁部に嵌装した状態で、積層体50Aを厚み方向に挟持する挟持部としての機能を有している。
このように、基部11の当接面11aは、密封部材1を一対の板ガラス52・52の周縁部に嵌装した状態において、積層体50Aの端面52aと当接することにより、板ガラス52・52の板面方向への位置ずれを防止する当接部としての機能を有している。
これにより、密封部材1が積層体50Aに嵌設された状態において、折返し部12b・12bは、板ガラス52・52の板面に密着することとなり、基部11に形成される減圧通路11b内を外部からシールすることができ、減圧通路11bの気密性を高めることが可能となる。
このように、折返し部12b・12bは、密封部材1を一対の板ガラス52・52の周縁部に嵌装した状態で、減圧通路11bをシールするシール部としての機能を有している。
従って、樹脂製中間膜51により減圧通路11b内が封鎖されず、減圧通路11bにより安定して真空引きすることができる。
つまり、一対の板ガラス52・52の周縁部に沿って密封部材1が嵌装されることにより、各々の板ガラス52・52の積層姿勢は、堅固に保持される。
従って、本実施形態においては、例えば、各々の板ガラス52・52の積層姿勢を保持するための治具などを別途設けるような必要もなく、積層体50Aの周縁部に対して、板ガラス52・52の位置ずれを生じさせることなく容易に密封部材1を嵌装させることができる。
従って、一対の板ガラス52・52の周縁部に密封部材1が嵌装された後、例えば、粘着テープなどを用いて、板ガラス52と密封部材1との当接部を封着する必要もなく、積層体50Aの周縁部(より具体的には、一対の板ガラス52・52の間隙)を、容易に密閉することができる。
特に、密封部材1においては、内周部の気密性を確保するためのシール部として折返し部12bを形成しているが、それに加えて突出部12aも内周部の気密性を確保するためのシール部として作用するため、2重のシール部を備えていることとなり、減圧通路11bの気密性を確実に確保することが可能となっている。
11a 当接面(当接部)
11b 減圧通路
11c リブ部
12a 突出部(挟持部)
12b 折返し部(シール部)
50 合わせガラス
50A 積層体
51 樹脂製中間膜
52 板ガラス
53 積層界面
54 当接界面
Claims (3)
- 少なくとも二枚の板ガラスの間に樹脂製中間膜を介在させて積層させた積層体に対して、オートクレーブによる加熱・加圧処理を行うと同時に、前記積層体の周縁部に対して密封部材を嵌装して真空引き処理を行うことにより、前記板ガラスを互いに圧着させて合わせガラスを製造する、合わせガラスの製造方法であって、
前記密封部材は、前記積層体の周縁部に対して嵌装された状態において、
前記樹脂製中間膜の端面を覆って前記樹脂製中間膜が介在する前記板ガラスの間を塞ぐように、前記積層体の端面に当接するリブ部と、
前記リブ部と前記積層体の端面との間に形成される界面を介して前記積層体の積層界面と連通する減圧通路と、
前記積層体を厚み方向に挟持する挟持部と、を備え、
前記真空引き処理は、前記密封部材を前記積層体の周縁部に対して嵌装することにより、
前記リブ部を前記積層体の端面に当接させ、前記挟持部により前記積層体を厚み方向に挟持した状態で、
前記減圧通路を通じて行われる、
ことを特徴とする合わせガラスの製造方法。 - 前記密封部材は、前記積層体の最外層における前記板ガラスの板面に密着するシール部を備え、
前記密封部材を前記積層体の周縁部に対して嵌装することにより、
前記シール部を前記積層体の最外層における前記板ガラスの板面に密着させる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の合わせガラスの製造方法。 - 前記減圧通路は、断面視半円形状に形成される、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の合わせガラスの製造方法。
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