JP6402845B2 - マゼンタトナー - Google Patents
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Description
特許文献3には、C.I.ピグメントレッド122と、油性染料とを含有するマゼンタトナーが開示されている。これらの着色剤を特定の比率で混合することにより、色空間が広く、色再現性及び透明性に優れるマゼンタトナーを得ることができるとの記載がある。
特に、C.I.ピグメントレッド122のようなキナクリドン系顔料は、価格が高く、一般用途のトナーとしては使用しにくいものであった。
特許文献2で用いられている、C.I.ピグメントレッド146はキナクリドン系顔料と比較して安価ではあるが、トナーの帯電性が不十分であった。
一方、上記特許文献3で用いられている染料は、顔料と異なり、溶剤に可溶であり、かつ光に弱いという性質を有する。したがって、染料と顔料とを組み合わせる際、染料の含有割合が多すぎる場合には、耐光性が低下するという問題がある。したがって、染料と顔料の含有割合には、自ずと制限がある。
このような化合物Aを使用することにより、画像濃度に優れ、向上した帯電性を有し、低コストで製造可能なマゼンタトナーを提供することができる。
このように、マゼンタ着色剤として、C.I.ピグメントレッド146又はC.I.ピグメントレッド147と、C.I.ソルベントバイオレット59とを組み合わせて使用することにより、画像濃度に優れ、向上した帯電性を有し、低コストで製造可能なマゼンタトナーを提供することができる。
このように、マゼンタ着色剤として化合物A、及び化合物Bを組み合わせて使用することにより、帯電性が十分なトナーを得ることができるので、カブリの発生が抑制されたマゼンタトナーを提供することができる。
結着樹脂は、マゼンタトナーの母粒子の形状及び機能を具備するために配合される樹脂である。
以下、本発明のマゼンタトナーを、単に「トナー」と称することがある。
一般に、着色樹脂粒子の製造方法は、粉砕法等の乾式法、並びに乳化重合凝集法、懸濁重合法、及び溶解懸濁法等の湿式法に大別され、画像再現性等の印字特性に優れたトナーが得られ易いことから湿式法が好ましい。湿式法の中でも、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つトナーを得やすいことから、乳化重合凝集法、及び懸濁重合法等の重合法が好ましく、重合法の中でも懸濁重合法がより好ましい。
(A−1)重合性単量体組成物の調製工程
まず、重合性単量体、マゼンタ着色剤、さらに必要に応じて添加される帯電制御剤及び離型剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いて行う。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
以下、本発明に使用する化合物Aについて詳述する。
本発明の化合物Aは、下記一般式(1)で表されるナフトール系アゾ化合物である。
前記一般式(1)中、R2は、水素原子、ハロゲン原子、又はアルコキシ基を表す。R2は、好ましくは、水素原子、又はハロゲン原子であり、より好ましくは、水素原子、又は塩素原子であり、更に好ましくは、R2が塩素原子である。
前記一般式(1)中、R3は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、又はニトロ基を表す。R3は、好ましくは、ハロゲン原子又はアルコキシ基であり、より好ましくは、塩素原子又はメトキシ基であり、更に好ましくは、R3がメトキシ基である。
前記一般式(1)中、R5は、水素原子、ハロゲン原子、又は1級アミド基(−CONH2)を表す。R5は、好ましくは、水素原子又は塩素原子であり、より好ましくは、R5が水素原子である。
前記一般式(1)中、R6は、水素原子、ハロゲン原子、フェニルアミノカルボニル基(−CONHC6H5)、1級アミド基(−CONH2)、−CONHC6H4−(p)CONH2、又は−SO2(C2H5)2を表す。R6は、好ましくは、フェニルアミノカルボニル基(−CONHC6H5)又は1級アミド基(−CONH2)であり、より好ましくは、R6がフェニルアミノカルボニル基(−CONHC6H5)である。
本発明に使用される化合物Aは、下記具体例のみに限定されるものではない。また、下記具体例の互変異性体も本発明の化合物として好適に用いることができる。
アゾ顔料の一般的な合成法は、芳香族アミンのジアゾ化合物を、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液に溶解させたβ−ナフトール誘導体のカップリング成分と反応させるものである(桂宏光、色材、vol.55、no.10、pp.742−757(1982))。
本発明に使用される化合物Bは、下記具体例のみに限定されるものではない。また、下記具体例の互変異性体も本発明の化合物として好適に用いることができる。
化合物Aと化合物Bの総含有量が、結着樹脂100質量部に対して3質量部未満である場合には、目的とする画像濃度が得られない。一方、30質量部を超える場合には、低温定着性が悪化する。
本発明においては、化合物Bの含有量に対する化合物Aの含有量の質量比(化合物A/化合物B)は0.8〜20である。
当該質量比が0.8未満である場合には、化合物Bの含有割合が高すぎるため、耐光性に劣る。化合物Bのような染料はもともと、紫外線により色が褪せやすい性質を有するためである。一方、当該質量比が20を超える場合には、画像濃度(反射濃度)が低下する。質量比(化合物A/化合物B)が0.8〜20であることにより、画像濃度(反射濃度)、及び耐光性をバランスよく向上させることができる。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、負帯電性トナーを得る観点からは、負帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、及びFe等の金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物及びアルキルサリチル酸金属化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのスルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩基含有共重合体等が挙げられる。
帯電制御樹脂の重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算値で、5,000〜30,000の範囲内であり、好ましくは8,000〜25,000、より好ましくは12,000〜22,000の範囲内である。
また帯電制御樹脂における4級アンモニウム基やスルホン酸塩基などの官能基を有する単量体の共重合割合は、通常、0.5〜12質量%の範囲内であり、好ましくは1.0〜6質量%の範囲内であり、更に好ましくは1.5〜3質量%の範囲内である。
本発明では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。帯電制御剤の添加量が、0.01質量部未満の場合にはカブリが発生することがある。一方、帯電制御剤の添加量が10質量部を超える場合には印字汚れが発生することがある。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
上記離型剤は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部用いられ、更に好ましくは1〜20質量部用いられる。
本発明では、重合性単量体とマゼンタ着色剤を含む重合性単量体組成物を、分散安定剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行う。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(大平洋機工社製、商品名:マイルダー)、高速乳化分散機(プライミクス社製、商品名:T.K.ホモミクサーMARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
上記(A−2)のようにして、液滴形成を行い、得られた水系分散媒体を加熱し、重合を開始し、マゼンタ着色剤を含む着色樹脂粒子の水分散液を形成する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
着色樹脂粒子が分散している水系媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
重合により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、ろ過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行われる。
先ず、結着樹脂、マゼンタ着色剤、さらに必要に応じて添加される帯電制御剤及び離型剤等のその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、FMミキサー(:商品名)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー、フォールバーグ等を用いて混合する。
次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
上述の(A)懸濁重合法、又は(B)粉砕法等の製造方法により、マゼンタ着色剤を含有する着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が0.96未満の場合、印字の細線再現性が悪くなるおそれがある。
なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分現像剤としてもよい。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることが好ましい。
上記工程を経て得られる本発明のトナーは、マゼンタ着色剤として、化合物A及び化合物Bを組み合わせて使用することにより、画像濃度に優れ、向上した帯電性を有し、低コストで製造可能であるという効果を有するマゼンタトナーである。
なお、ブローオフ帯電量は、ブローオフ法に基づいて、ブローオフ帯電量測定装置を用いて測定される値である。
<着色樹脂粒子(1)>
1−1.コア用重合性単量体組成物の調製:
スチレン75部及びn−ブチルアクリレート25部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6、Tg=94℃)0.1部、ジビニルベンゼン0.7部、テトラエチルチウラムジスルフィド1.0部、及びマゼンタ着色剤としてC.I.ピグメントレッド146(下記式(1A)、CAS No.5280−68−2、クラリアント社製、商品名:Permanent Carmine FBB02)4.8部とC.I.ソルベントバイオレット59(下記式(2A)、CAS No.6408−72−6、クラリアント社製、商品名:Solvaperm Red Violet R)1.2部を、メディア式分散機(浅田鉄工社製、商品名:ピコミル)を用いて湿式粉砕した。湿式粉砕により得られた混合物に、帯電制御樹脂(藤倉化成社製、スルホン酸基含有スチレン−アクリル共重合体、官能基を有する単量体の共重合割合:2.5%、重量平均分子量(Mw)18,000)2.0部とエステルワックス(日油社製、多価アルコールエステル)2.0部及びパラフィンワックス(日本精鑞社製)5.0部を添加し、混合、溶解して、重合性単量体組成物を調製した。
他方、イオン交換水280部に塩化マグネシウム10.4部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム7.3部を溶解した水溶液を、攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製した。
一方、メチルメタクリレート2部と水130部を超音波乳化機にて微分散化処理して、シェル用重合性単量体の水分散液を調製した。
上記水酸化マグネシウムコロイド分散液(水酸化マグネシウムコロイド量5.3部)に、上記重合性単量体組成物を投入し、さらに攪拌して、そこへ重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート6部を添加した。重合開始剤を添加した分散液を、インライン型乳化分散機(大平洋機工社製、商品名:マイルダー)により、回転数15,000rpmにて分散を行い、重合性単量体組成物の液滴を形成した。
重合性単量体組成物の液滴を含有する分散液を、反応器に入れ、90℃に昇温して重合反応を行った。重合転化率がほぼ100%に達した後、前記シェル用重合性単量体の水分散液にシェル用重合開始剤として2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕(和光純薬社製、商品名:VA−086、水溶性開始剤)0.1部を溶解したものを反応器に添加した。次いで、95℃で4時間維持して、重合を更に継続した後、水冷して反応を停止し、コアシェル型着色樹脂粒子の水分散液を得た。
着色樹脂粒子の水分散液を攪拌しながら、pHが4.5以下となるまで硫酸を添加して酸洗浄を行った後(25℃、10分間)、濾別した着色樹脂粒子を、水で洗浄し、洗浄水をろ過した。この際の濾液の電気伝導度は、20μS/cmであった。さらに洗浄・ろ過工程後の着色樹脂粒子を脱水・乾燥し、乾燥した着色樹脂粒子(1)を得た。
上記「コア用重合性単量体組成物の調製」において、C.I.ピグメントレッド146の添加量を4.8部から4.4部に変更、かつC.I.ソルベントバイオレット59の添加量を1.2部から1.1部に変更したこと以外は、着色樹脂粒子(1)の製造方法と同様にして、着色樹脂粒子(2)を得た。
上記「コア用重合性単量体組成物の調製」において、C.I.ピグメントレッド146の添加量を4.8部から4.4部に変更、かつC.I.ソルベントバイオレット59の添加量を1.2部から1.1部に変更し、マゼンタ着色剤としてC.I.ピグメントレッド122(下記式(X)、CAS No.16043−40−6、メグマニ社製、商品名:Hostaperm Pink E)1.0部を追加したこと以外は、着色樹脂粒子(1)の製造方法と同様にして、着色樹脂粒子(3)を得た。
上記「コア用重合性単量体組成物の調製」において、化合物AをC.I.ピグメントレッド146からC.I.ピグメントレッド147(下記式(1B)、CAS No.68227−78−1、クラリアント社製、商品名:Permanent Pink F3B)に変更し、化合物Aの添加量を4.8部から4.4部に変更、かつC.I.ソルベントバイオレット59の添加量を1.2部から1.1部に変更したこと以外は、着色樹脂粒子(1)の製造方法と同様にして、着色樹脂粒子(4)を得た。
上記「コア用重合性単量体組成物の調製」において、C.I.ピグメントレッド146の添加量を4.8部から3.5部に変更、かつC.I.ソルベントバイオレット59 1.2部を、C.I.ピグメントレッド122 3.5部に変更したこと以外は、着色樹脂粒子(1)の製造方法と同様にして、着色樹脂粒子(5)を得た。
上記「コア用重合性単量体組成物の調製」において、C.I.ピグメントレッド146 4.8部を、C.I.ピグメントレッド185(下記式(Y)、CAS No.51920−12−8、クラリアント社製、商品名:Novoperm Carmine HF4C)3.0部に変更、かつC.I.ソルベントバイオレット59 1.2部を、C.I.ピグメントレッド122 2.0部に変更したこと以外は、着色樹脂粒子(1)の製造方法と同様にして、着色樹脂粒子(6)を得た。
上記着色樹脂粒子(1)〜(6)に外添処理を施して、実施例1〜4、及び比較例1、比較例2のマゼンタトナーを製造した。
着色樹脂粒子(1)100部に、疎水化処理した平均粒径7nmのシリカ微粒子0.6部と、疎水化処理した平均粒径35nmのシリカ微粒子1部とを添加し、高速攪拌機(日本コークス工業社製、商品名:FMミキサー)を用いて混合し、実施例1のマゼンタトナーを調製した。
下記表1に示す通り、着色樹脂粒子(1)を着色樹脂粒子(2)〜(6)のいずれかに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜4、及び比較例1、比較例2のマゼンタトナーを得た。
実施例1〜4、比較例1、比較例2のマゼンタトナーについて、下記の通り、反射濃度(画像濃度)、帯電量(ブローオフ帯電量)、常温常湿(N/N)環境下でのカブリ、定着温度(最低定着温度)、耐熱温度の測定を行った。
市販の非磁性一成分現像方式のカラープリンター(印字速度=20枚/分)を用い、現像装置のトナーカートリッジに、マゼンタトナー試料を充填した後、印字用紙をセットし、温度23℃及び相対湿度50%(N/N)の環境下で一昼夜放置した。その後、ベタ印字時に現像ロール上に供給されるトナー量が0.5mg/cm2となる一点に固定して、5%画像濃度で連続印字を行った。10枚目のコピー用紙にベタ印字(100%画像濃度)を行い、マクベス式反射型画像濃度測定機を用いて、画像濃度を測定した。画像濃度は1.20以上が好ましい。
キャリア(パウダーテック社製、商品名:EF80B2、Mn−Mg−Sr系ソフトフェライト、平均粒径80μm、粒度分布50〜100μm)9.5gと、トナー0.5gを秤量し、容積30mLのガラス製容器に入れ、30分間、150回転/分、回転させ、トナー粒子を摩擦帯電させた。得られたキャリアとトナー粒子を、ブローオフメーター(東芝ケミカル社製、商品名:TB−200)で、窒素ガス1kg/cm2の圧力でブローオフし、トナーのブローオフ帯電量を測定した。
市販の非磁性一成分現像方式のプリンターと、評価対象のトナーを温度23℃、湿度50%の常温常湿(N/N)環境下に一昼夜放置した後、カブリを測定した。
カブリ測定法は以下の通りである。まず、印字に使用していない紙の色相を測定し、この色相を基準値(E0)とした。次に、トナーを用いて上記「3−1.画像濃度測定」と同様のプリンターにより白ベタを印字し、その白ベタの任意の6箇所の色相(E1〜E6)を測定した。色相(E1〜E6)と、基準値(E0)との差(ΔE)をそれぞれ算出し、最も大きいΔEを、そのトナーのカブリ値とし、下記のように評価した。カブリ値が小さければ小さいほど、カブリが少なく、印字が良好であることを示す。また、色相は、分光光度計(X−Rite社製、商品名:スペクトロアイ)を用いて測定した。
A:ΔEが0.5未満
B:ΔEが0.5以上、1.5未満
F:ΔEが1.5以上
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(24枚機;印字速度=24枚/分)の定着ロール部の温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、定着ロールの温度を変化させて、それぞれの温度での定着率を測定し、温度−定着率の関係を求め、定着率80%以上が得られる最低の温度を最低定着温度と定義した。
定着率は、プリンターで印刷した試験用紙における黒ベタ領域のこすり試験操作前後の画像濃度比率から計算した。すなわち、こすり試験前の画像濃度をID(前)、こすり試験後の画像濃度をID(後)とすると、定着率(%)=〔ID(後)/ID(前)〕×100である。ここで黒ベタ領域とは、その領域内部の(プリンター制御部を制御する仮想的な)ドットのすべてに現像剤を付着させるように制御した領域のことである。こすり試験操作とは、試験紙用の測定部分を堅牢度試験機に粘着テープで貼り付け、500gの荷重を載せ、コットン布を巻いたこすり端子で5往復こする一連の操作である。
トナー10gを100mLのポリエチレン製の容器に入れて密閉した後、所定の温度に設定した恒温水槽の中に該容器を沈め、8時間経過した後に取り出した。取り出した容器からトナーを42メッシュの篩の上にできるだけ振動を与えないように移し、粉体測定機(ホソカワミクロン社製、商品名:パウダテスタPT−R)にセットした。篩の振幅を1.0mmに設定して、30秒間、篩を振動させた後、篩上に残ったトナーの質量を測定し、これを凝集したトナーの質量とした。
この凝集したトナーの質量が0.5g以下になる最高温度を、耐熱温度とした。
なお、下記表1中、「PR146」はC.I.ピグメントレッド146を、「PR147」はC.I.ピグメントレッド147を、「SV59」はC.I.ソルベントバイオレット59を、「PR122」はC.I.ピグメントレッド122を、「PR185」はC.I.ピグメントレッド185をそれぞれ示す。また、「化合物A+化合物B(部)」とは、化合物Aの添加量と化合物Bの添加量との和を示し、「化合物A/化合物B比」とは、化合物Bの添加量に対する化合物Aの添加量との比を示す。
比較例1のマゼンタトナーは、化合物A(C.I.ピグメントレッド146)とC.I.ピグメントレッド122とを組み合わせて用いたトナーである。比較例1は、ブローオフ帯電量の絶対値が21と小さく、N/N環境下でカブリが多く発生している。したがって、化合物Bの替わりにC.I.ピグメントレッド122を使用した場合には、トナーの帯電量が不十分であることが分かる。
さらに、キナクリドン系と比較して安価なC.I.ピグメントレッド146やC.I.ピグメントレッド147を用いているため、低コストで製造可能なトナーである。
したがって、結着樹脂100質量部に対し、マゼンタ着色剤として、化合物Aと化合物Bとを合計で3〜30質量部含み、かつ化合物Bの含有量に対する化合物Aの含有量の質量比(化合物A/化合物B)が0.8〜20である実施例1〜4のマゼンタトナーは、画像濃度に優れ、向上した帯電性を有し、低コストで製造可能である。
Claims (4)
- 結着樹脂及びマゼンタ着色剤を含有するマゼンタトナーであって、
前記マゼンタ着色剤として、下記一般式(1)で表される化合物A、及び下記一般式(2)で表される化合物Bを含み、
前記結着樹脂100質量部に対して、前記化合物Aと前記化合物Bとを合計で3〜30質量部含み、かつ前記化合物Bの含有量に対する前記化合物Aの含有量の質量比(化合物A/化合物B)が0.8〜20であることを特徴とするマゼンタトナー。
R2は、水素原子、ハロゲン原子、又はアルコキシ基を表し、
R3は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、又はニトロ基を表し、
R4は、水素原子、ハロゲン原子、又はアルコキシ基を表し、
R5は、水素原子、ハロゲン原子、又は1級アミド基(−CONH2)を表し、
R6は、水素原子、ハロゲン原子、フェニルアミノカルボニル基(−CONHC6H5)、1級アミド基(−CONH2)、−CONHC6H4−(p)CONH2、又は−SO2(C2H5)2を表す。〕
- 前記化合物Aが、前記一般式(1)中、R1がメチル基又はアルコキシ基であり、
R2が水素原子又はハロゲン原子であり、
R3がハロゲン原子又はアルコキシ基であり、
R4がアルコキシ基であり、
R5が水素原子であり、
R6がフェニルアミノカルボニル基(−CONHC6H5)である化合物であることを特徴とする請求項1に記載のマゼンタトナー。 - 前記化合物AがC.I.ピグメントレッド146又はC.I.ピグメントレッド147であり、
前記化合物BがC.I.ソルベントバイオレット59であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマゼンタトナー。 - ブローオフ帯電量測定装置で測定されたブローオフ帯電量の絶対値が25〜90μC/gであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマゼンタトナー。
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