以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。図1は同画像形成装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同装置の平面説明図、図3は図1を簡略化して示す側面説明図である。
この画像形成装置は、装置本体100内に、給紙部101と、画像形成部102と、搬送部103と、排紙部104とが配置されている。
給紙部101には、印刷媒体2を芯部材3にロール状に巻き回したロール体4が装填される。ロール体4はロール体支持部材5、5によって回転可能に支持されている。
ここで、印刷媒体2は、図3に詳細を示すように、画像を形成可能な媒体(以下、「印刷面」ともいう。)2aの一面に粘着層(以下、「粘着面」ともいう。)2bを形成した連続体であり、粘着面2bに台紙(剥離紙、セパレータ)を貼り付けていない状態で芯部材3に巻き付けている。
画像形成部102は、記録手段であり、印刷媒体2に液滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド11を搭載したキャリッジ12を備えている。キャリッジ12は、ガイド部材13、14に移動可能に保持されて、印刷媒体2の送り方向(搬送方向ともいう。)と直交する方向に往復移動される。
なお、記録ヘッド11は、2列のノズル列を有し、この記録ヘッド11を2つ使用して、4列のノズル列でそれぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインク液滴を吐出するようにしている。ただし、これに限るものではなく、またライン型ヘッドを使用することもできる。
また、画像形成部102は、液体吐出ヘッドの形態に限らず、印刷媒体2に対して、接触又は非接触で画像を形成する各種画像形成手段(記録手段)を用いることができる。
搬送部103は、記録ヘッド11の下方に、印刷媒体2の粘着面2bに押し当てられ、粘着面2bを保護する、有端の帯状部材である粘着面保護部材41が配置されている。
この粘着面保護部材41は、繰り出しロール42に巻き付けられており、繰り出しロール42から引き出されて、回転体である搬送ローラ22、及びガイドローラ43を経て巻取りロール44に巻き取られる。この場合、搬送ローラ22による回転に対して巻取りロール44を若干速めに回転させることで、粘着面保護部材41にテンションがかかるようにしている。
ここで粘着面保護部材41の長さは、ロール体4に巻き付けられた印刷媒体2の総延長長さよりも長く形成されており、1本のロール体4の印刷が完了した後は、繰り出しロール42に巻き戻して再利用される。
また、印刷媒体2の種類に応じて粘着面保護部材41を定期的に交換してもよい。例えば、粘着層2bの粘着材の残りにくい(低粘着性)印刷媒体2を利用する場合は、交換不要で装置寿命の間、再利用を繰り返してもよい。
これに対し、粘着材の残りやすい(高粘着性)印刷媒体2を利用する場合は、粘着面保護部材41を交換部品として印刷媒体2のロール体4の交換と同時に繰り出しロール42も交換してもよい。また、その中間として、ロール体4を数本使用するごとに繰り出しロール42を交換するようにしてもよい。
搬送ローラ22に対向して、回転体である第1加圧ローラ24が配置されている。これらの搬送ローラ22と第1加圧ローラ24とからなる回転体対によって、印刷媒体2と粘着面保護部材41とを一緒に挟み込んで、記録ヘッド11による画像形成領域に搬送する搬送手段を構成している。
また、搬送ローラ22より送り方向下流側で記録ヘッド11による画像形成領域よりも上流側に、印刷媒体2を粘着面保護部材41側に押し付ける加圧手段である第2加圧ローラ25を配置し、第1加圧ローラ24と第2加圧ローラ25との間に更に中間加圧ローラ26を配置している。さらに、ガイドローラ43に対向して拍車コロ28が配置されている。
排紙部104は、記録ヘッド11の送り方向下流側に、印刷媒体2を所定の長さに切断して印刷媒体片(ラベル片)200とするカッタ31aを含むカッタユニット31が配置されている。カッタユニット31は、カッタ31aが主走査方向に移動することで印刷媒体2をラベル片200に切断する。
このカッタユニット31の下流側には、排紙ローラ32が配置されている。排紙ローラ32に対向して拍車コロ33が配置されている。また、排紙ローラ32と拍車コロ33との間に印刷媒体2(ラベル片200)があることを検知するセンサ34が配置されている。
このように構成した画像形成装置において、印刷媒体2に画像を形成するときには、給紙部101にロール体4を装填して印刷媒体2を引き出し、一方、第1加圧ローラ24を図3(b)に矢印Bに示すように、搬送ローラ22から離間させた位置に後退させる。
そして、印刷媒体2を、搬送ローラ22と第1加圧ローラ24との間を通過させ、第1加圧ローラ24を図3(a)に矢印Aで示すように、印刷媒体2と粘着面保護部材41とを加圧する方向に移動させ、搬送ローラ22と第1加圧ローラ24との間に印刷媒体2と粘着面保護部材41とを一緒に挟み込む。
その後、搬送ローラ22を回転駆動することによって、図3(a)に示すように、印刷媒体2の粘着面2bが粘着面保護部材41で保護された状態で搬送され、画像形成部102の記録ヘッド11によって所望の画像が形成される。
その後、画像が形成された印刷媒体2から粘着面保護部材41が剥離されて、印刷媒体2のみが排紙部104に送られ、カッタユニット31によって所要の位置で切断されてラベル片200が形成され、排紙ローラ32と拍車コロ33との間を通じて、装置本体100の排紙口105に送られる。
つまり、画像形成方法としては、印刷媒体2の粘着面2bに、粘着面2bから剥離可能な粘着面保護部材41を押し付けるステップと、印刷媒体2と粘着面保護部材41とを挟み込んで一緒に搬送するステップと、搬送される印刷媒体2に対して画像を形成するステップと、印刷媒体2の粘着面2bから粘着面保護部材41を剥離するステップとを行っている。
ここで、この画像形成装置においては、粘着面を有する印刷媒体を搬送して画像形成を行うために、次のような特徴を有している。
つまり、印刷媒体2を粘着面2bから剥離可能な粘着面保護部材41を使用して、印刷媒体2の粘着面2bを粘着面保護部材41に押し付けた状態で一緒に搬送して印刷媒体2上に画像を形成する。
このとき、粘着面保護部材41は粘着面2bに対し粘着性を持たないことが好ましいが、搬送時に粘着面保護部材41から印刷媒体2が浮いてしまうことを防止するために粘着面2bに対し再剥離可能な程度の弱い被粘着性を有していてもよい。粘着面保護部材41を粘着面2bにあてがうことで、粘着面2bを保護し搬送安定性が得られるとともに、粘着面保護部材41が粘着面2bから剥離可能であることから、印刷媒体2のみを排紙することが可能になる。
ここでは、印刷媒体2が粘着面保護部材41と一体となった状態で画像形成が行なわれているが、画像形成部102の直前まで粘着面2bを保護して搬送し、粘着面保護部材41を剥離した後に画像形成を行い、そのまま排紙される構成としてもよい。
また、搬送ローラ22と第1加圧ローラ24との間に、印刷媒体2と粘着面保護部材41を一緒に挟み込んで搬送することにより、十分な搬送力が得られる。第1加圧ローラ24で印刷媒体2と粘着面保護部材41とを加圧せずに粘着面保護部材41を移動させても、ロール体4の引出し抵抗が大きく、粘着面2bに対して粘着性がないか若しくは弱い粘着面保護部材41と印刷媒体2との摩擦力はわずかであるために滑りが生じてしまい、印刷媒体2は搬送されずに粘着面保護部材41だけが単体で移動してしまうことになる。
また、画像形成部102の上流側で記録ヘッド11に近い位置に第2加圧ローラ25を配置していることで、印刷媒体2の粘着面保護部材41からの浮きを防止することができる。これにより、印刷媒体2と記録ヘッド11との距離が一定にでき、記録ヘッド11と印刷媒体2の擦れを防止することができる。
この場合、第2加圧ローラ25の配置位置は記録ヘッド11による画像形成位置の直前位置であることが好ましく、また、印刷媒体2の幅に相当する領域を加圧することが好ましい。これにより、より確実に記録ヘッド11による画像形成位置での印刷媒体2の浮き上がりを防止できる。
また、粘着面を有する印刷媒体2は、粘着層と印刷面を形成する層の二層構造であるため、普通紙に比べると、カールしやすい構造となっているため、安定した搬送が難しく、カールする方向も粘着層と印刷面を形成する層の材質により上方向と下方向の両パターンあり、またカールを生じようとする力も一定ではなく安定した搬送が難しい。
そこで、本実施形態では、粘着面2bから剥離可能な粘着面保護部材41を押し付けてカールを抑制するとともに、粘着面保護部材41と印刷媒体2の粘着面2bとの粘着力は、印字前に印刷媒体2の浮きを防止でき、印字後に、剥離可能である粘着力とする。
この場合、粘着面2bのある印刷媒体2と粘着面保護部材41との粘着力は、粘着面保護部材41の表面の状態及び接触面積で決まる。したがって、粘着面保護部材41の表面に表面処理(コーティング)をすることにより、粘着力の経時変化を抑えることができる。さらに、粘着面保護部材41の材質、コーティングで吹き付ける材質の組み合わせにより、粘着力の調整をすることもできる。
また、粘着面保護部材41に多数(複数)の孔を形成してもよい。このようにすることで、印刷媒体2の粘着面2bと粘着面保護部材41との接触面積を減らすことができ、孔の形成数や形成面積を調整することによって、粘着面のある印刷媒体2と粘着面保護部材41との粘着力を容易に調整することができる。
一方、ロール体4から引き出した印刷媒体2を搬送ローラ22と第1加圧ローラ24との間に挟んで搬送することにより、ロール体4から搬送ローラ22と第1加圧ローラ24との間までの印刷媒体2に対しては、ロール体4の引出し負荷によってテンションが作用し、印刷媒体2の弛みを防止できる。
次に、本発明の第2実施形態について図4を参照して説明する。図4は同実施形態の説明に供する側面説明図である。
本実施形態では、粘着面保護部材41として無端状のベルト状に形成された粘着面保護部材である保護ベルト21が配置されている。保護ベルト21は、搬送ローラ22と従動ローラ23とに周回移動可能に掛け回されている。
この構成においても、搬送ローラ22と第1加圧ローラ24との間で印刷媒体2と保護ベルト21とを一緒に挟み込んで、搬送ローラ22の回転によって印刷媒体2の粘着面を保護ベルト21で保護しながら搬送して、画像形成を行うことができる。
また、この構成でも、上述したように、保護ベルト21の表面処理(コーティング)や孔形成による接触面積の調整によって印刷媒体2と保護ベルト21との間の粘着力を調整することで、印刷媒体2の浮きを抑えた搬送が可能となる。
このように、保護部材を無端状のベルト状にすることで、ロール体4に巻き回された印刷媒体2の総延長長さに相当する長さの粘着面保護部材41(繰り出しロール42)を装置内に保持する必要がなくなり、装置を小型化することができる。
また、粘着面2bに対する粘着力を調整する範囲も、保護ベルト21の外周長さだけであるため、例えコストが高くてもより耐久性の高い非粘着処理を施すことが可能となり、耐久性、信頼性も向上できる。
このようにすることで、前述の粘着材の残りやすい(高粘着性)印刷媒体2を利用する場合の粘着面保護部材41の定期交換も不要となり、廃棄物を削減できるという優れた効果も有する。
次に、本発明の第3実施形態について図5を参照して説明する。図5は同実施形態の説明に供する側面説明図である。
本実施形態では、保護ベルト21には、例えば図6(a)ないし(d)に示すような多数の孔21aが形成されている。そして、保護ベルト21の内側には、画像形成部102の記録ヘッド11に対向して、孔21aを介して印刷媒体2を保護ベルト21の表面に向けて吸引する吸引ファン27が配置されている。
前述したように、粘着面を有する印刷媒体2は、普通紙に比べるとカールしやすい構造となっており、カールする方向も上方向と下方向の両パターンあり、一定ではない。そこで、穴開きベルトに対して、画像形成領域の下方に吸引手段を配置して吸引することで、印刷媒体の浮き上がりをより確実に防止している。
ここで、孔21aの形状は、図6(a)ないし(d)のような各種形態が可能であるが、要求される吸着力と剥離性から選択される。
保護ベルト21の粘着面2bに対する粘着性が比較的に高い時には剥離性を考慮し、図6(b)、(d)のような長孔が好ましく、特に搬送方向に直交する印刷媒体の幅方向全域にわたって孔がなくなる場合の少ない図6(b)が好ましい。
また、保護ベルト21の粘着面2bに対する粘着性がほとんどない場合は吸着力を上げるため、図6(a)、(c)のような丸孔が好ましい。このとき孔のサイズにより吸着力に差が生じるため、搬送方向に直行する方向の印刷媒体2の端部に相当する位置は吸着力を上げるために孔径を大きく(図6(a))、印刷媒体の中央に位置する領域は浮きの発生レベルが低いため、孔径を小さく(図6(c))することも有効である。このようにすると、剥離の際には印刷媒体2の先端中央部から優先して剥離するため、全ての孔を図6(a)の形で形成した場合に比べて吸着力をあまり落とさずに剥離性を向上することができる。
また、本実施形態のように吸引ファン27を設けることで、印刷媒体2の粘着面2bとは異なる面であっても保護ベルト21上に保持することが可能となるため、図7に示すように粘着面2bの裏側を保護ベルト21上に固定し、粘着面2b側に画像を形成することも可能となる。
このような搬送を行う場合には、第1加圧ローラ24と第2加圧ローラ25は粘着面2bに接することになるため、粘着面に対して非粘着性、もしくは吸引ファン27が印刷媒体2を吸引する吸引力よりも弱い弱粘着性の材料を表面にコーティングしておく。
次に、本発明の第4実施形態について図8を参照して説明する。図8は同実施形態の説明に供する側面説明図である。
本実施形態では、加圧手段である第2加圧ローラ25を、破線図示の位置と実線図示の位置との間で、送り方向に往復移動可能に配置している。
このように構成した場合における動作順序は、次のように行う。
(1)第2加圧ローラ25が動作できるように、記録ヘッド11を保護ベルト21上から退避させる。
(2)記録ヘッド11による画像形成領域まで印刷媒体2を送る。
(3)第2加圧ローラ25が破線図示の位置から実線図示の位置まで印刷媒体2を保護ベルト21に押しつけながら移動し、印刷媒体2の先端部分を保護ベルト21に押しつけ、印刷媒体2の浮きを解消する。
(4)第2加圧ローラ25が実線図示の位置から破線図示の定位置まで戻る。
(5)記録ヘッド11で画像形成を開始する。
このようにして、印刷媒体2の先端部の浮き上がりを確実に押さえることにより、記録ヘッド11と印刷媒体2との距離を一定にすることができる。
次に、本発明の第5実施形態について図9及び図10を参照して説明する。図9は同実施形態の説明に供する側面説明図、図10は同じく平面説明図である。
本実施形態では、給紙部101は、ロール体4の芯部材3を嵌め込む軸部材201と、軸部材201の両端部に嵌め込まれてロール体4の側面を保護するフランジ部材202、202とで構成されるロール体保持部材と、軸部材201の両端部を回転可能に保持する軸保持部材203とを備えている。
なお、軸保持部材203にはロール体4の抜けを防止するための抜け防止部材を備えているが、図示を省略している。
また、本実施形態では、第1加圧ローラ24と画像形成部102との間に、ロール体4から引き出した印刷媒体2の先端位置を定める指標部材206を配置している。この指標部材206は、印刷媒体2の送り方向と直交する方向(主走査方向)に伸張した部材であり、保護ベルト21に対して印刷媒体2が搬送可能となるに十分な空間を設けた状態で配置している。
この指標部材206の第1加圧ローラ24側の端面が印刷媒体2をセットするときの指標206aとなる。
次に、本実施形態における印刷媒体2の保護ベルト21上へのセット手順について図11を参照して説明する。図11は同説明に供する側面説明図である。
印刷媒体2を保護ベルト21上にセットするときには、第1加圧ローラ24を図11(a)に示す矢印E方向に移動させる。
ここでは、第1加圧ローラ24は、装置本体100の図示しない構造体フレームに対して、加圧手段、保護ベルト21の表面等を保護する図示しないカバー部材などの保護ベルト21の上方に配置された部材(ただし画像形成部102をなす要素は除く)とともに保持され、図示しない回動支点軸を中心に回動するクラムシェル構造体をなすことにより移動可能としている。
その後、ロール体4を軸部材201及びフランジ部材202、202から構成されるロール体保持部材に保持した状態で、軸保持部材203の凹部に装填し、軸保持部材203の凹部を図示しない抜け防止部材により閉じる。
そして、図11(b)に示すように、ロール体4から印刷媒体2を引き出して、指標部材206の指標206aに印刷媒体2の先端を合わせて、保護ベルト21上に印刷媒体2をセットする(先端セット位置をセット位置Cで付記している。)。
その後、第1加圧ローラ24を搬送ローラ22に対向する位置まで矢印F方向に移動して、第1加圧ローラ24と搬送ローラ22とで印刷媒体2と保護ベルト21とを挟み込んで加圧する。
このように、ロール体4から引き出した印刷媒体2の保護ベルト21上でのセット位置を示す指標部材206を備えていることで、印刷媒体2を保護ベルト21上の適切な位置にセットすることができる。
例えば、ロール体4からの印刷媒体2の引出し量が多くなると、一旦引き出した印刷媒体2をロール体4に巻き戻さなければならなくなり、粘着面の粘着性が低下することになる。一方、ロール体4からの印刷媒体2の引出し量が少なすぎると、第1加圧ローラ24で加圧する位置まで届かず、画像形成部102に印刷媒体2を搬送できなくなる。
上述したような指標部材206を備えることで、指標206aに先端が合うようにロール体4から無駄なく、かつ、多すぎることなく、印刷媒体2を引き出してセットすることができる。
また、粘着面2bは非粘着性の保護ベルト21の表面に対して、剥離方向(上下方向)の力はほぼ0にすることはできるものの、摩擦方向(横方向、すべり方向)には粘着面2bのタック性があるためにかなりの力を加えないと移動しない。このため、先端部の最初のセッティング位置が搬送方向からわずかに傾いていた場合、印刷媒体2が保護ベルト21上をすべらないために、正しい位置に自己修復することができず皺やジャムの原因となってしまう。このような指標部材206を設けてセッティング位置を一定にすることで、すべらない粘着面2bをもつ印刷媒体2であっても、保護ベルト21とともに安定して搬送することができる。
次に、本発明の第6実施形態について図12を参照して説明する。図12は同実施形態の説明に供する側面説明図である。
本実施形態では、指標部材207の送り方向上流側の端面に印刷媒体2を切断する切断部207aを備えている。
このように構成することで、ロール体4から印刷媒体2を引き出すときに、ユーザーによって把持されて粘着力が低下する印刷媒体2の先端部分を切り離して除去することができる。
これにより、印刷媒体2の粘着性の品質を落すことなく、画像形成を行って使用することができる。
以下に具体的な手順について説明する。まず、ロール体4から印刷媒体2を指標部材207の下流側まで引き出して、指標部材207に設けた指標を用いて印刷媒体2の引き出し方向と搬送方向を平行になるように合わせる。その後、図12に示すように第1加圧ローラ24を搬送ローラ22に対向する位置まで矢印F方向に移動して、第1加圧ローラ24と搬送ローラ22とで印刷媒体2と保護ベルト21とを挟み込んで加圧し固定する。
このように印刷媒体2と保護ベルト21との位置を固定した後で、切断部207aを動かして印刷媒体2の先端部をカットする。
これにより搬送方向に直角な先端位置も指標部材207に対して一定した位置に決定される。一方、印刷媒体2の引き出しの際に手で把持した部分は手元に残るため、そのまま廃棄すればよい。
なお、切断直後の状態では印刷媒体2の切断された先端部が保護ベルト21に対して浮いている場合があるため、搬送ローラ22と第1加圧ローラ24を搬送方向と逆方向に回転し、先端部を一度加圧してから元の位置まで順方向に送ることが好ましい。
次に、本発明の第7実施形態について図13を参照して説明する。図13は同実施形態の説明に供する側面説明図である。
本実施形態では、保護ベルト21の内側に指標を形成する指標補助部材208を配置している。この指標補助部材208は、保護ベルト21と接触して保護ベルト21の一部を凸状に持ち上げる(主走査方向には全体又は間歇的に持ち上げる)実線図示の位置と、保護ベルト21の移動を妨げない(離間あるいは接触しても保護ベルト21の水平状態が維持される)破線図示の位置との間で、矢印G方向に昇降(進退)可能に配置されている。
このように構成したので、ロール体4から印刷媒体2を引き出して保護ベルト21にセットするときには、指標補助部材208が実線図示の位置に移動して保護ベルト21に凸部を形成することで、この凸部が指標209となるので、印刷媒体2を保護ベルト21の適切な位置にセットすることができる。
この際、指標補助部材を間歇的に形成することで、間歇部を利用して搬送方向先端部だけではなく、搬送方向に直交する方向も合わせることができる。
次に、本発明の第8実施形態について図14を参照して説明する。図14は同実施形態の説明に供する側面説明図である。
本実施形態では、指標補助部材208として、断面半円形ないし半円筒形状などの保護ベルト21との接触面が曲面形状の部材を備えている。
これにより、前記第7実施形態の作用効果に加えて、指標補助部材208が保護ベルト21の内側の面と接触した状態においても応力の集中する角の部分がなくなるため、保護ベルト21の周回移動をスムーズに行うことができる。
次に、本発明の第9実施形態について図15を参照して説明する。図15は同実施形態の説明に供する側面説明図である。
本実施形態では、指標補助部材208として、回転可能に配置された円筒状部材を備えている。
これにより、保護ベルト21の内側の面と指標補助部材208との接触による摩擦負荷を極めて少なくすることができ、保護ベルト21の周回移動をよりスムーズに行うことができる。
さらに、指標補助部材208に保護ベルト21を挟んで対向して、印刷媒体2を保護ベルト21側に向けて加圧するローラ部材(コロ部材)210を回転可能に配置してもよい。このローラ部材210は、第1加圧ローラ24とともにクラムシェル構造体に取り付けられて、保護ベルト21の表面に対して接触(近接)及び離間可能に配置されている。
これにより、印刷媒体2をセットするときにユーザーによって把持されて粘着面の粘着力が低下した印刷媒体2の先端部分を保護ベルト21上に押し付けることができ、印刷媒体2の浮き上がりを抑制することができる。
次に、本発明の第10実施形態について図16を参照して説明する。図16は同実施形態の説明に供する平面説明図である。
本実施形態では、主走査方向の一方側に、保護ベルト21を主走査方向に横切る指標としてのレーザー光などの光212を射出する発光手段211を配置している。
このように構成しても、印刷媒体2の先端を保護ベルト21上の適切な位置にセットすることができる。そして、光を指標とすることで、印刷媒体2のセット時の操作空間を減少させることなく、印刷媒体の先端位置指標を形成することができる。
次に、本発明の第11実施形態について図17を参照して説明する。図17は同実施形態の説明に供する側面説明図である。
本実施形態では、保護ベルト21上に光212を射出する発光手段213を配置している。
このように構成しても、光212で印刷媒体2のセット位置を示すことで、印刷媒体2の先端を保護ベルト21上の適切な位置にセットすることができる。そして、光を指標とすることで、印刷媒体2のセット時の操作空間を減少させることなく、印刷媒体の先端位置指標を形成することができる。
次に、本発明の第12実施形態について図18を参照して説明する。図18は同実施形態の説明に供する給紙搬送部分の駆動系の説明図である。
搬送ローラ22は図示しない駆動伝達系を通じて駆動モータ301によって回転駆動される。また、駆動モータ301の回転は、駆動伝達系310を介して、ロール体4の芯部材3を保持する回転軸304に伝達している。ロール体4の芯部材3と回転軸304は同動して回転するようにスプラインなどで結合している。
ここで、駆動伝達系310は、例えば、搬送ローラ22の回転軸と同軸に設けたプーリ311、タイミングベルト312、プーリ311との間にタイミングベルト312が掛け回されたプーリ313、プーリ313と同軸のギヤ314、ギヤ314に噛み合うギヤ315、ギヤ315に噛み合うギヤ316と、回転軸304に設けたトルクリミッタ317とを有している。なお、ギヤ列に代えて全体をベルト伝達機構とすることもできる。
ここで、駆動伝達系310は、プーリ比、あるいは、ギヤ比よって、ロール体4側の回転周速度Vaと搬送ローラ22の回転周速度Vbとの関係が、Va≦Vb、になる減速比に設定している。
また、トルクリミッタ317は、ロール体4側の回転周速度Vaが搬送ローラ22の回転周速度Vb以上になった(Va≧Vb)ときに、ロール体4の回転にブレーキを作用させる。
このように構成することで、搬送ローラ22の周速度Vbに対してロール体4の周速度Vaは、周速度Vb以下に維持される。つまり、搬送ローラ22の回転(印刷媒体2の送り)速度よりもロール体4の回転速度が速くなることはない。また、この場合、トルクリミッタを使用することで、印刷媒体2に対して画像形成を行うときに、間歇駆動される印刷媒体2の加減速時に発生する慣性モーメントによる影響を容易に抑制できる。
これによって、ロール体4から搬送ローラ22までの間の印刷媒体2が弛むことが防止され、安定した搬送を行うことができる。
すなわち、粘着面2bを有する印刷媒体2において粘着面2bに粘着面保護部材41をあてがうよりも上流側で弛みが生じると、弛んだ部位の粘着面2bが装置内に粘着し再搬送が困難になる。また、装置内に付着するほどの弛みでなくても、わずかに弛んだだけで印刷媒体2が巻き回されたロール体4に再付着し、粘着面2bの粘着材の厚みや粘着力が変化してしまう。本実施形態の構成をとることによりこれらを防止し、安定した搬送が可能となる。
次に、本発明の第13実施形態について図19を参照して説明する。図19は同実施形態の説明に供する給紙搬送部分の駆動系の説明図である。
本実施形態における駆動伝達系320は、前記第14実施形態の駆動伝達系310と同様に、搬送ローラ22の回転軸と同軸に設けたプーリ321、タイミングベルト322、プーリ321との間にタイミングベルト322が掛け回されたプーリ323、プーリ323と同軸のギヤ324、ギヤ324に噛み合うギヤ325、ギヤ325に噛み合うギヤ326と、回転軸304に設けたトルクリミッタ317とを有している。
そして、ここでは、駆動伝達系320は、プーリ比、あるいはギヤ比を駆動伝達系310とは異ならせて、ロール体4側の回転周速度Vaと搬送ローラ22の回転周速度Vbとの関係が、Va≧Vb、になる減速比(増速比)に設定している。
このように構成した場合、ロール体4から引き出した印刷媒体2を搬送ローラ22で搬送するとき(正転時)、トルクリミッタ317によりロール体4の回転軸304にブレーキトルクを与えている状態となり、印刷媒体2の使用量(搬送量)によらずに、ロール体4から搬送ローラ22までの印刷媒体3に対しては安定したテンションを与えられる。
一方、ロール体4から引き出された印刷媒体2を巻き戻すとき(逆転時)においては、
周速差Va≧Vb、の関係にあることから、搬送ローラ22からロール体4までの間の印刷媒体2には常にテンションが与えられる。
また、トルクリミッタ317の許容トルクを超えたときにはブレーキトルクが作用し、ロール体4への巻き戻しによってロール体4の径が大きくなって搬送ローラ22との周速差が増大することで、テンションが印刷媒体2に過剰に加わることを防ぐことができる。
次に、本発明の第14実施形態について図20を参照して説明する。図20は同実施形態の説明に供する給紙搬送部分の駆動系の説明図である。
本実施形態では、上記第13実施形態の駆動伝達系320において、搬送ローラ22の軸とプーリ321との間に一方向クラッチ333を設けている。一方向クラッチ333は、印刷媒体2を搬送するとき(正転時)に空転設定としている。
これによって、外乱等により突発的に周速差がVa<Vbとなった場合でも、ロール体4への駆動伝達を遮断でき、ロール体4と搬送ローラ22との間の印刷媒体2に対して過剰なテンションが加わることを防止できる。
次に、本発明の第15実施形態について図21を参照して説明する。図21は同実施形態の説明に供する給紙搬送部分の駆動系の説明図である。
本実施形態では、上記第14実施形態の駆動伝達系320において、任意のタイミングでロール体4への印刷媒体2の巻き戻し時(逆転時)に、駆動伝達を伝達及び遮断状態に切り替えることができる駆動切換えクラッチ334を設けている。ここでは、プーリ323とギヤ325との間にクラッチ334を設けている。
このように構成することで、ロール体4から印刷媒体2を引き出して粘着面保護部材上にセットするときに、クラッチ334を遮断状態にすることで駆動伝達系320を遮断して、回転軸304を空転状態(フリー状態)にすることができる。
これにより、ロール体4から印刷媒体2を引き出す時の負荷が低減して、印刷媒体2のセット操作の操作性を向上することができる。
次に、本発明の第16実施形態について図22を参照して説明する。図22は同実施形態の説明に供する給紙搬送部分の模式的説明図である。
本実施形態では、給紙部101の構成を前記第5実施形態(図9参照)の構成とし、ロール体4の芯部材3を保持する軸部材201に対して、搬送ローラ22から離れる方向に弾性荷重を加えるばねなどの弾性荷重付与手段部341を備えている。
このように構成することで、ロール体4に対してテンションが与えられ、ロール体4と搬送ローラ22との間の印刷媒体2に対して常にテンションが作用して、印刷媒体2に対する画像形成時の間歇送り動作に伴う加減速時に発生するロール体4の慣性モーメントによって、ロール体4と搬送ローラ22との間の印刷媒体2が弛みことを防止できる。
次に、本発明の第17実施形態について図23を参照して説明する。図23は同実施形態の説明に供する給紙部の模式的説明図である。
本実施形態では、給紙部101の構成を前記第5実施形態(図9参照)の構成とし、ロール体4の芯部材3を保持する軸部材201を支持する複数の弾性部材351を配置している。
このように構成することで、ロール体4から引き出された印刷媒体2に、搬送ローラ22との間で捩れるように幅方向に偏った弛みが生じた場合、ロール体4の幅方向(主走査方向)に配置された弾性部材(ばね等)351により、弛みが大きい方にロール体4の軸部材201が搬送ローラ22の軸に対して後方に押込まれ、ロール体4の軸部材201と搬送ローラ22との間の平行度を敢えて崩すことで、捩れによる弛みを補正することができる。
これにより、印刷媒体2の弛みが搬送ローラ22と第1加圧ローラ24とのニップ部より下流へ送られることによって生じるシワやその他の搬送ジャムに繋がる不具合を防ぐことができる。
次に、本発明の第18実施形態について図24を参照して説明する。図24は同実施形態の説明に供する給紙部の模式的説明図である。
本実施形態では、ロール体4と搬送ローラ22との間に、ローラやコロなどからなるテンション付与部材261を配置し、テンション付与部材261は弾性部材262で加圧している。
このように、ロール体4と搬送ローラ22との間では、印刷媒体2にテンションが付与されているので、印刷媒体2の弛みを防止できる。また、同時に捩れによる弛みの偏りを補正する効果も得られる。
次に、本発明の第19実施形態について図25を参照して説明する。図25は同実施形態の説明に供する給紙搬送系の模式的説明図である。
本実施形態では、装置を一定時間以上停止するときなどには、印刷媒体2をロール体4に巻き戻すが、このとき、印刷媒体2が搬送ローラ22と第1加圧ローラ24のニップ部を通過するまで引き戻すように設定されている。
これによって、印刷媒体2の粘着面が保護ベルト21に長期間にわたって接触して付着してしまうことを防止でき、粘着材の長期付着による保護ベルト21面の非粘着性、弱粘着性の低下を防ぐことができる。
なお、本願における「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。