JP6397979B2 - 積層布帛 - Google Patents
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Description
このように衣服に保型性を持たせる目的で使用されるもの、例えば、羽毛の場合には、高密度で織製された生地を袋状に縫い合せ、その中に羽毛を充填した通称ダウンパックを使用したり、表地を高密度にして、袋状に縫製したものに羽毛を充填したりする方法が用いられている。
また、特許文献2では、ライナー素材として、裏地用布帛と、繊維相互の接合点または絡合点が点固定されている不織布シート状物と、をキルティング縫着するか、若しくは点固定する方法として、高周波融着、若しくは接着樹脂によって接着するなど、所謂、ピンソニック加工、若しくはそれに近い形態で接着加工を施す方法が取られている。更に、この様な構造体にできる空間部分に同じ不織布や中わたを充填させる方法や、不織布シート状物は、表面の摩擦力を小さくすることで、層境界面が相互に滑動することが重要であるとして開示されている。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
シート状に形成された中わた部材と、予めホットメルト樹脂が布帛全面にドット状に付与された布帛基布とが、該ホットメルト樹脂が付与された側の面と、該中わた部材とを対向させて接着された積層布帛であって、前記ホットメルト樹脂で形成された樹脂ドットの数が、75〜190ドット/cm2であり、そして前記中わた部材と接着された後における前記樹脂ドットの高さが、70〜120μmであることを特徴とする積層布帛。
[2]
前記中わた部材の繊維素材が、キュプラ・アンモニウム・レーヨン、ビスコース・レーヨン、ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレート、ナイロン、綿、アクリル、および毛からなる群から選ばれる一種以上を含む、[1]に記載の積層布帛。
[3]
前記中わた部材において、繊維素材の単糸繊度が0.3〜8.0dtxであり、繊維長が20〜160mmである、[1]または[2]に記載の積層布帛。
[4]
前記布帛基布の繊維素材が、キュプラ・アンモニウム・レーヨン、ビスコース・レーヨン、ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレート、ナイロン、綿、アクリル、および毛からなる群から選ばれる一種以上を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層布帛。
[5]
以下の工程:
中わた部材をシート状に形成する工程、布帛基布上にホットメルト樹脂をドット状に付与する工程、および、前記中わた部材と前記布帛基布とを、該ホットメルト樹脂が付与された側の面を、該中わた部材と対向させて接着する工程、を備え、前記ホットメルト樹脂からなる樹脂ドットの数が、75〜190ドット/cm2であり、そして前記中わた部材と接着された後における該樹脂ドットの高さが、70〜120μmであることを特徴とする積層布帛の製造方法。
図1は、本発明の積層布帛の一構成例を模式的に示す図であり、図2は、積層布帛を拡大した写真である。なお図1では、本発明の積層布帛の構成をわかりやすくするために、一部剥がした状態で図示している。
本発明の積層布帛1は、シート状に形成された中わた部材2と、予めホットメルト樹脂がドット状に付与された布帛基布3とが、該ホットメルト樹脂が付与された側の面を、該中わた部材2と対向させて接着された積層布帛であって、ホットメルト樹脂で形成された樹脂ドット4の数が、75〜190ドット/cm2であり、そして中わた部材2と接着された後における前記樹脂ドット4の高さが、70〜120μmであることを特徴とする。
また、繊維素材の単糸繊度が、0.3〜8.0dtxであり、繊維長が、20〜60mmであることが好ましい。これにより、本発明でいう風合いや保温性に優れた中わたが得られる。
中わた部材2の厚みとしては、特に限定されるものではないが、例えば3〜20mmであることが好ましい。中わたの嵩高性に関しては、単糸繊度違いのものを組み合わせたり、糸のクリンプ率の違うものなどを組み合すことで任意の嵩高性を設定することができるし、保温性を向上させるために、中わた部材の空気層を緻密にして、厚みを増すことでその効果が得られる。
布帛基布3の厚みとしては、特に限定されるものではないが、例えば0.05〜2.5mmであることが好ましい。
また、わた繊維の吹き出しを抑えようとするならば、布帛設計として、出来れば、布帛上、均一に空隙が存在して空気が偏って抜けない布帛であり、その通気度(JIS L1096 8−27 通気性‐1 フラジール形法)を10cc/cm2・秒 以下にすることがより望ましい。
但し、規則的なものは、一般的に謂われる樹脂モワレが発生し易い。
ホットメルト樹脂は特に限定されるものではなく、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂など、現在、汎用化されているホットメルト樹脂を用いることができる。
なお、現在、汎用タイプのダブルドット方式では、樹脂の付与工程が、ペーストドットとパウダー散布との2工程であるのに加えて、余分なパウダー状ホットメルト樹脂を取り除く工程が必要であり、製造工程が複雑となるほか、ダブルドット方式では、本発明のドットの接着された後のドットの高さをコントロールすることは、技術的にも難しいことから、特に、パウダードット方式を採用するのがより好ましい。
プレスロール(彫刻ロール)11は、例えば鉄からなる円柱状の芯部11aと、その表面に銅めっき層11bと硬質クロム層11cが順に形成されており、図4に拡大して示すように、この表面メッキ層には、目的に応じた形状や深さ、単位面積当たりの数が彫り込まれた穴(窪み)12が形成されている。穴12にはホットメルト樹脂粉末4aが充填されており、この粉末はホッパー13の先端にあるドクター13aから穴に移されたものであるが、プレスロール11が、加熱したスチールロール14によって熱せられた布帛基布3の上に押し当てられると、基布表面に転写、熔着、凝集作用が起こり、このため粉末4aは穴12から布帛基布3に移る。この凝集作用に加えて、引き続き赤外線加熱等をして点状に並んだそれぞれの粉塊の粒子を焼結させて基布に定着させ、冷却することにより、樹脂ドット4が予め付与された布帛基布3が得られる。
この接着装置20は、温度コントロール可能なヒートロール21と、ゴム製のプレスロール22と、冷却シリンダー23と、複数の搬送ロール24を備える。別々の供給ロール(図示略)からそれぞれ送り出された、シート状の中わた部材2と、樹脂ドット4が予め形成された布帛基布3とを積層し、ヒートロールとプレスロールとの間を通すことでプレス接着する。その後続いて、冷却シリンダーの外周に沿って走らせることで連続的に冷却する、このように、シート状の中わた部材2と、コーティングされた布帛基布3とを同時に供給して貼り合せを行うことにより、本発明の積層布帛1が得られる。
布帛面へのドット当りに関しては、布帛の目付、生地厚さに大きく関係されるが、本発明では、布帛の目付が、80〜150g/m2であることが最も好ましい。
なお、予めホットメルト樹脂を布帛基布3にドット状に付与する工程では、シート状中わた部材2と接着される前の樹脂ドット4の高さを、100〜200μmとすることが好ましい。更に、120〜170μmにすることがより好ましい。
更には、本発明の主要件である、中わた部材2と接着された後の樹脂ドット4の高さのコントロール方法については、例えば、ドット加工する彫刻ロールの穴の設計・仕様を調整する方法や、ホットメルト樹脂の中わた部材2と接着した後に、熱ロールにて樹脂ドット4を潰す方法などが挙げられる。
なお、パウダードット方式に使用する、彫刻ロールの仕様に関しては、ドットの穴口径と接着された後のドットの高さにて設計されているが、このドットの穴設計にて、中わた部材2と接着された後の樹脂ドット4の高さをコントロールすることも問題ない。
このホットメルト樹脂量は、樹脂ドット4の大きさと、樹脂ドット4の密度との組み合わせによって決定され、彫刻ロールの穴の設計・仕様によって事前に把握できるものであり、これらを適宜調整することによってコントロールされる。
以下の工程:
中わた部材2をシート状に形成する工程、
布帛基布3上にホットメルト樹脂をドット状に付与する工程、および
前記中わた部材2と前記布帛基布3とを、該ホットメルト樹脂が付与された側の面を、該中わた部材2と対向させて接着する工程、を備えた製造方法によって製造される。
このとき、前記ホットメルト樹脂からなる樹脂ドット4の数が、75〜190ドット/cm2となり、そして前記中わた部材と接着された後における該樹脂ドットの高さが、70〜120μmとなるように、製造条件が、適宜調整される。
[布帛規格‐1]
素材:キュプラアンモニウムレーヨン100%
繊度:経糸55dt、緯糸84dt、
密度:経47.2本/cm、緯35本/cm
組織:平織
布帛幅:122cm
キュプラアンモニウムレーヨン繊維(繊度:1.3d、繊維長:51mm)とポリエステル繊維(繊度:3.0d、繊維長:51mm)とを、それぞれ30:70の比率で混紡した。その後、カーディング等の工程を経て、ケミカルボンド スプレー法にて、平均目付け30g/m2で、122cm幅のシート状に形成された中わた部材を得た。
75ドット/cm2にて、コーティング加工後の樹脂ドットの高さが、53、68、104、121、147μmになるように、布帛基布に熱可塑性ホットメルト樹脂(エムスケミー社製、D1541A)を、図3に示すような装置を用いて、パウダードット方式のコーティングを行い、予めホットメルト樹脂がドット状に付与された布帛基布を得た。
接着の主な加工条件
速度:12〜13m/分
ローラープレス圧:0.3 MPa
ヒートローラー温度:180℃
実験例1と同様にして、140ドット/cm2にて、コーティング加工後の樹脂ドットの高さが、60、80、120、140、170、μmになるように、布帛基布に熱可塑性ホットメルト樹脂(エムスケミー社製、D1541A)をパウダードット方式のコーティングを行い、予めホットメルト樹脂がドット状に付与された布帛基布を得た。
この布帛基布とシート状中わたとを実験例1と同様にして貼り合わせ、積層布帛を得た。
実験例1と同様にして、190ドット/cm2にて、コーティング加工後の樹脂ドットの高さが、53、68、104、121、147μmになるように、布帛基布に熱可塑性ホットメルト樹脂(エムスケミー社製、D1541A)をパウダードット方式のコーティングを行い、予めホットメルト樹脂がドット状に付与された布帛基布を得た。
この布帛基布とシート状中わたとを実験例1と同様にして貼り合わせ、積層布帛を得た。
実験例1と同様にして、45ドット/cm2にて、コーティング加工後の樹脂ドットの高さが、53、68、104、121、147μmになるように、布帛基布に熱可塑性ホットメルト樹脂(エムスケミー社製、D1541A)をパウダードット方式のコーティングを行い、予めホットメルト樹脂がドット状に付与された布帛基布を得た。
この布帛基布とシート状中わたとを実験例1と同様にして貼り合わせ、積層布帛を得た。
実験例1と同様にして、248ドット/cm2にて、コーティング加工後の樹脂ドットの高さが、53、68、104、121、147μmになるように、布帛基布に熱可塑性ホットメルト樹脂(エムスケミー社製、D1541A)をパウダードット方式のコーティングを行い、予めホットメルト樹脂がドット状に付与された布帛基布を得た。
この布帛基布とシート状中わたとを実験例1と同様にして貼り合わせ、積層布帛を得た。
(1)接着された後の樹脂ドットの高さ(H)の測定方法は、接着された中わたと布帛基布とを剥がし、布帛基布の上にあるドットの高さを、(株)キーエンス社製 デジタルマイクロスコープVHX−2000を用いて、画像処理することにより測定する(図6参照)。
なお、その高さ(H)は、ランダムに選んだドット10個の高さの算術平均値にて求める。
その測定方法は、布帛基布、およびホットメルト樹脂が塗布された布帛基布に対して、それぞれ10cm角のサンプルを幅方向に均等に10か所を採取し、その目付差の算術平均値を測定した。
(3)嵩高性の評価方法としては、(株)キーエンス社製 デジタルマイクロスコープVHX−2000を用い、画像処理にて、シートわたの厚みを測定することで得られる、元のシートわたの厚み(D)が布帛基布に接着された後、その厚み(d)のへたり率を、次式:
接着に伴うへたり性(G)=接着前後の厚み変化(D−d)/D×100(%)
として、算出する。へたり率(G)が小さいほど嵩高性があり、そのへたり率が、20%以上を良好(○)、20〜40%をやや良好(△)、40%以上を不可(×)として評価した。
得られた積層布帛を水洗い洗濯(JIS L1096 8−64 G法)、平干し風乾し、その前後のわたの剥がれ状態の程度を官能評価した。
○:剥がれなし良好、△:やや剥がれがある、×:剥がれが著しい
[布帛規格―2]
素材:66ナイロン 100%
繊度:経糸44dt、緯糸44dt、
密度:経54本/cm、緯37.4本/cm
組織:平織
布帛幅:152cm
ポリエステル繊維単一素材、繊度、繊維長違いを下記比率にて混繊し、ケミカルボンド スプレー法にて、平均目付け90g/m2で、150cm幅のシート状に形成された中わた部材を得た。
繊度:1.0d、繊維長:51mm 混紡率:40%
繊度:1.5d、繊維長:64mm 混紡率:40%
繊度:2.0d、繊維長:64mm 混紡率:20%
接着性については、表3、表8から明らかなように、樹脂ドット数(P)が、75ドット/cm2より少ない場合、あるいは、樹脂ドットの高さが53μmより小さい場合、十分な接着性が得られていないことがわかる。
わたの吹き出しについては、表5、表11から明らかなように、樹脂ドット数(P)が、190ドット/cm2未満の場合、あるいは、樹脂ドットの高さが68μm未満の場合、わたの吹き出しが見られることがわかる。
2 中わた部材
3 布帛基布
4 樹脂ドット
Claims (5)
- シート状に形成された中わた部材と、
予めホットメルト樹脂が布帛全面にドット状に付与された布帛基布とが、該ホットメルト樹脂が付与された側の面と、該中わた部材とを対向させて接着された積層布帛であって、
前記ホットメルト樹脂で形成された樹脂ドットの数が、75〜190ドット/cm2であり、そして前記中わた部材と接着された後における前記樹脂ドットの高さが、70〜120μmであることを特徴とする積層布帛。 - 前記中わた部材の繊維素材が、キュプラ・アンモニウム・レーヨン、ビスコース・レーヨン、ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレート、ナイロン、綿、アクリル、および毛からなる群から選ばれる一種以上を含む、請求項1に記載の積層布帛。
- 前記中わた部材において、繊維素材の単糸繊度が0.3〜8.0dtxであり、繊維長が20〜60mmである、請求項1または2に記載の積層布帛。
- 前記布帛基布の繊維素材が、キュプラ・アンモニウム・レーヨン、ビスコース・レーヨン、ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレート、ナイロン、綿、アクリル、および毛からなる群から選ばれる一種以上を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層布帛。
- 以下の工程:
中わた部材をシート状に形成する工程、
布帛基布上にホットメルト樹脂をドット状に付与する工程、および
前記中わた部材と前記布帛基布とを、該ホットメルト樹脂が付与された側の面を、該中わた部材と対向させて接着する工程、を備え、
前記ホットメルト樹脂からなる樹脂ドットの数が、75〜190ドット/cm2であり、そして前記中わた部材と接着された後における該樹脂ドットの高さが、70〜120μmであることを特徴とする積層布帛の製造方法。
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