JP6397616B2 - カフェラテ風味を再現するミルク入りコーヒー - Google Patents

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Description

本発明は、缶入りやペットボトルなどの市販のミルク入りコーヒー飲料や、家庭で作るカフェラテにおいて、喫茶店やコーヒーショップなどで提供される、スチームフォーミングしたミルクを用いた本格的なカフェラテを再現できる技術に関するものである。
一般的に、カフェラテ、カフェオレ、カプチーノと呼ばれる配合のコーヒー(以下、本明細書では「カフェラテなど、或いは、カフェラテ様」と表記する)は、コーヒー豆の抽出液に全体容量の50%以上の牛乳を混ぜ合わせた配合のものであり、これにより牛乳の濃厚なコクとコーヒーの風味がバランスよく感じられることが、カフェラテなどの味覚特徴である。
一方、缶コーヒーに代表される容器詰めミルク入りコーヒー飲料は、公正競争規約におけるコーヒー飲料等の規約において、牛乳で5%以上含まれていれば、カフェラテやカフェオレという呼称で呼ぶことが可能であり、乳の含量が50%よりも少なくともカフェラテと呼ばれて販売されている。
また、家庭用の飲料製品で、インスタントコーヒーに乳及び乳製品、又は植物性の脂肪やデキストリン、カゼインナトリウム等の代替乳素材、更に砂糖などを加えてプレミックスした即溶粉末飲料等もカフェオレやカフェラテなどの名称で販売されている。
しかしながら、家庭用の飲料製品のカフェラテなどでは、コーヒー量と乳成分の配合量、及びバランスが喫茶店などで提供されるカフェラテなどとかけ離れ、更に喫茶店などで使用されるスチームドミルクを使用していないため、乳素材のやさしい甘さと滑らかさを伴う、本格的なカフェラテなどの味覚には程遠いのが実情である。
このようなメニューに用いられるスチームドミルクは、高圧蒸気を発生させることが可能な専用のエスプレッソマシンにより泡立てることで作られるのが通常であるが、このような機器は高額の上、高度な調理技術が必要であり、未だ専門店以外には普及しているとは言えず、スチームドミルクを用いた本格的なカフェラテなどの味わいを家庭で楽しむことは、容易ではない。
特に、容器詰めミルク入りコーヒー飲料の場合は、缶、PET容器、プラスチック製カップ、又は紙パックに充填され、流通、販売における賞味期限を担保するため、通常、殺菌処理としてレトルト殺菌またはUHT殺菌を行っている。一方、喫茶店、コーヒーショップなどで提供されるコーヒーではこのような殺菌処理は実施されず、従来から、容器詰めミルク入りコーヒー飲料では、このような加熱殺菌を行った後の特有のぬめりや切れ味の悪い香味の発生を防止する技術(例えば、特許文献1を参照。)、加熱殺菌時に生じる乳脂肪分の劣化を抑制する技術(例えば、特許文献2を参照。)が知られている。
特開2010−57435号公報 特開2002−101818号公報
上述の如く、家庭用の飲料製品のカフェラテなどでは、コーヒー量と乳成分の配合量、及びバランスが喫茶店などで提供されるカフェラテなどとかけ離れており、乳素材のやさしい甘さと滑らかさを伴う、本格的なカフェラテなどの味覚には程遠い。
上記状況に鑑みて、本発明は、スチームフォーミングしたミルクを用いた本格的なカフェラテなどの持つ、コーヒーの風味と牛乳の濃厚なコクとをバランスよく感じられ、乳のほのかな甘みと滑らかさを併せ持つ味覚を再現できるミルク入りコーヒーを提供することを目的とする。
本発明者らは、試行錯誤の結果、本格的なカフェラテなどの味覚を再現するために、コーヒーと乳固形分の最適な配合割合において、スチームドミルクの乳成分組成を添加することにより、コーヒーの風味と牛乳の濃厚なコクとをバランスよく感じられる味覚及び乳のほのかな甘みと滑らかさを再現するに至った。
本明細書において、「乳」は、食品衛生法に基づく「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」に挙げられる生乳(牛から絞った状態の生の乳)、牛乳(生乳100%、成分無調整で殺菌したもの)、成分調整牛乳(生乳100%、成分調整して殺菌したもの)、低脂肪牛乳(生乳100%、乳脂肪分0.5〜1.5%に成分調整して殺菌したもの)、加工乳(生乳、牛乳のほかに脱脂粉乳やバターなどの乳製品を原料として製造)などをいう。また、「乳製品」は、同省令(乳等省令)に挙げられるクリーム、バター、濃縮乳、脱脂濃縮乳、加糖れん乳(コンデンスミルクなど)、全粉乳、脱脂粉乳(スキムミルクなど)などをいう。
上記課題を解決すべく、本発明のミルク入りコーヒーは、ミルク入りコーヒー中のコーヒー豆抽出液に由来するBrix濃度をX、乳及び/又は乳製品の乳固形分の割合をY(%)としたとき、それらの配合割合が、3X≦Y≦12X(但し、0.4≦X≦2.0,Y≦11.2)で表される範囲であり、所定量の乳糖及び乳脂肪が添加されたことを特徴とする。
本発明のミルク入りコーヒーにおいて、乳糖は、乳及び/又は乳製品に含まれる乳タンパク質に対して、1.5〜4.5倍量となるように添加されたことが好ましい。所定量の乳糖を添加することにより、本来のカフェラテなどの甘さを再現する。
ここで、乳糖を添加後の合計乳糖量が、乳タンパク質に対して1.5倍量に満たない場合、甘さ不足と感じさせることになる。一方、乳糖を添加後の合計乳糖量が、乳タンパク質に対して4.5倍量を超える場合、甘さを過剰に感じさせることになる。
さらに、本来のカフェラテなどの甘さを再現する乳糖の添加量は、殺菌強度によって変化させる必要がある。傾向として、後述する実施例に説明するように、乳タンパク質に対する添加後の合計乳糖量は、ミルク入りコーヒー中のコーヒー豆抽出液に由来するBrix濃度と乳固形分の配合割合の範囲内で、乳固形分の量を増加させたときは乳糖の添加量を減少させ、乳固形分の量を減少させたときは乳糖の添加量を増加させる。このような傾向は、経験で得られた知見に基づくものである。
また、本発明のミルク入りコーヒーにおいて、乳脂肪は、乳及び/又は乳製品に含まれる乳タンパク質に対して、1.2〜2.4倍量となるように添加されたことが好ましい。所定量の乳脂肪を添加することにより、本来のカフェラテなどの滑らかな味わいを再現する。
ここで、乳脂肪を添加後の乳脂肪量が、乳タンパク質に対して1.2倍量に満たない場合、滑らかさ不足と感じさせることになる。一方、乳脂肪を添加後の乳脂肪量が、乳タンパク質に対して2.4倍量を超える場合、油脂感を際立って感じさせることになる。
次に、本発明のホワイトナーについて説明する。本発明のホワイトナーは、ミルク入りコーヒーに添加するホワイトナーであって、10gあたり、乳糖1〜6gと乳脂肪1〜2gが配合されたことを特徴とする。
家庭や喫茶店で調整するものや、市販されている牛乳分の多いミルクコーヒーに対して、本発明のホワイトナーを用いることにより、スチームフォーミングしたミルクを用いた本格的なカフェラテなどと同じような、ミルクのほのかな甘みと滑らかさを付与することができる。
また、本発明のホワイトナーは、5〜10ml容量程度のポーション状の容器やスティック状の容器等に入れて使用する。
本発明のホワイトナーは、ミルクにスチームを導入し、加温、泡立てたスチームドミルク(フォームドミルク)では、泡沫部と液体部において、含まれる乳固形のうち、乳糖と乳脂肪の割合が高くなることの知見を得て、乳糖と乳脂肪の含有率の変化がスチームドミルクのほのかな甘みと滑らかさに起因することを明らかにし、完成されたものである。
なお、ホワイトナーの商品形態としては、液状でも粉末状でもクリームパウダー状でも構わない。ホワイトナーの商品形態が液状の場合、乳糖1〜6gと乳脂肪1〜2gに対して、水を加えて全体を10g、すなわち、ホワイトナーの容量を約10mlにする。
次に、本発明の本格的なカフェラテの味覚を有するミルク入りコーヒーの製造方法について説明する。
本発明の本格的なカフェラテの味覚を有するミルク入りコーヒーの製造方法は、下記1)〜5)を少なくとも備える。
1)コーヒー豆から抽出液を取得する工程
2)乳と乳製品の少なくとも何れかを調合する工程
3)ミルク入りコーヒー中のコーヒー豆抽出液に由来するBrix濃度をX、乳と乳製品の少なくとも何れかの乳固形分の割合をY(%)としたとき、それらの配合割合が、3X≦Y≦12X(但し、0.4≦X≦2.0,Y≦11.2)で表される範囲となるように、コーヒー豆抽出液と、乳と乳製品の少なくとも何れかとを混合する工程
4)乳と乳製品の少なくとも何れかに含まれる乳タンパク質に対して、乳糖が2.1〜4.5倍量、乳脂肪が1.2〜1.4倍量となるように調製して、乳糖及び乳脂肪を添加する工程
5)混合液に対して均質化処理を行う工程
上記の工程1)のコーヒー豆から抽出液を取得する工程において、好ましくはpH調整剤を添加する。pH調整剤とは、殺菌時におけるpH低下を緩和しうる成分で、水に溶解した時にアルカリ性を示す物質をいう。具体的には、重曹(炭酸水素ナトリウム)、炭酸カリウム、水酸化カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウムなどである。pH調整剤を入れていなpHの低い抽出液に乳成分を入れると、乳タンパク質が変性して、沈澱等を起こす可能性がある。そのため、コーヒー豆の抽出液に、pH調整剤を添加混合する。
上記の工程2)において、乳乳製品の少なくとも何れかを調合する際に、乳化剤安定剤を加えて溶解させることでもよい。ここで、乳化剤とは、乳化の効果を持つ添加物のことをいい、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどである。これらの添加剤を適宜配合する。
上記の工程3)と工程4)が本発明の本質であり、コーヒー豆抽出液と乳製品の少なくとも何れかを所定の配合で混合し、それらに乳糖及び乳脂肪を添加することが、本格的なカフェラテなどの味覚を再現するのに重要な工程となる。なお、乳糖及び乳脂肪に乳化剤を加えてもよい。乳乳原料、並びに乳糖及び乳脂肪に乳化剤を加える理由は、乳原料に含まれる、乳脂肪、乳タンパク質を乳化剤等で皮膜保護して、製造時での殺菌、及び賞味期限内の品質の安定性(脂肪の凝集、タンパク質の沈澱)を図るためである。
上記の工程5)の均質化処理とは、混合液を撹拌するなどして均質にする処理である。
上記の工程2)〜4)の各工程については、順番に行っても、同時に行っても構わない。例えば、調合タンクに予め殺菌処理を施した乳、乳製品、乳糖及び乳脂肪を加えて、その上で乳化剤を加えても構わない。
上記の工程1)〜5)で得られたミルク入りコーヒーは、更に、混合液を容器に充填してレトルト殺菌するか、混合液をUHT殺菌して容器に充填する。
容器としては、ボトル缶、PET容器、プラスチック製カップ、又は紙パックなどが好適に用いられる。
また、上記の乳タンパク質に対する乳糖の添加量において、乳乳製品の少なくとも何れかの殺菌処理を施すときは、上記の配合割合の範囲内で乳糖の添加量を増加させことがより好ましい。このことは、後述の実施例で実験データとして示すが、経験で得られた知見に基づくものである。
本発明のミルク入りコーヒーの製造方法によれば、スチームフォーミングしたミルクを用いた本格的なカフェラテなどの持つ、コーヒーの風味と牛乳の濃厚なコクとをバランスよく感じられ、乳のほのかな甘みと滑らかさを併せ持つ味覚を再現できる。

ミルク入りコーヒーの作製フロー コーヒー豆抽出液のBrix濃度と乳(乳製品)の乳固形分の配合マトリクス(1) コーヒー豆抽出液のBrix濃度と乳(乳製品)の乳固形分の配合マトリクス(2)
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
(配合割合の検証試験について)
実施例1では、ミルク入りコーヒー中のコーヒー豆抽出液に由来するBrix濃度をX、乳及び/又は乳製品の乳固形分の割合をY(%)としたとき、それらの配合割合が、3X≦Y≦12X(但し、0.4≦X≦2.0,Y≦11.2)で表される範囲であるものが、スチームフォーミングしたミルクを用いた本格的なカフェラテの持つ、コーヒーの風味と牛乳の濃厚なコクとをバランスよく感じられることを示す。
先ず、ミルク入りコーヒーの作製フローについて、図1を参照して説明する。図1では、缶コーヒーの作製フローを示している。一般的に、缶、ボトル缶の場合は、飲料を容器に充填してから蓋をして、容器ごとレトルト殺菌を行う。一方、PETボトルの場合は、PET容器、蓋は過酢酸溶液などで殺菌を行い、飲料はUHT殺菌を行い、無菌環境で充填を行う。
図1のフローにおいて、先ず、コーヒー豆から抽出液を取得し、重曹(pH調整剤)を添加混合する(ステップS1)。殺菌処理が施された乳及び乳製品に乳化剤を溶解させる(ステップS2)。この時、乳化剤と安定剤を加えてもよい。そして、ミルク入りコーヒー中のコーヒー豆抽出液に由来するBrix濃度をX、乳及び乳製品の乳固形分の割合をY(%)としたとき、それらの配合割合が、3X≦Y≦12X(但し、0.4≦X≦2.0,Y≦11.2)で表される範囲となるように、コーヒー豆抽出液と、乳及び乳製品を混合する(ステップS3)。そして、混合液に、乳糖及び乳脂肪に乳化剤を加えて添加する(ステップS4)。混合液に対して均質化処理を行う(ステップS5)。最後に、混合液を容器に充填し(ステップS6)、容器をレトルト殺菌する(ステップS7)。
検証試験に用いたミルク入りコーヒーは、すべて殺菌乳(乳固形分11.8%)に乳化剤等を加えて溶解してから、コーヒー抽出液と混合し、調整水を規定容量まで加えたのち、均質化処理を施したものを缶へ充填・巻き締めをしてレトルト殺菌処理を施すことで試作したものを用いた。
また、殺菌後のpHはすべて6.4〜6.8の範囲となるよう調製した。
下記表1は、ミルク入りコーヒー中のコーヒー豆抽出液に由来するBrix(以下、「コーヒー豆抽出液のBrix」を呼ぶ)を0.8として、乳固形量(%)がBrixの2倍(1.6%)、3倍(2.4%)、4倍(3.2%)になるように配合して、それぞれ官能試験を行った結果を示したものである。
また、下記表2は、コーヒー豆抽出液のBrixを1.5として、乳固形量(%)がBrixの2倍(3.0%)、3倍(4.5%)、4倍(6.0%)になるように配合して、それぞれ官能試験を行った結果を示したものである。
また、下記表3は、コーヒー豆抽出液のBrixを0.5として、乳固形量(%)がBrixの10倍(5.0%)、12倍(6.0%)、14倍(7.0%)になるように配合して、それぞれ官能試験を行った結果を示したものである。
さらに、下記表4は、コーヒー豆抽出液のBrixを0.8として、乳固形量(%)がBrixの10倍(8.0%)、12倍(9.6%)、14倍(11.2%)になるように配合して、それぞれ官能試験を行った結果を示したものである。
なお、表1〜4において、官能評価の結果表示については、コーヒー感、乳感に関して、「−」は“弱い”、「+」は“程よい”、「++」は“過剰”として評価したものであり、総合評価欄に関して、「○」は“カフェラテの味覚バランスが感じられる”、「×」は“カフェラテの味覚バランスが感じられない”として評価したものである。
上記の表1の結果から、コーヒー豆抽出液のBrixを0.8として、乳固形量(%)がBrixの2倍(1.6%)、3倍(2.4%)、4倍(3.2%)になるように配合したもので、3倍量、4倍量においては、コーヒーの風味と乳のコクを感じるカフェラテの味覚バランスとなることが確認できた。しかし、2倍量においては、乳のコクが弱すぎて、コーヒー感が目立ちすぎてしまうことが確認された。
また、上記の表2の結果から、コーヒー豆抽出液のBrixを1.5として、乳固形量(%)がBrixの2倍(3.0%)、3倍(4.5%)、4倍(6.0%)になるように配合したものでも、2倍量では乳のコクがコーヒーの苦みに消されてしまい、味覚のバランスが崩れることが確認された。
以上のことから、牛乳の固形量がコーヒー豆抽出液のBrixの3倍に満たない配合領域(図2の配合マトリクスにおける領域I)では、コーヒーの風味が強くなりすぎ、カフェラテの味覚バランスとはならないことが分った。
次に、上記の表3の結果から、コーヒー豆抽出液のBrixを0.5として、乳固形量(%)がBrixの10倍(5.0%)、12倍(6.0%)、14倍(7.0%)になるように配合したものでは、10倍量、12倍量では乳のコクを感じ、コーヒーのほのかな風味も感じられ、カフェラテの味覚バランスであったのに対して、14倍量では乳感が強くなりすぎ、コーヒーの風味が消されてしまい、バランスが悪くなることが確認された。
次に、上記の表4の結果から、コーヒー豆抽出液のBrixを0.8として、Brixの10倍(8.0%)、12倍(9.6%)、14倍(11.2%)になるように配合したものでは、10倍量、12倍量では乳のコクを感じ、コーヒーのほのかな風味も感じられ、カフェラテの味覚バランスであったのに対して、14倍量では乳感が強くなりすぎ、コーヒーの風味が消されてしまい、バランスが悪くなることが確認された。
以上の結果から、牛乳がコーヒー豆抽出液のBrixの12倍より多く含まれてしまう配合領域(図2の配合マトリクスにおける領域II)では、牛乳の味覚が強くなりすぎるため、コーヒーの風味が感じられなくなってしまうことが分った。
上記の試験結果により定まる配合範囲(図2の配合マトリクスにおける領域I及び領域II)に加えて、コーヒー豆抽出液のBrixが低すぎる場合、具体的にはBrixが0.4より低い場合には、コーヒーの風味をほとんど感じなくなることが確認された。また、Brixが2.0以上になってしまう場合や、牛乳の固形量が11.2%以上となる場合に関しては、コーヒー又は乳の濃度が高すぎて、通常飲用するカフェラテなどの味覚とはかけ離れた味覚となってしまうことが確認され、このような配合もカフェラテなどの味覚として適切ではないことが分った。
以上の結果から、コーヒー豆抽出液のBrix濃度をX、乳及び/又は乳製品の乳固形分の割合をY(%)としたとき、それらの配合割合が、3X≦Y≦12X(但し、0.4≦X≦2.0,Y≦11.2)で表される範囲の配合領域(図2の配合マトリクスにおける領域III)の範囲であれば、上述したカフェラテなどの味覚、すなわち牛乳の濃厚なコクとコーヒーの風味のバランスを感じられるものが再現できることが分った。
(乳糖・乳脂肪添加量の検証試験について)
実施例2では、乳糖及び乳脂肪添加量の検証試験結果について説明する。
カフェラテの特徴として、牛乳の配合割合の高さの他に、蒸気により撹拌し、泡立てたスチームドミルクを使用している点が挙げられる。牛乳を蒸気により撹拌して泡立てるというスチーミング操作により、喫茶店などで提供される本格的なカフェラテ様の乳のほのかな甘みと口当たりの滑らかさが付与され、実施例1で述べた配合に由来する牛乳のコクとコーヒーの風味に加え、さらなる味覚特徴が生まれる。
上述したように、飲用時のカフェラテにおいて甘さと滑らかさを感じるのは、カップの上層の泡沫部ではなく、下層の液体部である。実際に、スチームドミルクの泡沫部と液体部を取り分けて成分分析したところ、スチーミング操作を行う前の牛乳に対し、スチーミング操作を行ったスチームドミルクの液体部では、乳固形分のうち、タンパク質に対する乳糖と乳脂肪の割合が増加していることが確認された。この結果から、スチーミング操作による味覚の変化は、この成分組成の変化が起因しているものと推察できる。
また、缶コーヒーなどのミルク入りコーヒーでは、それぞれの流通・販売温度や賞味期限内での微生物的な変敗を防ぐため、喫茶店のコーヒーメニューでは実施されない殺菌工程が必要とされている。
例えば、冷蔵庫で90日の保存が可能なものでは、殺菌F値でF=6の殺菌、常温で一年間の保存が可能なものでは、F=30の殺菌が施されている。F=30の殺菌が施される際に、乳成分の乳糖、乳脂肪が減少し、スチームドミルク(フォームドミルク)の液体部に比較して、乳糖、乳脂肪の含有率の低下が認められた。
これらの検証結果から、ミルク入りコーヒーにおいて、乳固形分に対して乳糖と乳脂肪を添加して、乳タンパク質に対する、乳糖、乳脂肪の比を調製することで、スチームドミルク(フォームドミルク)を用いた、本格的なカフェラテ様の牛乳の持つほのかな甘味と口当たりの滑らかさを再現するための、乳糖・乳脂肪の添加量を後述の検証試験によって説明する。
検証試験に用いたミルク入りコーヒーは、すべて殺菌乳(乳固形分11.8%)に乳化剤等を加えて溶解してから、コーヒー抽出液と混合し、また、この時、試験区によっては乳糖、乳脂肪をさらに添加し、調整水を規定容量まで加えた後に、均質化処理を施したものを缶へ充填・巻き締めをして殺菌処理を施すことで試作を行った。また、殺菌後のpH値は、すべて6.4〜6.8の範囲となるよう調製した。
1.本発明の配合に含まれるものに対する試験
図3に示す配合マトリクスに記した星形マーク(番号5〜8)の4種類の配合で、コーヒーと牛乳を配合したものに、乳糖・乳脂肪の添加量を種々の割合で添加して、官能試験を行った。
各々の試験結果を下記表5〜8に示す。表5〜8は、それぞれ、図3に示す配合マトリクスに記した星形マークの番号5〜8に対応する配合で、乳糖・乳脂肪の添加量の適量を調べたものである。
なお、表5〜12において、官能評価の結果表示については、乳の甘味、滑らかさに関して、「−」は“感じられない”、「±」は“わずか”、「+」は“程よい”、「++」は“過剰”として評価したものであり、総合評価欄に関して、「○」は“本格的なカフェラテの味覚である”、「×」は“本格的なカフェラテの味覚ではない”として評価したものである。
上記の表5〜8の結果、各々最適な割合で添加し、乳タンパク分に対する、乳糖、乳脂肪の割合が一定の範囲に収まる場合に、カフェラテの持つ乳のほのかな甘みとクリーミーな滑らかさを再現できることが確認できた。
また、最適な添加量はコーヒーの割合が低い配合に対しては乳脂肪を多めに、牛乳の割合が低いものに対しては乳糖を多めに配合してやればよいことが示された。また、乳糖、乳脂肪を添加しても、乳タンパク、乳糖、乳脂肪の成分比が最適な割合の範囲を満たさない場合には、効果を十分に感じられず、その範囲を超えてしまう場合には、口に残る強い甘さや油脂感が、コーヒーや牛乳の味を消してしまう傾向であった。
2.本発明の配合に含まれないものに対する試験
図3に示す配合マトリクスに記した星形マーク(番号9)の配合、すなわち、本発明の配合に含まれないものについて、乳糖・乳脂肪を添加して成分比を調製して官能試験を行った。
試験結果を下記表9に示す。表9は、図3に示す配合マトリクスに記した星形マークの番号9に対応する配合で、乳糖・乳脂肪の適量を調べたものである。
上記の表9の結果、実施例1で述べたカフェラテの配合範囲に含まれないものに対しては、乳糖、乳脂肪をいくら添加しても甘さや油脂感が際立ってしまうだけであり、カフェラテの味覚となることはなかったことが確認できた。
3.殺菌強度と乳糖・乳脂肪の添加量の関係についての試験
図3に示す配合マトリクスに記した星形マーク(番号10)の配合にて、乳糖、乳脂肪の割合を調製し、殺菌強度をF=6,30にて殺菌し、官能試験を行った。
殺菌強度F=6での乳糖、乳脂肪の添加量の試験結果を下記表10に示す。また、殺菌強度F=30での乳糖、乳脂肪の添加量の試験結果を下記表11,12に示す。下記表10に示す試験10−A及び下記表11に示す試験10−Bにおいては、市販のUHT殺菌乳を用いた。また、下記表11に示す試験9−Cについては、UHT殺菌乳に、さらにF=20の殺菌を施した。そのため、下記表12の試験10−Cでは、牛乳に対して合計でF=50の殺菌が施されていることになる。
上記の表10〜12の結果、同じ配合であっても、殺菌強度が強くなるほど、乳タンパクに対する、乳糖・乳脂肪の最適な比率は変化し、より多くの割合で配合する必要があることが確認できた。また、上記の表4〜8の結果と同様に、適量を越えて添加すると、甘さや油脂感が際立ってしまう傾向であった。
以上の結果から、実施例1で述べたコーヒー豆抽出物Brixと乳固形の配合範囲にあるものに対して、主とする原料成分の乳及び乳製品に含まれる、乳タンパク質に対して乳糖分は1.5〜4.5倍量となるように乳糖を添加し、乳脂肪分は1.2〜2.4倍量となるように乳脂肪を添加 することで、本格的なカフェラテの持つ味覚を再現することができたことがわかる。
(ホワイトナーについて)
実施例3では、ミルク入りコーヒーに添加することで、スチームドミルクを配合したようなミルクの甘さと滑らかさを付与させるホワイトナーの配合について説明する。
牛乳をカップ容量の50%以上混ぜたコーヒーに対して添加する場合、容量10mlあたり、1〜6gの乳糖と1〜2gの乳脂肪を配合させて、ホワイトナーを作製する。
Brix1.4のコーヒー豆抽出液70mlと牛乳70mlを混ぜ合わせたミルク入りコーヒーに対して、乳糖及び乳脂肪の配合が異なる4種類のホワイトナー(実施例3、比較例1〜3)を添加して、その味覚を評価した。
実施例3のホワイトナーは、乳糖2.5g及び乳脂肪0.5gを配合させて5ml容量にしたものであり、容量10mlあたり、5gの乳糖と1gの乳脂肪を配合させたホワイトナーである。この場合、ホワイトナー容量10mlは、約10gに相当する。
なお、表13において、官能評価の結果表示については、カフェラテ様の甘さと滑らかさに関して、「−」は“普通”、「±」は“良好”、「+」は“非常に良好”、「++」は“過剰”として評価したものであり、総合評価欄に関して、「○」は“本格的なカフェラテの味覚である”、「×」は“本格的なカフェラテの味覚ではない”として評価したものである。
・実施例3(乳糖2.5g、乳脂肪0.5g、すなわち、容量10mlあたり、5gの乳糖と1gの乳脂肪)
・比較例1(乳糖、乳脂肪が無し)
・比較例2(乳糖1g、乳脂肪0.1g、すなわち、容量10mlあたり、2gの乳糖と0.2gの乳脂肪)
・比較例3(乳糖5g、乳脂肪3g、すなわち、容量10mlあたり、10gの乳糖と6gの乳脂肪)
上記の表13の結果に示すように、実施例3のホワイトナーの場合、本格的なカフェラテ様のほのかな甘さと滑らかさが感じられたのに対して、比較例1〜3の場合、本格的なカフェラテ様のほのかな甘さと滑らかさが感じられなかった。


Claims (2)

  1. コーヒー豆からの抽出液を取得する工程と、
    乳と乳製品の少なくとも何れかを調合する工程と、
    ミルク入りコーヒー中のコーヒー豆抽出液に由来するBrix濃度をX、乳と乳製品の少なくとも何れかの乳固形分の割合をY(%)としたとき、それらの配合割合が、3X≦Y≦12X(但し、0.4≦X≦2.0,Y≦11.2)で表される範囲となるように、コーヒー豆抽出液と、乳と乳製品の少なくとも何れかとを混合する工程と、
    乳と乳製品の少なくとも何れかに含まれる乳タンパク質に対して、乳糖が2.1〜4.5倍量、乳脂肪が1.2〜1.4倍量となるように調製して、乳糖及び乳脂肪を添加する工程と、
    混合液に対して均質化処理を行う工程と、
    を少なくとも備えることを特徴とする本格的なカフェラテの味覚を有するミルク入りコーヒーの製造方法。
  2. 上記の乳タンパク質に対する乳糖の添加量において、
    乳と乳製品の少なくとも何れかの殺菌処理を施すときは、上記の配合割合の範囲内で乳糖の添加量を増加させることを特徴とする請求項1に記載の本格的なカフェラテの味覚を有するミルク入りコーヒーの製造方法。
JP2013231479A 2013-11-07 2013-11-07 カフェラテ風味を再現するミルク入りコーヒー Active JP6397616B2 (ja)

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