JP6396004B2 - 水性被覆材および塗装物 - Google Patents

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Description

本発明は、重合体粒子、重合体分散液、水性被覆材および塗装物に関する。
従来、塗料分野においては、環境保全、安全衛生の面から、有機溶剤系塗料から水系塗料への変換が図られている。しかし、水系塗料は有機溶剤系塗料に比べて塗膜外観、耐候性、耐水性、耐溶剤性、耐汚染性の塗膜性能が低いという課題がある。
そこで、これらの課題を解決するために、異なる性質を有する樹脂の粒子内混合物を含む塗料が提案されている。
例えば、特許文献1には、ウレタン樹脂の水性分散液中でアクリル系単量体を乳化重合することにより、ウレタン樹脂とアクリル系重合体が混合して粒子状となった重合体が記載されている。
また、塗料に関する記載はないが、例えば特許文献2にも、ウレタン樹脂とアクリル系重合体を用いた粒子状の重合体が記載されている。
また、近年、省エネルギーの面から、塗装後の乾燥工程において乾燥温度の低温化および乾燥時間の短縮化が求められている。したがって、低温、かつ短時間の不充分な乾燥条件下においても、耐水性および耐溶剤性を有する塗料が求められている。
特開2006−274096号公報 特開2008−88429号公報
しかしながら、特許文献1に記載の重合体粒子の分散液は、該分散液を製造する際の重合安定性が良好ではない。また、該重合体粒子の分散液を水性被覆材に用いた場合の該水性被覆材の塗料粘度特性および貯蔵安定性や、塗膜の耐溶剤性が不充分である。また、特許文献2に記載の重合体粒子の分散液を仮に水性被覆材に用いても、該水性被覆材の塗料粘度特性および貯蔵安定性や、塗膜の耐水性が不充分となる。
本発明は、重合安定性に優れ、かつ、水性被覆材に用いた際の塗料粘度特性および貯蔵安定性に優れる重合体分散液および該重合体分散液に含まれる重合体粒子を提供することを目的とする。
本発明は、乾燥条件が低温かつ短時間であっても、耐水性および耐溶剤性に優れる塗膜を形成できる水性被覆材と、該水性被覆材が塗布された塗装物とを提供することを目的とする。
本発明は以下の構成を有する。
[1]スルホン酸基を有するウレタン樹脂とアクリル系重合体とを同一粒子内に含み、電位差滴定法で測定した表面酸価が0.1〜19mgKOH/gである重合体粒子。
[2]前記アクリル系重合体が、ラジカル性重合性基を2つ以上有する単量体由来の繰りかえし単位を含む[1]に記載の重合体粒子。
[3]前記ラジカル性重合性基を2つ以上有する単量体由来の繰りかえし単位を0.05〜10質量%含む[2]に記載の重合体粒子。
[4]前記アクリル系重合体が、酸基含有ラジカル重合性単量体由来の繰りかえし単位を含み、前記酸基含有ラジカル重合性単量体由来の繰りかえし単位を0.008〜3.4質量%含む[1]〜[3]のいずれかに記載の重合体粒子。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の重合体粒子を含む重合体分散液。
[6][5]の重合体分散液を含む水性被覆材。
[7][6]に記載の水性被覆材が塗布された塗装物。
本発明によれば、重合安定性に優れ、かつ、水性被覆材に用いた際の塗料粘度特性および貯蔵安定性に優れる重合体分散液および該重合体分散液に含まれる重合体粒子を提供できる。
本発明によれば、乾燥条件が低温かつ短時間であっても、耐水性および耐溶剤性に優れる塗膜を形成できる水性被覆材と、該水性被覆材が塗布された塗装物とを提供できる。
以下、本発明の重合体粒子、該重合体粒子を含む重合体分散液、該重合体分散液を含む水性被覆材、該水性被覆材が塗装された塗装物について、順次詳細に説明する。
<重合体粒子>
本発明の重合体粒子は、スルホン酸基を有するウレタン樹脂とアクリル系重合体とを同一粒子内に含む重合体粒子であって、例えば、スルホン酸基を有するウレタン樹脂の水分散液中で、アクリル系単量体混合物を重合する方法等で製造される。このような本発明の重合体粒子を含む重合体分散液を水性被覆材として用いると、乾燥条件が低温かつ短時間であっても、耐水性および耐溶剤性に優れる塗膜を形成できる。
[スルホン酸基を有するウレタン樹脂]
本発明の重合体粒子は、スルホン酸基を有するウレタン樹脂を重合体粒子内に含有する。ウレタン樹脂がスルホン酸基を有すると、該ウレタン樹脂は水への分散性に優れる。そのため、該ウレタン樹脂の水分散液中で、アクリル系単量体混合物を安定に乳化重合でき、その結果、スルホン酸基を有するウレタン樹脂とアクリル系重合体を同一粒子内に含む重合体粒子の分散液(重合体分散液)を安定に得ることができる。特に、アクリル系単量体混合物がカルボキシ基等の酸基を有する酸基含有ラジカル重合性単量体を含む場合において、乳化重合時の重合安定性が良好となる。また、スルホン酸基を有するウレタン樹脂は耐水性にも優れるため、耐水性に優れる塗膜を形成できる。
スルホン酸基を有するウレタン樹脂は、ジオール等のポリオール、多価イソシアネート化合物と、スルホン酸基またはその塩を有する化合物とを反応させる方法;スルホン酸基を有するポリオールと、多価イソシアネート化合物とを反応させる方法;などで製造できる。
ジオールとは、1分子中に2つのヒドロキシル基を有する有機化合物である。具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の比較的低分子量のジオール類;これらのジオール類の少なくとも一種と、アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸の少なくとも一種とを重縮合して得られるポリエステルジオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリテトラメチレンエーテルジオール、ポリカーボネートジオール等のポリエーテルジオール類;ポリブタジエンジオール、水添ポリブタジエンジオール、ポリアクリル酸エステルジオール等が挙げられる。スルホン酸基を有するウレタン樹脂の製造時において、これらジオールを1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
多価イソシアネート化合物とは、1分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機化合物をいい、脂肪族、脂環式、芳香族等の多価イソシアネート化合物が挙げられる。多価イソシアネート化合物の具体例としては、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。スルホン酸基を有するウレタン樹脂の製造時において、これら多価イソシアネート化合物を1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。中でも、脂肪族または脂環式のイソシアネートは、得られるウレタン樹脂の黄変が少ないため好ましい。
スルホン酸基またはその塩を有する化合物とは、例えば、1,7−ジヒドロキシナフタリンスルホン酸等のヒドロキシスルホン酸;2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸、3,4−ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチルスルホン酸等のアミノスルホン酸などが挙げられる。スルホン酸基を有するウレタン樹脂の製造時において、これらスルホン酸基またはその塩を有する化合物を1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
スルホン酸基を有するポリオールとしては、1,4−ブタンジオール−2−スルホン酸等のスルホン酸基を含有するポリオール類;スルホン酸塩含有ポリエステルポリオール、スルホン酸塩含有ポリエーテルポリオール、スルホン酸塩含有ポリカーボネートポリオール等のスルホン酸塩含有ポリオール等が挙げられる。スルホン酸基を有するウレタン樹脂の製造時において、これらスルホン酸基を有するポリオールを1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
スルホン酸基を有するウレタン樹脂は、例えば、ジオキサン等のエーテル類中で、ジブチル錫ジラウレートなどの触媒を用いて、上述のとおり、ジオールと多価イソシアネート化合物とスルホン酸基またはその塩を有する化合物とを反応させる方法などで製造できる。
スルホン酸基を有するウレタン樹脂は、上述のとおり水分散液の形態であると、該水分散液中でアクリル系単量体混合物を安定に乳化重合できる点で好ましい。水分散液中におけるスルホン酸基を有するウレタン樹脂の平均粒子径は、キュムラント解析結果による平均粒子径として、1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることが好ましい。このような平均粒子径であれば、例えば水分散液及び水性被覆材の貯蔵安定性、塗膜の耐水性及び耐溶剤性がより向上する。平均粒子径は、水性被覆材に用いた際の塗料粘度特性及び貯蔵安定性の点から、10nm以上が好ましい。
水分散液中におけるスルホン酸基を有するウレタン樹脂の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましい。また、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。このような含有量であれは、該水分散液中でアクリル系単量体混合物を重合して得られる重合体分散液の固形分濃度を10〜80質量%の範囲に調整できる。重合体分散液の固形分濃度が上記範囲内であれば、これを水性被覆材として使用した場合の塗装性が良好となる。なお、重合体分散液の固形分濃度とは、スルホン酸基を有するウレタン樹脂とアクリル系重合体とを同一粒子内に含む重合体粒子の量である。
スルホン酸基を有するウレタン樹脂の水分散液としては、市販のウレタン水性重合体分散液(ウレタンディスパージョン:PUD)をそのまま用いることもできる。市販品としては、第一工業製薬(株)製「F−8082D」、住化バイエルウレタン(株)製「バイヒドロールUH650」、「インプラニールDLP−R」、「インプラニールDLU」、「インプラニールLP RSC 3040」、三洋化成工業(株)製「パーマリンUXA−3005」等が挙げられる。
[アクリル系重合体]
本発明の重合体粒子は、スルホン酸基を有する上述のウレタン樹脂とアクリル系重合体を同一粒子内に含み、電位差滴定法で測定した表面酸価が0.1〜19mgKOH/gの粒子である。表面酸価を上記範囲とするためには、アクリル系重合体を製造するために用いる単量体成分(アクリル系単量体混合物(ラジカル重合性単量体の混合物))中に、酸基含有ラジカル重合性単量体を適量含有させることが好ましい。これにより重合体粒子中のアクリル系重合体は、酸基含有ラジカル重合性単量体由来の繰りかえし単位を適量含むものとなり、重合体粒子の表面酸価が上記範囲内に調整される。
なお、ラジカル重合性単量体とは、ラジカル性重合性基を有する単量体であり、ラジカル性重合性基とは、ラジカル重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合、ラジカル重合可能な炭素−炭素不飽和三重結合、ラジカル開環重合可能な環などを含む基である。
(酸基含有ラジカル重合性単量体)
アクリル系単量体混合物が含有する酸基含有ラジカル重合性単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等の、カルボキシ基を含有し、ラジカル重合性基を好ましくは1つ有するラジカル重合性単量体が挙げられる。これらの単量体は、単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
酸基含有ラジカル重合性単量体の使用割合は、得られる水性被覆材の貯蔵安定性の点から、ウレタン樹脂とアクリル系単量体混合物の合計100質量%中、0.008〜3.4質量%であることが好ましい。このような使用割合で酸基含有ラジカル重合性単量体を用いると、該単量体由来の繰りかえし単位を同じ割合、すなわち、0.008〜3.4質量%含む重合体粒子が得られる。酸基含有ラジカル重合性単量体の使用割合は、0.03〜3.2質量%であることがより好ましく、0.1〜2.5質量%であることがさらに好ましく、0.1〜1.5質量%であることが最も好ましい。
(酸基含有ラジカル重合性単量体以外のラジカル重合性単量体)
アクリル系単量体混合物には、酸基含有ラジカル重合性単量体とともに、酸基含有ラジカル重合性単量体以外のラジカル重合性単量体を使用することが好ましい。このようなラジカル重合性単量体としては、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、ラジカル性重合性基を2つ以上を有する単量体(ただし、酸基を含有せず、上記酸基含有ラジカル重合性単量体には該当しない。)を少なくとも用いることが、塗膜の耐水性、耐溶剤性がより向上し、特に耐溶剤性が優れることから好ましい。ラジカル性重合性基を2つ以上を有する単量体は、水酸基等の基を有していてもよい。
ラジカル性重合性基を2つ以上有する単量体の具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルにヒドロキシ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のジオールと(メタ)アクリル酸のジエステル化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の1分子当たり3個以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸のポリエステル化合物;アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート、イソ(テレ)フタル酸ジアリル、イソシアヌル酸ジアリル、マレイン酸ジアリルトリス(2−アクリロイルオキシエチレン)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、1,3−ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系単量体等が挙げられる。
これらの中でも、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、イソ(テレ)フタル酸ジアリル、イソシアヌル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等のアリル基を有するラジカル重合性単量体が好ましい。ラジカル性重合性基を2つ以上有する単量体は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
ラジカル性重合性基を2つ以上有する単量体の使用割合は、ウレタン樹脂とアクリル系重合体の合計質量100質量%中、0.05〜10質量%であることが好ましい。このような使用割合でラジカル性重合性基を2つ以上有する単量体を用いると、該単量体由来の繰りかえし単位を同じ割合、すなわち、0.05〜10質量%含む重合体粒子が得られる。使用割合が0.05質量%以上であれば、耐溶剤性、耐水性に優れた塗膜が得られる。10質量%以下であれば、柔軟性、耐凍害性、耐チッピング性を低下させることなく、耐溶剤性、耐水性に優れた塗膜が得られる。0.25〜8質量%であることがより好ましく、0.5〜6質量%であることが更に好ましく、1.0〜4.5質量%であることが最も好ましい。
酸基含有ラジカル重合性単量体以外のラジカル重合性単量体としては、ラジカル性重合性基を1つ有する単量体(ただし、酸基を含有せず、上記酸基含有ラジカル重合性単量体には該当しない。)も使用できる。
このような単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基含有ラジカル重合性単量体;メトキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート等のアルキル基末端型ポリアルキレンオキシド基含有ラジカル重合性単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のオキシラン基含有ラジカル重合性単量体;ダイアセトンアクリルアミド等のカルボニル基含有エチレン性不飽和単量体;1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート等の光安定化作用を有する(メタ)アクリレート;2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性成分を有する(メタ)アクリレート;2−アミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有ラジカル重合性単量体;ジ(メタ)アクリル酸亜鉛等の金属含有ラジカル重合性単量体;(メタ)アクリロニトリル、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート等のその他の(メタ)アクリル系単量体;スチレン、メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン等のラジカル重合性単量体等が挙げられる。これらは1種単独で使用して、2種以上を併用してもよい。
酸基含有ラジカル重合性単量体以外のラジカル重合性単量体としては、ラジカル性重合性基を1つ有し、かつ、水酸基を有する単量体(以下、単に「水酸基含有ラジカル重合性単量体」ともいう。)も使用できる。水酸基含有ラジカル重合性単量体を含むアクリル系単量体混合物を使用すると、水酸基を含有するアクリル系重合体を製造でき、さらには、水酸基を含有する重合体粒子を製造できる。このように水酸基を有する重合体粒子は、例えばメラミン架橋剤、イソシアネート硬化剤等の硬化剤との架橋反応が可能となる。そのため、水性被覆材に、水酸基を有する重合体粒子とともにメラミン架橋剤、イソシアネート硬化剤等の硬化剤を含有させることによって、得られる塗膜の耐水性および耐溶剤性等を向上させることができる。また、水酸基を有する重合体粒子は、水性媒体中および水性被覆材中での分散安定性にも優れる。
このような水酸基含有ラジカル重合性単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;前記(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール、さらに、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート(ヒドロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート)、分子末端が水酸基であるポリオキシプロピレン鎖を有する(メタ)アクリレート(ヒドロキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート)等の末端ヒドロキシ型ポリアルキレンオキシド基含有ラジカル重合性単量体)等を挙げることができる。これらの単量体は、1種単独で使用しても2種以上併用してもよい。なかでも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
酸基含有ラジカル重合性単量体以外のラジカル重合性単量体の使用割合は、特に制限はないが、重合体粒子におけるスルホン酸基を有するウレタン樹脂とアクリル系単量体混合物との質量比が、後述の好適な範囲内となるように、酸基含有ラジカル重合性単量体の使用量も勘案しつつ、決定することが好ましい。
ただし、水酸基含有ラジカル重合性単量体を使用する場合には、その使用割合は、得られる重合体分散液の水性媒体中における安定性、得られる塗膜の耐水性、耐溶剤性の観点から、ウレタン樹脂とアクリル系重合体の合計質量100質量%中、0.1〜10質量%が好ましい。このような使用割合で水酸基含有ラジカル重合性単量体を用いると、該由来の繰りかえし単位を同じ割合、すなわち、0.1〜10質量%含む重合体粒子が得られる。使用割合は0.3〜8質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。
本発明の重合体粒子において、スルホン酸基を有するウレタン樹脂とアクリル系単量体混合物との質量比は、スルホン酸基を有するウレタン樹脂/アクリル系単量体混合物=(10〜90)/(90〜10)であることが好ましく、(15〜85)/(85〜15)であることがより好ましく、(20〜80)/(80〜20)であることが更に好ましく、(30〜70)/(70〜30)であることが特に好ましい。なお、この場合、スルホン酸基を有するウレタン樹脂とアクリル系単量体混合物の総質量を100とする。
スルホン酸基を有するウレタン樹脂の質量割合が、前述の総質量100質量%中、10〜90質量%の範囲であれば、塗膜の耐水性、耐吸水性、耐加水分解性、樹脂相溶性、塗装機洗浄性を低下させることなく、塗膜の乾燥性、および耐溶剤性が向上する。
本発明の重合体粒子の表面酸価は、0.1〜19mgKOH/gであり、好ましくは0.5〜17.5mgKOH/g、より好ましくは1〜10mgKOH/g、最も好ましくは1〜7mgKOH/gである。重合体粒子の表面酸価が、0.1mgKOH/g以上であれば、水性被覆材とした際の、塗料粘度特性が発現しやすく、貯蔵安定性が良好となり、19mgKOH/g以下であれば、重合安定性や塗膜の耐水性を低下させることなく、水性被覆材とした際の、塗料粘度特性、貯蔵安定性が良好となる。
ここで、表面酸価とは、試料1g中に含まれる粒子の表面に存在する酸性成分を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数である。
電位差滴定法とは、溶液中の目的成分の濃度変化に対応した電位差の変化を測定して終点を決定する方法である。既知の濃度の重合体分散液を、水酸化カリウムを滴定液とし、電位差滴定を行うことで重合体粒子の表面酸価を求めることができる。
<重合体粒子の製造方法>
本発明のスルホン酸基を有するウレタン樹脂とアクリル系重合体とを含む重合体粒子の製造方法には特に制限はないが、例えば、アクリル系単量体混合物を、スルホン酸基を有するウレタン樹脂の水分散液中で重合することにより、重合体粒子が水性媒体中に分散した分散液(重合体分散液)の形態で、目的の重合体粒子を得ることができる。
アクリル系単量体混合物の重合は、例えば、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により行える。特に、水性被覆材の貯蔵安定性、塗膜の耐水性、耐溶剤性等の諸物性の点から、乳化重合法によりエマルション形態の重合体分散液を得ることが望ましい。
乳化重合は、例えば、界面活性剤の存在下、アクリル系単量体混合物を重合系内に供給し、ラジカル重合開始剤により重合を行わせる公知の方法を採用できる。
アクリル系単量体混合物の重合は1段の重合であっても、2段以上の多段重合であってもよい。特に、酸基含有ラジカル重合性単量体由来の酸基を重合体粒子の表層に局在化させる観点から、2段以上の多段重合を用い、少なくとも最終段に使用するアクリル系単量体混合物に、酸基含有ラジカル重合性単量体を含有させることが好ましい。
重合系中へのアクリル系単量体混合物の供給手法としては、特に限定されず、アクリル系単量体混合物を滴下する手法;界面活性剤および水を使用して、アクリル系単量体混合物をあらかじめ乳化分散させたプレ乳化液を調製し、該プレ乳化液を滴下する手法;アクリル系単量体混合物を一括で投入する手法;が挙げられる。多段重合である場合は、これらの手法のうちの2種以上を併用してもよい。2段以上の多段重合を採用する場合には、1段目は、アクリル系単量体混合物を一括で投入する手法を採用し、2段目以降はプレ乳化液を滴下する手法を採用することが好ましい。
1段目のアクリル系単量体混合物を一括で投入して乳化重合することで、滴下重合と比較して、ウレタン樹脂内部で均一に重合体が生成し、さらに一括重合であることによりこの重合体を高分子量体とすることができるため、塗膜の耐水性および耐溶剤性が向上する。また、2段目以降については、プレ乳化液を滴下する手法で乳化重合することで、重合安定性が向上する。
アクリル系単量体混合物の重合に用いられる重合開始剤としては、一般的にラジカル重合に使用されるものが使用可能であり、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等の油溶性アゾ化合物類;2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)およびその塩類、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}およびその塩類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)およびその塩類、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]およびその塩類等の水溶性アゾ化合物;過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物類が挙げられる。
これらの開始剤は、1種のみを単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
1段目の工程において用いるラジカル重合開始剤の添加量は、1段目に供されるアクリル系単量体混合物の総質量100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましい。重合の進行や反応の制御を考慮に入れると、0.005〜10質量部であることがより好ましい。また、最終的に得られる重合体粒子の高分子量化による耐水性、耐溶剤、耐候性の向上の観点から0.005〜1質量部であることが更に好ましい。また、最終的に得られる重合体分散液の粗粒率を低減させるという観点から、より好ましくは0.005〜0.5質量部、さらに好ましくは0.005〜0.2質量部、特に好ましくは0.005〜0.09質量部である。
ここで、「粗粒率」とは、重合中に重合体が合一などを起こし、平均粒子径が1μmを超える粒子状になったものなどを意味し、例えば粒子径の測定や、重合後にメッシュ等でろ過した後に、メッシュ上に残った粒子状の重合体の重量を測定することによって、評価することができる。
2段目以降の工程において用いるラジカル重合開始剤の添加量は、各段に供されるアクリル系単量体混合物の総質量100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましい。このうち、重合の進行や反応の制御を考慮に入れると、0.02〜5質量部であることがより好ましい。
重合においては、重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤を前述のラジカル重合開始剤と組み合わせて用いることが好ましい。
このうち、重合の進行、塗膜の耐水性および耐候性の点から、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物類と硫酸第一鉄、アスコルビン酸塩等の組み合わせを採用することがより好ましい。
重合においては、必要に応じて乳化剤を使用できる。乳化剤を使用すると、乳化重合時の重合安定性を向上でき、凝集物を低減させることができる。この場合、得られた重合体分散液は、乳化剤を含有することになる。
乳化剤の含有量は、通常、各段に供されるアクリル系単量体混合物の総質量100質量部に対して、0.05〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは0.5〜2質量部である。
乳化剤としては、以下の、アニオン性、カチオン性、ノニオン性の界面活性剤や、反応性界面活性剤を用いることができる。
アニオン性界面活性剤としては、オレイン酸カリウム、ラウリル酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリル燐酸エステル等の非反応性界面活性剤、およびアルキルアリルスルホコハク酸塩(例えば三洋化成(株)製:エレミノール(登録商標)JS−2、花王(株)製:ラテムル(登録商標)S−180A、S−180等が挙げられる。)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(例えば、第一工業製薬(株)製:アクアロン(登録商標)HS−10,HS−5,BC−10,BC−5等が挙げられる)、α−スルホ−ω−(1−(ノニルフェノキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩(例えば、旭電化工業(株)製:アデカリアソープ(登録商標)SE−10,SE−1025A等が挙げられる)、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(例えば、第一工業製薬(株)製:アクアロン(登録商標)KH−10等が挙げられる)、α−スルホ−ω−(1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩(例えば、旭電化工業(株)製:アデカリアソープ(登録商標)SR−10,SR−1025等が挙げられる)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム塩(例えば、花王(株)製:ラテムル(登録商標)PD−104等が挙げられる)等の反応性界面活性剤等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、ステアリルアミン塩酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライド等の非反応性界面活性剤等が挙げられる。
ノニオン性界面活性としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピルブロックポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の非反応性界面活性剤、α−ヒドロ−ω−(1−アルコキシメチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル))(旭電化工業(株)製:アデカリアソープER−10,ER−20,ER−30,ER−40)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(第一工業製薬(株)製:アクアロンRN−20,RN−30,RN−50)、ポリオキシアルキルアルケニルエーテル(花王(株)製:ラテムルPD−420,PD−430,PD−450)等の反応性界面活性剤等が挙げられる。
また、両イオン性成分として、両イオン性の界面活性剤を用いることもできる。
これらの乳化剤は、1種または2種以上を選択して用いることができる。
本発明の重合体分散液は、重合後、塩基性化合物を添加して、pH6.5〜11.0程度に調整することが好ましい。これにより重合体分散液の安定性および水性被覆材の貯蔵安定性が向上する。
このような塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。このうち、重合体分散液の安定性の観点から、アミン系の化合物が好ましく、2−ジメチルアミノエタノールを用いることが好ましい。
本発明の重合体粒子の平均粒子径は、塗膜の成膜性、耐水性、耐吸水性、耐加水分解性、および耐溶剤性の観点から、10〜1000nmであることが好ましく、30〜500nmであることがより好ましく、50〜400nmであることが更に好ましく、70〜300nmであることが特に好ましい。
なお、本明細書において重合体粒子の平均粒子径は、大塚電子(株)製濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000を用いて室温下にて測定を行い、キュムラント解析により算出した値である。
また、本発明の重合体分散液中の固形分濃度(重合体粒子の濃度)は、10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましい。重合体分散液中の固形分濃度が、10〜80質量%であれば、水性被覆材とする際の粘度調整や、最終固形分を調整し易いため好ましい。
<水性被覆材>
本発明の水性被覆材は、重合体分散液を含み、好ましくはさらに各種添加剤を含む。
添加剤としては、例えば、各種顔料、樹脂ビーズ、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、硬化触媒、艶消し剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤、可塑剤、増粘剤、溶剤等の各種添加剤などが挙げられ、これらのうちの1種以上を使用できる。
また、水性被覆材には、他の重合体粒子(例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキド樹脂等の他の重合体からなる分散粒子)、水溶性樹脂・粘性制御剤、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、カルボキシル基含有化合物、カルボキシル基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、エポキシ基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物等の硬化剤が混合されていてもよい。
顔料としては、例えば、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料等を挙げることができる。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料等が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイト等が挙げられる。
光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母、ガラスフレーク、ホログラム顔料等が挙げられる。
これらは1種以上を使用できる。
本発明の水性被覆材は、さらに溶剤を含んでもよい。
溶剤としては、水性塗料に通常用いられているものを使用することができる。このような溶剤としては、例えば、炭素原子数5〜14の直鎖状、分岐状または環状の脂肪族アルコール類;芳香族基を含有するアルコール類;一般式HO−(CHCHXO)−R(Rは炭素原子数1〜10の直鎖または分岐状のアルキル基であり、Xは水素原子またはメチル基であり、pは5以下の整数である。)で表される(ポリ)エチレングリコール、または(ポリ)プロピレングリコール等のモノエーテル類;一般式RCOO−(CHCHXO)−R(R、Rは炭素原子数1〜10の直鎖または分岐状のアルキル基であり、Xは水素原子またはメチル基であり、qは5以下の整数である。)で表される(ポリ)エチレングリコールエーテルエステル、または(ポリ)プロピレングリコールエーテルエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールのモノまたはジイソブチレート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブタノールアセテート、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノールアセテート等が挙げられる。
これらのうち、炭素原子数5〜14の直鎖状、分岐状または環状の脂肪族アルコール類が好ましく、炭素数7〜14のアルコール系疎水性溶媒が更に好ましく、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコール系疎水性溶媒が特に好ましい。
水性被覆材における重合体粒子の濃度は、1〜80質量%であることが好ましく、2〜70質量%であることがより好ましい。この範囲であれば、塗料粘度特性、塗膜の耐水性および耐溶剤性に優れる。
また、水性被覆材が、本発明の重合体粒子以外の他の重合体粒子を含む場合、重合体粒子100質量部に対して、5000質量部以下であることが、塗料粘度特性、塗膜の耐水性および耐溶剤性の点で好ましい。
<塗装物>
本発明の塗装物とは、本発明の重合体分散液を含有する水性被覆材が塗布された塗膜を有する塗装物である。
水性被覆材を塗布して塗膜を形成させる箇所に特に制約はなく、種々の物品(以下、便宜的に「基体」と称する。)に成膜して塗装物とすることができる。
基体としては、例えば、自動車車体の外板部、自動車内装基材、家庭電気製品の外板部、セメントモルタル、スレート板、石膏ボード、押し出し成形板、発泡性コンクリート、金属、ガラス、磁器タイル、アスファルト、木材、防水ゴム材、プラスチック、珪酸カルシウム基材、塩ビシート、FRP(Fiber Reinforced Plastics)、天然皮革、合成皮革、繊維等が挙げられる。
本発明の水性被覆材を塗布することにより得られる塗膜を有する塗装物の具体例としては、例えば、乗用車・トラック・オートバイ・バスの内外装、建材、建物内外装、窓枠、窓ガラス、構造部材、板材、機械装置や物品の外装、防塵カバー、道路標識用反射板、視線誘導標示体、路面標示、各種表示装置、広告塔、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、道路用化粧板、信号機用光源カバー、屋外表示板、橋梁、ガードレール、トンネル内装、トンネル内照明装置、ガラス、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、テント、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、道路用鏡、車両用鏡、二輪車用計量カバーおよび計量盤、ガラスレンズ、プラスチックレンズ、ヘルメットシールド、ゴーグル、家屋並びに自動車および鉄道車両用窓ガラス、乗物風防ガラス、熱交換用フィン、種々の場所のガラス表面、ブラインド、タイヤホイール、屋根材、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、船底、機能性繊維、テレビやパソコン等の表示画面であるディスプレイ、および前記物品に貼付させるフィルム等が挙げられる。
(塗膜の形成方法)
水性被覆材を各種基体の表面に塗布する方法としては、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装、ローラーコート塗装、バーコート塗装、エアナイフコート塗装、刷毛塗り塗装、ディッピング塗装等の各種塗装法を適宜選択することができる。
水性被覆材の塗布量は、水性被覆材を塗布して得られる塗膜の乾燥後の膜厚で、通常約0.1〜100μmとなる量が好ましく、1〜50μmとなる量がより好ましく、10〜40μmとなる量が特に好ましい。
また、塗布後の乾燥温度は、常温乾燥(5〜35℃)、または35℃を超え200℃以下の範囲、すなわち、5〜200℃とすることが好ましい。特に本発明の水性被覆材は、乾燥条件が低温かつ短時間であっても、耐水性および耐溶剤性に優れる塗膜を形成できるため、省エネルギーの観点から常温乾燥(5〜35℃)または低温乾燥(35℃を超え100℃以下)を採用すること、すなわち5〜100℃で乾燥することが好ましく、5〜80℃で乾燥することがより好ましい。また、乾燥時間は、例えば30秒〜5分間が好ましい。本発明の水性被覆材によれば、水および溶剤の蒸発、粒子の融着が不充分な条件下でも、耐水性および耐溶剤性に優れる塗膜を形成できる。
また、塗布後の乾燥は、2工程以上で実施してもよい。例えばプレヒート、エアブローなどの予備工程を行った後、予備工程よりも高温において、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉等の乾燥炉を用いて本工程を行ってもよい。プレヒートを行う場合、その時間は30秒間〜15分間程度が好ましく、1〜10分間がより好ましく、2〜5分間がさらに好ましい。本工程の温度、時間は、上記の好ましい範囲内等から、適宜選択できる。
以上説明したように、本発明によれば、重合安定性に優れ、かつ、水性被覆材に用いた際の塗料粘度特性および貯蔵安定性に優れる重合体分散液および該重合体分散液に含まれる重合体粒子を提供できる。そして、本発明によれば、乾燥条件が低温かつ短時間であっても、耐水性および耐溶剤性に優れる塗膜を形成できる水性被覆材と、該水性被覆材が塗布された塗装物とを提供できる。また、本発明の水性被覆材により塗膜が形成された塗装物は、優れた塗膜外観、耐溶剤性、耐水性、耐吸水性、耐加水分解性をも発現することができる。
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、特にことわりのない限り、本実施例における「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。また、本実施例における重合体分散液および水性被覆材についての測定、評価等は、以下に示す方法で行った。
また、各例において重合体分散液を製造した際の各成分の配合部数等を表1〜4に示し、各例での測定結果、評価結果等を表5〜7に示した。
[重合体粒子の表面酸価]
重合体分散液2gを脱イオン水100gで希釈し、電位差自動滴定装置(京都電子工業(株)製、AT−610)を用いて電位差滴定を行い、下記式(1)より重合体粒子の表面酸価を算出した。滴定液には、0.1mol/L水酸化カリウム溶液/メタノール性(関東化学(株)製)を用いた。
A=(B×0.1×f×56.1)/S (1)
式(1)中の記号は以下の値を表す。
A:重合体粒子の表面酸価(mgKOH/g)
B:水酸化カリウムの滴定量(mL)
f:水酸化カリウムの校正係数
S:重合体粒子の質量(g,固形分)
[水性被覆材の粘性(Ti)]
水性被覆材を250mlのポリエチレン製容器に入れて蓋をし、25℃の恒温槽に3時間放置して、温度が25℃になったところで、B型粘度計(TOKI SANGYO Co.製、TV−10M型、#3ローター)で6rpmの粘度ηを測定後、直ちに60rpmの粘度を測定し、60rpmでの粘度η(60rpm)と6rpmでの粘度η(6rpm)とから、下記式(2)よりTiを算出した。
Ti=η(6rpm)/η(60rpm) (2)
なお、本願発明においてTi値は4.5〜8.5であれば、良好な粘性を有すると判断できる。
[水性被覆材の貯蔵安定性]
粘性を測定した水性被覆材を、40℃雰囲気下で10日間静置後、25℃の恒温槽に3時間放置して、温度が25℃になったところで、B型粘度計で6rpmの粘度を測定し、下記式(3)より粘度変化率を算出した。
A={(η2−η1)/η1}×100 (3)
ここで、式(3)中の記号は以下の値を示す。
A:粘度変化率(%)
η1:初期粘度(mPa・s,6rpm)
η2:40℃×10日静置後の粘度(mPa・s,6rpm)
なお、粘度変化率(%)は、−50〜+50%の範囲内であれば、良好と判断できる。
[塗膜の耐水性、耐溶剤性]
(評価用試験板の作製)
黒色アクリル板(TP技研製、板厚2mm、縦150mm×横70mm)に、各例で得られた水性被覆材を20℃の雰囲気下でバーコーター#40にて塗装し、低温かつ短時間の乾燥条件(80℃、3分間)で乾燥した。その後、室温で30分間放置したものを、耐溶剤性、耐水性の評価用試験板とした。塗膜の乾燥後の膜厚は約20μmとした。
(耐水性の評価)
評価用試験板を40℃の温水中に10日間浸漬した後に取り出し、2時間室温乾燥後のΔLを耐水性の指標とした。
なお、ΔLとは、「40℃の温水中に10日間浸漬した後に取り出し、2時間室温乾燥後の塗膜のL値」から「試験前塗膜のL値」を差し引いた値である。L値は「明度(白さ)」の指標であり、MINOLTA製CR−300にて測定した。ΔLが1.5以下であると良好な耐水性を有すると判断できる。
(耐溶剤性の評価)
評価用試験板をSOLVESSO 100(エクソンモービルケミカル製芳香族系溶剤)に30秒間浸漬し、引上げ直後にキムワイプにて塗膜表面に残存する溶剤を吸い取った。2時間室温乾燥した後の60°グロスの保持率(光沢保持率)およびΔL(溶剤への浸漬前後のL値の差)を耐溶剤性の指標とした。
なお、60°グロスの保持率(%)とは、試験前塗膜の60°グロスを「G1」、SOLVESSO100に30秒間浸漬し、引上げ直後にキムワイプにて塗膜表面に残存する溶剤を吸い取り、2時間室温乾燥した後の60°グロスを「G2」とすると、「(G2/G1)×100」で表される値である。60°グロスは日本電色工業(株)製PG−1Mにて測定した。また、60°グロスの保持率が90%以上で、ΔLが1.5以下であると良好な耐溶剤性を有すると判断できる。
[実施例1]
(重合体分散液の調製)
(1)1段目の重合工程(アクリル系単量体混合物を一括投入)
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、および滴下ポンプを備えたフラスコに、ウレタン樹脂としてポリエステル系ウレタン樹脂(商品名:インプラニール LP RSC 3040、住化バイエルウレタン(株)製、固形分40%):75部(固形分として30部)、脱イオン水:73.2部、ネオコールSWC(アニオン系界面活性剤、第一工業製薬(株)製、固形分70%):0.4部(固形分0.28部)、アデカリアソープER−10(ノニオン系界面活性剤、(株)ADEKA製):0.4部、ラジカル重合性単量体として、メチルメタクリレート:3.7部、ノルマルブチルアクリレート:43.4部、アリルメタクリレート:1.6部、トリアリルシアヌレート:0.7部を仕込み、フラスコを50℃に昇温した。その後、重合開始剤として、t−ブチルヒドロパーオキサイドの70%水溶液(商品名;カヤブチルH70、化薬アクゾ(株)製):0.02部(純分として0.014部)と、還元剤として、硫酸第一鉄:0.00020部、エチレンジアミン四酢酸(EDTA):0.00027部、アスコルビン酸ナトリウム:0.02部、脱イオン水:1部を添加した。また、重合発熱によるピークトップ温度を確認後、フラスコの内温を75℃に昇温して20分間保持した。
(2)2段目の重合工程(プレ乳化液を滴下)
次いで、上記(1)で得られた分散液に、還元剤として、アスコルビン酸ナトリウム:0.1部、脱イオン水:5部を添加して、75℃で10分間保持した後、メチルメタクリレート:11.43部、2−エチルヘキシルアクリレート:7.4部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート:1部、アリルメタクリレート:0.7部、アクリル酸:0.07部、ネオコールSW−C:0.4部(固形分0.28部)、アデカリアソープER−10:0.4部、脱イオン水:16部を含む予め乳化分散させたプレ乳化液と、t−ブチルヒドロパーオキサイド70%水溶液(商品名;カヤブチルH70、化薬アクゾ(株)製):0.03部(純分として0.021部)、脱イオン水:5部とを含む重合開始剤水溶液を1時間かけて滴下した。この滴下中はフラスコの内温を75℃に保持し、滴下が終了してから75℃で1.5時間保持した。その後、反応液を室温まで冷却し、アミン水溶液としてジメチルアミノエタノール:0.52部と脱イオン水:5部とを添加し、本発明の重合体粒子を含む分散液(重合体分散液)を得た。
そして、得られた重合体粒子の表面酸価、平均粒子径を測定した。固形分濃度を表に示す。
(水性被覆材の調製)
得られた重合体分散液に、溶剤として2−エチル−1−ヘキサノール12部(得られた重合体分散液の固形分に対して11.8%)、増粘剤としてウレタン会合型増粘剤(商品名:UH−756−VF、(株)ADEKA製)0.6部(得られた重合体分散液の固形分に対して0.6%)を添加して混合し、水性被覆材を調製した。得られた水性被覆材中における重合体粒子の濃度は38.4%とした。
得られた水性被覆材を、上述のように評価用試験板に塗布して、塗膜を形成し、塗膜の耐水性、耐溶剤性について評価を行った。また、水性被覆材の粘性および貯蔵安定性を評価した。
[実施例2〜16]
表1〜3に示すように各成分を使用した以外は、実施例1と同様の操作にて重合体分散液、および水性被覆材を調製した。そして、実施例1と同様の測定、評価を行った。
[比較例1〜4]
表4に示すように各成分を使用した以外は、実施例1と同様の操作にて重合体分散液、および水性被覆材を調製した。そして、実施例1と同様の測定、評価を行った。
Figure 0006396004
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ただし、表中の略号は、以下の化合物を示す。
[ウレタン樹脂]
・I−1:スルホン酸基を有するポリエステル系ウレタン樹脂(商品名:インプラニールLP RSC 3040、住化バイエルウレタン(株)製、固形分40%)
・I−2:スルホン酸基を有するポリカーボネート系ウレタン樹脂(商品名:F−8082D、第一工業製薬(株)製、固形分41%)
・I−3:カルボキシ基を有するポリエーテル系ウレタン樹脂(商品名:パーマリンUA−150、三洋化成工業(株)製、固形分30%)
[アクリル系単量体混合物]
(ラジカル性重合性基を1つ有する単量体)
・MMA:メチルメタクリレート
・nBA:ノルマルブチルアクリレート
・2EHA:2―エチルヘキシルアクリレート
(ラジカル性重合性基を2つ以上有する単量体)
・AMA:アリルメタクリレート
・TAC:トリアリルシアヌレート
(水酸基含有ラジカル重合性単量体)
・2HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(酸基含有ラジカル重合性単量体)
・AA:アクリル酸
・MAA:メタクリル酸
表5〜7に示すように、各実施例1〜16の重合体分散液は、重合安定性に優れ、該分散液から得られる水性被覆材の塗料粘度特性および貯蔵安定性に優れていた。さらに水性被覆材から得られる塗膜は、80℃、3分間という低温かつ短時間の乾燥条件によっても、優れた耐溶剤性と耐水性を兼ね備えていた。
これに対して、比較例1では、重合体粒子の表面酸価が0.1mgKOH/g未満であるために、水性被覆材とした際の貯蔵安定性が劣っていた。
比較例2では、重合体粒子の表面酸価が19mgKOH/gを超えるために、重合安定性および水性被覆材とした際の貯蔵安定性が劣っていた。また、40℃の温水中に10日間浸漬したところ塗膜が剥がれて浮き、耐水性も劣っていた。
比較例3では、ウレタン樹脂の分散基がスルホン酸ではなくカルボン酸であるため、水性被覆材とした際の貯蔵安定性が劣っていた。また、塗膜は耐溶剤性の評価において剥離が認められ、耐溶剤性が劣っていた。
比較例4では、ウレタン樹脂の分散基(酸基)がスルホン酸基ではなくカルボキシ基であるため、酸基含有ラジカル重合性単量体を含む単量体を重合する際の重合安定性に劣り、2段目の重合工程で凝集が認められた。
本発明の重合体分散液は製造時の重合安定性に優れ、該重合体分散液を含有する水性被覆材は塗料粘度特性および貯蔵安定性に優れる。更に、本発明の水性被覆材を塗布した塗膜は、優れた耐水性および耐溶剤性を発現する。特に乾燥条件が低温・短時間のような水および溶剤の蒸発、粒子の融着が不充分な条件下で得られた乾燥塗膜でも、耐水性および耐溶剤性に優れる。そのため、本発明の水性被覆材は、乗用車・トラック・オートバイ・バス等の自動車車体の外板部、自動車部品、建築物、土木構造物等の躯体保護、意匠性付与を始めとする様々な被覆用途に用いることができ、工業上極めて有益である。

Claims (5)

  1. 重合体分散液を含む水性被覆材であって、
    前記重合体分散液が重合体粒子を含み、
    前記重合体粒子がスルホン酸基を有するウレタン樹脂とアクリル系重合体とを同一粒子内に含み、電位差滴定法で測定した表面酸価が0.1〜19mgKOH/gである、水性被覆材
  2. 前記アクリル系重合体が、ラジカル性重合性基を2つ以上有する単量体由来の繰りかえし単位を含む請求項1に記載の水性被覆材
  3. 前記ラジカル性重合性基を2つ以上有する単量体由来の繰りかえし単位を0.05〜10質量%含む請求項2に記載の水性被覆材
  4. 前記アクリル系重合体が、酸基含有ラジカル重合性単量体由来の繰りかえし単位を含み、前記酸基含有ラジカル重合性単量体由来の繰りかえし単位を0.008〜3.4質量%含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性被覆材
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性被覆材が塗布された塗装物。
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