JP6393540B2 - 一方向クラッチ - Google Patents

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本発明は、車両や産業用機械においてトルクの伝達に用いられる一方向クラッチに関し、特に過大なトルクが負荷されたときにトルクの伝達を遮断するためのトルクリミット機能を備えた一方向クラッチに関する。
従来、車両のスタータ装置や自動変速装置等において、駆動側機器あるいは駆動側部材である電動モータや入力軸のトルクを被駆動側機器あるいは被駆動側部材に伝達するために、一方向クラッチが用いられている。このような一方向クラッチは、例えば特許文献1のように、トルク伝達部材としてカムを用いたものがある。
特開平9−14302号公報
特許文献1の一方向クラッチは、カムにトルクが負荷されると、カムは揺動して内輪と外輪とに係合し、内輪と外輪との間でトルクを伝達する。しかし、特許文献1の一方向クラッチは、例えば2つの動力伝達機構を連結させる使用において、前記一方向クラッチに、前記動力伝達機構の許容トルクを超える過大なトルクが負荷された場合に、前記動力伝達機構へのトルクの伝達を遮断するためのトルクリミット機能を備えていない。したがって、前記一方向クラッチがこのような過大トルクを受けた場合には、前記内輪および前記外輪に結合された駆動機器を破損させてしまう恐れがある。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、トルク伝達部材としてカムを用い、トルクリミット機能を備え、該トルクリミット機能が働いている状態を確実に維持することができる一方向クラッチを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る一方向クラッチは、内輪と、前記内輪と同軸に配置された外輪と、前記内輪の外周面と前記外輪の内周面との間に介装され、前記内輪と前記外輪との間のトルクの伝達に供される複数のカムと、前記複数のカムを円周方向に所定間隔で保持するための保持器と、前記複数のカムを前記内輪外周面と前記外輪内周面とに係合する方向に付勢するスプリング部材とからなる一方向クラッチにおいて、前記複数のカムはそれぞれ、前記保持器によって揺動可能に保持され、負荷されるトルクの大きさに応じて、前記内輪外周面と前記外輪内周面とに係合せずに前記内輪と前記外輪との間にトルクの伝達をしない第1の揺動位置と、前記内輪外周面と前記外輪内周面とに係合して前記内輪と前記外輪との間にトルクの伝達をする第2の揺動位置とが切り替わり、前記負荷されるトルクの大きさが所定以上の大きさになると、前記内輪外周面と前記外輪内周面とに係合せずに前記内輪と前記外輪との間にトルクの伝達をしない第3の揺動位置に切り替わり、前記第3の揺動位置での揺動が規制された状態で前記保持器に保持され、前記カムはさらに、前記第1の揺動位置において前記保持器に嵌合し、前記第3の揺動位置において前記内輪と非接触状態で径方向に対向する第1の嵌合手段と、前記第3の揺動位置においてのみ前記保持器に嵌合する第2の嵌合手段とを備えていることを特徴とする。
また、本発明の好ましい態様は、前記保持器は、前記内輪と前記外輪との間に前記内輪と前記外輪と同軸に配置された円筒部を有し、該円筒部には、該円筒部を径方向に貫通する複数の窓部が周方向所定間隔に形成され、前記複数のカムは、前記複数の窓部に一対一に対応して嵌めこまれており、前記カムの前記第2の嵌合手段は、前記窓部の周方向縁部に嵌合する、前記カムに形成された凹部であることを特徴とする。
また、本発明の好ましい態様は、前記カムの前記凹部と前記保持器の前記周方向縁部とは、前記カムの前記第3の揺動位置での揺動を規制するための揺動規制手段であることを特徴とする。
本発明によれば、トルク伝達部材としてカムを用い、トルクリミット機能を備え、該トルクリミット機能が働いている状態を確実に維持することができる一方向クラッチを提供することができる。
実施形態に係る一方向クラッチを備えた回転部材連結機構の断面図であり、(a)は径方向から見た状態を示し、(b)は(a)のA−A矢視断面図であり、回転部材連結機構全体の断面を示している。 (a)は実施形態に係る一方向クラッチを軸方向一方側から見た外観図であり、(b)は(a)のB−B矢視断面図であり、(c)は一方向クラッチを軸方向他方側から見た外観図である。 実施形態に係る一方向クラッチのカムの状態を示す要部拡大断面図であり、(a)は無負荷状態を示し、(b)はトルク負荷状態を示し、(c)は過大トルク負荷後(トルクリミット機能時)の状態を示している。
以下、本発明に係る一方向クラッチの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書においては、単に軸方向、径方向、周方向というときは、特に明記しない限り一方向クラッチの内輪または外輪の軸方向、径方向、周方向のことをいう。
図1は、本発明の実施形態に係るトルクリミット機能付き一方向クラッチ1を備えた回転部材連結機構3の断面図であり、(a)は径方向から見た状態を示し、(b)は(a)のA−A矢視断面図であり、回転部材連結機構3全体の断面を示している。
図2(a)は実施形態に係る一方向クラッチ1を軸方向一方側から見た外観図であり、(b)は(a)のB−B矢視断面図であり、(c)は一方向クラッチ1を軸方向他方側から見た外観図である。なお、図2においては、内輪および外輪の記載は省略している。
図3は実施形態に係る一方向クラッチ1のカムの状態を示す要部拡大断面図であり、(a)は無負荷状態を示し、(b)はトルク負荷状態を示し、(c)は過大トルク負荷後(トルクリミット機能時)の状態を示している。
図1(a)、図1(b)に示す回転部材連結機構3は、駆動側回転部材と被駆動側回転部材とを連結している。駆動側回転部材である駆動軸5は、ベルト、プーリ等を介して駆動側機器と連結されており、駆動側機器の出力軸等の回転が伝達される。また、被駆動側回転部材である被駆動軸7は、被駆動側機器の入力軸に連結されており、該入力軸に駆動側機器の回転を伝達する。なお、図1(a)および図1(b)においては、ベルト、プーリ、駆動側機器、被駆動機器の図示は省略している。駆動軸5と被駆動軸7とは、一対の転がり軸受け9を介して同心に配置されている。
本実施形態に係る一方向クラッチ1は、駆動軸5から被駆動軸7へトルクを伝達する。駆動軸5は一方向クラッチ1の内輪でもあり、被駆動軸7は一方向クラッチ1の外輪でもある。なお、以後の一方向クラッチ1の説明においては、駆動軸5のことを一方向クラッチ1の内輪5といい、被駆動軸7のことを一方向クラッチ1の外輪7という。
内輪5に伝達された図示しない駆動側機器の出力軸等の回転は、一方向クラッチ1の複数のトルク伝達部材であるカム11を介して外輪7に伝達される。すなわち内輪5から外輪7へ駆動側機器からのトルクが伝達される。内輪5から外輪7へは、内輪5の一方向の回転のみが伝達される。図1(b)において、LOCKおよびFREEの矢印は、外輪7に対する内輪5の相対的な回転方向を示している。つまり、外輪7を固定したと仮定すると、内輪5をLOCK方向に回転させると内輪5と外輪7とがカム11によってロックする。この状態においては、実際の一方向クラッチ1は内輪5と外輪7とが同じ方向に同期回転する。すなわち内輪5から外輪7へトルクが伝達される。一方、外輪7を固定したと仮定して内輪5をFREE方向に回転させると、内輪5と外輪7とはロックせず、内輪5の回転は外輪7に伝達しない。すなわちトルクは内輪5から外輪7へ伝達されない。以下、このような一方向クラッチ1の構成について詳細に説明する。
本実施形態に係る一方向クラッチは、上述したように、内輪5と、内輪5と同心に配置された外輪7とを備えている。内輪外周面13と外輪内周面15との間には、複数のカム11が配置されている。これら複数のカム11は、内輪5から外輪7へトルクを伝達するためのトルク伝達部材である。カム11は、断面形状が後述する複合曲線部を有する円柱状部材である。複数のカム11は、環状の保持器17によって周方向に等間隔に保持されている。
保持器17は、図1(a)、(b)に示すように、内輪外周面13と外輪内周面15との間に配置される円筒部19と、円筒部19の軸方向一方側端部から径方向外方に延在する環状のフランジ部21とを備えている。円筒部19は内輪5および外輪7と同心に配置されている。円筒部19には、該円筒部19を径方向に貫通する矩形の窓部23が複数設けられている。複数の窓部23は、周方向に所定間隔で設けられている。窓部23の周方向に対向する一対の縁部25、25(図3参照)間の距離は、カム11全体が窓部23を径方向に通り抜けることできない大きさに形成されている。また、窓部23の軸方向に対向する一対の縁部(図示せず)間の距離は、カム11の軸方向寸法よりも大きく形成されている。
複数のカム11は、その軸方向が一方向クラッチ1の軸方向と一致する向きで、これら窓部23に一対一に対応して、外径側から窓部23に嵌め込まれている。カム11の周面は、図3に示すように、窓部23の一対の周方向縁部25、25の外径側稜線に接触し、カム11の軸方向両端面は、窓部23の一対の軸方向縁部の内側に位置している。内輪5と対向する側のカム11の部分は、窓部23を貫通して保持器17の円筒部19よりも内径側に突出している。このような構成なので、カム11は窓部23の一対の周方向縁部25、25に摺動して揺動可能であり、図示しない一対の軸方向縁部によって軸方向の移動が規制されている。
図1(a)、図2(b)に示すように、組み付け状態において、各カム11の径方向外側略半分の部分には、軸方向中央部に、内輪5または外輪7の周方向に沿う方向に延在する溝27が形成されている。溝27はカム11の径方向外側略半分の部分を周方向に貫通し、カム11の中心部近傍に至る深さを有している。一つの環状のスプリング29が、各カム11の溝27を貫いて装着されている。スプリング29は各カム11を内径側へ付勢している。カム11の溝27の底面は、スプリング29によって内径側への付勢力が加わると、カム11が内輪外周面13および外輪内周面15に接触する方向に揺動するような角度を持つ平面の組み合わせで形成されている。したがって、各カム11は、スプリング29の弾性力によって内径側へ付勢され、保持器17の窓部23の一対の周方向縁部25、25に押し付けられるとともに、内輪外周面13および外輪内周面15に常時接触する方向に付勢されている。
外輪内周面15には、図1(a)に示すように、全周に亘る溝31が一つ設けられている。また、保持器17のフランジ部21は、図2(a)に示すように、周方向の所定位置に、径方向外縁部から円筒部19まで亘る切り欠き33が複数形成されている。周方向に隣り合う切り欠き33、33間のフランジ部21の部分のうち所定のものは、外縁部が外輪内周面15の溝31に嵌合している。これにより、保持器17および各カム11は軸方向に位置決めされ、さらに、外輪7に対する一方向クラッチの連れ回りが防止される。
軸方向と直交する方向から見たカム11の断面形状の輪郭は、図3(a)に示すように、約半分が略半円の円弧部35であり、残りの約半分が複合曲線部37となっている。円弧部35と複合曲線部37とは滑らかに連続している。組み付け状態において、円弧部35は、おおよそ、外輪7側から周方向一方側すなわち外輪7に対する内輪5の相対回転方向のうち内外輪5、7がロックする方向の回転方向側(図1(b)のLOCK方向側)に亘って位置し、複合曲線部37は、おおよそ、内輪5側から周方向他方側すなわち外輪7に対する内輪5の相対回転方向のうち内外輪5、7がロックせずフリー状態となる方向の回転方向側(図1(b)のFREE方向側)に亘って位置している。カム11は、円弧部35の外周縁が外輪内周面15に接触して揺動あるいは摺動する。
複合曲線部37は、曲率の異なる曲線が連続することにより形成されている。内輪5と対向する側の複合曲線部37の部分は、円弧部35の円弧の延長線よりも外方に膨出している膨出部39となっている。膨出部39は、組み付け状態において、保持器17の窓部23を貫通して内輪5側に膨出している。カム11は、膨出部39の外周縁が内輪外周面13に接触して揺動あるいは摺動する。
前記周方向他方側すなわち図1(b)のFREE方向側に位置している複合曲線部37の部分には、第1の凹部41と第2の凹43部とが形成されている。組み付け状態において、第1の凹部41は内径側すなわち内輪5側に、第2の凹部43は外径側すなわち外輪7側に位置している。第1の凹部41と膨出部39とは滑らかに連続している。第1の凹部41と第2の凹部43との間は、滑らかな凸部で連結されている。第2の凹部43と円弧部35とは滑らかに連続している。通常の使用状態において、第1の凹部41は、保持器17の円筒部19と同等の径方向位置に位置し、第2の凹部41は、保持器17の円筒部19よりも外径側に位置している。
第1の凹部41は、通常の使用状態において、一方向クラッチ1が空転しているときに保持器17の窓部23の周方向縁部25に嵌合し、トルク伝達時は該嵌合が外れる。また、第2の凹部43は、通常の使用状態においては何れの部材にも嵌合しないが、カム11が過大なトルクを受けたときに、保持器17の窓部23の周方向縁部25に嵌合し、保持器17とともにトルクリミッタとして機能する。
カム11の断面形状の輪郭上の2点を結ぶ直線のうち、長さが最大の直線は、組み付け状態においてカム11の最大高さとなる。つまり、カム11の内輪外周面13との接点と外輪内周面15との接点とを結ぶ直線をカム11の高さとすると、該直線の長さが最大となる前記輪郭上の2点どうしを結ぶ直線がカム11の最大高さとなる。カム11の最大高さとなる前記輪郭上の2点は、それぞれ膨出部39の頂部近傍と、該頂部の反対側の円弧部35上にある。内輪外周面13と外輪内周面15との間の径方向距離は、カム11の最大高さよりも小さい寸法となっている。したがって、通常の使用状態においては、カム11の姿勢が最大高さで内輪外周面13と外輪内周面15とに係合するまでには至らない範囲でカム11は揺動する。
次に、図3各図を参照して、本実施形態に係る一方向クラッチ1の動作について説明する。なお、本実施形態に係る一方向クラッチ1の内輪5は、図示しない駆動側機器の回転が伝達すると、図3(b)に矢印で示す方向に回転する。以下、図3各図において、当該矢印方向を回転方向という。
まず、一方向クラッチ1が作動していない無負荷状態のとき、すなわち内輪5に駆動側機器の回転が伝達していないときは、カム11の状態は図3(a)に示す状態である。詳細には、カム11の外輪内周面15との接点を接点A、カム11の内輪外周面13との接点を接点Bとすると、カム11の姿勢は、内輪5および外輪7の中心Oと接点Bとを結ぶ直線OBに対し、カム11の最大高さとなる直線が駆動方向に大きく回転して傾いている姿勢となっている。この状態においては、カム11の高さは通常使用範囲において最も低い高さとなっている。したがって、カム11は、内輪外周面13および外輪内周面15に接触はしているが係合はしておらず、内輪5と外輪7とはロックしていない。また、第1の凹部41は保持器17の窓部23の一対の周方向縁部25、25のうち、駆動方向とは反対側の周方向縁部25に嵌合している。また、第2の凹部43は、何れの部材とも嵌合していない。
なお、一般に、カム11の外輪内周面15との接点Aとカム11の内輪外周面13との接点Bとを結ぶ直線ABと、上記中心Oと接点Bとを結ぶ直線OBとのなす角α(図3(b)参照)をストラト角という。カム11がすべりなく正常に外輪内周面15と内輪外周面13とにかみ合い係合するためには、ストラト角についてtanα<μ(μ:摩擦係数)の関係を満たす必要がある。言い換えると、ストラト角についてtanα>μの関係になるとすべりが発生する。また、αが大きいとカム11はすべりやすく、αが小さいとすべりにくい。すなわちαが小さいほうが、カム11の姿勢を保持しやすい。
図3(a)に示す状態から、内輪5に駆動側機器の回転が伝達すると、内輪5は駆動方向に回転する。すなわち、内輪5は、図3(a)の紙面に向かって時計回り方向に回転する。内輪5の回転速度のほうが外輪7の回転速度よりも相対的に速いと、カム11は内輪5の回転に対応して、図3(a)の紙面に向かって反時計回り方向に揺動する。そうすると、カム11の高さは静止状態よりも高くなり、カム11は内輪外周面13と外輪内周面15とに係合する。すなわち、内輪5と外輪7とがロックする。すると、内輪5と外輪7とは同期回転し、内輪5から外輪7へトルク伝達がなされる。さらにトルクが大きくなり、許容最大トルクが負荷されると、図3(b)に示すように、カム11の姿勢は、カム11の高さが最大高さに近い高さとなる。このとき、第1の凹部41は窓部23よりも内輪側に位置しており、窓部23の周方向縁部25との嵌合は外れている。また、第2の凹部43は、何れの部材とも嵌合していない。
駆動側機器からの回転が変動し、内輪5の回転速度のほうが外輪7の回転速度よりも相対的に遅くなると、内輪5は外輪7に対して相対的に駆動方向とは反対方向、すなわち反時計回り方向に回転する。そうすると、カム11は時計回りの方向に揺動し、カム11の高さは低くなる。その結果、カム11の内輪外周面13および外輪内周面15への係合が解かれ、内輪5と外輪7とのロック状態も解かれる。すなわち、カム11は図3(a)に示す状態となり、トルクの伝達は遮断される。しかし内輪5と外輪7は回転しているので、カム11は内輪外周面13および外輪内周面15に対して摺動している。つまり一方向クラッチ1は空転状態となる。このようにして、駆動側機器からの回転の変動が吸収され、外輪7の回転速度がほぼ一定に保たれる。通常の使用状態においては、一方向クラッチ1は、図3(a)の状態と図3(b)の状態との切り替えが繰り返されることとなる。
ここで、例えば、図示しない被駆動側機器が故障等によりロックすると、外輪7が停止し、あるいは回転抵抗が大きくなり、カム11に過大なトルクが負荷される。すると、カム11は、図3(b)の状態から更に反時計回り方向に揺動する。カム11は内輪5および外輪7よりも硬い金属材料で構成されているので、カム11の揺動に伴い内輪5および外輪7が弾性変形し、カム11の揺動を許容する。そしてカム11は、内輪外周面13および外輪内周面15に対して最大高さでの係合状態を越えて更に揺動し、転倒する。
カム11が転倒すると、最大高さでの係合状態ではなくなるので、カム11は膨出部39の外縁部が内輪外周面13に対して摺動し、トルクの伝達は遮断される。本実施形態に係る一方向クラッチ1は、カム11が転倒すると、図3(c)に示すように、第2の凹部43が、保持器17の窓部23の対向する一対の周方向縁部25、25のうち、駆動方向とは反対側の周方向縁部25に嵌合する。この嵌合によりカム11は何れの方向への揺動も規制される。つまり、窓部23の周方向縁部25とカム11の第2の凹部43とは、カム11の揺動規制機構を構成している。
このように窓部23の周方向縁部25とカム11の第2の凹部43とが嵌合することによりカム11の揺動が規制され、トルクリミット機能が働いている状態となる。これによりカム11が保持器17に拘束され、カム11が内輪外周面13および外輪内周面15と再び係合してしまうことを防止している。本実施形態に係る一方向クラッチ1は、このようにしてトルクの伝達が遮断された状態が維持される。すなわちトルクリミット機能が働いている状態が維持される。その結果、駆動側機器および被駆動側機器が保護されることとなる。
また、このとき、第1の凹部41は、図3(c)に示すように、内輪5と径方向に対向する位置にあるが、当該第1の凹部41は内輪5と接触することはない。つまり、カム11の形状において、当該第1の凹部41の箇所が円弧状であったと仮定すると、当該円弧状部分が内輪5に接触して内輪5と係合してしまう虞がある。しかし本実施形態においては凹部形状となっているため、内輪5と係合してしまう虞がない。
さらに、本実施形態においては、スプリング29がカム11を保持器17に押し付けているため、第2の凹部43の保持器17への係合と相俟ってカム11を更に強く保持器17に拘束している。これによりトルクリミット機能が働いている状態をより確実に維持することができる。また、カム11と内輪外周面13とは、トルクリミット機能が働いている状態においても摺動するので、トルクリミット機能が働いている状態において内輪5の回転抵抗が大きくなることがない。
このように、本発明によれば、トルク伝達部材としてカム11を用いた一方向クラッチ1において、トルクリミット機能が働いている状態を確実に維持することができる。また、本発明に係る一方向クラッチ1は、駆動側機器の回転変動をカム11の内輪5および外輪7に対する係合、非係合を切り替えることにより吸収しているので、小型でも優れた回転変動吸収能力を備えている。
また、本発明に係る一方向クラッチ1は、トルクリミット機能が働いている状態を確実に維持することができ、回転変動吸収能力に優れているので、例えば自動車のエンジンにおいてエンジンの駆動力を、エアーコンディショナーの圧縮機やオルタネータ等の補機類に伝達するための回転部材連結機構に用いることが可能である。この場合、一方向クラッチ1の内輪5はベルト、プーリ等を介してエンジンのクランクシャフトと連結され、外輪7はハブ等を介して補機類の入力軸に連結される。また、上記実施形態においては、内輪5から外輪7へトルクを伝達する例を示したが、外輪7から内輪5へトルクを伝達するようにしても良い。
1 一方向クラッチ
3 回転部材連結機構
5 内輪
7 外輪
9 転がり軸受け
11 カム
13 内輪外周面
15 外輪内周面
17 保持器
19 円筒部
21 フランジ部
23 窓部
25 周方向縁部
27 溝
29 スプリング
31 溝
33 切り欠き
35 円弧部
37 複合曲線部
39 膨出部
41 第1の凹部
43 第2の凹部

Claims (3)

  1. 内輪と、
    前記内輪と同軸に配置された外輪と、
    前記内輪の外周面と前記外輪の内周面との間に介装され、前記内輪と前記外輪との間のトルクの伝達に供される複数のカムと、
    前記複数のカムを円周方向に所定間隔で保持するための保持器と、
    前記複数のカムを前記内輪外周面と前記外輪内周面とに係合する方向に付勢するスプリング部材とからなる一方向クラッチにおいて、
    前記複数のカムはそれぞれ、前記保持器によって揺動可能に保持され、負荷されるトルクの大きさに応じて、前記内輪外周面と前記外輪内周面とに係合せずに前記内輪と前記外輪との間にトルクの伝達をしない第1の揺動位置と、前記内輪外周面と前記外輪内周面とに係合して前記内輪と前記外輪との間にトルクの伝達をする第2の揺動位置とが切り替わり、前記負荷されるトルクの大きさが所定以上の大きさになると、前記内輪外周面と前記外輪内周面とに係合せずに前記内輪と前記外輪との間にトルクの伝達をしない第3の揺動位置に切り替わり、前記第3の揺動位置での揺動が規制された状態で前記保持器に保持され
    前記カムはさらに、前記第1の揺動位置において前記保持器に嵌合し、前記第3の揺動位置において前記内輪と非接触状態で径方向に対向する第1の嵌合手段と、前記第3の揺動位置においてのみ前記保持器に嵌合する第2の嵌合手段とを備えていることを特徴とする一方向クラッチ。
  2. 前記保持器は、前記内輪と前記外輪との間に前記内輪と前記外輪と同軸に配置された円筒部を有し、該円筒部には、該円筒部を径方向に貫通する複数の窓部が周方向所定間隔に形成され、前記複数のカムは、前記複数の窓部に一対一に対応して嵌めこまれており、前記カムの前記第2の嵌合手段は、前記窓部の周方向縁部に嵌合する、前記カムに形成された凹部であることを特徴とする請求項に記載の一方向クラッチ。
  3. 前記カムの前記凹部と前記保持器の前記周方向縁部とは、前記カムの前記第3の揺動位置での揺動を規制するための揺動規制手段であることを特徴とする請求項に記載の一方向クラッチ。
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