JP6390502B2 - 単結晶の冷却方法及び製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、単結晶の冷却方法及び製造方法、並びに単結晶育成装置に関する。
酸化アルミニウム単結晶等の酸化物単結晶は、青色LEDや白色LEDを作製する際のエピタキシャル成長用結晶基板として多く利用されている。これらのLEDは、省エネルギーの観点で照明分野への普及が拡大することが予想されており多方面から注目されている。
上記の酸化物単結晶として良質で大型の単結晶を製造する方法には、チョクラルスキー法(Czochralski−Method)、キロプロス法(Kyropoulos−Method)などの溶融固化法があり工業的に用いられている。特にチョクラルスキー法は汎用性があり、技術的完成度が高いことから最も広く用いられている。
チョクラルスキー法によって酸化物単結晶を製造するには、まず坩堝に酸化物原料を充填し、高周波誘導加熱法や抵抗加熱法により坩堝を加熱し原料を溶融する(例えば、特許文献1)。原料が溶融した後、所定の結晶方位に切り出した種結晶を原料融液表面に接触させ、種結晶を所定の回転速度で回転させながら所定の速度で上方に引き上げて単結晶を成長させる。
しかし、酸化物単結晶をチョクラルスキー法で代表される溶融固化法で結晶成長させると、結晶中に小傾角粒界が発生し易い。エピタキシャル成長用結晶基板となるウエハーに粒界が形成されていると、LED特性に悪影響を与えるため、融液固化法により得られた単結晶インゴットから所望のエピタキシャル成長用結晶基板を歩留まり良く得ることが困難である。
結晶中に発生する粒界を低減するため、溶融固化法で酸化物単結晶を育成する際、坩堝周囲の断熱材の構成及びルツボとヒーターの位置関係を調節し、単結晶引き上げ軸方向に対する固液界面近傍の温度勾配を大きくすることで、粒界の発生が抑制され、良質な結晶が得られることが知られている。しかしながら、固液界面近傍の温度勾配が大きな状態では、成長した結晶内の応力が大きくなり、内部応力が除去されないまま結晶を冷却した場合、結晶にクラックが発生することがある。また、クラックの無い結晶が得られた場合であっても、エピタキシャル成長用基板に加工する工程において結晶内の残留応力による基板の変形やクラックが発生し、歩留まりを大きく低下させる原因となり得る。
そのため、結晶内の残留応力の除去方法として、単結晶成長終了時に、炉内温度を低下させながら原料融液が入った坩堝を下降させるとともに、成長済み酸化物単結晶の直胴部が加熱体(側面円筒型ヒーター)の上端より下方となるように保持し、酸化物単結晶の切り離しを行う方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の方法では、加熱ゾーンを設けた結晶育成装置内で、育成終了後に低温度勾配領域に育成結晶を移動させて熱処理を行っている。
特許文献2に記載の方法によれば、単結晶内の温度が均一となり、さらにこの状態を維持したまま冷却することによって、成長時に蓄積された結晶内部の応力が除去され、単結晶切り離し後に発生するクラックが抑制される。更に、内部応力が緩和されているのでウエハーの変形や加工時に発生するクラックが減少し、高品質な単結晶を安価で製造することができる。
特開2007−246320号公報 特開2009−242150号公報
しかしながら、近年の単結晶の大型化に伴い、上述のような特許文献2に記載の残留応力の除去方法を採用した場合であっても、単結晶冷却時に結晶内の不均一な温度分布による歪みが増加し、クラックが発生し易くなってきた。特に、直径が8インチ以上の酸化アルミニウム単結晶を育成すると、冷却中に単結晶底部から割れが生じ、単結晶内部にクラックが入り易くなる場合があり、単結晶が大型化しても、クラックが発生し難い単結晶の製造方法が求められるようになってきた。
そこで、本発明は、単結晶育成後の冷却時の割れの発生を防止できる単結晶の冷却方法及び製造方法、並びに単結晶育成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る単結晶の冷却方法は、育成後の単結晶を冷却する単結晶の冷却方法であって、
育成後の単結晶を原料融液から切り離した状態で、堝内に残留している原料融液が固化するまで待機する工程と、
前記育成後の単結晶を下降させ、前記坩堝内で固化した前記原料融液に接触させる工程と、を有する。
本発明の他の態様に係る単結晶の製造方法は、坩堝内の原料融液を加熱し、原料融液内で単結晶を育成する工程と、
育成後の前記単結晶を前記原料融液から切り離した状態で、前記坩堝内に残留している前記原料融液が固化するまで待機する工程と、
育成後の前記単結晶を下降させ、前記坩堝内で固化した前記原料融液に接触させる工程と、を有する。
本発明の他の態様に係る単結晶育成装置は、原料融液を貯留可能な坩堝と、
該坩堝の周囲に設けられた加熱体と、
前記原料融液内で育成された単結晶を前記坩堝上に引き上げ可能な単結晶引上げ手段と、
前記坩堝に設けられ、貯留した前記原料融液の温度を検出可能な温度検出手段と、
前記原料融液内で前記単結晶が育成したときに、前記単結晶引上げ手段に前記単結晶を前記原料融液から切り離させるとともに、前記温度検出手段により検出された前記原料融液の温度から前記原料融液が固化したか否かを判定し、前記原料融液が固化したと判定したときには、前記単結晶引上げ手段に前記単結晶が固化した前記原料融液に接触するように前記単結晶を下降させる制御手段と、を有する。
本発明によれば、育成された単結晶底面の歪みを低減することができ、クラックの発生を抑制することができる。
本発明の実施形態に係る酸化物単結晶の冷却方法及び製造方法を実施するための酸化物単結晶育成装置の一例を示した図である。 酸化物単結晶を原料融液から切り離した状態を示した図である。 熱電対がモニターしている炉内の温度の時間変化の一例を示した図である。 残留融液の固化後の処理を説明するための図である。 冷却時の単結晶の温度変化の解析結果を示した図である。図5(a)は、冷却初期の単結晶の温度変化の解析結果を示した図である。図5(b)は、冷却中期の単結晶の温度変化の解析結果を示した図である。図5(c)は、冷却後期の炉内の温度変化の解析結果を示した図である。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
本発明の酸化物単結晶の冷却方法及び製造方法は、炉体内の坩堝に単結晶用原料を入れて坩堝側面及び底部に設けられた加熱体により単結晶用原料を加熱溶融した後、原料融液に種結晶を接触させて成長した結晶を引き上げる溶融固化法において、残留融液が完全に固化したことを確認した後、固化した原料融液と単結晶の底部を接触させて単結晶の冷却を行うことを特徴としている。
1.酸化物単結晶育成装置
図1は、本発明の実施形態に係る酸化物単結晶の冷却方法及び製造方法を実施するための酸化物単結晶育成装置の一例を示した図である。
酸化物単結晶育成装置内には、酸化物単結晶用原料を入れるための坩堝10が備えられており、上下動が可能な坩堝軸20の上に載置されている。酸化物単結晶用原料を融解するための坩堝10は、酸化物単結晶用原料の種類によって異なり、一概に規定できないが、酸化アルミニウム単結晶用であれば、その融点以上の耐熱性を有するイリジウム製、モリブデン製、タングステン製等から構成されることが好ましく、用途に応じた所望のサイズの坩堝10を用いることができる。坩堝10の側面周囲には、酸化物単結晶用原料を融解するために、側面円筒型ヒーター31が配置されている。また、坩堝10の下方には、円盤状の底部円盤型ヒーター32が、坩堝軸20が貫通する形で配置されている。側面円筒型ヒーター31と底部円盤型ヒーター32とで、酸化物単結晶育成装置のヒーター(加熱体)30の全体を構成する。側面円筒型ヒーター31の周囲、底部円盤型ヒーター32の下方には、断熱材50が酸化物単結晶育成装置のチャンバー60に沿って設けられている。また、坩堝10の上方には、上下動可能な引き上げ軸40が設置されている。引き上げ軸40には種結晶が取り付け可能であるとともに、引き上げ軸40が上面を貫通する形で断熱材50が設けられている。
また、チャンバー60を貫通し、断熱材50を貫通しない態様で、熱電対70が設けられる。熱電対70は、炉内の温度変化、より詳細には坩堝10及び加熱体30の周囲の温度変化を検出することにより、原料融液90の温度変化を検出し、監視するための温度検出器である。熱電対70により、原料融液90の温度変化を検出し、原料融液90が固化したか否か、つまり溶融状態か固化状態かを検出することができる。なお、熱電対70は、原料融液90が2000℃以上の高温となるため、坩堝10内又はヒーター30よりも内側の領域内ではなく、ヒーター30よりも外側に設けられている。つまり、熱電対70は、原料融液90の外側に設けられているが、原料融液90の温度が変化すれば、その周囲温度も変化し、断熱材50内の温度も変化するので、原料融液90の温度変化を検出し、固化したか否かを判定するためには、断熱材50内に設ければ十分にその役割を果たすことができる。なお、本実施例では、温度検出器の例として、熱電対70を断熱材50に3個設けた例を挙げているが、原料融液90が固化したか否かを判定可能に温度の検出が可能であれば、用途に応じて種々の温度センサを、任意の箇所に任意の個数設けることができる。
また、本実施形態に係る酸化物単結晶育成装置は、本実施形態に係る単結晶の冷却方法及び製造方法を実施すべく、酸化物単結晶育成装置全体の動作を制御する制御部80を備える。制御部80は、酸化物単結晶育成装置の各構成要素に動作指令を与え、各構成要素の動作を制御する。例えば、制御部80は、引き上げ軸40の上下動及びそのタイミングを制御する。詳細は後述するが、本実施形態に係る単結晶の冷却方法及び製造方法では、単結晶100を原料融液90から切り離した後、切り離した状態で引き上げ軸40を静止させ、熱電対70で検出した温度から、原料融液90が固化したと判断したときに、引き上げ軸40を下降させる動作を行う。よって、制御部80は、少なくとも熱電対70の検出温度が入力され、引き上げ軸40の上下動を制御する機能を有するため、熱電対70及び引き上げ軸40とは少なくとも電気的に接続されている。また、引き上げ軸40の上下動は、図示しない引き上げ軸40のアクチュエータが設けられ、制御部80は、引き上げ軸40のアクチュエータに動作指令を出して引き上げ軸40の動作を制御する。制御部80は、演算処理機能を有すれば、種々の構成としてよいが、例えば、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)及びROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶手段を備え、プログラムにより動作するマイクロコンピュータや、特定の用途向けの集積回路として形成されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成されてもよい。
種結晶は、純度が高い酸化物結晶であり、例えば、酸化アルミニウム結晶であれば、チョクラルスキー法、キロプロス、HEMなどの製造方法によって得られたものが好ましく、単結晶製品の用途によって適宜選択することができる。
酸化物単結晶育成装置は、上述の構成に限定されず、例えば、底部円盤型ヒーター32の代わりにL字型又はカップ型の側面ヒーターを用いてもよく、底部円盤型ヒーター32が無く、側面円筒型ヒーター31のみでも良い。また、酸化物単結晶育成装置には、必要により、炉体内を減圧する手段と、減圧度をモニターする手段と、炉体内に窒素または不活性ガスを供給する手段を設けることができる。
2.酸化物単結晶用原料の溶融
本発明の実施形態に係る酸化物単結晶の冷却方法及び製造方法は、上述の酸化物単結晶育成装置を用い、まず、坩堝10に酸化物単結晶用原料を入れた後、側面円筒型ヒーター31及び底部円盤型ヒーター32により坩堝10を加熱して原料を溶融させる。
酸化物単結晶用原料としては、酸化アルミニウム粉末やタンタル酸リチウム粉末、あるいは酸化ニオブ粉末をはじめとして、各種の酸化物粉末を用いることができる。本発明の実施形態において好ましく用いられる酸化アルミニウム粉末は、実質的にAlとOの2元素からなる酸化アルミニウム粉末である。
坩堝10に酸化物単結晶用原料を入れて、側面円筒型ヒーター31および底部円盤型ヒーター32により坩堝10を加熱して原料を溶融させる。酸化物単結晶用原料が融点に達するまでの加熱速度は、特に制限されるわけではないが、酸化物単結晶原料が不均一に加熱されることにより生じる突沸現象を抑制するため、急速に加熱せずに長時間かけて徐々に加熱するほうがよい。そのため、例えば10時間以上、特に12時間かけて徐々に加熱することが望ましい。次に、酸化物単結晶用原料の融解後も、炉内温度を10〜20℃高くなるように3時間以上、特に5時間以上、得られた原料融液90を加熱する。このときの温度測定はヒーター外周にある断熱材に差し込まれた熱電対を用いて行う。
この際、炉内は不活性ガス雰囲気とするが、必要により減圧してもよい。ただし、酸素を導入するとヒーターが酸化して急速に劣化するため、酸素がほとんど含まれない低酸素濃度雰囲気下で単結晶用原料を溶解することが望ましい。
3.単結晶の育成と引き上げ
単結晶100の育成においては、側面円筒型ヒーター31の上端に対して、坩堝10の上端の位置を2cm下から6cm上の範囲とし、特に一致する位置から2cm以上、上の位置に合わせて原料を溶融させ、単結晶の育成を開始させるようにすることが望ましい。これにより、単結晶100の成長終了後、坩堝軸20を下降させることにより、成長済の酸化物結晶と原料融液の切り離しを行い易くすることができる。
酸化物単結晶100に生ずる粒界の発生を抑制するためには、固液界面近傍における引き上げ軸方向の温度勾配を大きくする必要があり、そのためには、坩堝は固液界面近傍における側面円筒型ヒーターからの輻射を遮る形で上方に配置したうえで結晶育成を開始するのが好ましい。
図1は、酸化物単結晶100を原料融液90から育成している状態を示している。図1に示されるように、原料が溶融した後、原料融液90に種結晶を接触させて成長単結晶100を引き上げる。常法に従い、回転数や引き上げ速度を調整して単結晶100のネック部および肩部を形成し、引き続き直胴部を形成する。この際、放射温度計などを用いて単結晶100と原料融液90との界面近傍における融液表面の温度を測定することが好ましい。結晶形状の調節は、育成中の結晶重量を測定し、直径や育成速度などを計算によって導き出し、回転速度や引き上げ速度を調整して行うことができる。種結晶は、0.2〜20rpmで回転させるとよい。また、種結晶の回転速度は、1〜10rpmが好ましい。また、結晶重量の変化をフィードバックして融液温度をコントロールできる。
4.酸化物結晶の切り離し
その後、充分に酸化物単結晶100が育成した時点で、原料融液90との切り離しを行う。このとき、固液界面付近の温度勾配が大きな状態では、成長結晶内に応力が生じ、成長中、内部応力が単結晶100内に蓄積される。そのために成長終了時に坩堝軸20を下降させて、成長済の酸化物単結晶100と原料融液90の切り離しを行う。
その際、図2に示すように、成長済単結晶100の直胴部上端101が、側面円筒型ヒーター31の上端より下方に位置するように単結晶100を保持する。成長済単結晶100の直胴部上端101が、側面円筒型ヒーター31の上端より下方に位置する範囲であれば、坩堝軸20を下降させると共に、引き上げ軸40を上方へ移動することで単結晶100を引き上げ、切り離し速度を速めるようにしても差し支えない。
坩堝10の移動による単結晶100の切り離し距離は1〜15cmとし、望ましくは2〜10cmとする。1cm未満では単結晶100が大きい場合、単結晶100を原料融液90から完全に切り離すことができず、15cmを超える距離にすると、坩堝10の移動スペースを大きく確保しなければならないので好ましくないからである。
5.酸化物単結晶の冷却
酸化物単結晶100の切り離し後、ヒーター30に投入している電力を徐々に低下させると炉内の温度も低下し、坩堝10の底に残留する残留融液90が固化する。残留融液90が固化すると、凝固熱が発生し、炉内(坩堝10の周囲)をモニターしている熱電対70が指し示す温度が冷却中であるに関わらず、一旦上昇し、残留融液90が完全に固化すると炉内の温度が低下に転じる。
図3は、熱電対70がモニターしている炉内の温度の時間変化の一例を示した図である。図3において、横軸が時間、縦軸が熱電対70の検出温度(℃)を示している。図3に示されるように、検出温度は、残留原料融液90が固化する際に発生する凝固熱の影響を受け、急激に上昇した後、急激に下降するピーク点Pが存在する。そして、ピーク点Pを経過して温度が下降した時刻T1が、残留融液90が固化した時点を示している。制御部80は、熱電対70が間接的にモニターしている残留融液90の温度変化が、図3に示すようなピーク点Pを有する温度変化を認識したら、残留融液90が固化したと判定する。
図4は、残留融液90の固化後の処理を説明するための図である。
上述のように、炉内の温度をモニターし、残留融液90が完全に固化したことを確認したら、制御部80は、引き上げ軸40を制御し、図4に示すように引き上げ軸40を下方へ移動させる。そして、固化した原料融液91と単結晶100の底部を接触させて単結晶100の冷却を行う。つまり、引き上げ軸40を下降させ、単結晶100の底部が固化した原料融液91の上面に接触したら、引き上げ軸40を静止させる。
その後、切り離された酸化物単結晶100は1℃〜3℃/minの冷却速度で室温近くまで冷却した後に、単結晶育成装置から酸化物単結晶100を取り出す。
このように、単結晶100の底面を、固化した残留原料融液91の表面と接触させることにより、単結晶100の下部が熱的に固化した残留原料融液91と一体となり、均一な温度分布領域が広くなる。つまり、熱を逃がす伝達経路が上方の引き上げ軸40を介するルートのみならず、下方の残留原料融液91及び坩堝軸20を介するルートも加わることになる。これにより、単結晶100の熱は、上下から外部に逃がすことが可能となる。これにより、単結晶100の底面の歪みは低減され、クラックの発生が抑制される。また、単結晶100の冷却中、単結晶100はネック部のみが引き上げ軸40に支持されている状態とならず、下面が固化した残留原料融液91に下方から支持されている状態となるので、ネック部に破損が生じて引き上げ軸40から落下してしまう事態を防ぐことができる。
〔実施例〕
次に、本実施形態に係る単結晶育成装置を用いて、本実施形態に係る単結晶の冷却方法及び製造方法を実施した実施例について説明する。
結晶育成炉の構造と冷却時の結晶の位置を図1に示す。なお、理解の容易のため、本実施形態で説明した構成要素と同様の構成要素には、同一の参照符号を付すこととする。
育成炉内には直径300mm、高さ300mmの坩堝10が設置され、その側面および下部にそれぞれ抵抗加熱方式の側面円筒型ヒーター31と底部円盤型ヒーター32が取り付けられている。坩堝10の周囲には断熱材50としてカーボンフェルトが設置されている。
坩堝10内の酸化アルミニウム原料融液90から直径約200mm、長さ280mmの酸化アルミニウム単結晶100を育成した。図2に示されるように、単結晶育成終了後、酸化アルミニウム単結晶100を原料融液90の表面から1cm上に上げるとともに、坩堝10の位置を10cm下げることで、単結晶100を原料融液90から切り離し、ヒーターの出力を徐々に下げて冷却を開始した。
その後、図3に示されるように、炉内の温度変化をモニターしている熱電対70により、坩堝10内に残留している原料融液90が固化することで固化熱が発生し、温度が一旦上昇した後、低下に転じる温度変化を検出したら、図4に示されるように、制御部80の指令により引き上げ軸40を下方へ移動させ、固化した原料融液91と単結晶100の底部を接触させて単結晶100の冷却を行った。
冷却時、ヒーター30の出力は20時間で0になるように線形に下げ、冷却後、取り出した単結晶100を観察したところ、クラックの発生は見られなかった。
〔比較例〕
実施例と同じ条件で単結晶を育成し、単結晶を原料融液表面から切り離した位置に保持したまま冷却を行ったところ、取出した単結晶にはクラックが生じていた。酸化アルミニウム単結晶の直径が300mmの場合、ほぼ全数にクラックが発生していた。
このように、本発明の実施例によれば、比較例と比較して、クラックの発生が抑制されることが示された。
なお、発明者等は、本発明を創出するに当たり、冷却時の育成炉内の単結晶の温度変化の解析からスタートした。即ち、本発明者らが冷却時の育成炉内の単結晶の温度変化を解析したところ、冷却過程では単結晶上部は種結晶ホルダーを通じて熱が逃げて温度が低下し、単結晶底部は残留原料融液表面への輻射や残留原料融液表面と単結晶底面の隙間のガスを介した熱伝達によって温度が低下する。
図5は、発明者等が実施した冷却時の単結晶の温度変化の解析結果を示した図である。図5(a)は、冷却初期、図5(b)は冷却中期、図5(c)は冷却後期の炉内の温度変化の解析結果を各々示した図である。図5(a)〜(c)において、領域A、B、C、D,Eの順に温度が高い領域を示している。
図5(a)〜(c)に示されるように、かかる解析結果から、単結晶内では単結晶下部の中央部の温度が最も高く、この中央部を中心にして上下方向に温度勾配が発生し、冷却時間の経過と共に温度勾配が大きくなるという知見が得られた。
単結晶の割れの原因は、冷却時における単結晶内の温度分布であり、この温度分布が大きいと熱収縮による歪みが発生し、限界の引っ張り応力に達したときに亀裂が入るものと推定できることから、単結晶内の温度を均一に保ちつつ温度を下げることが熱歪みによる割れ発生を低減することに繋がると考えられる。特に、割れは単結晶底面に発生しているので、単結晶下部の温度を均一にすることが重要となる。
本発明は、このような知見に基づきなされたものであり、単結晶育成後の冷却時において、坩堝内に残留している原料融液表面が固化した後に単結晶の位置を下げて、固化した原料融液と単結晶底部を接触させて単結晶を冷却することにより、単結晶下部が熱的に残留原料融液と一体となり、均一な温度分布領域が広くなるため単結晶底面の歪みは低減され、クラックの発生が抑制される。
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施形態及び実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
10 坩堝
20 坩堝軸
30 ヒーター(加熱体)
31 側面円筒型ヒーター
32 底部円盤型ヒーター
40 引き上げ軸
50 断熱材
60 チャンバー
70 熱電対
80 制御部
90、91 原料融液
100 単結晶

Claims (8)

  1. 育成後の単結晶を冷却する単結晶の冷却方法であって、
    育成後の単結晶を原料融液から切り離した状態で、堝内に残留している原料融液が固化するまで待機する工程と、
    前記育成後の単結晶を下降させ、前記坩堝内で固化した前記原料融液に接触させる工程と、を有する単結晶の冷却方法。
  2. 前記原料融液が固化したことを、前記原料融液の温度変化を監視することにより判定する請求項1に記載の単結晶の冷却方法。
  3. 前記温度変化が、急激に上昇してから急激に下降するピークを示したときに前記原料融液が固化したと判定する請求項2に記載の単結晶の冷却方法。
  4. 前記坩堝の周囲には、前記坩堝を加熱する加熱体が設けられ、
    前記育成後の単結晶は、直胴部が前記加熱体の上端より下方の位置にある状態で、前記坩堝内に残留している前記原料融液が固化するのを待機する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の単結晶の冷却方法。
  5. 坩堝内の原料融液を加熱し、原料融液内で単結晶を育成する工程と、
    育成後の前記単結晶を前記原料融液から切り離した状態で、前記坩堝内に残留している前記原料融液が固化するまで待機する工程と、
    育成後の前記単結晶を下降させ、前記坩堝内で固化した前記原料融液に接触させる工程と、を有する単結晶の製造方法。
  6. 前記原料融液が固化したことを、前記原料融液の温度変化を監視することにより判定する請求項5に記載の単結晶の製造方法。
  7. 前記温度変化が、急激に上昇してから急激に下降するピークを示したときに前記原料融液が固化したと判定する請求項6に記載の単結晶の製造方法。
  8. 前記坩堝の周囲には、前記坩堝を加熱する加熱体が設けられ、
    前記育成後の単結晶は、直胴部が前記加熱体の上端より下方の位置にある状態で、前記坩堝内に残留している前記原料融液が固化するのを待機する請求項5乃至7のいずれか一項に記載の単結晶の製造方法
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