JP6386574B2 - 活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、活性エネルギー線硬化型粘着シート - Google Patents

活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、活性エネルギー線硬化型粘着シート Download PDF

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Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物および活性エネルギー線硬化型粘着シートに関する。
具体的には、半導体ウエハや各種プリント基板などの微細加工部品の製造の際に、表面保護や破損防止などのために使用される活性エネルギー線硬化型粘着シート(活性エネルギー線硬化型再剥離型粘着シート)、および、この粘着シートの粘着剤層に用いられる活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に関する。
特に、半導体ウエハの研削時やダイシング時などに使用される半導体ウエハ加工用の粘着シートとして好適に用いることができる活性エネルギー線硬化型粘着シート(活性エネルギー線硬化型再剥離型粘着シート)、および、この粘着シートの粘着剤層に用いられる活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に関する。
従来、IC(Integrated Circuit)やLSI(Large Scale Integration)などの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、通常、半導体シリコンウエハ上に多数のICチップが形成され、ダイシングにより個片化される。
電子機器の更なる小型化および高性能化のニーズに伴い、電子機器に搭載されるICチップについても更なる小型化および高集積化が求められている。
半導体デバイスの製造プロセスに用いられる、半導体シリコンウエハとしては、約700〜900μmの厚さを有するものが広く知られているが、近年、ICチップの小型化等を目的に、半導体シリコンウエハの厚さを200μm以下となるまで薄くすることが試みられている。
しかしながら、厚さ200μm以下の半導体シリコンウエハは非常に薄く、ひいては、これを基材とする半導体デバイス製造用部材も非常に薄いため、このような部材に対して更なる処理を施したり、あるいは、このような部材を単に移動したりする場合等において、部材を安定的に、かつ、損傷を与えることなく支持することは困難である。
上記のような問題を解決すべく、表面にデバイスが設けられた薄型化前の半導体ウエハと加工用支持基板とを粘着剤により仮接着し、半導体ウエハを加工した後、半導体ウエハから加工用支持基板を脱離させる技術が知られている。
このような粘着剤としては、例えば、活性エネルギー線硬化型の粘着剤が知られている。活性エネルギー線硬化型の粘着剤は、仮接着時には高い接着性を発現する一方で、活性エネルギー線の照射により接着性を解除できることから、接着性と剥離性を両立する優れた方式である。
さらに、半導体ウエハ加工用の粘着シートおよびこれに用いる粘着剤組成物として、特許文献1に記載されるように、水分散型の活性エネルギー線硬化型アクリル系粘着剤組成物が知られている。この方式は、粘着剤が水分散型であるために、有機溶剤の使用に伴う環境負荷を低減できるという利点や、これが適用される材料に対するダメージを低減できるという利点を有する。なお、特許文献1においては、例えば、光重合開始剤(光反応開始剤)として、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(例えば、BASF社製の商品名「イルガキュア2959」など)が開示されている。
特開2004−346296号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の上記のような光重合開始剤を含む粘着剤組成物を保存した際に、これに含まれる成分の析出や凝集などが生じてしまい、保存安定性が悪いことが明らかとなった。
また、昨今、粘着剤組成物から形成される粘着剤層の粘着性および外観特性の要求レベルが高まっている。そこで、本発明者が特許文献1に記載の粘着剤を用いて粘着剤層を作製し、その性能を評価したところ、粘着性が要求レベルに達しておらず更なる性能向上が必要であると共に、外観においても粘着剤層を構成する成分の泣き出し(ブリードアウト)などが観察され改良の余地があった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、優れた粘着性を示し、成分の泣き出しが抑制され、活性エネルギー線の照射後においては再剥離可能な特性を有する粘着剤層を形成することができ、保存安定性にも優れる活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を提供することを目的の一つとする。
本発明は、上記組成物から形成される粘着剤層を含む活性エネルギー線硬化型粘着シートを提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、所定の光重合開始剤を用いることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
本発明は、以下の〔1〕〜〔13〕を提供する。
〔1〕
水と、
重合性化合物と、
後述する一般式(I)で表される重合開始剤と、
ポリマー粒子と、
を含有する、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
後述する一般式(I)中、V、V、V、およびVは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。後述する一般式(I)中、nは、1以上5以下の整数を表す。
〔2〕
上記一般式(I)において、nが1または2である、上記〔1〕に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔3〕
上記一般式(I)において、nが1である、上記〔1〕または〔2〕に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔4〕
上記ポリマー粒子が、(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマー成分を乳化重合して得られた(メタ)アクリル系重合体からなり、
上記(メタ)アクリル酸エステルの含有量が、上記モノマー成分の全量に対して、40質量%以上である、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔5〕
上記重合性化合物が、多官能重合性化合物である、上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔6〕
上記一般式(I)で表される重合開始剤の含有量が、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の全固形分質量に対して、0.1質量%以上10.0質量%以下である、上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔7〕
上記一般式(I)で表される重合開始剤の含有量が、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の全固形分質量に対して、2.0質量%以上7.0質量%以下である、上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔8〕
上記一般式(I)で表される重合開始剤の含有量が、上記重合性化合物の全質量に対して、0.1質量%以上30.0質量%以下である、上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔9〕
上記一般式(I)で表される重合開始剤の含有量が、上記重合性化合物の全質量に対して、1.0質量%以上10.0質量%以下である、上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔10〕
上記重合性化合物の含有量が、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の全固形分質量に対して、5.0質量%以上90.0質量%以下である、上記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔11〕
上記重合性化合物の含有量が、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の全固形分質量に対して、20.0質量%以上70.0質量%以下である、上記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
〔12〕
支持体と、
上記支持体上に配置された、上記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から形成される粘着剤層と、
を有する、活性エネルギー線硬化型粘着シート。
〔13〕
半導体ウエハ加工に用いられる、上記〔12〕に記載の活性エネルギー線硬化型粘着シート。
本発明によれば、優れた粘着性を示し、成分の泣き出しが抑制され、活性エネルギー線の照射後においては再剥離可能な特性を有する粘着剤層を形成することができ、保存安定性にも優れる活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を提供することができる。
本発明によれば、上記組成物から形成される粘着剤層を含む活性エネルギー線硬化型粘着シートを提供することができる。
このような活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から作製された粘着剤層を有する粘着シートは、特に半導体ウエハの裏面研削時やダイシング時に使用される半導体ウエハ加工用粘着シートとして好適に用いることができ、使用時または使用終了時に粘着シートの剥離を伴うような各種用途、たとえば、各種工業部材、特に半導体、回路、各種プリント基板、各種マスク、リードフレーム、タッチパネルなどの微細加工部品の製造に際して、表面保護や破損防止などのために幅広く利用することができる。
以下、本発明に好適な実施形態について詳細に説明する。以下に説明する実施形態は本発明の一例を説明するものである。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
本明細書の基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書中における「活性エネルギー線」、「活性光線」または「放射線」は、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、α線、γ線、X線等を含むものを意味する。また、本明細書において、単に「光」という場合には、活性エネルギー線、活性光線または放射線を意味するものとする。
また、本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、紫外線蛍光灯、LED、レーザー光源などを光源とする紫外線、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光等による露光のみならず、電子線およびイオンビーム等の粒子線による描画をも意味している。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタアクリレートを表し、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタアクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルを表す。
また、本明細書中において、「単量体」と「モノマー」とは同義である。本明細書における「単量体」は、オリゴマーおよびポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。
本明細書中において「重合性化合物」とは、重合性基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性基とは、重合反応に関与する基を言う。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
後段においては、詳述するように、本発明の特徴点の一つとしては所定の光重合開始剤を使用している点が挙げられる。
以下では、まず、従来技術において所望の効果が得られなかった理由について詳述し、その後、本発明の特徴点について詳述する。
上記の特許文献1には、粘着剤組成物に含まれる光重合開始剤として、Iragcure2959やIrgacure184(いずれもBASF社製の商品名)を例示している。本発明者がIragcure2959を含む粘着剤組成物を調製し、さらにこれを用いた粘着剤層を有する粘着シートを作製したところ、粘着剤組成物の保存時に光重合開始剤の結晶析出やポリマー粒子の凝集が生じたり、粘着シートの保存時に粘着剤層から結晶析出が生じたり、粘着剤層から泣き出しなどが生じたりすることが明らかとなった。このような不具合は、Iragcure2959の水溶性が乏しいことに起因して生じると推測される。
また、Iragcure184は水溶性に乏しいため、これを含有する粘着剤組成物を調製する場合、多官能重合性モノマーなどの液体成分に一旦溶解した上で、さらにこれを水分散して組成物に添加するなど工程が必要となり、調製が複雑化するという問題がある。また、Iragcure184は水溶性に乏しいことから、Iragcure2959と同様に、粘着剤組成物の保存時の結晶析出や凝集を引き起こす原因となったり、粘着剤層からの結晶析出や泣き出しなどの問題を引き起こす原因となる。
このような問題に対して、本発明に係る活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(以下、単に「粘着剤組成物」ともいう。)は、一般式(I)で表される重合開始剤を含有することで、保存時の結晶析出を抑制できるとともに、保存時にポリマー粒子の凝集が起こる問題を改善できるという予想外の効果が得られることが明らかになった。
さらに、上記の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する本発明に係る活性エネルギー線硬化型粘着シートは、粘着剤層から結晶析出や泣き出しが生じることを抑制でき、優れた粘着性を有し、活性エネルギー線の照射後においては再剥離性に優れるという特性を備えることが明らかになった。
1.活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物
本発明の一実施形態に係る活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、水と、重合性化合物と、後述する一般式(I)で表される重合開始剤と、ポリマー粒子と、を含有することを特徴とする。
1.1.重合開始剤
1.1.1.一般式(I)で表される重合開始剤
本実施形態に係る粘着剤組成物は、重合開始剤として、下記一般式(I)で表される化合物を含有する。一般式(I)で表される化合物は、活性エネルギー線の照射によって後述する重合性化合物の重合反応を開始させる機能を有する、いわゆる「光重合開始剤」である。
上記一般式(I)中、V、V、V、およびVは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。一般式(I)中、nは、1以上5以下の整数を表す。
上記一般式(I)中、nが1以上であることにより、析出物の発生が抑制される。また、上記nが5以下であることにより、活性エネルギー線に対する感度が高く維持され、粘着剤組成物中のポリマー粒子が凝集する現象が抑制されるとともに、種々の基材に対する接着強度(すなわち、活性エネルギー線の照射前の接着強度)が向上する。
上記nは、ポリマー粒子の凝集抑制、感度および接着強度を高いレベルで満たすことができるという観点から、1以上3以下であることが好ましく、1以上2以下であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
これに対して、上記nが1未満(すなわちn=0)である場合には、ポリマー粒子や重合開始剤などの粘着剤組成物に含まれる成分の安定性が低下して、粘着剤組成物の保存時に成分の凝集や析出が発生しやすく、この粘着剤組成物から形成される粘着剤層においても、含まれる成分の、泣き出しや析出が生じる傾向にある。また、粘着剤組成物の塗布性が低下して、接着強度(活性エネルギー線の照射前)が低下する傾向にある。
また、上記nが5を超える場合には、接着強度(活性エネルギー線の照射前)が低下する傾向にある。
〜Vにおいて、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルキルチオ基、メルカプト基、アシル基、アミノ基が挙げられる。
〜Vにおいて、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子、臭素原子がより好ましく、塩素原子が特に好ましい。
〜Vにおいて、アルキル基の炭素原子数としては、炭素原子数1〜6が好ましく、炭素原子数1〜3がより好ましい。
また、V〜Vにおいて、アルキル基は、直鎖のアルキル基であってもよいし、分岐鎖を有するアルキル基であってもよい。また、アルキル基は、脂環構造を有していてもよい。
〜Vにおけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
〜Vにおいて、アルコキシ基の炭素原子数としては、炭素原子数1〜6が好ましく、炭素原子数1〜3がより好ましい。
また、V〜Vにおいて、アルコキシ基は、直鎖のアルコキシ基であってもよいし、分岐鎖を有するアルコキシ基であってもよい。また、アルコキシ基は、脂環構造を有していてもよい。
〜Vにおけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基が好ましい。
〜Vにおいて、アルキルチオ基の炭素原子数としては、炭素原子数1〜6が好ましく、炭素原子数1〜4がより好ましい。
また、V〜Vにおいて、アルキルチオ基は、直鎖のアルキルチオ基であってもよいし、分岐鎖を有するアルキルチオ基であってもよい。また、アルキルチオ基は、脂環構造を有していてもよい。
〜Vにおけるアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基が挙げられ、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基が好ましい。
〜Vにおいて、アシル基の炭素原子数としては、炭素原子数1〜6が好ましく、炭素原子数1〜3がより好ましい。
また、V〜Vにおいて、アシル基は、直鎖のアシル基であってもよいし、分岐鎖を有するアシル基であってもよい。
〜Vにおけるアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、エチルアシル基、n−プロピルアシル基、イソプロピルアシル基が挙げられ、ホルミル基、アセチル基、エチルアシル基が好ましい。
〜Vとしては、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基が好ましく、水素原子、アルコキシ基、アルキルチオ基がより好ましく、水素原子が最も好ましい。
また、一般式(I)で表される化合物のさらに好ましい形態として、V〜Vのうち、2つ以上(好ましくは3つ以上、最も好ましくは4つ)が水素原子である形態が挙げられる。
以下、一般式(I)で表される化合物の具体例(例示化合物)を示すが、一般式(I)で表される化合物はこれらに限定されるものではない。
一般式(I)で表される化合物(重合開始剤)は、例えば、特開2000−186242号公報の段落番号0067〜段落番号0071および段落番号0112〜段落番号0115に記載された方法に準じて合成できる。
一般式(I)で表される化合物(重合開始剤)の含有量は、本実施形態の粘着剤組成物の全固形分質量(100質量%)に対して、0.1質量%〜10.0質量%が好ましく、0.5質量%〜10.0質量%がより好ましく、2.0質量%〜10.0質量%がさらに好ましく、2.0質量%〜7.0質量%が特に好ましい。
上記含有量が0.1質量%以上(好ましくは、2.0質量%以上)であると、感度が向上し、接着強度(活性エネルギー線の照射前)が向上し、望ましくないポリマー粒子の凝集が低減される。
上記含有量が10.0質量%以下(好ましくは、7.0質量%以下)であると、粘着剤組成物の乾燥後または硬化後における、粘着剤層からの成分の泣き出しの発生による接着性の低下を抑制できる。なお、粘着剤組成物の乾燥後または硬化後における、粘着剤層からの成分の泣き出しは、活性エネルギー線の照射前における状態を指す。
なお、本発明における粘着剤組成物の全固形分質量とは、粘着剤組成物を乾燥または硬化させた後に形成される膜(粘着剤層)に含まれる成分の合計質量のことをいう。より具体的には、粘着剤組成物の全固形分質量には、粘着剤組成物中において、揮発または蒸発する成分(例えば、後述する水および有機溶媒など)の質量は含まれず、重合性化合物、重合開始剤およびポリマー粒子などの成分の質量は含まれる。
上記一般式(I)で表される化合物(重合開始剤)の含有量は、本実施形態の粘着剤組成物に含まれる重合性化合物の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%〜30.0質量%が好ましく、0.1質量%〜20.0質量%がより好ましく、1.0質量%〜10.0質量%がさらに好ましい。
上記含有量が0.1質量%以上(好ましくは、1.0質量%以上)であると、感度が向上し、接着強度(活性エネルギー線の照射前)が向上し、望ましくないポリマー粒子の凝集が低減される。
上記含有量が30.0質量%以下(好ましくは、10.0質量%以下)であると、粘着剤組成物の乾燥後または硬化後における、粘着剤層からの成分の泣き出しの発生による接着性の低下を抑制できる。なお、粘着剤組成物の乾燥後または硬化後における粘着剤層からの成分の泣き出しは、活性エネルギー線の照射前における状態を指す。
上記一般式(I)で表される化合物の分子量は、粘着剤組成物中で分散性が向上して重合開始剤としての機能がより向上するという観点から、260〜450の範囲内にあることが好ましく、260〜320の範囲内にあることがより好ましい。
1.1.2.その他の重合開始剤
<上記以外の光重合開始剤>
本実施形態に係る粘着剤組成物は、上記の一般式(I)で表される重合開始剤に加えて、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに別の光重合開始剤を含んでいてもよい。このような光重合開始剤には、光ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、本発明の重合性化合物の重合反応(架橋反応)を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光ラジカル重合開始剤の中から適宜選択することができる。このような光ラジカル重合開始剤としては、例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有するものが好ましい。また、光ラジカル重合開始剤は、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよい。
また、上記光ラジカル重合開始剤は、約200nm〜800nm(好ましくは250nm〜500nm)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、公知の化合物を制限なく使用できるが、例えば、特開2014−80570号公報の段落<0133>〜<0148>に記載の光ラジカル重合開始剤を用いることができる。
上述した一般式(I)で表される重合開始剤以外の光重合開始剤(別の光重合開始剤)は、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<熱重合開始剤>
本実施形態に係る活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、さらに熱重合開始剤を含有してもよい。熱重合開始剤は、加熱によって重合性化合物の重合反応を開始させる機能を有する。このような熱重合開始剤には、熱ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。
熱ラジカル重合開始剤としては、公知の化合物を制限なく使用できるが、例えば、特開2014−80570号公報の段落<0130>〜<0132>に記載の熱ラジカル重合開始剤を用いることができる。
1.2.重合性化合物
本実施形態に係る粘着剤組成物は、重合性化合物を含有する。重合性化合物は、ラジカル重合性モノマーであることが好ましい。ラジカル重合性モノマーは、典型的には、ラジカル重合性基を有している。ここでラジカル重合性基とは、ラジカルの作用により重合することが可能な基である。
ラジカル重合性モノマーは、典型的には、低分子化合物であり、分子量2000以下の低分子化合物であることが好ましく、1500以下の低分子化合物であることがより好ましく、分子量900以下の低分子化合物であることがさらに好ましい。なお、分子量は、通常、100以上である。
ラジカル重合性モノマーを使用することで、粘着シートを、粘着シートの接着対象(以下、「部材」という。)に接着させた後に加熱処理を行うことで、例えば熱ラジカル重合開始剤などから発生するラジカルによって重合反応がさらに進行し、高い接着力により部材を仮支持することができる。さらに、例えば、後に詳述するように、部材に粘着シートを接着させる前に、粘着シートにおける粘着剤層に対して活性エネルギー線による露光を行うことにより、露光部においては重合性モノマーの重合反応が行われる。パターン露光を行うことで、粘着剤層に高接着性領域と低接着性領域とを設けてもよい。
また、例えば、部材に粘着シートを接着させる前に、粘着シートの粘着剤層に対して活性エネルギー線若しくは放射線または熱を照射することにより、ラジカル重合性モノマーによる重合反応が行われ、支持体側の内表面から外表面にかけて接着性が低下された粘着剤層を形成できる。すなわち、粘着シートにおける支持体と粘着剤層との接着性は高いものにしつつ、部材に対する粘着剤層の接着性を低下させることもできる。
本発明で用いられる重合性化合物は、多官能重合性化合物であることが好ましい。
上記ラジカル重合性モノマーは、具体的には、ラジカル重合性基を少なくとも1個好ましくは2個以上有する化合物から選ばれ、反応性に優れる等の観点から、ラジカル重合性基を2〜6個有する化合物、すなわち多官能重合性モノマー(多官能重合性化合物)がさらに好ましい。多官能重合性モノマーは、この産業分野において広く知られているものであり、本発明においては公知の多官能重合性モノマーを特に限定なく用いることができる。
多官能重合性化合物は、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物並びにそれらの多量体などの化学的形態のいずれであってもよい。本明細書におけるラジカル重合性モノマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ラジカル重合性基は、エチレン性不飽和基であることが好ましい。エチレン性不飽和基としては、スチリル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基がさらに好ましい。
より具体的には、モノマーおよびそのプレポリマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの多量体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と多価アルコール化合物とのエステル、および不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの多量体である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド(EO)変性トリアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
市販品としては、A−DCP、DCPおよびA−DPH(いずれも、新中村化学製)を用いることができる。
また、多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド、発明協会公開技報(公技番号2013−502632、2013年8月27日発行、発明推進協会)の段落<0031>に記載の重合性化合物1〜12、段落<0192>に記載の多官能化合物1〜11、N−(2−アセトアミドエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、などを挙げることができる。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有するアミド系モノマーを挙げることができる。
さらに、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−メチルカルボキシベタイン、2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2−トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、N−(3−スルホプロピル)―N−(メタクリルオキシエチル―N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(4−スルホブチル)−N−(メタクリロイルアミノプロピル)−N,N−ジアンモニウムベタインなどのベタイン構造を有するモノマーを用いてもよい。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R)OH (A)
上記一般式(A)中、RおよびRは、HまたはCHを示す。
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキシド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
また、ラジカル重合性モノマーとしては、特開2009−288705号公報の段落番号0095〜段落番号0108に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
また、上記ラジカル重合性モノマーとしては、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報、特開昭51−37193号公報の各公報に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、特公昭52−30490号公報の各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレートおよびこれらの混合物を挙げることができる。
多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させ得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
また、その他の好ましいラジカル重合性モノマーとして、特開2010−160418号公報、特開2010−129825号公報、特許4364216号公報等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性重合性基を2官能以上有する化合物、カルド樹脂も使用することが可能である。
さらに、ラジカル重合性モノマーのその他の例としては、特公昭46−43946号公報、特公平1−40337号公報、特公平1−40336号公報に記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報に記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報に記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌 vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
また、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物としては、特開2008−292970号公報の段落番号<0254>〜<0257>に記載の化合物も好適である。
上記のほか、下記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーも好適に用いることができる。なお、下記式中、Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。
上記一般式において、nは0〜14であり、mは1〜8である。一分子内に複数存在するR、T、は、各々同一であっても、異なっていてもよい。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表されるラジカル重合性モノマーの各々において、複数のRの内の少なくとも1つは、−OC(=O)CH=CH、または、−OC(=O)C(CH)=CHで表される基を表す。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーの具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜段落番号0251に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)および(2)としてその具体例と共に記載の、上記多官能アルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、ラジカル重合性モノマーとして用いることができる。
中でも、ラジカル重合性モノマーとしては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては KAYARAD D−330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては KAYARAD D−320;日本化薬株式会社製)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D−310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD DPHA ;日本化薬株式会社製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
ラジカル重合性モノマーとしては、多官能重合性モノマーであって、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有していてもよい。従って、エチレン性化合物が、上記のように混合物である場合のように未反応のカルボキシル基を有するものであれば、これをそのまま利用することができるが、必要において、上述のエチレン性化合物のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を導入してもよい。この場合、使用される非芳香族カルボン酸無水物の具体例としては、無水テトラヒドロフタル酸、アルキル化無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アルキル化無水ヘキサヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸が挙げられる。
本発明において、モノマーとしては、酸価を有する基やカチオン性の基を含むことにより荷電を有していてもよい。酸価を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが例示され、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能重合性モノマーが好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトールおよび/またはジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、M−510、M−520などが挙げられる。
これらのモノマーは1種を単独で用いてもよいが、製造上、単一の化合物を用いることは難しいことから、2種以上を混合して用いてもよい。また、必要に応じてモノマーとして酸基を有しない多官能重合性モノマーと酸基を有する多官能重合性モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能重合性モノマーの好ましい酸価としては、0.01〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは0.1〜30mg−KOH/gである。多官能重合性モノマーの酸価が低すぎると水分散性が落ち、高すぎると製造や取扱いが困難になり光重合性能が落ち、表面平滑性等の硬化性が劣るものとなる。従って、異なる酸基の多官能重合性モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能重合性モノマーを併用する場合、全体の多官能重合性モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することができる。
また、ラジカル重合性モノマーとして、カプロラクトン構造を有する多官能重合性モノマーを含有することも好ましい。
カプロラクトン構造を有する多官能重合性モノマーとしては、その分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε−カプロラクトンをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。なかでも下記式(1)で表されるカプロラクトン構造を有する多官能重合性モノマーが好ましい。
上記一般式(1)中、6個のRは全てが下記一般式(2)で表される基であるか、または6個のRのうち1〜5個が下記一般式(2)で表される基であり、残余が下記一般式(3)で表される基である。
上記一般式(2)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、mは1または2の数を示し、「*」は結合手であることを示す。
上記一般式(3)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、「*」は結合手であることを示す。
このようなカプロラクトン構造を有する多官能重合性モノマーは、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA−20(上記式(1)〜(3)においてm=1、式(2)で表される基の数=2、Rが全て水素原子である化合物)、DPCA−30(同式、m=1、式(2)で表される基の数=3、Rが全て水素原子である化合物)、DPCA−60(同式、m=1、式(2)で表される基の数=6、Rが全て水素原子である化合物)、DPCA−120(同式においてm=2、式(2)で表される基の数=6、Rが全て水素原子である化合物)等を挙げることができる。
本発明において、カプロラクトン構造を有する多官能重合性モノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、多官能重合性モノマーとしては、下記一般式(i)または(ii)で表される化合物の群から選択される少なくとも1種であることも好ましい。
上記一般式(i)および(ii)中、Eは、各々独立に、−((CHCHO)−、または((CHCH(CH)O)−を表し、yは、各々独立に0〜10の整数を表し、Xは、各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、水素原子、またはカルボキシル基を表す。
上記一般式(i)中、アクリロイル基およびメタクリロイル基の合計は3個または4個であり、mは各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は0〜40の整数である。但し、各mの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
上記一般式(ii)中、アクリロイル基およびメタクリロイル基の合計は5個または6個であり、nは各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は0〜60の整数である。但し、各nの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
上記一般式(i)中、mは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。また、各mの合計は、2〜40の整数が好ましく、2〜16の整数がより好ましく、4〜8の整数が特に好ましい。
上記一般式(ii)中、nは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。また、各nの合計は、3〜60の整数が好ましく、3〜24の整数がより好ましく、6〜12の整数が特に好ましい。
また、一般式(i)または一般式(ii)中の−((CHCHO)−または((CHCH(CH)O)−は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。
上記一般式(i)または(ii)で表される化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。特に、一般式(ii)において、6個のX全てがアクリロイル基である形態が好ましい。
また、一般式(i)または(ii)で表される化合物のラジカル重合性モノマー中における全含有量としては、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
上記一般式(i)または(ii)で表される化合物は、従来公知の工程である、ペンタエリスリト−ルまたはジペンタエリスリト−ルにエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを開環付加反応により開環骨格を結合する工程と、開環骨格の末端水酸基に、例えば(メタ)アクリロイルクロライドを反応させて(メタ)アクリロイル基を導入する工程と、から合成することができる。各工程は良く知られた工程であり、当業者は容易に一般式(i)または(ii)で表される化合物を合成することができる。
上記一般式(i)、(ii)で表される化合物の中でも、ペンタエリスリトール誘導体および/またはジペンタエリスリトール誘導体がより好ましい。
具体的には、下記一般式(a)〜(f)で表される化合物(以下、「例示化合物(a)〜(f)」ともいう。)が挙げられ、中でも、例示化合物(a)、(b)、(e)、(f)が好ましい。
一般式(i)、(ii)で表される化合物(ラジカル重合性モノマー)の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、日本化薬株式会社製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA−60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330などが挙げられる。
また、ラジカル重合性モノマーとしては、特公昭48−41708号公報、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報に記載のエチレンオキシド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。さらに、重合性化合物として、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることもできる。
ラジカル重合性モノマーの市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、UA−7200(新中村化学社製、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)などが挙げられる。
ラジカル重合性モノマーについて、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、粘着剤組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、感度(活性エネルギー線または放射線の照射に対する、接着性の減少の効率)の観点では、1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合は2官能以上が好ましい。また、粘着剤層の強度を高める観点では、3官能以上のものがよく、さらに、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。さらに、3官能以上のものでエチレンオキシド鎖長の異なるラジカル重合性モノマーを併用することも好ましい。また、粘着剤組成物に含有される他の成分(例えば、ポリマー、重合開始剤等)との相溶性、分散性に対しても、ラジカル重合性モノマーの選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体との密着性を向上させる観点で特定の構造を選択することもあり得る。
重合性化合物の含有量は、良好な接着強度と剥離性の観点から、本実施形態の粘着剤組成物の全固形分質量(100質量%)に対して、5.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、15.0質量%以上80.0質量%以下であることがより好ましく、20.0質量%以上70.0質量%以下であることが特に好ましい。
重合性化合物の含有量が5質量%以上であることで、活性エネルギー線照射処理前の粘着力が良好になり、ダイシング工程時に、素子小片の剥離を抑制できる傾向にあり、また、活性エネルギー線照射処理後の粘着力の低下が良好になり、ピックアップ工程で素子小片を容易に剥離することができる傾向にある。一方、重合性化合物の含有量が90質量%以下であることで、活性エネルギー線照射処理前の粘着力を十分に確保でき、ダイシング工程時に素子小片の剥離を抑制できる傾向にある。
1.3.ポリマー粒子
本実施形態に係る粘着剤組成物は、ポリマー粒子を含有する。ポリマー粒子は、粘着剤組成物中で水に分散された水分散体の形態で存在する。
ポリマー粒子を構成するポリマーとしては、(メタ)アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂(好ましくは、ポリビニルブチラール樹脂)、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、セルロースエステル系樹脂、セルロースエーテル系樹脂、および、ノボラック樹脂などが挙げられる。これらのポリマーは、取扱いの容易性および粘着剤組成物中での分散性が向上するという観点から、これらを水分散体の形態(言い換えると、「ポリマーの水分散体」)にして用いることが好ましい。
上記ポリマーの中でも、(メタ)アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂(好ましくは、ポリビニルブチラール樹脂)を用いることが好ましく、(メタ)アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂を用いることがより好ましく、(メタ)アクリル系重合体であることが特に好ましい。(メタ)アクリル系重合体としては、(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマー成分を乳化重合したアクリル系重合体であることが特に好ましい。(メタ)アクリル酸エステルは、モノマー成分の主成分として含まれることが好ましく、具体的には、モノマー成分の全質量100質量%に対して、40質量%以上含まれていることが好ましく、40質量%以上100質量%未満含まれていることがより好ましく、50質量%以上100質量%未満含まれていることがさらに好ましく、60質量%以上100質量%未満含まれていることが特に好ましい。また、ポリマーとしては、化学構造あるいは分子量が異なる2種類以上のものを混合して用いてもよい。
本発明において、「(メタ)アクリル系重合体」とは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル(アルキルエステル、アリールエステル、アリルエステルなど)、(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体を重合成分として有する共重合体のことをいう。
「ポリウレタン樹脂」とは、イソシアネート基を2つ以上有する化合物とヒドロキシル基を2つ以上有する化合物の縮合反応により生成されるポリマーのことをいう。
「ポリビニルブチラール樹脂」とは、ポリ酢酸ビニルを一部または全て鹸化して得られるポリビニルアルコールとブチルアルデヒドを酸性条件下で反応(アセタール化反応)させて合成されるポリマーのことをいい、さらに、残存したヒドロキシ基と酸基等有する化合物を反応させる方法等により酸基等を導入したポリマーも含まれる。
「ノボラック樹脂」とは、フェノール類(フェノールやクレゾールなど)とアルデヒド類(ホルムアルデヒドなど)の縮合反応によって生成されるポリマーのことをいう。さらに、残存したヒドロキシ基に対して別の化合物を反応させる方法等により置換基を導入したポリマーも含まれる。
上記ノボラック樹脂の好適な一例としては、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,またはm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂が挙げられる。重量平均分子量が500〜20,000、数平均分子量が200〜10,000のノボラック樹脂が好ましい。また、ノボラック樹脂中のヒドロキシ基に対して別の化合物を反応させて置換基を導入した化合物も好ましく使用できる。
上記ポリマーは、重量平均分子量5000以上が好ましく、1万〜30万がより好ましく、また、数平均分子量1000以上が好ましく、2000〜25万がより好ましい。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10が好ましい。
上記ポリマーは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
以下、本実施形態に係る粘着剤組成物に含まれるポリマー粒子として、特に好適な態様であるアクリル系重合体について、さらに詳細に説明する。
本実施形態に係る、アクリル系重合体を含むポリマー粒子は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分(例えば、モノマー成分の全質量100質量%に対して、好ましくは40質量%以上、より好ましくは40質量%以上100質量%未満、さらに好ましくは50質量%以上100質量%未満、特に好ましくは60質量%以上100質量%未満)とするモノマー成分を乳化重合によりエマルションとして調製されたものであることが好ましい。
アクリル系重合体を構成するモノマー成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主モノマーとし、必要に応じて上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のモノマー(共重合性モノマー)を使用してもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、(メタ)アクリル酸(2−ヒドロキシエトキシエチル)、ω‐ヒドロキシ‐ポリ(エチレンオキシ)(メタ)アクリレート、ω‐ヒドロキシ‐ポリ(プロピレンオキシ)(メタ)アクリレート、ω‐メトキシ‐ポリ(エチレンオキシ)(メタ)アクリレート、ω‐メトキシ‐ポリ(プロピレンオキシ)(メタ)アクリレート、などの(メタ)アクリル酸C1−20アルキル(置換されていてもよい直鎖状、環状または分岐鎖状のアルキル)エステルなどが挙げられる。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、目的とする粘着性などに応じて適宜選択することができ、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。上記「C1−20アルキル」とは、炭素数1〜20のアルキル基のことを指す。
本発明では、上述のように、上記主モノマーの他に、必要に応じてポリマー粒子の安定化、粘着剤層の支持体(基材)への密着性の向上、また粘着シートの接着対象への接着性の向上などを目的として、共重合性モノマーを併用することができる。この共重合性モノマーは、全モノマー成分全量(モノマー混合物)中60質量%以下(好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下)の範囲で、モノマー混合物中の各モノマーの種類に応じて適宜その使用量を選択することができる。
共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸(アクリル酸、メタクリル酸)、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート等のカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸、無水イコタン酸等の酸無水物基含有モノマー、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の(メタ)アクリル酸脂環式炭化水素エステル、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、スチレン等のスチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有モノマー、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等のヒドロキシル基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の窒素原子含有系モノマー、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのアルコキシ基含有モノマー、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー、ビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマーの他、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン等のビニル基含有複素環化合物や、N−ビニルカルボン酸アミド類などが挙げられる。
また、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクルロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートなどの複素環、ハロゲン原子またはケイ素原子を含有するアクリル酸エステル系モノマーなども用いることができる。
また、共重合性モノマーとしては、ポリマー成分のゲル分率や弾性率、粘弾性、軟化点の調整等のために、多官能重合性モノマーを用いることもできる。多官能重合性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(モノまたはポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(モノまたはポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(モノまたはポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの他、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。また、多官能重合性モノマーとして、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなども用いることができる。
本発明では、ポリマー粒子を構成するポリマーとしては、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を、ポリマーの側鎖中や主鎖中に、もしくはポリマーの主鎖の末端に有するものも好適に用いることができる。このような構造とすることで、ポリマー粒子自体が、重合性成分とラジカル反応により結合を形成することが可能となり、活性エネルギー線の照射前後での接着性の変化をより顕著にすることが可能となる。このようなラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有するポリマーは、例えば、ポリマーの側鎖中にラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有する場合、主鎖を構成するモノマー成分としてエポキシ基含有モノマー(例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなど)を用いて共重合を行い、さらに、カルボキシル基またはその誘導体の基(酸無水物基など)を有するモノマー成分(例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート等のカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸、無水イコタン酸等の酸無水物基含有モノマーなど)を用いて、上記エポキシ基と、上記カルボキシル基またはその誘導体の基(酸無水物基など)とを反応させる方法や、主鎖を構成するモノマー成分として上述のカルボキシル基含有モノマーを用い、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどと反応させる方法などにより、調製することができる。
モノマー成分に加えてラジカル重合性官能基を有する反応性乳化剤(以下、単に「反応性乳化剤」とも言う。)を用いて乳化重合を行うこともできる。反応性乳化剤は、乳化剤としての機能を有しているとともに、分子中にラジカル重合性官能基(例えば、エテニル基、プロペニル基、アリル基やアリルエーテル基等のラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有する基など)を有している。特に、本発明の粘着剤組成物中には、活性エネルギー線硬化型の重合性化合物が含まれているので、反応性乳化剤は、活性エネルギー線硬化型の重合性化合物と反応することにより、活性エネルギー線照射前後での粘着力の変化を大きくする機能も有している。
反応性乳化剤としては、各種乳化剤(例えば、ノニオンアニオン系反応性乳化剤、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤など)に、プロペニル基やアリルエーテル基等のラジカル重合性官能基(ラジカル反応性基)が導入された形態を有する(またはこの形態に相当する)反応性乳化剤が挙げられる。反応性乳化剤は単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
反応性乳化剤が、ノニオンアニオン系乳化剤にラジカル重合性官能基が導入された形態を有する(またはこの形態に相当する)ノニオンアニオン系反応性乳化剤である場合、上記ノニオンアニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。なお、このようなノニオンアニオン系乳化剤としては、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの平均付加モル数が30以下(好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下)であることが望ましい。
なお、本発明において、ノニオンアニオン系乳化剤とは、非イオン性の親水性基を持つアニオン系乳化剤のことを意味している。従って、ノニオンアニオン系乳化剤には、非イオン性の親水性基(例えば、ポリオキシエチレンやポリオキシプロピレン等のポリオキシアルキレン基など)を有さないアニオン系乳化剤に、アルキレンオキシド(エチレンオキシドやプロピレンオキシド等)の付加によるポリオキシアルキレン基などの非イオン性の親水性基を有する乳化剤が含まれる。
また、反応性乳化剤が、アニオン系乳化剤にラジカル重合性官能基が導入された形態を有する(またはこの形態に相当する)アニオン系反応性乳化剤である場合、上記アニオン系乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
さらにまた、反応性乳化剤が、ノニオン系乳化剤にラジカル重合性官能基が導入された形態を有する(またはこの形態に相当する)ノニオン系反応性乳化剤である場合、上記ノニオン系乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。
反応性乳化剤において、ラジカル重合性官能基の含有割合としては特に制限されないが、例えば、反応性乳化剤の1分子中にラジカル重合性官能基が1つ含まれていればよく、また、2つ以上含まれていてもよい。
反応性乳化剤としては、例えば、ラジカル重合性官能基を有するノニオンアニオン系反応性乳化剤として、商品名「アデカソープSE−10N」(旭電化工業(株)製;エチレンオキシドの平均付加モル数10)、商品名「アクアロンHS−20」(第一工業製薬(株)製;エチレンオキシドの平均付加モル数20)、商品名「アクアロンHS−10」(第一工業製薬(株)製;エチレンオキシドの平均付加モル数10)、商品名「アクアロンHS−05」(第一工業製薬(株)製;エチレンオキシドの平均付加モル数5)などが市販されている。
本発明の粘着剤組成物を半導体ウエハ加工用粘着シートとして用いる場合、粘着剤組成物中の不純物イオンが問題となる場合がある。そのため、粘着剤組成物としては、含まれる不純物イオンが低減または除去されていることが望ましい。
従って、反応性乳化剤としては、例えば、硫酸イオンの濃度が100μg/g以下であることが望ましい。また、反応性乳化剤としては、アンモニウム塩型の乳化剤を用いることもまた望ましい。なお、不純物イオンを低減または除去する方法としては、例えば、イオン交換樹脂法、膜分離法、アルコールを用いた不純物の沈殿ろ過法などの適宜な方法を用いることができる。
反応性乳化剤の添加量は、重合性化合物100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下、好ましくは0.5質量部以上3質量部以下程度である。反応性乳化剤の添加量が重合性化合物100質量部に対して5質量部以下であることで、ダイシング工程の際に、またはその後の工程で、素子小片が粘着シートから剥離してしまうことを抑制できる。一方、反応性乳化剤の添加量が重合性化合物100質量部に対して0.1質量部以上であることで、安定した乳化状態が維持しやすくなる。
ラジカル重合性官能基を有さない乳化剤(非反応性乳化剤)を単独または反応性乳化剤と併用することも好ましい。このようなラジカル重合性官能基を有さない乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤やノニオンアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などが挙げられる。
ポリマーの水分散体(エマルション系重合体)の調製方法としては、モノマー成分を用いた乳化重合など任意の調製方法で整合することができる。重合に際しては、重合開始剤、連鎖移動剤などを用いることができる。
ポリマー粒子を構成するポリマーの製造の際に用いる重合開始剤としては、例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)などのアゾ系重合開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系重合開始剤;過酸化物と還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤[例えば、過酸化物とアスコルビン酸との組み合わせ(過酸化水素水とアスコルビン酸との組み合わせ等)、過酸化物と鉄(II)塩との組み合わせ(過酸化水素水と鉄(II)塩との組み合わせ等)、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせ等によるレドックス系重合開始剤など]が挙げられる。重合開始剤は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
ポリマー粒子を構成するポリマーの製造の際に用いる重合開始剤の使用量としては、その種類やモノマー成分の種類などに応じて適宜決定することができ、通常、モノマー成分100質量部に対して0.01〜1質量部、好ましくは0.02〜0.5質量部であることが望ましい。
連鎖移動剤は、例えば、ポリマーの分子量を調整するためなどで使用することができる。連鎖移動剤としては、特に制限されず、公知または慣用の連鎖移動剤、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノールなどが挙げられる。連鎖移動剤は単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。連鎖移動剤の使用量は、通常、モノマー成分100質量部に対して0.001〜0.5質量部程度である。
ポリマー粒子(ポリマーの水分散体)は、モノマー成分と、必要に応じて、乳化剤、反応性乳化剤、重合開始剤や連鎖移動剤などとを用いた乳化重合により得られる。従って、ポリマーは、水分散体(エマルション)の形態で調製されている。上記乳化重合の方法としては、公知ないし慣用の乳化重合の方法を採用することができる。具体的には、一般的な一括仕込み方法(一括重合方法)、モノマー滴下方法、モノマーエマルジョン滴下方法などを利用したエマルション重合方法が挙げられる。モノマーなどを滴下する場合は、連続的に滴下してもよく、分割して滴下してもよい。なお、重合温度は、重合開始剤の種類などに応じて適宜選択することができ、例えば、5〜100℃の範囲から選択できる。
なお、ポリマー粒子を構成するポリマーのゲル分率は、80質量%以下が好ましく、60質量%以下がさらに好ましく、40質量%以下が特に好ましい。ポリマーのゲル分率が80質量%以下であることで、活性エネルギー線照射前の粘着力が良好となる場合がある。ポリマーのゲル分率は、後述の粘着剤組成物のゲル分率の測定法により算出することができる。
ポリマー粒子を水分散体の形態(すなわち、エマルションの形態)で使用する場合には、ポリマー(粒子)の水分散体中の固形分含有量は、5〜80質量%とすることが好ましく、5〜70質量%がさらに好ましく、10〜60質量%が特に好ましい。
ポリマー粒子の含有量(固形分換算量)は、良好な接着強度と剥離性の観点から、本実施形態の粘着剤組成物の全固形分質量(100質量%)に対して、5質量%以上94質量%以下が好ましく、10質量%以上90質量%以下がより好ましく、20質量%以上80質量%以下がさらに好ましいく、30.0質量%以上80.0質量%以下であることが特に好ましい。
ポリマー粒子の含有量が10.0質量%以上であることで、活性エネルギー線照射処理前の粘着力が向上して、ダイシング工程時に素子小片が剥離することを抑制できる傾向にあり、また、粘着シートを形成した際に、経時で厚みが変動したり、シートの切断面から粘着剤組成物の流れ出しが起きたりすることを抑制できる場合がある。一方、ポリマー粒子の含有量が95質量%以下であることで、活性エネルギー線照射処理前の粘着力が良好となり、ダイシング工程時に素子小片が剥離することを抑制できる傾向にあり、活性エネルギー線照射処理を行った際に、粘着力を十分に低下させることができる。
水分散体中のポリマー粒子の粒子径(平均粒子径)は、0.01μm〜10μmが好ましく、0.05μm〜3.0μmが更に好ましく、0.05μm〜1μmであることが特に好ましい。粒子径は公知の任意の方法で測定することができるが、例えば、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、動的光散乱法などを用いることができる。
1.4.水
本実施形態に係る粘着剤組成物は、水を含有する。水は、粘着剤組成物に含まれる各成分を分散または溶解させる溶媒として機能する。水の含有量は、特に限定されるものではないが、粘着剤組成物の全質量(100質量%)に対して、例えば10質量%以上90質量%以下、さらには20質量%以上80質量%以下とすることができる。
1.5.その他の成分
本実施形態に係る粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、目的に応じて、さらに種々の化合物を含有することができる。
<水以外の溶剤>
本実施形態に係る粘着剤組成物は、成分の溶解性、分散性、保存性、粘度調整、乾燥性の調整、耐腐敗性などの目的から、水以外の溶剤(通常、有機溶剤)を含んでいてもよい。水以外の溶剤の含有量は、粘着剤組成物の全質量(100質量%)に対して、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。水以外の溶剤は、各成分の溶解性(分散性)や粘着剤組成物の塗布性等に悪影響を与えないものあれば基本的には特に制限はない。
有機溶剤には、例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、芳香族炭化水素類などを用いることができる。
<界面活性剤>
本実施形態に係る粘着剤組成物は、分散安定性および塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
特に、本発明の粘着剤組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。すなわち、フッ素系界面活性剤を含有する粘着剤組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、粘着剤組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(OMNOVA社製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレートおよびプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製))等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤を含有する場合の含有量は、粘着剤組成物の全固形分(100質量%)に対して、0.001質量%〜2.0質量%であることが好ましく、0.005質量%〜1.0質量%であることが好ましい。
<増感色素>
本実施形態に係る粘着剤組成物は、増感色素を含んでいてもよい。増感色素は、露光時の光を吸収して励起状態となり、上記重合開始剤に電子移動、エネルギー移動または発熱などでエネルギーを供与し、重合開始機能を向上させるものであれば特に限定せず用いることができる。特に、300〜450nmまたは750〜1400nmの波長域に極大吸収を有する増感色素が好ましく用いられる。
上記300〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素としては、メロシアニン類、ベンゾピラン類、クマリン類、芳香族ケトン類、アントラセン類、スチリル類、オキサゾール類等の色素を挙げることができる。
<連鎖移動剤>
本実施形態に係る粘着剤組成物は、連鎖移動剤を含有していてもよい。連鎖移動剤は、例えば高分子辞典第三版(高分子学会編、2005年)683−684頁に定義されている。連鎖移動剤としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成し得る。
粘着剤組成物には、特に、チオール化合物(例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類、2−メルカプトベンゾチアゾール類、2−メルカプトベンゾオキサゾール類、3−メルカプトトリアゾール類、5−メルカプトテトラゾール類等)を好ましく用いることができる。また、連鎖移動剤としては、同一分子内に2個以上のメルカプト(SH)基を有する多官能チオール化合物も好適である。
連鎖移動剤を含有する場合の含有量は、粘着剤組成物の全固形分100質量部に対して、好ましくは0.01質量部〜20質量部、さらに好ましくは1質量部〜10質量部、特に好ましくは1質量部〜5質量部である。
連鎖移動剤の中でも、多官能チオール化合物を含有する場合の含有量は、粘着剤組成物の全固形分(100質量%)に対して、0.3質量%〜8.9質量%、より好ましくは0.8質量%〜6.4質量%の範囲で添加するのが望ましい。多官能チオール化合物の添加によって、粘着剤組成物の安定性、臭気、感度、密着性等を良化させることができる。
<重合禁止剤>
本実施形態に係る粘着剤組成物には、粘着剤組成物の製造中または保存中において重合性化合物の不要な熱重合を防止するために、少量の重合禁止剤を添加するのが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。
重合禁止剤を含有する場合の含有量は、粘着剤組成物の全固形分(100質量部)に対して、0.01質量部〜5質量部であることが好ましい。
<高級脂肪酸誘導体>
本実施形態に係る粘着剤組成物には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で粘着剤層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体を含有する場合の含有量は、粘着剤組成物の全固形分(100質量部)に対して、0.1質量部〜10質量部であるのが好ましい。
<架橋剤>
本実施形態に係る粘着剤組成物は、架橋剤を含有してもよい。架橋剤を含有することにより、粘着剤組成物の加熱処理後のゲル分率を調整することができる。このような架橋剤としては、特に制限されないが、例えば、2官能以上のエポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤、金属キレート系架橋剤、過酸化物系架橋剤などが挙げられる。架橋剤は単独でまたは2種以上組み合わせて使用してもよい。架橋剤の具体例としては、N,N,N´,N´−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤、トリレンジイソシアネート(ブロック)等のイソシアネート系架橋剤(ブロックイソシアネート系架橋剤など)、商品名「カルボジライトV−01(日清紡(株)製)」等のカルボジイミド系架橋剤、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤、商品名「エラストロンBN−69(第一工業製薬(株)製)」等の水分散型イソシアネート系架橋剤、商品名「エポクロスWS−500((株)日本触媒製)」等のオキサゾリン系架橋剤;
商品名「ケミタイトPZ−33((株)日本触媒製)」等のアジリジン系架橋剤;商品名「カルボジライトV−02(日清紡(株)製)」等の親水化処理カルボジイミド系架橋剤;ヘキサメチロールメラミンなどの活性メチロール、ヘキサメトキシメチルメラミンなどの活性アルコキシメチル等の活性メチロール基や活性アルコキシメチル基を含有する架橋剤;商品名「オルガチックスAI135(松本製薬工業(株)製)」等の金属キレート系架橋剤などが挙げられる。
架橋剤の使用量としては、例えば、本実施形態に係るポリマー粒子100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部、好ましくは0.05質量部〜5質量部、さらに好ましくは0.1質量部〜3質量部程度の範囲から選択することができる。
<その他の添加剤>
本実施形態に係る粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、各種添加物、例えば、硬化剤、硬化触媒、シランカップリング剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、架橋剤、粘着付与剤、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤等の添加剤などを含有していてもよい。
これらの添加剤を含有する場合、その含有量の合計は、粘着剤組成物の全固形分(100質量部)に対して、3質量部以下とすることが好ましい。
1.6.調製方法
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の調製方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリマー粒子の水分散体(エマルション系重合体)と、重合性化合物、本発明の一般式(I)で表される重合開始剤を少なくとも含む成分を混合することにより得ることができる。
混合する方法としては、特に制限されないが、作業性などの観点から、重合性化合物を水に分散させてエマルションとして、得られたエマルション状態の重合性化合物の水分散体を、ポリマー粒子の水分散体に添加して混合する方法を好ましく例示することができる。
ここで、重合性化合物を水に分散させてエマルションとする際には、乳化剤や分散剤(重量平均分子量が8000以上、好ましくは、10000以上、さらに好ましくは15000以上、特に好ましくは30000以上の重合体を含有する高分子分散剤)を好ましく用いることができる。分散剤として、重量平均分子量が8000以上の重合体を含有する高分子分散剤を用いると、活性エネルギー線硬化前の耐水接着性を向上させることができる。そのため、粘着剤組成物を、例えば、半導体ウエハの製造の際に用いられる半導体ウエハ加工用粘着シートにおける粘着剤層を形成するために用いた場合、半導体ウエハを素子小片へダイシングする際に、水をかけながらダイシングを行っても、素子小片の剥離を防止することができ、半導体ウエハの製造効率を高めることができる。
高分子分散剤の例としては、モノマー成分として(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー成分を用いた重合体や、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
また、重合性化合物を水に分散させてエマルションとする際に用いられる乳化剤としては、特に限定されるものではないが、公知の乳化剤、界面活性剤やラジカル重合性官能基を有する反応性乳化剤を好適に用いることができる。
重合性化合物を水に分散させてエマルションとする際に用いられる分散剤(特に、高分子分散剤)や乳化剤、界面活性剤の使用量としては、重合性化合物を水に分散させてエマルションとすることができる量であれば特に制限されない。例えば、重合性化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部(好ましくは0.5〜5質量部、さらに好ましくは1〜3質量部)程度の範囲から選択することができる。
2.活性エネルギー線硬化型粘着シート
本発明に係る活性エネルギー線硬化型粘着シートは、上述した粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する。具体的には、活性エネルギー線硬化型粘着シートとしては、例えば、支持体(基材)と、この支持体上に、上記活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から形成された粘着剤層(「活性エネルギー線硬化型再剥離型粘着剤層」または「活性エネルギー線硬化型粘着剤層」と称する場合がある。)と、を有する構成などが挙げられる。
活性エネルギー線硬化型粘着シートは、部材(後述)に貼着後、活性エネルギー線照射処理により再剥離することが可能な構成を有している。
2.1.粘着剤層
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着シートは、粘着剤層を有する。粘着剤層の厚さは、特に制限されないが、例えば、0.1μm〜1000μm、好ましくは1μm〜500μm、さらに好ましくは1μm〜200μm、特に好ましくは2μm〜100μmである。
本発明の粘着剤層の形成方法としては、公知または慣用の形成方法を採用することができ、例えば、支持体上に、粘着剤組成物を塗布する方法(塗布方法)、剥離フィルム上に、粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成した後、粘着剤層を支持体上に転写する方法(転写方法)などが挙げられる。
なお、粘着剤組成物中に架橋剤が含まれる場合は、形成される粘着剤層中には一部架橋構造が導入される。また、上述したように、必要に応じて、粘着剤組成物中に熱重合開始剤を含有させ、加熱乾燥させることにより、粘着剤層に架橋構造を導入することもできる。
具体的には、粘着剤層は、上述した粘着剤組成物を基材に塗布した後、送風や加熱などの任意の処理によってこれを乾燥・硬化させることで形成される。乾燥・硬化の条件は特に制限されないが、通常、20〜200℃(好ましくは、40〜160℃)にて1秒〜60分間(好ましくは、10秒〜10分間)実施することが好ましい。乾燥・硬化の温度は、一定温度で行っても、工程中で温度を変化させて行ってもよい。また、乾燥・硬化の工程は、塗布した基材を静置して行っても、搬送装置を用いて連続的に行ってもよい。
粘着剤組成物の乾燥・硬化後であって、活性エネルギー線照射処理前の粘着剤層を構成する組成物のゲル分率としては、特に制限されないが、20質量%〜60質量%(好ましくは30質量%〜55質量%)であることが望ましい。粘着剤層を構成する組成物のゲル分率が60質量%以下であることで、活性エネルギー線照射処理前の粘着力が良好であり、ダイシング工程で素子小片が剥離することを抑制できる。一方、粘着剤層を構成する組成物のゲル分率が20質量%以上であると、活性エネルギー線照射による粘着力の低下が十分となり、また、部材の汚染が抑制される。
なお、粘着剤組成物において、乾燥・硬化後(かつ活性エネルギー線照射処理前)のゲル分率(粘着剤層を構成する組成物のゲル分率)、例えば、乾燥・硬化後(かつ活性エネルギー線照射処理前)の粘着剤組成物(例えば、粘着剤層)を、約1gサンプリングして精秤(浸漬前の質量)し、これを約50mlの酢酸エチル中に25℃で48時間浸漬したのち、溶剤(酢酸エチル)不溶分を遠心分離等の方法により除去し、この溶剤不溶分を130℃で約1時間乾燥した後、秤量(浸漬・乾燥後の質量)して、ゲル分率算出式「ゲル分率(質量%)=[(浸漬・乾燥後の質量)/(浸漬前の質量)]×100」を用いて、算出することができる。
上記ゲル分率の測定において、粘着剤組成物の乾燥・加熱処理とは、粘着剤層を形成する際などに行われる加熱による乾燥処理や硬化処理のことを意味している。この際の加熱温度や時間については、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の組成などに応じて適宜選択することができる。
2.2.支持体
上記の粘着剤層は、支持体上に形成することができる。支持体としては、例えば、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材、金属箔、金属板などの金属系基材、紙などの紙系基材、布、不織布、ネットなどの繊維系基材、ゴムシートなどのゴム系基材、発泡シートなどの発泡体等の適宜な薄葉体を用いることができる。支持体は、1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。支持体としては、プラスチックのフィルムやシートが好ましい。プラスチックのフィルムやシートの素材(プラスチック材)としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられる。プラスチック材は単独で用いられていてもよく、2種以上組み合わせられた混合状態で用いられていてもよい。なお、プラスチックのフィルムやシートは、無延伸状態であってもよく、1軸または2軸の延伸処理が施された延伸状態であってもよい。
支持体としては、紫外線などの活性エネルギー線の透過を阻害しないものを使用することが好ましい。
支持体の片面または両面には、粘着剤層との密着力の向上等を目的に、コロナ処理やプラズマ処理等の物理的処理、下塗り剤等の化学的処理などの適宜な表面処理が施されていてもよい。
支持体の厚さとしては、例えば、10μm〜300μm、好ましくは30μm〜200μm程度である。
なお、活性エネルギー線硬化型粘着シートには、本発明の効果を阻害しない範囲で他の層が設けられていてもよい。
2.3.形態
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着シートとしては、上述の粘着剤組成物による粘着剤層(活性エネルギー線硬化型粘着剤層)を支持体上に設けて、シート状やテープ状などの形態としたものを用いることができる。上記粘着剤層の保護のために、粘着剤層上に剥離フィルムが積層されていてもよい。このような活性エネルギー線硬化型粘着シートは、シートの積層体でも、巻回体であってもよく、例えば、剥離フィルム(セパレータ)で粘着剤層を保護した状態でロール状に巻き取られて巻回体となっていてもよい。また、剥離フィルムを用いない場合は、支持体の背面にシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル系剥離剤などの剥離処理剤により背面処理を施すことにより、この背面処理面で粘着剤層を保護した状態でロール状に巻き取って巻回体とすることもできる。
剥離フィルムとしては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の合成樹脂フィルムなど)や紙等の剥離処理層を有する基材;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系ポリマーからなる低接着性基材;オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等の無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。なお、剥離フィルムは公知または慣用の方法により形成することができる。また、剥離フィルムの厚さ等も特に制限されない。
剥離フィルムには、紫外線透過防止処理などの活性エネルギー線透過防止処理が施されていてもよい。剥離フィルムに活性エネルギー線透過防止処理が施されていると、環境紫外線等の通常空間に存在する活性エネルギー線により、粘着剤層中の重合性化合物が重合して、粘着性が変化することを防止または抑制することができる。
なお、上記剥離フィルムは、ラベル加工や粘着剤層の平滑性向上の目的などでも、必要に応じて設けることができる。
特に、本発明の活性エネルギー線硬化型粘着シートを半導体ウエハ加工用粘着シートとして用いる場合には、支持体としてポリエチレンテレフタレート製フィルム、ポリブチレンテレフタレート製フィルム、ポリエチレンナフタレート製フィルムなどのポリエステル系フィルム;2軸延伸ポリプロピレン製フィルム、低密度ポリエチレン製フィルムなどのポリオレフィン系フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体製フィルム、およびこれらのフィルムを含む多層フィルムなどを用いることが好ましい。特に支持体としてポリオレフィン系フィルムを用いた場合、シリコーン系剥離処理剤を用いなくても巻回体とすることが可能であり、この場合、ウエハ等の部材へのシリコーン汚染を起こすことがないので、特に好ましい形態といえる。
2.4.物性
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着シート(粘着シート中の粘着剤層)は、活性エネルギー線照射処理前には優れた粘着力を発揮でき、活性エネルギー線照射処理後には、優れた剥離性(再剥離性)を発揮することができる。活性エネルギー線硬化型粘着シートの活性エネルギー線照射処理前の粘着力(接着力)としては、特に制限されないが、高接着力を有していることが重要であり、例えば、活性エネルギー線照射処理前のシリコンミラーウエハのミラー面に対する接着力(23℃、50%RH雰囲気下、180°剥離、引張速度300mm/分)が、4.5N/20mm以上(好ましくは4.8N/20mm以上)であることが望ましい。
また、活性エネルギー線硬化型粘着シートの活性エネルギー線照射処理後の接着力としては、低接着力を有していることが重要であり、例えば、活性エネルギー線照射処理後のシリコンミラーウエハのミラー面に対する接着力(23℃×50%RH雰囲気下、180°剥離、引張速度300mm/分)が、0.1N/20mm以下(好ましくは0.08N/20mm以下、さらに好ましくは0.05N/20mm以下)であることが望ましい。
このように、活性エネルギー線硬化型粘着シートは、シリコンミラーウエハのミラー面に対する接着力(23℃×50%RH雰囲気下、180°剥離、引張速度300mm/分)が、4.5N/20mm以上であり、活性エネルギー線照射処理後のシリコンミラーウエハのミラー面に対する接着力(23℃×50%RH雰囲気下、180°剥離、引張速度300mm/分)が、0.1N/20mm以下であると、活性エネルギー線照射前には、優れた粘着性を発揮できるとともに、活性エネルギー線照射により、粘着性を効果的に低下させて、良好な剥離性を発揮できる。具体的には、例えば、活性エネルギー線硬化型粘着シートを半導体ウエハ加工用粘着シートとして用いた場合、活性エネルギー線照射前は、素子小片との粘着性が良好であり、活性エネルギー線照射後は、容易に素子小片を再剥離することができる。
2.5.メカニズム
本発明においては、上述した一般式(I)で表される重合開始剤を使用することにより、活性エネルギー線硬化型粘着シートが活性エネルギー線照射処理前には、優れた粘着力を発揮することができる。この機構の詳細は明らかではないが、上述した一般式(I)で表される重合開始剤はポリ(エチレンオキシ)構造を分子内に有しており、その極性効果および乳化剤としての機能により活性エネルギー線照射処理前の活性エネルギー線硬化型粘着シートにおいては適度な表面の極性および濡れ性を発現して、高い粘着力を示すものと推定される。また、活性エネルギー線照射処理前には上述した一般式(I)で表される重合開始剤は、ポリ(エチレンオキシ)構造を分子内に有していること、および適度な分子量であることにより粘着剤組成物中に均一に分散され、重合開始剤として効率的に機能することにより光重合が促進され、優れた粘着力の低下性を示すものと推定される。
この効果には、上述した一般式(I)で表される重合開始剤のポリ(エチレンオキシ)構造の繰り返し単位の数と、上述した一般式(I)で表される重合開始剤の分子量と、が複合的に作用していると推定され、一般式(I)においてnが1以上3以下であるときに好ましく発現し、nが1以上2以下であることがさらに好ましく発現し、1であるときに特に好ましく発現する傾向にある。
2.6.用途
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着シートは、特に半導体ウエハ加工用粘着シートとして好適に用いることができるが、その用途はこれに限定されるものではなく、例えば、半導体、回路、各種プリント基板、各種マスク、リードフレームなどの微細加工部品[特に、半導体ウエハ(シリコンウエハなど)、多層基板、積層セラミック、一括封止モジュール等の電子系部品類]の製造の際の表面保護や破損防止、あるいは異物等の除去、マスキングなどにも使用することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着シートは、部材に貼り付けて用いることができる。部材の加工方法は、上記活性エネルギー線硬化型粘着シートを用いて部材を加工する方法である。具体的には、活性エネルギー線硬化型粘着シートに部材を貼り合わせて部材に加工処理を施した後、上記粘着シートに活性エネルギー線を照射し、ついで処理により上記加工処理が施された部材から活性エネルギー線の照射により硬化した上記粘着シートを剥離することにより、加工処理が施された部材を得る部材の加工方法である。このように、活性エネルギー線硬化型粘着シートにより部材の表面の保護や破損の防止を図りつつ、部材を加工することができるので、部材が脆弱なものであっても、優れた精度で加工を容易に行うことができる。
このような部材の加工方法により、部材の種類および加工処理方法などに応じて、各種物品が製造される。上記部材の加工方法を利用することにより製造される物品としては、例えば、部材として、下記に示される半導体ウエハ等の電子系部品類を用いた場合、電子部品(例えば、半導体チップを具備する電子部品など)が製造される。従って、本発明の活性エネルギー線硬化型粘着シートは、半導体ウエハの研削や切断の加工時に好適に用いることができる。
上記加工方法において、部材(被加工体)としては、特に制限されず、例えば、脆弱な被加工体であってもよい。具体的には、部材としては、前述のように、例えば、半導体、回路、各種プリント基板、各種マスク、リードフレームなどの微細加工部品[特に、半導体ウエハ(シリコンウエハなど)、多層基板、積層セラミック、一括封止モジュール等の電子系部品類]などが挙げられる。部材は単独で用いられていてもよく、2種以上組み合わせて用いられていてもよい。
また、部材の加工処理としては、特に制限されず、例えば、半導体ウエハの研削や切断の加工などの種々の加工処理(例えば、半導体ウエハの裏面研磨処理加工、薄型研削加工、ダイシング処理加工、微細加工、切断加工など)などが挙げられる。
3.実施例
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
3.1.重合開始剤
3.1.1.合成例1(一般式(I)で表される重合開始剤の一種である(I)−1の合成)
以下の合成方法にしたがって、上述した一般式(I)で表される重合開始剤の一種である化合物(I)−1を得た。
<中間体(2)−1の合成>
90℃に加熱した170.0gのフェニルジグリコール(PhDG、日本乳化剤製)(0.93mol)に、無水酢酸97.2g(0.95mol)を滴下し、混合液を120℃で6時間加熱攪拌した。その後、減圧により濃縮し、中間体(2)−1を204.4g得た(収率98%)。なお、得られた中間体(2)−1の構造は、核磁気共鳴装置(H−NMR)(使用溶媒:CDCl)を用いて測定することで、下記式(2)−1の化合物であることが確認できた。H−NMRの測定データを下記に示す。
H−NMR(CDCl
δ:2.10(3H,s),3.78(2H,m),3.87(2H,m),4.15(2H,m),4.26(2H,m),6.90−6.98(3H,m),7.25−7.32(2H,m)
<中間体(3)−1の合成>
270mLのo−ジクロロベンゼン(DCB)(2.39mol)に120.0gの塩化アルミニウム(III)(0.90mol)を加えて0℃まで冷却した。これに、44.26mLの2−ブロモイソ酪酸ブロミド(0.36mol)を滴下し、15分間攪拌した。その後、反応液の温度を0℃に保ちながら、そこへ67.28gの中間体(2)−1(0.30mol)を30分間かけて滴下した。滴下後の反応液を、室温(22℃)に戻し、2時間攪拌した。その後、5℃に冷却した水300mLに反応液を数回に分けて添加した。有機相を水300mlで2回洗浄した後、さらに重曹水135mL、飽和食塩水135mLで洗浄し、次いで、有機相に水300mLを添加し、減圧により共沸濃縮することで中間体(3)−1を110.8g得た(収率95%)。なお、得られた中間体(3)−1の構造は、核磁気共鳴装置(H−NMR)(使用溶媒:CDCl)を用いて測定することで、下記式(3)−1の化合物であることが確認できた。H−NMRの測定データを下記に示す。
H−NMR(CDCl
δ:2.04(6H,s),2.08(3H,s),3.79(2H,m),3.85(2H,m),4.21(2H,m),4.26(2H,m),6.94(2H,d),8.21(2H,d)
<化合物(I)−1の合成>
100.0gの化合物(3)−1(0.27mol)をイソプロピルアルコール200mLに溶解させ、そこへ214gの25質量%水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、2時間攪拌した。その後、攪拌を停止し、有機相を飽和食塩水で2回洗浄した後、塩酸で中和した。有機相を減圧により濃縮した後、そこへメチルエチルケトン72mLを添加した。次いで、析出した塩をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。濃縮後のろ液に、水72mLを添加し、減圧による共沸濃縮を行うことで、化合物(I)−1を56.8g得た(収率87%)。
H−NMR(CDCl
δ:1.64(6H,s),3.69(2H,m),3.78(2H,m),3.91(2H,m),4.22(2H,m),4.26(1H,s),6.97(2H,d),8.06(2H,d)
3.1.2.化合物(I)−1以外の重合開始剤
一般式(I)で表される重合開始剤として、下記式(I)−2の化合物、下記式(I)−3の化合物、下記式(I)−4、下記式(I)−6の化合物について、合成例1と同様の方法で合成した。
また、一般式(I)で表される重合開始剤の比較用化合物として、比較用化合物C−1(下記式C−1で表される重合開始剤)、比較用化合物C−2(下記式C−2で表される重合開始剤)、および比較用化合物C−3(下記式C−3で表される重合開始剤)を準備した。比較用化合物C−1は、市販品である「Irgacure 2959」(商品名、BASF社製)を用いた。比較用化合物C−2については、合成例1と同様の方法で合成した。比較用化合物C−3は、市販品である「Irgacure 184」(商品名、BASF社製)を用いた。
3.2.ポリマー粒子の水分散体の合成
3.2.1.合成例2(ポリマー粒子の一種であるアクリル−1の水分散体の合成)
以下の合成方法にしたがって、ポリマー粒子の一種であるアクリル−1の水分散体を合成した。
まず、冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた反応容器に、水50質量部を添加し、25℃で1時間攪拌しながら窒素で置換した。次いで反応容器に、重合開始剤として商品名「VA−057」(和光純薬社製)0.1部を添加し、撹拌下でさらに30分間窒素置換した。その後、反応容器内の温度を60℃に昇温した。水50質量部、モノマー成分としてアクリル酸メチル98質量部、アクリル酸2質量部、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン0.1質量部、および乳化剤として反応性乳化剤である商品名「アデカソープSE−10N」(旭電化工業(株)製)1.1部からなる混合物を攪拌機で乳化して得られたエマルション液を別途調製し、反応容器に、容器内の温度を60℃に保ち、かつ攪拌しながら、5時間かけて滴下した。さらに、滴下後の溶液を60℃で3時間攪拌した。その後、溶液を、10質量%のアンモニア水溶液で中和してポリマー粒子(アクリル−1)の水分散体を調製した。
3.2.2.アクリル−1以外のポリマー粒子の水分散体
ポリマー粒子の一種であるアクリル−2の水分散体は、乳化剤として、反応性乳化剤の代わりに非反応性乳化剤である商品名「ラテムルE150」(花王社製)を1.1質量部用いたこと以外は、合成例2と同様にして、ポリマー粒子(アクリル−2)の水分散物を調製した。
また、ポリマー粒子の一種であるウレタン−1の水分散体には、市販品であるウレタン系エマルション(商品名「スーパーフレックス500M」、第一工業製薬社製)(後述する表1中では「ウレタン−1」と称する)を用いた。
3.3.活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物および粘着シートの作製
3.3.1.実施例1
重合性化合物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート100質量部に、分散剤としてポリビニルアルコール(重量平均分子量:37000、けん化度:88%):1.5質量部、光重合開始剤として一般式(I)−1で表される化合物を4.96質量部、さらに、および水50質量部を添加して乳化機で乳化し、重合性化合物エマルション溶液(「重合性化合物エマルション溶液1」と称する場合がある)を調製した。
ポリマー粒子(略称:アクリル−1)の水分散体(ポリマー粒子の固形分100質量部)に、架橋剤として1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(商品名「テトラッドC」三菱瓦斯化学(株)製)を0.2質量部、重合性化合物エマルション溶液1(重合性化合物70質量部)を添加して、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物1を調製した。このときの一般式(I)−1で表される化合物の含有量は、全固形分に対して2質量%である。なお、表1に示した活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に含まれる成分以外の残量は、上記分散剤、架橋剤などの量を表す。
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物1を、ポリオレフィンフィルム(厚さ:75μm)のコロナ放電処理が施された片面に塗工した後、75℃で5分間乾燥させて、厚さ(乾燥後の厚さ):25μmの粘着剤層を形成した。粘着剤層を形成した面に、片面にシリコーン剥離剤処理が施されている厚さ38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF、三菱樹脂(株)製)のシリコーン剥離剤処理面を貼り合わせて、活性エネルギー線硬化型粘着シート1を作製した。
3.3.2.実施例2〜6、8〜15ならびに比較例1〜3
実施例1の重合性化合物エマルション溶液中の重合性化合物、重合開始剤およびポリマー粒子の種類と量を、表2に記載のとおりとした以外は実施例1と同様にして、実施例2〜6、8〜15ならびに比較例1〜3の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を調製後、実施例2〜6、8〜15ならびに比較例1〜3の活性エネルギー線硬化型粘着シートを作製した。
3.3.3.実施例7
重合性化合物として、商品名「UA−306H」(共栄社化学)(ペンタエリスリトールトリアクリレート・ヘキサメチレンジイソシアネート・ウレタンプレポリマー)100質量部に、光重合開始剤として式(I)−1で表される化合物を4.96質量部添加し溶解させた後、さらに、そこへ分散剤としてポリビニルアルコール(重量平均分子量:37000、けん化度:88%):1.5質量部、および水50質量部を添加して乳化機で乳化し、重合性化合物エマルション溶液(「重合性化合物エマルション溶液2」と称する場合がある)を調製した。
得られた重合性化合物エマルション溶液2を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例7の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を調製後、実施例7の活性エネルギー線硬化型粘着シートを作製した。
3.4.評価試験
各実施例および比較例により得られた粘着剤組成物および粘着シートについて、以下の各測定方法または評価方法により評価を行った。具体的には、粘着剤組成物については、保存安定性を評価した。また、活性エネルギー線硬化型粘着シートについては、活性エネルギー線照射処理前の接着性(ガラス、PET、シリコン基板)、活性エネルギー線照射処理後の剥離性(シリコン基板)、感度、粘着シートからの泣き出し性を評価した。評価結果は、上記の表2に示した。なお、表中、活性エネルギー線照射処理後の剥離性(再剥離性)を「照射後剥離性」として示す。
3.4.1.活性エネルギー線照射処理前の密着力の測定方法(接着性)
各実施例および各比較例に係る活性エネルギー線硬化型粘着シートを、幅20mm、長さ50mmの大きさに切断した後、ポリエステルフィルムを剥離した。粘着面をシリコンミラーウエハ(商品名「CZN<100>2.5−3.5(4インチ)」信越半導体株式会社製)のミラー面に、25℃の雰囲気下、2kgハンドローラーを1往復させて気泡が入らないように圧着し、さらに、40℃、5気圧で、60分間、加圧処理を行った。
次に、島津製作所製オートグラフAGS−Xに、粘着シートを圧着したシリコンミラーウエハをセットし、粘着シートのポリオレフィンフィルムと粘着剤層とが積層された部分の一端を、25℃×50%RH雰囲気下、180度方向に引っ張る(剥離する)180度引っ張り試験(速度:30mm/s)を行い、密着力を測定した。
密着力の測定と同様にして、シリコンミラーウエハの代わりにポリエチレンテレフタレートフィルム(2軸延伸PET、富士フィルム社製、厚み97μm)、およびガラス板(商品名「イーグルXG」、コーニング社製、厚み1.1mm)に対しての密着力を測定し、接着性を評価した。その結果を下記の評価基準により5段階で評価した。ランク5が最も好ましく、ランク1が最も好ましくない。
[評価基準]
(好ましい)
5: 6N/20mm以上
4: 5N/20mm以上 6N/20mm未満
3: 4N/20mm以上 5N/20mm未満
2: 2N/20mm以上 4N/20mm未満
1: 2N/20mm未満
(好ましくない)
3.4.2.活性エネルギー線照射処理後の剥離性の測定方法(照射後剥離性)
各実施例および各比較例に係る活性エネルギー線硬化型粘着シートを、幅20mm、長さ50mmの大きさに切断して、シリコンミラーウエハ(商品名「CZN<100>2.5−3.5(4インチ)」信越半導体株式会社製)のミラー面に、25℃の雰囲気下、2kgハンドローラーを1往復させて気泡が入らないように圧着し、さらに、40℃、5気圧で、60分間、加圧処理を行った。次いで、UVランプ(Dバルブ)により照射エネルギーが500mJ/cmとなるように粘着シートのオレフィンフィルム面側から紫外線を16秒間照射した。その後、粘着シートの剥離性の指標として、粘着シートを剥離させるのに要する力(密着力)を、前述の活性エネルギー線照射処理前の密着力の測定法と同様にして評価し、その結果を下記の評価基準により5段階で評価した。ランク5が最も好ましく、ランク1が最も好ましくない。
[評価基準]
(好ましい)
5: 0.05N/20mm未満
4: 0.1N/20mm未満 0.05N/20mm以上
3: 0.3N/20mm未満 0.1N/20mm以上
2: 0.5N/20mm未満 0.3N/20mm以上
1: 0.5N/20mm以上
(好ましくない)
3.4.3.感度の評価方法
上述の活性エネルギー線照射処理後の剥離性の測定方法と同様の試料および装置を用いて、密着力が0.05N/20mm未満となるために必要な照射時間を測定し、感度の指標とした。その結果を下記の評価基準により5段階で評価した。高感度であるものは短い照射時間で密着力が低下することから、材料として優れている。すなわち、ランク5が最も好ましく、ランク1が最も好ましくない。
[評価基準]
(好ましい)
5: 15秒未満
4: 15秒以上、18秒未満
3: 18秒以上、21秒未満
2: 21秒以上、24秒未満
1: 24秒以上
(好ましくない)
3.4.4.保存安定性
各実施例および各比較例に係る粘着剤組成物を60℃で1ヶ月間保存して、ポリマー粒子の凝集や重合開始剤の結晶析出の有無を目視にて観察した。その結果を下記の評価基準により5段階で評価した。
[評価基準]
5: 凝集や析出が認められない。
4: ごくわずかな凝集が認められるが、実用上は問題ない。
3: 凝集が認められるが、実用上は問題ない。
2: 沈殿物が生じており、用途によっては使用できない。
1: 顕著な沈殿物が生じており、実用上使用できない。
3.4.5.粘着シート(粘着剤層)からの泣き出し性の評価方法
各実施例および各比較例に係る活性エネルギー線硬化型粘着シートを60℃、90%RHで1ヶ月間保存して、活性エネルギー線硬化型粘着シートの表面を目視にて観察し、粘着シートの泣き出し性を観察した。その結果を下記の評価基準により5段階で評価した。
[評価基準]
5: 泣き出しや析出が認められない。
4: ごくわずかな泣き出しが認められるが、実用上は問題ない。
3: 泣き出しまたは析出が認められるが、実用上は問題ない。
2: 泣き出しや析出が生じており、用途によっては使用できない。
1: 顕著な泣き出しや析出が生じており、実用上使用できない。
3.5.評価結果
表2より明らかなように、実施例1〜15の粘着剤組成物ならびにこれを用いた活性エネルギー線硬化型粘着シートは、活性エネルギー線を照射しない状態では、シリコンウエハのみならず、種々の接着対象に対して優れた接着性を示す予想外の効果を示すことが分かる。これに対して、比較用の光重合開始剤を含む比較例1、2の活性エネルギー線硬化型粘着シートは、接着性が不十分である。この効果は、本発明で用いる重合開始剤、重合開始剤のポリエチレンオキシ構造ならびにその繰り返し数、および、重合開始剤の分子量が、接着性に対して適切な範囲を有しており、その範囲を満たす重合開始剤を用いることにより得られると考えられる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化型粘着シートは、活性エネルギー線を照射した後はシリコンウエハに対して好ましい剥離性を示すことが分かる。
さらに、本発明の粘着剤組成物は、高温で長期間保存した際においても結晶析出などに対する安定性に優れるとともに、これを用いた活性エネルギー線硬化型粘着シートも、高温かつ高湿度の保管条件に置かれた場合においても、泣き出しが起きにくいという、もう一つの予想外の効果を示す。この効果が得られる理由には以下の理由が考えられる。本発明で用いられる一般式(I)で表される化合物は水溶性が高く、多くが液体であることから、エマルションへの添加量を上げることが可能であるとともに、一般式(I)で表される化合物を含む組成物を塗布・乾燥後に水が除去されても、結晶析出が起こらない。また、一般式(I)で表される化合物はエチレンオキシ構造を有することから、界面活性剤としての効果を併せ持ち、組成物中に均質に分散するとともにポリマー粒子の凝集を効果的に抑制するものと考えられる。
本発明の一般式(I)で表される化合物は液状であるために粘着剤組成物に高濃度での添加が可能であり、例えば、実施例6、11、12においては結晶析出や泣き出しを生じることがなく全固形分に呈して3質量%以上の高濃度で添加できることができ、その結果、高感度を実現できることが分かる。これに対して、比較例1の重合開始剤C−1は全固形分に対して2質量%の添加量であっても、粘着剤組成物の保管条件によっては好ましくない結晶の析出が起きている。比較例3の重合開始剤C−3にあっても、十分な感度が得られる3質量%の添加量では、好ましくない結晶の析出が起きている。
また、本発明の一般式(I)で表される化合物はその含有量が、粘着剤組成物の全固形分質量に対して2.0〜7.0質量%、重合性化合物の固形分質量に対して1.0〜10.0質量%で、活性エネルギー線未照射時の接着性、活性エネルギー線照射後の剥離性、感度、分散物の安定性、ならびに粘着シートの泣き出し性のバランスに最も優れていることが分かる。
また、重合性化合物の添加量が、粘着剤組成物の全固形分質量に対して、20〜70質量%であるとき、性能のバランスに最も優れていることが分かる。

Claims (12)

  1. 水と、
    重合性化合物と、
    下記一般式(I)で表される重合開始剤と、
    ポリマー粒子と、
    を含有し、
    前記一般式(I)で表される重合開始剤の含有量が、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の全固形分質量に対して、0.1質量%以上12.0質量%以下であり、
    前記一般式(I)で表される重合開始剤の含有量が、前記重合性化合物の全質量に対して、0.1質量%以上33.4質量%以下であり、
    前記重合性化合物の含有量が、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の全固形分質量に対して、5.0質量%以上90.0質量%以下である、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
    上記一般式(I)中、V、V、V、およびVは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、または、メトキシ基を表す。一般式(I)中、nは、1以上5以下の整数を表す。
  2. 前記一般式(I)において、nが1または2である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  3. 前記一般式(I)において、nが1である、請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  4. 前記ポリマー粒子が、(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマー成分を乳化重合して得られた(メタ)アクリル系重合体からなり、
    前記(メタ)アクリル酸エステルの含有量が、前記モノマー成分の全量に対して、40質量%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  5. 前記重合性化合物が、多官能重合性化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  6. 前記一般式(I)で表される重合開始剤の含有量が、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の全固形分質量に対して、0.1質量%以上10.0質量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  7. 前記一般式(I)で表される重合開始剤の含有量が、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の全固形分質量に対して、2.0質量%以上7.0質量%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  8. 前記一般式(I)で表される重合開始剤の含有量が、前記重合性化合物の全質量に対して、0.1質量%以上30.0質量%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  9. 前記一般式(I)で表される重合開始剤の含有量が、前記重合性化合物の全質量に対して、1.0質量%以上10.0質量%以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  10. 前記重合性化合物の含有量が、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の全固形分質量に対して、20.0質量%以上70.0質量%以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  11. 支持体と、
    前記支持体上に配置された、請求項1〜10のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から形成される粘着剤層と、
    を有する、活性エネルギー線硬化型粘着シート。
  12. 半導体ウエハ加工に用いられる、請求項11に記載の活性エネルギー線硬化型粘着シート。
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