以下、図面等を用いて本発明について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る照明装置の構成を説明するための正面図であって、LED光源3A、3Bを実装する基板2の法線方向から見た図である。基板2において、LED光源3A、3Bが実装されている面を実装面と呼ぶことにする。図1は、LED光源3A、LED光源3Bの配置および複合光学部材7の概略を説明するための正面図であるため、説明に関係無い部材は省略している。図2は、図1記載のA−A′の断面図である。当該断面は、LED光源3A、LED光源3Bが実装されている基板2の法線と平行な面である。図2においても、主要な部材のみ記載している。
LED光源3Aは、LED光源3Bよりも内側(中心Cに近い側)に配置され、照明装置1の中心Cから放射状に点在し、中心Cを囲うように配置されている。LED光源3Bは、最外周に配置され中心Cを囲うように配置されている。
LED光源3Aに関して、図4(a)および図4(b)を用いて詳細に説明する。図4(a)は、基板2の法線方向からLED光源3Aを見た図であり、図4(b)は、図4(a)のC−C′断面図である。LED光源の例として、青色発光のLEDと黄色の蛍光体を用いる白色LEDモジュールを用いる場合を示す。本発明はLEDの発光スペクトル、形状、LED光源に含まれるLED数、種類数などの構成および蛍光体の有無、種類、LED光源に含まれる蛍光体の種類数などの構成に限定されない。
LED光源3Aにおいて、LED30は、白色樹脂などを材料とする枠体37の実装面37aに実装される。本例では、枠体の実装面37a上に負電極31を実装し、その上にLED30を実装している。LED30はワイヤ35によって、負電極31と正電極32に電気的に接続される。枠体37の内側では、LED30とともに、LED30からの光の一部を吸収して、吸収した光をより長波長の光に波長変換する蛍光体33が、シリコーンなどの封止樹脂34によって封止されている。
発光面3AEは、LED光源3Aにおいて光を出射している面であるから、枠体37の側壁37bが囲う面と定義できる。但し、枠体37は一部の光を透過するため、枠体全体から光が漏れる。しかしながら、大部分の光は発光面3AEから出射する。
発光面3AEを枠体37の側壁37bが囲う面と定義した理由は次の通りである。LED30から発光した光は、一部の光は蛍光体33に吸収・散乱透過・反射され、一部の光は封止樹脂34と空気との界面でフレネル反射して戻り光となり、さらに一部は発光光として封止樹脂34から出射する。LED30からの発光光は反射・散乱を繰り返して、枠体37の側壁37bが囲う領域全体に広がる。当該領域全体に広がったLED30からの発光光は、当該領域全体に分散している蛍光体33を励起して蛍光体を発光させる。このようにして、当該領域全体から光が出射する。それゆえ、発光面3AEを枠体37の側壁37bが囲う面と定義した。但し、発光面3AEにおいて、LED30付近の発光強度が最も大きい。
枠体37の外側には、負電極31および正電極32のそれぞれに電気的に接続している当該LED光源3Aの基板2への実装端子36、実装端子36′が存在する。実装端子36、実装端子36′は、基板2上に配線される電極40、電極40′に電気的に接続される。
本実施例におけるLED光源3Aの特徴は、基板2の法線方向に主に光を出射する点である。主に光を出射するとは、基板2の法線を中心として、法線からの角度を極角とした場合、極角±90度以内の方向に多くの光を出射することを意味する。また、多くの場合、LED光源の発光光度が最大となる角度が概ね基板2の法線方向と等しい、または、極角±20度以内と言っても良い。LED光源3Aが実装される基板2と略平行な面にLED30が実装されている。また、LED光源3Aが実装される基板2と略平行な発光面を有している点である。以下、少なくても、これらの特徴の何れかを有するLED光源を正面発光LED光源と呼ぶことにする。本LED光源3Aは所謂トップビューと呼ばれるタイプのLED光源である。
大抵の場合、正面発光LED光源の発光光の光度分布は、実装面の法線方向を最大とするランバーシアン(法線からの角度θと光度(放射強度)I(θ)と法線方向の光度(放射強度)I(0)との関係が、次の関係にある。I(θ)=I(0)cosθ)である。LED光源3Aには、第1の光学部材5として正面視でLED光源3Aを中心とした等方的なレンズが配置されている(図1参照)。ここで、当該レンズはLED光源3Aの中心に関して等方的であることに限定されない。
LED光源3Bに関して、図5(a)から図5(d)を用いて詳細に説明する。図5(a)は、基板2の法線方向からLED光源3Bを見た図であり、図5(b)は、図5(a)の矢印EのようにLED光源3Bを見た図であって、発光面3BEに対向する方向から見た図である。図5(c)は、図5(a)の矢印FのようにLED光源3Bの側面を見た図である。図5(d)は、図5(b)のD−D′断面図である。LED光源の例として、青色発光のLEDと黄色の蛍光体を用いる白色LEDモジュールを用いる場合を示す。本発明はLEDの発光スペクトル、形状、LED光源に含まれるLED数、種類数などの構成および蛍光体の有無、種類、LED光源に含まれる蛍光体の種類数などの構成に限定されない。
LED光源3Bにおいて、LED30は枠体37の実装面37aに実装される(図5(d)参照)。本例では、枠体の実装面37a上に負電極31を実装し、その上にLED30を実装している。LED30はワイヤ35によって、負電極31と正電極32に電気的に接続される。枠体37の内側では、LED30とともに、LED30からの光の一部を吸収して、吸収した光をより長波長の光に波長変換する蛍光体33が、シリコーンなどの封止樹脂34によって封止されている。
LED光源3Aの発光面3AEと同様に、LED光源3Bの発光面3BEは、LED光源3Bにおいて光を出射している面であるから、枠体37の側壁37bが囲う面と定義できる(図5(b)および図5(d)参照)。定義の理由は、LED光源3Aの発光面3AEの定義時に説明した理由と同じである。但し、枠体37は一部の光を透過するため、枠体全体から光が漏れる。とりわけ、枠体37が薄い部位から光が漏れる。しかしながら、大部分の光は発光面3BEから出射する。
枠体37の外側には、負電極31および正電極32のそれぞれに電気的に接続している当該LED光源3Bの基板2への実装端子36、実装端子36′が存在する。実装端子36、実装端子36′は、基板2上に配線される電極40、電極40′に電気的に接続される。
本LED光源3Bの特徴は、LED光源3Bが実装される基板2と略垂直な面にLED30が実装されている点である。これは、実装端子36と略垂直な面にLED30が実装されている点と言い換えても良い。また、基板2と平行ではない、つまり、基板2と傾きをもった面にLED30が実装されているとも言える。また、正面発光LED光源3AとはLED30が異なる角度で実装されているとも言える。また別の特徴は、LED光源3Bが実装される基板2と略垂直な発光面を有している点である。これは、実装端子36と略垂直な発光面を有している点と言い換えても良い。また、正面発光LED光源3Aとは発光面が異なる角度で配置されているとも言える。また、基板2と平行ではない、つまり、基板2と傾きをもった発光面を有するとも言える。また、基板2の法線と平行でない方向、つまり、基板2の法線方向と傾きをもった方向(当該方向を側面発光中心方向と呼ぶことにする。)に主に光を出射すると言っても良い。主に光を出射するとは、側面発光中心方向(本例では、基板2の法線と略垂直な方向)を中心として、側面発光中心方向からの角度が±90度以内となる方向に多くの光を出射することを意味する。また、多くの場合、LED光源の発光光度が最大となる角度が、概ね側面発光中心方向と等しい、または、側面発光中心方向からの角度が±20度以内と言っても良い。
以下、少なくても、これらの特徴の何れかを有するLED光源を側面発光LED光源と呼ぶことにする。本LED光源3Bは所謂サイドビューと呼ばれるタイプのLED光源である。
但し、当該LED光源は実装条件により、バラツキの範囲で傾くことがある。それゆえ、LED光源3Bが実装される基板2とLED30が実装される面および当該基板2と発光面が成す角度は90度からずれることがある。当該角度の90度からのずれは、±20度以内が望ましく、さらに望ましくは±5度以内になるように実装することが望ましい。
図1において、LED光源3Bの発光面3BEの法線は、実装面内方向外側(中心Cから外に向かう方向)に向いており、主な発光方向は、実装面内方向外側である。大抵の場合、発光光の光度分布は、LED光源3Bの発光面3BEの法線方向を最大とするランバーシアンである。LED光源3Bには、第2の光学部材6が対応して配置されている。LED光源3Bの発光面3BEに対向して、第2の光学部材6の入射面6Aが配置され、実装面内方向外側に向かって第2の光学部材6内を導光した光は、出射面6Bから空気中に出射される。入射面6Aおよび出射面6Bは、基板2に略垂直である。つまり、第2の光学部材6に対応するLED光源が実装されている基板2の法線と平行な断面において、第2の光学部材の入射面と出射面の形状は直線となっている。
第1の光学部材5と第2の光学部材6は、光学部材接続部4にて接続され、複合光学部材7を形成する。本実施の形態では、全ての光学部材は一括成型され、光学部材接続部4にて接続されている。本例においては、複合光学部材7はポリカーボネート、ポリスチレン、アクリルなどの樹脂を材料としている。
図2の断面形状を用いてより詳しく説明する。図2中に矢印で示すように、照明装置1が主に光を照射する方向を正面方向Zとする。照明装置1が主に光を照射する方向は、例えば天井に設置して室内を照明するタイプの照明装置であれば、天井の法線方向、または天井から床に向かう方向(照明装置1の直下方向)が正面方向Zである。さらに、配光特性(光度分布)が概ね最大となる方向を正面方向Zとしても良い。
正面方向Zと略垂直な面内方向を側面方向とする。本実施の形態では、基板2の実装面の法線方向が正面方向Zと平行であるため、実装面内方向と側面方向は同じ方向となる。
基板2の実装面の法線が正面方向Zから傾いている場合は、実装面内方向と側面方向は異なる方向となる。
照明装置1は、筐体としてのフレーム11が有り、フレーム11は例えば鉄製である。
フレーム11の一部の平面11Aには基板2がネジ止めなどで取り付けられている。フレーム11は中空部を有し、中空部にはLED光源3A、LED光源3Bを駆動する点灯回路9が設置されている。基板2の端部2E付近でフレーム11は折れ曲がって傾斜し、傾斜部11Bを有する。フレーム11には、拡散カバー8が取り付けられる。
照明装置1は、固定具51によって天井50に固定される。固定具51があるために、照明装置1の中心にはLED光源3が置けない。固定具51の正面方向側には中心カバー10が設置されており、固定具51が配置している溝に光が入らないようになっている。
当該溝に向かって伝播して来る光は、中心カバー10で正面方向に反射散乱される。中心カバー10は反射率が高い部材が好ましい。さらに、基板2やフレーム11の内側は、白色塗装、白色レジスト、白色シートなどを用いて、白色の物質で覆うので、中心カバー10も白色散乱反射する部材が好ましい。
本例においては、拡散カバー8は全てのLED光源3を覆うような形状であって、LED光源3が発光した光を拡散反射・透過させる。説明のために、拡散カバー8を、拡散カバー8の表面の法線が正面方向Zに凡そ向いている正面部8Aと、拡散カバー8の表面の法線が側面方向に凡そ向いている側面部8Bに大別する。拡散カバー8は、多くの場合、樹脂であって、樹脂内にシリカなどの拡散材を含有している。拡散カバー8の全光線透過率は、拡散材の種類や濃度で制御できる。拡散カバー8に入射した光は、ある散乱角度分布を持って拡散カバー8から照明装置1の外へ出射する。なお、本発明は、拡散カバー8の形状を限定せず、全てのLED光源を覆わない形状であってもよく、拡散カバー全域に拡散性が付与されて無くても良い。
散乱角度分布は、一般的には、透過光と反射光で異なる。透過光の散乱角度分布は、照明装置としての配光に直接的に影響を及ぼす。照明装置(照明器具)の配光は光度で表されるのに対して、散乱角度分布は、対象としている面素の輝度を当該面素から出射する全光束で割った値で議論することが多いので、散乱角度分布に関しては、散乱透過輝度分布(BTDF:Bidirectional Transmittance Distribution Function)を用いて説明する。
拡散カバー8の透過光の散乱特性に関して、図3を用いて説明する。図3は、拡散カバー8のある面素の入射面8SIに入射角θiで光線RAYIが入射し、出射面8SOからある散乱透過輝度分布で光線RAYOが出射する様子を示している。入射角θiおよび出射角θoは、当該面素の法線8Nを基準とした角度である。
拡散カバー8の全光線透過率が低い場合は、拡散カバー8の出射面は、いかなる角度で光が拡散カバー8に入射しようとも散乱透過輝度分布はどの方向に対しても一様な完全拡散面に近い面となる。
拡散カバー8の全光線透過率が高くなるにつれて散乱透過輝度分布は出射角θoが入射角θiと等しい角度でピークを持つようになる。
図2において、拡散カバーの正面部8Aに入射した光は、正面方向Zからの角度を極角とした場合に、極角0度を中心として±90度の範囲に出射する。拡散カバーの正面部8Aからの出射光度分布は、概ね極角0度にピークを持つ。拡散カバーの側面部8Bに入射した光は、極角90度を中心として±90度の範囲に出射する。拡散カバーの側面部8Bからの出射光度分布は、概ね極角90度にピークを持つ。
大抵の場合、側面部8Bに比べて正面部8Aの方が面積も大きいことから、照明装置1の配光特性の極角0から概ね±70度の範囲は、正面部8Aの出射光度分布に強く依存する。照明装置1の配光特性の概ね極角80度から180度と概ね極角−80度から−180度の範囲は、側面部8Bの出射光度分布に強く依存する。
正面発光LED光源だけを用いた場合、多くの光が正面部8Aに入射するため、照明装置1直下の床が明るくなり、側面部8Bへの入射光が少ないがゆえに照明装置1の直下方向以外の床面や壁や天井方向への光が少ない。それゆえ、部屋の隅が十分に明るくなく、間接光が少ないという課題がある。
この課題を解決するためには、LED光源から側面部8Bへ向かって出射する光束を多くすることが考えられるが、側面部8Bは、面積が小さいという点と照明装置の最も外側に位置する点があるため、基板2上のLED光源は、正面部8Aに比べて小さく、距離のある位置にある的に向けて光を照射しなければならない。この側面部8Bに入射する光束を増大させるのが本発明の具体的な目的の一つである。
正面発光LED光源からの光を、広角レンズを用いて広げることでも、側面部8Bに入射する光束を多くするという効果は得られる。しかしながら、基板2の面内方向内側にあるLED光源からの光は、側面部8Bに光が到達するまでに広がってしまい、十分には光を照射できない。それゆえ、側面部8Bに最も近いLED光源で側面部8Bを照射するようにすることでより大きな効果が得られる。
この場合でも、正面発光LED光源からの光の大部分の光を、側面部8Bに向けるのは難しく光損失などを伴う場合が多い。なぜならば、正面発光LEDの光度分布は発光面内方向で概ね等方的であるため、約半分の光は側面部8Bと反対方向に発光する。それゆえ、多くの光を側面部8Bに向けて、90度以上反射・屈折させなければならない。そのような光学部材は、複雑・大規模の上、多くの損失を伴うことが多いためである。側面部8Bに最も近いLED光源だけを増やして対応することも考えられるが、十分な数のLEDを配置するスペースを取れないことが多い。
そこで、本実施の形態における照明装置1は、側面部8Bに最も近いLED光源3Bとして側面発光LED光源を用い、当該側面発光LED光源3Bからの光を、さらに側面部8Bの近くまで導光させる第2の光学部材6を有する。側面部8Bに最も近いLED光源3Bとして側面発光LED光源を用いることで、大部分の光は側面方向に発光する。さらに、面積の小さい側面部8Bを直接照射するために、導光部を有する第2の光学部材6を用いて側面発光LED光源の発光光を導光して側面部8B近くで光を出射する構成とした。
図6を用いて光学系に関して詳細に説明する。図6(a)は、図1のA−A′断面の一部の拡大図、図6(b)は、図1のB−B′断面図である。第1の光学部材5と第2の光学部材6は、光学部材接続部4にて接続されている。光学部材接続部の高さ4Hは、第1の光学部材の高さ5Hと第2の光学部材の高さ6Hよりも小さい。第1の光学部材5および第2の光学部材6は、LED光源3A、3Bよりは高くなくてはならない。光学部材接続部の高さ4Hは、各光学部材からの出射光を遮らないように低くしてある。また、光学部材接続部の高さ4Hを、第1の光学部材5または第2の光学部材6より低くすることで、複合光学部材7の軽量化ができる。例えば、正面発光LED光源3Aの高さが1mm程度であって、側面発光LED光源3Bの高さは1.5mm程度である場合、第1の光学部材の高さ5Hは5mm程度であって、と第2の光学部材の高さ6Hは3mm程度であって、光学部材接続部の高さ4Hは1.5mm程度とする。
第1の光学部材5のレンズは、球面の入射面5Aから光を入射し、非球面の出射面5Bから光を出射する広角レンズ(球面レンズよりも広角に光を広げるレンズ)である。第1の光学部材5のレンズとして広角レンズを用いる理由は、2点ある。第1には、拡散カバー8の全光線透過率が高い場合に(例えば50%より大きい場合)、拡散カバー8の正面部8Aへの入射角が大きければ、正面部8Aの透過光も入射角にピークを持つ散乱透過輝度分布であるために、照明装置1としての配光も広くなるためである。第2には、広角に光を出射して拡散カバー8の照度が均一になると、拡散カバー8からの光出射位置分布も均一になるためである。拡散カバー8が均一に光っている場合、照明装置1の見た目もソフトな明かりに見えて綺麗な印象を使用者に与え、さらには、局所的に明るくないので眩しさも低減される。それゆえ、拡散カバー8の照度を均一にすることは照明装置の光学設計の一つ課題である。
光線追跡例として光線RAY20を記載した。レンズの中心から入射面5Aに入射した光は、屈折を受けず出射面5Bに直進し、出射面5Bで広角(レンズ実装面の法線からの角度が大きい角度方向(この場合、側面方向))に屈折を受けて出射する。実際には、発光面3AEには幅があるため、レンズ中心以外からの発光光が存在し、当該発光光が入射面5Aでも多少の屈折を受ける。入射面5Aが球面ゆえに、非球面の出射面5Bの設計は、光はレンズの中心から伝播していると仮定して設計することが可能となる。入射面5Aでの屈折を考慮しないで済むだけ、光線の屈折方向を容易に設計し、精度よく制御することが可能となる。
また、上述した発光面3AEに幅があるために入射面5Aで生じる屈折の影響を低減するためには、入射面5Aをできる限り大きな球面とすることが好ましく、発光面3AEの幅の半分よりは大きい半径の球面とする方が良い。球面の場合、大きくする分には光学系に影響しないので、入射面5Aをできる限り大きな球面としてレンズの肉厚を薄くすることで、軽量化することが好ましい。成型性の観点からは、レンズの肉厚は1.0mm程度までを薄さの下限とすることが望ましい。つまり、球面の半径は発光面3AEの幅の半分よりは大きくし、レンズの肉厚が1.0mmよりは大きくなるような半径とすることが好ましい。
図6(a)に示すように、第2の光学部材6は、入射面6Aおよび入射面6A′から光を入射し、入射光は導光部6Lを導光して出射面6Bから光を出射する。光線追跡例としてRAY2、RAY3、RAY4を図中に示してある。RAY2は、入射面6A′から入射した光が後述するプリズム面6Cで反射して出射面6Bから出射する光線を示している。RAY3、RAY4は入射面6Aから入射した光が出射面6Bから出射する光線であって、両光線ともに主たる伝播方向は側面外側方向Xであるが、RAY3は正面方向Zに向いて出射する光線を示しており、RAY4は正面方向Zとは反対方向であって天井がある方向に向いて出射する光線を示している。図2にも示したように、出射面6Bから出射した光は、拡散カバー8の側面部8Bを直接照射する。それゆえ、側面発光LED光源3Bに対応して導光部6Lを有する第2の光学部材6を用いることで、側面部8Bの直接照射が可能となり、照明装置1の間接光を増大することが可能となる。さらに、本構成は、導光部6Lでの損失はほとんどないので、本構成と異なる方式でLED光源で発光した後で基板2や拡散カバー8で複数回の反射散乱を繰り返して伝播して側面部8Bを照射する場合に比べて、光損失を低減した構成である。
本実施形態における第2の光学部材6の特徴に関して順次説明する。第1に、側面発光LED光源3Bに対応して、正面発光LED光源3Aに対応する第1の光学部材5とは、異なる形状の第2の光学部材6が配置されている。また、第2の光学部材6からの出射光の光度分布は第1の光学部材5からの出射光のそれとは異なる構成である。
正面発光LED光源3Aに対応する第1の光学部材5からの出射光の方が、側面発光LED光源3Bに対応する第2の光学部材6からの出射光よりも正面方向Zへの光束が多くなるように光学部材を構成している。また、第2の光学部材6からの出射光の方が、第1の光学部材5からの出射光よりも側面方向への光束が多くなるように光学部材を構成している。
これは、正面方向Zに発光光度の最大値を持つ正面発光LED光源3Aで拡散カバーの正面部8aを広範囲に照射し、側面方向に発光光度の最大値を持つ側面発光LED光源3Bで拡散カバーの側面部8bを集中的に照射する光学系を実現するための構成であって、各LED光源からの光を屈折させる角度を小さくすることで、反射散乱回数を減らし、拡散カバー8を直接照射することで光損失を低減する構成である。
第2の光学部材6は、導光部6Lを有する。拡散カバーの側面部8Bに入射する光束を増やす最も効果的な方法は、LED光源を拡散カバーの側面部8Bに近づけることである。基板2の端部2Eと拡散カバーの側面部8Bとの間には、拡散カバー8をフレーム11に固定するための固定具(図示なし)を設置するために、一定のスペースが必要になる(図2参照)。それゆえに、LED光源は近づけるのに限界が生じる。とりわけ、基板の端部2Eを拡散カバーの側面部8Bに近づける場合には、基板2を広げなくてはならない。
基板2を広げることは、材料コストが上がるとともに産業廃棄物が増える。また、基板2の下には放熱経路としてのフレーム11が無くてはならない。それゆえ、基板を拡大する場合は、それに付随して、フレーム11の平面11Aを広げ、傾斜部11Bを拡散カバー8に近づける必要が生じる。この場合は、上述した固定具を設置するためのスペースを確保するのがとりわけ困難になる。
そこで、導光部6Lを有する本構成は、側面部8Bと離れた位置にあるLED光源からの光を、導光部6Lによって側面部8Bの近くまで導光して側面部8に向けて出射面から光を出射することで、拡散カバーの側面部8Bに入射する光束を効果的に増大させる効果を奏する。また、導光部6Lを導光しても光損失はほとんど無いので、光損失を伴わずに、拡散カバーの側面部8Bに入射する光束を効果的に増大させる効果を奏する。
本構成は、あるLED光源に対応する光学部材は導光部を有し、導光部6Lは光を側面方向の外側に導光し、光が出射面6Bから側面方向外側Xに出射する構成である。以下、側面方向の外側(方向)を、側面外側方向や側面方向外側と呼ぶこともある。何れも図中に側面外側方向Xとして記載した方向である。
出射面6Bは入射面6Aとは対向する面であって、入射面6Aと略平行な面である。入射面6Aと対向する面であって、光が導光する方向に垂直な面であるがゆえに、光取り出し手段が無くても出射面6Bから光が出射する。例えば、入射面6Aと垂直な面であって、光が導光する方向と水平な面からは、光取り出し手段がないと、光は出射しない。
図6(a)に示すように、第2の光学部材6に対応するLED光源3Bが実装されている基板の法線と平行な断面において、第2の光学部材6の出射面形状は直線であって、入射面6Aと平行な直線である。出射面の厚さを導光部6Lの厚さ6Hと等しくする場合においては、当該出射面形状が直線である場合に出射面6Bで反射して入射面6Aに戻る光が少なくなり、さらに、当該出射面形状が入射面6Aと平行な直線の場合に最も少なくなる。当該出射面形状を、円や楕円にすると出射面で反射して入射面6Aに戻る光が多くなる。戻り光が再度出射面から出射して側面部8Bを照射する確率は低い。それゆえ、拡散カバーの側面部8Bへの光束を効果的に増大させるには、当該出射面形状は直線とすることが望ましい。とりわけ、入射面6Aと平行な直線の場合に最も戻り光が少なくなる構成であって、入射面6Aと平行な直線とすることがより望ましい。
第2の光学部材6の出射面6Bは、基板2の端部2Eよりも側面方向外側に位置している。このように出射面6Bを配置することで、さらに拡散カバーの側面部8Bへの照射光束を効果的に増大させることが可能となる。なぜならば、出射面6Bが基板2の端部2Eの内側にある場合は、出射面6Bから出射した光の略半分は、基板2で反射してしまうためである。基板2で反射した光は正面方向Zに向かって伝播し、正面方向Zと反対方向には伝播しない。さらに、反射光は拡散しながら伝播するため、拡散カバーの正面部8Aに向かっても多くの光が伝播する。それゆえ、拡散カバーの側面部8Bへの光束を効果的に増大させるには、出射面6Bを基板2の端部2Eよりも側面方向の外側に配置することによって、出射光が基板2で反射して側面部8Bへの光束が低減するのを抑制することが効果的である。
例えば、図6(a)に示す光線RAY4は側面部8Bに向かっているが、もしも、出射面6Bが基板2上にあった場合、光線RAY4は基板2で反射して、側面部8Bではなく正面部8Aに向かう可能性がある。基板2表面が白色レジストなど、白色の光学系で覆われている場合は、正面部8Aに向かう可能性がさらに高くなる。
それゆえ、出射面6Bを基板2の端部2Eよりも側面方向外側に配置することによって、基板2での反射を抜本的に無くせるので、拡散カバーの側面部8Bへの光束を効果的に増大させるという効果が得られる。
出射面6Bを基板2の外側に出す場合、上述した固定具を設置するためのスペースを確保するという課題があるが、フレーム11の平面11Aの外側に出射面6Bをだけを配置すればよいので、フレーム11の形状を変更する必要が無い。その上に、固定具に合わせて、導光部6Lの長さを調整すれば良いので問題ない。
次に、入射面6A′から入射した光を効果的に導光させる方法に関して説明する。入射面6Aは、側面発光LED光源3Bの発光面3BEに対向しており、発光光の大部分は入射面6Aから光を入射する。一方、入射面6A′は、発光面3BEと垂直な面であって、発光面3BEの法線方向からの角度が大きい出射光が入射する面である。入射面6A′から入射する光束は全体から見れば少ないが、全体の20%程度の光束となる場合がある。
それゆえ、側面方向に導光させる光学手段を設ける。
発光面3BEの法線方向と略45度の角度を成すプリズム面6Cが発光面3BEに対応して存在する。プリズム面6Cは、入射面6A′から入射した光を出射面6B方向に全反射する光学的な形状である。プリズム面6Cは、発光面3BEの法線方向に対して傾いてれば効果を奏するが、当該法線との成す角度は、20度以上、70度未満が好ましく、略45度が最も良い。当該法線との成す角度が小さすぎるとプリズム面6Cで反射せずに正面方向Zに透過する光が多くなる。当該法線との成す角度が大きい程、プリズム面6Cは正面方向に大きくなるので、導光部6Lの厚さ6Hは大きくなる。著しく厚くなると重くなるので、当該法線との成す角度は70度程度未満が好ましい。
入射面6A′から入射する光の多くを出射面6B方向に全反射したいので、プリズム面6Cは入射面6A′と重なるようにしたい。発光面3BEと入射面6Aとの距離をG0とした場合に、プリズム面6Cの発光面3BEの法線への射影が距離G0よりも大きくなるようにすることが好ましい。
図5のLED光源の説明で前述したように、大部分の光は発光面3BEから出射するが、枠体37は一部の光を透過するため、枠体37全体から光が漏れる。とりわけ、枠体37が薄い部位から光が漏れる。側面発光LED光源3Bの正面方向の面からも光が漏れる。この漏れ光を反射して導光させるためには、側面発光LED光源3Bの正面方向の面の側面方向の幅をWLGとした場合に、プリズム面6Cの発光面3BEの法線への射影が(距離G0+幅WLG)よりも大きくなるようにすることが好ましい。
次に、第1の光学部材5と第2の光学部材6が光学部材接続部4で繋がって構成される複合光学部材7に関して説明する。第1の光学部材5と第2の光学部材6を光学部材接続部4で繋げることで複数の効果を奏するので、順次説明する。
図6(b)は、図1のB−B′断面図であり、正面発光LED光源3A、第1の光学部材5である広角レンズ、光学部材接続部4、第2の光学部材6が主に表されている。但し、第2の光学部材6に対応するLED光源3Bが無い箇所であるため、第2の光学部材6には入射面6A、6A′が存在せず、出射面6Bが存在する。また、光線追跡の例として、光線RAY5、光線RAY6を示す。途中より点線で示される光線RAY6′は、光学部材接続部4が無かった場合に、光線RAY6が伝播する方向を表す光線である。
本構成においては、光線RAY5、光線RAY6が示すように、第2の光学部材6の出射面は、正面発光LED3Aから第1の光学部材5に入射して光学部材接続部4を導光して伝播してくる光も出射する面となる。もしも、光学部材接続部4が無かった場合には、光線RAY6′のように、基板2の内側に位置する第1の光学部材5から出射して拡散するため、拡散カバーの側面部8Bを直接照射する光束は少ない。
したがって、第1の光学部材5と第2の光学部材6が光学部材接続部4によって接続されていることにより、第1の光学部材5に対応するLED光源3Aの発光光の一部を第2の光学部材6の出射面6Bまで伝播させ、側面部8Bを直接照射することが可能となり、照明装置1の間接光を増大するという効果を奏する。また、導光により伝播するので、光損失を抑制して側面部8Bを直接照射する効果も奏する。
光学部材接続部の高さ4Hは、第1の光学部材の高さ5Hよりも小さい。これは、光学部材接続部4の軽量化の効果もあるが、他にも光学的な意味がある。光学部材接続部4を光が導光するには、光学部材接続部の反射面4Cに伝播する光は、スネルの法則から導かれる全反射条件を満たさなければならない。光学部材接続部4の屈折率をnmとし、反射面4Cの法線からの角度を入射角度とした場合には、導光するためには、入射角はsin-1(1/nm)で得られる臨界角よりも大きな角度でなくてはならない。
例えば、ポリカーボネートやアクリルなどの樹脂は、臨界角が40度前後であるため、第1の光学部材5に対応するLED光源3Aの発光光の内、LED光源3Aが実装されている基板2の法線からの角度を光源配光角とした場合に、少なくても光源配光角0度から40度の光は導光しないので第1の光学部材5から出射させるべきである。望ましくは、光源配光角0度から60度の光は第1の光学部材5から出射させて拡散カバーの正面部8Aを照射し、それ以上の角度の光線を導光させて側面部8Bを照射するのが望ましい。ある角度より小さい光源配光角の光線が光学部材接続部4に入射しないようにするには、光学部材接続部の高さ4Hを第1の光学部材の高さ5Hよりも小さくする必要がある。
光学部材接続部の高さ4Hを、第1の光学部材の高さ5Hより小さい高さとすることは、光学部材接続部4に入射する光線の角度を制御するという効果を奏し、光学部材接続部4を導光する光のみを入射させることが可能であるため、光学部材接続部4に入射後に迷光となって損失する光を低減するという効果を奏する。
次に、複合光学部材7は電極40を覆っているため、拡散カバー8を取り外されたときに、人が電極40に触れて感電することを防止する保護カバーの効果も得られている点に関して説明する。図6(a)に示されるように、複合光学部材7は、第1の光学部材5からの光を第2の光学部材の出射面6Bに光を導くために、第1の光学部材5から出射面6Bまでを複合光学部材7が覆っている。その際に電極40も人が触れないように覆っている。
複合光学部材7が電極40を覆っていない場合は、電極40を覆うために別の部材が必要となり、当該別の部材が複合光学部材7の影になったりして光学的な干渉が起こるという問題が発生するので、複合光学部材7が電極40を覆うことは上記問題を発生させないという効果を奏する。
図7は電極40、電極40′と複合光学部材7に関して詳細に説明するための図で、図7(a)は正面図で、図7(b)は、図7(a)中のG−G′断面図である。G−G′断面は、光線追跡例RAY7の複合光学部材7内の軌跡に沿った断面である。図7(a)において、電極40、電極40′は、LED光源の実装端子に対応して形状が決まり、LED光源より外側にも配置されている。電極40を覆うように複合光学部材7は配置されている。また、電極40と対向する面にも複合光学部材の裏面7Rが存在するので、LED光源3Aから導光された光は、図7(b)に示すように、電極40で反射・損失せずに、電極40と対向する位置7Rを通過することが可能である。電極40を複合光学部材7で覆うことで、感電防止の保護カバーだけではなく、電極40で反射・散乱する光も低減できるという効果を奏する。
さらに、照明装置1に含まれるLED光源の数が数十個を超えるような場合は、光学部材の取り付け、位置あわせを行うことは、時間がかかり省電力および作業コストの観点で望ましくない。ちなみに、天井に取り付ける照明装置でリビングよりも広い部屋用途の場合、大抵、数十個以上のLED光源が必要となる。
しかしながら、複数の光学部材をまとめた複合光学部材の場合、取り付け作業回数が減るという効果を奏する。さらに、本実施の形態のように、全ての光学部材を一括成型で作る場合、取り付けに要する時間は著しく改善される。また、光学部材が複数種ある場合に、一括成型の複合光学部材を取り付ける場合には、対応するLED光源への光学部材の取り付け間違いが無くなるという効果を奏する。
次に、正面発光LED光源3Aと側面発光LED光源3Bが存在する光学系における、LED光源の配置に関して説明する。前述したように、側面発光LED光源3Bは側面部8Bを直接照射するために、最も外側に配置されることが好ましい。また、別の表現では、基板2の端部2E付近に存在することが好ましい。より直接的には、出射面6Bと側面部8Bの間に障害物がなく、出射光は伝搬途中で反射・散乱を受けずに側面部8Bに到達することが可能となる配置が好ましい。その上で、正面発光LED光源3Aの配置に関して図1を用いて説明する。
図1中に記載の距離D3Lは、中心Cから側面発光LED光源3Bまでの距離である。
距離D2Lは、側面発光LED光源3Bに最も近い最近接正面発光LED光源3Aの中心Cからの距離である。距離D1Lは、当該最近接正面発光LED光源3Aの内側にある正面発光LED光源3Aの中心Cからの距離である。但し、何れのLED光源も色が概ね等しいLED光源間で距離を規定している。
前述したが、拡散カバー8の照度を均一にして、綺麗でムラのない発光面とし、眩しさを低減することは重要な課題である。側面発光LED光源3Bの正面方向は発光光束が少ないために、側面発光LED光源3Bの正面方向の拡散カバー正面部8Bの照度は低くなり暗くなるという課題が発生する。それゆえ、照度の均一性を向上させるために、側面発光LED光源3Bの近くに正面発光LED光源3Aを配置する。したがって、側面発光LED光源3Bとそれに最も近い最近接正面発光LED光源3A間の距離は、当該最近接正面発光LED光源3Aとそれより内側にあるLED光源3Aとの距離よりも小さくなる。
但し、色違いのLED光源が複数ある場合、同じ色で均一化を図るので、距離の規定は概ね同じ色のLED光源間で行う。また、その様な配置は、(D3L−D2L)<(D2L−D1L)を満たす。
また、正面発光LED光源3Aに対応して配置する広角レンズの例として、LED光源3Aの実装面内において、等方的なレンズの説明をしたが、より効果的に均一化をするために、実装面内で非等方的なレンズに関して説明する。例えば、円形状の照明装置の場合、中心Cを原点とした極座標系を考えた場合、動径方向より方位角方向の方が、LED光源が密(略同色のLED光源間隔が小さい)に配置されるので、正面から見た場合に、動径方向と方位角方向でレンズ幅を異ならせてレンズからの発光光の出射分布を変えて均一化を図ることが考えられる。その場合、一般には、レンズ幅が大きい方がより広角に光を出射できるので、動径方向のレンズ幅の方が方位角方向のレンズ幅よりも大きくなる。
より一般化した場合、LED光源が密(略同色のLED光源間隔が小さい)の方向のレンズ幅は、LED光源が粗(略同色のLED光源間隔が大きい)の方向のレンズ幅よりも大きくなる。
図16に、第1の光学部材5と第2の光学部材6の様々な例を示す。
図16(a)は、第1の光学部材5は入射面5Aと出射面5Bの断面形状が略相似形状で、第2の光学部材6は導光部を有する形状である。第1の光学部材5は、部材の中心にLED光源を置いた場合に、当該LED光源からの出射光をほとんど屈折させずに出射させる形状である(光線追跡例RAY21参照)。LED光源からの出射光の配光分布を、そのまま光学部材からの出射光としたい場合に有効な形状である。当該部材を広角レンズとした場合には、出射面5Bで一部の光がフレネル反射により、レンズ内に反射され、基板などで吸収損失されることがある。一方で、入射面5Aと出射面5Bの断面形状が略相似形状である場合は、出射面5Bでのフレネル反射が最も少なくなる形状である。それゆえ、当該光学部材の影響による光の損失が最も少なくなる形状である。また、本形状の光学部材を側面発光LED光源近くに置くことで、広角レンズを置く場合に比べて発光面の法線方向の光度が大きいので、側面発光LED光源の正面方向の均一性を向上させることができる。
図16(b)は別の例の正面図で、図16(c)は図16(b)中のA−A′断面図である。本例は出射面6Bが基板2の端部2Eの外側にあるが、LED光源3Bと当該出射面6Bを含む断面において空隙6ARがある構成である。光線追跡例RAY22に示したように、LED光源3Bから出射した光は、入射面6Aに入射し、空隙6ARへの出射面6B0から出射して空気中を伝播して、第2の光学部材6の最も外側にある部分の入射面6B1に入射し、当該部分の出射面6Bから側面部8Bに向かって出射する。本例では、導光部は無いが空気中を光が伝播して、基板2の端部2Eの外側にある出射面6Bから光が出射する構成である。
なお、出射面6Bを有する部位と入射面6Aを有する部位は適宜固定されている。本例では、棒状の部位6Fで繋がっている。
また、側面発光LED光源から第2の光学部材6の最も外側にある部分の入射面6B1に直接光が入射する構成としても良い。その場合、入射面6B1が入射面6Aの役割を果たすことになる。
また、空隙6ARへの出射面6B0の断面形状は直線に限らず、曲線などのレンズ形状で有っても良い。また、入射面6B1および出射面6Bの断面形状は、それぞれは直線であっても良く、曲線のレンズ形状であっても良い。両者の組み合わせで、効率良く拡散カバーの側面部8Bを照射できれば良い。
本構成は、出射面6Bを基板2の端部2Eの外側に配置し、側面部8Bを効率よく照射するための形状をしている。出射面6Bは概ねLED光源3Bに対して対称的に配置されている。また、出射面6Bの断面の大きさ6Hは、空隙6ARへの出射面6B0の断面よりも大きい。これらの特徴は、出射面6Bを基板2の端部2Eの外側に配置することで、出射面6Bなどの光学部材が基板2と干渉しないので、得られている。それゆえ、出射面6Bを基板2の端部2Eの外側に配置することで側面部8Bを効率よく照射するという効果を奏する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る照明装置の構成を説明するための図である。第1の実施の形態と同じ個所に関しては説明を省略する。図8において、第1の実施の形態と異なる個所は、第2の光学部材6の出射面6Bの形状である。導光部を有する第2の光学部材6の出射面形状は直線ではなく、曲線である。第2の光学部材6の出射面形状は円弧状の形状をしている。第2の光学部材6の出射面6Bの断面形状は、次に説明する課題を解決するための形状である。
図9(a)から(d)を用いて、本実施の形態で解決する課題に関して説明する。図9(a)から(c)は、LED光源3B、導光部6L、スクリーンSCNからなる系であって、現象を説明するための光学系である。
図9(a)は、LED光源3Bからの発光光の内、導光部6Lの上面6LAおよび下面6LBで反射しないで、入射面6Aから出射面6Bに直接伝搬して空気中に出射した光線RAY8と、当該光線がスクリーンSCNに映し出す放射照度分布I0を模式的に表した図である。本例は、LED光源3Bと導光部6Lの中心軸6LCが一致している例なので、当該中心軸上に放射照度分布I0のピークがある。説明のために、中心軸6LCと原点を等しくした、スクリーン上のx座標軸XCDを図中に記す。
図9(b)は、LED光源3Bからの発光光の内、入射面6Aから入射後に上面6LAで1回だけ反射して、出射面6Bに伝搬して空気中に出射した光線RAY9と、当該光線がスクリーンSCNに映し出す放射照度分布I1を模式的に表した図である。当該放射照度分布I1は、中心軸6LCとずれた位置にピークを持ち、x座標軸XCD方向にピークがずれる。
図9(c)は、図9(a)と図9(b)の光線を重ね合わせた例である。放射照度分布I0とI1の重ね合わせがスクリーンの放射照度分布となる。ピークを持つ放射照度分布がある間隔を持って重ね合わせされるため、スクリーンには明暗のムラが縞状に発生する。図9(c)は、2通りの導光経路に関して考慮しただけであるが、実際には幾多の経路の結果が重ね合わせされ、明暗のムラが広範囲に発生する。入射面から出射面に到達するまでの反射回数によって導光経路を分類した場合に、各導光経路毎にピークが存在し、それら全ての重ね合わせがスクリーンに明暗の連続的に繰り返されるムラを発生させるということである。
図9(d)にシミュレーションで計算した結果を示す。計算時の導光部の長さは50mmで、200mm角のスクリーンを導光部の出射面から150mm離して配置し、x軸と平行方向における導光板の厚さを3mm、LED光源の幅を1mmとした場合の結果である。縦軸は放射照度(W/mm2)を表し、横軸はスクリーン上のx座標を表す。中心軸6LC上である0mm付近で放射照度は最大となり、位置が離れるにつれて明暗を繰り返しながら暗くなる。
本現象は、導光部を有する部材を用いる場合に発生する現象である。導光部は5mmから数百mm程度の透明な樹脂、ガラス、セラミックなどであって、光を当該距離伝播する部材である。照明装置によっては1mよりも長い導光部を有する場合がある。照明装置の場合、スクリーンが拡散カバー8に対応していて、拡散カバー8上に明暗が発生する。照明装置に発生する当該明暗のムラは、発光面の均一性を著しく劣化させ、拡散カバー8のデザイン的な価値を低下させるとともに、眩しい輝線となることもある。本実施の形態では本現象によるムラを低減し、発光面の均一性を得ることを課題とする。
図10でさらに詳しく本現象に関して言及する。本現象は、LED光源の発光面3BEと導光部の中心軸6LCとの位置関係に強く依存する。図10(a)は、図9の場合に対応したLED光源と入射面6Aの位置関係の概略図である。図10(b)は、LED光源の発光面3BEの中心と導光部の中心軸6LCが−0.5mmだけx座標軸XCD方向にずれた場合の位置関係の概略図である。図10(c)は、LED光源の発光面3BEの中心と導光部の中心軸6LCが一致している場合であって、さらに、x軸と平行方向における導光板の厚さとLED光源の発光面3BEの幅が等しい場合を示している。図10(d)は、図10(a)から図10(c)の場合における放射照度(W/mm2)の位置分布の計算結果を示している。計算時の導光部の長さは50mmで、200mm角のスクリーンを導光部の出射面から150mm離して配置し、導光板の厚さを3mm、LED光源の幅を1mmとした場合の結果である。縦軸は放射照度(W/mm2)を表し、横軸はスクリーン上のx座標を表す。
実線10(a)は、図10(a)の場合の結果であって、図9(d)に示す結果と同じである。比較のために示してある。
破線10(b)は、図10(b)の場合の結果である。明暗のムラが、著しく大きくなっていることが分かる。つまり、LED光源の発光面3BEの中心と導光部の中心がずれた場合にムラが大きくなることが分かる。ムラは、入射面から出射面に到達するまでの反射回数によって分類した導光経路毎のピークによって発生する。LED光源の発光面3BEの中心と導光部の中心が等しい場合は、当該ピークはある間隔で存在し、導光部の厚さ方向(x座標軸XCD方向)において、中心軸に関して対称的に存在する。一方で、LED光源の発光面3BEの中心と導光部の中心が異なる場合は、当該ピークの位置が、導光部の厚さ方向(x座標軸XCD方向)において、中心軸に関して非対称的に存在する。それゆえ、中心が異なる場合は、スクリーン上においてピークが近づく導光経路とピークが遠ざかる導光経路が存在する。ピークが近づくところはより明るく、ピークが遠ざかるところはより暗くなる。例えば、導光経路1に対応するピーク1と導光経路2に対応するピーク2は近づき、ピーク1と導光経路3に対応するピーク3は遠ざかる場合があり、その場合、ピーク1とピーク2の重なり部分はより明るくなり、ピーク1とピーク3の間はより暗くなる。それゆえ、中心が異なる場合は、破線10(b)に示すように著しく大きなムラが発生する。
点線10(c)は、図10(c)の場合の結果であって、導光板の厚さとLED光源の発光面3BEの幅が等しい場合は、ムラが抑制されることが分かる。これは入射面6A全面にあらゆる角度の光が入射するためである。言い換えると、入射面6Aに対向するLED光源の発光面の幅が、入射面6Aと同程度以上の大きさの場合には、ムラが抑制される。
このムラを低減する方法は、第2の光学部材6に対応するLED光源が実装されている基板の法線と平行な断面において、導光部を有する第2の光学部材6の出射面形状を直線ではない形状とすることであって、さらには、曲線とすることで大幅な改善が得られる。
さらに、出射面形状を円弧状にすることによって、ムラを消すだけで無く出射光の角度分布を集光させることが可能となる。
但し、導光部を有する第2の光学部材6の出射面形状が直線の場合には、導光してきた光が出射面6Bで反射して入射面6Aに戻る光が少ないというメリットがある。当該戻り光は、入射面6Aまで戻り、入射面6Aから出射面6Bと反対の方向へと出射する。それゆえ、側面部8Bに到達せず、効率良く間接光を増やせない。上述したムラは、入射面6Aと出射面6B間の距離である導光部の長さが短い場合(概ね15mm未満)には低減するし、出射面6Bと拡散カバー8の距離が小さい場合にはピークの位置が拡散カバー8上で解像せず、ムラと認識され難くなる。その様な場合には、戻り光が少ないというメリットを考慮して出射面6Bの形状を直線とすることで、効率良く間接光を増やすことが可能である。
ここで、図11(a)および図11(b)を用いて戻り光に関して言及する。図11(a)は、出射面6Bの断面形状が半円であって、当該半円の直径6BDが、導光部の厚さ6LHと同じ3mmの場合の概略図である。図11(b)は、出射面6Bの断面形状が半円よりも中心角の大きな円弧の場合であって、当該円弧の直径6BDが導光部の厚さ6LHよりも大きい場合を示している。各図には、二つの光線追跡例RAY10、RAY11を記載した。
導光部6Lで反射する前の光線RAY10および11と中心軸6LCの成す角度は等しい角度である。光線RAY10は、出射面6Bの断面形状が直線の場合、出射面6Bから全反射せずに空気中に出射する光線である。しかしながら、出射面6Bの断面形状が円や楕円などの曲線(球面、非球面の曲線)の場合、全反射を繰り返して戻る光が発生する。
これが前述した戻り光の原因である。
この戻り光を低減する方法の一つは、出射面6Bの断面形状を導光部の厚さ6LHよりも大きくすることである。その例を図11(b)記載のRAY11が示している。本効果は後述するシミュレーションにより確認されている。
ここで、出射面6Bの断面形状を曲線にした場合の明暗のムラ低減に関して図11(c)を用いて説明する。図11(c)は、図9(a)で説明した光学系で、LED光源の発光面3BEの中心と導光部の中心軸6LCの位置関係を、中心軸6LCに対して発光面3BEの中心を−0.5mmだけx座標軸XCD方向にずらした構成(図10(b)の位置関係)での計算結果である。本光学系のスクリーンは200mm角のスクリーンであって、導光部の出射面から約150mm離して配置されている。導光板の厚さは3mm、LED光源の幅は1mmである。縦軸は放射照度(W/mm2)を表し、横軸はスクリーン上のx座標を表す。
図11(c)に示される実線9(a)I0は、出射面6Bの断面形状が直線の場合において、LED光源3Bからの発光光の内、導光部6Lの上面6LAおよび下面6LBで反射しないで、入射面6Aから出射面6Bに直接伝搬して空気中に出射した光線がスクリーンに映し出す放射照度分布を示す。
破線11(a)I0は、図11(a)に示すように、出射面6Bの断面形状が曲線で半円であって、当該半円の直径6BDが、導光部の厚さ6LHと同じ3mmの場合の放射照度分布を示す。
出射面6Bの断面形状が直線の場合は、実線9(a)I0に示すように中心付近に鋭いピークを持つが、出射面6Bの断面形状が半円の場合は、破線11(a)I0に示すようになだらかなピークを中心付近に持つ。
入射面から出射面に到達するまでの反射回数によって導光経路を分類した場合に、各導光経路毎の寄与を重ね合わせたのが、実際の放射照度分布である。出射面6Bの断面形状が直線の場合は、鋭いピークを持つ放射照度分布を重ねたために明暗のムラが発生した。
しかしながら、破線11(a)I0に示すようになだらかなピークを持つ分布を重ね合わせた場合には、明暗のムラは発生しない。それゆえ、出射面6Bの断面形状を直線とは異なる形状とし、曲線とし円弧とすることで、ムラを低減できる。
次に、本構成によるムラ低減の効果に関してシミュレーションした結果を説明する。図11(d)に結果を示す。シミュレーションの光学系は、図9(d)、図10(d)の計算を行った光学系である。200mm角のスクリーンを導光部の出射面から約150mm離して配置し、導光板の厚さを3mm、LED光源の幅を1mmとした光学系である。LED光源の発光面3BEの中心と導光部の中心軸6LCの位置関係は、中心軸6LCに対して発光面3BEの中心が−0.5mmだけx座標軸XCD方向にずれた場合である(図10(b)の位置関係)。
図11(d)の縦軸は放射照度(W/mm2)を表し、横軸はスクリーン上のx座標を表し、放射照度(W/mm2)の位置分布を示している。破線10(b)は、図10(b)の場合の結果であって出射面の断面形状が直線の場合であって比較用である。
実線11(a)は図11(a)の場合で、点線11(b)4は、図11(b)で円弧の直径6BDが4mmの場合で、点破線11(b)6は、図11(b)で円弧の直径6BDが6mmの場合である。
図11(d)より明らかなように、出射面6Bの断面形状を曲線とすることでムラが著しく改善されることが分かる。
さらに、スクリーンに到達する光の量は、出射面6Bの断面形状が直線の場合を1とした場合に、図11(a)の場合は略0.8、図11(b)で直径6BDが4mmの場合は略1.0、図11(b)で直径6BDが6mmの場合は略1.4となる。
出射面6Bの断面形状を、直線から図11(a)のようにすると、戻り光によりスクリーンに到達する光の量が低減する。一方、出射面6Bの断面形状の直径6BDを4mmとすると、戻り光が改善し、図11(a)よりもスクリーンに到達する光の量は増える。つまり、導光部の厚さより出射面の断面形状を大きくすることで戻り光を少なくするという効果が得られている。
さらに、出射面6Bの断面形状の直径6BDを4mmから6mmにすると、スクリーンに到達する光の量は増える上に、図11(d)に示されるようにスクリーンの特定の領域の放射照度が大きくなっている。これは、出射光が集光していることを示している。出射光が集光することで、より効果的に拡散カバーの側面部8Bを照射でき、間接光を増大させることができる。同様の現象は、出射面6Bの断面形状の直径6BDを3mmから4mmにした場合にも起こっているが、当該直径6BDを4mmから6mmにした場合に顕著に見える。
したがって、出射面6Bの断面形状を曲線にすることで明暗のムラを低減し、さらに、出射面6Bの断面形状を導光部の厚さより大きくすることで、曲線にすることで発生する戻り光を低減し、出射光を集光させて、効果的に拡散カバーの側面部8Bを照射して間接光を増大させるという効果を奏する。
なお、図8は、図11(b)の断面形状をした第2の光学部材6を取り付けた例を示している。
図17に、導光部と出射面6Bの断面形状の様々な形状に関して示した。
図17(a)は、出射面の断面形状が、直線部6B2と曲線部6B1で構成される例である。DLは入射面6Aから出射面の先端までの距離を表している。導光部は入射面から直線部6B2までの間である。
図17(b)は、導光部に傾斜面がある例である。本例は、導光部の厚みが出射面6Bに近づくにつれて薄くなる構成である。この場合、一部の光は、導光部の上面6L1、下面6L2で全反射条件が崩れて、上面6L1、下面6L2から光が出射することがある。
出射面を6Bだけでなく、増やしたい場合に有効な構成である。また、薄い部位ができるので軽量化もできる。
図17(c)は、導光部に傾斜面がある例である。本例は、導光部の厚みが出射面6Bに近づくにつれて厚くなる構成である。本構成の場合、光線が導光部6Lを導光するにつれて、上面6L1と下面6L2で反射するごとに、光線の伝搬する向き(角度)が、入射面6Aから出射面6Bの方向(側面方向)に向くので、伝搬にともない光線がコリメートするという効果を奏する構成である。
図17(d)は、出射面の断面形状が、折れ線の例である。本構成も明暗のムラを抑制する効果を奏する。
図17(e)は、出射面の断面形状が、複数の光学形状からなる例であって、3個のシリンドリカルレンズ6B3形状によって、出射面6Bが構成されている例である。例えば、出射面6Bがフライアイレンズなどの場合である。複数の光学形状を用いることにより、出射面の各位置に応じた詳細な出射角度分布の制御が可能となる。本構成も明暗のムラを抑制する効果を奏する。
図12は、本発明の第3の実施形態に係る照明装置の構成を説明するための図である。
第1の実施の形態と同じ個所に関しては説明を省略する。第1の実施の形態と異なる個所は、第1の光学部材5と第2の光学部材6を接続している光学部材接続部4に光取り出し手段4Eが設けられている点と、第2の光学部材の導光部6Lの下面6LBに光取り出し手段6LEが設けられ、導光部6Lの上面6LAから光が出射して、導光部6Lの上面6LAが第2の出射面として機能している点である。
これは、導光光の一部を正面方向Zにも取り出すことで、LED光源から遠いところのカバー部材にも十分な光が届くようにし、拡散カバー8の照度均一性を向上させるための構成である。
光取り出し手段4Eと光取り出し手段6LEは、各部材の正面方向の面に在っても良く、当該面と対向する面に在っても正面方向Zに光を取り出すことは可能である。
第2の光学部材6が導光部を有し、光取り出し手段6LEがない場合、LED光源3Bからの出射光は、第2の光学部材6に入射すると、戻り光以外は出射面6Bから出射するため、導光部6Lの正面方向には光が発光されない。それゆえ、導光部6Lの正面方向にある拡散カバーの正面部8Aが暗くなることがある。一方、拡散カバーの側面部8Bは出射面6Bからの光により明るくなる。この明暗のムラを低減するために、第2の光学部材6のLED光源3Bより外側に、光取り出し手段6LEを配置し、出射面を6LAと6Bの2面とした。例えば光線RAY12に示されるような出射面6LAからの光により、当該ムラは低減する。第2の光学部材6の導光部の形状として図12のように出射面が6LAと6Bの2面となる場合以外に、出射面が2面以上となるくさび状としてもよいが、これに限らない。
光学部材接続部4の光取り出し手段4EはLED光源3間に存在すれば、均一化の効果を成す。例えば光線RAY13に示されるように、とりわけ、側面発光LED光源付近に、または、側面発光LED光源と正面発光LED光源間にあると、大きな効果を奏する。
なぜならば、側面発光LED光源は実装面の法線方向に光を発光しないので、当該法線方向に位置する拡散カバーが暗くなることがある。側面発光LED光源付近に当該の光取り出し手段4Eがあると、拡散カバー方向の光が発生するので、ムラを効果的に抑制できる。
また、光学部材接続部4の光取り出し手段4Eおよび光取り出し手段6LEは、様々な方法が考えられる。例えば、図示したような断面がプリズム形状の凹凸の付与や、球面、非球面のマイクロレンズの凹凸の付与、白色の散乱ドットの印刷などが上げられる。
図13は、本発明の第4の実施形態に係る照明装置の構成を説明するための図である。
第1の実施の形態と同じ個所、または、同じ機能を有する箇所に関しては説明を省略する。第1の実施の形態と異なる個所は、基板2の法線と正面方向Zが平行ではなく、基板2が側面方向外側に向けて傾いている点である。本例では、側面方向で最も外側に位置するLED光源として側面発光LED光源ではなく、正面発光LED光源を用いている。また、拡散カバー8の側面部8Bを効率良く照射するために、当該LED光源3Bに対応して第2の光学部材6を設置している。第2の光学部材6は導光部を有さず、第1の光学部材5とは形状の異なる光学部材である。
基板2を傾けることで、正面発光LED光源の発光面の側面方向への射影が大きくなる。それゆえ、基板2上の全てのLED光源が側面部8Bの照射に寄与するようになる。光線RAY14は、第1の光学部材5から側面部8Bに向かう光を示している。
ここで、第1の光学部材5に対応するLED光源3Aと第2の光学部材6に対応するLED光源3Bは等しいLED光源でも良く、異なるLED光源でも良い。
さらに、第2の光学部材6は、第1の光学部材5よりも側面部8Bへの配光(または、光束)が大きくなるように設計された部材であって、本部材により効率良く拡散カバー8の側面部8Bに光が出射される(光線RAY15参照)。
また、本例では第2の光学部材6は、基板2の法線方向に垂直な面内方向において非対称的な形状となっている。側面方向外側に光を出射する面と、側面方向内側に光を出射する面では、基板2の法線を含む断面における断面形状が異なる。なぜならば、側面方向外側に光を出射する面は側面部8Bに多くの光を出射するが、側面方向内側に光を出射する面は正面部8Aを第1の光学部材5とともに均一化するためである。
光学部材接続部4の役割は、第1の実施形態で説明したものと同じである。第1の光学部材5と第2の光学部材6が光学部材接続部4によって接続されていることにより、第1の光学部材5に対応するLED光源3Aの発光光の一部を第2の光学部材6の出射面6Bまで伝播させ、側面部8Bを直接照射することが可能となり、照明装置1の間接光を増大するという効果を奏する。このとき、複合光学部材7の端部で、側面部8Bに最も近い位置は、常に第2の光学部材6の出射面6Bであるわけではなく、光学部材接続部4の側面方向外側の端部となる場合がある。したがって、第1の光学部材5と第2の光学部材6が光学部材接続部4によって接続されていることは、出射面6Bだけではなく、光学部材接続部4の側面方向外側の端部からも光を出射し、照明装置1の間接光を増大するという効果を奏する。
図14は、本発明の第5の実施形態に係る照明装置の構成を説明するための正面図であって、LED光源3A、3Bを実装する基板2の法線方向から見た図である。第1の実施の形態と同じ個所、または、同じ機能を有する箇所に関しては説明を省略する。正面方向Zおよび側面方向の定義は、第1の実施形態で説明した通りである。
図15(a)は、図14記載のA−A′の断面図である。当該断面は、LED光源3A、3Bが実装されている基板の法線と平行な面である。図15(b)は、図14記載のB−B′の断面図である。
第1の実施の形態と異なる点は、外形形状である。第1の実施形態の正面から見た外形形状は円であって、光学的には側面方向面内において概ね等方的である。一方、本例の正面から見た外形形状は長方形である。第1の実施形態から第4の実施形態までに説明した本発明の概念は、本実施形態に対しても適宜設計・最適化し適用可能である。本発明は、外形を規定することなく、間接光を増大し、拡散カバー8の照度をムラの無い均一な分布とする効果を得られる。その一例として、本実施の形態で、正面から見た外形形状が長方形の場合を説明する。
LED光源3Aの多くは、LED光源3Bよりも内側(中心Cに近い側)に配置される。一部は、LED光源3Bの近くであって、基板2の端部2Eの近くに存在する。基板2の全体に点在し、中心Cを囲うように配置されている。LED光源3Aは、正面発光LED光源である。当該光源に対応する第1の光学部材5は広角レンズであって拡散カバー8の均一性を向上させている。
LED光源3Bの多くは、基板2の端部2Eの近くに存在し、端部2Eに沿って外側に配置されている。LED光源3Bは、側面発光LED光源である。当該光源に対応する第2の光学部材6は導光部を有する。発光面3BEは側面方向外側に向けて発光するように配置されている。第2の光学部材6の入射面6Aは発光面3BEに対向して配置される。
入射面6Aから入射した光線は、図15(a)に光線RAY2′、光線RAY3′、光線RAY4′で示されるように、導光部6Lを伝搬して出射面6Bから出射する。LED光源3Bは、基板2の端部2E付近に存在するので、入射面6Aと出射面6Bとの間に別のLED光源などの障害物がなく、入射光は導光途中で反射を受けずに出射することが可能となる。本例で説明する第2の光学部材6は、基本的には第1の実施形態で説明した全ての特徴と、それによる効果を有し、間接光を増大する効果を有する。
本例における第2の光学部材6においては、長方形の角に対応する部位6BRを、正面視で角ではなく丸みを帯びた曲線としている。出射面6Bに角あると、それに対応して明るい線が拡散カバー8に発生する場合がある。したがって、外形の概ねの形が多角形などの場合は、当該角に対応した出射面Bの形状に丸みを帯びさせることにより、角に起因するムラを抑制できる。
次に、第1の光学部材5と第2の光学部材6が光学部材接続部4で繋がって構成される複合光学部材7に関して説明する。第1の光学部材5と第2の光学部材6を光学部材接続部4で繋げることで、第1の実施形態同様、第1の実施形態で説明した複数の効果を奏する。
図15(b)において、正面発光LED光源3A、第1の光学部材5である広角レンズ、光学部材接続部4、第2の光学部材6が主に表されている。但し、第2の光学部材6に対応するLED光源3Bが無い箇所であるため、第2の光学部材6には入射面6A、入射面6A′が存在せず、出射面6Bが存在する。また、光線追跡の例として、光線RAY5′、光線RAY6′′を示す。
当該光線で示されるように、第1の光学部材5と第2の光学部材6が光学部材接続部4によって接続されていることにより、第1の光学部材5に対応するLED光源3Aの発光光の一部を第2の光学部材6の出射面6Bまで伝播させ、側面部8Bを直接照射することが可能となり、照明装置1の間接光を増大するという効果を奏する。
また、複合光学部材7は電極40を覆っているため、拡散カバー8を取り外されたときに、人が電極40に触れて感電することを防止する保護カバーの効果も得られている。
次に、正面発光LED光源3Aと側面発光LED光源3Bが存在する光学系における、LED光源の配置に関して説明する。前述したように、側面発光LED光源3Bは側面部8Bを直接照射するために、最も外側に配置されることが好ましい。第1の実施形態で説明したように、側面発光LED光源3Bの正面方向Zは発光光束が少ないために、側面発光LED光源3Bの正面方向の拡散カバー正面部8Bの照度は低くなり暗くなるという課題が発生することがある。それゆえ、照度の均一性を向上させるために、側面発光LED光源3Bの近くに正面発光LED光源3Aを配置する。
したがって、側面発光LED光源3Bと正面発光LED光源3Aとの間の距離は、正面発光LED光源3A間の距離よりも短い方が好ましい。その例に関して図14を用いて説明する。距離Dt1、Dt2、Dt3、Dt4は正面発光LED光源3A間の距離を表している。一方、距離Ds1、Ds2は側面発光LED光源3Bと正面発光LED光源3Aとの間の距離を表している。基本的には、距離Dt1、Dt2、Dt3、Dt4>距離Ds1、Ds2とすることが好ましい。但し、全ての距離に関して当該不等号が成り立たなくても良い。例えば、距離Dt4>距離Ds2の場合に、距離Ds2>距離Dt3という場合も有りうる。
また、例えば、側面発光LED光源3B付近のLED光源の数密度は、同じ基板2の他の部位のLED光源の数密度よりも高いと言っても良いし、基板2には、側面発光LED光源3B付近よりもLED光源の数密度が低くなっている部位があると言っても良い。
図18(a)は、本発明の第6の実施形態に係る照明装置の構成を説明するための正面図であって、LED光源3A、LED光源3Bを実装する基板2の法線方向から見た図である。第1の実施の形態と同じ個所、または、同じ機能を有する箇所に関しては説明を省略する。正面方向Zおよび側面方向の定義は、第1の実施形態で説明した通りである。図18(b)は、図18(a)記載のA−A′断面図である。図18(b)には、図18(a)に記載していない詳細な形状も含めて示した。
本例では、基板2の最も外側に配置されるLED光源3Bが正面発光LED光源であって、当該LED光源3Bに対応して第2の光学部材6が配置されている構成である。第2の光学部材6は、入射面6Aおよび6A′から入射した光の多くを、側面外側方向Xに導く構成である。
光線RAY23に示すように、入射面6Aから入射した光は、入射面6AがLED光源3Bの外側に配置されるので、LED光源3Bから外側に向かう光であるため、側面外側方向Xに伝搬して、入射面6Aよりも外側にある出射面6Bから出射して、拡散カバーの側面部8Bを照射する。
第2の光学部材6の特徴は、入射面6AがLED光源3Bの外側に配置されることである。さらに、当該入射面6Aに対応して出射面6Bが、当該入射面6Aの側面方向外側に配置される構成である。この場合、第1の光学部材5からの出射光の方が、第2の光学部材6からの出射光よりも前記正面方向への光束が多くなっている。
また、導光部6Lを有して光を伝搬させ、出射面6Bが基板の端部2Eよりも外側に配置される構成である。
光線RAY24に関して説明する。LED光源3Bから正面方向Zに向かう光線RAY24は、入射面6A′から第2の光学部材6に入射し、側面方向外側Xに光を反射する反射面6Cによって、外側方向に導かれる。光線RAY24は反射面6Cで全反射する。反射面6Cへの光の入射角度が、臨界角度未満の場合、全反射ではなくフレネル反射となる。当該反射面6Cの形状に関しては下記にて詳細に説明する。当該光線は導光部6Lを導光して出射面6Bから出射して、拡散カバーの側面部8Bを照射する。本例では、空気と部材の界面での全反射およびフレネル反射を反射する方法として用いているが、アルミの薄膜や反射シートの付与など別の方法で反射させても良い。また、反射面6Cは、反射光を導光させるために、鏡面反射面であることが望ましい。
本実施の形態の側面外側方向Xに光を反射する反射面6Cは、正面方向Zに対して約45度傾いている。側面外側方向Xに光を反射するという観点では、反射面6Cは、正面方向Zに伝搬する光を反射するので、正面方向Zに対して20度以上傾いていることが好ましく、45度が最も良い。また、45度以上としても良いが、角度を大きくすると第2の光学部材の正面方向Zの大きさがより大きくなるので、光学的な観点だけでなく、射出成型での生産性や重さの観点でも、45度程度とするのが最も望ましい。望ましい範囲は、30度から60度程度である。
当該反射面の法線6CNは、正面方向Zを基準として側面方向外側Xとは反対方向に傾く構成である。当該反射面6Cは、LED光源3Bからの光の多くを側面方向外側Xに反射するために、LED光源3Bの発光面3BEに対向して配置されている。反射面6Cは、発光面3BEの法線方向に配置される。
また、本実施の形態の反射面6Cの断面形状は直線形状であるが、これに限定されず、折れ線でも曲線でも良い。LED光源3Bから正面方向Zに向かう光を側面方向外側Xに光を反射する機能を有すれば良い。そのような機能を有する面は、面の法線が正面方向Zを基準として側面方向外側Xとは反対方向に傾く部位を有する面である。
拡散カバーの側面部8Bを主に照射するLED光源として正面発光LED光源を用いた場合、側面方向外側Xだけでなく、内側に向けても光が発光する。それゆえ、側面発光LED光源を用いる場合に比べて、LED光源あたりの側面方向外側Xに向かう光束の割合は低下する。その一方で、側面方向内側および正面方向Zに出射する光の割合が増える。
したがって、LED光源3Bの正面方向の拡散カバーの正面部8Aが暗くなるという課題に対して効果を奏する。
また、第1の光学部材5に対応するLED光源と等しいLED光源を使うことが可能となるため、LED光源の基板2への実装工程の簡略化、LED光源の配線の共通化や、駆動回路の簡略化などの効果を奏する。特に、同じLED光源を用いると、明るさを変化させる調光の際に、電流と明るさの関係が等しいために、側面部8Bと正面部8Aで正確に同じ割合で明るさを変えることが可能となる。
さらに、色温度が異なる2種類以上のLED光源を適宜配置して、各種類間の投入電流を調整することによって、照明装置の発光光の色を調節することがある。当該調色を行う際には、第1の光学部材5に対応するLED光源の色の種類の割合と、第2の光学部材6に対応するLED光源の色の種類の割合を等しくすることで、各種類のLED光源に投入する電流を、LED光源3AとLED光源3Bで等しく制御することで、正面部8Aと側面部8Bからの発光光の色を等しくしながら調色することが可能となる。例えば、色温度3000Kと6000Kの2種のLED光源を用いる場合、LED光源3Aの半分は3000KのLED光源とし、もう半分は6000KのLED光源とする。同様にLED光源3Bの半分は3000KのLED光源とし、もう半分は6000KのLED光源として、LED光源の色の種類の割合をLED光源3AとLED光源3Bで等しくする。第1の光学部材5と第2の光学部材6で同じ色のLED光源には同じ電流を投入すれば良い。
光線RAY25に関して説明する。光線RAY25は、正面方向Zより傾いて斜め方向にLED光源3Bから発光した光線である。本光線は、入射面6A′から入射し、反射面6Cで屈折され正面方向Zに向かう光線例である。本例では、反射面6Cは正面方向Zに対して約45度傾いている。反射面6Cの傾き角度が約45度の場合、LED光源から正面方向に向かってくる光線を効率よく側面方向外側Xに反射する。その一方で、LED光源からの発光方向が、正面方向Zよりも側面方向内側に向かう光に対しては、その光を屈折して効率よく正面方向Zに光を出射するという効果も奏する。正面方向Zに光を出射することで、LED光源の正面方向Zの拡散カバーの正面部8Aを明るくするという効果を奏する。
当該反射面6Cの形状を制御することで、側面外側方向Xと正面方向Zの光束を制御することが可能である。例えば、反射面6Cの断面形状を直線ではなく、折れ線や曲線のレンズ形状とすることでも制御が可能である。
出射面6Bの断面形状は直線であるが、これに限らず、第1および第2の実施の形態で説明した様々な形状を用いることが可能であって、同様に各図面で説明した効果を奏する。
本構成は、基板の外周のある部位において、最も外側に配置されるLED光源からの正面方向Zへの発光光を、側面方向外側に導く光学部材が対応して配置され、当該光学部材は側面方向の内側よりも外側に多くの光を出射する部材構成である。ここで、側面方向の内側、外側は、対応するLED光源が配置される位置の正面方向Zを基準として定義される。当該正面方向Zを基準に光線の伝搬方向が外側Xに向いている場合は、外側に向かう光である。一方、当該正面方向Zを基準に光線の伝搬方向が内側(−X方向)に向いている場合は、内側に向かう光である。ここで、最も外側に配置されるLED光源とは、基板の外周のある場所において、基板の端部に最も近いLED光源とも言える。
また、第1の光学部材5は、LED光源が配置される位置に関して、側面方向の外側と内側で、対称的な形状である。一方、第2の光学部材6はLED光源が配置される位置に関して、側面方向の外側と内側で、非対称的な形状である。また、第2の光学部材6は、その重心がLED光源よりも外側にある構成である。これらの特徴は、外側により多くの光を出射するための特徴である。
本実施の形態で説明したように、正面発光LED光源を、拡散カバー8の側面部8Bに光を主に照射する部材に対応する光源として用いることも可能である。つまり、第1から第5の実施の形態で説明した、側面部8Bを効率良く照射する部材である第2の光学部材に対応するLED光源として、正面発光LED光源を用いても、本実施の形態の特徴を備えた照明装置であれば、同様に側面部8Bを効率良く照射することが可能である。
次に、図19を用いて、複合光学部材7の保護カバーの役割に関して説明する。基本的には、本実施の形態でも、第1の実施の形態で説明したように、複合光学部材7は電極40を覆っているので保護カバーとしても機能する。図19は補足説明で、とりわけ、完全には電極を覆っていない場合の説明である。
図19は、第2の光学部材6と光学部材接続部4との間に空隙7Gが存在する構成である。空隙7Gの幅7Wは数mm程度の幅であって、電極に手が触れらない程度の幅である。
それゆえ、人が電極40に触れて感電することを防止する保護カバーの機能を有する。
空隙7Gは、複合光学部材7が如何なる材料で作られていても、光の吸収が完全にはゼロではないので、空隙7Gを設け、光を通すことで効率を向上させるという効果が一つある。
また、本例では、製造上の問題で設けている。本例の照明装置の複合光学部材7は射出成型で、一括で製造される。形状に薄い部位があると樹脂が流れ込まず、きれいに成型できない。また、そのような箇所は強度も弱くなり、割れなども発生する。それゆえ、できる限り1mm未満にはならないように成型する。最低でも0.5mmは確保したい。
第2の光学部材6と光学部材接続部4との間は薄くなる。なぜならば、反射面の法線6CNが側面方向外側Xとは反対方向に傾いている構成であって(正面方向の厚さの異なる光学部材接続部4と第2の光学部材6がつながる部位でもある)、且つ、LED光源3Bを配置するための空間があるためである。それゆえ、複合光学部材7の当該部分が薄くなり過ぎないために、所定の厚さ未満に当該部分がなる前に削除して空隙7Gとしている構成である。第2の光学部材6と光学部材接続部4との間は、基板面内の別の部位で複合光学部材7が薄くならないように接続されている。したがって、空隙7Gを設けることで、製造し易くするという効果を奏する。
図20は、本発明の第7の実施形態に係る照明装置の構成を説明するための断面図である。第1の実施の形態と同じ個所、または、同じ機能を有する箇所に関しては説明を省略する。第1の実施の形態と異なる個所は、側面方向で最も外側に位置するLED光源として側面発光LED光源ではなく、正面発光LED光源を用いている。また、拡散カバー8の側面部8Bを効率良く照射するために、当該LED光源3Bに対応して第2の光学部材6を設置している。
第2の光学部材6は導光部を有さず、第1の光学部材5とは形状が異なり、出射光の光度分布も異なる光学部材である。本例の照明装置1のLED光源3A、LED光源3Bは正面発光LED光源である。本例では特に、照明装置1に配置されたLED光源を全て正面発光LED光源としている。第1の光学部材5に対応するLED光源3Aは、第2の光学部材6に対応するLED光源3Bと等しくても良いし、異なっても良い。本例ではLED光源3AとLED光源3Bは等しいものとする。また、本例では外側の2つのLED光源3Bに対応して第2の光学部材6が設置されている。
実施例1同様、間接光を増大することと、拡散カバー8の照度を均一にすることを主な目的としている。照明装置の中心C付近の拡散カバー8が暗くなる点、および、基板2の端部2Eと拡散カバーの側面部8B間の拡散カバー8(拡散カバー周辺部と呼ぶことにする。)が暗くなる点を改善することで、拡散カバー8全体を均一に光らせるとともに、拡散カバー周辺部が明るくなることで照明装置1の配光を広げ、間接光も増加させる照明装置を提供する。
実施例1で説明した通り、固定具51があるために、照明装置1の中心にはLED光源3が置けない。それゆえ、照明装置の中心C付近の拡散カバー8が暗くなる。また、基板2の端部2Eと拡散カバーの側面部8Bとの間には、拡散カバー8をフレーム11に固定するための固定具(図示なし)を設置するために、一定のスペースが必要になる(図20参照)。それゆえに、LED光源を近づけるのに限界が生じ、拡散カバー周辺部が暗くなる。
一般に、拡散カバー8は、中心C付近の高さHcの方が、基板の端部2E付近の高さHeよりも高い。それゆえ、中心C付近と基板の端部2E付近の光学部材が等しい場合は、中心C付近の光学部材から出射した光の方が基板の端部2E付近の光学部材から出射した光よりも拡散カバー8に到達するまでに広がる。つまり、光が拡散する。したがって、中心C付近においては、極端に光学部材で光を広げる必要はない。例えば、配光の光度ピークが80度を超えるようなレンズにする必要はないことが多い。また、光を広げ過ぎると効率良く中心C付近の拡散カバー8に光が到達せず、拡散カバー8の当該箇所の暗部を改善できない。例えば、中心Cに最も近いLED光源3Aと中心Cとの距離をDp1とすると、ATAN(Dp1/Hc)で得られる角度よりも広角に光を出射すれば良い。ATAN(Dp1/HC)+5度から20度程度の角度に光度ピークがあることが好ましい。
一方、端部2E付近の光学部材は、高さHeが低いので、できるだけ広い範囲に光を出射した方が良い。
したがって、中心C付近にあるLED光源3Aに対応する第1の光学部材5の出射光の光度分布よりも、最も外側に位置するLED光源3Bに対応する第2の光学部材6の出射光の光度分布が広い方が、拡散カバー8の照度を均一にすることに有効である。当該効果は、とりわけ、中心C付近の高さHcの方が、基板の端部2E付近の高さHeよりも高い場合に有効である。
本例では、側面方向の外側の2つのLED光源3Bに対して、第2の光学部材6を配置した。これは、中心C付近にあるLED光源3A以外のLED光源に関しては、拡散カバー8の特定の部位に向けて光を出射する必要がないので、できるだけ広い範囲に光を出射して拡散カバー8の照度を均一化した方が良いためである。
つまり、第1の光学部材5を、中心Cを囲むように配置し、照明装置1の中心付近、特に、照明装置1の中心に最も近い光学部材とすることで、中心C付近の拡散カバー8が暗くなる点を改善している。さらに、第2の光学部材6を基板の端部2Eに沿って配置することで、拡散カバー周辺部を明るくして照明装置1の配光を広げ、間接光も増加させている。また、側面方向において、第1の光学部材5より外側の全ての光学部材を第2の光学部材6とすることで、拡散カバー8の全体の均一化に寄与している。
ここで、光学部材接続部4の役割は、第1の実施形態で説明した複数の役割を担うものである。
照明装置1に含まれるLED光源の数が数十個を超えるような場合は、個々に、光学部材の取り付け、位置あわせを行うことは、時間がかかり省電力および作業コストの観点で望ましくない。ちなみに、天井に取り付ける照明装置でリビングよりも広い部屋用途の場合、大抵、数十個以上のLED光源が必要となる。
しかしながら、本例のように、複数の光学部材をまとめた複合光学部材の場合、取り付け作業回数が減るという効果を奏する。さらに、本例のように、全ての光学部材を一括成型で作る場合、取り付けに要する時間は著しく改善される。また、光学部材が複数種ある場合に、一括成型の複合光学部材を取り付ける場合には、対応するLED光源への光学部材の取り付け間違いが無くなるという効果を奏する。また、本例のように、LED光源が全て正面発光LED光源であり、LED光源3AとLED光源3Bが等しい場合は、第1の光学部材5と第2の光学部材6の形状は異なるものの、似ている点もあることから、取り付けの際に間違いが発生し易くなる。それゆえ、一括成型の複合光学部材は、本例にはより有効である。
次に、図21(a)を用いて、本例のLED光源の配置に関して説明する。図20は、説明に必要な最小限を書いており、LED配置に関して、図21(a)の場合よりも省略して記載した。例えば、後述するが、図21(a)のLED光源は7個の同心円状に配置されているのに、図20では、3個の同心円の断面図として描かれている。さらに、図21(a)では後述する色に関して説明しているが、図20ではLED光源の色の情報は記載していない。これは図20および説明が複雑になるのを避けるためである。図21(a)は、LED光源の配置、色に関してより詳細に説明するために記載した。
図21(a)はLED光源3A、3Bを実装する基板2の法線方向から見た正面図である。基板2は円を4分割する形状で同じ基板が4枚配置されている。図では、一つの基板のみ光学部材を書き込んだ。各LED光源には光学部材が対応して配置されている。光学部材501と502は、形状が等しい第1の光学部材5であって、対応するLED光源の色が異なる。光学部材601と602は、形状が等しい第2の光学部材6であって、対応するLED光源の色が異なる。
図21(b)に第1の光学部材の拡大図を示す。図21(b)に示されるように、第1の光学部材5は、基板2の法線方向から見た場合の形状は等方であり、正面視は円形である。
第2の光学部材6の拡大図を図21(c)に示す。第2の光学部材6は、基板2の法線方向から見た場合の形状は非等方であり、正面視は円と直線からなる形状である。ここで、第2の光学部材6の正面視の形状は円と直線に限定されない。曲線でも良く、折れ線で構成されても良い。便宜的に、中心Cを原点とした極座標系を考えると、第2の光学部材6は、動径方向Rdirと、当該動径方向に垂直な方位角方向Cdirとで断面形状が異なり、動径方向の幅6W1より方位角方向(円周方向)の幅6W2の方が大きい。また、言い換えると、LED光源が密に並んでいる方向(方位各方向)の幅が、当該方向と垂直な方向の幅よりも、大きいとも言える。
各LED光源は中心Cを取り囲んでいる。同一の光学部材が中心Cからの距離が概ね等しい円状に配置されている。本例においては、中心が等しい7個の同心円にLED光源が配置されている。各同心円の半径をDp1〜Dp7とする。各円を点線で図中に記してある。
最も中心Cに近い円には、第1の光学部材501、502が配置されている。それより外側の円には、第2の光学部材601、602が配置されている。また、中心C付近にある第1の光学部材501、502の出射光の光度分布よりも、最も外側に位置する第2の光学部材601、602の出射光の光度分布の方が広い構成であって、拡散カバー8の照度を均一にすることに有効な構成となっている。理由は、図20を用いて説明した理由と同じである。
また、最も中心Cに近い円以外の円には第2の光学部材6が対応している。言い換えると、第1の光学部材5は、基板の中心Cに近い側の端部に、中心Cを取り囲むように配置され、第1の光学部材5で囲まれた位置より、中心Cより遠ざかる側に配置される光学部材は第2の光学部材6という構成である。
これは、中心C付近にある光学部材以外の光学部材に関しては、拡散カバー8の特定の部位に向けて光を出射する必要がないので、できるだけ広い範囲に光を出射して拡散カバー8の照度を均一化した方が良いためである。
LED光源の色と配置の関係に関して説明する。本例では、光学部材501と601に対応するLED光源は等しいものとする。また、光学部材502と602に対応するLED光源は等しいものとする。少なくても、第1の光学部材501と502からの出射光は混色しなければならない。また、第2の光学部材601と602からの出射光は、混色しなければならない。混色しなければ、拡散カバー8の色が均一でなくなり、色ムラが発生する。したがって、混色し易くなるように、色が異なるLED光源を隣接して配置することが好ましい。
また、n色のLED光源を使用する場合は、1種類の光学部材に対して、n色の異なるLED光源を用いることが好ましい。なぜならば、同一の光学部材の方が、配光が等しいために、色の均一化が容易であるためである。本例では、第1の光学部材5に2色のLED光源を用い、第2の光学部材6にも2色のLED光源を用いている。
基板2の基板間の境界となる端部2ER1、2ER2に沿ったLED光源の配置に関して説明する。当該端部は2辺あり、何れの辺においても、当該端部2ER1、2ER2に沿って、最内側の第1の光学部材5から最外側の第2の光学部材6まで、対応するLED光源の色が交互に異なる。例えば、一方の端部2ER1は、第1の光学部材501の次は、第2の光学部材601、602が602、601、602、601、602、601と、中心Cから動径方向に向けて交互に対応するLED光源の色が異なる。さらに、反対側の端部2ER2は、第1の光学部材は502と、端部2ER1のLED光源とは異なる色であり、次いで、第2の光学部材601、602が、601、602、601、602、601、602と、中心Cから動径方向に向けて交互に対応するLED光源の色が異なる。
言い換えると、複数の基板で照明装置は構成され、基板2の基板間の境界となる端部2辺2ER1、2ER2において、中心Cに最も近い第1の光学部材から中心Cから最も遠い第2の光学部材まで、対応するLED光源の色は交互に異なるように配置する。
さらに、当該境界となる端部2辺において、一方の辺に沿って配置されるLED光源の中心Cから遠ざかる方向への色の順番と、他方の辺に沿って配置されるLED光源の中心Cから遠ざかる方向への色の順番は異なるということである。
この様な構成とすることで、同じ基板2を用いて照明装置を構成した場合であっても、異なる基板間の境界において、当該境界を挟んでも隣接するLED光源の色が異なる構成となる。それゆえ、同じ設計の基板を用いて照明装置を構成した場合であっても、色ムラを抑制することが可能となる。
次に、光学部材を詳細に説明する。まず、第1の光学部材5の断面と、第2の光学部材6の動径方向Rdirの断面形状に関して、図22(a)から(c)を用いて説明する。
図22(a)は第1の光学部材5の断面図であって、図22(b)は第2の光学部材6の動径方向Rdirの断面図である。第1および2の光学部材は、レンズであって、レンズはLED光源に対向する内面Luと光をレンズの外側に出射するレンズ表面Loから構成される。内面Luは傾斜部Tpを有する。図中には、参考のため光線RAYSが示されている。第2の光学部材6の方が、LED光源からの出射光線をより、大きい角度に屈折して、配光角度を広げる。
図22(c)は、第2の光学部材6の光学系を説明するための図であって、LED光源に対向する内面Luだけが第2の光学部材6とは異なり、傾斜部Tpを含まないレンズの断面形状である。傾斜部Tpの効果に関して説明する。図22(c)に光線RayLで示されるように、傾斜部Tpが無い場合には、LED光源から出射した光の内、極角の大きな出射光は、光学部材接続部4に入射して導光する。
積極的に光学部材接続部4に光を入射させて導光させる場合もあるが、本例では導光させずに、第1の光学部材5と第2の光学部材6と光学部材接続部4からなる複合光学部材7から光を出射させることを目的の一つとした。その理由は、複合光学部材7内を光を導光させる場合には、適宜、複合光学部材7から光を取り出し、光のロスを抑制する光学系が必要であり、本例ではそのような光学系を実装しないことを仮定しているため、複合光学部材7内を導光させると、迷光になって一部はロスする可能性があるためである。
図22(b)に示す第2の光学部材6には、傾斜部Tpがあるため、LED光源3Bから光学部材接続部4に向かう光線RayLは、傾斜部Tpでレンズ表面Loに向けて屈折される。それゆえ、光学部材接続部4に入射して導光する光は、傾斜部Tpが無い場合に比べて少ない。したがって、傾斜部Tpは、光学部材接続部4に入射して導光する光を抑制し、光学ロスを低減するという効果を奏する。
傾斜部Tpの基板法線からの角度は、50度から75度程度である。内面Luは設計の観点では球面が好ましい。球面とすることで、特定の位置にある点光源からの出射光に対してレンズ表面Loを設計することができる。しかしながら、球面はLED光源の出射光の内、光学部材接続部4に向かう光を抑制する形状では無いので、LED光源からのある角度以上の発光光をレンズ表面Loに向けて屈折させる面である傾斜部Tpを球面部と連続的に繋げて内面Luを構成した。つまり、内面Luの断面形状は曲線と直線からなる。
LED光源からのある角度以上の発光光をレンズ表面Loに向けて屈折させる面が開始する位置は、レンズ中心軸において、LEDの発光面の高さの位置を原点とし、当該原点から光線が発光すると仮定した場合に、当該レンズ中心軸からの角度が概ね70から80度の光線と、図22(c)のようにレンズ内面の球面がLED光源の側面と対向する面まで伸びているとしたときに(内面が球面でないときは、当該内面の端部をそのまま延長したときに)、当該球面とが交差する点が凡その当該開始点となる。当該開始点より基板2に近い側のレンズ内面形状を、レンズ表面Loに向けて屈折させる面とすれば良い
別の点で考えると、図22(c)のようにレンズ内面の球面がLED光源の側面と対向する面まで伸びているとしたときに(内面が球面でないときは、当該内面の端部をそのまま延長したときに)、前述した原点からの光が、レンズ表面Loから出射せず、光学部材接続部4に入射する極角を求め、当該極角以上の発光光に対して、レンズ表面Loに向けて屈折させる面を設ければ良い。
また、本例では、簡易に設計できるため傾斜部Tpを直線としたが、これに限らず、球面部から曲線形状で滑らかに、LED光源からのある角度以上の発光光をレンズ表面Loに向けて屈折させる面となるように設計することも可能である。その際には、上述した開始点付近から曲線の曲率が変化する構成となる。
次に、第2の光学部材6の方位角方向Cdirの形状に関して図23(a)、(b)を用いて説明する。図23(a)は第2の光学部材6の方位角方向Cdirの図である。図23(a)に示す通り、方位角方向Cdirの断面は、中心部に長さLgの直線部があり、その他の部位は、動径方向Rdirの断面と変わらない。つまり、図22(b)と図23(a)において、形状Loa−LobおよびLua−Lubは等しい形状ということである。方位角方向Cdirの断面は直線部Lgの分だけ、動径方向Rdirの断面よりも長い。6W2=6W1+Lgである。
レンズ表面Loの立体的な形状を図23(b)に示す。曲線の始点であるLoaと終点であるLobを図中に記した。中心部にはLtpで示される平面部が存在する。第2の光学部材の断面形状の一部である曲線形状Loa−Lobは、レンズの全周囲に亘って等しい形状である。
第2の光学部材6を本レンズ形状とした理由は、動径方向Rdirの断面形状は広角に光を広げる形状とし、その上で、方位角方向Cdirは広角に光を広げない断面形状としたために本形状となった。最初に、動径方向Rdirの断面形状を決め、その上で方位角方向Cdirは、中心部に長さLgの直線部を導入することで、基板法線方向の光度を大きくして、広角に出射する光量を低下させた。動径方向Rdirと方位角方向Cdirの断面形状を連続的に繋げないと、配光が不連続な特性になりムラの原因になるので、動径方向Rdirと方位角方向Cdirの断面形状を連続的に繋げるために、方位角方向Cdirの断面形状は、直線部以外は動径方向Rdirの断面形状と等しくした。
本特徴を備えることで、配光特性に所望の実装面内での異方性を持たせつつ、動径方向Rdirと方位角方向Cdirの断面形状を連続的に繋げ、ムラを抑制するという効果を有する。
ここで、動径方向Rdirの断面形状は広角に光を広げる形状とし、その上で、方位角方向Cdirは広角に光を広げない断面形状とした理由について説明する。動径方向Rdirに関しては、光を広げて拡散カバー周辺部に多くの光を照射し、ムラ改善と間接光を増大する必要がある。一方で、方位角方向Cdirは、隣接してLED光源が配置されるために、広い角度に光を出射する必要がない。一般的に、広角に光を出射するレンズは、レンズとLED光源間の位置ずれに敏感な傾向があり、さらに光度ピークが隣接する光学部材間で干渉してムラになることがある。それゆえ、LED光源が隣接して配置される方位角方向Cdirは広角に光を出射しないレンズ構成とし、レンズとLED光源間の位置ずれによるムラ、および、光度ピークが隣接する光学部材間で干渉して発生するムラを抑制している。
したがって、図21にも示した通り、第2の光学部材6の形状において、LED光源が密に並んでいる方向の幅が、当該方向と垂直な方向の幅よりも、大きい構成としている。
また、第2のLED光源は略円周状に配置されており、基板2の法線方向から第2の光学部材6を見た場合に、第2の光学部材6の形状が、方位角方向Cdirと動径方向Rdirで異なり、方位角方向Cdirの幅の方が大きい構成としている。本構成のように、基板2の端部2Eに最も近い第2の光学部材6を、基板2の法線方向から当該部材を見た場合に、非等方的な形状とすることで上述した様々なムラを抑制するとともに、広角に光を出射することで拡散カバー周辺部を明るくして照明装置の配光を広げ、間接光も増加させている。
ここで、第1の光学部材5と第2の光学部材6の配光角に関して図24を用いて詳細に説明する。図24のグラフの横軸は光学部材を実装する基板2の法線からの角度である極角を表している。縦軸は、光学部材から出射した光の全光束で光度を規格化した規格化光度である。
第1の光学部材5の光度分布I1aは、概ね60度から65度の間に光度ピークがあり、光度ピークより大きな角度になると光度が急峻に低下する。第1の光学部材5の光度分布I1aは、第1の光学部材5が無い場合に比べると、LED光源3Aから出射したランバーシアンの光度分布を略60度方向に光度ピークがある光度分布になるように、光を広角に広げている。
同様に、第2の光学部材6の動径方向Rdirの光度分布I2rは、概ね75度に光度ピークがあり、光度ピークより大きな角度になると光度が急峻に低下する。本光度分布I2rは、LED光源3Bから出射したランバーシアンの光度分布を75度方向に光度ピークがある光度分布になるように、光を広角に広げている。ランバーシアンの光度分布(図示なし)に比べて、0度の光度が低く、75度方向の光度が大きい。本光度分布I2rの特徴は、0度から45度の低角で光度が小さく、広角において、0度付近の光度と概ね等しいか、それ以上の光度となるピークを有する。この分布により、光度ピークまでの広い角度に光線を出射していることが分かる。
一方で、第2の光学部材6の方位角方向Cdirの光度分布I2cは、0度方向が大きく、極角が大きくなるにつれて低下する。但し、80度付近で小さなピークがある。このピークは正面方向(0度)に比べれば値が十分に小さいので、影響はほとんどない。さらに、50度から75度の領域の光度が低く、80度付近で小さなピークがあるだけである。当該80度の小さなピークは、方位角方向Cdirへの出射光であって、拡散カバー8に到達するまでに、動径方向Rdirへの出射光に比べて長い距離伝搬するために拡散して影響が無くなる。したがって、本光度分布I2cは、光度分布I2rに比べて狭い範囲に光を出射していることが分かる。
第2の光学部材6の動径方向Rdirの光度分布I2rを第1の光学部材5の光度分布I1aと比較すると、光度分布I2rの光度ピークはより広角にあり、また、光度分布I1aの光度が広角で急峻に低下している領域で、光度分布I2rの光度は高い値を示しているので、動径方向Rdirの断面において、第2の光学部材6の出射光の光度分布は、第1の光学部材5の出射光の光度分布よりも広いと言える。
第1の光学部材5は、等方的な光学部材とした。第1の光学部材5は、第2の光学部材6に比べて配光角度が狭いので、レンズとLED光源間の位置ずれによるムラが発生しにくい。それゆえ、第1の光学部材5は、非等方的なレンズ形状にする必要性は低い。また、中心C付近の暗部にできるだけ多くの光を出射するには、中心C付近の基板2の端部に沿って多くのLED光源を配置したい。それゆえ、方位角方向Cdirに長い非等方なレンズ形状とはせず、等方的なレンズ形状として出来るだけ高密度にLED光源を配置した。中心に最も近い光学部材を、基板2の法線方向から当該光学部材を見た場合に、等方的な形状とすることで、当該LED光源よりも外側に配置されるLED光源より、高密度にLED光源を配置し、中心C付近の暗部に多くの光を出射する構成とし、当該暗部を改善できる。
したがって、配光角が70度を超える第2の光学部材6は、非等方的なレンズ形状とし、第2の光学部材6よりも配光角が狭い第1の光学部材5は、等方的なレンズ形状とすることで、レンズとLED光源間の位置ずれによるムラを抑制しつつ、照明装置の中心C付近の拡散カバー8が暗くなる点、および、基板2の端部2Eと拡散カバーの側面部8B間の拡散カバー8(拡散カバー周辺部と呼ぶことにする。)が暗くなる点を改善した。それにより、拡散カバー全体を均一に光らせるとともに、拡散カバー周辺部が明るくなることで照明装置の配光を広げ、間接光も増加させる照明装置を提供する。
次に、LED光源内のLED配置と非等方的なレンズの配置の関係に関して図25(a)から(g)を用いて説明する。まずは、望ましいLED光源内のLED配置と非等方的なレンズの配置関係について図25(a)を用いて説明する。本例では、LED光源3Bは、LED30が、枠体37の実装面37aに3個実装されている。第2の光学部材6の動径方向Rdirと、LED30が並んでいる方向が略等しい構成である。別の言い方をすると、LED光源3B内で、LED30が配置される位置分布範囲が長い方向と、動径方向Rdirが概ね等しい方向を向く構成である。
LED光源3Bにおいて、LED30直上の発光面からの発光光ELDと、LED30が無い部位の直上からの発光光ELIは色が異なる。拡散カバー8の特定の部位において、発光光ELDまたはELIの一方の照度が強くなると、色ムラが発生する。この色ムラを改善するには、図25(a)の構成が有効である。
なぜならば、広配光に光を出射する光学部材の場合、広角において、光学部材表面からの光の出射方向がLED光源3Bの発光面内の発光位置に強く依存するためである。第2の光学部材6の場合、動径方向Rdirは広角に光を出射するが、方位角方向Cdirは広角に光を出射しない。そこで、動径方向Rdir方向に対して、発光位置が変わっても発光色ができるだけ変わらないように、LED30を配置した。
図25(b)から(e)を用いて、LED光源内のLED配置と第2の光学部材の位置関係が色ムラに及ぼす影響について説明する。図25(b)および図25(c)は、図25(a)の構成の動径方向の断面図である。図25(d)および図25(e)は、図25(a)において、LED光源3Bを90度回転した場合の動径方向の断面図である。
初めに、図25(b)と図25(d)を比較する。図25(b)は、中心部のLEDと、図において、中心部のLEDの右と左側に配置されるLED30の直上から出射される光線の模式図を示している。図25(d)においては、光線の出射点を図25(b)と等しくして光線追跡例を記している。光線の伝搬方向は両者で等しい。図25(b)の場合は、出射する光線は3本とも光線ELDで同じ色である。一方で、図25(d)の場合は、中心にのみLEDが配置されるため、LEDの両側からの発光光は、発光光ELIである。
したがって、図25(d)の場合、第2の光学部材6から出射した後に、色が分離する。拡散カバー周辺部を照射する、基板2の端部2E付近にある第2の光学部材6から拡散カバー8までの距離が、隣接するLED光源間の距離に比べて大きいために、拡散して色の分離が大きくなり、色ムラが発生する。また、広角に出射する光は、第2の光学部材6のレンズ表面Loに、全反射角度に近い角度で入射するため、屈折角が入射角度に敏感に依存し、色が分離しやすく、色ムラが発生し易い。それゆえ、図25(b)に示すように、動径方向Rdir方向に対して、発光位置が変わっても発光色ができるだけ変わらないように、LED30を配置することは重要である。
さらに、図25(c)と図25(e)を比較して、別のモードによる色ムラに関して説明する。図25(c)および図25(e)の光線発光位置は、図25(b)に等しい。異なる点は、LED光源からより広角に光が出射する点である。
図25(c)において、中心のLED直上と図中の右側のLEDから出射した光は、傾斜部Tpで屈折してレンズ表面Loから出射する。図中左側のLEDから出射した光は、レンズ内面Luの曲線部で屈折してレンズ表面Loから出射する。これら2つの経路を伝搬して出射する光は、出射する角度が大きく異なる。図25(e)においては、光線の伝搬経路は図25(c)に等しいので、LEDの直上から出射した光ELDおよびLEDの右側直上から出射した光ELIと、LEDの左側直上から出射した光ELIとは異なる角度にレンズ表面Loから出射される。したがって、LEDの左側直上から出射した光ELIは単独で拡散カバー8の特定の位置を照射し、色ムラを発生させる。
本現象は、第2の光学部材6の方位角方向Cdirでも発生するが、広角に光を出射してないだけ、色ムラは小さく、さらに、方位角方向CdirはLED光源が近接して配置されていることから、隣接するLED光源間で出射光が混色して色ムラは発生しない。
したがって、LED光源3Bを近接して配置する方向と垂直な方向を、広角配光となるレンズ形状とし、当該垂直方向に対して、LED光源3B内で、LED30が配置される位置分布範囲が長い方向を概ね等しい方向とすることで、色ムラを抑制している。別の言い方をすれば、LEDが配置される位置分布範囲が長い方向をLED配列方向とした場合に、基板2の法線方向から第2の光学部材6を見た場合に、第2の光学部材6の形状は、LED配列方向に平行な方向の幅の方が、当該方向と垂直な方向の幅よりも、小さいと言える。また、LEDが配置される位置分布範囲が長い方向が、照明装置の中心から外側に向かう方向に平行に配置されるとも言える。
LED30が配置される位置分布範囲が長い方向ALに関して図25(f)および図25(g)を用いて説明する。LED30は、図25(a)に示すように、必ずしも一列に配置されない。図25(f)に示すように、若干列からずれて配置される場合がある。当該方向ALの定義にあたっては、LED光源の枠体の側壁37bの側壁方向を用いて定義することができる。LED光源3Bの枠体は通常矩形であるため、側壁37bの側壁方向は直交する2方向である。図25(f)の場合、LED30の配置される位置分布範囲は、図中矢印で示す側壁37bの一方と平行な方向の方が、当該矢印で示す方向と直交する方向よりも長いので、当該矢印方向を方向ALと定義できる。
図25(g)の場合、LED30の位置は、側壁37に対して、点線の矢印で示すように斜め方向に分布している。この点線の矢印を方向ALとしても良いが、より簡便には、図25(f)の場合と同様に、側壁37bの2方向で決めれば良く、図中矢印で示す側壁37bの一方と平行な方向を方向ALと定義できる。
また、更なる色ムラを消す方法としては、図25(a)に示す構成など、本例で説明した第2の光学部材6において、内面Luなどの第2の光学部材の入射面、または、レンズ表面Loなどの第2の光学部材の出射面に拡散性のある形状を付与する方法がある。例えば、滑らかな凹凸のある微細形状やしぼ形状などである。拡散性のある形状を付与することで色ムラが軽減する。
なお、以上説明した各実施形態において、本発明の説明のために、拡散カバーの形状として、正面部8Aと側面部8Bが明確に分かる形状を用いた。しなしながら、本発明は拡散カバーの形状に限定されない。第2の光学部材から側面方向に出射する光束が増えれば、照明装置としても側面方向の光束が増えて間接光が増える。
なお、以上説明した各実施形態において、各実施形態で説明した特徴は、それぞれ独立に適用することも可能であるが、適宜組み合わせて用いることも可能である。
なお、以上説明した各実施形態は、本発明の説明のために示した具体例であって、これらの各実施形態に本発明を限定するものではない。例えば、以上の各実施形態において図示した各部材の形状および構成は、当該部材が有すべき機能を満足するものであれば、必要に応じ適宜設計乃至は最適化するべきものである。