JP6381904B2 - レバー式電気コネクタ - Google Patents
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Description
レバー式コネクタは、通常、コネクタハウジングと、レバーと、電線カバーと、を備えており、電線カバーは、コネクタハウジングに対して正規の向きに組み付けられる。そして、レバーが嵌合開始の位置に置かれた状態で相手方コネクタと突き合わせて、レバーを嵌合完了の位置まで回転させると、嵌合動作が完了する。
そこで本発明は、電線を引き出す向きに制約を受けることなく、電線カバーの誤組み付けを防止できるレバー式コネクタを提供することを目的とする。
本発明において、レバーとハウジングの間に設けられる干渉構造は、レバーの回転軸回りの径が選択的に拡大されたレバー側構造と、レバー側構造に対応するハウジングの部位に設けられ、周囲よりも突出するハウジング側構造と、で構成され、レバー側構造及びハウジング側構造が外部に露出する。
本発明のレバー式コネクタは、干渉構造がレバーとハウジングの間に設けられている。したがって、電線カバーを逆向きに反転させてハウジングに組み付けても、干渉構造に阻害されることなく、レバーのハウジングに対する嵌合開始の相対的な位置を反転の前と同じにして、嵌合のための回転動作を行うことができる。よって本発明のレバー式コネクタは、電線を引き出す向きに制約を受けることなく、電線カバーの誤組み付けを防止できる。
加えて、本発明における電線カバーは、電線の引き出しの向きが特定されているとともに、ハウジングに、電線の引き出しの向きを反転させて組み付けることができる。
本発明における電線カバーは、ハウジングに対するレバーの嵌合開始位置を、電線カバーが特定の電線の引き出しの向きの場合と、引き出しの向きを反転させた場合とで同じにしてある。
本実施の形態は、コネクタ10と相手コネクタ90が、コネクタ10が備えるスライダ50を介して嵌合されるものである。なお、相手コネクタ90は、嵌合にかかわる部分を抜粋して描いている。
ハウジング20は、図1に示すように、略矩形形状の嵌合部21を備える。嵌合部21には、図示しない端子金具が保持されているとともに、相手コネクタ90を受容する空隙であるキャビティが設けられている。このキャビティは、図中、嵌合部21の下面側に開口している。
嵌合部21の幅方向の両側には、スライダ50を受容するための一対のスライダ受容溝25が前後方向に貫通して形成されている。スライダ50は、レバー70の操作に従って、このスライダ受容溝25の内部を前後方向にスライドする。
嵌合部21には、レバー70の支持円板72の一部を収容し、内部でスライダ受容溝25に繋がる噛合い室26が、各スライダ受容溝25に対応して設けられている。スライダ50に形成されるラック(図示を省略)は、この噛合い室26の内部において、レバー70のギア75と噛み合う。嵌合部21は、噛合い室26に隣接して、ハウジング側干渉構造27(以下、単に干渉構造27)を備えている。干渉構造27は、ハウジング20の嵌合部21の上縁が周囲よりも突出する突起からなる。干渉構造27は、レバー70が装着された電線カバー40を誤った向きでハウジング20に組み付けようとすると、レバー70のレバー側干渉構造76(以下、単に干渉構造76)と干渉することで、電線カバー40がハウジング20に誤組付けされるのを防止する。
図1に示すように、ハウジング20の上部には、電線カバー40が取り付けられている。電線カバー40は、ハウジング20に着脱自在に固定される。各端子金具(図示せず)に接続された電線(図示せず)は、電線カバー40に一体的に設けられる電線ガード40aの側から外部に引き出される。
図1において、電線カバー40の両側面には、レバー70を軸支する支持軸41が設けられている。また、電線カバー40の両側面には、レバー70と係止されることでレバー70が過剰に回転するのを規制する回転規制突起42a,42bが設けられている。電線カバー40の両側面には、レバー70を嵌合開始の位置において仮係止するための突起44a,44bが設けられている。嵌合開始の位置に置かれたレバー70、嵌合完了の位置に向けて押されると、突起44a,44bを乗り越えてから嵌合完了の位置に向けて回転される。また、電線カバー40の上面には、レバー70を嵌合完了の位置において係止するためのロック43a,43bが設けられている。
電線カバー40は、図1に示す右向きにハウジング20に装着することができるのに加えて、図6に示すように図1とは逆の向きに反転させてハウジング20に装着することができるように作製されている。図1の向きに電線カバー40が装着される場合にはレバー70は、レバー70に隠れている突起44aにより嵌合開始の位置に仮係止されており、反時計回りに押されると突起44aを乗り越えて嵌合完了の位置まで回転されると、ロック43bに係止される。図6の向きに電線カバー40が装着される場合にはレバー70は、レバー70に隠れている突起44bにより嵌合開始の位置に仮係止されており、反時計回りに押されると突起44bを乗り越えて嵌合完了の位置まで回転されると、ロック43aに係止される。
一対のスライダ50は、嵌合部21の両側面に設けられる一対のスライダ受容溝25内にハウジング20の前側から挿入され、ハウジング20に対して図1に示す嵌合開始の位置と図3に示す嵌合完了の位置との間を直線的に往復移動可能に設けられている。スライダ50は、ハウジング20の各スライダ受容溝25内に受容可能なように略矩形形状を有している。
スライダ50の上端面には、図示を省略するラックが形成されている。このラックは、各スライダ50が各スライダ受容溝25内において、ハウジング20に対して嵌合開始の位置と嵌合完了の位置との間を移動するときに、レバー70のギア75と噛み合う。
レバー70は、一対のアーム71と、各々のアーム71の一端側に設けられる支持円板72と、一対のアーム71の他端側を繋ぐ連結梁73とを備えたU字型の部材である。
支持円板72の中心には、電線カバー40の支持軸41が挿入される支持孔が設けられている。支持軸41に支持孔を嵌入することによりレバー70は電線カバー40に支持されながら、レバー70が電線カバー40に対して支持軸41を回転軸として往復回転が可能とされる。
また、支持円板72の外周には、嵌合部21に受容されたスライダ50のラックに噛み合うギア75が設けられている。レバー70を嵌合開始の位置から嵌合完了の位置まで回転させると、ギア75とラック(図示を省略)の協働によりスライダ50が嵌合開始の位置から嵌合完了の位置(嵌合位置)まで移動するようになっている。
相手コネクタ90は、簡略化して記載しているが、上部に嵌合部92を有するハウジング91を備えている。嵌合部92は、略矩形形状に形成され、その両側面にはカム従動子として機能する円筒状のボス93が設けられている。ボス93は、スライダ50のカム溝に対応して、1つの側面に3つずつ設けられている。嵌合部92のキャビティ94内には、図示を省略するが複数の端子金具が収容、保持される。この端子金具は、コネクタ10と相手コネクタ90が嵌合されると、コネクタ10に保持される端子金具と接続される。
以下、図1〜図4,図7を参照して、コネクタ10と相手コネクタ90を嵌合する手順を説明する。なお、ここでの説明は、電線が右向きに引き出される正規の向きで電線カバー40がハウジング20に組み付けられているものとする。
始めに、電線カバー40は、図7(a),(b)に示すように、ハウジング20に組み付けられるまでは、レバー70が嵌合完了の位置に置かれており、ロック43bに係止されている。この嵌合完了の位置が、本発明における「電線カバーがハウジングに組み付けられる位置」に該当する。このときまでスライダ50がスライダ受容溝25の内部に引き込まれている。図7(b)に示すように、電線カバー40を図7(b)に示すようにハウジング20に組み付けたならば、レバー70を図中の時計回りに押すことで、図1および図4(a)に示す嵌合開始の位置まで回転させる。
はじめに、コネクタ10は、レバー70が嵌合開始の位置に装着された電線カバー40をハウジング20に誤組み付けしようとしても、干渉構造76と干渉構造27が互いに干渉して、電線カバー40が傾いたままでそれ以上押し込むことができない。したがって、作業者は誤組み付けしようとしていることを容易に検知することができる。
本実施形態のレバー式のコネクタ10は、干渉構造76と干渉構造27からなる干渉構造がレバー70とハウジング20の間に設けられている。したがって、図4(a),(b)と図6(a)を比較すれば判るように、電線カバー40の向きを反転させてハウジング20に組み付けても、干渉構造に阻害されることなく、レバー70のハウジング20に対する嵌合開始の相対的な位置を反転の前と同じにして、嵌合のための回転動作を行うことができる。よって、コネクタ10は、電線を引き出す向きに制約を受けることなく、電線カバーの誤組み付けを防止できる。
仮に、レバー70と電線カバー40の間に干渉構造を設けたとすると、電線カバー40を反転させてハウジング20に組み付けると、干渉構造が、レバー70の嵌合のための回転動作を阻害してしまう。
本実施形態は、スライダ50を用いて相手コネクタ90との嵌合を実現するコネクタ10について説明したが、レバーにカムの機能を持たせて相手コネクタと嵌合する形式のレバー式コネクタに適用することもできる。
また、ハウジング20とレバー70の干渉構造として、嵌合部21の上縁から上方に向けて突出するハウジング側干渉構造27と、レバー70の支持円板72の一部の径を選択的に拡大したレバー側干渉構造とした。しかし、ハウジング20とレバー70の間に設けられる干渉構造はこれに限定されない。例えば、支持円板72の表面から軸方向(幅方向)に突出する突起を設ける一方、この突起と干渉する突起を嵌合部21に設けることもできるなど、その目的を果たすことができる限り、干渉構造の形状及び設置位置は任意である。ただし、本実施形態の干渉構造は、コネクタ10の幅方向の範囲内に収まるので、小型化が要請されるコネクタ10の場合に有効である。
20 ハウジング
21 嵌合部
25 スライダ受容溝
26 噛合い室
27 ハウジング側干渉構造
40 電線カバー
40a 電線ガード
41 支持軸
42a,42b 回転規制突起
43a,43b ロック
44a,44b 突起
50 スライダ
51 カム溝
70 レバー
71 アーム
72 支持円板
73 連結梁
75 ギア
76 レバー側干渉構造
90 相手コネクタ
91 ハウジング
92 嵌合部
93 ボス
94 キャビティ
Claims (2)
- 嵌合開始の位置と嵌合完了の位置の間を回転可能にレバーが装着される電線カバーがハウジングに組み付けられるレバー式電気コネクタであって、
前記レバーと前記ハウジングの間に、
前記電線カバーが前記ハウジングに組み付けられる際の位置に前記レバーが置かれた前記電線カバーが、誤った向きで前記ハウジングに組み付けられるのを防止する干渉構造が設けられ、
前記レバーと前記ハウジングの間に設けられる前記干渉構造は、
前記レバーの回転軸回りの径が選択的に拡大されたレバー側構造と、
前記レバー側構造に対応する前記ハウジングの部位に設けられ、周囲よりも突出するハウジング側構造と、で構成され、
前記レバー側構造及び前記ハウジング側構造が外部に露出し、
前記レバーは、
前記電線の引き出しの向きに対応した向きで、前記電線カバーに装着され、
前記電線カバーは、
電線の引き出しの向きが特定されているとともに、前記ハウジングに、前記電線の引き出しの向きを反転させて組み付けることができ、
前記ハウジングに対する前記レバーの嵌合開始位置を、前記電線カバーが特定の前記電線の引き出しの向きの場合と、前記引き出しの向きを反転させた場合とで同じにしたことを特徴とするレバー式電気コネクタ。 - 前記電線カバーは、
特定の前記電線の前記引き出しの向きに前記ハウジングに組み付ける際に前記レバーの嵌合完了位置において前記レバーを係止する第1ロックと、
前記引き出しの向きに対して反転させて前記ハウジングに組み付ける際に前記レバーの嵌合完了位置において前記レバーを係止する第2ロックとを具備する請求項1に記載のレバー式電気コネクタ。
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