以下、本発明の実施の形態に係る室外環境情報解析システムを、室外環境情報解析機能を備える空気調和機1を例に、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態)
図1に、実施の形態に係る空気調和機1の構成を示す。空気調和機1は、通常の空調機能と共に、屋外(室外)の環境に関する情報と室内の環境に関する情報とを解析し、室外の環境の快適さの度合いを示す情報をユーザに報知する機能を備える。
空気調和機1は、室内機300と、室内機300と協働して空調機能を提供する室外機500と、空気調和機1の動作を制御するリモコン400を備える。空気調和機1は、さらに、室外の環境に関する情報を取得する室外情報取得装置10と、室内の環境に関する情報を取得する室内情報取得装置20とを備える。
以下、各部の構成を順に説明する。なお、以下の説明において、室外の環境に関する情報には、室外の温度、室外の湿度、室外の紫外線量の測定値(物理量)が含まれる。また、室外の温度、室外の湿度、室外の紫外線量の測定値をまとめて室外情報という場合がある。室内の環境に関する情報には、室内の温度、室内の湿度、室内の紫外線量の測定値(物理量)が含まれる。室内の温度、室内の湿度、室内の紫外線量の測定値をまとめて室内情報という場合がある。
まず、室外情報を取得する室外情報取得部として機能する室外情報取得装置10の構成を説明する。室外情報取得装置10は屋外に設置されている。室外情報取得装置10は、複数のセンサを含む室外測定部110と、無線通信のためのRF(Radio Frequency)モジュール120、現在時刻を計時するRTC(Real-Time Clock)130、プログラムとデータとを格納するメモリ140、プログラムを実行して室外情報取得装置10を制御するMPU(Micro Processor Unit)150、を備える。室外測定部110とRFモジュール120とRTC130とメモリ140とは、バスを介してMPU150に接続されている。室外情報取得装置10は、図示しない電力線を介して供給される電力又はバッテリを電源として動作する。
室外測定部110は、温度センサ111と湿度センサ112と紫外線センサ113とを含む。温度センサ111は、室外の気温(以下、室外温度という)を測定する。湿度センサ112は、室外の湿度(以下、室外湿度という)を測定する。紫外線センサ113は、室外の紫外線量を測定する。室外測定部110は、MPU150の制御に従って、温度センサ111、湿度センサ112、紫外線センサ113が測定した各測定値をMPU150に出力する。
RFモジュール120は、MPU150の制御に従って、無線通信可能な他の機器と無線通信を行う。例えば、RFモジュール120は、室外測定部110が取得した室外情報をリモコン400に無線で送信する。
RTC130は、室外情報取得装置10の電源とは異なる電源(電池等)により動作し、現在時刻を計時する。RTC130は、MPU150から現在時刻を要求されると、現在時刻をMPU150に通知する。
メモリ140は、フラッシュメモリ等から構成され、室外情報テーブル141を備える。図2に示すように、室外情報テーブル141には、測定値が取得された日時(年月日及び時刻)、室外情報(温度、湿度、紫外線量)が格納される。
図1に示すMPU150は、プロセッサ、ワークメモリ等を備え、メモリ140に格納されたプログラムを実行して、室外情報取得装置10を制御する。
MPU150は、定期的(例えば、毎時0分と30分)に、室外測定部110(温度センサ111、湿度センサ112、紫外線センサ113)に、室外温度、室外湿度、室外の紫外線量を測定させる。MPU150は、室外測定部110から測定値を取得し、RTC130により計時された現在時刻と対応づけて、メモリ140の室外情報テーブル141に格納する。また、MPU150は、定期的(例えば、毎時20分と50分)に、室外情報テーブル141に格納されている測定値のうち取得日時が最新の測定値を、RFモジュール120を介してリモコン400に送信する。
次に、室内情報取得装置20の構成を説明する。室内情報取得装置20は室内情報を取得し、取得した室内情報をリモコン400に送信する。すなわち、室内情報取得装置20は、室内機300とともに、室内情報取得部として機能する。
室内情報取得装置20は、室内に設置されている。室内情報取得装置20は、室内情報のうちの室内の紫外線量の測定値を取得する室内測定部210、無線通信のためのRFモジュール220、現在時刻を計時するRTC230、プログラムとデータを格納するメモリ240、プログラムを実行して室内情報取得装置20を制御するMPU250、を含む。室内測定部210とRFモジュール220とRTC230とメモリ240とは、バスを介してMPU250に接続されている。室内情報取得装置20は、図示しない電力線を介して供給される電力又はバッテリを電源として動作する。
室内測定部210は、紫外線センサ211を備え、紫外線センサ211により測定した室内の紫外線量の測定値をMPU250に出力する。RFモジュール220は、無線通信モジュールである。RTC230は、現在時刻を計時する。
メモリ240はフラッシュメモリ等から構成され、室内情報テーブル241を備える。図3に示すように、室内情報テーブル241には、紫外線量の測定値が取得された日時(年月日及び時刻)、紫外線量の測定値が対応づけて格納される。
図1に示すMPU250は、定期的(例えば、毎時0分と30分)に、室内測定部210(紫外線センサ211)に室内の紫外線量を測定させる。MPU250は、室内測定部210から測定値を取得し、RTC230により計時された現在時刻と対応づけて、室内情報テーブル241に格納する。また、MPU250は、定期的(例えば、毎時20分と50分)に、室内情報テーブル241に格納されている測定値のうち、取得日時が最新の測定値をRFモジュール220を介してリモコン400に送信する。
室内機300は、室内に設置されており、冷媒配管P1及び通信線C1を介して室外機500に接続されている。室内機300は、通常の空気調和機の室内機と同様にリモコン400からの操作指示に従い、室外機500と協働して空気調和に係る各種運転を行う。
室内機300は、空気調和の処理を行うため、室温等の室内環境情報を取得するためのセンサを備えており、本実施の形態では、室内機300は、各センサが取得した室内情報をリモコン400に送信する。すなわち、室内機300は、室内情報取得装置20とともに、室内情報を取得する室内情報取得部として機能する。
具体的に説明すると、室内機300は、室内温度と室内湿度とを測定する室内測定部310、RFモジュール320、RTC330、メモリ340、MPU350を備える。室内測定部310とRFモジュール320とRTC330とメモリ340とは、バスを介してMPU350に接続されている。室内機300は、電力線(図示せず)を介して供給された電力で動作する。
室内測定部310は、室内機300の空気吸込口の周辺に設置された、温度センサ311と湿度センサ312を有する。温度センサ311は、室内機300の吸込空気の温度を測定する。湿度センサ312は、室内機300の吸込空気の湿度を測定する。室内測定部310は、温度センサ311が測定した温度と湿度センサ312が測定した湿度とを、MPU350に出力する。
RFモジュール320は、室内測定部310が取得した室内温度と室内湿度の各測定値をリモコン400に送信する。RTC330は現在時刻を計時する。
メモリ340は、フラッシュメモリ等から構成され、室内温度と室内湿度の各測定値を格納するための室内情報テーブル341を備える。図4に示すように、室内情報テーブル341には、測定値が取得された日時(年月日及び時刻)、温度と湿度の各測定値が対応づけて格納される。室内情報テーブル341に格納されるデータは、室内測定部310が新たな測定値を取得するたび、上書きされる。
MPU350は、室内機300が運転している間、決められた時刻に(毎時0分と30分)、室内測定部310(温度センサ311、湿度センサ312)に室内温度、室内湿度を測定させる。MPU350は、取得した室内温度と室内湿度の各測定値をRTC330が計時した現在時刻と対応づけて、メモリ340の室内情報テーブル341に格納する。また、MPU350は、リモコン400から室内温度と室内湿度の各測定値を要求されると、室内情報テーブル341に格納されている測定値のうち取得日時が最新の測定値を、RFモジュール320を介してリモコン400に送信する。
リモコン400は室内機300に無線あるいは有線で接続されている。リモコン400は、従来の空気調和機のリモコンと同様に、ユーザの操作指示を示す信号を室内機300に送信する。
さらに、リモコン400は、室外情報と室内情報とに基づいて、室外の快適さの度合い(外出推奨度)を特定する特定部、及び特定した外出推奨度を報知する報知部として機能する。具体的には、リモコン400は、室外情報と室内情報とを処理し、室外情報から室外環境の状態を、室内情報から室内環境の状態を特定する。リモコン400は、室内環境の状態との差に基づいて、室外の快適さの度合い(外出推奨度)を特定する。さらに、リモコン400は、特定した外出推奨度に関する情報として、外出推奨度に対応した外出に関するアドバイスをユーザに報知(提示)する。以下の説明において、上述の室外情報取得装置10、室内情報取得装置20、室内機300と同様の構成については、その詳細な説明を省略する。なお、以下、室外及び室内の環境に関する情報の解析、室外環境の快適性を示す情報の報知の処理に係る構成を中心に説明する。
リモコン400は、ユーザインターフェースである入力装置410、無線通信のためのRFモジュール420、現在時刻を計時するRTC430、各種プログラム・データを記憶するメモリ440、プログラムを実行してリモコン400を制御するMPU450、ユーザインターフェースである表示装置460、を備える。入力装置410とRFモジュール420とRTC430とメモリ440と表示装置460とは、バスを介してMPU450に接続されている。リモコン400は、電力線(図示せず)を介して供給された電力あるいは電池(図示せず)を電源として動作する。
入力装置410は、各種ボタンを含み、ボタン操作によるユーザの指示を示す情報信号をMPU450に出力する。図5にリモコン400の外観(正面)を示す。入力装置410は、空気調和機1の運転開始又は停止を指示するための運転入/切ボタン411、設定温度を調節するための温度ボタン415、設定湿度を調節するための湿度ボタン416、各種運転を切り替えるための冷房ボタン412、除湿ボタン413、暖房ボタン414を備える。さらに、リモコン400は、外出に関するアドバイスを要求するためのお知らせボタン417を備える。入力装置410は各種ボタンの代わりに、タッチパネルを備えてもよい。
RFモジュール420は、MPU450の制御に従って、室外情報取得装置10、室内情報取得装置20、室内機300とそれぞれ無線通信を行う。RTC430は、現在時刻を計時する。
メモリ440は、フラッシュメモリ等から構成され、室外情報テーブル441、室内情報テーブル442を備える。室外情報テーブル441には、室外情報取得装置10から供給された室外情報が格納される。図6Aに示すように、室外情報テーブル441の構成は、図2に示す室外情報取得装置10の室外情報テーブル141と同様である。室内情報テーブル442には、室内情報取得装置20及び室内機300から供給された室内情報が格納される。
図6Bに示すように、室内情報テーブル442には、室内情報の測定値が取得された日時(年月日及び時刻)、温度(室内温度)、湿度(室内湿度)、紫外線量の測定値が対応づけて格納される。リモコン400に新たな室外情報、室内情報が供給されるたび、室外情報テーブル441、室内情報テーブル442に格納される室外情報、室内情報は上書きされる。
さらに、メモリ440は、外出推奨度の算出のための数式の情報を格納した数式テーブル443、図6Cに示すような外出推奨度に対応したユーザへのアドバイスの情報を格納したアドバイステーブル444を格納する。
再び、図1を参照する。MPU450は、プロセッサ、ワークメモリ等を備え、メモリ440に格納されたプログラムを実行して、リモコン400を制御する。
MPU450は、室外情報取得装置10、室内情報取得装置20、室内機300から供給された室内情報と室外情報の測定値を室内情報テーブル442に格納する。また、MPU450は、決められたタイミングで(例えば、ユーザから外出に関するアドバイスの要求があったとき)、室内情報テーブル442に格納されている室内情報と室外情報の測定値を解析し、外出に関するアドバイスを表示装置460に表示させる。
表示装置460は、図5に示すように、2つの液晶画面461、462を備えMPU450の制御に従って、液晶画面461、462に各種情報を表示する。液晶画面461には、空気調和機1の運転に関する情報が表示される。図示する例では、液晶画面461に、現在時刻、温度(設定温度)、湿度(設定湿度)、外気温(室外温度)、外湿度(室外湿度)が表示されている。液晶画面462には、外出推奨に関するアドバイス等の付加的な情報が表示される。
再び図1を参照する。室外機500は、室外に設置されており、冷媒配管P1及び通信線C1を介して室内の室内機300に接続されている。室外機500は、室内機300と協働して、冷媒配管P1内の冷媒を循環させることで、冷房運転、暖房運転等の各種運転を行う。また、室外機500は、通信線C1を介して、室内機300と運転に関する制御信号等の送受信を行う。なお、本実施の形態において、室外機500は、室外及び室内の環境に関する情報の解析、室外環境の快適性を示す情報の報知に係る処理は行わない。
以下、リモコン400が、室外の快適さの度合いを示す外出推奨度を特定する具体的な手法を説明する。なお、室外及び室内の各測定値は最新の(取得日時が現在時刻に最も近い)測定値を使用する。
リモコン400は、まず、室外、室内それぞれについて、測定された温度と湿度から不快指数を算出する。不快指数とは、人間が生活するうえで不快を感じるような体感を,気温と湿度で表した指数である。温度(気温)をT(℃)、湿度をH(%)とすると、不快指数は以下のような式で表される。
不快指数=0.81×T+0.01×H×(0.99×T−14.3)+46.3
リモコン400は、室外及び室内のそれぞれの温度と湿度の測定値を使用して、上述の式から室外及び室内の不快指数を算出する。一般的に、人が快適さを感じるときの不快指数は65〜70であることが知られている。ここでは、その中間の値である67.5を人が最も快適さを感じる最適値とする。リモコン400は、室外及び室内の不快指数それぞれが最適値(67.5)からどれくらい離れているかを求める。具体的には、リモコン400は、以下の式に示すように、室外、室内それぞれの不快指数と最適値との差の絶対値を求める。
室外についての差D1=|67.5−室外の不快指数|
室内についての差D2=|67.5−室内の不快指数|
そして、室外環境と室内環境とを比較するため、リモコン400は、以下の式を使用して、差D1と差D2の差の絶対値である室外環境と室内環境の差分D3を求める。
差分D3=|室外についての差D1−室内についての差D2|
上述の室外環境と室内環境の差分D3は、室外環境と室内環境がどの程度かけ離れているかを示す値である。この差分D3の値が大きいほど、室内環境と室外環境の状態がかけ離れているといえる。すなわち、差分D3の値が大きいほど、空調されている室内の環境に比べ、室外の環境が快適でないといえる。
また、一般的に多量の紫外線を浴びることは人体に悪い影響を及ぼすことが知られている。ここでは、室外の紫外線量と室内の紫外線量とを比較し、その差が大きい場合に、室外における紫外線量が大きいため、室外の環境が快適でないものとする。リモコン400は、以下の式を使用して室外の紫外線量と室内の紫外線量の差分D4を求める。
紫外線量の差分D4=室外の紫外線量−室内の紫外線量
以上のように算出した、室外環境と室内環境の差分D3と、紫外線量の差分D4とを組み合わせた値から外出推奨度を求める。ここでは、室外環境と室内環境の差分D3と紫外線量の差分D4とを乗じた値の絶対値を、外出推奨度とする。リモコン400は、以下の式に示すように、室外環境と室内環境の差分D3と紫外線量の差分D4とを乗じ、外出推奨度を算出する。
外出推奨度S=|室外環境と室内環境の差分D3×紫外線量の差分D4|
さらに、リモコン400は、メモリ440のアドバイステーブル444を参照して、算出した外出推奨度Sに対応する段階と、アドバイスの情報とを取得する。リモコン400は、表示装置460を制御して、図5に示すリモコン400の液晶画面462に外出推奨度Sに対応する段階とアドバイスの情報とを表示させる。このように、リモコン400は、外出推奨度を特定し、特定した外出推奨度に基づいてアドバイスを提示する。
次に、上記構成を有する空気調和機1の動作を説明する。空気調和機1は、リモコン400からの指示に従って、室内機300と室外機500が協働して空気調和の動作を行う。一方で、空気調和機1は、室外情報取得装置10、室内情報取得装置20、室内機300、室外機500が協働して、室内情報と室外情報の解析及び外出に関するアドバイスの報知(提示)に係る動作を行う。
空気調和機1が行う室内情報と室外情報の解析及び外出に関するアドバイスの報知(提示)に係る動作は、室外情報と室内情報の取得に係る処理、室外情報と室内情報の記録に係る処理、室外情報と室内情報の解析に係る処理、から成る。
まず、室外情報と室内情報の取得に係る処理を説明する。
図7に、室外情報取得装置10が行う室外情報の取得処理のフローチャートを示す。図示するように、室外情報取得装置10に電源が投入されている間、MPU150は、メモリ140に格納されているプログラムを実行して、以下の室外情報取得処理を行う。
MPU150は、定期的にRTC130から現在時刻を取得し、室外情報を取得する予定時刻(毎時0分又は毎時30分)であるか否かを判別し(ステップS101)、なったと判別すると(ステップS101;Yes)、室外温度、室外湿度、室外の紫外線量を取得する(ステップS102)。具体的には、MPU150は、室外測定部110に、室外温度、室外湿度、室外の紫外線量の測定を指示する。室外測定部110は、温度センサ111により室外温度を、湿度センサ112により室外湿度を、紫外線センサ113により室外の紫外線量を測定する。室外測定部110は、室外温度、室外湿度、室外の紫外線量の各測定値をMPU150に出力する。MPU150は、室外測定部110から供給された各測定値を、RTC130から取得した現在時刻とともに、室外情報テーブル141に格納する(ステップS103)。MPU150は、再びS101の処理へ戻る。
一方、ステップS101で、MPU150は、室外情報を取得する予定時刻(毎時0分又は毎時30分)でないと判別すると(ステップS101;No)、室外情報をリモコン400に送信する予定時刻(毎時20分又は毎時50分)であるか否かを判別する(ステップS104)。MPU150は、予定時刻になったと判別すると(ステップS104;Yes)、室外情報テーブル141に格納されている室外情報の測定値のうち取得時刻が最新の測定値(室外温度、室外湿度、室外の紫外線量の測定値)を、RFモジュール120を介してリモコン400に送信する(ステップS105)。ステップS105の処理を実行した後、MPU150は、再びステップS101以降の処理を繰り返す。また、ステップS104で、室外情報の送信予定時刻ではないと判別した場合(ステップS104;No)、MPU150は、再びステップS101に戻る。以上が、室外情報取得装置10が行う室外情報の取得処理である。
図8に、室内情報取得装置20が行う室内情報(室内の紫外線量)の取得処理のフローチャートを示す。室内情報取得装置20に電源が投入されている間、室内情報取得装置20のMPU250は、メモリ240に格納されているプログラムを実行して、図8に示す室内情報の取得処理を行う。この取得処理は、図7に示す室外情報の取得処理とほぼ同様であるが、MPU250は、室内情報として室内の紫外線量のみ測定し、測定値を室内情報テーブル241に格納する(ステップS202、203)。さらに、MPU250は、ステップS205で、最新の室内の紫外線量の測定値をリモコン400に送信する。以上が、室内情報取得装置20が行う室内情報(室内の紫外線量)の取得処理である。
図9に、室内機300が行う室内情報(室内温度、室内湿度)の取得処理のフローチャートを示す。空気調和機1の運転中、室内機300のMPU350は、メモリ340に格納されているプログラムを実行して、図9に示す室内情報の取得処理を行う。この取得処理は、図7に示す室外情報の取得処理とほぼ同様であるが、MPU350は、室内情報の測定値を定期的にリモコン400に送信しない。MPU350は、ステップS304で、リモコン400から室内情報を要求する情報信号を受信したときに(ステップS304;Yes)、最新の室内温度と室内湿度の測定値をリモコン400に送信する(ステップS305)。一方、ステップS304で、リモコン400からの室内情報の要求がないと判別した場合(ステップS304;No)、MPU350は、再びステップS301の処理へ戻る。以上が、室内機300が行う室内情報(室内温度、室内湿度)の取得処理である。
次に、室外情報と室内情報の記録に係る処理を説明する。リモコン400は、室外情報取得装置10と室内情報取得装置20から受信した室内情報と室外情報をメモリ440に記録する。空気調和機1の運転中、リモコン400のMPU450は、決められた時間間隔で(例えば、10分間隔)、メモリ440に格納されているプログラムを実行して図10に示す処理を行う。MPU450は、室外情報取得装置10から、室外情報の測定値を受信したか否かを判別する(ステップS401)。MPU450は、室外情報の測定値を受信したと判別すると(ステップS401;Yes)、受信した室外情報の各測定値をRTC430から取得した現在時刻とともに、室外情報テーブル441に更新記録する(ステップS402)。一方、MPU450は、室外情報の測定値を受信していない判別すると(ステップS401;Nо)、ステップS403に進む。
MPU450は、室内情報取得装置20から、室内情報(室内の紫外線量)の測定値を受信したか否かを判別する(ステップS403)。MPU450は、室内の紫外線量の測定値を受信したと判別すると(ステップS403;Yes)、室内機300に、室内温度と室内湿度の測定値を要求する情報信号を、RFモジュール420を介して送信する(ステップS404)。一方、MPU450は、ステップS403で、室内情報取得装置20から室内の紫外線量の測定値を受信していないと判別すると(ステップS403;Nо)、室外情報と室内情報の記録処理を終了する。
MPU450は、室内機300から室内温度、室内湿度の各測定値を受信すると(ステップS405;Yes)、室内機300から受信した測定値とステップS302で室内情報取得装置20から受信した測定値とを、現在時刻とともに、室内情報テーブル442に更新記録する(ステップS406)。その後、MPU450は、室外情報と室内情報の記録処理を終了する。一方、MPU450は、ステップS405で、室内機300から決められた期間に測定値を受信しなかった場合(ステップS405;Nо)、室外情報と室内情報の記録処理を終了する。このようにして、リモコン400の室外情報テーブル441と室内情報テーブル442には、定期的に最新の室外情報と室内情報の測定値が記録される。
次に、室外情報と室内情報の解析に係る処理を説明する。リモコン400は、室外情報及び室内情報を解析し、外出算出度を特定する。図11にリモコン400の室外情報解析処理のフローチャートを示す。
ユーザは、空気調和機1に外出に関するアドバイスを要求するため、空気調和機1の運転中、図5に示すリモコン400のお知らせボタン417を押下する。リモコン400のMPU450は、お知らせボタン417が押下されたと判別すると、メモリ440に格納されているプログラムを実行して、図11に示す処理を行う。なお、このとき、室外情報取得装置10、室内情報取得装置20、室内機300は、図7〜9に示す室外情報、室内情報の取得処理を決められたタイミングで実行している。また、リモコン400は、室内情報と室外情報の記録処理を決められたタイミングで実行しており、リモコン400の室外情報テーブル441、室内情報テーブル442には、最新の室外情報及び室内情報の測定値が格納されている。
MPU450は、室外情報テーブル441から読み出した室外温度と室外湿度の測定値から室外における不快指数を求め、室外における不快指数と最適値(67.5)の差の絶対値である差分D1を求める(ステップS501)。続いて、MPU450は、室内情報テーブル442から読み出した室内温度と室内湿度の測定値から、室内における不快指数を求め、室内における不快指数と最適値(67.5)の差の絶対値である差分D2を求める(ステップS502)。次に、MPU450は、室外環境と室内環境の差分D3として、ステップS501で求めた差分D1とステップS502で求めた差分D2の差の絶対値を求める(ステップS503)。続いて、MPU450は、室外情報テーブル441、室内情報テーブル442から読み出した室外と室内の紫外線量の測定値の差分D4を求める(ステップS504)。
次に、MPU450は、ステップS503で求めた差分D3とステップS504で求めた差分D4とを乗じた値を外出推奨度として求める(ステップS505)。MPU450は、求めた外出推奨度に関する情報(外出推奨度に対応する段階とアドバイス)を図6Cに示すアドバイステーブル444から取得する。MPU450は、外出推奨度に関する情報を図5に示すようにリモコン400の液晶画面462に表示する(ステップS506)。その後、MPU450は、室外情報解析処理を終了する。以上が、リモコン400の室外情報及び室内情報の解析及び外出推奨度の特定に係る処理である。
上述したように、空気調和機1は、室外及び室内の環境に関する物理量である室外情報及び室内情報から外出推奨度を特定し、外出に関するアドバイス等の情報をリモコン400の液晶画面462に表示する。よって、室内にいるユーザは、室内にいながらにして、室内環境と比較して室外環境がどの程度快適あるいは不快であるかを知ることができる。よって、ユーザは、室外環境を考慮した行動を取ることができる。例えば、ユーザは、外出推奨に関するアドバイスを考慮して予定(例えば、庭の花壇の手入れをする予定)を先延ばしにすることが可能となる。
その他、この発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
上述の実施の形態では、外出推奨度の報知の一態様として、外出推奨度に関する情報をリモコン400の液晶画面462に表示する例を説明した。しかし、外出推奨度の報知の態様は視認可能な態様に限られない。例えば、リモコン400にスピーカを備え、外出推奨度に関する情報をスピーカから音声により報知してもよい。また、リモコン400は、他のコンピュータ、携帯端末等に無線/有線通信により外出推奨度に関する情報を送信してもよい。この場合、リモコン400から外出推奨度に関する情報を受信した他のコンピュータ、携帯端末等が、自機のディスプレイ、スピーカ等を介して外出推奨度に関する情報を報知する。
また、室外情報取得装置10は屋外に設置しなくてもよい。室外情報取得装置10を室内に設置し、室外に設置された室外情報取得装置10とは別個の装置に室外測定部110を設けてもよい。この場合、屋外の別個の装置に設けられた室外測定部110は、取得した室外情報の測定値を、室内の室外情報取得装置10に無線あるいは有線通信により送信する。例えば、HEMS(Home Energy Management System)コントローラを室外情報取得装置10(室外測定部110を除いた)として機能させ、屋外に設置された各種センサが室外測定部110として機能させるようにしてもよい。
あるいは、室外測定部110に含まれる各センサを室外機500に設けてもよい。なお、室外機500に、室外測定部110を設ける場合、室外機500の熱交換の排熱などによる影響を受けない場所に設置する必要がある。
また、温度センサ111、湿度センサ112、紫外線センサ113は、必ずしも同一箇所に設置される必要はない。温度センサ111、湿度センサ112、紫外線センサ113はそれぞれ正確な測定値を取得できるよう、離れた場所に設置されてもよい。また、室外測定部110は、複数の場所に設置された複数の温度センサ111、湿度センサ112、紫外線センサ113を備え、室外情報取得装置10は、複数の温度センサ111、湿度センサ112、紫外線センサ113により測定された測定値の平均値をリモコン400に送信するようにしてもよい。
上述の実施の形態においては、リモコン400と、室外情報取得装置10と室内情報取装置20と室内機300(以下、情報取得装置)とは、無線通信により情報信号の送受信を行ったが、リモコン400と他の装置とは有線通信を行ってもよい。また、リモコン400と、他の装置との通信経路上には、無線通信と有線通信とが混在してもよい。例えば、室外情報取得装置10が送信するデータは、無線LANルータと有線LAN回線を介してリモコン400に送信されてもよい。
上述の実施の形態においては、リモコン400の室外情報テーブル441と室内情報テーブル442には、リモコン400が室外情報テーブル441と室内情報テーブル442に測定値を格納するときに、RTC430により掲示された現在時刻が記録されている。あるいは、情報取得装置は、リモコン400に、測定値と併せて、その測定値を各センサから取得した時刻(図2、図3、図4に示す取得時刻)の情報を送信し、リモコン400は、情報取得装置から受信した時刻の情報を室外情報テーブル441と室内情報テーブル442に格納してもよい。
また、空気調和機1は、ある一定の範囲内(例えば、同一の建物内)に設置されている複数の室内機300を含んでいてもよい。このとき、空気調和機1は、室内機300の台数と同数の室外機500を含んでいてもよい。あるいは、空気調和機1は、複数の室内機300に対して、室内機300の台数より少ない室外機500を含んでいてもよい。室外情報取得装置10及び室内情報取得装置20は、室外情報及び室内情報の測定値を、各室内機300に備えられたリモコン400それぞれに送信する。各リモコン400は、室外情報取得装置10及び室内情報取得装置20から供給された室外情報及び室内情報と、対応する室内機300から供給された室内情報(室内温度と室内湿度)とを解析し、外出推奨度を算出することができる。また、空気調和機1は、複数の室内機300を集中制御するリモコン400を1個だけ備えていてもよい。この場合、1個のリモコン400が、室外情報取得装置10及び室内情報取得装置20から供給された室外情報及び室内情報と、各室内機300から供給された室内情報とを解析し、外出推奨度を算出する。
また、上述の実施の形態においては、リモコン400が外出推奨度を算出したが、例えば、室内機300、あるいは室外情報取得装置10が、室内情報と室外情報とを解析し、外出推奨度を算出してもよい。この場合、室外情報、室内情報を測定する装置(室外情報取得装置10、室内情報取得装置20、室内機300)は、室内機300、あるいは室外情報取得装置10に測定したデータを送信する。
また、上述の実施の形態においては、室内情報、室外情報は、温度(気温)、湿度、紫外線量の情報を含んでいた。あるいは、室外情報取得装置10の室外測定部110は、さらに風速センサを備え、室外の風速を測定してもよい。リモコン400は、室外測定部110が取得した風速の計測値が決められた閾値より大きい場合、算出した室外における不快指数を決められた値だけ加減してもよい。例えば、夏の場合、室外における不快指数を決められた値だけ小さくし(つまり、不快指数を快い値に近づける)、冬の場合、室外における不快指数を大きくし(つまり、不快指数を快い値に近づける)てもよい。リモコン400は、風速を加味した不快指数から、外出推奨度を求める。
上述の実施の形態においては、室外における不快指数と室内における不快指数の差と、室内における紫外線量と室外における紫外線量との差から外出推奨度を算出したが、外出推奨度を求める方法はこれに限られない。不快指数は、温度と湿度の相関から「蒸し暑さ」を計数化したものなので、季節により、異なる方法で外出推奨度を求めてもよい。例えば、冬は、室外温度、室外湿度、室外の風速を使用して、体感温度を求め、体感温度と紫外線量とから外出推奨度を算出してもよい。なお、体感温度の算出方法としては、従来のミスナールの計算式、リンケの計算式等を使用してもよい。
あるいは、外出推奨度は次のように特定してもよい。室外情報と室内情報から外出指数を求め、あらかじめ定義されている外出指数と外出推奨度の対応表を参照して、求めた外出指数に対応する外出推奨度を求めてもよい。
外出指数は、例えば、下記の式に示すように、室外と室内の温度、湿度、紫外線量の差分をそれぞれ2乗したものの平方根をとって求めてもよい。
外出指数I=((室外温度−室内温度)2+(室外湿度−室内湿度)2+(室外の紫外線量−室内の紫外線量)2)1/2
また、あらかじめ、メモリ440に、外出指数と外出を推奨する段階、アドバイスの対応づけを定義した外出指数テーブルを用意しておき、外出指数テーブルを参照して、求めた外出指数に対応する、段階、アドバイスなどを提示することができる。
室外情報取得装置10の室外測定部110は、さらに、雨滴センサを含み、室外で雨が降っているか否かを検出してもよい。リモコン400は、室外測定部110により、室外で雨が降っていることが検出された場合、外出を勧めない値に近づけるよう上述の方法により算出した外出推奨度の値を変更してもよい。
さらに、室外情報取得装置10の室外測定部110は、大気汚染物質を検出する機能を備えてもよい。例えば、室外測定部110は、光化学スモッグの原因となる光化学オキシダント(Photochemical Oxidant)、浮遊粒子状物質(Suspended Particulate Matter;SPM)、微少粒子物質(PM2.5)を検出する。リモコン400は、検出された大気汚染物質の量に応じて、外出を勧めない値に近づけるよう上述の方法により算出した外出推奨度の値を変更する。
また、冬であれば、室外と室内の紫外線の差が小さい場合もあることから、例えば、夏と冬で、外出推奨度の算出方法を変えてもよい。例えば、冬は、不快指数のみを考慮して、外出推奨度を算出するようにしてもよい。
さらに、図6Cに示すアドバイステーブル444は通年で同じテーブルを使用するのではなく、例えば、季節毎、あるいは月毎に用意されたアドバイステーブル444を使用するようにしてもよい。このようにすることで、季節等に応じた適切なアドバイスをユーザに提案することができる。
また、リモコン400のメモリ440に、ユーザの年齢に応じた複数のアドバイステーブル444と、室内機300が設置されている部屋の主な居住者の年齢とを格納しておいてもよい。ユーザが乳幼児あるいは高齢者に該当する場合、夏場の高温多湿な室外環境が健康に及ぼす影響が大きい。このため、算出された外出推奨度Sの値がそこまで大きくない場合でも外出を控えるようなアドバイスができるように、幼児と高齢者向けのアドバイステーブル444と、通常のアドバイステーブル444を用意しておく。
また、上述の実施の形態では、リモコン400は、ある時点(現在時刻から最も近い前回の計測時刻)の室外情報と室内情報の測定値から外出推奨度を特定した。さらに、リモコン400は、決められた期間内の室外情報と室内情報の測定値から特定あるいは想定される情報を報知してもよい。例えば、リモコン400は、現在時刻より3時間前までに測定された室外情報の測定値から、将来の室外環境の変化(今度、さらに室外の温度が上昇する等)を予測して、予測内容をユーザに報知することが可能である。
また、上述の実施の形態では、リモコン400が解析する室外情報及び室内情報を、室外及び室内の温度、湿度、紫外線量の測定値としたが、リモコン400が解析する室外情報及び室内情報は実際に測定された測定値でなくてもよい。例えば、ある期間内に測定された室外の温度、湿度、紫外線量等の測定値から作成された統計データを室外情報としてもよい。室内情報については、ユーザにより設定された室内温度、室内湿度の設定値を室内情報としてもよい。この場合、リモコン400は、あらかじめメモリ等に格納された室外情報の統計データ、室内温度と室内湿度の設定値を解析対象とする。
以下の説明において、室外の環境に関する情報(物理量)には、室外の温度、室外の湿度、室外の紫外線量の測定値が含まれる。室外の温度、室外の湿度、室外の紫外線量の測定値をまとめて室外情報という場合がある。室内の環境に関する情報(物理量)には、室内の空気の温度、室内の空気の湿度、室内の紫外線量の測定値が含まれる。室内の空気の温度、室内の空気の湿度、室内の紫外線量の測定値をまとめて室内情報という場合がある。
上述の実施の形態では、室外の快適さの度合い(外出推奨度)が、図6Cに示すように、複数の値を含むものとして説明したが、本発明においては、外出推奨度は、2つの値だけを含むものであってもよい。例えば、リモコン400は、上述の外出推奨度の式で求めた外出推奨度Sの値が、決められた閾値を超えるか否かに応じて、外出推奨度Sの値を2値化し、2値に対応する「室外に外出可能である」/「外出は不可能である」のいずれかのアドバイスを提案してもよい。
上述の実施形態においては、本発明の室外環境情報解析システムを室外環境情報解析機能を備える空気調和機を例に説明したが、本発明の実施の形態はこれに限られない。本発明に係る室外環境情報解析システムは、上述したような室外環境情報解析機能を備える他の電気機器によっても実現可能である。他の電気機器の例としては、TVドアホン、インターホン、給湯器等の室外機と室内機を備えた電気機器が望ましい。
また、本発明に係る室外環境情報解析システムは、室外環境情報解析機能を備える特定の電気機器によらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、ネットワークに接続されているコンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、コンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体(CD−ROM、MO等)に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する室外環境情報解析システムを構成してもよい。
また、コンピュータにプログラムを提供する方法は任意である。例えば、プログラムは、通信回線の掲示板(BBS)にアップロードされ、通信回線を介してコンピュータに配信されてもよい。また、プログラムは、プログラムを表す信号により搬送波を変調した変調波により伝送され、この変調波を受信した装置が変調波を復調してプログラムを復元するようにしてもよい。そして、コンピュータは、このプログラムを起動して、OSの制御のもと、他のアプリケーションと同様に実行する。これにより、コンピュータは、上述の処理を実行する室外環境情報解析システムとして機能する。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。