JP6380938B2 - サイクロトロン制御装置、サイクロトロン、サイクロトロン制御プログラムおよび放射性薬剤の製造方法 - Google Patents

サイクロトロン制御装置、サイクロトロン、サイクロトロン制御プログラムおよび放射性薬剤の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、サイクロトロン制御装置、サイクロトロン、サイクロトロン制御プログラムおよび放射性薬剤の製造方法に関する。
サイクロトロンは代表的な粒子加速器であり、磁場中で円運動している荷電粒子を高周波電場によって加速して高エネルギーの粒子ビームを生成する装置である。電子よりも質量が大きい荷電粒子を重荷電粒子といい、サイクロトロンで生成および照射される陽子線、重陽子線、α線などの粒子線は重荷電粒子のビーム(ヘビーイオンビーム)である。サイクロトロンは種々の目的に用いられているが、その一例として放射性薬剤の製造に用いられる放射性核種の生成が挙げられる。粒子ビームはターゲットに照射されて核反応を発生させる。このため、ターゲットの種類を選定することで所望の放射性核種が生成される。
特許文献1および2には従来のサイクロトロンが開示されている。特許文献1には、サイクロトロンにおいて高周波電場を生成する加速電極(ディー電極)で2種の負イオンを同時に加速して重荷電粒子ビームとし、異なるビーム取出部からそれぞれ取り出すことが記載されている。特許文献2にも、サイクロトロンにおいて複数のビーム取出部を設けて放射線治療用の重荷電粒子ビームと放射性同位体の製造用の重荷電粒子ビームを同時に取り出すことが記載されている。
サイクロトロンは、ビームを構成する粒子の電荷の正負によって分類すると、正イオン加速型と負イオン加速型とに大別される。正イオン加速型は、正の電荷を帯びた粒子ビームに静電デフレクタで電場を印加することにより軌道変更して加速器から取り出す方式である。負イオン加速型は、負の電荷を帯びた粒子ビームをストリッパフォイルと呼ばれる薄膜に衝突させて電子を剥ぎ取ることによって軌道変更して加速器から取り出す方式である。負イオン加速型は取り出し効率が高いことから現在主流となっている。
加速器に重荷電粒子を供給するイオン源には種々のものが提案されている。負イオン源としてはフィラメントやRFアンテナなどの金属線に通電して熱電子を放出させる体積生成型のものが広く知られている。具体的には、イオン源では水素ガスなどの原料ガス雰囲気中に配置されたフィラメントやRFアンテナ(以下、「フィラメント等」という場合がある)に電流を印加することにより放出される熱電子にアーク電圧を印加してソースプラズマを生成し、このソースプラズマに高電圧を印加して負イオンのビームを取り出す。
特開平5−144597号公報 特開2010−287419号公報
イオン源にアーク電圧を印加して生成される重荷電粒子のビームをアーク電流といい、このビームの量をアーク電流値と呼称する。アーク電流値を上昇させることでより多くの重荷電粒子のビームがビーム取出部で取り出されてターゲットに向けて照射される。ビーム取出部は、上述したように正イオン加速型の場合は静電デフレクタであり、負イオン加速型の場合はストリッパフォイルである。ビーム取出部で軌道変更されて加速器から取り出される重荷電粒子ビームの量をビーム電流といい、このビームの量をビーム電流値と呼称する。負イオン加速型の場合、ストリッパフォイルで重荷電粒子から剥ぎ取られた電子の量がビーム電流に対応する。そして、ターゲットに実際に照射されるビームの量をターゲット電流といい、このビームの量をターゲット電流値と呼称する。
アーク電流値を上昇させることで、重荷電粒子ビームの量が増大するため、ビーム電流値およびターゲット電流値も上昇する傾向にある。しかしながら、ビーム取出部で取り出されたビームの全量がターゲットに照射されるわけではなく、ビーム電流とターゲット電流との間には様々な要因により差異が生じる。その要因の一つは、ビーム取出部とターゲットとの間に配置されて重荷電粒子ビームが通過するコリメータにおける損失(以下、「コリメータ損失」と呼称する場合がある)である。このほか、ストリッパフォイルに衝突するなどして軌道変更された重荷電粒子ビームはコリメータによるコリメーションを受けてもその100%がターゲットに照射されるわけではなく、ターゲット以外の各所に照射されて損失(以下、「外部損失」と呼称する場合がある)となる。
従来のサイクロトロンの制御においては、ターゲットにビーム照射を開始して以降、ターゲット電流値が目標の設定電流値となるまで、アーク電流値を無条件で上昇させることが行われていた。この設定電流値は、ターゲットで所望の核反応を発生させるのに必要な電流値であり、照射前に予め設定しておく。
しかしながら、ストリッパフォイルなどのビーム取出部の微妙な設定および損耗状態やイオン源および加速器の各種の条件設定によっては、コリメータに多量のビームが照射されたりサイクロトロン内のある部位に多量のビームが照射されて外部損失が大きくなったりする場合がある。この場合、コリメータ損失や外部損失が大きくなることで、所望のターゲット電流値を得るにはアーク電流値を過剰に上昇させる必要があり、サイクロトロンの損傷や過負荷が助長されるという問題がある。
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、目的とする照射ポイントと異なるポイントに高電流のビームが照射されることを防いで、サイクロトンの故障を低減するものである。
本発明によれば、イオン源から供給される重荷電粒子を磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、を備えるサイクロトロンのための制御装置であって、前記イオン源から前記加速器に供給される前記重荷電粒子の供給量を、第一設定量に至るまで増大させ、更に前記第一設定量よりも多い第二設定量に至るまで増大させる制御を行う供給制御手段と、前記ビーム取出部で軌道変更される前記重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された前記重荷電粒子ビームが前記ターゲットに衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示す指標値を、少なくとも前記供給量が前記第一設定量に至った時点で取得する出力モニタ手段と、前記出力モニタ手段が取得した前記指標値を第一閾値と比較して前記乖離度合いを判定する照射状態判定手段と、を備え、前記供給制御手段が、前記照射状態判定手段により前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、前記供給量の増大を抑制することを特徴とするサイクロトロン制御装置が提供される。
また、本発明によれば、イオン源と、前記イオン源から供給される重荷電粒子を磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、上記のサイクロトロン制御装置と、を備えるサイクロトロンが提供される。
また、本発明によれば、イオン源から供給される重荷電粒子を磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、を備えるサイクロトロンを制御するためのプログラムであって、前記プログラムが、前記イオン源から前記加速器に供給される前記重荷電粒子の供給量を第一設定量に至るまで増大させる第一供給処理と、前記ビーム取出部で軌道変更される前記重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された前記重荷電粒子ビームが前記ターゲットに衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示す指標値を少なくとも前記供給量が前記第一設定量に至った時点で取得し、取得された前記指標値を第一閾値と比較することにより前記乖離度合いを判定する判定処理と、前記判定処理で前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、前記供給量の増大を抑制し、前記判定処理で前記乖離度合いが所定未満であると判定された場合に、前記供給量を、前記第一設定量よりも多い第二設定量に至るまで増大させる第二供給処理を前記サイクロトロンに実行させることを特徴とするサイクロトロン制御プログラムが提供される。
また、本発明によれば、イオン源から供給される重荷電粒子を磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、を備えるサイクロトロンを用いて放射性薬剤を製造する方法であって、前記イオン源から前記加速器に供給される前記重荷電粒子の供給量を第一設定量に至るまで増大させる第一供給ステップと、前記ビーム取出部で軌道変更される前記重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された前記重荷電粒子ビームが前記ターゲットに衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示す指標値を少なくとも前記供給量が前記第一設定量に至った時点で取得し、取得された前記指標値を第一閾値と比較することにより前記乖離度合いを判定する判定ステップと、を含み、前記判定ステップで前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、前記供給量の増大を抑制し、前記判定ステップで前記乖離度合いが所定未満であると判定された場合に、前記供給量を、前記第一設定量よりも多い第二設定量に至るまで増大させる第二供給ステップを行うことを特徴とする放射性薬剤の製造方法が提供される。
本発明によれば、重荷電粒子の供給量がまだ少ない第一設定量であるときにビーム電流値とターゲット電流値との乖離度合いを判定し、この乖離度合いが所定以上であると判定された場合には重荷電粒子の供給量の増大を抑制する。このため、ビーム電流値とターゲット電流値との乖離度合いが大きくコリメータ損失または外部損失が大きい状態になっていることを、アーク電流値を過剰に上昇させてしまう前に検知してサイクロトロンの損傷や過負荷を防止し、故障を低減することができる。
本発明の実施形態のサイクロトロンの構造を模式的に示す平面図である。 サイクロトロンの機能ブロック図である。 サイクロトロン制御装置の表示画面の一例を示す図である。 サイクロトロン制御装置における処理を示すフローチャートである。 重荷電粒子の供給量の時間変化を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。図1は本実施形態のサイクロトロン100の構造を模式的に示す平面図である。図2は本実施形態のサイクロトロン100の機能ブロック図である。
はじめに、サイクロトロン100の概要について説明する。サイクロトロン100は、イオン源20と、このイオン源20から供給される重荷電粒子Pを磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームPBとする加速器30と、重荷電粒子ビームPBを軌道変更して加速器30から取り出してターゲット34に向けて出射するビーム取出部40と、本実施形態のサイクロトロン制御装置10と、を備えている。
サイクロトロン制御装置10は、サイクロトロン100のための制御装置である。本実施形態のサイクロトロン制御装置10は、供給制御部12、出力モニタ部14および照射状態判定部16を備えている。
供給制御部12は、イオン源20から加速器30に供給される重荷電粒子Pの供給量を増減調整する制御手段である。供給制御部12は、重荷電粒子Pの供給量を、ごく少量の初期量AC0から第一設定量AC1に至るまで増大させ、更にこの第一設定量AC1よりも多い第二設定量AC2に至るまで増大させる制御を行う。
出力モニタ部14は、後述するトランスミッション値TRなどに例示される指標値を測定または演算により取得する手段である。指標値は、ビーム取出部40で軌道変更される重荷電粒子ビームPBの量を示すビーム電流値EPRと、出射された重荷電粒子ビームPBがターゲット34に衝突して発生するターゲット電流値TGと、の乖離度合いを示すパラメータであり、詳細には後述する。以下、単に「乖離度合い」と表記する場合は、ビーム電流値EPRとターゲット電流値TGとが乖離している度合いを表す。出力モニタ部14は、少なくとも重荷電粒子ビームPBの供給量が第一設定量AC1に至った時点で指標値を取得する。
照射状態判定部16は、出力モニタ部14が取得した指標値を第一閾値と比較して上記の乖離度合いを判定する手段である。
本実施形態のサイクロトロン制御装置10においては、供給制御部12が、照射状態判定部16により乖離度合いが所定以上であると上記のように判定された場合に、重荷電粒子Pの供給量の増大を抑制することを特徴とする。
次に、本実施形態のサイクロトロン制御装置10およびサイクロトロン100について詳細に説明する。
サイクロトロン100は、加速器30で加速された高速で高エネルギーの重荷電粒子ビームPBを、ビーム管32の内部に配置されたターゲット34に照射し、核反応を発生させて放射性同位体を生成する装置である。サイクロトロン100は全体が鉛などの金属材料で作成されて放射性を遮蔽するシールド(図示せず)の内部に配置されていてもよい。図1では、加速器30に2個のビーム取出部40が設けられ、2式のビーム管32に対して重荷電粒子ビームPBを取出可能である。ビーム管32の長さや形状は特に限定されず、図1では中間部を図示省略している。
本実施形態では陰イオン加速型のサイクロトロン100を例示する。陰イオン加速型のサイクロトロン100は放射性同位体の大量生産に適している。加速器30で加速される重荷電粒子Pは電子よりも重い荷電粒子であり、たとえば陽子や重陽子である。本実施形態では重荷電粒子Pとして負水素イオン(H)を例示する。重荷電粒子Pは加速器30で周回運動しながら加速されて重荷電粒子ビームPB(図1にて二点鎖線で示す)となる。
陰イオン加速型のサイクロトロン100の特徴として、ビーム取出部40は、重荷電粒子ビームPBを衝突させて重荷電粒子Pから電子を捕捉するストリッパフォイル42を備えている。ストリッパフォイル42は炭素製の薄膜などで構成されている。
加速器30で加速された負水素イオン(H)を、ストリッパフォイル42を通過させることで負水素イオンから電子が剥ぎ取られて瞬時に陽イオン(H)に変換される。このため、重荷電粒子ビームPBに負荷されるローレンツ力の向きが瞬時に反転して、重荷電粒子ビームPBは加速器30の磁場から外向きの力を受けて軌道変更され、ビーム管32に取り出される。
ビーム電流値EPRは、ストリッパフォイル42で捕捉される電子の量を示している。
ただし、本実施形態に代えてサイクロトロン100は陽イオン加速型でもよい。陽イオン加速型の場合、ビーム取出部40には一対の対向電極で構成される静電デフレクタを用いることができる。
加速器30は、メイン電磁石50および高周波電極52を備えている。メイン電磁石50および高周波電極52は、重荷電粒子ビームPBが周回運動する加速空間31を挟んでそれぞれ対向配置されている。高周波電極52はディー電極とも呼称される。図1では、便宜上、対向配置されたメイン電磁石50および高周波電極52のうち、加速空間31の上方に配置される側を図示省略している。加速空間31には真空ポンプが接続され、実質的に真空状態に保たれている。
メイン電磁石50は、磁極51、コイル56および直流電源58で構成されている。コイル56は磁極51の周囲に巻き付けられており、また直流電源58が接続されてマグネット電流IMが印加される。直流電源58にはサイクロトロン制御装置10が信号接続されている。
磁極51は、厚さが小さい谷領域51aと、この谷領域51aよりも厚さ大きい山領域51bとが各複数箇所、周回状に交互に繰り返して形成されている。谷領域51aは山領域51bよりも磁束密度が低い領域となる。これにより重荷電粒子ビームPBの収束が良好になる。図1では、便宜上、山領域51bにハッチングを付している。高周波電極52は、磁極51の谷領域51aに対応する位置に配置されている。メイン電磁石50にマグネット電流IMを印加することで一様な磁場環境が形成される。磁場の向きは図1における紙面前後方向である。サイクロトロン制御装置10は、メイン電磁石に印加するマグネット電流を制御するマグネット電流制御部(図示せず)の機能を有している。マグネット電流制御部は、ユーザーの操作に基づいて可変に設定された設定値に対応するマグネット電流を、直流電源58よりメイン電磁石50に印加させる。
高周波電極52には高周波電源54が接続されて高周波信号が供給される。高周波電源54の周波数は重荷電粒子ビームPBの回転周期と同期するように設定される。メイン電磁石50が形成する一様な磁場環境下で高周波電源54が周期的な電場を形成することで重荷電粒子Pは周回運動しながら連続して加速される。
加速された重荷電粒子ビームPBの回転半径は加速と共に大きくなる。重荷電粒子ビームPBが十分に加速されると重荷電粒子ビームPBの軌道は加速空間31の最外周となる。ビーム取出部40のストリッパフォイル42は加速空間31の最外周に配置されており、十分に加速された重荷電粒子ビームPBがストリッパフォイル42に衝突して上述のように重荷電粒子ビームPBの軌道は変更される。本実施形態では、一対のビーム管32に対応して、一対のビーム取出部40およびストリッパフォイル42が加速空間31の周囲に設けられている。
ビーム取出部40は、ストリッパフォイル42およびフォイル駆動部43を備えている。ストリッパフォイル42はフォイル駆動部43の先端に突出して取り付けられ、加速器30の加速空間31に対して内向きかつ水平方向に突き出すように配置されている。フォイル駆動部43はストリッパフォイル42の向きおよび突出長さを調整する。ビーム取出部40は、ストリッパフォイル42で重荷電粒子ビームPBから剥ぎ取られた電子の量をビーム電流値EPRとして検出するプローブである。ビーム取出部40はサイクロトロン制御装置10と信号接続されており、検出したビーム電流値EPRをサイクロトロン制御装置10に送信し、またサイクロトロン制御装置10からの制御信号に基づいてフォイル駆動部43はストリッパフォイル42を駆動する。
図1には、外部イオン供給型のサイクロトロン100を図示している。外部イオン供給型のサイクロトロン100では、イオン源20が加速器30の外部に配置されている。イオン源20の具体的な構造や配置は特に限定されず、加速器30の内部にイオン源20が配置された内部イオン供給型としてもよい。本実施形態のイオン源20はフィラメント駆動型であり、空洞状のプラズマ生成部22と、このプラズマ生成部22の内部に露出するように配置されたフィラメント24とを備えている。このほか、高周波駆動型のイオン源20を用いる場合、フィラメント24に代えてRFアンテナをプラズマ生成部22に配置してもよい。プラズマ生成部22には水素ガスなどの原料ガスが供給される。原料ガス雰囲気下でフィラメント24に電流(フィラメント電流)を印加して熱電子を放出させ、この熱電子にアーク電圧を印加して加速して原料ガスに衝突させることでアーク放電が発生してプラズマが生成される。フィラメント24の通電により、プラズマ生成部22の内部は、たとえば3000℃程度まで加熱される。生成されたプラズマに引出電極25で高電圧を印加することで、水素イオン(H)などの負イオンの重荷電粒子Pのビーム(重荷電粒子ビームPB)がプラズマ生成部22から向けてイオン供給口26に引き出される。イオン供給口26は加速器30の加速空間31の内部に配置され、重荷電粒子Pがイオン供給口26を通じて加速空間31に放出されて加速される。プラズマ生成部22に配置されたフィラメント24に通電するフィラメント電流を増加することでフィラメント24から放出される熱電子の量は増加し、結果としてイオン供給口26に供給される重荷電粒子Pの量が増大する。
図2に示すように、イオン源20はサイクロトロン制御装置10の供給制御部12と信号接続されている。供給制御部12は、プラズマ生成部22に印加するフィラメント電流値を増減調整することにより、イオン源20から加速器30に供給される重荷電粒子ビームPBの量、すなわちアーク電流値を増減調整することができる。
イオン供給口26から加速空間31に供給された重荷電粒子ビームPBは、上記のようにメイン電磁石50が生成する静磁場および高周波電極52が生成する交番電界によって加速され、ストリッパフォイル42に衝突して加速空間31から取り出される。取り出された重荷電粒子ビームPBには、磁場の誤差や重荷電粒子ビームPB同士の電荷による反発、ストリッパフォイル42に衝突したことによる散乱などの影響により、所望のビーム幅を超えた粒子(ビームハローという)が発生する。ストリッパフォイル42からターゲット34に至る軌道中に配置されたコリメータ44は、このビームハローを低減する。コリメータ44は、ターゲット34に向かってビーム管32の軸心方向に進行する重荷電粒子ビームPBのビーム幅を絞る装置である。
本実施形態のコリメータ44はビーム管32の入り口の近傍に配置されている。コリメータ44の構造は特に限定されないが、本実施形態では多ステージのコリメーションシステムを用いることができる。本実施形態のコリメータ44は、たとえば、最上流に配置されるプローブコリメータ44a、バッファコリメータ44bおよびターゲット34に最も近い最下流に配置されるターゲットコリメータ44cの三ステージで構成されている。プローブコリメータ44aは偏向電磁石を備え、プローブコリメータ44aに当たった重荷電粒子ビームPBのビームハローはエネルギーが一部損失するとともに散乱を受けてある方向に振幅が増大する。散乱したビームハローは主としてバッファコリメータ44bで除去されて更にエネルギーが損失する。ターゲットコリメータ44cは四極電磁石を備え、ビームハローを更に削減して重荷電粒子ビームPBのビーム幅を絞り込む。ターゲットコリメータ44cを通過する際にも重荷電粒子ビームPBのエネルギーは一部損失する。
コリメータ44の各ステージはサイクロトロン制御装置10とそれぞれ信号接続されており、各ステージでのコリメータ損失の量を示す情報(コリメータ電流値)はサイクロトロン制御装置10に送信される。
コリメータ44を通過した重荷電粒子ビームPBはビーム管32に導入されてターゲット34に衝突する。ターゲット34は液体または気体の冷却溶媒により冷却されている。ターゲット34は固体でも液体でもよい。重荷電粒子ビームPBはターゲット34に衝突して核反応を発生させる。放射性核種としては、11C、13N、15O、18Fなどが例示される。ターゲット34に衝突した重荷電粒子ビームPBの量にあたるターゲット電流値TGはエレクトロメータ(図示せず)などを用いて測定される。エレクトロメータはサイクロトロン制御装置10と信号接続されており、測定したターゲット電流値TGをサイクロトロン制御装置10に送信する。
サイクロトロン制御装置10はサイクロトロン100の制御部であり、ビーム取出部40、コリメータ44およびターゲット34(エレクトロメータ)とそれぞれ信号接続されてビーム電流値EPR、コリメータ電流値およびターゲット電流値TGをそれぞれ取得する。
サイクロトロン制御装置10は、コンピュータプログラムを読み取って対応する処理動作を実行できるように、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/F(Interface)ユニット、等の汎用デバイスで構築されたハードウェアとして実施することができる。また、サイクロトロン制御装置10は、各種の情報を表示する出力装置である表示画面DPを備えている。
また、サイクロトロン制御装置10の機能としては、図2に示すように供給制御部12、出力モニタ部14および照射状態判定部16のほか、演算処理部や記憶部を備えている。
図3は、サイクロトロン制御装置10の表示画面DPの一例を示す図である。表示画面DPにはサイクロトロン100の状態を示す各種の情報が表示される。本実施形態の表示画面DPは、アーク電流表示部62、ビーム電流値表示部63、コリメータ電流値表示部64、ターゲット電流値表示部65およびトランスミッション値表示部66を備えている。
アーク電流表示部62は、イオン源20にフィラメント電圧およびアーク電圧を印加して生成される重荷電粒子ビームPBの量を示すアーク電流値を表示する。
ビーム電流値表示部63は、ビーム取出部40から送信されたビーム電流値EPRを表示する。本実施形態のサイクロトロン100は一対のビーム取出部40を備えており、各ビーム取出部40から送信されたビーム電流値EPRを、表示画面DPではEPR1およびEPR2として個別に表示する。
コリメータ電流値表示部64は、一対のビーム取出部40から取り出された重荷電粒子ビームPBがそれぞれ通過するコリメータ44で損失した電流値を表示する。コリメータ電流値表示部64は、プローブコリメータ44aでのコリメータ電流値を取得して表示するPCL1およびPCL2、バッファコリメータ44bでのコリメータ電流値を取得して表示するBF1およびBF2、ターゲットコリメータ44cでのコリメータ電流値を取得して表示するTCL1およびTCL2を含んで構成されている。
ターゲット電流値表示部65は、一対のビーム管32にそれぞれ入射した重荷電粒子ビームPBがターゲット34に衝突して発生するターゲット電流値TGを、TG1およびTG2として表示する。
トランスミッション値表示部66は、ビーム電流値EPRとターゲット電流値TGとの乖離度合いを示すパラメータである指標値を表示する。ビーム電流値EPRとターゲット電流値TGとの乖離度合いとしては、両者の相対的な比率もしくは差分、またはこれらと相関する数値を用いることができる。本実施形態の出力モニタ部14は、重荷電粒子ビームPBを照射している全工程、すなわち第一供給ステップST10、第二供給ステップST18および第三供給ステップST22(図4および図5参照)に亘って、指標値を経時的に算出してトランスミッション値表示部66に表示する。ただしかかる態様に代えて、出力モニタ部14はイオン源20からの重荷電粒子ビームPBの供給量が後述する第一設定量AC1に至った時点で少なくとも指標値を取得してトランスミッション値表示部66に表示すればよい。
かかる指標値としては種々のパラメータを選択することが可能であるが、本実施形態において出力モニタ部14が取得する指標値は、ビーム電流値EPRに対するターゲット電流値TGの比率(=ターゲット電流値TG/ビーム電流値EPR)を示すトランスミッション値TRである。トランスミッション値表示部66は、ターゲット電流値TG1,TG2およびビーム電流値EPR1,EPR2に基づいて個別に算出されるトランスミッション値TRをTR1およびTR2として表示する。
図3に示す例では、トランスミッション値TR1=87/113=0.77であり、トランスミッション値TR2=100/123=0.81である。
トランスミッション値TRは、ストリッパフォイル42に当たって取り出された重荷電粒子ビームPBのうちターゲット34に照射されたものの比率を示している。したがって、トランスミッション値TRが高い場合は重荷電粒子ビームPBが効率的にターゲット34に照射されていることになり、言い換えるとビームのロスが少ないことを意味する。ビームのロスの要因としては、コリメータ44の通過によりビームハローが除去されることに起因するコリメータ損失と、コリメータ44およびターゲット34以外の外部にビームが照射されることによりエネルギーを逸失する外部損失とが考えられる。そしてサイクロトロン制御装置10の供給制御部12は、指標値であるトランスミッション値TRが所定以下であり、すなわちターゲット電流値TGとビーム電流値EPRとの乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、イオン源20から加速器30に供給される重荷電粒子Pの供給量が過剰にならないように制御する。
指標値としてトランスミッション値TRを用い、これが所定以下である場合にサイクロトロン制御装置10の供給制御部12が重荷電粒子Pの量を抑制する。これにより、コリメータ44または外部にビームが集中的に照射されてサイクロトロン100が損傷したり、所望のターゲット電流値TGを得るために過剰なビーム電流値EPRを発生させてサイクロトロン100に過負荷を与えたりすることを回避できる。
出力モニタ部14は、一対のビーム取出部40およびターゲット34に対応してTR1およびTR2の二つのトランスミッション値TRを算出し、これをトランスミッション値表示部66に表示する。供給制御部12は、これらのTR1およびTR2のいずれか少なくとも一方が所定以下、すなわちTR1とTR2がそれぞれ表す乖離度合いのいずれか少なくとも一方が所定以上と判定された場合に、重荷電粒子Pの供給過剰を抑制する。
このほか指標値としては、ビーム電流値EPRからコリメータ電流値およびターゲット電流値TGを減算したビーム差分値を用いてもよい。この場合、指標値(ビーム差分値)が大きいほどビームのロスが大きいことを意味する。そしてサイクロトロン制御装置10の供給制御部12は、ビーム差分値が所定以上であり、すなわちターゲット電流値TGとビーム電流値EPRとの乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、イオン源20から加速器30に供給される重荷電粒子Pの供給量が過剰にならないように制御してもよい。これにより、外部損失が過大となってサイクロトロン100の内部の不特定の箇所に損傷が生じることを未然に防止でき、またサイクロトロン100の過負荷を回避することができる。
具体的には、指標値(ビーム差分値)=ビーム電流値EPR1−プローブコリメータ電流値PCL1−バッファコリメータ電流値BF1−ターゲットコリメータ電流値TCL1−ターゲット電流値TG1とすることができる。上式においてEPR1、PCL1、BF1、TCL1、TG1に代えて、EPR2、PCL2、BF2、TCL2、TG2を用いてもよい。
表示画面DPは、その他の表示部として、真空度表示部67、マグネット電流値表示部68および高周波電圧値表示部69を備えている。サイクロトロン制御装置10は、イオン供給口26や加速空間31の内部で測定された真空度を示す情報を取得して真空度表示部67で表示する。また、サイクロトロン制御装置10は、マグネット電流値表示部68は、メイン電磁石50に印加するマグネット電流の設定値を表示する。高周波電圧値表示部69は、高周波電源54から高周波電極52に印加される高周波電圧の値を表示する。かかる高周波電圧はユーザーの操作に基づいて可変に設定することができる。
図4はサイクロトロン制御装置10における処理を示すフローチャートである。図5は重荷電粒子Pの供給量の時間変化を示すグラフである。図5の縦軸はイオン源20から加速器30への重荷電粒子Pの単位時間当たりの供給量であり、横軸は供給開始からの経過時間を表す。以下、図1から図5を参照してサイクロトロン制御装置10の動作およびサイクロトロン制御装置10で実行されるプログラムについて説明する。
サイクロトロン制御装置10で実行されるプログラムは、すなわちサイクロトロン100を制御するためのプログラムである。サイクロトロン100は、上述したようにイオン源20から供給される重荷電粒子Pを磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームPBとする加速器30と、重荷電粒子ビームPBを軌道変更して加速器30から取り出してターゲット34に向けて出射するビーム取出部40と、を備えている。
サイクロトロン制御装置10のプログラムは、第一供給処理(第一供給ステップST10)と判定処理(判定ステップST16)と第二供給処理(第二供給ステップST18)をサイクロトロン100に実行させる。
第一供給処理(第一供給ステップST10)では、供給制御部12は、イオン源20から加速器30に供給される重荷電粒子Pの供給量を第一設定量AC1に至るまで増大させる。
判定処理(判定ステップST16)では、照射状態判定部16は、ビーム電流値EPRとターゲット電流値TGとの乖離度合いを示す指標値を、少なくとも重荷電粒子Pの供給量が第一設定量AC1に至った時点で取得し、そして取得された指標値を第一閾値と比較することにより乖離度合いを判定する。
第二供給処理(第二供給ステップST18)では、供給制御部12は、判定処理で乖離度合いが所定以上であると判定された場合(判定ステップST16:NO)には、重荷電粒子Pの供給量の増大を抑制し、また判定処理で乖離度合いが所定未満であると判定された場合(判定ステップST16:YES)には、重荷電粒子Pの供給量を、第一設定量AC1よりも多い第二設定量AC2に至るまで増大させる。
つぎに、サイクロトロン制御装置10における制御処理について詳細に説明する。
図5に示すように、供給制御部12はイオン源20から加速器30への重荷電粒子Pの供給量を、三段階で制御する。具体的には、供給制御部12は、重荷電粒子Pの供給量を第一設定量AC1に至るまで増大させる第一供給ステップST10と、第一供給ステップST10の後に実行されて供給量を第二設定量AC2に至るまで更に増大させる第二供給ステップST18と、第二供給ステップST18の後に実行されて供給量を第二設定量AC2にて維持する第三供給ステップST22と、を実行する。
第一供給ステップST10と第二供給ステップST18における増大速度(すなわち図5のグラフの傾き)は互いに等しくてもよく、または異なってもよい。また、図5では初期量AC0が非零の所定値として図示されているが、これに限られず、重荷電粒子Pの初期量AC0は実質的に零でもよい。
第一供給ステップST10では、イオン源20のフィラメント24に所定のフィラメント電流を印加し、プラズマ生成部22の内部で重荷電粒子Pを発生させてイオン供給口26から加速空間31に供給する。供給制御部12は、フィラメント24に印加するフィラメント電流を漸増させることで、重荷電粒子Pの供給量を初期量AC0から第一設定量AC1まで増大させる(ステップST11)。
出力モニタ部14は、十分に短い所定の時間間隔ごとにビーム電流値EPRおよびターゲット電流値TGをビーム取出部40およびターゲット34からそれぞれ取得し、トランスミッション値TR(指標値)を算出して取得する(ステップST12)。
供給制御部12は、重荷電粒子Pの単位時間あたりの供給量(すなわちアーク電流値)が第一設定量AC1未満である間(ステップST14:NO)、フィラメント電流値を漸増して第一供給ステップST10を継続する。
ステップST14において重荷電粒子Pの単位時間あたりの供給量を判定する処理は種々の態様を選択することができる。たとえば、アーク電流値の到達目標値である第一設定量AC1と、重荷電粒子ビームPBの照射開始からアーク電流値を第一設定量AC1に到達させるまでの到達時間とを予め設定しておき、この到達時間(たとえば40秒間)に亘ってフィラメント電流値を強制的に増大させてアーク電流値を第一設定量AC1まで増大させることができる。この場合、出力モニタ部14はステップST14においては照射開始からの経過時間を監視し、この経過時間が到達時間の設定値に到達したか否かを判定するとよい。
このほかイオン供給口26から加速空間31に供給される重荷電粒子Pの量を測定する手段を設け、この測定手段による測定値を出力モニタ部14は取得して重荷電粒子Pの供給量が第一設定量AC1に到達したことを判定してもよい。
イオン源20から加速器30に供給される重荷電粒子Pの量が第一設定量AC1に到達すると(ステップST14:YES)、第一供給ステップST10は終了する。照射状態判定部16は、出力モニタ部14が直近に算出したトランスミッション値TRを第一閾値と大小判定する(判定ステップST16)。これにより照射状態判定部16は、少なくとも第一供給ステップST10の終了時に乖離度合いを判定する。ここで第一供給ステップST10の終了時とは、重荷電粒子Pの供給量が第一設定量AC1に至った時点と同義であり、これは重荷電粒子Pの供給量を第一設定量AC1に至るまで増大させる増大処理が終了するのとほぼ同時のタイミングに限られず、増大処理が終了して重荷電粒子Pの供給量を実質的に第一設定量AC1で一定に維持している間、の両方を意味するものである。
第一閾値は、コリメータ44の配置や、メイン電磁石50が生成する磁場環境、ストリッパフォイル42の状態などが正常である場合にトランスミッション値TRが十分にこれを上回る数値に設定することが好ましい。第一閾値はサイクロトロン制御装置10に予め設定されて記憶されており、たとえば0.6から0.8などとすることができる。第一閾値はユーザーにより可変に設定可能としてもよい。
第二設定量AC2は、ターゲット34で所望の核反応を発生させるために必要な目標の重荷電粒子Pの供給量である。図5に示すように、第一設定量AC1は第二設定量AC2よりも十分に低く設定されている。具体的には、第一設定量AC1は第二設定量AC2の50%未満である。より好ましくは、第一設定量AC1は第二設定量AC2に対して20%以上40%以下とすることができる。第一設定量AC1を20%以上とすることで、第二供給ステップST18において第一設定量AC1から第二設定量AC2まで重荷電粒子Pの供給量を増大させる増大幅が過剰になることを防止する。これにより、第一供給ステップST10の終了時点における乖離度合いが、重荷電粒子Pの供給量が第二設定量AC2に到達する時点での乖離度合いと実質的に一致し、第三供給ステップST22においてサイクロトロン100に不測の過負荷が発生することが回避される。また、第一設定量AC1を50%未満、好ましくは40%以下とすることで、判定ステップST16を実行するよりも前にビームのロスの量が過剰になってサイクロトロン100が損耗することが回避される。
供給制御部12は、トランスミッション値TRが第一閾値未満であって乖離度合いが所定以上であると照射状態判定部16に判定された場合(判定ステップST16:NO)には、重荷電粒子Pの供給量の増大を抑制し、具体的には供給量の増大を停止(ステップST30)して第一設定量AC1で維持する。この場合、サイクロトロン100の各種の設定を調整する(ステップST32)。具体的には、コリメータ44(プローブコリメータ44a、バッファコリメータ44b、ターゲットコリメータ44c)の向きを調整したり、ストリッパフォイル42の向きやフォイル駆動部43からの突出長さを調整したり、メイン電磁石50に印加するマグネット電流を増減調整したりするとよい。これらの調整により、ビームハローを低減させて重荷電粒子ビームPBの指向性を向上させたり、ターゲット34に向けてより正確に重荷電粒子ビームPBを照射させたりすることができる。ステップST32における各種調整は、表示画面DPのトランスミッション値表示部66等に表示されるパラメータの数値を目視確認しながらユーザーが手動で行なってもよく、またはサイクロトロン制御装置10によりトランスミッション値TRの最適値を探索するように自動調整してもよい。
ステップST32の後、出力モニタ部14はビーム電流値EPRおよびターゲット電流値TGを改めて取得してトランスミッション値TRを更新する。照射状態判定部16は、更新されたトランスミッション値TRを第一閾値と大小判定する。この結果、指標値であるトランスミッション値TRが第一閾値以上となり乖離度合いが所定未満になったと判定された場合(ステップST34:YES)、供給制御部12は第二供給ステップST18を実行する。
一方、ステップST32の各種調整を行なってもトランスミッション値TRが第一閾値以上とならず乖離度合いが所定以上のままである場合(ステップST34:NO)は、図5に破線で示すように、重荷電粒子Pの供給および重荷電粒子ビームPBの照射を停止するとよい。
また、判定ステップST16において照射状態判定部16により乖離度合いが所定未満であると判定された場合(判定ステップST16:YES)にも、第二供給ステップST18を実行する。
第二供給ステップST18では、フィラメント24に印加するフィラメント電流を更に漸増することで、重荷電粒子Pの供給量を第一設定量AC1から増大させる(ステップST19)。出力モニタ部14は重荷電粒子Pの供給量が十分な値となるまで(ステップST20:NO)、これを繰り返す。サイクロトロン制御装置10は、重荷電粒子Pの供給量が第二設定量AC2に到達すると第二供給ステップST18を終了し、第三供給ステップST22を実行する。
図5では、便宜上、第一供給ステップST10と第二供給ステップST18との間にインターバルITを設ける態様を例示するが、かかるインターバルITの長さは任意であり、実質的に零でもよい。特に、ステップST16が肯定された場合は、インターバルITの時間を零とし、第一供給ステップST10と第二供給ステップST18を連続的に実行してもよい。
ステップST20において重荷電粒子Pの供給量が第二設定量AC2に到達したか否かを判定する具体的な処理は特に限定されない。フィラメント電流が所定値に達したことを検知して第二供給ステップST18を終了してもよく、または他のパラメータを監視して当該判定を行なってもよい。
本実施形態では、第二供給ステップST18の実行中に、出力モニタ部14がターゲット電流値TGを第二閾値と比較する。そして供給制御部12は、出力モニタ部14の比較結果に基づいて第二供給ステップST18を終了して第三供給ステップST22を実行する。すなわち本実施形態のサイクロトロン制御装置10では、ターゲット34に対する重荷電粒子ビームPBの照射量を監視して第二供給ステップST18の終了判定を行ない、それ以降は重荷電粒子Pの供給量を第二設定量AC2にて維持する第三供給ステップST22を実行する。これにより、ターゲット34において所望の核反応を発生させるために必要なターゲット電流値TGを確実に実現することができる。
第三供給ステップST22で所望の時間に亘って重荷電粒子ビームPBをターゲット34に連続照射した後は重荷電粒子Pの供給および重荷電粒子ビームPBの照射を停止する。本実施形態のサイクロトロン制御装置10を用いることで、重荷電粒子ビームPBの連続照射時間をたとえば2時間以上の長時間とすることができる。
本実施形態のサイクロトロン制御装置10を用いることでターゲット34において核反応が発生して放射性核種が生成される。放射性核種は放射性薬剤の製造や放射線治療などの用途に用いることができる。
特に本実施形態のサイクロトロン制御装置10を搭載したサイクロトロン100によれば上記のように長時間に亘って重荷電粒子ビームPBをターゲット34に連続照射することができ、放射性薬剤を大量生産することができる。すなわち本実施形態のサイクロトロン制御装置10によれば以下の放射性薬剤の製造方法(以下、本方法と呼称する場合がある)が提供される。
本方法は、イオン源20から供給される重荷電粒子Pを磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームPBとする加速器30と、重荷電粒子ビームPBを軌道変更して加速器30から取り出してターゲット34に向けて出射するビーム取出部40と、を備えるサイクロトロン100を用いて放射性薬剤を製造する方法に関する。
本方法は、第一供給ステップST10および判定ステップST16を含む。
第一供給ステップST10では、イオン源20から加速器30に供給される重荷電粒子Pの供給量を第一設定量AC1に至るまで増大させる。
判定ステップST16では、ビーム取出部40で軌道変更される重荷電粒子ビームPBの量を示すビーム電流値EPRと、出射された重荷電粒子ビームPBがターゲット34に衝突して発生するターゲット電流値TGと、の乖離度合いを示す指標値を、少なくとも供給量が第一設定量AC1に至った時点(ステップST14)で取得する。そして、取得された指標値を第一閾値と比較することにより乖離度合いを判定する。
本方法においては、判定ステップST16で乖離度合いが所定以上であると判定された場合(判定ステップST16:NO)には供給量の増大を抑制する(ステップST30)。一方、判定ステップST16で乖離度合いが所定未満であると判定された場合(判定ステップST16:YES)には第二供給ステップST18を行う。第二供給ステップST18では、図5に示すように、重荷電粒子Pの供給量を、第一設定量AC1よりも多い第二設定量AC2に至るまで増大させる。
これにより、重荷電粒子ビームPBの照射開始からビーム出力が安定するまでの間にサイクロトロン100に過度の負担をかけることなく、放射性薬剤を製造することができる。
そして本方法では、上記の第二供給ステップST18を経て安定的に出力される重荷電粒子ビームPBをターゲット34に照射して放射性核種を生成し、かかる放射性核種を用いて標識前駆体化合物を標識することにより放射性薬剤を製造する。
すなわち本方法は更に、第三供給ステップST22、放射性核種生成ステップおよび標識ステップを含む。第三供給ステップST22は第二供給ステップST18の後に実行されて供給量を第二設定量AC2にて維持する工程である。放射性核種生成ステップは、少なくともこの第三供給ステップST22で供給された重荷電粒子Pを加速した重荷電粒子ビームPBをターゲット34に照射して放射性核種を生成するステップである。標識ステップは、生成された放射性核種および標識前駆体化合物を用いて放射性薬剤を製造するステップであり、加水分解や精製などの各種処理を含む工程である。標識ステップには公知の方法を用いることができる。例えば、本方法により、18O水(酸素18標識水)から、放射性核種として18Fを生成し、標識ステップで、標識前駆体化合物としてTATM(1,3,4,6−テトラ−O−アセチル−2−O−トリフルオロメタンスルホニル−β−D−マンノピラノース)を用いて18F−FDG(フルオロデオキシグルコース)を製造することができる。
以上説明したように本実施形態のサイクロトロン制御装置10、その制御プログラムおよびサイクロトロン制御装置10を備えるサイクロトロン100によれば、重荷電粒子ビームPBの照射の初期段階で、アーク電流を比較的低い第一設定量AC1まで上昇させてビーム電流値EPRとターゲット電流値TGとの乖離度合いを判定し、必要によりサイクロトロン100の照射条件を微調整する。このため、サイクロトロン100に過負荷を与えず、またコリメータ44そのほかのターゲット34以外の部位に重荷電粒子ビームPBが過剰に照射してサイクロトロン100を損傷することが未然に回避される。このため、放射性薬剤を長時間に亘って安定して製造することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)イオン源から供給される重荷電粒子を磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、を備えるサイクロトロンのための制御装置であって、前記イオン源から前記加速器に供給される前記重荷電粒子の供給量を、第一設定量に至るまで増大させ、更に前記第一設定量よりも多い第二設定量に至るまで増大させる制御を行う供給制御手段と、前記ビーム取出部で軌道変更される前記重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された前記重荷電粒子ビームが前記ターゲットに衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示す指標値を、少なくとも前記供給量が前記第一設定量に至った時点で取得する出力モニタ手段と、前記出力モニタ手段が取得した前記指標値を第一閾値と比較して前記乖離度合いを判定する照射状態判定手段と、を備え、前記供給制御手段が、前記照射状態判定手段により前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、前記供給量の増大を抑制することを特徴とするサイクロトロン制御装置。
(2)前記供給制御手段は、前記重荷電粒子の前記供給量を第一設定量に至るまで増大させる第一供給ステップと、前記第一供給ステップの後に実行されて前記供給量を前記第二設定量に至るまで更に増大させる第二供給ステップと、第二供給ステップの後に実行されて前記供給量を前記第二設定量にて維持する第三供給ステップと、を実行し、前記照射状態判定手段は、少なくとも前記第一供給ステップの終了時に前記乖離度合いを判定し、前記供給制御手段は、前記照射状態判定手段により前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合には前記供給量を前記第一設定量で維持し、前記照射状態判定手段により前記乖離度合いが所定未満であると判定された場合には前記第二供給ステップを実行する上記(1)に記載のサイクロトロン制御装置。
(3)前記第一設定量が前記第二設定量の50%未満である上記(2)に記載のサイクロトロン制御装置。
(4)前記第二供給ステップの実行中に、前記出力モニタ手段は前記ターゲット電流値を第二閾値と比較し、前記供給制御手段は、前記出力モニタ手段の比較結果に基づいて前記第二供給ステップを終了して前記第三供給ステップを実行する上記(2)または(3)に記載のサイクロトロン制御装置。
(5)前記ビーム取出部が、前記重荷電粒子ビームを衝突させて前記重荷電粒子から電子を捕捉するストリッパフォイルを備え、前記ビーム電流値が、前記ストリッパフォイルで捕捉される電子の量を示す上記(1)から(4)のいずれか一項に記載のサイクロトロン制御装置。
(6)前記出力モニタ手段が取得する前記指標値が、前記ビーム電流値に対する前記ターゲット電流値の比率を示すトランスミッション値である上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のサイクロトロン制御装置。
(7)イオン源と、前記イオン源から供給される重荷電粒子を磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、上記(1)から(6)のいずれか一項に記載のサイクロトロン制御装置と、
を備えるサイクロトロン。
(8)イオン源から供給される重荷電粒子を磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、を備えるサイクロトロンを制御するためのプログラムであって、前記プログラムが、前記イオン源から前記加速器に供給される前記重荷電粒子の供給量を第一設定量に至るまで増大させる第一供給処理と、前記ビーム取出部で軌道変更される前記重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された前記重荷電粒子ビームが前記ターゲットに衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示す指標値を少なくとも前記供給量が前記第一設定量に至った時点で取得し、取得された前記指標値を第一閾値と比較することにより前記乖離度合いを判定する判定処理と、前記判定処理で前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、前記供給量の増大を抑制し、前記判定処理で前記乖離度合いが所定未満であると判定された場合に、前記供給量を、前記第一設定量よりも多い第二設定量に至るまで増大させる第二供給処理を前記サイクロトロンに実行させることを特徴とするサイクロトロン制御プログラム。
(9)イオン源から供給される重荷電粒子を磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、を備えるサイクロトロンを用いて放射性薬剤を製造する方法であって、前記イオン源から前記加速器に供給される前記重荷電粒子の供給量を第一設定量に至るまで増大させる第一供給ステップと、前記ビーム取出部で軌道変更される前記重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された前記重荷電粒子ビームが前記ターゲットに衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示す指標値を少なくとも前記供給量が前記第一設定量に至った時点で取得し、取得された前記指標値を第一閾値と比較することにより前記乖離度合いを判定する判定ステップと、を含み、前記判定ステップで前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、前記供給量の増大を抑制し、前記判定ステップで前記乖離度合いが所定未満であると判定された場合に、前記供給量を、前記第一設定量よりも多い第二設定量に至るまで増大させる第二供給ステップを行うことを特徴とする放射性薬剤の製造方法。
(10)第二供給ステップの後に実行されて前記供給量を前記第二設定量にて維持する第三供給ステップと、少なくとも前記第三供給ステップで供給された前記重荷電粒子を加速した前記重荷電粒子ビームを前記ターゲットに照射して放射性核種を生成するステップと、生成された放射性核種および標識前駆体化合物を用いて前記放射性薬剤を製造するステップと、を更に含む上記(9)に記載の放射性薬剤の製造方法。
10 サイクロトロン制御装置
12 供給制御部
14 出力モニタ部
16 照射状態判定部
20 イオン源
22 プラズマ生成部
24 フィラメント
25 引出電極
26 イオン供給口
30 加速器
31 加速空間
32 ビーム管
34 ターゲット
40 ビーム取出部
42 ストリッパフォイル
43 フォイル駆動部
44 コリメータ
44a プローブコリメータ
44b バッファコリメータ
44c ターゲットコリメータ
50 メイン電磁石
51 磁極
51a 谷領域
51b 山領域
52 高周波電極
54 高周波電源
56 コイル
58 直流電源
62 アーク電流表示部
63 ビーム電流値表示部
64 コリメータ電流値表示部
65 ターゲット電流値表示部
66 トランスミッション値表示部
67 真空度表示部
68 マグネット電流値表示部
69 高周波電圧値表示部
100 サイクロトロン
AC1 第一設定量
AC2 第二設定量
DP 表示画面
P 重荷電粒子
PB 重荷電粒子ビーム
TG ターゲット電流値
TR トランスミッション値
EPR ビーム電流値

Claims (10)

  1. イオン源から供給される重荷電粒子を磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、を備えるサイクロトロンのための制御装置であって、
    前記イオン源から前記加速器に供給される前記重荷電粒子の供給量を、第一設定量に至るまで増大させ、更に前記第一設定量よりも多い第二設定量に至るまで増大させる制御を行う供給制御手段と、
    前記ビーム取出部で軌道変更される前記重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された前記重荷電粒子ビームが前記ターゲットに衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示す指標値を、少なくとも前記供給量が前記第一設定量に至った時点で取得する出力モニタ手段と、
    前記出力モニタ手段が取得した前記指標値を第一閾値と比較して前記乖離度合いを判定する照射状態判定手段と、を備え、
    前記供給制御手段が、前記照射状態判定手段により前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、前記供給量の増大を抑制することを特徴とするサイクロトロン制御装置。
  2. 前記供給制御手段は、前記重荷電粒子の前記供給量を第一設定量に至るまで増大させる第一供給ステップと、前記第一供給ステップの後に実行されて前記供給量を前記第二設定量に至るまで更に増大させる第二供給ステップと、第二供給ステップの後に実行されて前記供給量を前記第二設定量にて維持する第三供給ステップと、を実行し、
    前記照射状態判定手段は、少なくとも前記第一供給ステップの終了時に前記乖離度合いを判定し、
    前記供給制御手段は、
    前記照射状態判定手段により前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合には前記供給量を前記第一設定量で維持し、
    前記照射状態判定手段により前記乖離度合いが所定未満であると判定された場合には前記第二供給ステップを実行する請求項1に記載のサイクロトロン制御装置。
  3. 前記第一設定量が前記第二設定量の50%未満である請求項2に記載のサイクロトロン制御装置。
  4. 前記第二供給ステップの実行中に、前記出力モニタ手段は前記ターゲット電流値を第二閾値と比較し、前記供給制御手段は、前記出力モニタ手段の比較結果に基づいて前記第二供給ステップを終了して前記第三供給ステップを実行する請求項2または3に記載のサイクロトロン制御装置。
  5. 前記ビーム取出部が、前記重荷電粒子ビームを衝突させて前記重荷電粒子から電子を捕捉するストリッパフォイルを備え、
    前記ビーム電流値が、前記ストリッパフォイルで捕捉される電子の量を示す請求項1から4のいずれか一項に記載のサイクロトロン制御装置。
  6. 前記出力モニタ手段が取得する前記指標値が、前記ビーム電流値に対する前記ターゲット電流値の比率を示すトランスミッション値である請求項1から5のいずれか一項に記載のサイクロトロン制御装置。
  7. イオン源と、
    前記イオン源から供給される重荷電粒子を磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、
    前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、
    請求項1から6のいずれか一項に記載のサイクロトロン制御装置と、
    を備えるサイクロトロン。
  8. イオン源から供給される重荷電粒子を磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、を備えるサイクロトロンを制御するためのプログラムであって、
    前記プログラムが、
    前記イオン源から前記加速器に供給される前記重荷電粒子の供給量を第一設定量に至るまで増大させる第一供給処理と、
    前記ビーム取出部で軌道変更される前記重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された前記重荷電粒子ビームが前記ターゲットに衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示す指標値を少なくとも前記供給量が前記第一設定量に至った時点で取得し、取得された前記指標値を第一閾値と比較することにより前記乖離度合いを判定する判定処理と、
    前記判定処理で前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、前記供給量の増大を抑制し、
    前記判定処理で前記乖離度合いが所定未満であると判定された場合に、前記供給量を、前記第一設定量よりも多い第二設定量に至るまで増大させる第二供給処理を前記サイクロトロンに実行させることを特徴とするサイクロトロン制御プログラム。
  9. イオン源から供給される重荷電粒子を磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、を備えるサイクロトロンを用いて放射性薬剤を製造する方法であって、
    前記イオン源から前記加速器に供給される前記重荷電粒子の供給量を第一設定量に至るまで増大させる第一供給ステップと、
    前記ビーム取出部で軌道変更される前記重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された前記重荷電粒子ビームが前記ターゲットに衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示す指標値を少なくとも前記供給量が前記第一設定量に至った時点で取得し、取得された前記指標値を第一閾値と比較することにより前記乖離度合いを判定する判定ステップと、を含み、
    前記判定ステップで前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、前記供給量の増大を抑制し、
    前記判定ステップで前記乖離度合いが所定未満であると判定された場合に、前記供給量を、前記第一設定量よりも多い第二設定量に至るまで増大させる第二供給ステップを行うことを特徴とする放射性薬剤の製造方法。
  10. 第二供給ステップの後に実行されて前記供給量を前記第二設定量にて維持する第三供給ステップと、
    少なくとも前記第三供給ステップで供給された前記重荷電粒子を加速した前記重荷電粒子ビームを前記ターゲットに照射して放射性核種を生成するステップと、
    生成された放射性核種および標識前駆体化合物を用いて前記放射性薬剤を製造するステップと、を更に含む請求項9に記載の放射性薬剤の製造方法。
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