以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、発明の詳細な説明に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、発明の詳細な説明に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の詳細な説明中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
本発明の一側面の位置検出装置(例えば、図1の位置検出装置1)は、切削加工装置に装着されている刃物であって、上下方向の位置を検出しようとする刃物の刃先が上側から下向きに力点に触れた場合、上下方向の位置が概ね同じとされている力点の位置および作用点の位置が上下方向に変位するてこ(例えば、図1のてこ11)と、てこの作用点の下面に当接することで、てこの力点の上下方向の位置を保つ保持手段(例えば、図1の保持部12)と、変位が測定される測定子と保持手段とでてこの作用点を上下に挟み、てこの作用点の上下方向の位置の変位を検知するてこ式ダイヤルゲージ(例えば、図1のてこ式ダイヤルゲージ13)と、てこの上下方向の位置に対するてこ式ダイヤルゲージの上下方向の位置を調整する調整機構(例えば、図1の高さ調整機構14)とを備える。
以下、図1乃至図6を参照して、本発明の実施の形態の位置検出装置1を説明する。
図1および図2は、位置検出装置1の全体の構成を示す斜視図である。位置検出装置1は、NC(numerical control machining)切削加工装置やマシニングセンタである切削加工装置のベッド面などの基準位置に装着される。位置検出装置1が装着される切削加工装置は、エンドミルやボールミルなどの刃物2を交換できるものであり、切削加工前に刃先3の位置を補正するものである。位置検出装置1は、切削加工装置に装着されている刃物2の刃先3の接触を検知することで、切削加工装置に装着されている刃物2の刃先3の上下方向の位置を検出する。検出された刃先3の上下方向の位置により、切削加工装置における刃先3の位置が補正される。すなわち、切削加工装置の相対位置座標が補正される、いわゆる、工具長補正が行われる。なお、位置検出装置1の刃物2の刃先3を検知する位置の高さは、切削加工装置に装着される前または切削加工装置に装着してから、ハイトゲージなどで測定される。この測定結果は、工具長補正に用いられる。
位置検出装置1は、てこ11、保持部12、てこ式ダイヤルゲージ13、高さ調整機構14、てこ台15、ゲージ台16、およびベース17を備えてなる。
図1において、加工が行われる3次元空間(直交座標空間)を表すX軸、Y軸、およびZ軸からなる座標軸で示される方向のうち、図1中の右下と左上とを結ぶ方向はX軸方向を示し、図1中の右上と左下とを結ぶ方向はY軸方向を示し、図1中の上下方向はZ軸方向を示す。なお、右下方向がX軸の正の方向であり、右上方向がY軸の正の方向であり、上方向がZ軸の正の方向である。なお、以下、Z軸の正の側を上側、Z軸の負の側を下側、Y軸の正の側を奥側、Y軸の負の方向を手前側、X軸の正の側を右側、X軸の負の側を左側とも称する。また、図2以降の図においても、同様に、X軸、Y軸、およびZ軸を示す。
図1は、刃物2の刃先3がてこ11に接触する前の位置検出装置1を示す。図2は、刃物2の刃先3がてこ11に接触しているときの位置検出装置1を示す。
てこ11、保持部12、高さ調整機構14、てこ台15、ゲージ台16、およびベース17は、剛性の高い素材、例えば、鋼などにより形成されている。てこ11、保持部12、高さ調整機構14、てこ台15、ゲージ台16、およびベース17は、同じ素材から形成しても、それぞれ、異なる素材から形成してもよい。
てこ11は、単純機械である機械要素としてのてこである。てこ11は、左右方向(横方向)に概ね直線状に伸びる形状に形成されている。てこ11の上面は、概ね平面に形成されている。てこ11の左右方向の中間部分が、てこ11の右側の端部およびてこ11の左側の端部が上下方向に揺動可能に軸支されている。
従って、てこ11は、刃物2の刃先3で上側から下側に向かって押されたとき、揺動する。すなわち、より詳細には、切削加工装置に装着されている刃物2の刃先3の上下方向の位置を検出する場合、てこ11の上面の端部であって、上下方向に変位させられる端部のうち、一方の端部(この場合、右側の端部)の近傍に、刃物2の刃先3が接触させられる。てこ11の上面の端部であって、上下方向に変位させられる端部のうち、一方の端部の近傍に、切削加工装置に装着されている刃物2の刃先3が接触したとき、てこ11は、揺動する。てこ11の上面の端部であって、上下方向に変位させられる端部のうち、他方の端部(この場合、左側の端部)の近傍の変位が、てこ式ダイヤルゲージ13によって検知され、これにより、刃物2の刃先3の上下方向の位置が検出される。
保持部12は、螺子切りされた棒およびこれに螺合するナットなどからなり、てこ11の下面に当接することで、刃物2の刃先3が接触する前のてこ11の姿勢を保持する。てこ式ダイヤルゲージ13は、本体から伸びる棒であって、本体と反対側の先端に測定子が設けられている棒の本体に対する角度の変化を測ることで、測定子の位置の変位の大きさを示す測定器である。てこ式ダイヤルゲージ13は、測定子をてこ11の上面に接触させることで、てこ11の揺動による上下方向の変位を測定し、その変位の大きさを示す。すなわち、てこ式ダイヤルゲージ13は、てこ11の上面の端部であって、上下方向に変位させられる端部のうち、他方の端部(この場合、右側の端部)の近傍の変位を検知する。
てこ式ダイヤルゲージ13は、測定子がてこ11側に位置し、測定子の変位を示す表示部等が設けられている本体がてこ11から離れるように、てこ11に対して配置されている。言い換えれば、てこ式ダイヤルゲージ13の本体と本体から伸びる棒とが、左右方向に概ね直線状に伸びるようにてこ式ダイヤルゲージ13は配置されている。従って、てこ式ダイヤルゲージ13の本体と棒とを結ぶ直線が伸びる方向は、てこ11の揺動する端部を結ぶ直線が伸びる方向とほぼ同じである。すなわち、てこ11とてこ式ダイヤルゲージ13は、直線状に配置される。
てこ式ダイヤルゲージ13は、0.1N乃至0.5n程度の比較的小さな力での位置の変位を測定できる、いわゆる低圧ゲージである。なお、てこ式ダイヤルゲージ13は、アナログ式であっても、デジタル式であってもよい。また、てこ式ダイヤルゲージ13は、電気的に測定するものとして、測定結果を示す電気信号を外部に出力させるようにしてもよい。例えば、端部に測定子が設けられた棒と同軸に回転角度を検出するロータリーポテンショメータやエンコーダなどを設けて、棒の検出された回転角度を位置の変位に換算する演算処理を施して、バッファを介して、測定子の変位を示す電気信号が外部に出力される。さらにまた、てこ式ダイヤルゲージ13の測定値を表す表示部を横向き(手前向きまたは奥向き)にしてもよい。
さらに詳しく説明すれば、保持部12は、てこ式ダイヤルゲージ13の測定子が接触して、変位が測定されるてこ11の上面の裏側であるてこ11の下面に当接することで、刃物2の刃先3が接触する前のてこ11の姿勢を保持する。すなわち、てこ11の上面の端部であって、上下方向に変位させられる端部のうち、変位が検知される端部の近傍は、てこ式ダイヤルゲージ13の測定子と保持部12とによって挟まれる。このようにすることで、さらに正確に、刃物2の刃先3が接触する前のてこ11の姿勢を保持することができる。また、簡単にガタをより少なくすることができるので、より正確に、より確実に刃物2の刃先3の位置を検出できる。
てこ式ダイヤルゲージ13は、高さ調整機構14に装着される。高さ調整機構14は、てこ11の揺動する端部のうち、刃物2の刃先3で押された場合、上側に変位する端部側であって、てこ式ダイヤルゲージ13が装着された場合、てこ式ダイヤルゲージ13の測定子がてこ11の揺動する端部のうち、刃物2の刃先3で押されたとき、上側に変位する端部に接することのできる位置に設けられている。すなわち、高さ調整機構14は、てこ11が刃物2の刃先3で押される側とは反対側に、てこ11からてこ式ダイヤルゲージ13の長さ(棒が設けられている側とは反対側の本体の端部から測定子までの長さ)だけ離れた位置に設けられている。
高さ調整機構14は、ゲージ台16に対するてこ式ダイヤルゲージ13の高さ方向の位置を調整する機構である。高さ調整機構14は、ゲージ台16に対しててこ式ダイヤルゲージ13を高さ方向にのみ移動させる移動方向を規制するための直線案内(直動案内または直線摺動案内)およびゲージ台16に対しててこ式ダイヤルゲージ13を高さ方向に移動させる機械要素からなる。例えば、ゲージ台16に対しててこ式ダイヤルゲージ13を高さ方向に移動させる機械要素は、ラック・アンド・ピニオンまたはボールねじなどの回転運動を直線運動の変換するものである。この場合、ラックがゲージ台16側に固定して設けられ、ピニオンの回転と共にてこ式ダイヤルゲージ13が上下方向に移動する。ピニオンは、円筒状のつまみにより、ユーザーに回転させられる。すなわち、この場合、高さ調整機構14のつまみがユーザーに回転させられると、ラック・アンド・ピニオンにより、ゲージ台16に対するてこ式ダイヤルゲージ13の高さ方向の位置が変位する。なお、高さ調整機構14は、ユーザーが直接直線的に移動させて、例えば、複数の穴とピン若しくはクランプ(締め金)などにより、所望の位置に固定する機構であってもよいし、または、X軸方向若しくはY軸方向の軸を中心に回動(揺動)することで、てこ式ダイヤルゲージ13の高さ方向の位置を変位させるものであってもよい。。すなわち、高さ調整機構14は、てこ11の上下方向の位置に対するてこ式ダイヤルゲージ13の上下方向の位置を調整する。
てこ台15の上面には、てこ11および保持部12が固定される。てこ台15により、てこ11および保持部12が所望の上下方向の位置に配置される。
ゲージ台16は、高さ調整機構14を介して、てこ式ダイヤルゲージ13を固定する。
ベース17の上面には、てこ台15およびゲージ台16が左右方向の所定の間隔で配置される。ベース17は、平板状の部分とその上面に形成されている四角柱状の部分とからなる。ベース17の平板状の部分の上面には、ゲージ台16が、ねじ止めされる。また、ベース17の四角柱状の部分の上面には、てこ台15が、ねじ止めされる。ベース17の下面が切削加工装置のベッド面の上に接するように、位置検出装置1が切削加工装置に置かれて、位置検出装置1が切削加工装置に装着される。なお、位置検出装置1は、切削加工装置にねじ止めなどで固定するようにしてもよい。
図1に示されるように、刃物2の刃先3がてこ11に接触する前において、てこ11の姿勢は、保持部12によって保持される。これにより、てこ11の上面の端部であって、上下方向に変位させられる端部のうち、刃物2の刃先3が接触させられる一方の端部の上面の上下方向の位置は、より正確に保持されることになる。このとき、てこ11の上面の端部であって、上下方向に変位させられる端部のうち、他方の端部の近傍の下面と上面とは、それぞれ、保持部12とてこ式ダイヤルゲージ13の測定子とによって挟まれている。このとき、てこ式ダイヤルゲージ13は、所定の値を示している。
図2に示されるように、てこ11の上面の端部であって、上下方向に変位させられる端部のうち、一方の端部の上面に、刃物2の刃先3が接触したとき、てこ11は揺動し、てこ11の上面の端部であって、上下方向に変位させられる端部のうち、他方の端部の上下方向の位置は上側に変位する。このとき、他方の端部の近傍の上面は、てこ式ダイヤルゲージ13の測定子を上側に押し上げることになるので、てこ式ダイヤルゲージ13の示す値は、変化することになる。これにより、刃物2の刃先3の上下方向の位置が検出される。
次に、てこ11および保持部12の詳細について説明する。図3、図4および図5は、それぞれ、てこ11および保持部12の構成を示す拡大斜視図、拡大平面図、および拡大側面図である。
てこ11は、揺動自在に構成されている。てこ11は、左右方向に直線状に長い概ね短冊状である平板状のアーム21を支点で揺動自在に支えて構成される。アーム21の上面は、ほぼ水平に形成されている。アーム21の長手方向の一端側の上面の近傍には、上下方向の位置を検出しようとする刃物2の刃先3が接触させられる。すなわち、この場合、刃物2の刃先3の上下方向の位置を検出しようとするとき、刃物2の刃先3がアーム21の右側の端部の上面の近傍に接触させられる。
上下方向の位置を検出しようとする刃物2の刃先3がアーム21の長手方向の一端側の上面に接触すると、アーム21が揺動する。揺動したアーム21の長手方向の他端側の上面の位置の変位がてこ式ダイヤルゲージ13で検知される。すなわち、この場合、刃物2の刃先3の上下方向の位置を検出するとき、アーム21の左側の端部の上面の近傍の上下方向の位置の変位がてこ式ダイヤルゲージ13で検知される。アーム21が、左右方向に長い短冊状である平板状に形成されるので、重量のバランスが取り易く、より小さい力で揺動させることができる。
てこ11のアーム21の下面には、円形の面が横向きの円柱状に突出し、その内側に円筒形状の穴が形成されている軸受部22が形成されている。軸受部22の穴には、軸31が挿入されている。軸31の両端は、てこ台15の上面に、てこ11の軸受部22を挟む形状に上側に突出して設けられている軸固定部32に固定される。例えば、軸31は、半ねじ(中ボルト)として形成されている。すなわち、軸31の軸部の頭部側は、平滑な円筒形状とされ、軸31の軸部の端部側には、ねじが切られている。この場合、平滑な円筒形状とされている軸31の軸部の頭部側が、軸受部22に挿入され、軸31の軸部の端部側のねじが、軸固定部32に切られているねじと螺合するとともに、軸31の頭部の座面が軸固定部32に締め付けられる。このようにすることで、てこ11を、より小さい力で揺動させることができる。すなわち、軸受部22は、軸31が挿入されるスリーブである。このように、てこ11は、軸受部22と軸31とからなるすべり軸受の支点により揺動自在に支えられる。
なお、てこ11の支点は、ベアリングなどの転がり軸受、窪みを刃(ナイフエッジ)で支える構造などでも良く、さらに、てこ11の上側から吊り下げる吊下げ式であってもよい。てこ11の支点は、アーム21の下面に設けられるとは限らず、アーム21の上面に設けても良い。さらに、てこ11の支点は、例えば、半球状の突起および突起に対応する形状の半球状の窪みなどにより、アーム21の側面を支えるものであっても良い。
アーム21の上面の一方の端部、この場合、右側の端部には、上面が平滑な円板状の目標部23が形成されている。目標部23は、切削加工装置に装着されている刃物2の刃先3をてこ11に接触させる目標になる部位である。すなわち、目標部23は、刃物2の刃先3が接触させられる一方の端部(の近傍)である、てこ11の力点に設けられる。
また、アーム21の上面の他方の端部、この場合、左側の端部には、上面が平滑な円板状の接触部24が形成されている。接触部24は、てこ式ダイヤルゲージ13の測定子を接触させる目標になる部位である。すなわち、接触部24は、刃物2の刃先3が力点に触れた場合に変位が測定される他方の端部(の近傍)である、てこ11の作用点に設けられる。
目標部23および接触部24は、概ね同様の形状に形成されている。目標部23および接触部24の上面の色を、アーム21の他の部位の色と変えることができる。例えば、アーム21の色が黒である場合、目標部23および接触部24の上面の色は、磨いた金属色とすることができる。また、上から見て、目標部23および接触部24の下側の周囲を目標部23および接触部24の径より大きい径の円板状に形成することで、切削加工装置に装着されている刃物2の刃先3を目標部23に接触させる場合、図4に示されるように、上から見ると目標部23が2重の円形に見え、図5に示されるように、横から見ると、目標部23の側面が階段状に見えるので、目標部23をより狙いやすくなる。目標部23から接触部24までの長さは、20mm乃至40mmである。すなわち、アーム21の長さは、概ね20mm乃至40mmである。
なお、目標部23および接触部24は、それぞれ、四角の板状に形成したり、上面を十字の形状にしたりするなど、視認しやすい形状とすることができる。また、保持部12、てこ式ダイヤルゲージ13、高さ調整機構14、てこ台15、ゲージ台16、およびベース17の色と、アーム21の色とを変えるようにしてもよい。例えば、保持部12、てこ式ダイヤルゲージ13、高さ調整機構14、てこ台15、ゲージ台16、およびベース17の色を黒とした場合、アーム21の色を、磨いた金属色とすることができる。
保持部12は、ボルト41およびナット42からなる。ボルト41の上端は、半球状に形成されている。ボルト41の側面にはねじが切られている。ナット42は、ボルト41の側面のねじに螺合する。ボルト41は、てこ台15の上面に設けられているねじ穴に螺合されて、さらに、ナット42によりてこ台15の上面に締め付けられる。てこ台15の上面にナット42で締め付けられることで、ボルト41の緩みが防止される。保持部12のボルト41の上端がアーム21の接触部24の裏面に接触することで、目標部23の上面の上下方向の位置が保持される。保持部12は、刃物2の刃先3がアーム21の上面に接触していない場合、アーム21の姿勢を水平に保つとも言える。
なお、保持部12は、磁力によりアーム21を保持して、目標部23の上面の上下方向の位置を保持することもできる。この場合、保持部12を、アーム21の目標部23の近傍の上面に設けることも、アーム21の側面に設けることもできる。
また、保持部12は、空気を吸引することによりアーム21を保持して、目標部23の上面の上下方向の位置を保持することもできる。さらに、保持部12は、バネによってアーム21を保持して、目標部23の上面の上下方向の位置を保持することもできる。このいずれの場合も、保持部12を、アーム21の目標部23の近傍の上面に設けることも、アーム21の側面に設けることもできる。
刃物2の刃先3がてこ11の目標部23に触れられていない場合、保持部12により、アーム21の姿勢は、ほぼ水平とされる。すなわち、目標部23の上下方向の位置と接触部24の上下方向の位置とは、概ね同じになる。
なお、図4および図5に示されるように、アーム21において、目標部23から軸受部22までの長さを、軸受部22から接触部24までの長さと同じとしてもよいが、目標部23から軸受部22までの長さと軸受部22から接触部24までの長さとの比率を、0.25乃至4のいずれかとすることができる。すなわち、てこ11において、力点から支点までの長さと支点から作用点までの長さとの比率は、0.25乃至4のいずれかとすることができる。
また、てこの支点が設けられている部位の上面を、力点の部位の上面および作用点の部位の上面に対して下側に凹ませることができる。図6は、この場合の他の実施の形態の位置検出装置1におけるてこ101および保持部12の構成を示す拡大側面図である。図6に示す場合において、図4に示す場合と同様の部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
てこ101は、単純機械である機械要素としてのてこである。てこ101は、揺動自在に構成されている。てこ101は、アーム121を支点で揺動自在に支えて構成される。てこ101のアーム121の下面には、円筒状に突出し、その内側に円筒形状の穴が形成されている軸受部(図示せず)が形成されている。てこ101の軸受部の穴には、軸31が挿入されている。
アーム121の上面のうち、てこ101の支点が設けられている部位の上面は、力点の部位の上面および作用点の部位の上面に対して下側に凹んでいる。
アーム121の上面の一方の端部、例えば、右側の端部には、上面が平滑な円板状の目標部123が形成されている。目標部123は、切削加工装置に装着されている刃物2の刃先3をてこ101に接触させる目標になる部位である。すなわち、目標部123は、刃物2の刃先3が接触させられるてこ101の力点に設けられる。
また、アーム121の上面の他方の端部、例えば、左側の端部には、上面が平滑な円板状の接触部124が形成されている。接触部124は、てこ式ダイヤルゲージ13の測定子を接触させる目標になる部位である。すなわち、接触部124は、刃物2の刃先3が力点の触れた場合に変位が測定されるてこ101の作用点に設けられる。
保持部12のボルト41の上端がアーム121の接触部124の裏面に接触することで、目標部123の上面の上下方向の位置が保持される。
このように、アーム121において、てこ101の支点が設けられている部位の上面は、力点の部位の上面および作用点の部位の上面に対して下側に凹んでいる。
なお、アーム21において、目標部23から軸受部22までの長さを、軸受部22から接触部24までの長さに対して長くすることで、刃物2の刃先3の位置を検出するときに刃先3に加わる力をより小さくすることができる。また、てこ式ダイヤルゲージ13として、より小さい力で接触子が動く、いわゆる低圧ゲージを用いることで、刃物2の刃先3の位置を検出するときに刃先3に加わる力をより小さくすることができる。さらにまた、てこ式ダイヤルゲージ13の本体から伸びる棒であって、本体と反対側の先端に測定子が設けられている棒の長さをより長くすることで、より小さい力で接触子を動かすことができる。この場合、刃物2の刃先3の位置を検出するときに刃先3に加わる力をより小さくすることができる。
以上のように、てこ11の力点および作用点の上下方向の位置は、概ね同じとされている。切削加工装置に装着されている刃物2であって、上下方向の位置を検出しようとする刃物2の刃先3が上側から下向きに力点に触れた場合、てこ11の力点および作用点の上下方向の位置は、上下方向に変位する。
保持部12は、刃物2の刃先3がてこ11の力点に触れられていない場合、てこ11の力点の上下方向の位置を保つ。てこ式ダイヤルゲージ13は、てこ11の作用点の上下方向の位置の変位を検知する。高さ調整機構14は、てこ11の上下方向の位置に対するてこ式ダイヤルゲージ13の上下方向の位置を調整する。
すなわち、位置検出装置1は、切削加工装置に装着されている刃物2であって、上下方向の位置を検出しようとする刃物2の刃先3が上側から下向きに力点に触れた場合、上下方向の位置が概ね同じとされている力点の位置および作用点の位置が上下方向に変位するてこ11と、刃物2の刃先3がてこ11の力点に触れられていない場合、てこ11の力点の上下方向の位置を保つ保持部12と、てこ11の作用点の上下方向の位置の変位を検知するてこ式ダイヤルゲージ13と、てこ11の上下方向の位置に対するてこ式ダイヤルゲージ13の上下方向の位置を調整する高さ調整機構14とを備える。
力点の位置および作用点の上下方向の位置が概ね同じとされているてこ11の力点の上下方向の位置が保たれ、てこ11の上下方向の位置に対する上下方向の位置が調整されるてこ式ダイヤルゲージ13によって、てこ11の作用点の上下方向の位置の変位が検知される。てこ11の力点の位置および作用点の上下方向の位置が概ね同じとされているので、てこ11の重量バランスを取りやすくなり、刃物2の刃先3が触れた場合の力がより小さくても、作用点の位置が上下方向に変位するので、より確実に、刃物2の刃先3の位置を検出できる。
また、てこ11の力点の位置および作用点の上下方向の位置が概ね同じとされているので、切削加工装置に装着されている刃物2の刃先3で上側から下向きに力点に触れようとする場合、てこ11の力点の位置および作用点の位置を参照にすることで、てこ11の力点を狙いやすくなる。
保持部12によって、てこ11の力点の上下方向の位置が保たれているので、より正確に、刃物2の刃先3の位置を検出できる。さらに、高さ調整機構14によって、てこ11の上下方向の位置に対するてこ式ダイヤルゲージ13の上下方向の位置が調整されるので、刃物2の刃先3がてこ11の力点に触れられていない場合、てこ式ダイヤルゲージ13の測定値が、例えば、10μm乃至100μmの値を指すようにオフセットを与えておくことで、初動の不感帯をより小さくして、刃物2の刃先3が力点に触れた場合、より確実に、刃物2の刃先3の位置を検出できる。また、刃物2の刃先3がてこ11の力点に接触し、力点を刃先3で押しているとき、てこ式ダイヤルゲージ13の表示が変化するので、刃先3がてこ11の力点に接触し始めた、刃先3の位置の確認がしやすく、より正確に、より確実に、より簡単に刃物2の刃先3の位置を検出できる。
さらにまた、てこ式ダイヤルゲージ13が作用点の位置の変位を検知するので、てこ式ダイヤルゲージ13の本体をてこ11の上から逃がして配置することができ、切削加工装置に装着されている刃物2の刃先3で上側から下向きに力点に触れようとする場合、てこ式ダイヤルゲージ13が邪魔にならず、てこ式ダイヤルゲージ13への刃先3の接触を避けることができ、より細い刃物2の損傷をより少なくして、より簡単に刃物2の刃先3の位置を検出できる。以上のように、より細い刃物2の損傷をより少なくして、より正確に、より確実に、より簡単に刃物2の刃先3の位置を検出できる。
てこ11のアーム21は、平板状とすることができる。アーム21の位置並びに上下方向の力点の位置および作用点の位置が目視で確認しやすくなり、切削加工装置に装着されている刃物2の刃先3で上側から下向きに力点に触れようとする場合、力点に狙いがつけやすくなり、てこ式ダイヤルゲージ13への刃先3の接触を避けることができ、より正確に、より確実に、より簡単に刃物2の刃先3の位置を検出できる。
てこ101の支点が設けられている部位の上面を、力点の部位の上面および作用点の部位の上面に対して下側に凹ませることができる。切削加工装置に装着されている刃物2の刃先3で上側から下向きに力点に触れようとする場合、支点の近傍に誤って刃先3を接触させてしまうことを防止でき、より細い刃物2の損傷をより少なくすることができる。
目標部23から接触部24までの長さは、20mm乃至40mmとすることができる。すなわち、アーム21の長さは、概ね20mm乃至40mmとすることができる。てこ11を目視で確認しやすくしたまま、より小さい力でてこ11を動かすことができるので、より細い刃物2の損傷をより少なくすることができる。
てこ11に、刃物2の刃先3を触れる目標となる目標部23を設けることができる。力点の位置が確認しやすくなり、切削加工装置に装着されている刃物2の刃先3で上側から下向きに力点に触れようとする場合、力点に狙いがつけやすくなり、他の部位に接触して刃物2が損傷してしまうことを防止でき、より正確に、より確実に、より簡単に刃物2の刃先3の位置を検出できる。
てこ11に、てこ式ダイヤルゲージ13の測定子が触れるための接触部24を設けることができる。作用点の位置が確認しやすくなり、刃物2の刃先3がてこの力点に触れられていない場合、てこ式ダイヤルゲージ13の測定値が、例えば、10μm乃至100μmの値を指すようにオフセットを与えておくことが容易にできるようになり、初動の不感帯をより小さくして、刃物2の刃先3が力点に触れた場合、より確実に、刃物2の刃先3の位置を検出できる。
また、てこ式ダイヤルゲージ13は、電気的に測定するものとして、測定結果を示す電気信号を外部に出力させるようにしてもよい。すなわち、てこ式ダイヤルゲージ13は、変位を検知した結果が示される電気信号を外部に出力することができる。このようにすることで、位置検出装置1が装着される切削加工装置が、この電気信号を取得することで、ユーザーによる読み間違いや指示間違いを防いで、工具長補正をより容易に行うことができ、より正確に、より確実に、より簡単に刃物2の刃先3の位置を検出できる。
位置検出装置1は、てこ11、保持部12、てこ式ダイヤルゲージ13、高さ調整機構14、てこ台15、ゲージ台16、およびベース17を備えてなると説明したが、てこ11、保持部12、高さ調整機構14、てこ台15、ゲージ台16、およびベース17を備える治具として構成することもできる。すなわち、てこ式ダイヤルゲージ13を装着するための治具に、てこ11、保持部12、高さ調整機構14、てこ台15、ゲージ台16、およびベース17を設けることもできる。
治具は、てこ式ダイヤルゲージ13を装着して、切削加工装置に装着されている刃物2であって、上下方向の位置を検出しようとする刃物2の刃先3の上下方向の位置をてこ式ダイヤルゲージ13に検知させるための治具であって、刃物2の刃先3が上側から下向きに力点に触れた場合、上下方向の位置が概ね同じとされている力点の位置および作用点の位置が上下方向に変位するてこ11と、刃物2の刃先3がてこ11の力点に触れられていない場合、てこ11の力点の上下方向の位置を保つ保持部12と、てこ11の作用点の上下方向の位置の変位を検知するてこ式ダイヤルゲージ13が装着され、てこ11の上下方向の位置に対するてこ式ダイヤルゲー13ジの上下方向の位置を調整する高さ調整機構14とを備える。
この治具においては、力点の位置および作用点の上下方向の位置が概ね同じとされているてこ11の力点の上下方向の位置が保たれ、高さ調整機構14に装着されているてこ式ダイヤルゲージ13であって、てこ11の上下方向の位置に対する上下方向の位置が調整されるてこ式ダイヤルゲージ13によって、てこ11の作用点の上下方向の位置の変位が検知される。てこ11の力点の位置および作用点の上下方向の位置が概ね同じとされているので、てこ11の重量バランスを取りやすくなり、刃物2の刃先3が触れた場合の力がより小さくても、作用点の位置が上下方向に変位するので、より確実に、刃物2の刃先3の位置を検知できる。また、てこ11の力点の位置および作用点の上下方向の位置が概ね同じとされているので、切削加工装置に装着されている刃物2の刃先3で上側から下向きに力点に触れようとする場合、てこ11の力点の位置および作用点の位置を参照にすることで、てこ11の力点を狙いやすくなる。
保持部12によって、てこ11の力点の上下方向の位置が保たれているので、高さ調整機構14に装着されているてこ式ダイヤルゲージ13によって、より正確に、刃物2の刃先3の位置を検知できる。さらに、高さ調整機構14によって、てこ11の上下方向の位置に対するてこ式ダイヤルゲージ13の上下方向の位置が調整されるので、刃物2の刃先3がてこ11の力点に触れられていない場合、てこ式ダイヤルゲージ13の測定値が例えば10μm乃至100μmの値を指すようにオフセットを与えておくことで、初動の不感帯をより小さくして、刃物2の刃先3が力点に触れた場合、より確実に、刃物2の刃先3の位置を検知できる。刃物2の刃先3がてこ11の力点に接触し、力点を刃先3で押しているとき、てこ式ダイヤルゲージ13の表示が変化するので、刃先3がてこ11の力点に接触し始めた、刃先3の位置の確認がしやすく、より正確に、より確実に、より簡単に刃物2の刃先3の位置を検知できる。
さらにまた、高さ調整機構14に装着されているてこ式ダイヤルゲージ13が作用点の位置の変位を検知するので、てこ式ダイヤルゲージ13の本体をてこ11の上から逃がして配置することができ、切削加工装置に装着されている刃物2の刃先3で上側から下向きに力点に触れようとする場合、てこ式ダイヤルゲージ13が邪魔にならず、てこ式ダイヤルゲージ13への刃先3の接触を避けることができ、より細い刃物2の損傷をより少なくして、より簡単に刃物2の刃先3の位置を検知できる。このように、より細い刃物2の損傷をより少なくして、より正確に、より確実に、より簡単に刃物2の刃先3の位置を検知できる。
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。